JP4359194B2 - ドラム式洗濯機 - Google Patents
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Description
従来の洗濯機では、遠心脱水時の振動を防止するために、たとえば、脱水立ち上げ時(ドラムの回転立ち上げ時)において、ドラムに生じている偏心荷重の大きさ(偏心荷重量)を検出し、その検出した偏心荷重量が所定の許容値を超える場合には、大きな振動が生じる可能性が高いと判断して、ドラムの回転を停止させることが行われている。
たとえば、ドラムの内周面に分散していた洗濯物の一部が落下して、ドラムに大きな偏心荷重が突然に生じた場合、ドラムの回転速度に大きな変動が生じて、ドラムの回転速度の変化率が急激に大きくなる。
この発明の構成によれば、上記回転速度検出手段によって検出された回転速度が最低回転速度記憶手段に記憶されている最低回転速度よりも小さい場合に、その検出された回転速度を最低回転速度として上記最低回転速度記憶手段に記憶(更新)させることができるとともに、上記回転速度検出手段によって検出された回転速度が最高回転速度記憶手段に記憶されている最高回転速度よりも大きい場合に、その検出された回転速度を最高回転速度として上記最高回転速度記憶手段に記憶(更新)させることができる。そして、最低回転速度記憶手段に記憶されている最低回転速度と、最高回転速度記憶手段に記憶されている最高回転速度との差分値が、上記所定速度以上になるまでの時間に基づいて、その時間が上記所定の閾値よりも短い(小さい)場合に、上記ドラムに偏心荷重が生じていると判断することができる。
請求項3記載の発明は、上記第1偏心荷重判断手段(40)は、上記ドラム(10)の回転速度が増加しているときには、上記回転速度検出手段(47)により繰り返し検出される上記ドラムの回転速度の変化率に応じた値を第1の閾値(E)と比較することにより、上記ドラムの回転速度が減少しているときには、上記回転速度検出手段により繰り返し検出される上記ドラムの回転速度の変化率に応じた値を上記第1の閾値とは異なる第2の閾値(F)と比較することにより、上記ドラムに偏心荷重が生じているか否かを判断するものであって、上記第1の閾値および上記第2の閾値は、上記ドラムの回転速度が増加しているときよりも、上記ドラムの回転速度が減少しているときのほうが、上記第1偏心荷重判断手段によって上記ドラムに偏心荷重が生じていると判断されやすくなるような値に設定されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のドラム式洗濯機(1)である。
請求項4記載の発明は、所定の基準回転速度を記憶しておくための基準回転速度記憶手段(43)と、上記基準回転速度記憶手段に記憶されている基準回転速度に対して所定速度以上減少した回転速度が上記回転速度検出手段(47)によって検出されたことに応答して、上記ドラム(10)に偏心荷重が生じていると判断する第2偏心荷重判断手段(40)とをさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のドラム式洗濯機(1)である。
たとえば、ドラムの内周面に分散していた洗濯物の一部が落下して、ドラムに大きな偏心荷重が突然に生じた場合、ドラムの回転に伴って、その偏心荷重が最低位置から最高位置に移動するまでの間に、ドラムの回転速度は大きく減少する。したがって、ドラムの回転速度が所定の基準回転速度から一定速度以上減少したことに応答して、ドラムに偏心荷重が生じていると判断することにより、ドラムの回転中に偏心荷重が突然に生じた場合でも、その突然生じた偏心荷重を即座に検出することができる。
請求項5記載の発明は、上記第2偏心荷重判断手段(40)は、上記ドラム(10)の回転速度が予め定める回転速度に達するまでは、上記基準回転速度記憶手段(43)に記憶されている基準回転速度に対して第1の所定速度以上減少した回転速度が上記回転速度検出手段(47)によって検出されたことに応答して、上記ドラムに偏心荷重が生じていると判断し、上記ドラムの回転速度が上記予め定める回転速度を超えた後は、上記基準回転速度記憶手段に記憶されている基準回転速度に対して上記第1の所定速度よりも小さい第2の所定速度以上減少した回転速度が上記回転速度検出手段によって検出されたことに応答して、上記ドラムに偏心荷重が生じていると判断するものであることを特徴とする請求項4記載のドラム式洗濯機(1)である。
請求項6記載の発明は、上記基準回転速度記憶手段(43)に基準回転速度が記憶されていない状態で上記回転速度検出手段(47)によって検出された回転速度を暫定的に基準回転速度として上記基準回転速度記憶手段に記憶させる手段(40,E1)と、上記基準回転速度記憶手段に記憶されている基準回転速度よりも当該基準回転速度の記憶後に上記回転速度検出手段によって検出された回転速度が大きい場合に、その検出された回転速度を基準回転速度として上記基準回転速度記憶手段に記憶させる手段(40,E4,E6)と、上記基準回転速度記憶手段に記憶されている基準回転速度を当該基準回転速度が記憶されてから一定時間が経過した時点で消去する基準回転速度消去手段(40,E6)とをさらに含むことを特徴とする請求項4または5記載のドラム式洗濯機(1)である。
図1は、この発明の一実施形態に係るドラム式洗濯機1の外観構成を示す斜視図である。図2は、ドラム式洗濯機1の縦断面図であって、左右方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を前方から見た図を示している。また、図3は、ドラム式洗濯機1の縦断面図であって、前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た図を示している。
外槽7の内部には、洗濯物を内部に収容するためのドラム10が配置されている。ドラム10は、略円筒状の周面壁10Cの両端面が端面壁(左端面壁10Lおよび右端面壁10R)で閉塞されることにより形成されており、その軸線が左右(略水平)に延びるように配置されている。
中間脱水行程が終了すると、外槽7内に所定量の水が貯められた状態でドラム10内の洗濯物がタンブリングされることによりすすぎ行程が行われ、その後に最終脱水行程が行われる。最終脱水行程では、ドラム10が高速(たとえば、300〜1000rpm)で回転されることにより、ドラム10内の洗濯物に含まれる水が遠心力により絞り出される。
このドラム式洗濯機1の運転動作は、マイクロコンピュータを含む制御部40によって制御される。制御部40には、CPU41、ROM42、RAM43およびタイマ44などが備えられている。
制御部40には、操作表示部6が入出力可能に接続されている。また、制御部40には、外槽7内の水位を検知するための水位センサ45、外槽7の排気口71から出た空気の温度を検知するための温度センサ46、およびモータ12の回転に同期したパルス信号(たとえば、モータ12の1回転で72個のパルス信号)を発生する回転センサ47からの信号がそれぞれ入力されるようになっている。
図5を参照して、最終脱水行程が開始されると、ドラム10の目標回転速度が80rpmに設定されて、ドラム10の回転速度が立ち上げられる(ステップS1)。ドラム10の回転速度が80rpmに達すると(ステップS2のYES)、ドラム10の回転速度がほぼ80rpmに保持されている状態で、ドラム10に生じている偏心荷重の大きさ(偏心荷重量)が検出される(ステップS3)。すなわち、ドラム10の回転速度がほぼ一定の回転速度に保持されている状態では、モータ12の出力トルクは一定であるから、洗濯物の偏在に起因する偏心荷重がドラム10に生じていると、ドラム10(モータ12)の回転速度は、偏心荷重が最低位置に到達した時に最大値となり、偏心荷重が最高位置に到達した時に最小値となる正弦波状に変動する。このドラム10の回転速度の変動の振幅は、偏心荷重量にほぼ比例する。制御部40のROM42には、偏心荷重量とドラム10の回転速度の変動振幅(変動量)との関係が予め求められて記憶されており、この関係に従って、その時のドラム10の回転速度の変動振幅からドラム10に生じている偏心荷重量が求められる。
ドラム10の回転速度が90rpmに達すると(ステップS6でYES)、90rpmの回転速度で回転しているドラム10に生じている偏心荷重量が検出される(ステップS7)。そして、その検出された偏心荷重量が予め定められた閾値C以下であるか否かが判断される(ステップS8)。偏心荷重量が閾値Cを超えている場合には(ステップS8でNO)、ドラム10の回転速度を上昇させると大きな振動が生じるおそれがあると判断されて、ドラム10の回転が一旦停止された後(ステップS13)、モータ12が再起動されて、ドラム10の回転が再び立ち上げられる(ステップS1)。
ドラム10の回転速度が100rpmに達すると(ステップS10でYES)、100rpmの回転速度で回転しているドラム10に生じている偏心荷重量が検出される(ステップS11)。そして、その検出された偏心荷重量が予め定められた閾値D以下であるか否かが判断される(ステップS12)。偏心荷重量が閾値Dを超えている場合には(ステップS12でNO)、ドラム10の回転速度を上昇させると大きな振動が生じるおそれがあると判断されて、ドラム10の回転が一旦停止された後(ステップS13)、モータ12が再起動されて、ドラム10の回転が再び立ち上げられる(ステップS1)。
上記の通り、脱水立ち上げ初期時には、ドラム10の回転速度が0→80→90→100rpmと段階的に上げられていく。そして、偏心荷重量が小さい場合には、図6に示すように、ドラム10の回転速度が変動振幅の大きな正弦波形を呈することはなく、回転センサ47からのパルス信号に基づいてモータ12をインバータ制御する際に、ドラム10の回転速度が比較的小さな変動を呈する程度である。各速度段階で検出される偏心荷重量が各速度段階ごとに設定されている閾値を超えている場合には、ドラム10の回転が停止されることにより、ドラム10に大きな偏心荷重が生じている状態でドラム10が回転されることによる振動の発生を抑制することができる。
図8を参照して、第1偏心荷重判断処理では、脱水が開始されて、ドラム10の回転速度が70rpmに達すると(ステップT1)、制御部40は、まず、その時点におけるドラム10の回転速度を暫定的な最大値MAX1および最小値MIN1としてRAM43に記憶するとともに、タイマ44による計時を「0」からスタートさせる(ステップT2)。
一方、最大値MAX1と最小値MINとの差分値が上記所定速度以上であれば(ステップT8でYES)、制御部40は、ステップT3で最新のドラム10の回転速度を検出した時点におけるタイマ44の値を所定の閾値(閾値Eまたは閾値F)と比較する処理を行う(ステップT10またはT11)。このとき、ドラム10の回転速度が増加中である場合(ステップT9でNO)、すなわち、最大値MAX1と最小値MINとの差分値が上記所定速度以上に増加した原因が偏心荷重の存在にあると仮定した場合に、その偏心荷重が最高位置から最低位置に達するまでの期間である場合には、制御部40は、タイマ44の値を閾値E(たとえば、36ms)と比較する処理を行う(ステップT10)。一方、ドラム10の回転速度が減少中である場合(ステップT9でYES)、すなわち、最大値MAX1と最小値MINとの差分値が上記所定速度以上に増加した原因が偏心荷重の存在にあると仮定した場合に、その偏心荷重が最低位置から最高位置に達するまでの期間である場合には、制御部40は、タイマ44の値を閾値F(たとえば、52ms)と比較する処理を行う(ステップT11)。
この実施形態では、検出された回転速度がRAM43に記憶されている最小値MIN1以下である場合に、その検出された回転速度を最小値MIN1としてRAM43に記憶(更新)させることができるとともに、検出された回転速度がRAM43に記憶されている最大値MAX1以上である場合に、その検出された回転速度を最大値MAX1としてRAM43に記憶(更新)させることができる。そして、RAM43に記憶されている最大値MAX1と最小値MIN1との差分値が、上記所定速度以上になるまでの時間に基づいて、その時間が所定の閾値(閾値Eまたは閾値F)以下である場合に、ドラム10に偏心荷重が生じていると判断することができる。
一般的に、偏心荷重が最低位置から最高位置に移動するまでの間におけるドラム10の回転速度が減少する期間のほうが、偏心荷重が最高位置から最低位置に移動するまでの間におけるドラム10の回転速度が増加する期間よりも、ドラム10の回転速度の変化率が小さい。したがって、一定の偏心荷重がドラム10に生じている場合には、ドラム10の回転速度が減少しているときのほうが、ドラム10に偏心荷重が生じていると判断されにくい。
ドラム10に大きな偏心荷重が生じた場合、ドラム10の回転に伴って、その偏心荷重が最低位置から最高位置に移動するまでの間に、ドラム10の回転速度は大きく減少する。このことに着目して、図10に示す制御では、ドラム10の回転速度が一定速度以上減少した場合に、ドラム10に偏心荷重が生じていると判断して、ドラム10の回転を停止させるようにしている。これにより、ドラム10の回転中に偏心荷重が突然に生じた場合に、その突然生じた偏心荷重を検出することができ、大きな偏心荷重が生じている状態でドラム10が回転され続けることを防止できる。よって、偏心荷重に起因する振動および騒音の発生をより一層抑制することができる。
その後に最新のドラム10の回転速度を検出すると(ステップE2)、制御部40は、さらに、その時点で最大値MAX2の前回の記憶からの経過時間が予め定めるリセット時間内であるか否かを判断する(ステップE3)。リセット時間は、たとえば、ドラム10(モータ12)が1〜2回転するのに要する時間に設定されている。最新のドラム10の回転速度が検出された時点で、最大値MAX2のRAM43への前回の記憶からの経過時間がリセット時間内であれば(ステップE3でYES)、制御部40は、ドラム10の回転速度がRAM43に記憶されている最大値MAX2以上であるか否かを判断する(ステップE4)。
また、最新のドラム10の回転速度が検出された時点で、RAM43への最大値MAX2の前回の記憶から上記リセット時間が経過している場合には、RAM43に記憶されている最大値MAX2が消去されて、その新たに検出された最新のドラム10の回転速度が暫定的に最大値MAX2としてRAM43に記憶される(ステップE6)。これにより、RAM43に記憶されている最大値MAX2は、その最大値MAX2が記憶されてから上記リセット時間を超えてRAM43に記憶保持され続けることがない。
また、この発明は、ドラム10に対して斜め上方から洗濯物の出し入れを行う、いわゆるトップローディング式のドラム式洗濯機に限らず、ドラムがその端面を前後にして設けられていて、ドラムの前側の端面に形成された開口から洗濯物の出し入れを行う、いわゆるフロントローディング式のドラム式洗濯機にも適用することができる。
10 ドラム
40 制御部
43 RAM
47 回転センサ
Claims (6)
- 水平または水平方向に対して所定角度だけ傾斜した軸線回りに回転可能に設けられ、洗濯物を収容するためのドラムと、
上記ドラムの回転中に、上記ドラムの回転速度を繰り返し検出する回転速度検出手段と、
上記回転速度検出手段により繰り返し検出される上記ドラムの回転速度の変化率に応じた値を所定の閾値と比較することにより、上記ドラムに偏心荷重が生じているか否かを判断する第1偏心荷重判断手段とを含み、
上記第1偏心荷重判断手段は、上記ドラムの回転速度が所定速度以上変化するまでの時間が上記所定の閾値よりも短い場合に、上記ドラムに偏心荷重が生じていると判断するものであることを特徴とするドラム式洗濯機。 - 上記回転速度検出手段により繰り返し検出される上記ドラムの最低回転速度を記憶する最低回転速度記憶手段と、
上記回転速度検出手段により繰り返し検出される上記ドラムの最高回転速度を記憶する最高回転速度記憶手段とをさらに含み、
上記第1偏心荷重判断手段は、上記最低回転速度記憶手段に記憶されている上記ドラムの最低回転速度と、上記最高回転速度記憶手段に記憶されている上記ドラムの最高回転速度との差分値に基づいて、その差分値が上記所定速度以上になるまでの時間が上記所定の閾値よりも短い場合に、上記ドラムに偏心荷重が生じていると判断するものであることを特徴とする請求項1記載のドラム式洗濯機。 - 上記第1偏心荷重判断手段は、上記ドラムの回転速度が増加しているときには、上記回転速度検出手段により繰り返し検出される上記ドラムの回転速度の変化率に応じた値を第1の閾値と比較することにより、上記ドラムの回転速度が減少しているときには、上記回転速度検出手段により繰り返し検出される上記ドラムの回転速度の変化率に応じた値を上記第1の閾値とは異なる第2の閾値と比較することにより、上記ドラムに偏心荷重が生じているか否かを判断するものであって、
上記第1の閾値および上記第2の閾値は、上記ドラムの回転速度が増加しているときよりも、上記ドラムの回転速度が減少しているときのほうが、上記第1偏心荷重判断手段によって上記ドラムに偏心荷重が生じていると判断されやすくなるような値に設定されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のドラム式洗濯機。 - 所定の基準回転速度を記憶しておくための基準回転速度記憶手段と、
上記基準回転速度記憶手段に記憶されている基準回転速度に対して所定速度以上減少した回転速度が上記回転速度検出手段によって検出されたことに応答して、上記ドラムに偏心荷重が生じていると判断する第2偏心荷重判断手段と
をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のドラム式洗濯機。 - 上記第2偏心荷重判断手段は、上記ドラムの回転速度が予め定める回転速度に達するまでは、上記基準回転速度記憶手段に記憶されている基準回転速度に対して第1の所定速度以上減少した回転速度が上記回転速度検出手段によって検出されたことに応答して、上記ドラムに偏心荷重が生じていると判断し、上記ドラムの回転速度が上記予め定める回転速度を超えた後は、上記基準回転速度記憶手段に記憶されている基準回転速度に対して上記第1の所定速度よりも小さい第2の所定速度以上減少した回転速度が上記回転速度検出手段によって検出されたことに応答して、上記ドラムに偏心荷重が生じていると判断するものであることを特徴とする請求項4記載のドラム式洗濯機。
- 上記基準回転速度記憶手段に基準回転速度が記憶されていない状態で上記回転速度検出手段によって検出された回転速度を暫定的に基準回転速度として上記基準回転速度記憶手段に記憶させる手段と、
上記基準回転速度記憶手段に記憶されている基準回転速度よりも当該基準回転速度の記憶後に上記回転速度検出手段によって検出された回転速度が大きい場合に、その検出された回転速度を基準回転速度として上記基準回転速度記憶手段に記憶させる手段と、
上記基準回転速度記憶手段に記憶されている基準回転速度を当該基準回転速度が記憶されてから一定時間が経過した時点で消去する基準回転速度消去手段と
をさらに含むことを特徴とする請求項4または5記載のドラム式洗濯機。
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