JP4356154B2 - 光ファイバの製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レイリー散乱強度の低減により、伝送損失が低くされた光ファイバの製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レイリー散乱強度の低減により、伝送損失が低くされた光ファイバの製造方法として、例えば特開平10−25127号公報に記載されたものが知られている。この製造方法は、光ファイバ母材を加熱線引きして中間光ファイバを作製し、この中間光ファイバを再加熱することにより熱処理を施すものであり、再加熱によりガラスの構造緩和(原子再配列)により仮想温度(ガラス内の原子の配列状態の乱雑さが対応する温度)を下げて、レイリー散乱強度の低減を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、加熱線引きされた光ファイバを保護するため、線引き直後の光ファイバの表面にUV樹脂等を被覆しており、上述した特開平10−25127号公報に記載された光ファイバの製造方法では、再加熱時の熱により光ファイバの表面に被覆された樹脂が燃えてしまうため、光ファイバ素線の量産に適したものではない。表面に樹脂を被覆しない状態での光ファイバを再加熱することも考えられるが、光ファイバ取り扱い時の傷付き等の問題から、量産の製造方法として適用できるものではない。
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、レイリー散乱強度の低減により、伝送損失が低くされた光ファイバを製造するに際して、光ファイバ素線の量産に適用することが可能な光ファイバの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、光ファイバ素線の量産に適用することが可能な光ファイバの製造方法及び製造装置について鋭意研究を行った結果、レイリー散乱強度と線引き後の光ファイバの冷却速度との関係について、以下のような事実を新たに見出した。
【0006】
高温のガラス内では熱エネルギーにより原子は激しく振動しており、低温のガラスに比べて原子配列は乱雑な状態となっている。高温のガラスをゆっくり冷却した場合には、原子の再配列が許される温度範囲では、原子は各温度に対応した乱雑さに配列しながら冷却されるので、ガラス内の原子の乱雑さは構造緩和が進行する最低温度(1200℃程度)に対応した状態となる。しかし、高温のガラスを急激に冷却した場合には、原子配列が各温度に対応した平衡状態に達する前に冷却固定されるために、徐冷した場合に比べて原子配列は乱雑な状態となる。レイリー散乱強度は同一の物質でも原子配列が乱雑な方が大きくなり、通常、線引き後に5000〜30000℃/秒の冷却速度で冷却される光ファイバでは、バルクガラスに比べて原子配列が乱雑で、仮想温度が高い状態になっており、これが原因でレイリー散乱強度が大きくなっていると考えられる。
【0007】
一方、構造緩和に要する時間は温度が低くなるほど長くなるため、例えば1200℃程度ではその温度に数十時間維持しておかないと構造緩和が起こらない。線引き後の光ファイバは、通常0.数秒で約2000℃から400℃程度にまで冷却されるため、線引き工程中の光ファイバが冷却される短時間の間に仮想温度を低くして、1200℃に近づけるためには、1200℃よりも高温の状態で徐冷する必要がある。
【0008】
そこで、本発明者らは線引き後の光ファイバ温度及び冷却速度に着目して、純石英コアファイバの温度が、上述した構造緩和が進行する最低温度(1200℃程度)よりも高温且つ構造緩和が極めて短時間で進行する1700℃以下の1200〜1700℃になっている部分での冷却速度とレイリー散乱率との関係を調査した。その結果、純石英コアファイバの温度が1200〜1700℃となっている部分での冷却速度とレイリー散乱率との間には、図5に示されるような関係が存在していることが確認された。なお、レイリー散乱強度(I)は下記(1)式に示すように波長(λ)の4乗に反比例する性質を有しており、この時の率Aをレイリー散乱率としている。
I=A/λ4 …………… (1)
【0009】
これらの結果から、加熱線引きされた光ファイバ、特に光ファイバの温度が1200〜1700℃となっている部分のうちの所定区間での冷却速度を遅くすることにより、光ファイバのレイリー散乱強度を低減して、伝送損失を低くすることができるということが判明した。
【0010】
また、発明者らは、以下の事実についても新たに見出した。光ファイバの温度が1200〜1700℃となっている部分のうちの所定区間での冷却速度を遅くする目的で、線引き炉にて線引きされた光ファイバを加熱して徐冷する加熱炉を設けることが考えられる。しかしながら、この加熱炉を線引き炉に直結させて設けた場合には、線引き炉内にて発生するダストが加熱炉内に入り、加熱炉内の光ファイバに付着して、光ファイバのガラス径が一時的に変化する「スパイク」が発生する、あるいは、光ファイバの強度が低下するといった問題が生じる虞がある。線引き炉内に発生するダストは、▲1▼線引き炉の炉心管の消耗劣化が原因で生じるもの、▲2▼光ファイバ母材の揮発成分が再結晶して生じるもの、▲3▼光ファイバ母材の揮発成分と炉心管の構成成分との反応により生じるもの、▲4▼さらにこれらと線引き炉の炉心管内に流すガスとの反応によって生じるもの、等がある。
【0011】
一方、加熱炉を、線引き炉に直結させることなく、線引き炉との間に所定の間隔を有して設けた場合には、線引き炉を出た光ファイバが加熱炉に入るまでの間で外気の流れの乱れの影響を受けて、線引き炉と加熱炉との間にて光ファイバの冷却が不均一となり、光ファイバのガラス径が周期的に変化する「ガラス径変動」の発生、あるいは、光ファイバの曲がりの悪化といった問題が生じる虞がある。
【0012】
かかる研究結果を踏まえ、本発明に係る光ファイバの製造方法は、光ファイバ母材を加熱線引きする光ファイバの製造方法であって、第1ガスからなる雰囲気にて光ファイバ母材を加熱線引きする線引き炉と、線引き炉との間に所定の間隙を有して設けられ、線引き炉にて線引きされた光ファイバを第2ガスからなる雰囲気にて加熱して徐冷する加熱炉と、を用い、線引き炉と加熱炉との間の間隙を、第1ガス及び第2ガスが混在するガス混在層とし、線引き炉にて線引きされた光ファイバを、ガス混在層を介して加熱炉に送り、加熱炉において、線引きされた光ファイバを光ファイバの温度が1200〜1700℃の範囲内の温度であるように加熱することを特徴としている。
【0013】
本発明に係る光ファイバの製造方法では、加熱炉にて、線引きされた光ファイバを光ファイバの温度が1200〜1700℃の範囲内の温度であるように加熱するので、加熱線引きされた光ファイバのうち、光ファイバの温度が1200〜1700℃となっている部分のうちの所定区間での冷却速度が遅くなり、徐冷される。このため、光ファイバの仮想温度が低くなり、原子配列の乱雑さが低減されることになり、加熱線引きから樹脂被覆までの極めて短い間で、レイリー散乱強度を低減して伝送損失が低くされた光ファイバの製造が可能となる。線引き後の樹脂を被覆する前の光ファイバの冷却速度を制御することによりレイリー散乱強度の低減を図っているので、上述した先行技術のような再加熱のための熱処理が不要となり、光ファイバ素線の量産に極めて容易に適用することが可能となる。
【0014】
そして、加熱炉を線引き炉との間に所定の間隔を有して設け、更に、この加熱炉と線引き炉との間の間隔を、第1ガス及び第2ガスが混在するガス混在層としているため、線引き炉内にて発生するダストが加熱炉内に入ることが抑えられることになり、上述したような「スパイク」の発生、あるいは、光ファイバの強度の低下を抑制することができる。また、ガス混在層の存在により、線引き炉と加熱炉との間での外気の流れの乱れの影響が受け難くなるために、上述したような「ガラス径変動」の発生、あるいは、光ファイバの曲がりの悪化も抑制することができる。
【0015】
また、ガス混在層を外気と区画するための隔壁を設け、隔壁に、少なくとも第1ガスを排出するためのガス排出部を形成することが好ましい。このように隔壁を設けることで、外気の流れの乱れの影響が更に受け難くなり、「ガラス径変動」の発生、あるいは、光ファイバの曲がりの悪化をより一層抑制することができる。また、少なくとも第1ガスを排出するためのガス排出部を形成することで、線引き炉内にて発生するダストが加熱炉内に入ることが更に抑えられることになり、上述したような「スパイク」の発生、あるいは、光ファイバの強度の低下もより一層抑制することができる。
【0016】
また、第2ガスとして、第1ガスの熱伝導率と同等若しくは第1ガスの熱伝導率より低い熱伝導率を有するガスを用いることが好ましい。このように第2ガスとして、第1ガスの熱伝導率と同等若しくは第1ガスの熱伝導率より低い熱伝導率を有するガスを用いることにより、特に、比較的太径の光ファイバ母材を用いて線引きする場合において、安定して線引きが行えると共に、伝送損失が低くされた光ファイバの製造が可能となる。
【0017】
また、線引きされた光ファイバのガス混在層への入線温度を、1400〜1900℃の範囲内の温度とすることが好ましい。このように線引きされた光ファイバのガス混在層への入線温度を1400〜1900℃の範囲内の温度とすることにより、加熱炉にて、線引きされた高温の光ファイバが徐冷されることになり、光ファイバの伝送損失を低くすることができる。
【0018】
本発明に係る光ファイバの製造装置は、光ファイバ母材を加熱線引きする光ファイバの製造装置であって、第1ガスからなる雰囲気にて光ファイバ母材を加熱線引きする線引き炉と、線引き炉との間に所定の間隙を有して設けられ、線引きされた光ファイバを光ファイバの温度が1200〜1700℃の範囲内の温度であるように、第2ガスからなる雰囲気にて加熱する加熱炉とを有し、線引き炉と加熱炉との間の間隙が、第1ガス及び第2ガスが混在するガス混在層とされていることを特徴としている。
【0019】
本発明に係る光ファイバの製造装置では、加熱炉にて、線引きされた光ファイバを光ファイバの温度が1200〜1700℃の範囲内の温度であるように加熱するので、加熱線引きされた光ファイバのうち、光ファイバの温度が1200〜1700℃となっている部分のうちの所定区間での冷却速度が遅くなり、徐冷される。このため、光ファイバの仮想温度が低くなり、原子配列の乱雑さが低減されることになり、加熱線引きから樹脂被覆までの極めて短い間で、レイリー散乱強度を低減して伝送損失が低くされた光ファイバの製造が可能となる。線引き後の樹脂を被覆する前の光ファイバの冷却速度を制御することによりレイリー散乱強度の低減を図っているので、上述した先行技術のような再加熱のための熱処理が不要となり、光ファイバ素線の量産に極めて容易に適用することが可能となる。
【0020】
そして、加熱炉を線引き炉との間に所定の間隔を有して設け、更に、この加熱炉と線引き炉との間の間隔を、第1ガス及び第2ガスが混在するガス混在層としているため、線引き炉内にて発生するダストが加熱炉内に入ることが抑えられることになり、上述したような「スパイク」の発生、あるいは、光ファイバの強度の低下を抑制することができる。また、ガス混在層の存在により、線引き炉と加熱炉との間での外気の流れの乱れの影響が受け難くなるために、上述したような「ガラス径変動」の発生、あるいは、光ファイバの曲がりの悪化も抑制することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付しており、重複する説明は省略する。
【0022】
まず、図1を参照しながら、本発明による光ファイバの製造方法及びこの製造方法に用いられる線引き装置の実施形態を説明する。
【0023】
線引き装置1は石英系光ファイバの線引き装置であって、線引き炉11、徐冷用加熱炉21及び樹脂硬化部31を有し、これら線引き炉11、徐冷用加熱炉21及び樹脂硬化部31は光ファイバ母材2を線引きする方向(図1において、上から下)に、線引き炉11、徐冷用加熱炉21、樹脂硬化部31の順で配設されている。母材供給装置(図示せず)に保持された光ファイバ母材2を線引き炉11に供給し、線引き炉11内のヒータ12で光ファイバ母材2の下端を加熱・軟化させ、光ファイバ3を線引きする。線引き炉11の炉心管13には、第1ガス供給部14からのガス供給通路15が接続されており、線引き炉11の炉心管13内が第1ガスからなる雰囲気となるように構成されている。加熱線引きされた光ファイバ3は炉心管13内にて、1900℃程度にまで第1ガスにより冷却される。その後、光ファイバ3は、炉心管延長部16から出る。第1ガスとしては、例えばN2ガスあるいはHeガス等の不活性ガスを用いることができ、N2ガスの熱伝導率λ(T=300K)は26mW/(m・K)であり、Heガスの熱伝導率λ(T=300K)は150mW/(m・K)である。
【0024】
徐冷用加熱炉21は、線引き炉11との間に所定の間隔L1を有して設けられており、ヒータ22及び炉心管23を有している。徐冷用加熱炉21では、炉心管23内の光ファイバ3をヒータ22により加熱することで、光ファイバ3の所定箇所を、所定の冷却速度にて徐冷している。徐冷用加熱炉21における徐冷は、加熱線引きされた光ファイバ3において温度が1200〜1700℃となる部分のうち、光ファイバ3の温度差が50℃以上となる区間、例えば、光ファイバ3の温度が1400〜1600℃となる部分(温度差が200℃となる区間)が1000℃/秒以下の冷却速度で徐冷することにより行われる。なお、炉中心の温度を1300〜1600℃の範囲内の温度に設定することにより、加熱線引きされた光ファイバ3において温度が1400〜1600℃となる部分のうち、光ファイバ3の温度差が50℃以上となる区間が1000℃/秒以下の冷却速度で徐冷されることになる。
【0025】
徐冷用加熱炉21のヒータ22及び炉心管23の設置位置及び光ファイバ母材2の線引き方向(図1において、上下方向)での全長は、上述した光ファイバ3の温度が1200〜1700℃となる部分のうち光ファイバ3の温度差が50℃以上となる区間が、徐冷用加熱炉21の炉心管23内に位置してヒータ22により加熱されながら、徐冷されるように、線引き速度を考慮して設定されている。ここで、線引き速度を考慮する必要があるのは、線引き速度が速くなることにより、光ファイバ3の同じ温度となる位置が下方に下がるためである。また、徐冷用加熱炉21のヒータ22の温度は、炉心管23内に位置する光ファイバ3の温度差が50℃以上となる区間を1000℃/秒以下の冷却速度で冷却するように設定される。
【0026】
また、徐冷用加熱炉21の炉心管23は外気と通じており、炉心管23内が空気(第2ガス)からなる雰囲気となるように構成されている。空気の熱伝導率λ(T=300K)は26mW/(m・K)である。なお、空気を用いる代わりに、N2あるいはAr等の分子量の比較的大きいガスを用いることが可能である。第2ガスとしてN2あるいはAr等のガスを用いる場合には、第2ガスの供給源としてのガス供給部をガス供給通路を介して炉心管23に接続するように構成することになる。
【0027】
ヒータ22は、第1ヒータ22a、第2ヒータ22b及び第3ヒータ22cからなる3つのヒータを含んでいる。各ヒータ22a,22b,22cは光ファイバ母材2を線引きする方向(図2において、上から下)に、第1ヒータ22a、第2ヒータ22b、第3ヒータ22cの順で配設されている。各ヒータ22a,22b,22cは、
T1=T2+25℃ …………………… (2)
T3=T2−25℃ …………………… (3)
ここで、T1:炉心管23の第1ヒータ22aに対応する位置の内周面の表面温度
T2:炉心管23の第2ヒータ22bに対応する位置の内周面の表面温度
T3:炉心管23の第3ヒータ22cに対応する位置の内周面の表面温度
を満たすように、その温度が調節されている。なお、T1とT2との温度差、あるいは、T2とT3との温度差は、上述した25℃に限られるものではなく、例えば30℃程度の温度差を付けるようにしてもよい。また、全てのヒータの温度を同一に設定するようにしてもよい。
【0028】
上述したように、各ヒータ22a,22b,22cに温度差を付けた場合には、徐冷用加熱炉21の炉心管23内において、線引き炉11側となる第1ヒータ22aを高温に、樹脂硬化部31側となる第3ヒータ22cを低温とする温度勾配が与えられることになる。したがって、炉心管23内が、線引き炉11側から樹脂硬化部31側に向かって低下する温度分布を有する光ファイバ3の温度に対応した温度分布を有することとなり、光ファイバ3との温度差を適切に保ち、光ファイバ3を更に適切な冷却速度にて冷却することができる。
【0029】
炉心管延長部16と徐冷用加熱炉21との間には、緩衝室41が設けられており、この緩衝室41の光ファイバ3の線引き方向における長さは、図1に示されるように、ほぼL1とされている。なお、炉心管延長部16と緩衝室41との間には若干の間隙が存在しており、炉心管延長部16と緩衝室41とは直結されてはいない。緩衝室41は、第1緩衝室42と第2緩衝室45とで構成されている。緩衝室41(第1緩衝室42及び第2緩衝室45)の内部空間は、線引き炉11(炉心管13)内の雰囲気ガスである第1ガスと、徐冷用加熱炉21(炉心管23)内の雰囲気ガスである空気とが混在している。ここで、緩衝室41(第1緩衝室42及び第2緩衝室45)は、各請求項におけるガス混在層を構成している。
【0030】
第1緩衝室42は、光ファイバ3が通る内部空間を外気と区画するための隔壁43を有しており、この隔壁43には、線引き炉11内から流れてくる第1ガス及び線引き炉11内にて発生するダストを排出するための複数の排出穴44が形成されている。第2緩衝室45は、光ファイバ3が通る内部空間を外気と区画するための隔壁46を有しており、この隔壁46には、線引き炉11内から流れてくる第1ガス及び線引き炉11内にて発生するダストを排出するための複数の排出管47が形成されている。また、第1緩衝室42と第2緩衝室45とは、仕切り壁48により仕切られている。仕切り壁48には、光ファイバ3が通る光ファイバ通過穴49が形成されている。なお、N2ガス等を供給する供給管を第2緩衝室45に接続して該供給管からN2ガス等を供給して、積極的に線引き炉11内から流れてくる第1ガス及び線引き炉11内にて発生するダストを排出するように構成してもよい。ここで、排出穴44及び排出管47は、各請求項におけるガス排出部を構成している。
【0031】
炉心管延長部16から線引き炉11外に出た光ファイバ3は、続いて緩衝室41(第1緩衝室42及び第2緩衝室45)に入り、緩衝室41(第1緩衝室42及び第2緩衝室45)により外気と接触が抑制された状態で、徐冷用加熱炉21に入り、徐冷されることになる。また、徐冷用加熱炉21における、光ファイバ3において温度が1200〜1700℃となる部分のうちの光ファイバ3の温度差が50℃以上となる区間の徐冷を妨げないように、光ファイバ3の緩衝室41(第1緩衝室42)への入線温度は、1400〜1900℃の範囲内の温度とされている。
【0032】
徐冷用加熱炉21を出た光ファイバ3は、外径測定器51により外径がオンライン測定され、その測定値が光ファイバを引き取る装置(図示せず)を回転駆動する駆動モータ(図示せず)にフィードバックされて外径が一定となるように制御される。このように、外径測定器51は徐冷用加熱炉21の下流に設置することが好ましい。線引き炉11の直下に外径測定器51を設置した場合には、そこで光ファイバ3の温度が下がりすぎて徐冷による効果がなくなってしまうからである。
【0033】
その後、光ファイバ3は強制冷却装置52により数十℃程度まで冷却される。この強制冷却装置52は、光ファイバ3が通る細長い管に室温以下のガス(たとえばHeガス)を流すように構成されている。強制冷却装置52により冷却それた光ファイバ3に、コーティングダイス53によりUV樹脂54を塗布し、樹脂硬化部31のUVランプ32によりUV樹脂54が硬化され、光ファイバ素線4となる。そして、光ファイバ素線4は、ガイドローラ61を経て、ドラムにより巻き取られる。なお、UV樹脂54の代わりに熱硬化樹脂を用い、この熱硬化樹脂を加熱炉により硬化させるように構成してもよい。
【0034】
次に、図2に基づいて、上述した線引き装置1を用いて行った実験の結果について説明する。これらの実験において共通の条件は、以下のとおりである。光ファイバ母材2から外径125μmの光ファイバ3を線引きした。線引き炉の温度は、炉心管内周面(光ファイバ母材2あるいは光ファイバ3の表面と対向する面)の表面温度で2000℃程度とし、線引き速度は、400m/分とした。
【0035】
実施例1〜実施例3は、上述した実施形態に係る光ファイバの製造方法及び製造装置による実施例であり、比較例1〜比較例3は、上述した実施形態に係る光ファイバの製造方法及び製造装置による実施例との対比のために行った比較例である。
【0036】
(実施例1)
内周直径が20mm、全長が1500mmとなる炉心管を有する徐冷用加熱炉を用いて、光ファイバの線引きを行った。第1ガスとしては、N2ガスを用いた。線引きする光ファイバ母材は、コア部が純石英ガラスからなり、クラッド部がフッ素添加ガラスからなり、外径が40mmのものを用いた。緩衝室41の光ファイバ3の線引き方向における長さL1は100mmとし、炉心管延長部16の光ファイバ3の線引き方向における長さL2は50mmとした。徐冷用加熱炉(炉中心の温度)の温度は、約1500℃とした。なお、徐冷用加熱炉に入る直前の光ファイバの温度(入線温度)は、光ファイバの表面温度で1800℃と推定される。従って、徐冷用加熱炉において、線引きされた光ファイバのうち温度が1800〜1600℃となる部分が、徐冷用加熱炉の全長である1500mmの区間において平均約890℃/秒の徐冷速度にて冷却されたことになる。
【0037】
線引きされた光ファイバの伝送損失(波長1.55μmの光に対する伝送損失)を測定したところ、0.167dB/kmであり、この伝送損失の波長特性を測定したデータから求めたレイリー散乱率は、0.835dBμm4/kmであった。線引きされた光ファイバの外径を測定したところ、125±0.15μmであり、「ガラス径変動」は±0.15μmであった。また、線引きされた光ファイバ1000km当りの「スパイク」の発生回数は0回であり、「曲がり異常率」は0%であった。ここで、「曲がり異常率」とは、光ファイバの異なる箇所にて曲率半径を測定して、所定の曲率半径(本実施例では、4.2m)以上の部分を不良として、測定箇所の数n(本実施例では、n=10)に対する不良が検出された箇所の数の比率を百分率にて表したものである。
【0038】
(実施例2)
実施例1と同様に、内周直径が20mm、全長が1500mmとなる炉心管を有する徐冷用加熱炉を用いて、光ファイバの線引きを行った。第1ガスとしては、Heガスを用いた。線引きする光ファイバ母材は、コア部が純石英ガラスからなり、クラッド部がフッ素添加ガラスからなり、外径が80mmのものを用いた。緩衝室41の光ファイバ3の線引き方向における長さL1は100mmとし、炉心管延長部16の光ファイバ3の線引き方向における長さL2は50mmとした。徐冷用加熱炉(炉中心の温度)の温度は、約1500℃とした。なお、徐冷用加熱炉に入る直前の光ファイバの温度(入線温度)は、光ファイバの表面温度で1720℃と推定される。従って、徐冷用加熱炉において、線引きされた光ファイバのうち温度が1720〜1520℃となる部分が、徐冷用加熱炉の全長である1500mmの区間において平均約890℃/秒の徐冷速度にて冷却されたことになる。
【0039】
線引きされた光ファイバの伝送損失(波長1.55μmの光に対する伝送損失)を測定したところ、0.168dB/kmであり、この伝送損失の波長特性を測定したデータから求めたレイリー散乱率は、0.84dBμm4/kmであった。線引きされた光ファイバの外径を測定したところ、125±0.15μmであり、「ガラス径変動」は±0.15μmであった。また、線引きされた光ファイバ1000km当りの「スパイク」の発生回数は0回であり、「曲がり異常率」は0%であった。
【0040】
(比較例1)
図3に示されるように、緩衝室41(第1緩衝室42及び第2緩衝室45)を取り外した構成にて光ファイバの線引きを行った。これ以外の実験条件は、実施例1と同じである。
【0041】
線引きされた光ファイバの伝送損失(波長1.55μmの光に対する伝送損失)を測定したところ、0.168dB/kmであり、この伝送損失の波長特性を測定したデータから求めたレイリー散乱率は、0.84dBμm4/kmであった。線引きされた光ファイバの外径を測定したところ、125±0.8μmであり、「ガラス径変動」は±0.8μmであった。また、線引きされた光ファイバ1000km当りの「スパイク」の発生回数は0回であり、「曲がり異常率」は20%であった。
【0042】
(比較例2)
図4に示されるように、徐冷用加熱炉21を炉心管延長部16に気密に直結させた構成にて光ファイバの線引きを行った。これ以外の実験条件は、実施例1と同じである。ただし、徐冷用加熱炉21が線引き炉11に直結して設けられているので、徐冷用加熱炉21(炉心管23)には線引き炉11からN2ガスが流れ込み、徐冷用加熱炉21(炉心管23)内はN2ガスからなる雰囲気となっている。
【0043】
線引きされた光ファイバの伝送損失(波長1.55μmの光に対する伝送損失)を測定したところ、0.167dB/kmであり、この伝送損失の波長特性を測定したデータから求めたレイリー散乱率は、0.835dBμm4/kmであった。線引きされた光ファイバの外径を測定したところ、125±0.15μmであり、「ガラス径変動」は±0.15μmであった。また、線引きされた光ファイバ1000km当りの「スパイク」の発生回数は12回であり、「曲がり異常率」は0%であった。
【0044】
(比較例3)
比較例2の構成において、徐冷用加熱炉21(ヒータ22)による加熱(徐冷)を行わない状態で光ファイバの線引きを行った。これ以外の実験条件は、実施例1と同じであるが、比較例2と同様に、徐冷用加熱炉21が線引き炉11に直結して設けられているので、徐冷用加熱炉21(炉心管23)には線引き炉11からN2ガスが流れ込み、徐冷用加熱炉21(炉心管23)内はN2ガスからなる雰囲気となっている。
【0045】
線引きされた光ファイバの伝送損失(波長1.55μmの光に対する伝送損失)を測定したところ、0.171dB/kmであり、この伝送損失の波長特性を測定したデータから求めたレイリー散乱率は、0.855dBμm4/kmであった。線引きされた光ファイバの外径を測定したところ、125±0.15μmであり、「ガラス径変動」は±0.15μmであった。また、線引きされた光ファイバ1000km当りの「スパイク」の発生回数は1回であり、「曲がり異常率」は0%であった。
【0046】
(実施例3)
実施例2の構成において、第2ガスとして空気の代わりにHeガスを用いて、光ファイバの線引きを行った。これ以外の実験条件は、実施例2と同じである。
【0047】
線引きされた光ファイバの伝送損失(波長1.55μmの光に対する伝送損失)を測定したところ、0.169dB/kmであり、この伝送損失の波長特性を測定したデータから求めたレイリー散乱率は、0.845dBμm4/kmであった。線引きされた光ファイバの外径を測定したところ、125±0.15μmであり、「ガラス径変動」は±0.15μmであった。また、線引きされた光ファイバ1000km当りの「スパイク」の発生回数は0回であり、「曲がり異常率」は0%であった。
【0048】
以上のように、実施例1及び実施例2においては、レイリー散乱率が0.835〜0.84dBμm4/km、波長1.55μmの光に対する伝送損失が0.167〜0.168dB/kmとなり、徐冷を行わない比較例3のレイリー散乱率が0.855dBμm4/km、波長1.55μmの光に対する伝送損失が0.171dB/kmと比べて、レイリー散乱率を低減して、伝送損失を低減することができた。
【0049】
また、実施例1〜実施例3においては、「ガラス径変動」が±0.15μm、「曲がり異常率」が0%となり、緩衝室41を取り外して線引き炉11と徐冷用加熱炉21との間に間隔L1を有した状態で線引きを行った比較例1の「ガラス径変動」が±0.8μm、「曲がり異常率」が20%と比べて、「ガラス径変動」の発生、及び、光ファイバの曲がりの悪化を抑制することができた。
【0050】
また、実施例1〜実施例3においては、光ファイバ1000km当りの「スパイク」の発生回数が0回となり、線引き炉11と徐冷用加熱炉21とを直結した状態で線引きを行った比較例2の光ファイバ1000km当りの「スパイク」の発生回数が12回と比べて、「スパイク」の発生を抑制することができた。
【0051】
また、線引きする光ファイバ母材の太径(外径80mm)とした実施例2及び実施例3においては、第1ガスとしてHeガスを用いて、「ガラス径変動」の発生を抑制することができた。これは、熱伝導率の高いHeガスの方が、線引き炉内の自然対流を抑制する効果が高いためと予想される。
【0052】
また、実施例3が実施例2よりも伝送損失が大きくなったのは、徐冷用加熱炉内にHeガスを流すと、炉の上下端において、Heガスが設定温度に達しておらず、光ファイバが急に冷却されたためと考えられる。
【0053】
また、図4に示されるように、徐冷用加熱炉21を線引き炉11(炉心管延長部16)に気密に直結させる構成とした場合には、以下のような問題が生じる。
▲1▼線引き炉に徐冷用加熱炉を直結するため、徐冷用加熱炉は線引き炉と同様の構造としなければならず、装置が大掛かりなものとなってしまう(たとえば、カーボンヒータを採用して炉を水冷しなければならなくなる)。それに伴って、ヒータや炉心管等のメンテナンスが難しくなる。
▲2▼太径の光ファイバ母材を線引きする場合には、線引き炉にはガラス径安定化のためHeガスを用い、徐冷用加熱炉にはファイバ冷却を抑制するためにN2ガスあるいは空気を用いることが好ましい。しかしながら、線引き炉と徐冷用加熱炉とを直結した場合には、使用できるガスは1種類に限定されるため、上述したように2種類のガスを用いることはできない。
【0054】
このように、上述した実験結果からも明らかなように、本実施形態に係る光ファイバの製造方法及び製造装置においては、線引き炉11にて加熱線引きされた後UV樹脂53を被覆する前の光ファイバ3を1200〜1700℃の範囲内の温度にて加熱する徐冷用加熱炉21が設けられているので、上述した光ファイバ3のうち、その温度が1200〜1700℃となる部分の所定区間における冷却速度が遅くなることにより、原子配列の乱雑さが低減されるので、加熱線引きからUV樹脂53の被覆までの間で、レイリー散乱強度を低減して伝送損失が低くされた光ファイバ3を製造することが可能となる。また、線引き後のUV樹脂53を被覆する前の光ファイバ3の冷却速度を制御することによりレイリー散乱強度の低減を図っているので、上述した先行技術のような再加熱のための熱処理が不要となり、表面にUV樹脂53が硬化、被覆された光ファイバ素線4の量産に極めて容易に適用することが可能となる。
【0055】
また、徐冷用加熱炉21を線引き炉11との間に所定の間隔L1を有して設け、更に、この徐冷用加熱炉21と線引き炉11との間を、線引き炉11(炉心管13)内の雰囲気ガスとなる第1ガス及び徐冷用加熱炉21(炉心管23)内の雰囲気ガスとなる第2ガスが混在する緩衝室41(第1緩衝室42及び第2緩衝室45)としているため、線引き炉11内にて発生するダストが徐冷用加熱炉21内に入ることが抑えられることになり、「スパイク」の発生、あるいは、光ファイバ3の強度の低下を抑制することができる。
【0056】
また、緩衝室41(第1緩衝室42及び第2緩衝室45)の存在により、線引き炉11と徐冷用加熱炉21との間での外気の流れの乱れの影響が受け難くなるために、「ガラス径変動」の発生、あるいは、光ファイバ3の曲がりの悪化も抑制することができる。
【0057】
また、緩衝室41(第1緩衝室42及び第2緩衝室45)は、複数の排出穴44が形成された隔壁43及び複数の排出管47が形成された隔壁46とを有しているので、外気の流れの乱れの影響をより確実に抑え、「ガラス径変動」の発生、あるいは、光ファイバ3の曲がりの悪化をより一層抑制することができる。また、排出穴44及び排出管47により線引き炉11(炉心管13)側から流れ込む第1ガスを排出することで、線引き炉11内にて発生するダストが徐冷用加熱炉21(炉心管23)内に入ることが更に抑えられることになり、「スパイク」の発生、あるいは、光ファイバ3の強度の低下もより一層抑制することができる。
【0058】
また、第2ガスとして、第1ガスの熱伝導率と同等若しくは第1ガスの熱伝導率より低い熱伝導率を有するガスを用いることにより、特に、第1ガスとしてHeガスを用い、第2ガスとしてN2ガスあるいは空気を用いることにより、比較的太径の光ファイバ母材2を用いて線引きする場合において、安定して線引きが行えると共に、伝送損失が低くされた光ファイバ3の製造が可能となる。
【0059】
また、線引きされた光ファイバ3の緩衝室41(第1緩衝室42)への入線温度を、1400〜1900℃の範囲内の温度とすることが好ましい。このように線引きされた光ファイバ3の緩衝室41への入線温度を1400〜1900℃の範囲内の温度とすることにより、線引きされた光ファイバ3が高温の状態で徐冷用加熱炉21に入り、この徐冷用加熱炉21にて線引きされた光ファイバ3が比較的高温の状態から徐冷されることになり、光ファイバ3の伝送損失を低くすることができる。
【0060】
なお、本実施形態においては、緩衝室41を第1緩衝室42及び第2緩衝室45にて構成しているが、これに限られることなく、1つの緩衝室を設けるように構成してもよく、また、3つ以上の緩衝室を設けるように構成してもよい。
【0061】
また、炉心管延長部16と保護管21との間にガス混在層がある限り、緩衝室41自体も、必ずしも設ける必要はない。この場合には、線引き炉11(炉心管延長部16)と徐冷用加熱炉21とを近接して設ける、たとえば線引き炉11(炉心管延長部16)と徐冷用加熱炉21との間隔L1を10mm程度とすることにより、線引き炉11と徐冷用加熱炉21との間の空間が、線引き炉11(炉心管13)内の雰囲気ガスとなる第1ガス及び徐冷用加熱炉21(炉心管23)内の雰囲気ガスとなる第2ガスが混在してガス混在層が形成されて、実質的に外気から区画された状態となり、緩衝室41を設けた場合と同様の作用効果を奏することになる。なお、緩衝室41を設けない構成において、第1ガスとしてHeガスを用いた場合には、Heガスの下方に侵入すると光ファイバ3が冷却されるので、Heガスの下方への侵入を防止するための隔壁等を設けるのが好ましい。但し、緩衝室41内の圧力を外気圧よりも高くして、外気の流れの乱れを受け難くすることを確実に行うことができるという点で、緩衝室41を設けた構成を採用する方が好ましい。
【0062】
また、本実施形態においては、徐冷用加熱炉21のヒータ22を第1ヒータ22a、第2ヒータ22b及び第3ヒータ22cにて構成しているが、ヒータの数はこれに限られることなく、1体のヒータにより構成するようにしてもよく、また、4体以上のヒータにより構成するようにしてもよい。
【0063】
また、本発明は、上述した実施例において用いた、コア部が純石英ガラスからなり、クラッド部がフッ素添加ガラスからなる光ファイバ母材以外に、たとえばコア部にGeが添加されたGe添加光ファイバ母材の線引きに対しても適用することができる。
【0064】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、レイリー散乱強度の低減により、伝送損失が低くされた光ファイバを製造するに際して、光ファイバ素線の量産に適用することが可能な光ファイバの製造方法及び製造装置を実現することができる。
【0065】
また、線引き炉内にて発生するダストが加熱炉内に入ることが抑えられることになり、「スパイク」の発生、あるいは、光ファイバの強度の低下を抑制することができる。また、ガス混在層の存在により、線引き炉と加熱炉との間での外気の流れの乱れの影響が受け難くなるために、「ガラス径変動」の発生、あるいは、光ファイバの曲がりの悪化も抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光ファイバの製造方法及び製造装置の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明による光ファイバの製造方法及び製造装置による実施例と比較例を示す図表である。
【図3】比較例による光ファイバの製造方法及び製造装置を示す概略構成図である。
【図4】比較例による光ファイバの製造方法及び製造装置を示す概略構成図である。
【図5】レイリー散乱率と光ファイバの冷却速度との関係を示す図表である。
【符号の説明】
1…線引き装置、2…光ファイバ母材、3…光ファイバ、4…光ファイバ素線、11…線引き炉、12…ヒータ、13…炉心管、14…第1ガス供給部、15…ガス供給通路、16…炉心管延長部、21…徐冷用加熱炉、22…ヒータ、23…炉心管、31…樹脂硬化部、41…緩衝室、42…第1緩衝室、43…隔壁、44…排出穴、45…第2緩衝室、46…隔壁、47…排出管、48…仕切り壁、49…光ファイバ通過穴、51…外径測定器。

Claims (5)

  1. 光ファイバ母材を加熱線引きする光ファイバの製造方法であって、
    第1ガスからなる雰囲気にて前記光ファイバ母材を加熱線引きする線引き炉と、前記線引き炉との間に所定の間隙を有して設けられ、前記線引き炉にて前記線引きされた光ファイバを第2ガスからなる雰囲気にて加熱して徐冷する加熱炉と、を用い、
    前記線引き炉と前記加熱炉との間の前記間隙を、前記第1ガス及び前記第2ガスが混在するガス混在層とし、
    前記線引き炉にて前記線引きされた光ファイバを、前記ガス混在層を介して前記加熱炉に送り、
    前記加熱炉において、前記線引きされた光ファイバを前記光ファイバの温度が1200〜1700℃の範囲内の温度であるように加熱することを特徴とする光ファイバの製造方法。
  2. 前記ガス混在層を外気と区画するための隔壁を設け、
    前記隔壁に、少なくとも前記第1ガスを排出するためのガス排出部を形成することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの製造方法。
  3. 前記第2ガスとして、前記第1ガスの熱伝導率と同等若しくは前記第1ガスの熱伝導率より低い熱伝導率を有するガスを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光ファイバの製造方法。
  4. 前記線引きされた光ファイバの前記ガス混在層への入線温度を、1400〜1900℃の範囲内の温度とすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の光ファイバの製造方法。
  5. 光ファイバ母材を加熱線引きする光ファイバの製造装置であって、
    第1ガスからなる雰囲気にて前記光ファイバ母材を加熱線引きする線引き炉と、
    前記線引き炉との間に所定の間隙を有して設けられ、前記線引きされた光ファイバを前記光ファイバの温度が1200〜1700℃の範囲内の温度であるように、第2ガスからなる雰囲気にて加熱する加熱炉と、有し、
    前記線引き炉と前記加熱炉との間の前記間隙が、前記第1ガス及び前記第2ガスが混在するガス混在層とされていることを特徴とする光ファイバの製造装置。
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