JP4357857B2 - 電極合剤層用スラリ及び電極極板、並びに非水電解液電池 - Google Patents

電極合剤層用スラリ及び電極極板、並びに非水電解液電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極活物質の電極合剤層用スラリに関し、さらに詳しくは、パターン状に塗布しても尾引きしにくい正極又は負極用合剤の電極合剤層用スラリ及び電極極板、並びに非水電解液電池に関するものである。
【0002】
【従来技術】
(技術の背景)近年、AV機器,パソコン等のコードレス化、ポータブル化に伴い、これらの駆動用電源である電池に対しても、小型化、軽量化、高エネルギー密度化が要求されている。このため、従来のアルカリ蓄電池に代わり、高エネルギー密度で高電圧を有する非水電解液二次電池、代表的にはリチウムイオン二次電池が提案されている。また、該リチウムイオン二次電池でも、機器の薄型化、スペースの有効利用の点から高容量化の要望が高まっている。
非水電解液二次電池は、正極極板と負極極板それぞれに電流を取り出すための端子を取り付け、両極板の間に短絡を防止するためのセパレータを挟んで巻き回し、非水電解液を満たした容器に密封されている。しかしながら、正極活物質量に対して負極活物質量が不足すると、充電反応時に正極から電解液中に離脱したリチウムイオンの全てを負極の炭素層間に挿入することができず、過剰になったリチウムイオンがリチウム金属となって負極極板上にデンドライト(柱状)析出するおそれがある。この析出物が成長すると、正極極板と負極極板の間にあるセパレータを突き破り、正極と負極を短絡させ、電池の性能を著しく損なうおそれがあり、発火、爆発に至る恐れもある。このために、負極極板は正極極板より長くして、正極極板を完全に覆っている。
しかしながら、正極極板では、該正極極板のパターン状の活物質合剤層に、塗工終端部で長い尾引きが発生していると、これを覆うためにより長い負極極板を要し、高容量化の妨げとなる。また、負極極板でも、該負極極板のパターン状の活物質合剤層に、塗工終端部で長い尾引きが発生していると、リード端子の取り付け部分が短くなるために、電極極板の長さをより長くせねばならず、高容量化の妨げとなる。さらに、尾引きは、製造工程での歩留りを低下させ、コスト高となる。
このために、電極合剤(合剤ともいう)組成物スラリ(塗工液、インキともいう)は尾引きせず、その結果、電極極板の製造時の歩留りがよく、コストが安価に製造でき、かつ、電池とした時には安定した充放電性を有し、高電池容量とすることができる電極極板が求められている。
【0003】
(先行技術)従来、高温での電池特性(特に繰り返し寿命特性)に優れ、安全信頼性の高い非水電解液二次電池は、負極及び正極の少なくともいずれかの活物質の結着剤がポリイミド樹脂であり、かつ、該ポリイミド樹脂の弾性率が500〜3,000MPaであることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、結着剤がポリイミド樹脂に限定され、かつ、弾性率が数値限定され、塗布乾燥後の合剤層の高温での電池特性を向上させるもので、塗布時の加工適性については、記載されていない。
また、良好な充放電サイクル特性を発揮する電池を提供するための、柔軟性および化学的安定性を有する非水電解液電池用結着剤としては、フッ化ビニリデン30〜80モル%、テトラフルオロエチレン10〜50モル%、ビニルエーテル系モノマー3〜30モル%およびそれらと共重合し得る単量体0〜10モル%から構成され、室温における動的粘弾性測定による貯蔵弾性率(G’)が3.0dyne/cm2以下である含フッ素共重合体からなる結着剤が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、結着剤の貯蔵弾性率(G’)が限定され、塗布乾燥後の合剤層の機能を向上させるもので、塗布時の加工適性については、記載されていない。
さらに、サイクル性と放電率性能を向上させる電極組成物として、カーボンブラックと、必要あれば規則性のより高い炭素材、好ましくはコークス及び/又はグラファイトをバインダー含有溶媒中で粉砕して均一で粘性のあるスラリを製造し、次いでスラリを基板、好ましくは金属フォイル基板に塗布し、溶媒の蒸発と高温乾燥する方法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、「粘性のあるスラリ」との記載があり、配合と製造方法が開示されているのみで、粘性の具体的な記載がない。
上記のいずれの特許文献も、スラリの粘弾性を限定することで、塗布時の加工適性、特に尾引き減少については、記載も示唆もされていない。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−21412号公報
【特許文献2】
特開2001−223011号公報
【特許文献2】
特表平11−514491号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、合剤組成物スラリの粘弾性を限定することで、塗布の加工適性がよく、パターン状に塗布しても尾引きしにくい電極合剤層用スラリ及び電極極板、並びに製造の歩留りが向上し、低コストで、かつ、安定した充放電性を有する高容量の非水電解液電池を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わる正極又は負極合剤層用スラリは、ケース内部にリチウム塩を溶解した非水電解液と、正極集電体へ正極合剤層を設けた正極極板と、負極集電体へ負極合剤層を設けた負極極板とを、セパレーターを介して巻回した極板群を備えた非水電解液電池における、正極又は負極電極合剤層を形成するための正極又は負極合剤層用スラリにおいて、上記正極及び/又は負極合剤層用スラリの室温での周波数分散による動的粘弾性測定の貯蔵弾性率(G’)曲線が、周波数10rad/秒における貯蔵弾性率(G’)が10〜185dyne/cm2の範囲、かつ100rad/秒における貯蔵弾性率G’が70〜460dyne/cm2の範囲を通過する曲線であり、かつまた、動的粘弾性測定の損失正接(tanδ)曲線が、周波数10rad/秒における損失正接(tanδ)が1.5〜4.0の範囲、かつ、100rad/秒における損失正接(tanδ)が3.5〜6.0の範囲を通過する曲線であることを特徴とするようにしたものである。本発明によれば、塗布の加工適性がよく、パターン状に塗布しても尾引きしにくい正極及び/又は負極合剤層用スラリが提供される。また、請求項2の発明に係わる非水電解液電池は、集電体の少なくとも一方の面へ、電極合剤層用スラリを塗布し乾燥して、パターン状に電極合剤層を設けた電極極板で、前記電極合剤層用スラリとして請求項1に記載の正極及び/又は負極合剤層用スラリを用いた正極及び/又は負極合剤層を設けた正極及び/又は負極極板を用い、該正極及び負極極板とを、セパレーターを介して巻回した極板群を備えたことを特徴とする非水電解液電池に、したものである。本発明によれば、安定した充放電性を有し、高容量の非水電解液電池が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施態様について、図面を参照して、詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示す非水電解液電池の断面図である。
図2は、極板群の構成を示す断面図である。
(基本の構成)非水電解液電池1は、極板群21と電解液とが、ガスケット15を介して負極ケース11と正極ケース13に密閉されている。極板群21は正極極板31と負極極板41とが、セパレータ23を介して渦巻き状に巻き回されている。また、正極極板31と負極極板41は、それぞれが電気的に正極ケース13と負極ケース11に接続されて電池を形成している。なお、正極極板と負極極板とを含めて、電極極板と呼ぶ。
【0008】
(発明のポイント)
正極極板31は正極集電体33へ正極合剤層35が形成され、同様に、負極極板41は負極集電体43へ負極合剤層45が形成されている。極板群21状態では、正極合剤層35と負極合剤層45がセパレータ23を介して、対向し相対している。前述のように、負極極板には、充電反応時にリチウム金属が析出するおそれがあるが、これをなくすことは極めて困難である。特に、負極の集電体が剥き出しになっている負極極板上にはリチウム金属がより析出しやすい。該リチウム金属がデントライト(柱状)析出すると短絡しやすいので、特にデントライト(柱状)析出を抑制するために、負極極板は正極極板より長いものを用いて、正極極板を負極極板で完全に覆う必要がある。正極合剤層に尾引きがあると完全に覆うことができない。完全に覆うとすると、より長い負極極板を用いることになり、結果的に負極合剤量が増加して、電池容量が減少してしまう。
【0009】
図3は、正極及び負極の合剤層の尾引きを説明する平面図である。
尾引きの発生に関しては、正極も負極も同様であるので、正極についてのみ説明する。図3に示すように、塗布方向に従ってパターン状に塗布すると、正極合剤層35の始端部51は略直線になるが、終端部53では尾引き現象の発生が伴う。該尾引きの長さは、図3に示すような終端部53に現われた凹凸状の長さをいう。該尾引き現象は、他の公知の塗布法でも発生し、一般的に塗布速度が速い場合、スラリの弾性が高い場合、などで顕著に表れる。終端部53でスラリが途切れるが、集電材は進行するために、引きちぎれる際に発生する。
そこで、本発明者らは、鋭意研究の結果、塗布時の加工適性がよく、パターン状に塗布しても尾引きが発生しにくい合剤層用スラリの粘弾性が、ある限定範囲内で顕著に発現することを見出して、本発明に至った。
【0010】
(尾引長)尾引きは全くなくすことは事実上できないので、尾引きの長さとしては0より大きく、0.5mm以下とする。尾引きの長さが短いほど、電池へ入れられる電極合剤層の量が増えるために、電池容量が増加し高容量化できる。
正極極板のパターン状の活物質合剤層に、塗工終端部で長い尾引きが発生していると、これを覆うためにより長い負極極板を要し、高容量化の妨げとなる。本発明では、尾引きが少ないために、長い負極極板が不要で、高容量化できる。
また、負極極板でも、該負極極板のパターン状の活物質合剤層に、塗工終端部で長い尾引きが発生していると、リード端子の取り付け部分が短くなるために、電極極板の長さをより長くせねばならず、高容量化の妨げとなる。本発明では、尾引きが少ないために、長い負極極板が不要で、高容量化できる。
【0011】
尾引きが少ないので、電極極板の製造工程での歩留りが低下せず、低コストで製造できる。また、電池とした場合には、充電反応時にもリチウム金属が負極極板上にデンドライト(柱状)析出するおそれが減少する。このために、極板の間にあるセパレータを突き破り、正極と負極を短絡させにくく、電池の性能を著しく損なうおそれが少なくできる。
【0012】
このような合剤層用スラリの粘弾性の限定範囲とは、即ち、正極及び/又は負極合剤層用スラリでは、室温での周波数分散による動的粘弾性測定の貯蔵弾性率(G’)曲線が、周波数10rad/秒における貯蔵弾性率(G’)が10〜185dyne/cm2の範囲、かつ、100rad/秒における貯蔵弾性率G’が70〜460dyne/cm2の範囲を通過する曲線であり、好ましくは、動的粘弾性測定の貯蔵弾性率(G’)曲線が、周波数10rad/秒における貯蔵弾性率(G’)が10〜70dyne/cm2の範囲、かつ、100rad/秒における貯蔵弾性率G’が70〜230dyne/cm2の範囲を通過する曲線である。
また、正極及び/又は負極合剤層用スラリの室温での周波数分散による動的粘弾性測定の損失正接(tanδ)曲線が、周波数10rad/秒における損失正接(tanδ)が1.5〜4.0の範囲、かつ、100rad/秒における損失正接(tanδ)が3.5〜6.0の範囲を通過する曲線であり、好ましくは動的粘弾性測定の損失正接(tanδ)曲線が、周波数10rad/秒における損失正接(tanδ)が2.6〜3.7の範囲、かつ、100rad/秒における損失正接(tanδ)が3.9〜5.6の範囲を通過する曲線である
さらに、貯蔵弾性率(G’)曲線、及び損失正接(tanδ)曲線を、上記の数値範囲とすることで、より、尾引きを発生しにくくできる。具体的には、実施例のなかで詳細に開示する。
【0013】
スラリの動的粘弾性測定による、粘弾性のうち、貯蔵弾性率G’は弾性成分を表わし、損失弾性率G’’は粘性成分を表わし、損失正接は下記の式で表わされ、数値が大きいと粘性的で、小さいと弾性的である。
・損失正接tanδ=損失弾性率G’’/貯蔵弾性率G’
塗工するスラリの貯蔵弾性率G’又は損失正接の、少なくとも1つの性質を規定することにより,尾引き長さを限りなく0に近い値にすることができた。具体的には、スラリ組成物の配合比や分散条件などにて、所望の粘弾性となるように調整すればよい。
【0014】
正極及び/又は負極合剤層用スラリの、室温での周波数分散による動的粘弾性測定の貯蔵弾性率(G’)曲線を、上記の範囲内を通過する曲線にする。このように、貯蔵弾性率(G’)を低く保つことにより、塗工終端部の尾引き長さを限りなく0にすることができる。貯蔵弾性率を10〜185dyne/cm2(周波数10rad/s)と70〜460dyne/cm2(周波数100rad/s)の範囲に限定したのは、10dyne/cm2(周波数10rad/s)と70dyne/cm2(周波数100rad/s)未満では、スラリの不安定化によりポットライフ(可使用時間)が低下し、185dyne/cm2(周波数10rad/s)と460dyne/cm2(周波数100rad/s)を超えると、スラリの高弾性化により尾引き長さが長くなるからである。また、好ましい範囲にすると、上記作用効果がより顕著に発現する。
【0015】
また、正極及び/又は負極合剤層用スラリの、室温での周波数分散による動的粘弾性測定の損失正接(tanδ)曲線を、上記の範囲内を通過する曲線にする。このように、損失正接(tanδ)を高くすることにより、塗工終端部の尾引き長さを限りなく0にすることができる。損失正接(tanδ)が1.5〜4.0(周波数10rad/s)、3.5〜6.0(周波数100rad/s)の範囲に限定したのは、1.5(周波数10rad/s)、3.5(100rad/s)未満では,スラリの高弾性化により尾引き長さが長くなり、4.0(周波数10rad/s)、6.0(100rad/s)を超えると、スラリの不安定化によりポットライフは低下するからである。また、好ましい範囲にすると、上記作用効果がより顕著に発現する。
【0016】
表1は、後述する実施例1〜2及び比較例1〜2における、周波数10rad/s及び100rad/sでの貯蔵弾性率(G’)及び損失正接(tanδ)の数値である。
【表1】
Figure 0004357857
【0017】
表2は、後述する実施例1〜2及び比較例1〜2における、周波数分散による貯蔵弾性率(G’)及び損失正接(tanδ)の数値である。
【表2】
Figure 0004357857
【0018】
図4は、実施例及び比較例のスラリの周波数による貯蔵弾性率(G’)曲線である。
例えば、貯蔵弾性率(G’)の範囲は、図4に示すような、直線式(式A)と直線式(式B)で囲まれる部分である。
y=1.85x+55.09−−式A
y=0.64x+6.16−−−式B
【0019】
図5は、実施例及び比較例のスラリの周波数による損失正接(tanδ)曲線である。
例えば、損失正接(tanδ)の範囲は、図5に示すような、直線式(式C)と直線式(式D)で囲まれる部分である。
y=0.79Ln(x)+1.96−−−式C
y=0.70Ln(x)+0.50−−−式D
ここで、貯蔵弾性率(G’)及び/又は損失正接(tanδ)の曲線は、図4の直線式(式A)と直線式(式B)、図5の直線式(式C)と直線式(式D)から部分的にはずれる場合もあるが、周波数が10rad/s及び100rad/s)における数値が範囲内であれば、本発明の範囲内である。
【0020】
動的粘弾性の測定方法は、測定機はFLUIDS SPECTROMETER、Phesource Series RFS 2(特殊機化工業社製、商品名)を用い、Cone PlateはNormal Cone Angle;0.04rad、Actual Gap;0.051mm、Radius:25mmを用いた。測定試料としては、サンプリングしたスラリを測定前に、T.K.AUTO HOMO MIXER、MODEL;M、SPEC;A(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製、商品名)を用いて250rpm、5分間の再攪拌して供した。測定条件は、Dynamic Mechanical Analysis(Frequency Sweep)で、Strain;5%、Initial Frequency;0.1rad/s、Final Frequency;100rad/s、Temperature:Room Temperatureで粘弾性を測定した。10〜100rad/s(Frequency)における貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”、tanδ(G”/G’)の数値を少数第1位まで読み取った。
【0021】
(リチウムイオン電池)リチウムイオン電池とは、液状、ゲル状および高分子ポリマー状の電解質を持ち、リチウムイオンの移動で電流を発生する電池であって、正極極板と負極極板それぞれに電流を取り出すための端子を取り付け、両極板の間に短絡を防止するためのセパレータを挟んで巻き取り、非水電解液を満たした容器に密封することにより組み立てられる。正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。リチウム2次電池の構成は、正極集電材、正極活性物質層、電解質層、負極活性物質層、負極集電材、及びそれらを包装する外装体からなる。
【0022】
(材料、製造方法)正極集電材としてはアルミニウム、ニッケルなどが適用できる。正極活性物質層としてはリチウム遷移金属複合酸化物、カルコゲン化合物、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリルなどの高分子正極材料、導電助剤、バインダなどからの構成が適用できる。電解質層としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質などが適用できる。負極活物質層としては、金属リチウム、リチウム合金、金属酸化物、グラファイト、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリルなどの高分子負極材料、バインダなどからの構成が適用できる。負極集電材としては銅、ニッケル、ステンレスなどが適用できる。リチウムイオン電池の用途としては、パソコン、携帯端末装置(携帯電話、PDA等)、ビデオカメラ、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星等に用いられる。
【0023】
(電極)次に、電極について説明する。極板は集電体の少なくとも一方の面へ、パターン状に、正極又は負極活物質からなる電極合剤層を設けたもので、該電極は電気を取り出す露出部と正極又は負極合剤層からなっている。電極の基体である集電体としては、通常は金属箔が用いられ、正極極板用としてはアルミニウム箔、負極極板用としては銅箔が好ましく用いられる。これら金属箔の厚さは、通常、5〜30μm程度、好ましくは5〜20μmである。
【0024】
集電体へ、正極又は負極活物質とバインダとを少なくとも含有する合剤層用スラリを塗布し乾燥させて合剤層を形成する。本発明の正極又は負極合剤層は、前述した所定のパターン状に形成すればよい。また、1部に電気を取り出す露出部15を設け、該露出部15は、長手方向の端部や、長手方向に沿って設けてもよく、目的とする電池に合わせた位置やパタ−ン形状とすればよい。
【0025】
(合剤層)正極又は負極合剤層は、少なくとも、正極又は負極活物質とバインダとを含有する。活物質には、正極用活物質と負極用活物質がある。正極用活物質としては、例えばLiCoO2、LiNiO2もしくはLiMn24等のリチウム遷移金属複合酸化物、またはTiS2、MnO2、MoO3もしくはV25等のカルコゲン化合物を例示することができる。これらの正極用活物質は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。負極用活物質としては、例えば、金属リチウムまたはリチウム合金等のようなリチウム含有金属、グラファイト、カーボンブラックまたはアセチレンブラックのような炭素質材料が好んで用いられる。特に、LiCoO2を正極用活物質として用い、炭素質材料を負極用活物質として用いることにより、4ボルト程度の高い放電電圧を有するリチウム系2次電池が得られる。前記正極活物質および前記負極活物質は、これらの活物質を塗工層中に均一に分散させるために、平均粒径が約1〜100μmの粉体であるのが好ましい。
【0026】
(バインダ)バインダは、熱可塑性、熱硬化性又は電離放射線硬化性の、合成又は天然樹脂の1又は複数からなり、必要に応じて導電剤や増粘剤などを添加してもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、より具体的にはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂、フッ素系樹脂またはポリイミド樹脂等を使用することができる。この際、反応性官能基を導入したアクリレートモノマーまたはオリゴマーをバインダ中に混入させることも可能である。そのほかにも、ゴム系の樹脂や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー或いはそれらの混合物からなる電離放射線硬化性樹脂、上記各種の樹脂の混合物を使用することもできる。好ましくは、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどのゴム系、フッ素系樹脂のバインダである。フッ素系樹脂はバインダとして好ましく用いられ、その中でもポリフッ化ビニリデンは特に好ましい。
【0027】
導電剤としては、例えば、グラファイト、カーボンブラックまたはアセチレンブラック、ケッチェンブラック等の炭素質材料などが必要に応じて用いられる。
【0028】
(合剤層用スラリ)活物質、バインダ、及び必要に応じてその他の成分を混合して合剤層用スラリを調製する。例えば、適宜選択した活物質などとバインダとを、トルエン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、水或いはこれらの混合物のような有機溶剤の中に投入し、さらに必要に応じて導電剤を加え、溶解又は分散して、スラリ(スラリ、インキともいう)を調製する。分散又は溶解する方法は、特に限定はなく、例えば混練又は分散機、例えば、プラネタリーミキサー、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミル、アトライター、高速インペラー等の分散機、デスパー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、デスパーザーおよび超音波分散機などが適用できる。この時の配合割合は、スラリ全体を100質量部とした時に活物質とバインダの合計量が約35〜90質量部となるようにするのが好ましい。また、活物質とバインダとの配合割合は従来と同様でよく、例えば、正極の場合は活物質:導電剤:バインダ=100:0〜50:1〜10(質量比)程度とするのが好ましく、負極の場合は活物質:導電剤:バインダ=100:0〜50:1〜10(質量比)程度とするのが好ましい。
【0029】
以上のような組成のスラリを、前述したように、室温での動的粘弾性測定による、10rad/秒及び100rad/秒における貯蔵弾性率(G’)及び/又は損失正接tanδの曲線が、所望の範囲を通過するように調整することで、パターン状に塗布しても塗布終端部に尾引きが少なく、塗布することができる。
【0030】
(塗工方法)このようにして調製されたスラリを、集電体上に塗布・乾燥して、合剤層を形成する。合剤層用スラリの塗工方法は、特に限定されないが、例えばスロットダイコート、スリットダイコート、スライドダイコート、コンマダイレクトコート、コンマリバースコート等のように、厚い塗工層を形成できる方法が適している。
【0031】
(パターン化法)合剤層を所定のパターン状に形成する方法は、塗工方法でコーターヘッドを機械的に制御しながら電極スラリを集電体上に塗工して塗工部と非塗工部のパターンを直接形成する方法や、集電体の全面に塗工膜を形成した後でヘラなどの機械的手段により塗工膜を部分的に剥離させて非塗工部を形成する方法がある。前者の方法による場合には、塗工部又は非塗工部のパターンに合わせてコーターヘッド及び/又は集電体を動かしながらコーターヘッドからの活物質スラリの吐出開始と吐出停止を繰り返したり、或いは、塗工作業が塗工部と非塗工部の境界に到達するたびに、コーターヘッド及び/又は集電体の移動停止とその再開、塗工面に対するコーターヘッドの離脱と再接近、電極スラリの吐出停止とその再開をそれぞれ同調させて繰り返すなどの作業を行なう。
【0032】
乾燥工程における熱源としては、熱風、赤外線、マイクロ波、高周波、或いはそれらを組み合わせて利用できる。乾燥工程において集電体をサポート又はプレスする金属ローラーや金属シートを加熱して放出させた熱によって乾燥してもよい。また、乾燥後、電子線または放射線を照射することにより、バインダを架橋反応させて合剤層を得ることもできる。塗布と乾燥は、複数回繰り返してもよい。合剤層の厚さは、乾燥時で通常10〜200μm、好ましくは50〜170μmの範囲にする。
【0033】
(プレス加工)得られた合剤層をプレス加工する。該プレス加工により、極板の均質性が向上し、また、薄膜化することによって電池内に巻き込める極板の面積をより大きくできる。二次電池の性能に大きく影響を及ぼす正極および負極の各極板をプレス加工することで、充放電サイクル寿命を延長させ、また、エネルギー密度を高度化できる。プレス加工は、例えば、金属ロール、弾性ロール、加熱ロールまたはシートプレス機等を用いて行なう。プレス圧力は、通常4903〜73550N/cm2(500〜7500kgf/cm2)、好ましくは29420〜49033N/cm2(3000〜5000kgf/cm2)である。4903N/cm2(500kgf/cm2)よりプレス圧力が小さいと合剤層の均質性が得られにくく、73550N/cm2(7500kgf/cm2)よりプレス圧力が大きいと集電体を含めて極板自体が破損してしまう場合がある。合剤層は、一回のプレスで所定の厚さにしてもよく、均質性を向上、及び/又は高密度化する目的で数回に分けてプレスしてもよい。
【0034】
ロールプレスの圧力を線圧で管理する場合、加圧ロールの直径に応じて調節するが、通常は線圧を4.9〜19614N/cm(0.5kgf/cm〜2tf/cm)とする。プレス後の極板の厚さを考慮して、数回に分けてのプレスや多段プレスしてもよい。また、合剤層の乾燥途中で、その表面にポリエチレンテレフタレートフィルム等の表面平滑なフィルムを軽く圧着して再び剥離することによって、合剤層の表面を平滑化してもよい。
【0035】
(スリット、切断)極板の形状は細長く、例えば、携帯電話用のリチウムイオン電池の正極材であれば、短辺幅は20〜70mm、長辺の長さは0.2〜1m程度である。また、コイン電池であれば、短辺幅は1〜100mm程度、長辺の長さは50〜1000mm程度である。このために、上記で説明してきた極板の製造工程は、幅及び長さともに複数個がとれることができる広幅で、長尺の巻取体で加工する。プレス加工が終わった段階で、所定の幅及び長さへ、また、コイン型の場合には所定の形状に、切断して極板とする。
【0036】
(電池の組立)上記のような方法により作製された極板を用いて二次電池を作製する際には、電池の組立工程に移る前に合剤層中の水分を除去するために、加熱処理や減圧処理等をあらかじめ行うことが好ましい。
この極板を用いて、例えばリチウム系二次電池を作製する場合には、溶質であるリチウム塩を有機溶媒に溶かした非水電解液が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCl、LiBr等の無機リチウム塩、または、LiB(C65)4、LiN(SO2CF32、LiC(SO2CF33、LiOSO2CF3、LiOSO225、LiOSO237、LiOSO249、LiOSO2511、LiOSO2613、LiOSO2715等の有機リチウム塩等が用いられる。
【0037】
リチウム塩を溶解するための有機溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類等を例示できる。より具体的には、環状エステル類としては、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等を例示できる。
鎖状エステル類としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルブチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルプロピルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。
【0038】
環状エーテル類としては、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、ジアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソラン等を例示できる。
鎖状エーテル類としては、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル等を例示することができる。
【0039】
正極極板と負極極板それぞれに電流を取り出すための端子を取り付け、両極板の間に短絡を防止するためのセパレータを挟んで巻き回し、非水電解液を満たした電池ケースの容器に密封すれば、非水電解液二次電池となる。
【0040】
【実施例】
(実施例1)
正極活物質としてLiCoO2粉末を100質量部と、正極用導電助剤としてアセチレンブラック2質量部と、正極用バインダー1.2質量部と、溶媒としてN−メチル−ピロリドンとを、プラネタリーミキサーを用いて混合攪拌し分散することにより、スラリを作製した。厚さ15μmのアルミ箔の両面に、ダイコーターを用いて、前記スラリを間歇塗工した。片面あたりの塗工量は約250g/m2、パターン長及び塗工長などは任意に設定した。その塗工終端部の尾引き長さは、0.1mmであった。
スラリの貯蔵弾性率及び損失正接を「表1」に示した。また、コイン型リチウムイオン二次電池<3032サイズ>に置き換えたときの電池容量も「表1」に示した。
【0041】
(比較例1)
スラリを「表1」に示す配合とし、プラネタリーミキサーを用いて混合攪拌し分散することにより、スラリを作製し、実施例1と同様に塗工した。塗工終端部の尾引き長さは、1.5mmを示し、用いたスラリの動的粘弾性測定及び電池容量を「表1」に示した。
【0042】
(実施例2)
スラリの配合は比較例1と同一であるが、プラネタリーミキサーを用いて混合攪拌し分散した後に、デスパーを用いてさらに分散させることにより、スラリを作製し、実施例1と同様に塗工した。塗工終端部の尾引き長さは、0.3mmを示し、スラリの動的粘弾性測定及び電池容量を「表1」に示した。スラリの粘弾性挙動の変化により、比較例1より電池容量が1.56%向上した。
【0043】
(比較例2)
スラリを「表1」に示す配合とし、プラネタリーミキサーを用いて混合攪拌し分散し、スラリを作製する以外は、実施例1と同様に塗工した。塗工終端部の尾引き長さは、1.5mmを示し、用いたスラリの動的粘弾性測定及び電池容量を「表1」に示した。
【0044】
(比較例3)
スラリを「表1」に示す配合とし、実施例1と同様にスラリを作製したが、ポットライフが短く、動的粘弾性測定ができず、塗工もできなかった。
【0045】
なお、表中の貯蔵弾性率G’及び損失正接tanδの数値は、周波数10〜100rad/sにおけるものであり、電池容量は、コバルト酸リチウムの容量を140mAh/gとし、コイン型リチウム電池(3032サイズ)に置き換えた時の電池容量を示す。
【0046】
(実施例3、負極極板)
負極合剤として、リチウムをドープかつ脱ドープし得る黒鉛系材料を100質量部、バインダ2質量部を、溶剤(水)中へ溶解又は分散させて、貯蔵弾性率=80〜412dyne/cm2、tanδ=1.9〜2.2になるように、プラネタリーミキサー法で調整して、負極合剤組成物塗工液(スラリー)を得た。該負極合剤組成物塗工液(スラリー)を、負極集電体43として厚さが10μmの銅箔面へ、乾燥後の塗工量120g/m2になるようにダイコート法にて塗布し乾燥し、さらにもう一方の面にも同様に塗布し乾燥した。この時、塗布パターン(正極合剤層45のパターン)は任意に設定し、両面のパターン位置は始端部が同じとなるように、間歇式ダイコート法にて形成した。
【0047】
(評価)実施例1〜2、及び比較例1〜2の塗布終端部の尾引きを、JIS1級金尺で、20倍ルーペを用いて目視で測定し、結果を表1に記載した。実施例1は0.1mm、実施例2は0.3mm、実施例3は表示してないが0.4mmと、いずれも0.5mm以下であった。
比較例1〜2ではいずれも1.5mm以上と大きく尾引きしているか、比較例3では塗布自体が不能であった。
【0048】
(実施例4〜5、本発明の電池)
実施例1〜2の極板を、ロールプレス機で両面塗布部の厚みが170μmになるようにプレスした。所定の形状、寸法に切り抜いて、正極極板とした。実施例3の両面に負極合剤層45を設けた銅箔を、ロールプレス機で両面塗布部の厚みが170μmになるようにプレスした。所定の形状、寸法に切り抜いて、負極極板とした。
上記の正極及び負極極板へそれぞれタブ付けし、ポリプロピレン製のマイクロポーラスフィルムからなるセパレータ23を介して、積層し数回巻き回して、扁平な渦巻き状とした後に、平面形状が略四角形となった該電極群の角部を円弧にカットして極板群を得た。該電極のリード端子部分を電池容器の内底部、電池封止板の内天部にそれぞれスポット溶接して接続した。電池容器としては、円形半殻体の正極及び負極ケースを用い、非水溶媒としてエチレンカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1(質量比)溶液にLiPF6を1mol/1L溶解し有機電解液(非水電解液)とした。この有機電解液を電極を収納した電池容器に注入し、電池容器と封口板をポリプロピレン製パッキンを介してかしめて密閉してコイン型リチウムイオン二次電池を得た。
【0049】
(比較例4、従来の電池)
正極として比較例1〜2の極板を用い、負極として公知で既存の極板を用いる以外は、実施例4と同様にして、コイン型リチウムイオン二次電池を得た。
【0050】
電池容量は、実施例のいずれもが、比較例のいずれよりも高容量であった。
充放電試験として、500サイクルの充放電を行ったところ、実施例の極板を用いた電池では試験した10個について、すべて正常に充放電できたが、比較例の極板を用いた電池では試験した10個中、2個が不良であった。
【0051】
【発明の効果】
合剤組成物スラリの粘弾性を限定することで、塗布の加工適性がよく、パターン状に塗布しても尾引きしにくい。
該合剤組成物スラリを用いて製造した電極極板では、製造の歩留りが向上し、低コストで製造できる。
また、該電極極板を用いた非水電解液電池では、リチウム金属が負極極板上にデンドライト(柱状)析出しにくく、短絡のおそれが少ないので、電池の性能が損なわれず、安定した充放電性を有し、高容量とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施例を示す非水電解液電池の断面図である。
【図2】 極板群の構成を示す断面図である。
【図3】 正極及び負極の合剤層の尾引きを説明する平面図である。
【図4】 実施例及び比較例のスラリの周波数による貯蔵弾性率(G’)曲線である。
【図5】 実施例及び比較例のスラリの周波数による損失正接(tanδ)曲線である。
【符号の説明】
1 非水電解液電池
11 負極ケース
13 正極ケース
15 ガスケット
21 極板群
23 セパレータ
31 正極極板
33 正極集電体
35 正極合剤層
41 負極極板
43 負極集電体
45 負極合剤層
51 塗布始端部
53 塗布終端部

Claims (2)

  1. ケース内部にリチウム塩を溶解した非水電解液と、正極集電体へ正極合剤層を設けた正極極板と、負極集電体へ負極合剤層を設けた負極極板とを、セパレーターを介して巻回した極板群を備えた非水電解液電池における、正極又は負極電極合剤層を形成するための正極又は負極合剤層用スラリにおいて、上記正極及び/又は負極合剤層用スラリの室温での周波数分散による動的粘弾性測定の貯蔵弾性率(G’)曲線が、周波数10rad/秒における貯蔵弾性率(G’)が10〜185dyne/cm 2 の範囲、かつ100rad/秒における貯蔵弾性率G’が70〜460dyne/cm 2 の範囲を通過する曲線であり、かつまた、動的粘弾性測定の損失正接(tanδ)曲線が、周波数10rad/秒における損失正接(tanδ)が1.5〜4.0の範囲、かつ、100rad/秒における損失正接(tanδ)が3.5〜6.0の範囲を通過する曲線であることを特徴とする正極及び/又は負極合剤層用スラリ
  2. 集電体の少なくとも一方の面へ、電極合剤層用スラリを塗布し乾燥して、パターン状に電極合剤層を設けた電極極板で、前記電極合剤層用スラリとして請求項1に記載の正極及び/又は負極合剤層用スラリを用いた正極及び/又は負極合剤層を設けた正極及び/又は負極極板を用い、該正極及び負極極板とを、セパレーターを介して巻回した極板群を備えたことを特徴とする非水電解液電池
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