JP4360602B2 - サーマルヘッドおよびその製造方法、ならびにサーマルプリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファクシミリやビデオプリンタ等の記録デバイスとして用いられるサーマルヘッドおよびその製造方法、ならびにサーマルプリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ファクシミリやビデオプリンタ等の記録デバイスとしてサーマルヘッドが用いられている。
【0003】
かかる従来のサーマルヘッドは、例えば図5に示す如く、長尺状をなす基板21の上面全体にグレーズ層22を被着させるとともに、該グレーズ層22上に複数の発熱素子23と、該発熱素子23に電気的に接続される接続パッド25とを備えた構造をしており、サーマルヘッド上に配設されるプラテンローラを用いて感熱紙やインクリボン、感熱紙や記録紙等の記録媒体を発熱素子23上に搬送しながら、外部からの印画信号に基づいて複数の発熱素子23を個々に選択的に発熱させるとともに、その熱を発熱素子23上の記録媒体に伝導させることにより、感熱紙や記録紙に所定の印画を形成している。
【0004】
なお、前記接続パッド25は、その上面に半田やボンディングワイヤ等の導電材26が被着され、該導電材26を介してフレキシブル印刷配線板等の外部配線板28に電気的に接続されており、かかる接続パッド25はサーマルヘッドの面積をできるだけ小型化するため、基板21の端部近傍(基板21の他方長辺より300μm〜600μm離間した位置)に配されている。
【0005】
しかしながら、上述した従来のサーマルヘッドにおいては、前記接続パッド25の下地となるグレーズ層22は比較的脆く、上述のグレーズ層22、発熱素子23、および接続パッド25を有する基板21を分断してサーマルヘッドを製造する際、分断した部分よりグレーズ層22中にクラックが生じることが多い(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−277780号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようなクラックが成長してグレーズ層22の表面に到達すると、該到達点近傍に配される接続パッド25とグレーズ層22との密着強度が低くなり、接続パッド25が剥離するおそれがあり、サーマルヘッドの歩留りが低下する課題を有していた(図6参照)。
【0008】
このような課題を解決すべく、接続パッド25を基板21の端部より大きく離して配置させることが考えられるが、このような構成によれば、サーマルヘッドを小型化することが困難となる課題を新たに誘発する。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み案出されたものであり、その目的は、サーマルヘッドの歩留りを高く維持しつつ、サーマルヘッドを小型化することが可能なサーマルヘッドおよびその製造方法、ならびにサーマルプリンタを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のサーマルヘッドは、長方形状の基板と、該基板上に設けられているグレーズ層と、該グレーズ層上に設けられている複数の発熱素子と、前記グレーズ層上に設けられているとともに、前記基板の1つの辺の近傍に当該1つの辺に沿って配列され、かつ前記複数の発熱素子に電気的に接続されている複数の接続パッドとを備えており、前記接続パッドに前記基板の前記1つの辺に対して略平行に延びているスリットが設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明のサーマルヘッドは、前記複数の接続パッドが前記基板の1つの長辺近傍に当該1つの長辺に沿って配列されており、前記スリットが前記1つの長辺側の端部に設けられていることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明のサーマルヘッドは、前記グレーズ層が、前記スリットの内部より露出していることが好ましい。
【0013】
またさらに、本発明のサーマルヘッドは、前記接続パッドが、前記スリットを介して平面的に複数の領域に分割されていることが好ましい。
【0014】
さらにまた、本発明のサーマルヘッドは、前記スリットが1つの前記接続パッドに複数設けられており、前記1つの接続パッドを複数に分割している前記スリットの間隔が前記基板の1つの辺より離間するにつれて大きくなっていることが好ましい。
【0015】
またさらに、本発明のサーマルヘッドは、前記接続パッドが、前記基板の前記1つの辺より100μm〜300μm離間した位置に設けられていることが好ましい。
【0016】
さらにまた、本発明のサーマルヘッドの製造方法は、基板素体上にグレーズ層を形成する第1の工程と、該第1の工程の後に、前記グレーズ層上に複数個取りするための区画の境界の近傍に当該境界に沿って、複数の発熱素子に対して電気的に接続する接続パッドと、該接続パッドに前記区画の境界に対して略平行に延びるスリットとを形成する第2の工程と、該第2の工程の後に、前記区画に沿って前記基板素体および前記グレーズ層を分断する第3の工程とを含むことを特徴とするものである。
【0017】
またさらに、本発明のサーマルヘッドの製造方法は、前記第2の工程において、前記接続パッドを平面的に複数の領域に分割するように前記スリットを形成することが好ましい。
【0018】
さらにまた、本発明のサーマルヘッドの製造方法は、前記第2の工程において、前記接続パッドに前記スリットを形成する際に、当該スリットの間隔が前記基板素体の前記区画の境界より離間するにつれて大きくなるように1つの前記接続パッドに複数の前記スリットを形成することが好ましい。
【0019】
またさらに、本発明のサーマルヘッドの製造方法は、前記第2の工程において、前記接続パッドを前記基板素体の前記区画の境界より100μm〜300μm離間した位置に形成すいることが好ましい。
【0020】
さらにまた、本発明のサーマルヘッドの製造方法は、前記第1の工程の前に、前記基板素体の下面に前記区画の境界に沿って溝を形成する第4の工程を含むとともに、前記第3の工程において、前記溝に沿って前記基板素体および前記グレーズ層を分断するブレーク法により行うことが好ましい。
【0021】
そして本発明のサーマルプリンタは、上述のサーマルヘッドと、該サーマルヘッドを駆動する駆動手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の一実施形態に係るサーマルヘッドの断面図であり、図2は図1のサーマルヘッドの平面図(保護膜7不図示)であり、同図に示したサーマルヘッドは、基板1に設けられたグレーズ層2上に発熱素子3、回路導体4、接続パッド5、および保護膜7を備えた構造をしている。
【0024】
前記基板1は、アルミナセラミックスや単結晶シリコン、Fe−Ni合金等の種々の材料により長方形状をなすように形成されており、その上面にグレーズ層2が被着され、さらに発熱素子3、回路導体4、および接続パッド5等が被着される。つまり、グレーズ層2、発熱素子3、回路導体4、および接続パッド5等を支持する支持母材として機能する。
【0025】
また、前記基板1の上面には、ガラス製のグレーズ層2が被着されている。
【0026】
前記グレーズ層2は、基板1の上面全体にわたり略均一厚みに被着されるベース部2b上に基板1の一方長辺に沿って帯状に配される断面円弧状の突出部2aを部分的に形成した構造をしており、ベース部2bの厚みが50μm〜250μmに、突出部2aの頂部の厚みが20μm〜80μmにそれぞれ設定されている。
【0027】
このグレーズ層2は、例えば、熱伝導率が0.7W/m・K〜1.0W/m・Kのガラスにより形成されているため、その内部に発熱素子3の熱の一部を蓄積してサーマルヘッドの熱応答性を良好に維持する作用、具体的には、発熱素子3の温度を短時間で印画に必要な所定の温度まで上昇させる蓄熱層としての作用を為す。
【0028】
さらに、前記グレーズ層2の突出部2aの頂部付近には複数の発熱素子3が被着されている。
【0029】
前記発熱素子3は、例えば600dpi(dot per inch)の密度で直線状に配列されており、各々がTaSiO系、TiSiO系、またはTiCSiO系等の電気抵抗材料からなっているため、その両端に接続されている回路導体4を介して外部からの電力が供給されるとジュール発熱を起こし、感熱紙に印画を形成したり、あるいは、インクリボンのインクを溶融したりするのに必要な温度、例えば150℃〜400℃の温度に発熱する。
【0030】
また、前記各発熱素子3の両端に接続されている回路導体4は、発熱素子3に所定の電力を供給する給電配線として機能するものであり、アルミニウム(Al)や銅(Cu)等の金属材料により所定パターンに形成されており、その一端を基板1の他方長辺の近傍(基板1の端部より100μm〜300μm離間した位置)まで導出させて該導出部を接続パッド5となしている。
【0031】
前記接続パッド5は、その上面に半田やボンディングワイヤ等の導電材6(本実施形態においては半田)を介して外部配線板8の配線導体9と電気的に接続するためのものであり、基板1の他方長辺に沿って複数個、配列されている。
【0032】
このような接続パッド5は、ベースとなる回路導体4の導出部に例えばNi層およびAu層を順次被着させた構造を有しており、各々の接続パッド5には基板1の他方長辺と略平行なスリット5aが1本以上(本実施形態においては3本)設けられている。
【0033】
前記スリット5aは、例えば各々の幅(スリット5aと直交する方向の幅)が5μm〜150μmに、その深さが2.5μm〜5.0μmにそれぞれ設定されており、その内部よりグレーズ層2を露出させ、接続パッド5を平面的に複数の領域に分離、分割している。
【0034】
このため、サーマルヘッドを製造するにあたり、基板1を分断時にグレーズ層2中に生じたクラックが上方に伸び、接続パッド5に剥離が生じても、かかる剥離がスリット5aの部分で良好に食い止められる。従って、接続パッド5を基板1の端部近傍に配置させてサーマルヘッドを小型化しても、サーマルヘッドの歩留りを高く維持することができ、ひいてはサーマルプリンタの生産性が向上する。
【0035】
また、前記スリット5aは、スリット5a間の間隔がヘッド基板1の端部より離間するにつれて大きくなるように設定されており、これによって分割された接続パッド5の各領域のうち、基板1の端部の直近に位置する領域の面積が他の領域よりも小さくなっている。このため、接続パッド5の剥離領域を小さく抑えることができ、接続パッド5の面積を広く保ってヘッド基板1と外部配線板8との接合強度を高めるとともに、該接合部での電気抵抗を低く維持することが可能となる。
【0036】
一方、前記発熱素子3および回路導体4の上面に保護膜7が被着されており、該保護膜7によって発熱素子3や回路導体4が共通に被覆されている。
【0037】
前記保護膜7は、窒化珪素(Si3N4)、酸化珪素(SiO2)、およびサイアロン(Si-Al-O-N)等の耐磨耗性に優れた無機質材料からなり、発熱素子3や回路導体4等を記録媒体の摺接による磨耗や、大気中に含まれている水分等の接触による腐食から保護する作用を為す。
【0038】
そして、上述のようなサーマルヘッドが組み込まれるサーマルプリンタは、図3に示す如く、サーマルヘッドTを駆動する駆動手段Cを備えており、記録媒体をサーマルヘッドTの発熱素子3上に搬送する搬送手段としてのプラテンローラ10や搬送ローラ11a,11b,11c,11d等が配設されている。
【0039】
前記駆動手段Cは、シフトレジスタや、ラッチ、スイッチングトランジスタ等を高密度に集積したドライバーICや、該ドライバーICにストローブ信号やラッチ信号等の制御信号を供給する制御回路等からなり、制御信号に基づいてドライバーIC内のスイッチングトランジスタのオン・オフを切り換えることにより、発熱素子3の発熱を制御している。
【0040】
一方、搬送手段としてのプラテンローラ10は、SUS等の金属からなる軸芯の外周にブタジエンゴム等を3mm〜15mm程度の厚みに巻きつけた円柱状の部材であり、サーマルヘッドTの発熱素子3上に回転可能に支持され、記録媒体を発熱素子3に対して押圧しつつ記録媒体を発熱素子3の配列と直交する方向(図中の矢印方向)に搬送する。
【0041】
また、前記搬送ローラ11a,11b,11c,11dは、その外周部が金属やゴム等によって形成されており、サーマルヘッドTに対し記録媒体の搬送方向上流側と下流側に分かれて配設され、これらの搬送ローラ11a,11b,11c,11dと前述のプラテンローラ10とで記録媒体の走行を支持している。
【0042】
そして、これと同時に多数の発熱素子3を駆動手段Cの駆動に伴い選択的にジュール発熱させ、これらの熱を記録媒体に伝導させることによって所定の印画が形成される。
【0043】
次に上述した本実施形態のサーマルヘッドの製造方法について図4を用いて詳細に説明する。
【0044】
(1)まず、サーマルヘッドを複数個取りするための基板素体Aを準備し、該基板素体Aを複数の区画に区分するとともに、該区画の境界に位置する基板素体Aの下面(グレーズ層2や発熱素子3等が形成される面と反対側の面)に溝9を形成する(図4(a))。
【0045】
前記基板素体Aは、アルミナセラミックスからなる場合、例えばアルミナ、シリカ、マグネシア等のセラミックス原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加、混合して泥漿状になすとともに、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等を採用することによってセラミックグリーンシートを得、しかる後、このセラミックグリーンシートを長方形状に打ち抜いた上、高温で焼成することによって製造される。
【0046】
また、前記基板素体Aに設けられる溝9は、基板素体Aからサーマルヘッドを複数個取りする際に、基板素体Aを区画毎に分断し易くするためのものであり、ナイフカッターやレーザによって基板素体Aの厚みの33%〜67%の深さに形成される。
【0047】
(2)次に、基板素体Aの各区画に前記グレーズ層2を形成する(図4(b))。
前記グレーズ層2は、ガラス粉末に適当な有機溶剤を添加、混合して得た所定のガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって基板素体Aの上面全体に印刷、塗布するとともに、これを従来周知のエッチング法やサンドブラスト法によって所定パターンに加工し、高温(850℃〜950℃)で焼き付けることによって形成される。
【0048】
(3)続いて、基板素体Aの各区画に前記発熱素子3、回路導体4、および接続パッド5を形成する(図4(c))。
【0049】
前記発熱素子3および回路導体4は、従来周知の薄膜形成技術、例えばTaSiO系等の抵抗膜およびAl等の金属膜を従来周知のスパッタリング法や蒸着法によって順次所定厚み(抵抗膜0.015μm〜0.02μm、金属膜0.9μm〜1.2μm)に積層するとともに、該積層体を従来周知のフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を採用することによって所定パターンに加工することによって形成される。また、前記接続パッド5は、例えば回路導体4の所定領域に従来周知の無電解メッキ法を採用することによってNi層およびAu層を順次積層するとともに、前記抵抗膜および金属膜を含む該積層体に従来周知のフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を採用することによって前記スリット5aを設けることで形成される。
【0050】
(4)そして前記基板素体Aを区画毎に分断するとともに(図4(d))、該分断された各基板に対して保護膜を被着することによって複数個のサーマルヘッドを得る。
【0051】
前記基板素体Aの分断は、基板素体Aに機械的応力を印加することにより、各区画の境界に設けられた溝9を起点に基板素体Aを複数に分割するチョコレートブレーク法により行われる。
【0052】
このとき、基板素体Aの分断時に生じる機械的応力によってグレーズ層2中にクラックが発生し、該クラックが上方に伸びて接続パッド5に剥離が生じても、かかる剥離をスリット5aの部分で良好に食い止めることができる。従って、接続パッド5を基板1の端部近傍に配置させてサーマルヘッドを小型化しても、サーマルヘッドの歩留りを高く維持することができ、ひいてはサーマルプリンタの生産性が向上する。
【0053】
また、前記スリット5aによって分割される接続パッド5の各領域の面積は、先に述べたように基板1の端部の直近に位置する領域で小さくなっていることから、接続パッド5の剥離領域を小さく抑えることができ、それ故、接続パッド5の面積を広く保ち、ヘッド基板1と外部配線板8との接合強度を高めるとともに、該接合部での電気抵抗を低く維持することが可能となる。
【0054】
なお、前記保護膜7は、従来周知の薄膜形成技術、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング等を採用し、窒化珪素(Si3N4)や酸化珪素(SiO2)、サイアロン(Si−Al−O−N)等の無機質材料を発熱素子3や回路導体4等の上面に5μm〜10μmの厚みに被着させることにより形成される。
【0055】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良が可能である。
【0056】
例えば、上述の実施形態においては、前記スリット5aを基板1の長辺と略平行な直線状に形成したが、接続パッド5の剥離を有効に防止できる形状であれば、スリットを組み合わせて十字形状、三角形状、および四角形状等、種々の形状を構成するようにしても構わない。
【0057】
また、上述の実施形態においては、溝9が形成されている基板素体Aを分断するようにしたが、溝を形成せずに基板素体Aを分断するようにしても良く、例えば、基板素体Aに溝を形成せずにダイヤモンドカッター等でダイシングして分断するようにしても構わない。
【0058】
更に、上述の実施形態においては、サーマルヘッドを製造する際、1枚の基板素体Aよりサーマルヘッドを複数個同時に得るようにしたが、これに代えて、1枚の基板素体Aから単一のサーマルヘッドを得るようにしても本発明に関して適用可能である。
【0059】
また更に、上述の実施形態においては、保護膜7を基板素体Aの分断後に形成するようにしたが、これに代えて、保護膜7を基板素体Aの分断前に形成するようにしても構わない。
【0060】
更にまた、上述の実施形態においては、スリット5aを、内部よりグレーズ層2が露出する深さに形成しているが、スリット5aの深さは少なくとも抵抗体膜が露出する程度であれば良く、かかる場合であっても接続パッド5の剥離をある程度防止できる。
【0061】
また更に、上述の実施形態においては、接続パッド5をスリット5aで複数の領域に分離しているが、接続パッド5の剥離が有効に防止できる範囲内であれば、複数の領域同士が完全に分離されていなくても良く、一部で繋がっていても良い。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、基板素体に被着されたグレーズ層上に基板素体の区画の境界に沿うようにして、複数の発熱素子に対して電気的に接続する接続パッドと、該接続パッドに区画の境界近傍に当該境界に対して略平行に延びるスリットを形成したことから、基板を分断する際、グレーズ層中に生じたクラックが上方に伸び、接続パッドに剥離が生じても、かかる剥離がスリットの部分で良好に食い止められる。従って、接続パッドを基板の端部近傍に配置させてサーマルヘッドを小型化しても、サーマルヘッドの歩留りを高く維持することができ、ひいてはサーマルプリンタの生産性が向上する。
【0063】
なお、グレーズ層中のクラックは、基板をブレーク法やダイシング法によって分断する際に特に生じ易いことから、かかる手法によって基板を分断する場合、特に本発明は有用である。
【0064】
また、本発明によれば、長方形状の基板と、該基板上に設けられているグレーズ層と、該グレーズ層上に設けられている複数の発熱素子と、前記グレーズ層上に設けられているとともに、基板の1つの辺の近傍に当該1つの辺に沿って配列され、かつ複数の発熱素子に電気的に接続されている複数の接続パッドとを備えており、接続パッドに基板の1つの辺に対して略平行に延びているスリットが設けられていることから、基板を分割する際、グレーズ層中に生じていたクラックが上方に伸び、接続パッドに剥離が生じても、かかる剥離がスリットの部分で良好に食い止められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るサーマルヘッドの断面図である。
【図2】 図1のサーマルヘッドの平面図である(保護膜不図示)。
【図3】 図1のサーマルヘッドを組み込んで構成したサーマルプリンタの概略図である。
【図4】 (a)〜(d)は図1のサーマルヘッドの製造方法を説明するための各工程の断面図である。
【図5】 従来のサーマルヘッドの断面図である。
【図6】 従来のサーマルヘッドの製造工程中における断面図である。
【符号の説明】
1・・・基板
2・・・グレーズ層
3・・・発熱素子
4・・・回路導体
5・・・接続パッド
5a・・・スリット
6・・・導電材
7・・・保護膜
8・・・外部配線板
9・・・溝
10・・・プラテンローラ
11a,11b,11c,11d・・・搬送ローラ
A・・・基板素体
Claims (12)
- 長方形状の基板と、該基板上に設けられているグレーズ層と、該グレーズ層上に設けられている複数の発熱素子と、前記グレーズ層上に設けられているとともに、前記基板の1つの辺の近傍に当該1つの辺に沿って配列され、かつ前記複数の発熱素子に電気的に接続されている複数の接続パッドとを備えており、
前記接続パッドに前記基板の前記1つの辺に対して略平行に延びているスリットが設けられていることを特徴とするサーマルヘッド。 - 前記複数の接続パッドは、前記基板の1つの長辺近傍に当該1つの長辺に沿って配列されており、前記スリットが前記1つの長辺側の端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のサーマルヘッド。
- 前記グレーズ層が、前記スリットの内部より露出していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサーマルヘッド。
- 前記接続パッドは、前記スリットを介して平面的に複数の領域に分割されていることを特徴とする請求項1乃至3に記載のサーマルヘッド。
- 前記スリットが1つの前記接続パッドに複数設けられており、
前記1つの接続パッドを複数に分割している前記スリットの間隔は、前記基板の前記1つの辺より離間するにつれて大きくなっていることを特徴とする請求項4に記載のサーマルヘッド。 - 前記接続パッドが、前記基板の前記1つの辺より100μm〜300μm離間した位置に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のサーマルヘッド。
- 基板素体上にグレーズ層を形成する第1の工程と、
該第1の工程の後に、前記グレーズ層上に複数個取りするための区画の境界の近傍に当該境界に沿って、複数の発熱素子に対して電気的に接続する接続パッドと、該接続パッドに前記区画の境界に対して略平行に延びるスリットとを形成する第2の工程と、
該第2の工程の後に、前記区画に沿って前記基板素体および前記グレーズ層を分断する第3の工程とを含むサーマルヘッドの製造方法。 - 前記第2の工程において、前記接続パッドを平面的に複数の領域に分割するように前記スリットを形成することを特徴とする請求項7に記載のサーマルヘッドの製造方法。
- 前記第2の工程において、前記接続パッドに前記スリットを形成する際に、当該スリットの間隔が前記基板素体の前記区画の境界より離間するにつれて大きくなるように1つの前記接続パッドに複数の前記スリットを形成することを特徴とする請求項8に記載のサーマルヘッドの製造方法。
- 前記第2の工程において、前記接続パッドを前記区画の境界より100μm〜300μm離間した位置に形成することを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかに記載のサーマルヘッドの製造方法。
- 前記第1の工程の前に、前記基板素体の下面に前記区画の境界に沿って溝を形成する第4の工程を含むとともに、
前記第3の工程において、前記溝に沿って前記基板素体および前記グレーズ層を分断することを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれかに記載のサーマルヘッドの製造方法。 - 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のサーマルヘッドと、該サーマルヘッドを駆動する駆動手段とを備えたサーマルプリンタ。
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