JP4360789B2 - 車両のディファレンシャル装置 - Google Patents

車両のディファレンシャル装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4360789B2
JP4360789B2 JP2002263964A JP2002263964A JP4360789B2 JP 4360789 B2 JP4360789 B2 JP 4360789B2 JP 2002263964 A JP2002263964 A JP 2002263964A JP 2002263964 A JP2002263964 A JP 2002263964A JP 4360789 B2 JP4360789 B2 JP 4360789B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
friction engagement
sun gear
torque
engagement means
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002263964A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004100832A (ja
Inventor
一男 金澤
弘志 石原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Subaru Corp
Kikuchi Co Ltd
Original Assignee
Kikuchi Co Ltd
Fuji Jukogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kikuchi Co Ltd, Fuji Jukogyo KK filed Critical Kikuchi Co Ltd
Priority to JP2002263964A priority Critical patent/JP4360789B2/ja
Publication of JP2004100832A publication Critical patent/JP2004100832A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4360789B2 publication Critical patent/JP4360789B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
  • Retarders (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディファレンシャル装置に関し、特にプラネタリギヤ式のディファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、4輪駆動車は、エンジンからの動力を、変速機によって変速し、この変速出力をセンターディファレンシャル装置によってフロントディファレンシャル装置とリヤディファレンシャル装置に分配して動力伝達し、フロントディファレンシャル装置から左右の前輪に伝達し、リヤディファレンシャル装置から左右の後輪に伝達するように構成されている。このセンターディファレンシャル装置は、比較的コンパクトでかつ、前後輪へのトルク配分が可変調整できるプラネタリギヤ式のセンターディファレンシャル装置が広く使用されている。
【0003】
プラネタリギヤ式のセンターディファレンシャル装置について、図10を参照して説明する。センターディファレンシャル装置100は、先端が中間部材111を介在して変速機の出力軸101に連結された入力軸112と、この入力軸112の内部に配置され先端が中間部材113を介してフロントドライブ軸102に連結されたフロント出力軸114と、フロント出力軸114の内部に先端が臨まされたリヤ出力軸116とを備え、これら入力軸112、フロント出力軸114、リヤ出力軸116が同軸上で相対回転自在に構成されている。
【0004】
入力軸112の基端には大径の第1サンギヤ120が形成され、この第1サンギヤ120に小径の第1ピニオン121が噛合される一方、リヤ出力軸116に小径の第2サンギヤ123が設けられ、この第2サンギヤ123に大径の第2ピニオン124が噛合されている。これら第1ピニオン121及び第2ピニオン124は中空状のピニオン部材125に一体形成され、キャリヤ130に固定されたピニオン軸126に軸支されてプラネタリギヤを形成している。
【0005】
キャリヤ130の内周に固定されたハブ140が第1サンギヤ120と第2サンギヤ123の間から入力軸112の内部に延びてフロント出力軸114の外周にスプライン嵌合されている。そして、ピニオン軸126を介してキャリヤ130に伝達された動力は、ハブ140、フロント出力軸114を介してフロントドライブ軸102に伝動される。一方、第2サンギヤ123を介してリヤ出力軸116に伝動された動力は、トランスファギヤ104、105によってリヤドライブ軸106に伝動される。
【0006】
更に、キャリヤ130とリヤ出力軸116との間にイニシャルトルクを与えるイニシャルトルク付与手段150が配設されている。イニシャルトルク付与手段150は、キャリヤ130の後面に設けられてリヤ出力軸116にニードルベアリングを介して回転自在に支持されたクラッチハブ151及びリヤ出力軸116に固定されたクラッチドラム152を有している。クラッチハブ151にドリブンプレート153が軸方向に移動可能にスプライン嵌合する一方、ドライブプレート154がクラッチドラム152に軸方向に移動可能にスプライン嵌合し、クラッチドラム152に取り付けられたスナップリング155とドライブプレート154との間に荷重を付与した状態で皿ばね156が弾装されている。
【0007】
また、第1サンギヤ120とハブ140との間、ハブ140と第2サンギヤ123との間及び第2サンギヤ123とキャリヤ130との間にフリクションワッシャ141、142、143が配置されている。第1サンギヤ120と第1ピニオン121をヘリカルギヤで構成し、前進時に第1ピニオン121が第1サンギヤ120をその噛み合い反力によってハブ140側に付勢するスラスト荷重を発生させ、かつ第2サンギヤ123と第2ピニオン124をヘリカルギヤで構成して前進時に第2ピニオン124がその噛み合い反力によって第2サンギヤ123をハブ140側に付勢するスラスト荷重が発生するように設定される。
【0008】
そして、変速機の出力軸101からの変速出力は、入力軸112を介して第1サンギヤ120に入力され、第1ピニオン121を介してピニオン部材125に伝動される。ここで前進時には、センターディファレンシャル装置100の各歯車諸元によりキャリヤ130及び第2サンギヤ123に動力が各々配分されて出力される。キャリヤ130からの動力は、ハブ140、フロント出力軸114、フロントドライブ軸102を介してフロントディファレンシャル装置から前輪に伝動される。また、第2サンギヤ123の動力はリヤ出力軸116、トランスファギヤ104、105、リヤドライブ軸106、プロペラ軸、リヤディファレンシャル装置を介して後輪に伝動される。
【0009】
この時、イニシャルトルク付与手段150の皿ばね156によりドライブプレート154に押圧力が付与されて圧接するドライブプレート154とドリブンプレート153との間及びドリブンプレート153とクラッチドラム152との間に摩擦抵抗が発生し、この摩擦抵抗によってイニシャルトルクが付与される。
【0010】
前後輪に差回転が発生すると、第1ピニオン121が第1サンギヤ120をハブ140方向及び第2ピニオン124が第2サンギヤ123をハブ140側に付勢するスラスト荷重が回転差と共に発生し、各フリクションワッシャ141、142を介して入力側の第1サンギヤ120とハブ140との間、及び第2サンギヤ123とハブ140との間に各々摩擦抵抗が発生すると共に、ピニオン部材125とピニオン軸126との間に摩擦抵抗を発生させ、これらの摩擦抵抗によってピニオン部材125の回転方向に対して反対方向の摩擦トルク、即ちトルク感応型差動制限トルクを発生させる。一方、後進時において前後輪に差回転が発生すると、第2サンギヤ123のスラスト荷重は逆方向に発生し、フリクションワッシャ143が第2サンギヤ123によってキャリヤ130に押圧されて摩擦抵抗が発生すると共に、ピニオン部材125とピニオン軸126との間に摩擦抵抗を発生させ、これらの摩擦抵抗によってピニオン部材125の回転に対して反対方向の摩擦トルク、即ちトルク感応型差動制限トルクを与えて操縦性及び走行安定性を確保する。
【0011】
なお、同様のプラネタリギヤ式センターディファレンシャル装置を備えた4輪駆動車に関して種々提案されている(例えば特許文献1)。
【0012】
また、デファレンシャル装置において、デフケースと一体的に回転する摩擦プレートを差動プレートに押圧して差動を制限するイニシャルトルクを得る先行技術がある(例えば特許文献1)。
【0013】
【特許文献1】
特許第2652715号公報
【特許文献2】
特開平8−210464号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記センターディファレンシャル装置によると、第1サンギヤ120と第1ピニオン121、及び第2サンギヤ123と第2ピニオン124の各噛み合いピッチ半径を適切に設定することで、前後輪への基準トルク配分を所望の配分に設定できる。また、前後輪に差回転が発生した際に、第1サンギヤ120とハブ140、ハブ140と第2サンギヤ123、第2サンギヤ123とキャリヤ130との間に配置した各フリクションワッシャ141、142、143に発生する摩擦抵抗によるトルク感応型差動制限トルク及びイニシャルトルク発生部150によるイニシャルトルクによって差動制限特性を確保して、操縦性及び走行安定性の向上を図っている。
【0015】
しかし、イニシャルトルクが差動制限特性に与える影響は大きく、耐久性及び安定した作動を確保するためには、イニシャルトルク付与手段150の皿ばね156には十分なばね力が要求され、かつドリブンプレート153、ドライブプレート154等の摩擦係合プレートには十分な摩擦抵抗の確保と耐久性が必要であり、適切な処理、例えば表面処理や摩擦材を貼る等の処理を施す必要がある。また、十分なイニシャルトルク特性を確保するためにはイニシャルトルク付与手段150の大型化や製造コストの増大を招くと共に作動制限特性の設定に影響を及ぼすことが懸念される。
【0016】
従って、かかる点に鑑みなされた本発明の目的は、車両の操縦性及び走行安定性の向上が得られ、かつ差動制限特性設定の自由度が大きく、しかもコンパクトで製造コストの低減が期待できる車両のディファレンシャル装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する請求項1に記載の車両のディファレンシャル装置の発明は、ヘリカルギヤに形成された第1サンギヤ及び第2サンギヤと、一体形成されて上記第1サンギヤ及び第2サンギヤに各々噛み合う第1ピニオン及び第2ピニオンと、上記第2サンギヤが設けられた出力軸と、これらのギヤ部材を回転自在に収容支持するキャリヤとを備え、上記第1サンギヤに入力された動力を上記キャリヤ及び出力軸に分配して出力する複合プラネタリギヤ式のディファレンシャル装置において、上記第2サンギヤが、トルク伝達時に上記第2ピニオンとの噛み合い反力により軸方向移動可能に上記出力軸にスプライン嵌合し、上記キャリヤに上記第2サンギヤの一方の端面と対向して形成されたスラスト受面と上記第2サンギヤの上記一方の端面の間に配置された摩擦係合プレートを有し、上記第2サンギヤにより上記摩擦係合プレートを上記スラスト受面に押圧し該摩擦抵抗によって差動制限トルクを与える第1摩擦係合手段と、上記第2サンギヤの他方の端面と上記キャリヤとの間に配置された摩擦係合プレートを有し、上記第2サンギヤにより該摩擦係合プレートをキャリヤに押圧し該摩擦抵抗によって差動制限トルクを与える第2摩擦係合手段と、上記第2摩擦係合手段と上記キャリヤとの間に配置され、第2摩擦係合手段の摩擦係合プレートを介して第2サンギヤを押動して上記第1摩擦係合手段の摩擦係合プレートを上記スラスト受面に押圧しかつ第2摩擦係合手段摩擦係合プレートを第2サンギヤに押圧し該各々の摩擦抵抗によってイニシャルトルクを与えるイニシャルトルク付与手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項1の発明によると、入力部材となる第1サンギヤの回転方向に伴う第2ピニオンと第2サンギヤとの噛み合い反力による第2サンギヤのスラスト荷重方向により第1摩擦係合手段或いは第2摩擦係合手段によるスラスト荷重に応じたトルク感応型差動制限トルクが与えられると共に、イニシャルトルク付与手段によるイニシャルトルクが与えられる。しかも、イニシャルトルク付与手段による第1摩擦係合手段及び第2摩擦係合手段の摩擦係合プレートを押圧によってイニシャルトルクを与えることから、第1摩擦係合手段及び第2摩擦係合手段の摩擦係合プレートによる比較的大きなイニシャルトルクが容易に得られ、差動制限特性の設定自由度が拡大すると共に車両の操縦性及び走行安定性の向上が得られる。また、イニシャルトルク付与手段専用の摩擦係合プレートが不要になりイニシャルトルク付与手段の簡素化及びコンパクト化が可能になり製造コストの低減が期待できる。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1の車両のディファレンシャル装置において、上記第1摩擦係合手段は、上記キャリヤに設けられて上記第2サンギヤの一方の端面側で上記出力軸を囲みかつ内周に軸方向に延在するスプラインが形成された第1摩擦係合プレート収容部と、該第1摩擦係合プレート収容部と出力軸との間に配設されて上記第1摩擦係合プレート収容部のスプラインに外周が軸方向移動可能にスプライン嵌合する摩擦係合プレート及び上記出力軸のスプラインに内周がスプライン嵌合する摩擦係合プレートを備え、上記第2摩擦係合手段は、上記キャリヤに設けられ上記第2サンギヤの他方の端面側で上記出力軸を囲みかつ内周に軸方向に延在するスプラインが形成された第2摩擦係合プレート収容部と、該第2摩擦係合プレート収容部と出力軸との間に配設されて上記第2摩擦係合プレート収容部のスプラインに外周が軸方向移動可能にスプライン嵌合する摩擦係合プレート及び上記出力軸のスプラインに内周が軸方向移動可能にスプライン嵌合する摩擦係合プレートを備え、上記イニシャルトルク付与手段は、上記第2摩擦係合手段の摩擦係合プレートと上記第2摩擦係合プレート収容部との間に配置されて上記第2サンギヤと共に上記第1摩擦係合手段及び第2摩擦係合手段の摩擦係合プレートを押圧することを特徴とする。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1の発明の構成をより具体的にしたものであって、第1摩擦係合手段をキャリヤに設けられた摩擦係合プレート収容部のスプラインにスプライン嵌合する摩擦係合プレートと出力軸のスプラインにスプライン嵌合する摩擦係合プレートを備えた、いわゆる多板式の摩擦係合手段によって構成し、同様に第2摩擦係合手段をキャリヤに設けられた第2摩擦係合プレート収容部のスプラインにスプライン嵌合する摩擦係合プレートと出力軸のスプラインにスプライン嵌合する摩擦係合プレートを備えた多板式の摩擦係合手段によって構成することによって、第1摩擦係合手段及び第2摩擦係合手段の摩擦係合プレートによる摩擦抵抗が容易に確保でき、差動制限特性が向上して車両の操縦性及び走行安定性の向上が図れる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項1の車両のディファレンシャル装置において、上記摩擦係合プレートがフリクションワッシャであることを特徴とする。
【0022】
請求項3の発明によると、第1摩擦係合手段及び第2摩擦係合手段の摩擦係合プレートをフリクションプレートにより構成することによって、第1摩擦係合手段及び第2摩擦係合手段の構造が簡単になり製造コストの削減が得られ、かつディファレンシャル装置の軸方向の短縮が可能になりディファレンシャル装置の小型及び軽量化が図れる。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項の車両のディファレンシャル装置において、上記イニシャルトルク付与手段は、上記第2摩擦係合手段の摩擦係合プレートを介して上記第2サンギヤの他方の端面と対向して軸方向に移動自在に配置されたエンドプレートと、該エンドプレートと対向してキャリヤに設けられた係止部材と、上記エンドプレートと係止部材との間に設けられた皿ばねとを備えたことを特徴とする。
【0024】
請求項4の発明によると、イニシャルトルク付与手段がエンドプレートと、係止部材と、これらエンドプレートと係止部材との間に配置された皿ばねとにより簡単に構成できると共に、皿バネのばね特性の設定、即ちばね特性の異なる皿ばねと交換することで容易に差動制限特性を調整することができる。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項4の車両のディファレンシャル装置において、上記エンドプレートは、上記係止部材と対向する側面に、係止部材と対向するばね受面を有して周方向に連続する断面略L字状に切り欠き形成された環状のばね収容部を備え、上記ばね受面から上記側面までの寸法が、上記皿ばねが軸方向から押圧されて密着する寸法より大であることを特徴とする。
【0026】
請求項5の発明によると、エンドプレートの側面に、その側面からばね収容部のばね受面までの寸法を皿ばねが軸方向から押圧されて密着する寸法より大きく形成することによって、皿ばねが過剰に押し潰されることなく皿ばねの耐久性が向上すると共に、安定したばね特性が維持できる。
【0027】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項の車両のディファレンシャル装置において、上記第1サンギヤに変速機からの変速出力が入力され、上記出力軸及びキャリヤの一方から前輪に他方から後輪に出力するセンターディファレンシャル装置であって、前進時と後進時とで上記第1摩擦係合手段と第2摩擦係合手段の一方または他方によって第2ピニオンとの噛み合い反力による第2サンギヤのスラスト荷重に応じたトルク感応型差動制限トルクを与えると共に、イニシャルトルク付加手段によるイニシャルトルクを付加することで車両の前進時と後進時とで異なる差動制限特性を設定することを特徴とする。
【0028】
請求項6の発明によると、前進時と後進時における第2サンギヤと第2ピニオンの噛み合い反力により発生する第2サンギヤのスラスト方向により第1摩擦係合手段及び第2摩擦係合手段によって与えられる差動制限トルクが異なり、車両の前進時と後進時で異なる差動制限特性を設定することができる。
【0029】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項の車両のディファレンシャル装置において、上記第1サンギヤに変速機からの変速出力が入力され、上記出力軸及びキャリヤの一方から前輪に他方から後輪に出力するセンターディファレンシャル装置であって、エンジンによる変速機からの駆動時とエンジンブレーキ時とで上記第1摩擦係合手段と第2摩擦係合手段の一方または他方によって第2ピニオンとの噛み合い反力による第2サンギヤのスラスト荷重に応じたトルク感応型差動制限トルクを与えると共に、イニシャルトルク付加手段によるイニシャルトルクを付加することでエンジンによる変速機からの駆動時とエンジンブレーキ時とで異なる差動制限特性を設定することを特徴とする。
【0030】
請求項7の発明によると、エンジンによる変速機からの駆動時とエンジンブレーキ時とで第2サンギヤと第2ピニオンの噛み合い反力により発生する第2サンギヤのスラスト方向により第1摩擦係合手段及び第2摩擦係合手段によって与えられる差動制限トルクが異なり、エンジンによる変速機からの駆動時とエンジンブレーキ時で異なる差動制限特性を設定することができる。
【0031】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項の車両のディファレンシャル装置において、上記第1サンギヤに変速機からの変速出力が入力され、上記出力軸及びキャリヤの一方から前輪に他方から後輪に出力するセンターディファレンシャル装置であって、エンジンによる変速機からの駆動による前進時に第2ピニオンとの噛み合い反力による第2サンギヤのスラスト荷重に応じた上記第1摩擦係合手段によるトルク感応型差動制限トルクを与え、かつ上記イニシャルトルク付与手段により第1摩擦係合手段及び第2摩擦係合手段によるイニシャルトルクを付加する一方、エンジンブレーキ時に第2ピニオンとの噛み合い反力による第2サンギヤのスラスト荷重に応じた上記第2摩擦係合手段によるトルク感応型差動制限トルクを与えることを特徴とする。
【0032】
請求項8の発明によると、エンジンによる変速機からの駆動による前進時には、第1摩擦係合手段によるトルク感応型差動制限トルクに、イニシャルトルク付与手段に基づく第1摩擦係合手段及び第1摩擦係合手段によるイニシャルトルクが加わった大きな差動制限トルクが確保できて発進トラックション性能や走破性が向上すると共に操縦性や走行安定性が向上する一方、エンジンブレーキ時には第2摩擦係合手段によるトルク感応型差動制限トルクを与えることから、エンジンブレーキ時に付与される差動制限トルクが抑制されて旋回制動時のタックイン現象が抑制できて操縦性及び走行安定性が向上する。
【0033】
請求項9に記載の発明は、請求項8のディファレンシャル装置において、上記エンジンブレーキによる低制動時に、上記イニシャルトルク付与手段により第1摩擦係合手段及び第2摩擦係合手段の摩擦係合プレートによるイニシャルトルクを付加することを特徴とする。
【0034】
請求項9の発明によると、エンジンブレーキによる低制動時にイニシャルトルクを付加することによって、大きな差動制限トルクが付与されて低制動時における操縦性及び走行安定性が得られる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるディファレンシャル装置の実施の形態を、ディファレンシャル装置が手動変速機に配設されたセンターディファレンシャル装置の場合を例に図を参照して説明する。
【0036】
(第1実施の形態)
本発明の第1実施の形態を図1乃至図8を参照して説明する。図1はトランスミッションのスケルトン図、図2はセンターディファレンシャル装置の要部断面図、図3は図2のA部拡大図、図4は図3のB部拡大図である。
【0037】
図1において符号1はトランスミッションケースであり、トランスミッションケース1にトランスファケース2を介してエクステンションケース3が連結されている。符号10はエンジンであり、エンジン10のクランク軸11がフライホイール12を介して発進クラッチ13に連結し、発進クラッチ13から中間軸14が副変速機15に連結している。
【0038】
副変速機15は、中間軸14と入力軸16との間に常時噛み合い式のカウンターギヤ機構17とシンクロ機構18が設けられ、高低2段に切換えるように構成され、入力軸16によって手動変速機30に入力される。手動変速機30の出力軸19は入力軸16と平行に配置され、エクステンションケース3内部のセンターディファレンシャル装置50に連結されている。出力軸19は中空状で内部にフロントドライブ軸20が挿通され、センターディファレンシャル装置50がこのフロントドライブ軸20を介してフロントディファレンシャル装置21に連結され、フロントディファレンシャル装置21から前輪に動力伝達される。
【0039】
また、エクステンションケース3内部では、手動変速機30の入力軸16と同一高さにリヤドライブ軸23が配置され、リヤ出力軸56とリヤドライブ軸23が一対のトランスファギヤ24、25を介して連結している。そして、リヤドライブ軸23は、プロペラ軸26及びリヤディファレンシャル装置27等を介して後輪に動力伝達される。
【0040】
手動変速機30は、常時噛み合い式であって、平行配置された入力軸16と出力軸19との間に第1速〜第5速ギヤ列31〜35及びシンクロ機構36、37、38が配置され、第1速ギヤ列31と第2速ギヤ列32との間にリバースギヤ列39が配置されている。そして、シンクロ機構36、37、38を選択的に作動することで第1速から第5速のいずれかにシフトし、かつリバースギヤ列39を噛合することで後退段を得るように構成されている。
【0041】
センターディファレンシャル装置50は、図2に示すように先端が中間部材51を介して出力軸19の外周にスプライン嵌合された中空のセンターデフ入力軸52と、このセンターデフ入力軸52の内部に配置され先端が中間部材53を介してフロントドライブ軸20にスプライン嵌合された中空のフロント出力軸54と、フロント出力軸54の内部に先端が臨まされたリヤ出力軸56を備え、これらセンターデフ入力軸52、フロント出力軸54、リヤ出力軸56が同軸上で相対回転自在に構成されている。
【0042】
センターデフ入力軸52の基端に大径の第1サンギヤ60が一体に形成され、この第1サンギヤ60に小径の第1ピニオン61が噛合される一方、リヤ出力軸56の中間位置に形成されたスプライン57に一方の出力側となる小径の第2サンギヤ63が軸方向に移動自在にスプライン嵌合され、この第2サンギヤ63に大径の第2ピニオン64が噛合されている。これら第1ピニオン61及び第2ピニオン64は軸受穴65aを有するピニオン部材65に一体形成され、他方の出力側となるキャリヤ66に固定されたピニオン軸68の挿通によって軸支されている。
【0043】
即ち、キャリヤ66には、前方からセンターデフ入力軸52が回転自在に挿入される一方、後方からリヤ出力軸56が回転自在に挿入され、空間中央に第1サンギヤ60と第2サンギヤ63等のギヤ部材を回転自在に収容支持する。そして、第1ピニオン61が第1サンギヤ60に噛み合い、かつ第2ピニオン64が第2サンギヤ63に噛み合うようにピニオン軸68が架設されて複合プラネタリギヤが形成される。
【0044】
ピニオン軸68によって軸支された第1ピニオン61と第2ピニオン64は、所定の間隔を隔ててキャリヤ66の内部に配列される一方、キャリヤ66の内周にハブ69が固設されている。ハブ69は第1サンギヤ60と第2サンギヤ63の間隙からセンターデフ入力軸52の内部に配置されたフロント出力軸54の外周にスプライン嵌合されている。そして、ピニオン軸68を介してキャリヤ66に伝達された動力は、ハブ69、フロント出力軸54を介してフロントドライブ軸20に動力伝達される。一方、第2サンギヤ63を介してリヤ出力軸56に伝達された動力は、トランスファギヤ24、25を介してリヤドライブ軸23に動力伝達される。
【0045】
ここで、センタディファレンシャル装置50は、第1サンギヤ60と第1ピニオン61、及び第2サンギヤ63と第2ピニオン64の各噛み合いピッチ半径を適切に設定することで、基準トルク配分が所望の配分、例えば後輪に偏重した不等トルク配分に設定することができる。
【0046】
また、第2サンギヤ63とハブ69との間に第1摩擦係合手段71が配置され、第2サンギヤ63とキャリヤ66との間に第2摩擦係合手段75及びイニシャルトルク付与手段80が配置されている。
【0047】
第1摩擦係合手段71は、図2及び図3に示すように、ハブ69にリヤ出力軸56と同軸上でリヤ出力軸56の外周と間隙を有して囲みかつ第2サンギヤ63側に突出する円筒状で内周に軸方向に延在するスプライン70aが形成された第1摩擦係合プレート収容部70を有し、その基端に第2サンギヤ63の端面63aと対向するスラスト受面70bが形成されている。第2サンギヤ63の一方の端面63aとスラスト受面70bとの間に、第1摩擦係合プレート収容部70のスプライン70aに外周が軸方向移動可能にスプライン嵌合するドリブンプレート73とリヤ出力軸56のスプライン57に内周が軸方向移動可能にスプライン嵌合するドライブプレート72の各摩擦係合プレートが交互に配置されて多板式の摩擦係合手段を構成している。
【0048】
第2摩擦係合手段75は、図3及び図4に図3のB部拡大図を示すようにキャリヤ66にリヤ出力軸56と同軸上で第2サンギヤ63と反対側に突出する円筒状で内周に軸方向に延在するスプライン67aが形成された第2摩擦係合プレート収容部67が突設されている。第2摩擦係合プレート収容部67のスプライン67aに外周が軸方向移動可能にスプライン嵌合する円筒状の筒部76a及びこの筒部76aと一体形成されて第2サンギヤ63の端面63bと対向する円板状のスラスト受面76bからなる断面略L字状で環状に連続するエンドプレート76と、第2摩擦係合プレート収容部67の内周に形成された係止溝67bに係合支持されてエンドプレート76の筒部76aの側面76cに当接してエンドプレート76の外方移動端を規制する係止部材であるスナップリング77と、第2サンギヤ63の端面63bとエンドプレート76のスラスト受面76bとの間に第2摩擦係合プレート収容部67のスプライン67aに外周がスプライン嵌合するドリブンプレート78及びリヤ出力軸56のスプライン57に内周がスプライン嵌合するドライブプレート79の各摩擦係合プレートとを有し、ドリブンプレート78とドライブプレート79が交互に配置されて多板式の摩擦係合手段を構成している。
【0049】
このエンドプレート76は、エンドプレート76のスナップリング77と対向する側面76cには、その側面76cから外周面に亘って周方向に連続する断面略L字状に切り欠き形成された環状のばね収容部82が形成されている。ばね収容部82の底部となるばね受面82aと側面76cの間の寸法、即ち段差L1は、皿ばね81がその軸方向から押圧されて密着される寸法より大きな寸法を有し、エンドプレート76の側面76cとスナップリング77が当接してその間隙δが0になっても、ばね収容部82に収容された皿ばね81が押し潰されないように設定されている。よって、皿ばね81が押し潰されることなく皿ばね81の耐久性が向上し、かつ安定したばね特性が維持される。
【0050】
イニシャルトルク付与手段80は、図3及び図4に示すように、エンドプレート76と、スナップリング77と、これらエンドプレート76とスナップリング77との間に介装された付勢手段である皿ばね81を有している。
【0051】
これら第1摩擦係合手段71の第2サンギヤ63とハブ69の間に配置されたドリブンプレート73とドライブプレート72、第2摩擦係合手段75の第2サンギヤ63とエンドプレート76との間に配置されたドリブンプレート78とドライブプレート79、及びピニオン軸68とピニオン部材65の軸受穴65aの周面との間に発生する各摩擦力によってセンターディファレンシャル装置50自体に差動制限機構が形成される。
【0052】
なお、第1サンギヤ60と第1ピニオン61をヘリカルギヤで構成し、前進時にその噛み合い反力によって第1ピニオン61が第1サンギヤ60を後方、即ちハブ69側に付勢するスラスト荷重が発生するように設定すると共に、第2サンギヤ63と第2ピニオン64をヘリカルギヤで構成して、前進時にその噛み合い反力によって第2ピニオン64が第2サンギヤ63を前方、即ちハブ69側に付勢するスラスト荷重が発生するように構成されている。
【0053】
また、第1サンギヤ60とハブ69との間、第2摩擦係合プレート収容部67とトランスファギヤ24の間、ピニオン部材65の各端とキャリヤ66の間に各々フリクションワッシャ85、86、87、88が配置されている。
【0054】
そして、前進時には、フリクションワッシャ85が第1サンギヤ60によってハブ69に押圧される一方、第2サンギヤ63によって第1摩擦係合手段71のドリブンプレート73とドライブプレート72がハブ69に押圧されて圧接するドリブンプレート73とドライブプレート72との間に摩擦抵抗が発生する。
【0055】
一方、後退時には第2サンギヤ63のスラスト荷重は逆方向に発生し、第2摩擦係合手段75のドリブンプレート78とドライブプレート79が、スナップリング77及び皿ばね81によってキャリヤ66の第2摩擦係合プレート収容部67に支持されたエンドプレート76に押圧されて摩擦抵抗が発生する。一方、第1サンギヤ60及び第2サンギヤ63と第2ピニオン64の噛み合い点に作用する分離荷重と接線荷重との合成力を第1ピニオン61、第2ピニオン63及びピニオン軸68の軸支部分に作用させて、ピニオン部材65とピニオン軸68との間に摩擦力を発生させることによって入力トルクに応じた、即ちトルク感応型差動制限トルクを発生させることができる。
【0056】
ここで、前輪回転数と後輪回転数との差回転の大小関係により第1ピニオン61及び第2ピニオン64の回転方向が変化し、これに伴い差動制限トルクの作用具合も変わる。これにより前輪回転数が後輪回転数より大きい状態の旋回、前輪スリップ時、前輪回転数が後輪回転数より小さい状態の後輪スリップ時には、差動制限トルクが異なったものに自動的に制御される。
【0057】
次に、このように構成されたセンターディファレンシャル装置50の作用について、図5乃至図8を参照して説明する。
【0058】
図5は第2ピニオン64及び第2サンギヤ63の作動を模式的に示す説明図、図6は第2サンギヤ63、第1摩擦係合手段71、第2摩擦係合手段75、イニシャルトルク付与手段80を模式的に示す構成説明図、図7は差回転発生時の第1摩擦係合手段71、第2摩擦係合手段75、イニシャルトルク付与手段80の作動状態説明図であり、Ffは前進走行時における第2ピニオン64の回転方向である正転時における第2サンギヤ63のスラスト荷重、Frは逆転時における第2サンギヤ63のスラスト荷重、Fiは皿ばね81により付与される荷重を示し、各矢印は各々の荷重方向を示すと共に、○印は第1摩擦係合手段71及び第2摩擦係合手段75の作動状態を示し×印は非作動状態を示している。
【0059】
図8は、センターディファレンシャル装置による駆動トルクの配分特性を示す特性図であり、第1象限はエンジン10による変速機30からの駆動による車両が前進走行時の特性を示し、第3象限は車両の後進走行時、或いは前進しながらエンジンブレーキの作動時の特性を示す。90は基本トルク配分を示し、91、92は各々第1摩擦係合手段71及び第2摩擦係合手段75のトルク曲線、即ちトルク感応型差動制限トルクによるトルク性能曲線(イニシャルトルクがない場合)を示し、93は後輪が前輪よりも速く回転したときに駆動トルク曲線を示し、94は前輪が後輪よりも速く回転したときの駆動トルク曲線を示している。95はイニシャルトルク付与手段80によるイニシャルトルクを示している。
【0060】
停車または走行中に発進クラッチ13を切断し、前進段にシフトすると、シンクロ機構36、37または38によって第1速〜第5速ギヤ列31〜35のいずれか1つが入力軸16と同期しながら一体化して選択される。そこで発進クラッチ13を接続すると、エンジン10の動力が副変速機15を介して手動変速機30に入力され、選択された変速ギヤ列による変速動力が出力軸19に伝動される。また、停止時に発進クラッチ13を切断した状態でリバースシフトすると、リバースギヤ列36が選択されて、逆転した変速動力が出力軸19に出力されて前進5段後進1段に変速される。
【0061】
出力軸19に伝達された変速動力は、センターディファレンシャル装置50のセンターデフ入力軸52を介して第1サンギヤ60に入力され、第1ピニオン61を介してピニオン部材65に動力伝達される。
【0062】
ここで、前進時には、センターディファレンシャル装置50は、各歯車諸元により前後輪へトルク配分されて出力される。そしてキャリヤ66からの動力は、ハブ69、フロント出力軸54、フロントドライブ軸20、フロントディファレンシャル装置21等を介して前輪に動力伝達される。また、第2サンギヤ63からの動力は、リヤ出力軸56、トランスファギヤ24、25、リヤドライブ軸23、プロペラ軸26、リヤディファレンシャル装置27等を介して後輪に動力伝達される。
【0063】
通常のエンジン駆動による前進時は、図5に矢印aで示すようにヘリカルギヤで構成された第2ピニオン64が回転し、第2ピニオン64に噛み合うヘリカルギヤで形成された第2サンギヤ63が矢印b方向に回転駆動される正転時には、その噛み合い反力によって第2サンギヤ63にはハブ69側へのスラスト荷重Ff(Ff>0)が作用し、第1摩擦係合手段71にスラスト荷重Ffが付与される。一方、イニシャルトルク付与手段80の皿ばね81のばね荷重Fiによりエンドプレート76が押圧されて第2摩擦係合手段75にばね荷重Fiが作用し、圧接するドリブンプレート78及びドライブプレート79を介して第2サンギヤ63が押動されて第1摩擦係合手段71に更に皿ばね81によるばね荷重Fiが付与される。即ち、第1摩擦係合手段71のドリブンプレート73とドライブプレート72には荷重Ff+Fiが作用し、ドリブンプレート73とドライブプレート72が圧接してスラスト荷重Ffによるドリブンプレート7とドライブプレート7の摩擦抵抗によるトルク感応型差動制限トルクに加え、ばね荷重Fiによるドリブンプレート73とドライブプレート72の摩擦抵抗のイニシャルトルクが得られる。また、第2摩擦係合手段75にばね荷重Fiが作用し、ばね荷重Fiによるドリブンプレート78とドライブプレート79の摩擦抵抗によるイニシャルトルクが与えられる。従って、図8の第1象限のように前進走行時の駆動トルク曲線93、94はトルク感応型差動制限トルク性能曲線91、92にイニシャルトルク95を加えたものになり、差回転時にグリップ側の前輪或いは後輪に送られる駆動トルクがそれだけ大きくなり走破性が向上し、操縦性及び走行安定性が得られる。特に急激な駆動力が要求される車両発進時に良好な発進トラクション性能が得られて操縦性及び発進性が向上する。
【0064】
また、前進走行時において図5に矢印aで示すように第2ピニオン64が回転し、第2ピニオン64に噛み合う第2サンギヤ63が矢印b方向に回転駆動される正転時に、悪路等によって前輪或いは後輪の一方が完全に空転すると、ピニオン軸68を介して第2ピニオン64を支持すると共に前輪への出力側となるキャリヤ66或いは、後輪への出力側となる第2サンギヤ63の一方が空転して第2サンギヤ63にスラスト荷重Ffが発生することなく(Ff=0)、第1摩擦係合手段71には荷重Ffによるトルク感応型差動制限トルクは発生しない。一方、イニシャルトルク付与手段80の皿ばね81によりエンドプレート76を介して第2摩擦係合手段75にばね荷重Fiが作用し、圧接するドリブンプレート78及びドライブプレート79を介して第2サンギヤ63が押動されて第1摩擦係合手段71にばね荷重Fiが付与される。従って、第1摩擦係合手段71のドリブンプレート73とドライブプレート72が圧接してばね荷重Fiによる摩擦抵抗のイニシャルトルクが得られる。また、第2摩擦係合手段75のドリブンプレート78とドライブプレート79が圧接してばね荷重Fiによる摩擦抵抗のイニシャルトルクが得られる。このように、悪路走行等で前輪或いは後輪の一方が完全に空転してトルク感応型差動制限トルクが得られない場合でも、イニシャルトルク95によってグリップ側の車輪側に送られる駆動トルクにより、脱出性や走破性が大きく向上する。
【0065】
また、通常の後進走行時は、図5に矢印cで示すように第2ピニオン64が回転し、第2ピニオン64に噛み合う第2サンギヤ63が矢印d方向に回転駆動され、前進走行時に対して逆転する。この逆転時には、噛み合い反力により第2サンギヤ63に後方のスラスト荷重Frが作用する。一方、前進走行時にエンジンブレーキを掛けたエンジンブレーキ時は、矢印e方向に回転する第2ピニオン64に対し、第2サンギヤ63は車輪側から矢印f方向の回転力が付与され、噛み合い反力により第2サンギヤ63には後進走行時と同様に後方のスラスト荷重Frが作用する。
【0066】
例えば、比較的駆動力が高い後進走行時或いは制動力が大きいエンジンブレーキ時等には、第2サンギヤ63に発生するスラスト荷重Frが比較的大きく、そのスラスト荷重Frが皿ばね81によるばね荷重Fiより大きい(Fr>Fi)ときには、そのスラスト荷重Frによって移動する第2サンギヤ63によって第2摩擦係合手段75にスラスト荷重Frが作用してドリブンプレート78とドライブプレート79が圧接してトルク感応型差動制限トルクが与えられる。また、皿ばね81のばね荷重Fiより大きな第2サンギヤ63のスラスト荷重Frによってエンドプレート76が押動して、その側面76cがスナップリング77に当接して移動端が規制されたエンドプレート76とスナップリング77との間に圧縮された状態に保持される。
【0067】
即ち、第1摩擦係合手段71は作用することなく、第2摩擦係合手段75のドリブンプレート78とドライブプレート79にスラスト荷重Frが作用し、スラスト荷重Frによるトルク感応型差動制限トルクが得られる。従って、図8の第3象限のように後進時或いはエンジンブレーキ時の駆動トルク曲線96、97が、トルク感応型差動制限トルク性能曲線となり差動制限トルクが小さく設定され、差回転時にグリップ側の車輪に送られる駆動トルクが抑制されて車体の安定性及び操縦性が確保される。特に、旋回制動時に発生するタックイン現象が抑制されてタックイン性能が改善されて車体の安定性及び操縦性が確保される。
【0068】
また、駆動力が低い後進走行時或いは制動力が小さいエンジンブレーキ時等で、第2サンギヤ63に発生するスラスト荷重Frと皿ばね81によるばね荷重Fiが等しい(Fr=Fi)ときには、そのスラスト荷重Frによって移動する第2サンギヤ63によって第2摩擦係合手段75のドリブンプレート78とドライブプレート79が圧接してスラスト荷重Frによるトルク感応型差動制限トルクが与えられる。また、皿ばね81によるばね荷重Fiと等しい第2サンギヤ63のスラスト荷重Frによってエンドプレート76の外側端部76cがスナップリング77に当接或いは近接した状態となり、皿ばね81はエンドプレート76とスナップリング77との間に圧縮付与された状態に保持される。即ち、第2摩擦係合手段75にスラスト荷重Frが作用し、スラスト荷重Frによりドリブンプレート78とドライブプレート79が圧接してトルク感応型差動制限トルクが得られて、車体の安定性及び操縦性が維持される。
【0069】
また、駆動力が更に低い後進走行時或いは制動力が更に小さいエンジンブレーキ時等では、第2サンギヤ63に発生するスラスト荷重Frが比較小さく、そのスラスト荷重Frが皿ばね81のばね荷重Fiより小さく(Fr<Fi)、第2摩擦係合手段75に皿ばね81によるばね荷重Fiが作用して、ドリブンプレート78とドライブプレート79の圧接により第2摩擦係合手段75にはスラスト荷重Frによるトルク感応型差動制限トルクにばね荷重Fiによるイニシャルトルクを加えたものになる。よって、第1摩擦係合手段71には皿ばね81のばね荷重Fiから第2サンギヤ63のスラスト荷重Frを減じた荷重が作用してドリブンプレート73とドライブプレート72が圧接してその摩擦抵抗によりトルク感応型差動制限トルクが発生する。従って、差回転時にグリップ側の前輪或いは後輪に送られる駆動トルクがそれだけ大きくなり、車体の安定性及び操縦性が確保される。
【0070】
また、後進走行時において、悪路等によって前輪或いは後輪の一方が完全に空転すると、前輪への出力側となるキャリヤ66或いは、後輪への出力側となる第2サンギヤ63が空転して第2サンギヤ63にスラスト荷重Frが発生することなく(Fr=0)、第2摩擦係合手段75には、スラスト荷重Frによるトルク感応型差動制限トルクは発生しない。一方、イニシャルトルク付与手段80の皿ばね81によりエンドプレート76を介して第2摩擦係合手段75にばね荷重Fiが作用し、かつ圧接するドリブンプレート78とドライブプレート79を介して第2サンギヤ63が押動されて第1摩擦係合手段71にも皿ばね81によるばね荷重Fiが付与される。従って、第2摩擦係合手段75のドリブンプレート78とドライブプレート79の圧接によりばね荷重Fiによるイニシャルトルクが得られると共に、第1摩擦係合手段71のドリブンプレート73とドライブプレート72の圧接による摩擦抵抗によりばね荷重Fiによるイニシャルトルクが与えられる。このように、悪路走行等で前輪或いは後輪の一方が完全に空転してトルク感応型差動制限トルクが得られない場合でも、イニシャルトルクによってグリップ側の車輪側に送られる駆動トルクにより、脱出性や走破性が大きく向上する。
【0071】
このように、前進走行時には、第1摩擦係合手段71によるトルク感応型の差動制限トルクに加え、イニシャルトルク付与手段80によるイニシャルトルクを付与する大きな差動制限トルクによって車体の安定性や操縦性等が向上する。また、悪路等で前輪或いは後輪の一方が空転したときには、イニシャルトルク付与手段80により第1摩擦係合手段71及び第2摩擦係合手段75に生じるイニシャルトルクによって他方の車輪に大きな駆動トルクが送られ、トルク感応型差動制限トルクだけでは不足する脱出性や走破性が大きく改善される。
【0072】
一方、比較的駆動力が高い後進走行時或いは制動力が大きい制動時には、第2摩擦係合手段75によるトルク感応型差動制限トルクのみによる比較的小さな差動制限トルクを付与することによって操縦性の向上を図ると共に、旋回制動時におけるタックイン現象を抑制して車体の安定性を確保すると共に、低駆動力時にはイニシャルトルクを付加することのよって車両の安定性及び操縦性が大幅に向上する。
【0073】
また、車両の前進時と後進時で異なる差動制限特性を設定することや、エンジンによる変速機30からの駆動時とエンジンブレーキ時で異なる差動制限特性を設定することができる等種々の走行状態に応じた作動制限特性を与えることができ、車両の操縦性や走行安定性を向上することができる。
【0074】
更に、前進時には、第1摩擦係合手段71によるトルク感応型差動制限トルクに、イニシャルトルク付与手段80に基づく第1摩擦係合手段71及び第2摩擦係合手段75によるイニシャルトルクが加わった大きな差動制限トルクが確保できて発進トラックション性能や走破性が向上して操縦性や走行安定性が向上する一方、エンジンブレーキ時には第2摩擦係合手段75によるトルク感応型差動制限トルクを与えることから、エンジンブレーキ時に付与される差動制限トルクが抑制されて旋回制動によるタックイン現象が抑制できて操縦性及び走行安定性が向上する一方、エンジンブレーキによる低制動時にイニシャルトルクを付加することによって、大きな差動制限トルクが付与されて低制動時における操縦性及び走行安定性が得られる。また、低制動時のみイニシャルトルクを与えることにより過度の作動制限が抑制されて燃費の向上が期待できる。
【0075】
また、第1摩擦係合手段71及び第2摩擦係合手段75を多板式の摩擦係合手段として構成することによって、ドリブンプレート73とドライブプレート72、ドリブンプレート78とドライブプレート79の各摩擦係合プレートによる摩擦抵抗が容易に確保でき、差動制限特性の向上が得られ、車両の操縦性及び走行安定性の向上が図れる。
【0076】
更に、イニシャルトルク付与手段80の皿ばね81によって、エンドプレート76及び第2サンギヤ63を介して第1摩擦係合手段71のドリブンプレート73、ドライブプレート72及び第2摩擦係合手段75のドリブンプレート78、ドライブプレート79を押圧してイニシャルトルクを発生させることから、小さなばね荷重でも大きなイニシャルトルクが確保でき、かつ従来のようにイニシャルトルク付与手段自体にドリブンプレートやドライブプレート等の摩擦係合プレートを配置する必要がなく、イニシャルトルク付与手段80の構成の簡素化が得られ、安価にコンパクトに形成できる。また、皿ばね81のばね力を調整することによって種々の差動制限トルク特性が容易に得られ、差動制限トルク特性の設定の自由度が大幅に拡大される。更に、イニシャルトルク付与手段80は、エンドプレート76のばね収容部82に収容された皿ばね81が押し潰されることなく、皿ばね81の安定したばね特性が維持され、安定した差動制限トルク特性が確保できる。
【0077】
更に、第2サンギヤ63及び第2ピニオン64の捩じれ角を互いに反対方向に変えることによって、車両の前進時と後進時の差動制限トルクの特性を逆に設定することができる。
【0078】
(第2実施の形態)
本発明の第2実施の形態を図9を参照して説明する。本実施の形態のセンターディファレンシャル装置は、第1摩擦係合手段71及び第2摩擦係合手段75がフリクションワッシャ98、99を用い、その他の構成は第1実施の形態のセンターディファレンシャル装置と同様であるので、第1実施の形態と同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0079】
かかる、第1摩擦係合手段71は、ハブ69に第2サンギヤ63の端面63aに対向して形成されたスラスト受面70bと、第2サンギヤ63の端面63aとスラスト受部70bとの間に介装されたフリクションワッシャ98によって構成されている。
【0080】
第2摩擦係合手段75は、第2サンギヤ63の端面63bとエンドプレート76のスラスト受面76bとの間にフリクションワッシャ99を介装することによって構成されている。
【0081】
従って、本実施の形態では、第1摩擦係合手段71及び第2摩擦係合手段75を構成が簡単なフリクションワッシャ98、99を用いることによって、第1実施の形態の効果に加え、第1摩擦係合手段71、第2摩擦係合手段75が安価でコンパクトに形成できると共に、センターディファレンシャル装置50の軸方向の短縮が得られ、センターディファレンシャル装置50の軽量化が得られる。
【0082】
なお、上記各実施の形態では手動変速機のセンターディファレンシャル装置について説明したが、自動変速機のセンターディファレンシャル装置に適用することもできる。またセンターディファレンシャル装置を例に説明したが、左右の車輪に動力配分するディファレンシャル装置に適用することができる。この場合フロント出力軸54及びリヤ出力軸56が各々左右の車輪への出力軸となり車幅方向に延在すると共に、第1サンギヤ60と第1ピニオン61、及び第2サンギヤ63と第2ピニオン64の各噛み合いピッチ半径を等しくして左右の車輪への基準トルク配分を等しくすることが好ましい。
【0083】
【発明の効果】
以上説明した本発明のディファレンシャル装置によると、複合プラネタリ式のデファレンシャル装置において、入力部材となる第1サンギヤの回転方向によって、第2ピニオンと第2サンギヤとの噛み合い反力によるスラスト荷重方向により第1摩擦係合手段或いは第2摩擦係合手段によるスラスト荷重に応じたトルク感応型差動制限トルクが付与されるると共に、イニシャルトルク付与手段によって第1摩擦係合手段及び第2摩擦係合手段によるイニシャルトルクが与えられ、かつイニシャルトルク付与手段により第1摩擦係合手段及び第2摩擦係合手段の摩擦係合プレートを押圧してイニシャルトルクを与えることから、第1摩擦係合手段及び第2摩擦係合手段の摩擦係合プレートによる比較的大きなイニシャルトルクが容易に得られ、差動制限トルク設定の自由度が拡大すると共に車両の操縦性及び走行安定性の向上が得られ、かつイニシャルトルク付与手段専用の摩擦係合プレートが不要になりイニシャルトルク付与手段の簡素化及びコンパクト化が可能になり製造コストの低減が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1実施の形態を示すトランスミッションのスケルトン図である。
【図2】センターディファレンシャル装置の要部断面図である。
【図3】図2のA部拡大図である。
【図4】図3のB部拡大図である。
【図5】第2ピニオン及び第2サンギヤの作動を模式的に示す説明図である。
【図6】第2サンギヤ、第1摩擦係合手段、第2摩擦係合手段、及びイニシャルトルク付与手段を模式的に示す構成説明図である。
【図7】差回転発生時の第1摩擦係合手段、第2摩擦係合手段、イニシャルトルク付与手段の作動状態説明図である。
【図8】センターディファレンシャル装置のトルク性能特性図である。
【図9】本発明による第1実施の形態を示すセンターディファレンシャル装置の要部断面図である。
【図10】従来のセンターディファレンシャル装置の概要を示す要部断面図である。
【符号の説明】
10 エンジン
20 フロントドライブ軸
21 フロントディファレンシャル装置
23 リヤドライブ軸
27 リヤディファレンシャル装置
50 センターディファレンシャル装置
52 センターデフ入力軸
54 フロント出力軸
56 リヤ出力軸(出力軸)
57 スプライン
60 第1サンギヤ
61 第1ピニオン
63 第2サンギヤ
63a、63b 端面
64 第2ピニオン
65 ピニオン部材
66 キャリヤ
67 第2摩擦係合プレート収容部
67a スプライン
67b 係止溝
68 ピニオン軸
69 ハブ
70 第1摩擦係合プレート収容部
70a スプライン
70b スラスト受面
71 第1摩擦係合手段
72 ドライブプレート(摩擦係合部材)
73 ドリブンプレート(摩擦係合部材)
75 第2摩擦係合手段
76 エンドプレート
76b スラスト受面
76c 側面
77 スナップリング(係止部材)
78 ドリブンプレート(摩擦係合プレート)
79 ドライブプレート(摩擦係合プレート)
80 イニシャルトルク付与手段
81 皿ばね
82 ばね収容部
82a ばね受面
98、99 フリクションワッシャ

Claims (9)

  1. ヘリカルギヤに形成された第1サンギヤ及び第2サンギヤと、一体形成されて上記第1サンギヤ及び第2サンギヤに各々噛み合う第1ピニオン及び第2ピニオンと、上記第2サンギヤが設けられた出力軸と、これらのギヤ部材を回転自在に収容支持するキャリヤとを備え、上記第1サンギヤに入力された動力を上記キャリヤ及び出力軸に分配して出力する複合プラネタリギヤ式のディファレンシャル装置において、
    上記第2サンギヤが、トルク伝達時に上記第2ピニオンとの噛み合い反力により軸方向移動可能に上記出力軸にスプライン嵌合し、
    上記キャリヤに上記第2サンギヤの一方の端面と対向して形成されたスラスト受面と上記第2サンギヤの上記一方の端面の間に配置された摩擦係合プレートを有し、上記第2サンギヤにより上記摩擦係合プレートを上記スラスト受面に押圧し該摩擦抵抗によって差動制限トルクを与える第1摩擦係合手段と、
    上記第2サンギヤの他方の端面と上記キャリヤとの間に配置された摩擦係合プレートを有し、上記第2サンギヤにより該摩擦係合プレートをキャリヤに押圧し該摩擦抵抗によって差動制限トルクを与える第2摩擦係合手段と、
    上記第2摩擦係合手段と上記キャリヤとの間に配置され、第2摩擦係合手段の摩擦係合プレートを介して第2サンギヤを押動して上記第1摩擦係合手段の摩擦係合プレートを上記スラスト受面に押圧しかつ第2摩擦係合手段摩擦係合プレートを第2サンギヤに押圧し該各々の摩擦抵抗によってイニシャルトルクを与えるイニシャルトルク付与手段とを備えたことを特徴とする車両のディファレンシャル装置。
  2. 上記第1摩擦係合手段は、
    上記キャリヤに設けられて上記第2サンギヤの一方の端面側で上記出力軸を囲みかつ内周に軸方向に延在するスプラインが形成された第1摩擦係合プレート収容部と、
    該第1摩擦係合プレート収容部と出力軸との間に配設されて上記第1摩擦係合プレート収容部のスプラインに外周が軸方向移動可能にスプライン嵌合する摩擦係合プレート及び上記出力軸のスプラインに内周がスプライン嵌合する摩擦係合プレートを備え、
    上記第2摩擦係合手段は、
    上記キャリヤに設けられ上記第2サンギヤの他方の端面側で上記出力軸を囲みかつ内周に軸方向に延在するスプラインが形成された第2摩擦係合プレート収容部と、
    第2摩擦係合プレート収容部と出力軸との間に配設されて上記第2摩擦係合プレート収容部のスプラインに外周が軸方向移動可能にスプライン嵌合する摩擦係合プレート及び上記出力軸のスプラインに内周が軸方向移動可能にスプライン嵌合する摩擦係合プレートを備え、
    上記イニシャルトルク付与手段は、
    上記第2摩擦係合手段の摩擦係合プレートと上記第2摩擦係合プレート収容部との間に配置されて上記第2サンギヤと共に上記第1摩擦係合手段及び第2摩擦係合手段の摩擦係合プレートを押圧することを特徴とする請求項1に記載の車両のディファレンシャル装置。
  3. 上記摩擦係合プレートがフリクションワッシャであることを特徴とする請求項1に記載の車両のディファレンシャル装置。
  4. 上記イニシャルトルク付与手段は、
    上記第2摩擦係合手段の摩擦係合プレートを介して上記第2サンギヤの他方の端面と対向して軸方向に移動自在に配置されたエンドプレートと、
    該エンドプレートと対向してキャリヤに設けられた係止部材と、
    上記エンドプレートと係止部材との間に設けられた皿ばねとを備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両のディファレンシャル装置。
  5. 上記エンドプレートは、
    上記係止部材と対向する側面に、係止部材と対向するばね受面を有して周方向に連続する断面略L字状に切り欠き形成された環状のばね収容部を備え、上記ばね受面から上記側面までの寸法が、上記皿ばねが軸方向から押圧されて密着する寸法より大であることを特徴とする請求項4に記載の車両のディファレンシャル装置。
  6. 上記第1サンギヤに変速機からの変速出力が入力され、上記出力軸及びキャリヤの一方から前輪に他方から後輪に出力するセンターディファレンシャル装置であって、前進時と後進時とで上記第1摩擦係合手段と第2摩擦係合手段の一方または他方によって第2ピニオンとの噛み合い反力による第2サンギヤのスラスト荷重に応じたトルク感応型差動制限トルクを与えると共に、イニシャルトルク付加手段によるイニシャルトルクを付加することで車両の前進時と後進時とで異なる差動制限特性を設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両のディファレンシャル装置。
  7. 上記第1サンギヤに変速機からの変速出力が入力され、上記出力軸及びキャリヤの一方から前輪に他方から後輪に出力するセンターディファレンシャル装置であって、エンジンによる変速機からの駆動時とエンジンブレーキ時とで上記第1摩擦係合手段と第2摩擦係合手段の一方または他方によって第2ピニオンとの噛み合い反力による第2サンギヤのスラスト荷重に応じたトルク感応型差動制限トルクを与えると共に、イニシャルトルク付加手段によるイニシャルトルクを付加することでエンジンによる変速機からの駆動時とエンジンブレーキ時とで異なる差動制限特性を設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両のディファレンシャル装置。
  8. 上記第1サンギヤに変速機からの変速出力が入力され、上記出力軸及びキャリヤの一方から前輪に他方から後輪に出力するセンターディファレンシャル装置であって、エンジンによる変速機からの駆動による前進時に第2ピニオンとの噛み合い反力による第2サンギヤのスラスト荷重に応じた上記第1摩擦係合手段によるトルク感応型差動制限トルクを与え、かつ上記イニシャルトルク付与手段により第1摩擦係合手段及び第2摩擦係合手段によるイニシャルトルクを付加する一方、エンジンブレーキ時に第2ピニオンとの噛み合い反力による第2サンギヤのスラスト荷重に応じた上記第2摩擦係合手段によるトルク感応型差動制限トルクを与えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両のディファレンシャル装置。
  9. 上記エンジンブレーキによる低制動時に、上記イニシャルトルク付与手段により第1摩擦係合手段及び第2摩擦係合手段の摩擦係合プレートによるイニシャルトルクを付加することを特徴とする請求項8に記載のディファレンシャル装置。
JP2002263964A 2002-09-10 2002-09-10 車両のディファレンシャル装置 Expired - Fee Related JP4360789B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002263964A JP4360789B2 (ja) 2002-09-10 2002-09-10 車両のディファレンシャル装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002263964A JP4360789B2 (ja) 2002-09-10 2002-09-10 車両のディファレンシャル装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004100832A JP2004100832A (ja) 2004-04-02
JP4360789B2 true JP4360789B2 (ja) 2009-11-11

Family

ID=32263532

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002263964A Expired - Fee Related JP4360789B2 (ja) 2002-09-10 2002-09-10 車両のディファレンシャル装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4360789B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4684755B2 (ja) * 2005-06-10 2011-05-18 富士重工業株式会社 車両の前後駆動力配分制御装置
CN107989981B (zh) * 2017-12-05 2023-07-18 杭叉集团股份有限公司 差速锁操纵装置及车辆

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004100832A (ja) 2004-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0366927A (ja) 動力伝達装置
JP2012512996A (ja) 駆動アッセンブリ
JP2023041927A (ja) 動力伝達経路切換装置
JP4684790B2 (ja) トルク配分装置
US7029415B2 (en) Differential apparatus
KR100369415B1 (ko) 제어 가능한 점성 커플링
JP4360789B2 (ja) 車両のディファレンシャル装置
JP2012051442A (ja) フォークリフト
JP2004019772A (ja) 複合軸受組立体及びそれを用いた歯車変速機
JP4376745B2 (ja) 四輪駆動車両の駆動力分配装置
KR100786533B1 (ko) 4륜 구동용 동력 절환장치
US4685352A (en) Power distributing mechanism
JP3429232B2 (ja) プラネタリ変速機構
WO2022074958A1 (ja) 2段変速機
JP2005054829A (ja) 動力伝達装置及びセンターディファレンシャル装置
JP2013108613A (ja) クラッチ及び四輪駆動車
WO2023248571A1 (ja) 2段変速機
JP3039514B2 (ja) ワンウェイクラッチ
JP3388182B2 (ja) 四輪駆動車両のワンウェイクラッチ
JP2010038221A (ja) 車両の変速機
JPH0326292B2 (ja)
JP3022427B2 (ja) 動力伝達装置
JP3701774B2 (ja) 無段変速機
JPH0320619B2 (ja)
JPS59121250A (ja) 車両用無段変速機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050721

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080307

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080325

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081111

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081120

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090728

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090811

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4360789

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130821

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees