JP4081833B2 - 密閉型非水電解液二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保存性およびサイクル特性を改良した、高容量の密閉型非水電解液二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ノートブック型のパーソナルコンピューターや携帯電話等の携帯用電子機器の普及に伴い、従来のニッカド電池やニッケル水素電池に比べ、高容量型のリチウムイオン二次電池の使用が急速に増大している。
【0003】
リチウムイオン二次電池は、高エネルギーを貯蔵しているが故に異常が発生したときの安全対策が重視されている。従来二次電池では異常により電池内圧が上昇したときに圧力を開放する安全弁が使用されてきたが、特開平2−112151号公報では、電池内圧により変形する防爆弁に電極リード遮断用ストリッパーを接触して取り付け、所定の内圧になったときにリードが防爆弁より剥離して電流を遮断する方法が記載されている。実用化されたリチウムイオン二次電池も圧力開放用の防爆弁体と、電流遮断装置が連動する構成となっているものが主流である。
【0004】
しかしながら、高温の環境下等で電流遮断装置が作動したり、電解液が漏れたりするトラブルがあり、より安定な安全装置の作動が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、保存安定性に優れ、良好なサイクル性を有する、高容量の密閉型非水電解質二次電池を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、リチウム含有金属酸化物を主体とした層を有する正極シートと、リチウムを吸蔵・放出可能な負極材料を主体とした層を有する負極シートと、リチウム塩を含む非水電解液と、セパレーターとからなる非水電解液二次電池において、密閉型非水電解液二次電池は、該正極シート、負極シートおよびセパレーターを積層もしくは巻回して電池缶に挿入し、該非水電解液を注入し、電池缶を封口した後の電池内部の空間体積(V1)と電解液を注入しない時の空間体積(V2)との比率((V1/V2)の百分率)が2%〜30%であり、該電解液中の水分の量が0.1〜500ppmであり、さらに、該電池缶内に圧力感応式の電流遮断装置を有し、該電流遮断装置は防爆弁と電流遮断スイッチを含み、電池内圧が10〜15kgf/cm に上昇すると該防爆弁の防爆弁体が変形して該電流遮断スイッチが電流を遮断することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい態様について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0008】
▲1▼ リチウム含有金属酸化物を主体とした層を有する正極シート、リチウムを吸蔵・放出可能な負極材料を主体とした層を有する負極シート、リチウム塩を含む非水電解液、及びセパレーターを有する非水電解液二次電池において、該正極シート、負極シートおよびセパレーターを積層もしくは巻回して電池缶に挿入し、該非水電解液を注入し、電池缶を封口した後の電池内部の空間体積が、非水電解液を注入しない時の空間体積の2%以上、30%以下であることを特徴とする密閉型非水電解液二次電池。
【0009】
▲2▼ さらに、電池缶内に、圧力感応式の電流遮断装置を有することを特徴とする項1に記載の密閉型非水電解液二次電池。
【0010】
▲3▼ 該負極シートが少なくとも1層のリチウムを吸蔵・放出可能な負極材料を主体とした層を有し、該負極シートは、電池組立前に220℃に2時間曝したときの重量変動が0.6%以下であることを特徴とする項1または2に記載の密閉型非水電解液二次電池。
【0011】
▲4▼ 該負極シートが少なくとも1層のリチウムを吸蔵・放出可能な負極材料を主体とした層と、少なくとも1層の導電性粒子を含む補助層を有し、該補助層上にリチウムを主体とした金属箔が重ね合わされていることを特徴とする項1〜3のいずれかに記載の密閉型非水電解液二次電池。
【0012】
▲5▼ 該負極材料が錫を含む複合酸化物または複合カルコゲナイドであることを特徴とする項1〜4のいずれかに記載の密閉型非水電解液二次電池。
【0013】
▲6▼ 該錫を含む複合酸化物が次の一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする項5に記載の密閉型非水電解液二次電池。
SnMa z 一般式(1)
式中、MはAl,B,P,Si,Ge,周期律表第1族元素、第2族元素、第3族元素、ハロゲン元素から選ばれる2種以上の元素を表し、aは0.2以上2以下の数を表1、zは1以上、6以下の数を表す。
【0014】
以下に本発明の実施例の形態について詳述する。
図1は、シリンダ型電池の断面図である。電池の形状はシリンダ、角のいずれにも適用できる。巻芯をシリンダ形にすれば、シリンダ型電池を製造することができ、巻芯を角形にすれば、角型電池を製造することができる。電池は、セパレーター4と共に巻回した正極シート3と負極シート2を電池缶1に挿入し、電池缶1と負極シート2を電気的に接続し、電解液を注入し封口して形成する。端子キャップ13は正極端子を兼ね、ガスケット7を介して電池缶1の上部口に嵌合される。正極シート3は、正極リード8、溶接プレート15、防爆弁体9、電流遮断スイッチ10、正温度係数抵抗(以下、PTCという)リング11を介して端子キャップ13に電気的に接続される。
【0015】
封口体は、上から順に端子キャップ13、PTCリング11、電流遮断スイッチ10、防爆弁体9が重ねられ、ガスケット7に嵌入支持される。端子キャップ13は、電池の表面露出部分であり、防爆弁体9は電池内側である。絶縁カバー16は、防爆弁体9の上側の表面を覆う。電流遮断スイッチ10は、第一導通体10aと第二導通体10bと絶縁リング10cを有する。
【0016】
電極群は、正極シート3と負極シート2を、間にセパレータ4を挟んで巻回したものである。その電極群と防爆弁体9の間に、上部絶縁板6が配置される。上部絶縁板6は、電極群と封口体を絶縁すると共に、電極群と電池缶1を絶縁する。電極群と電池缶1の間に下部絶縁板5を配置し、電極群と電池缶1を絶縁する。
【0017】
PTCリング11は電池内温度が上昇すると抵抗が増大して電流を遮断する機能をもつ。電流遮断スイッチ10は、第一導通体10aと絶縁リング10cと第二導通体10bの積層構造体であり、第一導通体10aは防爆弁体9側に配置され貫通孔を有し、第二導通体10bはPTCリング11側すなわち端子キャップ13側に配置され貫通孔を有する構造である。第一導通体10aと第二導通体10bとは中央部で電気的に接続され、該第一導通体10aの該接続部の周囲に肉薄部を有している。防爆弁体9は、内圧上昇時に電極群側とは反対側へ変形できるもので、上記した第一導通体10aの中央接続部を押し上げることができるものであれば良い。電池内の異常反応により、内圧が上昇すると防爆弁体9が変形して電流遮断スイッチ10の第一導通体10aと第二導通体10bの接続部分を破断して電流を遮断し、さらに圧力が増加すると防爆弁体9の肉薄部が破壊して圧力を放出する。この時電流遮断スイッチ10を防爆弁体9の電極群側とは反対側に配置しているので、遮断部においてスパークが生じても、電解液蒸気への引火を原因とする電池の破裂が防止される。
【0018】
非水二次電池に用いられる正・負極は、正極合剤あるいは負極合剤を集電体上に塗設、成形して作ることができる。正極あるいは負極合剤には、それぞれ正極活物質あるいは負極材料の他、それぞれに導電剤、結着剤、分散剤、フィラー、イオン導電剤、圧力増強剤や各種添加剤を含むことができる。
【0019】
電極(正極3又は負極2)中の空隙の割合は電池性能に大きく影響することが知られている。特にリチウム非水電解質二次電池のように電解液に非水溶媒を用いた電池においては、適切な放電容量とサイクル特性を得るために空隙率を制御することが重要である。
【0020】
空隙率を制御するには電極合剤中の活物質や導電材、結着剤等の大きさや配合率を調節する方法があるが配合率の変更は電極活物質の量を変えることになるので好ましくない。そのため、機械的な圧縮により空隙率を変更する方法が用いられている。
【0021】
電極の空隙率は10%から40%に設定することが好ましい。空隙率を制御する方法としては集電体に電極合剤を塗布した後に加圧する方法、特にロールプレスによる圧縮が好ましい。
【0022】
圧縮後の空隙率は10%以上40%以下が好ましく、15%以上30%以下が特に好ましい。10%以下では、非水電解液の電極中への浸透が遅くなり、40%以上では電池の放電時の容積エネルギー密度が低下する。ここでの空隙率の値は、電極上の合剤層全面についての平均値である。
密閉型電池の電解液を注入しないときの空間体積(以下V2 と略す)は、電池缶1と密閉用の封口部で形成される空間に於いて電解液を注入しないときの空間の体積を指す。図1に示した円筒型の密閉型電池では、番号9の防爆弁体と番号7のガスケットと番号1の電池缶で構成される電池内容積から、巻回電極群および絶縁板5、6等の構成部材の容積を除いた空間の体積である。V2 は、巻回電極群と構成部材を電池缶1に挿入した後、電解液は注入せずに、電池缶1と防爆弁体9を含む封口体でカシメ封口したものを常温下、流動パラフィン(JIS規格K9003の特級品)中に浸漬し、付着気泡を除いた後分解し空気を補集してその体積を測ることにより求めることができる。流動パラフィンは、例えば市販品として、和光純薬製の流動パラフィンを使うことができる。V2 は、巻回電極群の電極2、3やセパレーター4の間の空間、多孔性の電極やセパレーターが有する孔(空隙)に起因する空間をも含む。セパレーター4や電極の空隙中に空気を流動パラフィンで置換するために、揺動処理や超音波振動処理を行ってから、上記の体積を測ることが好ましい。
【0023】
電解液注入後の電池内部の空間体積(以下V1 と略す)は、電解液を注入し封口して電池を作製した後に電池内部にできる空間であり、V2 と同様の方法によって測定することができる。
【0024】
1 とV2 の比率(V1 /V2 比、%で表す)は、2〜30%が好ましく、3〜27%がより好ましく、4〜24%が特に好ましい。2%より小さいときは、保存時に環境温度上昇等のわずかな変動に対して電池内の圧力が過度に増加し、封口部が破壊される場合がある。30%より大きい場合は、電池内で異常反応が発生したときに、上記の電流遮断装置(防爆弁体9と電流遮断スイッチ10を含む)が作動しない場合がある。
【0025】
電池内圧が10〜15kgf/cm2 に上昇すると防爆弁体9が変形して電流遮断スイッチ10が電流を遮断する。さらに、電池内圧が約30kgf/cm2 に上昇すると防爆弁体9が破壊されて電池内圧力が放出される。この電流遮断装置を上記の圧力で作動させるためには、V1 /V2 を上記の値に設定する必要がある。
【0026】
上記の圧力感応式の電流遮断装置は、電池内圧に応じて電流が遮断されるものであればいずれも適用できる。先に述べた特開平2−112151号記載の遮断装置は、電流が遮断される部位が電解液もしくは電解液の蒸気に接する位置にあるため、特開平9−92334号に記載される構造の方が好ましい。特開平9−92334号に記載される遮断装置は、電池内圧に応じて変形する突起を有する皿状の防爆弁体と、弁体突起に押し上げられて破断する電流遮断装置(電流遮断スイッチ)から構成されている。
【0027】
電池内部の水分は電解液を分解させると考えられている。従って、水分の過剰な存在は、上記の好ましい空間体積比(V1 /V2 )であっても、電解液の分解ガスを発生させ、電池内圧を徐々に上昇させ漏液や電流遮断装置の早期作動の原因となる。
【0028】
負極シートは、水分をできるだけ含まないことが望ましい。このため、負極シートは塗布、乾燥、プレス成形後、200〜250℃の熱処理が5分から2時間行われる。熱処理により脱水された負極シートは、露点がマイナス50℃以下の乾燥空気中で扱われ、電池の組立幅(図1の垂直方向の距離)にスリットされ、電池組立まで保存される。電池組立前にさらに170〜230℃で10分から3時間脱水処理されることが好ましい。この時脱水処理ゾーンに送り込まれる空気は露点がマイナス50℃以下の乾燥空気であることが好ましい。電池組立前に電極を加熱したときの重量減量は、電池組立前に、上記の乾燥空気中で常圧にて220℃に2時間曝したときの重量変動が0.6%以下であることが好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.4%以下が特に好ましい。重量減量が0.6%より大きいときは、保存時に環境温度等の変動により封口部が破壊され、電解液の漏れ等の故障が起こりやすい。
【0029】
負極シートは、集電体上に負極材料と結着剤、導電剤等からなる負極合剤を塗布して得られる。
【0030】
負極材料としては、リチウムイオンを吸蔵・放出できる化合物であればよい。このような負極材料の例としては金属リチウム、リチウム合金、炭素質化合物、無機酸化物、無機カルコゲン化合物、金属錯体、有機高分子化合物が挙げられる。これらは単独でも、組み合わせて用いてもよい。
【0031】
負極材料として周期表1,2,13,14,15族原子から選ばれる三種以上の原子を含む主として非晶質カルコゲン化合物または非晶質酸化物が特に好ましく用いられる。ここで言う主として非晶質とはCuKα線を用いたX線回折法で2θ値で20°から40°に頂点を有するブロードな散乱帯を有する物であり、結晶性の回折線を有してもよい。
【0032】
好ましくは2θ値で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線の内最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下に見られるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の500倍以下であることが好ましく、さらに好ましくは100倍以下であり、特に好ましくは5倍以下であり、最も好ましくは 結晶性の回折線を有さないことである。
【0033】
上記のカルコゲン化合物、酸化物は、B,Al,Ga,In,Tl,Si,Ge,Sn,Pb,P,As,Sb,Biの中の2種以上の元素を主体とする複合カルコゲン化合物、複合酸化物がより好ましい。特に好ましいのは、B,Al,Si,Ge,Sn,Pの中の2種以上の元素を主体とする複合カルコゲン化合物もしくは酸化物である。これらの複合カルコゲン化合物、複合酸化物は、主として非晶質構造を修飾するために周期律表の1族から2族の元素から選ばれた少なくとも1種の元素を含む。
【0034】
上記の負極材料の中で、Snを主体とする非晶質の複合酸化物が好ましく、次の一般式(1)で表される。
【0035】
SnMa z 一般式(1)
式中、MはAl,B,P,Si,Ge,周期律表第1族元素、第2族元素、第3族元素、ハロゲン元素から選ばれる2種以上の元素を表し、aは0.2以上2以下の数を、zは1以上、6以下の数を表す。
【0036】
上記の非晶質複合酸化物は、焼成法、溶液法のいずれの方法も採用することができるが、焼成法がより好ましい。焼成法では、一般式(1)に記載された元素の酸化物あるいは化合物をよく混合した後、焼成して非晶質複合酸化物を得るのが好ましい。
【0037】
焼成条件としては、昇温速度は毎分5℃以上200℃以下であることが好ましく、かつ焼成温度としては500℃以上1500℃以下であることが好ましく、かつ焼成時間としては1時間以上100時間以下であることが好ましい。且つ、降温速度としては毎分2℃以上107 ℃以下であることが好ましい。
【0038】
上記の昇温速度とは「焼成温度(℃表示)の50%」から「焼成温度(℃表示)の80%」に達するまでの温度上昇の平均速度であり、上記の降温速度とは「焼成温度(℃表示)の80%」から「焼成温度(℃表示)の50%」に達するまでの温度降下の平均速度である。
【0039】
降温は焼成炉中で冷却してもよくまた焼成炉外に取り出して、例えば水中に投入して冷却してもよい。またセラミックスプロセッシング(技報堂出版1987)217頁記載のgun法・Hammer−Anvil法・slap法・ガスアトマイズ法・プラズマスプレー法・遠心急冷法・melt drag法などの超急冷法を用いることもできる。またニューガラスハンドブック(丸善1991)172頁記載の単ローラー法、双ローラ法を用いて冷却してもよい。焼成中に溶融する材料の場合には、焼成中に原料を供給しつつ焼成物を連続的に取り出してもよい。焼成中に溶融する材料の場合には融液を攪拌することが好ましい。
【0040】
焼成ガス雰囲気は好ましくは酸素含有率が5体積%以下の雰囲気であり、さらに好ましくは不活性ガス雰囲気である。不活性ガスとしては例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、キセノン等が挙げられる。最も好ましい不活性ガスは純アルゴンである。
【0041】
上記の化合物の平均粒子サイズは0.1〜60μmが好ましい。より詳しくは、平均粒径が0.7〜25μmであり、かつ全体積の60%以上の粒径が0.5〜30μmであることが好ましい。また、負極活物質の粒径1μm以下の粒子群の占める体積は全体積の30%以下であり、かつ粒径20μm以上の粒子群の占める体積が全体積の25%以下であることが好ましい。使用する材料の粒径は、負極の片面の合剤厚みを越えないものであることはいうまでもない。
【0042】
所定の粒子サイズにするには、良く知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことが出来る。所望の粒径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いることができる。
【0043】
平均粒径とは一次粒子のメジアン径のことであり、レーザー回折式の粒度分布測定装置により測定される。
【0044】
また、負極材料の比表面積は、BET比表面積測定法での測定値が0.1〜5m2 /gであることが好ましい。
【0045】
負極材料の例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
SnAl0.4 0.5 0.5 0.1 3.65、SnAl0.4 0.5 0.5 Na0.2 3.7
SnAl0.4 0.3 0.5 Rb0.2 3.4 、SnAl0.4 0.5 0.5 Cs0.1 3.65
SnAl0.4 0.5 0.5 0.1 Ge0.053.85、SnAl0.4 0.5 0.5 0.1 Mg0.1 Ge0.023.83、SnAl0.4 0.4 0.4 3.2 、SnAl0.3 0.5 0.2 2.7
SnAl0.3 0.5 0.2 2.7 、SnAl0.4 0.5 0.3 Ba0.08Mg0.083.26、SnAl0.4 0.4 0.4 Ba0.083.28、SnAl0.4 0.5 0.5 3.6 、SnAl0.4 0.5 0.5 Mg0.1 3.7
【0046】
SnAl0.5 0.4 0.5 Mg0.1 0.2 3.65、SnB0.5 0.5 Li0.1 Mg0.1 0.2 3.05、SnB0.5 0.5 0.1 Mg0.1 0.2 3.05、SnB0. 5 0.5 0.05Mg0.050.1 3.03、SnB0.5 0.5 0.05Mg0.1 0.2 3.03、SnAl0.4 0.5 0.5 Cs0.1 Mg0.1 0.2 3.65、SnB0.5 0.5 Cs0.05Mg0.050.1 3.03、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.1 3.05、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.2 3 、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.063.07、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.143.03、SnPBa0.083.58、SnPK0.1 3.55、SnPK0.05Mg0.053.58、SnPCs0.1 3.55、SnPBa0.080.083.54、SnPK0.1 Mg0.1 0.2 3.55、SnPK0.05Mg0.050.1 3.53、SnPCs0.1 Mg0.1 0.2 3.55、SnPCs0.05Mg0.050.1 3.53
【0047】
Sn1.1 Al0.4 0.2 0.6 Ba0.080.083.54、Sn1.1 Al0.4 0.2 0.6 Li0.1 0.1 Ba0.1 0.1 3.65、Sn1.1 Al0.4 0.4 0.4 Ba0.083.34
Sn1.1 Al0.4 PCs0.054.23、Sn1.1 Al0.4 PK0.054.23、Sn1.2 Al0.5 0.3 0.4 Cs0.2 3.5 、Sn1.2 Al0.4 0.2 0.6 Ba0.083.68、Sn1.2 Al0.4 0.2 0.6 Ba0.080.083.64、Sn1.2 Al0.4 0.2 0.6 Mg0.04Ba0.043.68、Sn1.2 Al0.4 0.3 0.5 Ba0.083.58、Sn1.3 Al0.3 0.3 0.4 Na0.2 3.3 、Sn1.3 Al0.2 0.4 0.4 Ca0.2 3.4 、Sn1.3 Al0.4 0.4 0.4 Ba0.2 3.6 、Sn1.4 Al0.4 PK0.2 4.6 、Sn1.4 Al0.2 Ba0.1 PK0.2 4.45、Sn1.4 Al0.2 Ba0.2 PK0.2 4.6 、Sn1.4 Al0.4 Ba0.2 PK0.2 Ba0.1 0.2 4.9 、Sn1.4 Al0.4 PK0.3 4.65、Sn1.5 Al0.2 PK0.2 4.4 、Sn1.5 Al0.4 PK0.1 4.65、Sn1.5 Al0.4 PCs0.054.63、Sn1.5 Al0.4 PCs0.05Mg0.1 0.2 4.63
【0048】
SnSi0.5 Al0.1 0.2 0.1 Ca0.4 3.1 、SnSi0.4 Al0.2 0.4 2.7
SnSi0.5 Al0.2 0.1 0.1 Mg0.1 2.8 、SnSi0.6 Al0.2 0.2 2.8
SnSi0.5 Al0.3 0.4 0.2 3.55、SnSi0.5 Al0.3 0.4 0.5 4.30
SnSi0.6 Al0.1 0.1 0.3 3.25、SnSi0.6 Al0.1 0.1 0.1 Ba0.2 2.95
SnSi0.6 Al0.1 0.1 0.1 Ca0.2 2.95、SnSi0.6 Al0.4 0.2 Mg0.1 3.2 、SnSi0.6 Al0.1 0.3 0.1 3.05、SnSi0.6 Al0.2 Mg0.2 2.7 、SnSi0.6 Al0.2 Ca0.2 2.7 、SnSi0.6 Al0.2 0.2 3 、SnSi0.6 0.2 0.2 3 、SnSi0.8 Al0.2 2.9 、SnSi0.8 Al0.3 0.2 0.2 3.85、SnSi0.8 0.2 2.9 、SnSi0.8 Ba0.2 2.8 、SnSi0.8 Mg0.2 2.8 、SnSi0.8 Ca0.2 2.8 、SnSi0.8 0.2 3.1
【0049】
Sn0.9 Mn0.3 0.4 0.4 Ca0.1 Rb0.1 2.95、Sn0.9 Fe0.3 0.4 0.4 Ca0.1 Rb0.1 2.95、Sn0.8 Pb0.2 Ca0.1 0.9 3.35、Sn0.3 Ge0.7 Ba0.1 0.93.35、Sn0.9 Mn0.1 Mg0.1 0.9 3.35、Sn0.2 Mn0.8 Mg0.1 0.9 3.35、Sn0.7 Pb0.3 Ca0.1 0.9 3.35、Sn0.2 Ge0.8 Ba0.1 0.9 3.35
【0050】
SnSi0.8 0.2 2.9 、SnSi0.7 0.3 2.85、SnSi0.7 0.3 Al0.1 3.0 、SnSi0.5 0.3 Al0.1 Mg0.1 2.7 、Sn0.8 Si0.6 0.2 Al0.1 Li0.1 2.5 、Sn0.8 Si0.6 0.2 Al0.1 Cs0.1 2.65、Sn0.8 Si0.7 0.1 0.1 Al0.1 2.75、Sn0.8 Si0.5 0.3 0.2 Al0.1 2.9 、Sn0.8 Si0.7 0.1 0.1 Al0.1 Li0.052.78、Sn0.8 Si0.5 0.3 0.1 Al0.1 Li0.1 2.7 、Sn0.8 Si0.5 0.3 0.2 Al0.1 Cs0.1 2.95、Sn0.8 Si0.7 0.3 2.95、Sn0.8 Si0.7 0.3 Al0.1 3.1 、SnSi0.5 0.3 Zr0.1 2.65
Sn0.8 Si0.6 0.2 Zr0.1 2.7 、Sn0.8 Si0.6 0.2 0.1 Zr0.1 2.75
【0051】
上記焼成されて得られた化合物の化学式は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の重量差から算出できる。
【0052】
負極材料には軽金属、特にリチウムを挿入して用いることができる。リチウムの挿入方法には、電気化学的方法、化学的方法、熱的方法等がある。特に好ましいのは電気化学的方法であり、例えば集電体の負極合剤の未塗布部や負極合剤層上にリチウムを主体とした金属の小片を貼り付け、電解液と接触させることによって挿入できる。特に電池内で電気化学的にリチウムを挿入する方法が好ましく、後述の補助層を介してリチウムを貼り付け、電解液を接触させる方法である。リチウムを主体とした金属の小片は、厚みが5〜200μmの箔を短冊状等の小片にして貼り付けるのが好ましい。
【0053】
リチウムの挿入は、リチウムを対極としたときに0.01Vまで挿入することができ、より好ましくは0.05Vまで挿入できる。特に好ましい方法は、負極材料の有する不可逆容量を補償するためにリチウムを部分的に挿入する方法であり、リチウムを対極としたときに0.3Vまで挿入する方法である。
【0054】
より具体的なリチウムの挿入量としては、負極材料1g当たり0.005g〜0.5g、より好ましくは0.03g〜0.2g、特に好ましくは0.06g〜0.15gである。負極材料が金属酸化物の場合は、金属酸化物1モル当たりの当量で0.5〜4.0当量であり、さらに好ましくは1〜3.5当量であり、特に好ましくは1.2〜3.2当量である。1.2当量よりも少ないリチウムを負極材料に予備挿入した場合には電池容量が低く、また3.2当量より多くのリチウムを予備挿入した場合にはサイクル性劣化があり、それぞれ好ましくない。
【0055】
リチウム挿入量は、負極シート上に重ね合せるリチウムの量によって任意に制御することが可能である。リチウムを主体とした金属としてはリチウム金属を用いることが好ましいが、純度90重量%以上のものが好ましく、98重量%以上のものが特に好ましい。負極シート上のリチウムの重ね合せパターンとしてはシート全面に重ね合わせることが好ましいが、負極材料に予備挿入されたリチウムはエージングによって徐々に負極材料中に拡散するため、シート全面ではなくストライプ、枠状、円板状のいずれかの部分的重ね合わせも好ましい。ここで言う重ね合せとは負極合剤および補助層を有するシート上に直接リチウムを主体とした金属箔を圧着することを意味する。
【0056】
負極シートにおける金属箔重ね合せの被覆率は10〜100%が好ましいが、15〜100%がより好ましく、20〜100%が特に好ましい。20%以下の場合は、リチウムの予備挿入が不均一となる場合もあり好ましくない。さらに、均一性の観点からリチウムを主体とした金属箔の厚さは5〜150μmであることが好ましく、5〜100μmがさらに好ましく、10〜75μmが特に好ましい。
【0057】
リチウムを主体とした金属箔の切断、貼り付け等のハンドリング雰囲気は露点−30℃以下−80℃以上のドライエアー又はアルゴンガス雰囲気下が好ましい。ドライエアーの場合は−40℃以下−80℃以上がさらに好ましい。また、ハンドリング時には炭酸ガスを併用してもよい。特にアルゴンガス雰囲気の場合は炭酸ガスを併用することが好ましい。
【0058】
次に、正極を説明する。正極活物質は、リチウム含有遷移金属酸化物が好ましい。リチウム含有遷移金属酸化物は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Wから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムと遷移金属のモル比が0.3乃至2.2の化合物である。
【0059】
より好ましくは、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムと遷移金属のモル比が0.3乃至2.2の化合物である。なお主として存在する遷移金属に対し30モルパーセント未満の範囲でAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを含有していても良い。
【0060】
さらに好ましいリチウム含有遷移金属酸化物は、Lix CoO2 、Lix NiO2 、Lix MnO2 、Lix Coa Ni1-a 2 、Lix Cob 1-b z 、Lix Cob Fe1-b 2 、Lix Mn24 、Lix Mnc Co2-c 4 、Lix Mnc Ni2-c 4 、Lix Mnc 2-c 4 、Lix Mnc Fe2-c 4 (ここでx=0.02〜1.2、a=0.1〜0.9、b=0.8〜0.98、c=1.6〜1.96、z=2.01〜2.3)である。
【0061】
最も好ましいリチウム含有遷移金属酸化物としては、Lix CoO2 、Lix NiO2 、Lix MnO2 、Lix Coa Ni1-a 2 、Lix Mn24 、Lix Cob 1-b z (x=0.02〜1.2、a=0.1〜0.9、b=0.9〜0.98、z=2.01〜2.3)があげられる。なおxの値は充放電開始前の値であり、充放電により増減する。
【0062】
正極活物質は、リチウム化合物と遷移金属化合物を混合、焼成する方法や溶液反応により合成することができるが、特に焼成法が好ましい。
【0063】
焼成の為の詳細は、特開平6−60、867号の段落35、特開平7−14、579号等に記載されており、これらの方法を用いることができる。焼成によって得られた正極活物質は水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。
【0064】
更に、遷移金属酸化物に化学的にリチウムイオンを挿入する方法としては、リチウム金属、リチウム合金やブチルリチウムと遷移金属酸化物と反応させることにより合成する方法であっても良い。
【0065】
正極活物質の平均粒子サイズは特に限定されないが、0.1〜50μmが好ましい。0.5〜30μmの粒子の体積が95%以上であることが好ましい。粒径3μm以下の粒子群の占める体積が全体積の18%以下であり、かつ15μm以上25μm以下の粒子群の占める体積が、全体積の18%以下であることが更に好ましい。比表面積としては特に限定されないが、BET法で0.01〜50m2 /gが好ましく、特に0.2m2 /g〜1m2 /gが好ましい。また正極活物質5gを蒸留水100mlに溶かした時の上澄み液のpHとしては7以上12以下が好ましい。
【0066】
正極活物質を焼成によって得る場合、焼成温度としては500〜1500℃であることが好ましく、さらに好ましくは700〜1200℃であり、特に好ましくは750〜1000℃である。焼成時間としては4〜30時間が好ましく、さらに好ましくは6〜20時間であり、特に好ましくは6〜15時間である。
【0067】
電極合剤に使用される導電剤は、構成された電池において化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよい。具体例としては、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛等の天然黒鉛、石油コークス、石炭コークス、セルロース類、糖類、メソフェーズピッチ等の高温焼成体、気相成長黒鉛等の人工黒鉛等のグラファイト類、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、アスファルトピッチ、コールタール、活性炭、メソフューズピッチ、ポリアセン等の炭素材料、金属繊維等の導電性繊維類、銅、ニッケル、アルミニウム、銀等の金属粉類、酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー類、酸化チタン等の導電性金属酸化物等を挙げる事ができる。これらの中では、グラファイトやカーボンブラックが好ましく、粒子の大きさは、0.01μm以上、20μm以下が好ましく、0.02μm以上、10μm以下の粒子がより好ましい。これらは単独で用いても良いし、混合物として用いても良い。
【0068】
導電剤の電極合剤層への添加量は、負極材料または正極材料に対し6〜50重量%であることが好ましく、特に6〜30重量%であることが好ましい。カーボンブラックやグラファイトでは、6〜20重量%であることが特に好ましい。
【0069】
電極合剤を保持するために結着剤を用いる。結着剤の例としては、多糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマー等が挙げられる。好ましい結着剤としては、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸Na、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸Na、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレンーマレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、アクリロニトリルーブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンを挙げることが出来る。
【0070】
特にポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。これらの結着剤は、微小粉末を水に分散したものを用いるのが好ましく、分散液中の粒子の平均サイズが0.01〜5μmのものを用いるのがより好ましく、0.05〜1μmのものを用いるのが特に好ましい。
【0071】
これらの結着剤は単独または混合して用いることが出来る。結着剤の添加量が少ないと電極合剤の保持力・凝集力が弱い。多すぎると電極体積が増加し電極単位体積あるいは単位重量あたりの容量が減少する。このような理由で結着剤の添加量は1〜30重量%が好ましく、特に2〜10重量%が好ましい。
【0072】
充填剤(フィラー)は、構成された電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維が用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0〜30重量%が好ましい。
【0073】
イオン導電剤は、無機及び有機の固体電解質として知られている物を用いることができ、詳細は電解液の項に記載されている。
【0074】
圧力増強剤は、電池の内圧を上げる化合物であり、炭酸リチウム等の炭酸塩が代表例である。
【0075】
正極集電体はアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金であり、負極集電体は銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金である。集電体の形態は箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル、もしくは金網である。特に、正極集電体にはアルミニウム箔、負極集電体には銅箔が好ましい。
【0076】
次に、正負電極の構成について説明する。正負電極は集電体の両面に電極合剤を塗布した形態であることが好ましい。この場合、片面あたりの層数は1層であっても2層以上から構成されていても良い。片面あたりの層の数が2以上である場合、正極活物質(もしくは負極材料)含有層が2層以上であっても良い。より好ましい構成は、正極活物質(もしくは負極材料)を含有する層と正極活物質(もしくは負極材料)を含有しない層から構成される場合である。
【0077】
正極活物質(もしくは負極材料)を含有しない層には、正極活物質(もしくは負極材料)を含有する層を保護するための保護層、分割された正極活物質(もしくは負極材料)含有層の間にある中間層、正極活物質(もしくは負極材料)含有層と集電体との間にある下塗り層等があり、本明細書においてはこれらを総称して補助層と言う。
【0078】
特に好ましいのは保護層を有する構成である。保護層は正負電極の両方または正負電極のいずれかにあることが好ましい。負極において、リチウムを電池内で負極材料に挿入する場合は負極は保護層を有する形態であることが望ましい。保護層は、少なくとも1層からなり、同種又は異種の複数層により構成されていても良い。また、集電体の両面の合剤層の内の片面にのみ保護層を有する形態であっても良い。これらの保護層は、水不溶性の粒子と結着剤等から構成される。結着剤は、前述の電極合剤を形成する際に用いられる結着剤を用いることが出来る。水不溶性の粒子としては、種種の導電性粒子、実質的に導電性を有さない有機及び無機の粒子を用いることができる。水不溶性粒子の水への溶解度は、100ppm以下、好ましくは不溶性のものが好ましい。
【0079】
保護層に含まれる粒子の割合は2.5重量%以上、96重量%以下が好ましく、5重量%以上、95重量%以下がより好ましく、10重量%以上、93重量%以下が特に好ましい。
【0080】
水不溶性の導電性粒子としては、金属、金属酸化物、金属繊維、炭素繊維、カーボンブラックや黒鉛等の炭素粒子を挙げることが出来る。これらの水不溶導電性粒子の中で、アルカリ金属特にリチウムとの反応性が低いものが好ましく、金属粉末、炭素粒子がより好ましい。粒子を構成する元素の20℃における電気抵抗率としては、5×109 Ω・m以下が好ましい。
【0081】
金属粉末としては、リチウムとの反応性が低い金属、即ちリチウム合金を作りにくい金属が好ましく、具体的には、銅、ニッケル、鉄、クロム、モリブデン、チタン、タングステン、タンタルが好ましい。これらの金属粉末の形は、針状、柱状、板状、塊状のいずれでもよく、最大径が0.02μm以上、20μm以下が好ましく、0.1μm以上、10μm以下がより好ましい。これらの金属粉末は、表面が過度に酸化されていないものが好ましく、酸化されているときには還元雰囲気で熱処理することが好ましい。
【0082】
炭素粒子としては、電極活物質が導電性でない場合に併用する導電材料として用いられる公知の炭素材料を用いることが出来る。具体的には電極合剤を作る際に用いられる導電剤が用いられる。
【0083】
実質的に導電性を持たない水不溶性粒子としては、テフロンの微粉末、SiC、窒化アルミニウム、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ムライト、フォルステライト、ステアタイトを挙げることが出来る。これらの粒子は、導電性粒子と併用してもよく、導電性粒子の0.01倍以上、10倍以下で使うと好ましい。
【0084】
正(負)の電極シートは正(負)極の合剤を集電体の上に塗布、乾燥、圧縮する事により作成する事ができる。
【0085】
合剤の調製は正極活物質(あるいは負極材料)および導電剤を混合し、結着剤(樹脂粉体のサスペンジョンまたはエマルジョン状のもの)、および分散媒を加えて混練混合し、引続いて、ミキサー、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリミキサー、ペイントシェイカー、サンドミル等の攪拌混合機、分散機で分散して行うことが出来る。分散媒としては水もしくは有機溶媒が用いられるが、水が好ましい。このほか、適宜充填剤、イオン導電剤、圧力増強剤等の添加剤を添加しても良い。分散液のpHは負極では5〜10、正極では7〜12が好ましい。
【0086】
塗布は種々の方法で行うことが出来るが、例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、スライド法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法及びスクイーズ法を挙げることが出来る。エクストルージョンダイを用いる方法、スライドコーターを用いる方法が特に好ましい。塗布は、0.1〜100m/分の速度で実施されることが好ましい。この際、合剤ペーストの液物性、乾燥性に合わせて、上記塗布方法を選定することにより、良好な塗布層の表面状態を得ることが出来る。電極層が複数の層である場合にはそれらの複数層を同時に塗布することが、均一な電極の製造、製造コスト等の観点から好ましい。その塗布層の厚み、長さや巾は、電池の大きさにより決められる。典型的な塗布層の厚みは乾燥後圧縮された状態で10〜1000μmである。
【0087】
塗布後の電極シートは、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び低湿風の作用により乾燥、脱水される。これらの方法は単独あるいは組み合わせて用いることが出来る。乾燥温度は80〜350℃の範囲が好ましく、特に100〜260℃の範囲が好ましい。
【0088】
電極シートの圧縮は、一般に採用されているプレス方法を用いることが出来るが、特に金型プレス法やカレンダープレス法が好ましい。プレス圧は、特に限定されないが、10kg/cm2 〜3t/cm2 が好ましい。カレンダープレス法のプレス速度は、0.1〜50m/分が好ましい。プレス温度は、室温〜200℃が好ましい。
【0089】
セパレータは、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を持ち、絶縁性の薄膜であれば良く、材質として、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ナイロン、ガラス繊維、アルミナ繊維が用いられ、形態として、不織布、織布、微孔性フィルムが用いられる。特に、材質として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンとポリエチレンの混合体、ポリプロピレンとテフロンの混合体、ポリエチレンとテフロンの混合体が好ましく、形態として微孔性フィルムであるものが好ましい。特に、孔径が0.01〜1μm、厚みが5〜50μmの微孔性フィルムが好ましい。これらの微孔性フィルムは単独の膜であっても、微孔の形状や密度等や材質等の性質の異なる2層以上からなる複合フィルムであっても良い。例えば、ポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムを張り合わせた複合フィルムを挙げることができる。
【0090】
電解液は一般に支持塩と溶媒から構成される。リチウム二次電池における支持塩はリチウム塩が主として用いられる。
【0091】
リチウム塩としては、例えば、LiClO4 、LiBF4 、LiPF6 、LiCF3 SO3 、LiCF3 CO2 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiAlCl4 、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウムなどのLi塩を上げることが出来、これらの一種または二種以上を混合して使用することができる。なかでもLiBF4 及び/あるいはLiPF6 を溶解したものが好ましい。
【0092】
支持塩の濃度は、特に限定されないが、電解液1リットル当たり0.2〜3モルが好ましい。
【0093】
上記の溶媒としては、プロピレンカ−ボネ−ト、エチレンカーボネ−ト、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル、酢酸メチル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、ジオキサン、アセトニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒を挙げることができ、これらの一種または二種以上を混合して使用する。これらのなかでは、カーボネート系の溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネートを混合して用いるのが特に好ましい。環状カーボネートとしてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましい。また、非環状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネートが好ましい。
【0094】
電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカ−ボネ−ト、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネートあるいはジエチルカーボネートを適宜混合した電解液にLiCF3 SO3 、LiClO4 、LiBF4 および/またはLiPF6 を含む電解液が好ましい。特にプロピレンカーボネートもしくはエチレンカーボネートの少なくとも一方とジメチルカーボネートもしくはジエチルカーボネートの少なくとも一方の混合溶媒に、LiCF3 SO3 、LiClO4 、もしくはLiBF4 の中から選ばれた少なくとも一種の塩とLiPF6 を含む電解液が好ましい。これら電解液を電池内に添加する量は特に限定されず、正極材料や負極材料の量や電池のサイズに応じて用いることができる。
【0095】
また、電解液の他に次の様な固体電解質も併用することができる。
固体電解質としては、無機固体電解質と有機固体電解質に分けられる。
無機固体電解質には、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などがよく知られている。なかでも、Li3 N、LiI、Li5 NI2 、Li3 N−LiI−LiOH、Li4 SiO4 、Li4 SiO4 −LiI−LiOH、x Li3 PO4 −(1-x)Li4 SiO4 、Li2 SiS3 、硫化リン化合物などが有効である。
【0096】
有機固体電解質では、ポリエチレンオキサイド誘導体か該誘導体を含むポリマー、ポリプロピレンオキサイド誘導体あるいは該誘導体を含むポリマー、イオン解離基を含むポリマー、イオン解離基を含むポリマーと上記非プロトン性電解液の混合物、リン酸エステルポリマー、非プロトン性極性溶媒を含有させた高分子マトリックス材料が有効である。さらに、ポリアクリロニトリルを電解液に添加する方法もある。また、無機と有機固体電解質を併用する方法も知られている。
【0097】
また、放電や充放電特性を改良する目的で、他の化合物を電解質に添加しても良い。例えば、ピリジン、ピロリン、ピロール、トリフェニルアミン、フェニルカルバゾール、トリエチルフォスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライム、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノンとN, N’−置換イミダリジノン、エチレングリコールジアルキルエーテル、第四級アンモニウム塩、ポリエチレングリコ−ル、ピロール、2−メトキシエタノール、AlCl3 、導電性ポリマー電極活物質のモノマー、トリエチレンホスホルアミド、トリアルキルホスフィン、モルホリン、カルボニル基を持つアリール化合物、12−クラウンー4のようなクラウンエーテル類、ヘキサメチルホスホリックトリアミドと4−アルキルモルホリン、二環性の三級アミン、オイル、四級ホスホニウム塩、三級スルホニウム塩などを挙げることができる。特に好ましいのはトリフェニルアミン、フェニルカルバゾールを単独もしくは組み合わせて用いた場合である。
【0098】
また、電解液を不燃性にするために含ハロゲン溶媒、例えば、四塩化炭素、三弗化塩化エチレンを電解液に含ませることができる。また、高温保存に適性をもたせるために電解液に炭酸ガスを含ませることができる。
【0099】
電解液は、水分及び遊離酸分をできるだけ含有しないことが望ましい。このため、電解液の原料は充分な脱水と精製をしたものが好ましい。また、電解液の調整は、露点がマイナス30℃以下の乾燥空気中もしくは不活性ガス中が好ましい。電解液中の水分及び遊離酸分の量は、0.1〜500ppm、より好ましくは0.2〜100ppmである。
【0100】
電解液は、全量を1回で注入してもよいが、2回以上に分けて注入することが好ましい。2回以上に分けて注入する場合、それぞれの液は同じ組成でも、違う組成(例えば、非水溶媒あるいは非水溶媒にリチウム塩を溶解した溶液を注入した後、前記溶媒より粘度の高い非水溶媒あるいは非水溶媒にリチウム塩を溶解した溶液を注入)でも良い。また、電解液の注入時間の短縮等のために、電池缶を減圧したり、電池缶に遠心力や超音波をかけることを行ってもよい。
【0101】
電池缶および電池蓋は材質としてニッケルメッキを施した鉄鋼板、ステンレス鋼板(SUS304、SUS304L,SUS304N、SUS316、SUS316L、SUS430、SUS444等)、ニッケルメッキを施したステンレス鋼板(同上)、アルミニウムまたはその合金、ニッケル、チタン、銅であり、形状として、真円形筒状、楕円形筒状、正方形筒状、長方形筒状である。特に、電池缶が負極端子を兼ねる場合は、ステンレス鋼板、ニッケルメッキを施した鉄鋼板が好ましく、電池缶が正極端子を兼ねる場合は、ステンレス鋼板、アルミニウムまたはその合金が好ましい。電池缶の形状はボタン、コイン、シート、シリンダー、角などのいずれでも良い。
【0102】
電池缶の内圧上昇の対策として封口板に安全弁を用いることができる。この他、電池缶やガスケット等の部材に切り込みをいれる方法も利用することが出来る。この他、従来から知られている種々の安全素子(例えば、過電流防止素子として、ヒューズ、バイメタル、PTC素子等)を備えつけても良い。
【0103】
リード板には、電気伝導性をもつ金属(例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、銅、アルミニウム等)やそれらの合金を用いることが出来る。電池蓋、電池缶、電極シート、リード板の溶接法は、公知の方法(例、直流又は交流の電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用いることが出来る。封口用シール剤は、アスファルト等の従来から知られている化合物や混合物を用いることが出来る。
【0104】
ガスケットは、材質として、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルであり、耐有機溶媒性及び低水分透過性から、オレフィン系ポリマーまたはポリエステル系ポリマーが好ましい。特に、オレフィン系ポリマーではプロピレン主体のポリマーが好ましく、ポリプロピレンまたはプロピレンとエチレンのブロック共重合ポリマーが好ましい。ポリエステル系ポリマーではポリブチレンテレフタレートが好ましい。
【0105】
以上のようにして組み立てられた電池は、エージング処理を施すのが好ましい。エージング処理には、前処理、活性化処理及び後処理などがあり、これにより高い充放電容量とサイクル性に優れた電池を製造することができる。前処理は、電極内のリチウムの分布を均一化するための処理で、例えば、リチウムの溶解制御、リチウムの分布を均一にするための温度制御、揺動及び/または回転処理、充放電の任意の組み合わせが行われる。活性化処理は電池本体の負極に対してリチウムを挿入させるための処理で、電池の実使用充電時のリチウム挿入量の50〜120%を挿入するのが好ましい。後処理は活性化処理を十分にさせるための処理であり、電池反応を均一にするための保存処理と、判定のための充放電処理等があり、任意に組み合わせることができる。
【0106】
電池は必要に応じて外装材で被覆される。外装材としては、熱収縮チューブ、粘着テープ、金属フィルム、紙、布、塗料、プラスチックケース等がある。また、外装の少なくとも一部に熱で変色する部分を設け、使用中の熱履歴がわかるようにしても良い。
【0107】
電池は必要に応じて複数本を直列及び/または並列に組み電池パックに収納される。電池パックには正温度係数抵抗体、温度ヒューズ、ヒューズ及び/または電流遮断素子等の安全素子の他、安全回路(各電池及び/または組電池全体の電圧、温度、電流等をモニターし、必要なら電流を遮断する機能を有す回路)を設けても良い。また電池パックには、組電池全体の正極及び負極端子以外に、各電池の正極及び負極端子、組電池全体及び各電池の温度検出端子、組電池全体の電流検出端子等を外部端子として設けることもできる。また電池パックには、電圧変換回路(DC−DCコンバータ等)を内蔵しても良い。また各電池の接続は、リード板を溶接することで固定しても良いし、ソケット等で容易に着脱できるように固定しても良い。さらには、電池パックに電池残存容量、充電の有無、使用回数等の表示機能を設けても良い。
【0108】
電池は様々な機器に使用される。特に、ビデオムービー、モニター内蔵携帯型ビデオデッキ、モニター内蔵ムービーカメラ、ディジタルカメラ、コンパクトカメラ、一眼レフカメラ、レンズ付きフィルム、ノート型パソコン、ノート型ワープロ、電子手帳、携帯電話、コードレス電話、ヒゲソリ、電動工具、電動ミキサー、自動車等に使用されることが好ましい。
【0109】
【実施例】
以下に具体例をあげ、本発明をさらに詳しく説明するが、発明の主旨を越えない限り、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0110】
(実施例−1)
負極材料としてSnB0.2 0.5 0.1 Mg0.1 Ge0.1 2.8 (平均粒径7.5μm)を86重量部、導電剤としてアセチレンブラック3重量部グラファイト6重量部の割合で混合する。その混合物に結着剤としてポリ弗化ビニリデンを4重量部およびカルボキシメチルセルロース1重量部を加え、水を媒体として混練し、負極合剤スラリーを得た。該スラリーを厚さ10μmの銅箔(集電体)の両面にエクストルージョン式塗布機を使って塗設し、乾燥して負極合剤シートを得た。
【0111】
次に、α−アルミナ79重量部、グラファイト18重量部、カルボキシメチルセルロース3重量部に水を媒体として加えて混練し、補助層スラリーを得た。該スラリーを上記負極合剤シート上に塗設・乾燥後カレンダープレス機により圧縮成形して厚さ98μm、幅55mm、長さ520mmの帯状負極シート前駆体を作成した。
【0112】
この負極シート前駆体にニッケルリード板をスポット溶接した後、露点−40℃以下の空気中で230℃で30分脱水乾燥した。
【0113】
このシート両面に対して4mm×55mmに裁断した厚さ40μmのリチウム箔(純度99.5%)をそれぞれ40枚づつ圧着した。圧着はリチウム箔を一旦300mm径のポリエチレン製ローラーに転写した後、シートの両面に同時に5kg/cm2 の圧力を印加しながら行った。このとき、リチウム箔による負極シートの被覆率は40%であった。
【0114】
正極活物質としてLiCoO2 を87重量部、導電剤としてアセチレンブラック3重量部とグラファイト6重量部の割合で混合する。その混合物に結着剤としてNipo1820B(日本ゼオン製)3重量部とカルボキシメチルセルロース1重量部を加え、水を媒体として混練して正極合剤スラリーを得た。
【0115】
図1に示すように、該スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔(集電体)の両面にエクストルージョン式塗布機を使って塗設し、乾燥後カレンダープレス機により圧縮成形して厚さ260μm、幅53mm、長さ445mmの帯状の正極シート3を作成した。この正極シートの端部にアルミニウム製のリード板8を溶接した後、露点−40℃以下の乾燥空気中で230℃で30分脱水乾燥した。
【0116】
熱処理済みの正極シート3、微多孔性ポリエチレン/ポリプロピレンフィルム製セパレータ4、負極シート2及びセパレータ4の順で積層し、これを渦巻状に巻回した。
【0117】
この巻回体を負極端子を兼ねる、ニッケルめっきを施した鉄製の有底円筒型電池間1に収納した。さらに、電解質として1mol/リットルのLiPF6 (エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの2対8重量比混合液)を電池缶1内に0℃に電池缶1を冷却しながら注入した。正極端子を有する電池蓋13をガスケット7を介してかしめて高さ67mm、外径17mmの円筒型電池を作成した。なお、正極端子13は、正極シート3と、電池缶1は負極シート2と予めリード端子により接続した。電池の封口部には、防爆弁体9と電流遮断スイッチ10を含む電流遮断装置が設けられている。
【0118】
なお、電池内部の空間体積は電解液の注液量で抑制した。同じ空間体積の電池をそれぞれ20個づつ作成した。かしめを行った後、0℃で2時間、25℃で15時間エージングした後、25℃で0.4mA/cm2 で3.1Vまで定電圧充電した後、さらに50℃で2週間エージングした。その後、1mA/cm2 で4.1Vまで充電し、その後1mA/cm2 で2.8Vまで放電した。保存特性はこの電池10個を4.1Vまで再充電し、90℃にて3日間保存してブレーカー(電流遮断装置)作動の有無を調べた。また、電池10個を105℃で1日保存し、電解液の液漏れが生じているかどうかを調べた。結果を〔表1〕に示した。表中の分母は良品数を示し、分子は不良品数を示す。
【0119】
【表1】
Figure 0004081833
【0120】
〔表1〕から明らかなように、V1 /V2 が2%よりも小さい電池(水準a)は液漏れ試験で2個の不良(液漏れ)が発生した。また、V1 /V2 が30%よりも大きい電池(水準b)はブレーカー作動試験で3個の不良(ブレーカー作動)が発生した。V1 /V2 が2〜30%の電池(水準A、B、C、D)では不良の発生はなく、保存特性を満足した。
【0121】
(実施例−2)
負極材料としてSn0.8 Si0.5 0.3 0.2 Al0.1 2.9 を使用し、また電池サイズとして18650サイズ(外径18mm、高さ65mm)とした以外は(実施例−1)と全く同様にして電池を作成し、同様に保存特性を評価した。
【0122】
結果を〔表2〕に示した。表中の分母は良品数を示し、分子は不良品数を示す。
【0123】
【表2】
Figure 0004081833
【0124】
〔表2〕においても、〔表1〕と同様に、V1 /V2 が2%よりも小さい電池(水準c)は液漏れ試験で1個の不良(液漏れ)が発生した。また、V1 /V2 が30%よりも大きい電池(水準d)はブレーカー作動試験で2個の不良(ブレーカー作動)が発生した。V1 /V2 が2〜30%の電池(水準E、F、G、H)では不良の発生はなく、保存特性を満足した。V1 /V2 は2〜30%が好ましい。
【0125】
【発明の効果】
電解液を注入した封口した後の電池内部の空間体積を電解液を注入しない時の空間体積の2%以上、30%以下にすることにとより、保存特性に優れ、良好なサイクル性を有する密閉型非水電解液二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】円筒型電池の断面図である。
【符号の説明】
1 電池缶
2 負極
3 正極
4 セパレータ
5 下部絶縁板
6 上部絶縁板
7 ガスケット
8 正極リード
9 防爆弁体
10 電流遮断スイッチ
10a 第一導通体
10b 第二導通体
10c 絶縁リング
11 PTCリング
13 端子キャップ
15 溶接プレート
16 絶縁カバー

Claims (4)

  1. リチウム含有金属酸化物を主体とした層を有する正極シート
    リチウムを吸蔵・放出可能な負極材料を主体とした層を有する負極シート
    リチウム塩を含む非水電解液と、
    セパレーターとからなる非水電解液二次電池において、
    該正極シート、負極シートおよびセパレーターを積層もしくは巻回して電池缶に挿入し、該非水電解液を注入し、電池缶を封口した後の電池内部の空間体積(V1)と電解液を注入しない時の空間体積(V2)との比率((V1/V2)の百分率)が2%〜30%であり、
    該電解液中の水分の量が0.1〜500ppmであり、
    さらに、該電池缶内に圧力感応式の電流遮断装置を有し、
    該電流遮断装置は防爆弁と電流遮断スイッチを含み、
    電池内圧が10〜15kgf/cm に上昇すると該防爆弁の防爆弁体が変形して該電流遮断スイッチが電流を遮断することを特徴とする密閉型非水電解液二次電池。
  2. 該正極シート及び該負極シートは、集電体に電極合剤を塗布した後に加圧することにより、空隙率が10%以上40%以下に制御されたものであることを特徴とする請求項1記載の密閉型非水電解液二次電池。
  3. リチウム塩を含み且つ水分の量が0.1〜500ppmである該非水電解液の溶媒が、環状カーボネートと非環状カーボネートとを混合したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の密閉型非水電解液二次電池。
  4. 該正極シート及び該負極シートの両方又はいずれか一方は保護層を有し、
    該保護層に含まれる粒子が、テフロン微粉末、SiC、窒化アルミニウム、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ムライト、フォルステライト、ステアタイトのうちの少なくとも1つ以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の密閉型非水電解液二次電池。
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