JP4362219B2 - 高温強度に優れた鋼およびその製造方法 - Google Patents

高温強度に優れた鋼およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、火災など異常時において高温にさらされてもなお十分耐力(強度)を維持し得る鋼およびその製造方法に関するもので、鉄鋼業においては厚板、形鋼、ホットストリップミルなどに適用できる。なお、用途としては、建築分野のみならず、土木、海洋構造物、造船、各種の貯槽タンクなどの一般的な構造用鋼として広範な用途に適用できる。
【0002】
【従来の技術】
高温強度の保証を目的とした建築用途でのいわゆる耐火鋼は、特開平2−77523号公報他多くの公開公報で、含Mo鋼の製造方法が開示されている。しかし、Moは鋼の焼入性を顕著に高めるとともに、Cとの相互作用が極めて強いために、材質変化が製造条件の変動に敏感で、常温での強度−靭性バランスやそのばらつき、常温強度と高温強度のバランスを考慮した場合、高温強度上は有効であるが、必ずしも使いやすい元素とは言えない。また、高温強度を維持する程度の比較的多いMoの添加は、溶接性の顕著な劣化に加え、母材および溶接部の靭性も著しく劣化させるという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決すべく、優れた高温強度とともに、靭性や溶接性にも優れる鋼を得るため、Cuの固溶・析出を利用することで、Moは必要に応じて少量添加する程度に止め、さらに製造方法を限定することで、上述した複合特性を有する鋼、および該鋼を工業的に安定して供給可能な方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の最大のポイントは、Cuを比較的多く添加し、600℃での時効析出処理を行った場合降伏強さが30N/mm2以上増加する程度に、Cuが常温で固溶状態で存在させること、あるいはさらにそのような状態を得るよう製造条件を限定することである。
【0005】
これはすなわち、600℃に加熱されることで、常温では固溶状態にあったCuが析出し、析出強化として高温強度を発現させることを意味している。この結果、常温強度と高温強度をバランス良く向上することができる。
【0006】
そのために鋼成分をはじめ製造方法を本発明の通り限定したものであるが、その要旨は以下に示す通りである。
【0007】
(1) 鋼成分が質量%で、
C:0.028%以下、
Si:0.6%以下、
Mn:0.51〜1.6%、
P:0.02%以下、
S:0.01%以下、
Cu:0.6〜2.0%、
Ni:Cu添加量の1/2〜1.0%、
Al:0.018〜0.06%、
N:0.006%以下、
かつ、
Nb:0.005〜0.1%、
V:0.01〜0.2%、
Ti:0.005〜0.1%
の範囲で少なくとも1種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、600℃での時効析出処理を行った場合降伏強さが30N/mm2以上増加することを特徴とする高温強度に優れた鋼。
【0008】
(2) 上記鋼成分に加え、質量%で
B:0.0002〜0.003%、
Mg:0.0002〜0.005%
の範囲で1種または2種を含有することを特徴とする上記(1)に記載の高温強度に優れた鋼。
【0009】
(3) 質量%で、
Ca:0.0005〜0.004%
含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の高温強度に優れた鋼。
【0010】
(4) 上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の鋼成分からなる鋼片または鋳片を1000〜1250℃の温度範囲に再加熱後、1000℃以下での累積圧下量を30%以上として750℃以上の温度で圧延を終了し、その後700℃以上の温度から強制冷却で400℃以下の任意の温度まで加速冷却することを特徴とする、600℃での時効析出処理を行った場合降伏強さが30N/mm2以上増加する高温強度に優れた鋼の製造方法。
【0011】
(5) 上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の鋼成分からなる鋼片または鋳片を熱間圧延後、Ac3以上950℃以下の温度に再加熱後、強制冷却で加速冷却することを特徴とする、600℃での時効析出処理を行った場合降伏強さが30N/mm2以上増加する高温強度に優れた鋼の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明が、請求項の通りに鋼組成および製造方法を限定した理由について説明する。
【0014】
Cは、鋼の焼入性を最も顕著に増大させるため、多く添加することは好ましくない。特に本発明においては、Cuを600℃での時効析出処理を行えば降伏強さが30N/mm2以上増加する程度に固溶状態で存在させることが最大のポイントとなっているため、後述するように、圧延後、Cuが全量析出してしまわないよう放冷相当を超える冷速で加速冷却する必要がある。この際、必要以上に焼きが入らないようC量は低いレベルに抑える必要があり、許容できるC量の上限は0.03%である。C量の下限は特性上の理由からは制約されるものではなく特に限定しないが、製鋼能力やコストなどにより自ずと制限されるものである。
【0015】
Siは、脱酸上鋼に含まれる元素であるが、多く添加すると溶接性、HAZ靭性が劣化するため、上限を0.6%に限定した。鋼の脱酸はTi、Alのみでも十分可能であり、HAZ靭性、焼入性などの観点から低いほど好ましく、必ずしも添加する必要はない。
【0016】
Mnは、母材の強度、靭性を確保する上で不可欠な元素である。置換型の固溶強化元素であるMnは、特に600℃超の高温強度にはあまり大きな改善効果はないが、常温強度確保の観点から0.51%以上の添加を必須とする。上限については、多すぎる添加は連続鋳造スラブの中心偏析を助長したり、溶接性を劣化させるため1.6%に限定する。
【0017】
Pは、本発明鋼においては不純物であり、P量の低減はHAZにおける粒界破壊を減少させる傾向があるため、少ないほど好ましい。含有量が多いと母材、溶接部の低温靭性を劣化させるため上限を0.02%とした。
【0018】
Sは、Pと同様本発明鋼においては不純物であり、母材の低温靭性の観点からは少ないほど好ましい。含有量が多いと母材、溶接部の低温靭性を劣化させるため上限を0.01%とした。
【0019】
Cuは、本発明においては不可欠の元素で、「Cuを600℃での時効析出処理を行った場合降伏強さが30N/mm2以上増加する程度に固溶状態で存在させること」のため、0.6%以上の添加が必須である。上限については、本来、目的とする常温および高温強度によって変えるべき性質のものであるが、本発明が意図する「Cuを600℃での時効析出処理を行った場合降伏強さが30N/mm2以上増加する程度に固溶状態で存在させること」を達する上での制約はなく、むしろ溶接性、さらには熱間圧延時のCu−クラックの観点から2.0%に限定した。
【0020】
なお、「Cuを600℃での時効析出処理を行えば降伏強さが30N/mm2以上増加すること」を本発明の特徴とするが、常温状態におけるCuが固溶か析出かを判定するのは必ずしも容易ではなく、「600℃での時効析出処理を行った場合降伏強さが30N/mm2以上増加すること」をその判定基準とする。
【0021】
Niは、比較的多いCu添加必須とする本発明においては必須元素である。なぜならば、熱間圧延時のCu−クラックを防止するためであり、そのためにCu添加量の1/2以上とする必要がある。Niは、過剰に添加しなければ、溶接性、HAZ靭性に悪影響を及ぼすことなく母材の強度、靭性を向上させるが、過剰な添加は高価なだけでなく、溶接性にも好ましくないため、上限を1.0%とした。
【0022】
なお、これら、Cu、Niの比較的多い添加は、耐候性にも有利に作用する。
【0023】
Alは、一般に脱酸上鋼に含まれる元素であるが本発明鋼においては、その下限は0.018%とした。しかし、Al量が多くなると鋼の清浄度が悪くなるだけでなく、溶接金属の靭性が劣化するので、上限を0.06%とした。
【0024】
Nは、不可避的不純物として鋼中に含まれるものであるが、後述するTi、Nb、Vを少なくとも1種以上添加する本発明鋼においては、TiNを形成して鋼の性質を高めたり、Nb、Vと結合して炭窒化物を形成して強度を増加させる。この目的のためには、N量として最低0.001%含有することが望ましい。しかしながら、N量の増加はHAZ靭性、溶接性に極めて有害であり、本発明鋼においてはその上限は0.006%である。
【0025】
本発明の優れた特徴を損なうことなく、溶接構造用鋼として基本特性をさらに向上させるため、上述した元素に加え、Nb、V、Tiのうち少なくとも1種以上の添加を必須とする。
【0026】
Nbは、まず、一般的な効果として、オーステナイトの再結晶温度を上昇させ、熱間圧延時の制御圧延の効果を最大限に発揮する上で有用な元素で、最低0.005%の添加が必要である。また、圧延に先立つ再加熱や圧延後の熱処理時の加熱オーステナイトの細粒化にも寄与する。さらに、析出硬化として強度向上効果を有し、高温強度向上にも寄与する。しかし、過剰な添加は、溶接部の靭性劣化を招くため上限を0.1%とした。
【0027】
Vは、Nbとほぼ同様の作用を有するものであるが、Nbに比べてその効果は小さい。また、Vは焼入性にも影響を及ぼし、高温強度向上にも寄与する。Nbと同様の効果は0.01%未満では効果が少なく、上限は0.2%まで許容できる。
【0028】
Tiは、母材および溶接部靭性に対する要求が厳しい場合には、添加することが好ましい。なぜならばTiは、Al量が少ないとき(例えば0.003%以下)、Oと結合してTi23を主成分とする析出物を形成、粒内変態フェライト生成の核となり溶接部靭性を向上させる。また、TiはNと結合してTiNとしてスラブ中に微細析出し、加熱時のγ粒の粗大化を抑え圧延組織の細粒化に有効であり、また鋼板中に存在する微細TiNは、溶接時に溶接熱影響部組織を細粒化するためである。これらの効果を得るためには、Tiは最低0.005%必要である。しかし多すぎるとTiCを多量に形成し、低温靭性や溶接性を劣化させるので、その上限は0.1%である。
【0029】
次に、必要に応じて含有することができるB、Mgの添加理由について説明する。
【0030】
基本となる成分に、さらにこれらの元素を添加する主たる目的は、本発明鋼の優れた特徴を損なうことなく、強度、靭性などの特性を向上させるためである。したがって、その添加量は自ずと制限されるべき性質のものである。
【0033】
Bは、オーステナイト粒界に偏析し、フェライトの生成を抑制することを介して、焼入性を向上させ、強度向上に寄与する。この効果を享受するため、最低0.0002%以上必要である。しかし、多すぎる添加は焼入性向上効果が飽和するだけでなく、靭性上有害となるB析出物を形成する可能性もあるため、上限を0.003%とした。なお、タンク用鋼などとして、応力腐食割れが懸念されるケースでは、母材および溶接熱影響部の硬さの低減がポイントとなることが多く(例えば、硫化物応力腐食割れ(SCC)防止のためにはHRC≦22(HV≦248)が必須とされる)、そのようなケースでは焼入性を増大させるB添加は好ましくない。
【0034】
Mgは、溶接熱影響部においてオーステナイト粒の成長を抑制し、細粒化する作用があり、溶接部の強靭化が図れる。このような効果を享受するためには、Mgは0.0002%以上必要である。一方、添加量が増えると添加量に対する効果代が小さくなるため、コスト上得策ではないので上限は0.005%とした。
【0035】
さらに、Caは、MnSの形態を制御し、母材の低温靭性を向上させるほか、湿潤硫化水素環境下での水素誘起割れ(HIC、SSC、SOHIC)感受性を低減させる。これらの効果を発揮するためには、最低0.0005%必要である。しかし、多すぎる添加は、鋼の清浄度を逆に高め、母材靭性や湿潤硫化水素環境下での水素誘起割れ(HIC、SSC、SOHIC)感受性を高めるため、添加量の上限は0.004%に限定した
【0036】
次に、本発明の請求項4および5に規定する製造条件およびその限定理由について説明する。
【0037】
まず、本発明の請求項4にかかる圧延に先立つ加熱温度を1000〜1250℃に限定した理由は、加熱時のオーステナイト粒を小さく保ち、圧延組織の微細化を図るためである。1250℃は加熱時のオーステナイトが極端に粗大化しない上限温度であり、加熱温度がこれを超えるとオーステナイト粒が粗大混粒化し、変態後の組織も粗大化するため鋼の靭性が著しく劣化する。一方、加熱温度が低すぎると、後述する圧延終了温度(750℃以上)の確保が困難となるばかりでなく、Nbを添加した場合、オーステナイトの再結晶温度を上昇させ、熱間圧延時の制御圧延の効果を最大限に発揮させたり、析出効果を発現させるためのNbの液体化の観点から下限を1000℃に限定した。なお、Nbを添加しない場合は、その溶体化を考慮する必要がないため、加熱オーステナイトを必要以上に粗大化させない観点から1150℃以下の温度で加熱することが好ましい。
【0038】
前記温度範囲に再加熱した鋳片または鋼片を、圧延では1000℃以下での累積圧下量を30%以上として750℃以上で熱間圧延を終了する必要がある。1000℃以下での累積圧下量が少ない場合、圧延オーステナイトの細粒化が不十分となり、靭性確保が困難なためである。また、圧延終了温度が750℃を下回ると、C量が比較的低い本発明鋼においては、変態が一部開始する可能性が高まり、最終組織に加工(圧延)組織を残す恐れがあり、靭性上好ましくないばかりでなく、降伏比の上昇を招き、建築用途などとして低降伏比が求められた場合、製造が困難となるため、圧延終了温度は750℃以上に限定する。
【0039】
圧延後は、700℃以上の温度から強制冷却、つまり放冷以外の冷却速度で400℃以下の任意の温度まで加速冷却する。これらはいずれも「Cuを600℃での時効析出処理を行った場合降伏強さが30N/mm2以上増加する程度に固溶状態で存在させること」のためである。いずれか1つでも上記限定条件を逸脱すると、「Cuを600℃での時効析出処理を行った場合降伏強さが30N/mm2以上増加する程度に固溶状態で存在させること」が困難となる。
【0040】
なお、加速冷却時の冷速は、鋼成分や意図する材質(強度、靭性)レベルによっても変わるため一概には言えないが、板厚1/4厚位置の加速冷却開始温度から停止温度までの平均冷速で、少なくとも3℃/秒以上とすることが望ましい。
【0041】
次に、本発明の請求項5にかかる製造方法について説明する。
【0042】
本発明が限定する成分を有する鋼を熱間圧延後、本発明が限定する熱処理を行っても、本発明鋼材の優れた特性を損なうものではない。むしろ、鋼材の組織や結果として材質が均質化するため、目的によっては好ましい場合もある。ただし、この場合でも、組織の微細化が鋼材の強度、靭性を同時に向上させるポイントの1つであるため、熱処理時の再加熱温度はAc3以上950℃以下の温度とする必要がある。下限はCuの再固溶と組織の均質化のため、また上限は、再加熱時のオーステナイト粒径を必要以上に大きくしないためである。冷却は、請求項4にかかる圧延後の加速冷却と同様「Cuを600℃での時効析出処理を行った場合降伏強さが30N/mm2以上増加する程度に固溶状態で存在させること」のため、放冷相当を超える冷速で加速冷却する必要がある。この加速冷却は、400℃以下まで行えば良いことは、請求項4にかかる説明で述べた通りである。なお、本熱処理を行う場合、圧延後の鋼材は加速冷却を行う必要はなく、圧延後放冷された鋼材であってもよい。
【0043】
【実施例】
転炉−連続鋳造−厚板工程で種々の鋼成分の鋼板(厚さ20〜100m)を製造し、その機械的性質を調査した。
【0044】
表1に比較鋼とともに本発明鋼の鋼成分を、表2に鋼板の製造条件および諸特性の調査結果を示す。なお、表2中、熱処理を行ったものは所定の温度への再加熱後、400℃以下まで加速冷却を行っているのは言うまでもない。
【0045】
本発明法に則った成分、組織および製造方法による鋼板(本発明鋼)は、すべて良好な特性を有する。これに対し、本発明の限定範囲を逸脱する比較鋼は、靭性が劣っていたり、特に本発明が規定するCuの固溶程度を表すところの600℃での時効析出後の降伏強さの上昇代が少なく、結果として600℃での高温強度(YS)が明らかに劣っている。
【0046】
すなわち、比較例21では、C量が高いため焼入性が高くなり加速冷却後の強度が高く、Cu量は適正であるが600℃での時効析出後の降伏強さは焼入組織の焼戻し効果が優ってむしろ低下し、常温YSに対する600℃YSの比が低い。比較例22は、Cu添加量が少ないのに加え、1000℃以下の累積圧下量が少なく、加速冷却停止温度も高いため、靭性に劣るとともに、600℃での時効析出後の降伏強さの上昇代が少なく、結果として600℃での高温強度(YS)が劣る。比較例23は、圧延後に加速冷却されておらず、放冷中にCuの析出が進み、600℃での時効析出後の降伏強さが上昇代が少なく、結果として600℃での高温強度(YS)が劣る。また、Cu添加量に対してNi添加量が低いため、熱間圧延時にクラックが生じ、製造が困難となった。比較例24では、Nb、V、Tiのいずれもが添加されておらず、また製造条件の上でも、圧延終了温度が低く加速冷却開始温度も低いため、フェライトが加工を受け靭性に劣り、加速冷却開始までの間にCu析出も促進されて600℃での時効析出後の降伏強さの上昇代が少なく、結果として600℃での高温強度(YS)が劣る。
【0047】
【表1】
Figure 0004362219
【0048】
【表2】
Figure 0004362219
【0049】
【発明の効果】
本発明により、Moを多く添加することなく高温強度に優れた鋼の提供が可能となった。その結果、溶接性や靭性を損なうことなく、溶接構造用鋼としての各種用途向けに優れた高温強度を有する鋼材が大量かつ安価に供給できるようになった。このような鋼材を用いることにより、火災時などの高温での強度を維持でき、各種の溶接鋼構造物の安全性を一段と向上させることが可能となった。

Claims (5)

  1. 鋼成分が質量%で、
    C:0.028%以下、
    Si:0.6%以下、
    Mn:0.51〜1.6%、
    P:0.02%以下、
    S:0.01%以下、
    Cu:0.6〜2.0%、
    Ni:Cu添加量の1/2〜1.0%、
    Al:0.018〜0.06%、
    N:0.006%以下、
    かつ、
    Nb:0.005〜0.1%、
    V:0.01〜0.2%、
    Ti:0.005〜0.1%
    の範囲で少なくとも1種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、600℃での時効析出処理を行った場合降伏強さが30N/mm2以上増加することを特徴とする高温強度に優れた鋼。
  2. 上記鋼成分に加え、質量%で
    B:0.0002〜0.003%、
    Mg:0.0002〜0.005%
    の範囲で1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の高温強度に優れた鋼。
  3. 質量%で、
    Ca:0.0005〜0.004%
    含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高温強度に優れた鋼。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼成分からなる鋼片または鋳片を1000〜1250℃の温度範囲に再加熱後、1000℃以下での累積圧下量を30%以上として750℃以上の温度で圧延を終了し、その後700℃以上の温度から強制冷却で400℃以下の任意の温度まで加速冷却することを特徴とする、600℃での時効析出処理を行った場合降伏強さが30N/mm2以上増加する高温強度に優れた鋼の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼成分からなる鋼片または鋳片を熱間圧延後、Ac3以上950℃以下の温度に再加熱後、強制冷却で加速冷却することを特徴とする、600℃での時効析出処理を行った場合降伏強さが30N/mm2以上増加する高温強度に優れた鋼の製造方法。
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