JP4302367B2 - 光ファイバの線引き方法および線引き装置 - Google Patents

光ファイバの線引き方法および線引き装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信などに用いられる光ファイバの線引き方法及び線引き装置、並びに、光ファイバの製造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ファイバの需要の拡大に対応して、光ファイバの生産量の拡大、それに伴う価格の低減の要求が強くなっており、そのために光ファイバ母材の大型化と線引き速度の高速化が図られている。
【0003】
また、同時に伝送特性の向上も強く要求されるようになり、伝送損失の低減についての要求が強く望まれている。特に、現在広く用いられている波長1.3μm付近にゼロ分散波長を有する標準シングルモード光ファイバ(S-SMF)や、波長1.55μm付近にゼロ分散波長を有する分散シフト光ファイバ(DSF)、波長1.55μm付近で微小分散を有する光ファイバ(NZDSF)などの、主に光伝送線路を構成する光ファイバでは、伝送損失を低減することが重要課題となっている。
【0004】
光ファイバの伝送損失は、光ファイバ母材を形成するまでの工程、光ファイバ母材を線引きして光ファイバを得る工程、線引きされた光ファイバに被覆を施す工程などの各工程に依存する。
【0005】
このうち、特に線引き工程では、線引き炉を出た後の光ファイバを急冷すると伝送損失が増大するため、線引き炉を出た後の光ファイバを再加熱して伝送損失を低減する技術が開発されている。
例えば、特開昭60−186430号公報には、線引炉を出た後の光ファイバを、600℃以上でかつ光ファイバ母材の軟化温度以下となるように再加熱して、光ファイバにおける原子レベルの欠陥を少なくする技術が開示されている。
【0006】
この技術により光ファイバの伝送損失を低くすることは可能であるが、更に光ファイバの伝送損失を極限まで低くするためにレイリー散乱係数を小さくする研究が進められ、ガラスが固まる温度(仮想温度)が高くなるとレイリー散乱係数が大きくなることが知見され、この知見に基づきレイリー散乱係数を大きくしないために光ファイバを徐冷する技術が提案されている。
【0007】
光ファイバを徐冷する技術としては、特開2000−335933号、特開2000−335934号、特開2000−335935号の各公報に記載されているが、これらの技術は、伝送損失のうち、レイリー散乱項を低減する目的で、線引き炉の下に徐冷用加熱炉を設けることを前提としている。
すなわち、特開2000−335933号公報には、線引きされた光ファイバが、光ファイバの温度が1300〜1700℃の範囲のうち50℃以上の温度差となる区間を1000℃/秒以下の冷却速度で冷却すること、およびこの条件を満足するために徐冷用加熱炉を用いることが提案されている。
【0008】
また、特開2000−335934号公報には、線引きされた光ファイバが、線引き炉から出た後、大気により空冷されてから徐冷用加熱炉に入り、光ファイバの温度が1200〜1700℃の範囲の温度となるように加熱する徐冷用加熱炉を用いることが提案されている。また、上記温度範囲は1300〜1600℃の範囲が望ましいと記載されている。
【0009】
特開2000−335935号には、線引き炉に熱伝導率の良い第1ガス(Heなど)を用い、徐冷用加熱炉には線引き炉に供給するガスよりも熱伝導率の小さいガス(窒素ガスなど)を供給することが提案されている。
【0010】
一方、特開2001−163632号公報にはメインヒータと補助ヒータとを有する光ファイバ製造装置が開示されている。ここで開示されている発明は、線引中に急峻にテンションを変えることで分散特性(正分散から負分散、あるいはその逆に変える)を長手で急峻に変えることを目的としている。急峻に変化できないと、変化中に分散がゼロに近い状態となる区間が長くなり、非線形現象(四波混合)が起こり波形劣化が起こり長距離伝送が出来なくなるためである。このため、この公報では、テンションを短時間で変える工夫としてメインヒータに加えて、補助ヒータや炉内に供給するガスにより炉体下部の熱容量を変える技術が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記特開2000−335933号公報および特開2000−335934号公報に開示された技術は、線引き炉と徐冷用加熱炉との間に隙間を設け、光ファイバを積極的に大気で冷却してから徐冷するため、光ファイバの表面に大気中のダストが高温のファイバに付着する可能性があり、光ファイバの強度を下げる可能性がある。また線引き炉内の雰囲気ガスを下方に流しているため、線引き中の光ファイバ母材に形成される溶融変形部の温度分布調整が難しく、溶融変形部における温度分布をなだらかにしたり、特定の部分を急峻にして粘性変形によるひずみや、徐冷による伝送損失を改善しようとする技術については何等考慮されていない。溶融変形部に残留したひずみ(線引きテンションとガラスの粘度、温度履歴に依存する)は、光ファイバの伝送損失の増大につながるため、伝送損失の低減のためには必ず解決しなければならない課題の1つである。
【0012】
また、特開2000−335933号公報乃至特開2000−335935号公報に開示された技術は、線引き加熱炉にHeガスなどの熱伝導率の良いガスを導入し、線引き炉から出る光ファイバの温度を上げることが示されているが、こうすると、同じ線引き張力を得るためには、線引き炉の炉温を上げなければならなくなる可能性もあり、屈折率分布を付与するために添加される添加物により、例えばコアとクラッドとの熱膨張係数差によるひずみを多く受けることや、ガラスの固化する温度(仮想温度と云う)が高くなるために伝送損失が増大する懸念がある。
【0013】
さらに、特開2001−163632号公報に記載された発明では、補助ヒータは線引き張力を低くする時に加熱し、線引き張力を高める時には加熱を止めている。そしてこの効果を効率的にするために補助ヒータ部の熱容量を小さくする必要があり、そのために、ヒータや断熱材を極力小さくし熱容量を小さく(明細書に記載の実施例からも明らかなように補助ヒータの電力量は5kW)している。このため、広い領域を安定に加熱できる熱容量ではなく、線引中の温度分布が変動しやすく、従って溶融変形部が変動しやすく、徐冷過程を安定させ難いので実用化は困難である。
【0014】
そこで、本発明では、光ファイバの伝送損失を十分低下させることが可能な光ファイバの線引き方法を提供することを目的とし、また当該目的を達成するための光ファイバの線引き装置を提供することをあわせて目的とする。また、光ファイバの伝送損失を十分低下させることが可能な光ファイバの製造方法、及び、光ファイバの製造装置を提供することもあわせて目的とする。
【0015】
本発明によれば、以下の手段が提供される。すなわち、本発明は、
(1)光ファイバ母材の端部を加熱炉で加熱溶融して形成される溶融変形部(メニスカス部をいう。以下同様)の先端に張力を加えて線引きする光ファイバの線引き方法であって、
前記加熱炉は1つの加熱炉内に少なくとも2つのヒートゾーンが形成されており、第1ヒートゾーンを形成する第1ヒータと、前記第1ヒートゾーンの下方に配置され、第2ヒートゾーンを形成する第2ヒータと、前記第1ヒータおよび第2ヒータの外側に設けられた断熱材と、光ファイバ母材を収容する炉心管を有し、
前記炉心管は、前記第1ヒータの内側に配置される太径部と、前記第2ヒータの内側に配置される細径部と、を有し、
前記第1ヒートゾーンは、前記第1ヒータの上方に配置された前記断熱材の下端部から前記炉心管の前記細径部の上端までの領域であり、
前記第2ヒートゾーンは、前記第2ヒータの上方に配置された前記断熱材の下端部から前記第2ヒータの下方に配置された前記断熱材の上端までの領域であり、
前記溶融変形部が、前記少なくとも2つのヒートゾーンで形成され、
前記第2ヒートゾーンの長さは第1ヒートゾーンの長さと同じかそれ以上の長さであり、
前記第1ヒートゾーンを形成するヒータの下端と第2ヒートゾーンを形成するヒータの上端との距離が100mm以上600mm以下であり、
前記第1ヒートゾーンの温度に対して第2ヒートゾーンの温度を低く設定し、第2ヒートゾーンの温度を600℃以上1800℃以下の所定の温度に制御して線引きを行うことを特徴とする光ファイバの線引き方法、
(2)前記第2ヒートゾーンに対応する溶融変形部の最大の径を2mm以下とすることを特徴とする(1)記載の光ファイバの線引き方法、
(3)前記第2ヒートゾーンに対応する溶融変形部の最大の径を0.5mm以下とすることを特徴とする(1)記載の光ファイバの線引き方法、
(4)前記第2ヒートゾーンに対応する加熱範囲に溶融変形部が完全に固まり光ファイバとなる部分が含まれていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光ファイバの線引き方法、
(5)少なくとも第2ヒートゾーンにはガス予熱流路があり、前記ガス予熱流路を通過した予熱ガスを前記光ファイバ母材がある雰囲気内に供給することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の光ファイバの線引き方法、
(6)前記予熱ガスがヘリウム(He)ガス、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)とアルゴン(Ar)の混合ガス、ヘリウム(He)と窒素の混合ガス、ヘリウム(He)と可燃限界以下の濃度の水素の混合ガス、ヘリウム(He)と可燃限界以下の濃度の重水素の混合ガス、アルゴン(Ar)と可燃限界以下の濃度の水素の混合ガス、又は、アルゴン(Ar)と可燃限界以下の濃度の重水素の混合ガスであり、前記予熱ガスを加熱炉の上方及び/又は下方に流すことを特徴とする(5)記載の光ファイバの線引き方法、
(7)前記ガス予熱流路がヒータの雰囲気と隔離されていることを特徴とする(5)又は(6)記載の光ファイバの線引き方法、
(8)前記加熱炉内にある溶融変形部の最も速い冷却速度を4000℃/s以下とすることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の光ファイバの線引き方法、
(9)光ファイバ母材の端部を加熱炉で加熱溶融し、溶融して形成される溶融変形部の先端に張力を加えて線引きする光ファイバの線引き装置であって、
前記加熱炉は1つの加熱炉内に少なくとも2つのヒートゾーンが形成されており、第1ヒートゾーンを形成する第1ヒータと、前記第1ヒートゾーンの下方に配置され、第2ヒートゾーンを形成する第2ヒータと、前記第1ヒータおよび第2ヒータの外側に設けられた断熱材と、光ファイバ母材を収容する炉心管を有し、
前記炉心管は、前記第1ヒータの内側に配置される太径部と、前記第2ヒータの内側に配置される細径部と、を有し、
前記第1ヒートゾーンは、前記第1ヒータの上方に配置された前記断熱材の下端部から前記炉心管の前記細径部の上端までの領域であり、
前記第2ヒートゾーンは、前記第2ヒータの上方に配置された前記断熱材の下端部から前記第2ヒータの下方に配置された前記断熱材の上端までの領域であり、
前記第1ヒータと第2ヒータは、独立に温度制御可能であり、
前記溶融変形部が前記少なくとも2つのヒートゾーンで形成されるように、前記第2ヒートゾーンの長さが、前記第1ヒートゾーンの長さと同じかそれ以上であり、前記第1ヒートゾーンの下端と第2ヒートゾーンの上端との距離が100mm以上600mm以内であり、第1ヒートゾーンのヒータを1700℃〜2300℃の範囲に設定して加熱し、第2ヒートゾーンのヒータを600℃〜1800℃の範囲に設定して加熱する
ことを特徴とする光ファイバの線引き装置、
を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示した実施形態により詳細に説明する。
図1は本発明の第一の実施形態を示す説明図であり、1は加熱炉で、該加熱炉1は上部に第1ヒートゾーン11と、その下部に第2ヒートゾーン12とが配置されている。第1ヒートゾーン11は、第一ヒータ4(カーボン)、及び、前記ヒータの外側に設けた断熱材5(カーボン繊維やカーボンフェルトの成形体)で構成されている。上部線引炉2は、第一ヒータ4、断熱材5、並びに、カーボンからなる炉心管3で構成されている。第2ヒートゾーン12は、第二ヒータ8(カーボン)、及び、前記ヒータの外側に設けた断熱材9(カーボン繊維やカーボンフェルトの成形体)で構成されている。下部線引炉6は、第二ヒータ8、断熱材9、並びに、石英ガラス、SiC又はカーボンからなる炉心管7(前記炉心管3よりも縮径されている)で構成され、前記上部線引炉2の下方に設けられている。ここで、第一ヒータ4及び第二ヒータ8は、独立に温度制御可能である。また、ヒータの周囲には空間が存在し、電気的な絶縁をとっている。
【0017】
本発明において、第2ヒートゾーン12は、主として溶融変形部の細い部分あるいは溶融温度以下で固まって外径の実質的に変化しない部分(光ファイバの部分)を所定の温度に管理し、あるいは所定の冷却温度とするために配置する。また第2ヒートゾーン12部分は、溶融変形部が伸びるので、その部分の温度や温度勾配を調整し安定化するためには、第1ヒートゾーン11と同じかそれ以上の長さとすることが好ましい。線引速度が1000m/分以上では第2のヒートゾーンを2つ以上のヒータで構成することが、ファイバの進行方向での温度分布を適正に調整できるためにより好適である。
【0018】
図1に示す実施形態はガスを下方から上方に流すアッパーフロータイプであり、10は冷却部兼ガス導入部で、該冷却部兼ガス導入部10は断熱材からなる円筒状冷却部本体16の内面が石英ガラス、SiC又はカーボンからなる断熱カバー17で覆われており、下部線引炉6から延長して伸びている炉心管7からなる光ファイバ通路を囲むように、配置されている。図中14は炉心管3、7内に供給するガスを導入するガス導入通路で、該ガス導入通路14は、冷却部兼ガス導入部10の上方に設けたガス導入口15から、下部線引炉6から延長して伸びている炉心管7の外周に伸び、該炉心管7の下端に達している。18はガスが下方に流れるのを阻止するシャッターである。
【0019】
炉内に供給されるガス(アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガス)は図示するように、冷却部兼ガス導入部10の上方に設けられたガス導入口15から供給され、ガスは炉心管7と断熱カバー17との間に設けたガス導入通路14を通って下方に進む。この時ガスは炉心管7の熱を吸収して温められ、該ガスにより炉心管7から出たファイバを急冷しないようにしている。
【0020】
温められたガスはシャッター18により下方への排出を一部分を除き阻止されて炉心管7内を上方に進み、炉心管3を経て上部線引炉2の上方に設けたガス排出口21から排出される。このようにガスを炉心管7、3内へ供給することにより炉心管内の圧力を制御し(0.01Pa〜数10Pa)、また、線引炉内への母材の導入時に大気を巻き込まないようにしている。
【0021】
図において26は光ファイバ保護筒で、該保護筒26は前記冷却部兼ガス導入部10の下方に設置され、石英ガラス又はカーボンからなる保護管27、カーボン又はシリカ繊維の断熱材28で構成されている。
【0022】
30は外径測定器で、前記保護筒26の下部に配置されている。36は外径測定器30の下方に配置された光ファイバ冷却装置、40は光ファイバ冷却装置36を出た光ファイバに一次被覆を施すダイス、41は被覆した樹脂を硬化させる紫外線照射装置、46は一次被覆した光ファイバに二次被覆を施すダイス、47は二次被覆樹脂を硬化させる紫外線照射装置、50はキャプスタン、56は巻取装置である。
【0023】
本発明は、光ファイバ母材の端部を加熱炉で加熱溶融して形成される溶融変形部の先端に張力を加えて線引きするもので、該加熱炉内にある、前記溶融変形部を冷却するに当り、溶融変形部の最も速い冷却速度を4000℃/s以下とすることが好ましい。また、溶融変形部の外径が1mm以下の部分、又は、実質的に溶融変形を終えた部分の最も速い冷却速度を4000℃/s以下とすることがさらに好ましい。溶融変形部の最も速い冷却速度は、さらに好ましくは、750℃/s〜3000℃/sである。
【0024】
図1はまた光ファイバ母材から光ファイバを線引きしている状態を示すもので、図中60は光ファイバ母材で、該光ファイバ母材60は図示しない昇降装置により支持されて上部線引炉2の炉心管3内にセットされ、上部線引炉2の第一ヒータ4により形成される第1ヒートゾーン11で加熱溶融され第一の溶融変形部61を形成している。63は第二の溶融変形部で、該第二溶融変形部63は第一の溶融変形部61から引き出され細径とされた溶融変形部を第一ヒータ4に対して独立して温度制御されている第二ヒータ8で形成される第2ヒートゾーン12で加熱されることにより形成される。第1、第2のヒートゾーンは複数のヒータで構成しても良い。特に第2ヒートゾーン12は長くなるので、2つ以上のヒータを用いてファイバの進行方向に沿って温度分布を調節できるためにより好適である。
【0025】
第二溶融変形部63から引き出された光ファイバは冷却部兼ガス導入部10、光ファイバ保護筒26で徐冷され、外径測定器30で外径を測定され、外径測定器30の測定データはキャプスタン50、またはキャプスタン50と母材の昇降装置、更に、上部、下部ヒートゾーンの温度にフィードバックされて線径を一定に保持するようにして線引きされ、その後、一次被覆、二次被覆が施されてキャプスタン50で引き取られたのち巻取装置56に巻き取られる。
本発明に用いられる光ファイバの被覆は特に制限されるものではないが、例えば紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、熱硬化樹脂等による被覆が挙げられる。これらの被覆材は、従来用いられている被覆装置を適宜用いて、光ファイバに被覆することができる。
【0026】
図1に示す加熱炉1において、上部線引炉2で形成される第1ヒートゾーン11は光ファイバ母材60の太い部分を加熱溶融し、第一溶融変形部61の形状を制御し整える役割を主として果たす。第1ヒートゾーン11とは独立して温度制御される下部線引炉6で形成される第2ヒートゾーン12は第一溶融変形部61から引き出され、細径となったメニスカス(外径が数mm〜0.数mm、好ましくは最大の径が2mm以下、さらに好ましくは最大の径が0.5mm以下)を加熱し第二溶融変形部63を形成し、その形状を制御し整える。
【0027】
この時、第二溶融変形部63を形成し、その形状を整えるために加熱する第2ヒートゾーン12の第二ヒータ8の温度は、該下部線引炉6を通過するメニスカス(母材)の温度よりも低い温度、好ましくは600℃〜1800℃、さらに好ましくは600℃〜1600℃に設定する。この様に所定の温度に制御して線引きを行う事により、溶融変形部の細い部分(特に外径数mm以下の所)の溶融変形部分の冷却速度を従来炉よりも小さくできる。また第2ヒートゾーン12により溶融変形部だけでなく外径が実質的に変化しない(外径変化が0.1μm以下から0)所を超えて冷却速度を調整でき管理できる。このような機能を第2ヒートゾーン12に付与するには該第2ヒートゾーン12の長さを第1ヒートゾーン11の長さに合わせるかそれより長くすることが必要である。好ましくは、光ファイバ母材60の固化温度(シリカで1200℃程度)まで、完全に固まり光ファイバとなった所まで、線引炉内に滞在させるもので、そのことにより、レイリー散乱による伝送損失を低減できる。
【0028】
別の実施形態において、加熱炉1の第1ヒートゾーン11は光ファイバ母材60の太い部分を加熱溶融し太い部分のメニスカスを形成する第一溶融変形部61の形状を制御し整える役割を主として果たす。また、第2ヒートゾーン12は第一溶融変形部61から引き出され、母材外径が0.5mm以下に細径となったメニスカスを加熱し、第二溶融変形部63の形状を制御し整える。
線速やテンションに依存するが、線速300m/minから1400m/minの範囲では第1ヒートゾーン11の下端と第2ヒートゾーン12の上端の間隔は100mmから600mm程度とすると、第2ヒートゾーン12で主として加熱する溶融変形部の範囲を比較的細い所に限定でき、溶融変形部の最大径が0.5mm以下となる位置にヒータを配置し、加熱することができる。
【0029】
また、第二溶融変形部63を形成し、その形状を整えるために加熱する第2ヒートゾーン12の温度は、下部線引炉6内を通過する母材の温度よりも低い温度とする。この温度は線引速度や第1、第2ヒートゾーンの距離や各ヒータの長さ、線引テンション等に依存し、適正値が選定されるが、例えば、第1ヒートゾーンのヒータを1700℃〜2300℃の範囲に設定し加熱するときには、第2ヒートゾーンのヒータを600〜1800℃の範囲に設定する。この様に第2ヒートゾーンを設定する事により、従来2つ以上のヒートゾーンを持つ線引炉の場合には、溶融変形部全体が大きく伸び母材のロスとなり線引長が稼げない問題があったが、本発明では溶融変形部の径(メニスカス径をいう、以下同様)が0.5mm以下の溶融変形部を加熱することにより、母材のロスを低減できると共に、溶融変形部の径が0.5mm以下の部分の冷却速度を特に小さくできる。また、これにより伝送損失も改善できる。また、好ましくは、第2ヒートゾーンに対応する加熱範囲に溶融変形部の終端部(固化部)が含まれているものである。
【0030】
この実施形態では、溶融変形部の径が0.5mmの場合、溶融変形部の最高温度は1500℃〜1700℃に対応し、溶融変形部の終端部(固化点)では1400℃から1600℃に対応する。溶融変形部の温度は、ジャーナル・オブ・ライトウエウェーブ・テクノロジー(Journal of Lightwave Technology)Vol.12, No.3, March 1994に記載の式を用いて計算で求めた。また、第2ヒートゾーンのヒータを溶融変形部の最大の径が0.5mm以下となる位置に配置した事により、第2ヒートゾーンのヒータ長が比較的短くても(約250mmから500mm)前記溶融変形部範囲、更に固化点以降の光ファイバの範囲までの冷却速度を調整でき冷却速度を管理できる。また、好ましくは、光ファイバ母材60のコアの軟化温度(シリカでは1200℃程度)まで、即ちミクロなガラス構造の変化の起きない温度まで、線引炉内に滞在できるようにする事により、レイリー散乱による伝送損失を低減できる。また、加熱炉内にある記溶融変形部を冷却するに当り、溶融変形部の最も速い冷却速度を4000℃/s以下とすることが好ましい。
【0031】
また別の好ましい形態としては、コアの軟化温度または900℃程度までを加熱炉1の下部に設けた光ファイバ保護筒26内にあるようにしたものである。これは、光ファイバの大気による急冷を防止するためである。また光ファイバが高温で大気中のダストとの付着する機会を著しく低減するためである。従って光ファイバ保護筒26は保温構造か加熱構造でかつ、ガスパージを行うなどして内部がクリーンとなるように雰囲気を管理する事が好ましい。
【0032】
また、2個のヒートゾーン11,12で加熱するために、主たる第1ヒートゾーン11の最高加熱温度と電力量を低減でき、1.38μm帯のOH基による伝送損失を低減できると共に、第1ヒートゾーン11近傍装置の劣化や加熱炉1自身の劣化を少なくできる。特にカーボン炉心管3や炉心管3の外側に配置する断熱材5や第一ヒータ4の寿命を長くできる。
【0033】
下部線引炉6で形成される第2ヒートゾーン12で形状を整えられ第二溶融変形部63から引き出された光ファイバ素線65は冷却部兼ガス導入部10で外気から隔離された状態で温度が整えられる。冷却部兼ガス導入部10により第2ヒートゾーン12を出た光ファイバは急冷されるが、大気に出されて冷やさせるよりは遥にゆっくり冷却される。また、大気に触れさせないで冷却するので大気中のダストが光ファイバ素線65に付着するようなこともない。次いで外径測定器30で外径が測定される。外径測定器30での測定データはキャプスタン50あるいはキャプスタン50と母材の昇降装置あるいは、第1、第2ヒートゾーン11,12の温度制御にフィードバックされて光ファイバ素線65の線径が一定になるようコントロールされる。
【0034】
外径測定器30で外径を測定された光ファイバ素線65は更に光ファイバ冷却装置36で一次被覆(コーティング)に適した温度にまで冷却され、一次被覆用ダイス40に通されて一次被覆が施され、紫外線照射装置41で被覆樹脂を硬化し、次いで二次被覆用ダイス46に通されて二次被覆が施され、紫外線照射装置47で被覆樹脂を硬化し、キャプスタン50にて引き取られ、巻取装置56にて巻き取り、被覆ファイバ70を完成する。
【0035】
図1に示す線引炉による一つの線引き工程をより具体的に説明する。
線引装置の第一ヒータ4の容量を60kVA,第二ヒータ8の容量を24kVAとし、該線引炉に大型の光ファイバ母材(大型母材:外径80mm〜140mm)60をセットし、大型母材60を1900℃〜2100℃に温度設定した上部線引炉2に挿入し、その先端を溶融して伸ばし、太い所の第一溶融変形部61を形成し、更に引き伸ばして第2ヒートゾーン12に導入する。
【0036】
第2ヒートゾーン12は600℃〜1800℃に制御し、導入される母材の線径は2mm〜0.3mmの範囲に調整し、第二の溶融変形部63を形成する。第二溶融変形部63を出た光ファイバ素線65は前述したように外気から隔離され温度が整えられた冷却部兼ガス導入部10の雰囲気で、第2ヒートゾーン12よりも速い冷却速度で冷却される。次いで一次被覆、二次被覆を施されキャプスタン50にて引き取られ、巻取装置56に巻き取られる。
【0037】
ここで、上部の第1ヒートゾーン11で形成される第一溶融変形部61の形状と線引き張力が下部の第2ヒートゾーン12の温度によりどのように影響されるかを測定した。先ず、第1ヒートゾーン11の温度を2050℃とし、下部線引炉6の第二ヒータ8をOFFとした時は、第2ヒートゾーン12が形成される中心部分の温度は100℃〜300℃で上部線引炉2からの温度の影響は殆ど受けず、この状態で大型の母材60から外径125μmの光ファイバ素線に引き落とすには、上記ヒータの条件では1.47N(150g)の張力が必要であり(なお、線引き張力は母材サイズが大きくなると張力も上がり、装置内に流すガスの流量によっても多少相違する)、この条件でDSF(分散シフト光ファイバ)を500m/minで線引きした結果、得られた光ファイバの1.3μmと1.55μmの伝送損失は0.376dB/km、0.202dB/kmであった。
【0038】
そこで、下部線引炉6の第二ヒータ8を作動させ第2ヒートゾーン12を600℃まで加温したところ、線引き張力は1.18N(120g)となり、さらに温度を上げて1000℃とすることにより0.59N(60g)まで低減することができ、このとき第一溶融変形部61から引き出された母材線径1mmまでの所の長さが100mm〜200mmに伸びた。このように、第2ヒートゾーン12の温度を調整することにより第一溶融変形部61の形状を下部線引炉6によりコントロールすることが可能となった。
【0039】
そこで、第1ヒートゾーン11の温度を2050℃から1870℃に下げ、第2ヒートゾーン12の温度を600℃〜1200℃の範囲とし線引き張力を1.18N(120g)〜1.76N(180g)に調整し、第2ヒートゾーンに対応する第二溶融変形部63の最大径を外径1mm以下としてDSF(分散シフト光ファイバ)を製造した。得られたDSFの1.3μmと1.55μmの伝送損失は線引速度500m/minで0.367dB/km、0.198dB/kmであった。また、上記範囲で第2ヒートゾーン12の温度を調整することで線速1000m/minまでほぼ同じ伝送損失で線引きすることができた。なお、実際に線速1000m/minで製造したDSFの伝送損失は1.3μm、1.55μmでそれぞれ0.370dB/km、0.199dB/kmであった。
【0040】
また、1.38μm帯のOH基による伝送損失は、従来の2050℃の線引条件に比べて、0.01〜0.02dB/km減少できた。これは線引きの最高温度を100℃以上低減できたためである。
【0041】
上記本発明線引装置で製造した光ファイバの伝送損失の減少の原因を分析した結果、レイリー散乱項と構造不正のいわゆるB項ロスが改善されており、これは、同一張力で線引きした場合、本発明では第一ヒータ4の温度を下げることができたこと(上記実施形態では従来の温度から180℃低減できたこと)、第一溶融変形部61と第二溶融変形部63が伸びたこと、第二溶融変形部63が伸びた所が十分に加熱できており、特に溶融変形部が数mm以下の部分の冷却速度を従来に比較して約65%まで遅くできた{500〜1000m/分の線引速度で従来の1〜2℃/mm(4500〜8300℃/s)から0.23〜0.46℃/mm(960〜1920℃/s)}こと等の改善がなされたためと考えられる。
【0042】
また更に冷却部兼ガス導入部10を設けたことで、溶融変形部が伸びたにもかかわらず、ファイバの曲がりやファイバ外径変動を小さくできたことも伝送損失の改善に大きく寄与していると考えられる。しかし、第一溶融変形部61の長さが伸びることにより有効線引長が短くなるので、第二ヒータ8の温度は800℃〜1400℃の範囲とすることが好適である。
【0043】
本発明では下部線引炉6の炉心管7の内径を可能な限り細くし(内径で35mm〜15mm)、第1ヒートゾーン11からの熱の影響をできるだけ小さくし、2つのヒートゾーン11、12の温度干渉を小さくした。このように構成することにより、各ヒートゾーン11、12の温度制御性を改善することができる。
【0044】
また、線引き張力を第2ヒートゾーン12の温度をコントロールすることにより調整可能となり、第1ヒートゾーン11の温度をそれ程上げることなく線速を上げても所望の線引き張力を得る事が可能である。これにより、1.38μm帯のOH基による伝送損失を線引速度が上がっても従来線引炉よりも大幅に改善できた。
【0045】
更に、加熱炉1内に流すガスの流量(アッパーフロー、ダウンフロー共)により溶融変形部の温度が変わる恐れがあり、この温度変化が線引き張力に微妙に影響するため、従来はメインの炉温を調整する必要があったが、本発明では第1ヒートゾーン11の温度を変えることなく第2ヒートゾーン12の温度調整で即座に対処でき、ガス供給条件による伝送損失の増加を抑制できた。
【0046】
図2は本発明の第二の実施形態を示すのもで、図1に示す部分と同一の部分は同一の符号を付け、その説明は省略する。
図2に示す第二の実施形態は線引炉2内に導入するガスを上から下に流すダウンフロータイプとした点で前記第一の実施形態と相違している。また、第2ヒートゾーンが2つのヒータ8a、8bで構成されており、前記第1の実施形態に対して比較的長い範囲をを加熱できる。更に、ファイバの進行方向に沿って温度分布を調節することもできる。第2ヒートゾーンを構成する2つのヒータ8a、8bの間に断熱材等による区切りは無い。
【0047】
即ち、この実施形態においては、炉内に供給されるガス(アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガス)は図示するように、上部線引炉2の上部に設けたガス導入口20から供給される。導入されるガスはシャッター19で上方への流れが十分に阻止され、炉心管7内を下方に進み、炉心管3を経て下部線引炉6の下方から排出される。このようにガスを炉心管3、7内へ供給することにより炉心管内の圧力を制御し(数Pa〜数10Pa)、また、上部線引炉2内への母材60の導入時に大気を巻き込まないようにしている。
【0048】
図2に示す加熱炉において、上記第一実施形態の具体例と同一の線引条件で、即ち、線引き速度を500m/minでDSFを線引きした結果、1.3μm、1.55μmの伝送損失が、0.376dB/km、0.202dB/kmで、アッパーフロータイプと殆ど差がなかったが、上部線引炉2と下部線引炉6との間隔を調整し、炉心管3、7の径、供給するガスの種類(アルゴン、ヘリウム、これらの混合ガス)、ガス流量を調整することにより伝送損失をそれぞれ0.370dB/km、0.197dB/kmに改善できた。更に、線引き速度を500m/minから1000m/minに加速したが、伝送損失は0.373dB/km、0.199dB/kmとほとんど悪化しなかった。
【0049】
ダウンフロータイプにおいては、第1ヒートゾーン11と第2ヒートゾーン12の間隔を比較的大きく離すことができる。この間隔を離すことで溶融変形部の太い部分が伸び、溶融変形部の形状を比較的広い範囲でコントロールし易くなり、最適な線引き条件を設定し易くなる。
上位第一実施形態の具体例と同一の母材を使用して上部線引炉2の第一ヒートゾーン11の下端と、下部線引炉6の第二ヒートゾーン12の上端との間隔を100〜600mmとし、SMF(シングルモードファイバ)を1000m/minで線引きした結果、1.3μm、1.55μmの伝送損失が、0.324dB/km、0.185dB/kmと大幅に改善できた。線引速度を高くするほど、第1、第2ヒートゾーンの間隔を大きくする必要があった。
【0050】
また、2つのヒートゾーンにより第1ヒートゾーンの温度を従来の炉の温度より100℃〜200℃下げることができることにより、光ファイバのスクリーニング時の破断率を大幅に改善でき、従来の1/2〜1/3倍に破断回数を減少することができた。
【0051】
図3は本発明の第三の実施形態で、図1と相違するところは上部線引炉2の第1ヒートゾーン11の上部に第3ヒートゾーン13を設けた点である。従ってその他の部分には図1と同一の符号を付けその説明は省略する。本実施形態は比較的太い母材(例えば120mm以上の母材)を線引きするのに適した装置である。
【0052】
上部線引炉2の第1ヒートゾーン11の上部に第3ヒートゾーン13を設け、母材を予熱できるようにした。第3ヒートゾーン13の第三ヒータ75で母材60を予熱する。第3ヒートゾーンの温度は600℃から1800℃の範囲で調整し、第一ヒータ76より低い温度(第ヒートゾーンの温度は1800℃から2100℃)とし、第1ヒートゾーンと第3ヒートゾーンの温度差は好ましくは400℃以上とする。この第3のヒートゾーンは、母材溶融・軟化によ変形ない位置(溶融変形部より上部)に設け、母材の予熱を行なえるようにする具体的には、第1ヒートゾーンと第3ヒートゾーンの間の断熱材の厚さを50mm〜400mm離れた位置に配置する事が好ましい。50mmより短いと実質的に、第1ヒートゾーンと一体となり、溶融変形部が長くなってしまい、母材のロス(線引できない部分)が大きくなる。400mmより長いと、予熱効果が少なくなる事と、装置が大型化するために好ましくない。
特に母材60が大きい場合には上部線引炉2の熱は輻射で炉の上部に逃げ、また、母材60を伝わって熱伝導で加熱炉1の外に逃げる。輻射で逃げる熱量は炉心管3の断面積に比例し、熱伝導で逃げる熱量は母材60の断面積に比例する。このため、従来は第一ヒータ76から加熱炉1の上部開口部までの長さを長くして熱の逃げを防止していた。
本発明では第三ヒータ75による第3ヒートゾーン13を設け母材の溶融変形部上部を予熱することで、輻射で逃げる熱量と母材から熱伝導で逃げる熱量がも小さくなり、第一ヒータ76のパワーを低減できる。これにより、揮発する蒸気によるカーボン炉心管やその他の炉内部品の劣化を低減でき、寿命を長くできる。
【0053】
また、第3ヒートゾーン13を設けることにより第一ヒータ76の温度を過度に(上方に逃げる熱量を補給する)高くする必要がなくなり、母材60の外径が太くなっても、第一ヒータ76の温度を過度に上げることなく線引きすることができる。このように、第一ヒータ76の温度を低くできることは、溶融変形部の冷却長を短くできることから加熱炉全体の長さを短くでき、溶融変形部の冷却速度を低減できることから母材60が大きくなることで線引きしたファイバの伝送損失が悪化することも解消でき、伝送損失の少ない光ファイバを線引きすることができる。
【0054】
図3に示す加熱炉1を使用して外径130mmの母材を線引きした結果、伝送損失は、外径が80mmの母材を線引きしたものと遜色のないものであった。
【0055】
本発明は光ファイバの伝送損失の改善のためにメニスカス形成用のヒートゾーンを2箇所に設け2つのヒートゾーンで温度分布を形成することで溶融変形部の形状をなだらかにし、特に、溶融変形部の比較的太い部分及び溶融変形部の細い部分をなだらかにすることで冷却速度を低減でき、粘性変形による歪み(せん断速度)や急冷による歪みによるガラスの密度ゆらぎを低減でき、それらが原因と思われる構造の不正による伝送損失を低減できる。
【0056】
更に、固化点以降の光ファイバ部の徐冷もおこなえるため、伝送損失の改善は効果的である。
【0057】
本発明においてアッパーフロータイプの線引炉では、炉心管に供給するガスにより溶融変形部を急冷する悪影響を下部線引炉を設けること、また、供給するガスを十分に予熱することで溶融変形部の固化点近傍から溶融変形部の径が数mm以下の部分をゆっくりと冷やすことで取り除くことができ、伝送損失を低減できる。
【0058】
また、炉心管に供給するガスを下部線引炉で加熱できるので、比較的多くのガスを流すことができ、また、ヘリウムガスを使用しても上部線引炉の温度を過剰に上げる必要がないため、伝送損失の悪化を防止できると共に、被覆ファイバのスクリーニング時の破断を改善でき、また、光ファイバにダストが付着することによる線引き中の断線をなくすることができ、伝送損失の改善と共に生産性の向上、歩留りの改善が可能となる。
【0059】
図3に示すように上部線引炉に第3ヒートゾーン13を設けることで母材の径が太い母材(120mm以上)についても伝送損失を悪化させることなく線引きが可能となる。
【0060】
次に、図1に示す光ファイバ線引き装置を用いた本発明の光ファイバの製造工程の別の実施形態を具体的に説明する。
線引装置の第一ヒータ4の容量を60kVA,第二ヒータ8の容量を20kVAとし、該線引炉に大型の光ファイバ母材(大型母材外径80〜140mm)60をセットし、大型母材60を1900°C〜2100°Cに温度設定した上部線引炉2に挿入し、その先端を溶融して伸ばし、太い所の第一溶融変形部61を形成し、更に引き伸ばして第2ヒートゾーン12に導入する。第2ヒートゾーン12は600°C〜1600℃に制御し、線引速度が250m/minから1000m/minまでに範囲で、第2ヒートゾーン12の範囲に導入される母材溶融変形部の最大の径が約1mm以下となるように第2ヒートゾーンの位置を決めた。これは一つのヒータを有する線引炉のデータから容易に決定できる。第1ヒートゾーン11の下部より300mmの位置に第2ヒートゾーン12の上部が来るように第2ヒートゾーン12を配置した。この距離を以下「ヒートゾーン間隔」と呼ぶ。また線引速度が600m/minから1400m/minまでに範囲では、ヒートゾーン間隔は600mmとした。このときの第2ヒートゾーン12の範囲に導入される母材の溶融変形部の最大の径は0.4mm以下となるようにした。第2ヒートゾーン12を出た光ファイバ素線65は前述したように外気から隔離された冷却部10の温度及び流れが整えられ雰囲気で、第2ヒートゾーン12よりも速い冷却速度で冷却される。更に光ファイバ保護筒26で1000℃以下に冷却され、更に光ファイバ冷却装置36の冷却筒で急冷されて30℃から80℃程度に冷却された後に、一次被覆、紫外線硬化、二次被覆、及び、紫外線硬化を施され、キャプスタンにて引き取られ、巻取装置に巻き取られる。
【0061】
ここで、第1ヒートゾーン11で形成される第一溶融変形部61の形状と線引き張力が第2ヒートゾーン12温度によりどのように影響されるかを測定した。ここで、第1ヒートゾーン11の長さを300mmとし、第2ヒートゾーン12の長さを600mmとした。ヒートゾーンの間隔は、上記に示した値とした。第一ヒータの温度を2050℃とし測定した結果、第2ヒートゾーン12の第二ヒータをOFFとした時は、第2ヒートゾーン12の中心部分の温度は300℃以下で、上部線引炉2からの温度の影響はあまり受けず、この状態で大型の母材60から外径125μmの光ファイバ素線に引き落とすには、ここで用いたヒータとガス条件では1.47N(150g)の張力が必要であった。(母材サイズによる、母材が大きくなるとテンションが上がった)DSF(分散シフト光ファイバ)を500m/minで線引きした結果、得られた光ファイバの1.3μmと1.55μmの伝送損失は、それぞれ0.376dB/km、0.202dB/kmであった。
【0062】
そこで、第2ヒートゾーン12の第二ヒータを作動させ600℃まで加温したところ、線引き張力は約1.37N(140g)となり、さらに温度を上げて1000℃とすることにより約0.98N(100g)まで低減することができ、このとき第一溶融変形部から引き出された母材線径0.5mmまでの所の長さが数十mm程度伸びた。このように、第2ヒートゾーン12の温度を調整することにより第一溶融変形部の形状を多少はコントロールすることが可能となり、テンションも低く出来た。また同一のテンションとした場合には、第1ヒートゾーンの温度を低くできた。ここで、第2ヒートゾーン12の温度を調整することにより、先の第一ヒータ4の温度を2050℃から1930℃に下げ、第2ヒートゾーン12のヒータ温度を600℃〜1200℃と調整する事で、線引き張力を1.76N(180g)〜1.47N(150g)の範囲に調整できた。この効果は、第2ヒートゾーンにガス予熱流路を設けると、さらに顕著であった。
【0063】
この条件でDSF(分散シフト光ファイバ)を線引した結果、1.3μmと1.55μmの伝送損失が線引速度500m/minで、それぞれ0.367dB/kmと0.198dB/kmのDSFを製造することができた。また、さらに第2ヒートゾーン12の温度を調整することで線速1000m/minまでほぼ同じ伝送損失で線引でき、1.3μm,1.55μmでそれぞれ0.370dB/km、0.200dB/kmであった。また、1.38μm帯のOHによる伝送損失(以下OHロスともいう)は、従来の2050℃の線引条件に比べて、0.01〜0.05dB/km減少できた。OHロスは線引の最高温度(第一ヒータ温度)に依存し、前記温度を下げると比例して下がった。
【0064】
上記本発明の製造装置で製造した光ファイバの伝送損失の減少の原因を分析した結果、レイリー散乱項と構造不正のいわゆるB項が改善されており、これは、同一張力で線引きした場合、本発明では第一ヒータ4の温度を従来の温度から120℃下げることができ、第一溶融変形部61が伸びたことによる。但し、第二溶融変形部63はほとんど伸びなかた。
【0065】
また、第二溶融変形部63を十分に加熱できており、その範囲の冷却速度を従来に比較して約半分まで遅くできた(250m/minから1600m/minの範囲では、従来シングルヒータの冷却速度は0.5〜2℃/mm、約3000から12000℃/sであるのに対し、本発明では冷却速度は0.115℃/mmから0.9℃/mm、約750℃/sから4000℃/sであり、第一、第二ヒータの調整で第一ヒータ4の最高温度を下げる事で更に冷却速度が遅くできる)事により改善できたと考えている。ここで冷却速度の計算は、ファイバ外径の変化による第2ヒートゾーン12あるいは第2ヒートゾーン12に続く冷却ゾーンの各点での溶融変形部の速度を考慮して計算している。即ちメニスカスの太い所では線速が遅いことを考慮して滞在時間を計算して計算した。簡略するために、第2ヒートゾーン12のほぼ導入部のメニスカス径と固化したファイバ外径での線速の平均値より平均速度を求めて滞在時間を求め、冷却速度は計算した。
【0066】
また更に冷却部10を設けたことで、溶融変形部が伸びたにもかかわらず、ファイバの曲がりやファイバ外径変動も小さく出来た。また、第2ヒートゾーン12のヒータによる第一溶融変形部への影響が少ないために、溶融変形部の太い部分の伸びがあまりなく、母材のロスはほとんど生じなかった。
【0067】
本発明で、前記第1及び第2ヒートゾーンと光ファイバ母材がある雰囲気とは隔離手段、例えば、炉心管により、隔離されていることが好ましい。隔離手段は第1ヒートゾーンと第2ヒートゾーンの間で隔離手段の内径が小さくなる部分を有するか、又は、第2ヒートゾーン側の隔離手段の内径が第1ヒートゾーン側に比べ細いことが好ましい。
【0068】
本発明ではヒートゾーン間隔が長いことと、下部線引炉6の炉心管7の内径を可能な限り細くし(内径で35〜20mm)、第1ヒートゾーン11からの熱の影響をできるだけ小さくし、2つのヒートゾーン11、12の温度干渉を小さくした。このように構成することにより、各ヒートゾーン11、12の温度制御性を改善させることができると共に、干渉による、溶融変形部の太い所の伸びを比較的少なく出来た。
【0069】
また、線引き張力を第2ヒートゾーン12の温度をコントロールすることにより調整可能となり、第1ヒートゾーン11の温度をそれ程上げることなく線速を上げても所望の線引き張力を得る事が可能である。これにより、1.38μm帯のOHによる伝送損失を線引速度が上がっても従来の線引炉よりは改善できた。
【0070】
また、別の実施形態においては、第2ヒートゾーン内に、図4に示すように、矢印のようにガスが流れるガス予熱流路80予熱流路形成体81により形成した。この予熱流路形成体81は2重炉心管より構成し、流路ヒータや断熱材の有る空間とは隔離されている構造とすることが好ましい。これは、前記空間ではヒータや断熱材からの不純物の混入やダストの混入が起こることを防ぐためである。また、ガス導入口15の代りに、或いは、ガス導入口15に加えて、前記2重炉心管の上部の導入口82よりガスを導入し、上から下へ流し、下端近傍の通路より、十分に予熱したガスを母材の有る雰囲気内に、通路を介して供給する事により、供給ガスによる急冷を効果的に防止できる。ガス予熱流路は、第2ヒートゾーンを越えて設けてもよい。
【0071】
また図5に示すようにガス予熱流路80を3重炉心管からなる予熱流路形成体81により形成する事により更に予熱効果を高める事ができる。その場合は、ガス導入口15の代りに、或いは、ガス導入口15に加えて、3重炉心管の下部の導入口82よりガスを導入し下から上、上から下へとガスを通過させ十分に予熱したガスを排出口83から母材がある雰囲気内、すなわち、炉心管内部に供給する事により、供給ガスによる急冷を更に効果的に防止できる。このガスはアルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、Heガスを含んだ不活性ガス(Arや窒素等)、或いは、He若しくはArと微量の水素や重水素を含むガスとすることが好ましい。可燃限界以下の濃度の水素や重水素は還元性雰囲気とする事により、カーボンの劣化を防止できる。更に混合ガスの熱伝導を改善できる。
【0072】
前述したように前記ガス予熱流路を3重管により構成し、3重管の材質を高純度カーボンとすると、この場合はより効率的に完全にガスと形成された流路との間の熱交換が行なえ、また、大きな流量のガスを流す事も出来きる。好ましい実施形態においては、最大40SLMのHe、又はArあるいはそれらの混合ガスを流しても光ファイバの線径変動が悪化しない。このようにガス予熱流路を3重管により構成することにより、ファイバの冷却速度の調整第二ヒータによる温度制御だけでなくガス流量の変化によっても行うことができる。
【0073】
更に、炉心管内部に流す前記予熱ガスはアッパーフロータイプの場合は、第2ヒートゾーンの下側より主に上方に流す。一方、ダウンフロータイプの場合は、第2ヒートゾーンの上流側より下方に流す。このように予熱ガスを流す事で第2ヒートゾーンの温度を調整する事により、ガス流量を多くしても線径変動は悪化しなかった。更に、従来は、ガスの供給量を少なくしないと、ガスによる溶融変形部や固化点以下のファイバの冷却速度が速く伝送損失が悪化してしまったが、予熱流路を通過させる事で、大量の供給ガス流すことができ、伝送損失の改善とファイバ強度(スクリーニングの破断確率)の向上の両立が可能となった。これは、プリフォームの主として溶融変形部より蒸発した蒸気が低温部でシリカの粒子となり炉心管部品と反応してSiC粒子を形成するが、ガス流量を増やす事によって、それらの粒子を光ファイバやメニスカスの特に細い部分付着する前に炉外に排気できることによる。またガス自体が予熱されているために、先の蒸気が粒子化したり、カーボン炉心管と反応してSiCを形成する事も低減できることによるものと考えられる。
【0074】
本実施形態では、伝送損失が、線引き速度1000m/minにおいて、1.3μm,1.55μmでそれぞれ0.370dB/km、0.200dB/kmであり、かつ、スクリーニングの破断確率は1回/300kmから1回/600km程度と大幅に改善した。一方、従来の方法では、同様の伝送損失(同じ値までは到達できないが)に近づるためガス供給量を下げると、スクリーニングの破断確率が1回/200km以下と大幅に低下した。特にダウンフロータイプの炉では顕著であった。
また、母材のロスは、本発明では10から13%であった。
【0075】
【実施例】
以下、本発明を図示した実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0076】
実施例1
図1に示される装置で標準のSMF母材(外径70から90mm)を線引きした。第一ヒータ4の温度を1950℃、第二ヒータ8の温度を600℃又は1200℃に設定し、線速500m/min又は1000m/minで線引きした。線引き張力は、線速が500m/minでは、第二ヒータ8の温度が600℃では1.18N(120g)であり、1200℃では0.78N(80g)であった。この条件では線速が倍となると、冷却速度も倍となった。1000m/分を超える速度では、第2ヒータの温度を上げたり、炉内に供給するガス量を下げる等して冷却速度を下げる調整を行った。炉内にはアルゴンガスとHeガスの混合ガスを供給した。
【0077】
この条件で標準SMFを線引した結果、1.3μmと1.55μmの伝送損失が線引速度500m/minで、第二ヒータ8の温度が600℃又は1200℃の両条件とも、それぞれ0.330dB/km、0.183dB/kmであった。
また、線速1000m/minでは、1.3μmの伝送損失が第二ヒータ8の温度が600℃では0.334dB/km、1200℃では0.332dB/kmであった。また、1.55μmの伝送損失は、第二ヒータ8の温度が600℃では0.187dB/km、1200℃では0.185dB/kmであった。高速にした時には第2ヒートゾーンの加熱が伝送損失の改善には有効であった。
【0078】
また、1.38μm帯のOHによる伝送損失(OHロス)は、線速1000m/minで第二ヒータ8の温度が600℃の条件では0.28dB/km、1200℃の条件では0.29dB/kmであった、従来の線引炉では0.3から0.32dB/kmであり、0.01dB/kmから0.04dB/km改善できた。
【0079】
OHロスは線引の最高温度(第1ヒータ温度)に依存し、前記温度を下げると比例して下がった。また、母材のロスは8%から16%であった。
【0080】
【発明の効果】
本発明は上述したように、溶融変形部の冷却速度を4000℃/s以下とする事で伝送損失、OHロスを低減できた。溶融変形部の冷却速度を低減する方法、装置として、光ファイバ母材の端部を加熱炉で加熱溶融して形成される溶融変形部を、加熱炉に配置した第1ヒートゾーンと、該第1ヒートゾーンの下方に配置した第2ヒートゾーンで形成する方法・装置とすることにより、伝送損失が改善されると共に生産性の向上、歩留りが改善され、品質に優れた光ファイバを安価に提供することができる等の優れた効果を有するものである。
【0081】
また、複数のヒータを用いてプリフォームを加熱しても、所定のヒータ間隔で第2のヒートゾーンを所定の温度範囲とする事により、溶融変形部の太いところを伸ばす割合が減り、母材を有効に使う事ができた。また、溶融変形部の径が約0.5mm以下のところだけを加熱することにより、溶融変形部が極端に伸びすぎないので、光ファイバの外径変動に影響せずに伝送損失を改善できた。また、従来の一つのヒータの線引炉と比較して、ヒータの最高温度を下げることができ、また高温部の溶融変形部を短くできるためにOHロスを改善できた。
また、第2ヒートゾーンにガスの予熱流路を設けることにより、供給するガス温度が制御できたために、より溶融変形部の細いところの冷却速度を低減でき、伝送損失を更に改善できた。また、第2ヒートゾーンにつづく冷却部、さらに加熱炉の直下に設けた光ファイバ保護筒で大気による急冷を防止したために、さらに伝送損失とスクリーニング時の破断確率を改善できた。さらに、第2ヒートゾーンにガスの予熱流路を設けることにより、冷却ガスにより前記溶融変形部が急冷されず、供給ガスを大量に流す事ができ光ファイバのスクリーニング時の破断確率を大幅に改善できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明光ファイバ線引き装置の第一実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明光ファイバ線引き装置の第二実施形態を示す説明図である。
【図3】本発明光ファイバ線引き装置の第三実施形態を示す説明図である。
【図4】本発明光ファイバ製造装置の一実施形態におけるガス予熱流路の説明図である。
【図5】本発明光ファイバ製造装置の別の実施形態におけるガス予熱流路の説明図である。
【符号の説明】
1 加熱炉
2 上部線引炉
3 炉心管
4 第一ヒータ
5 断熱材
6 下部線引炉
7 炉心管
8 第二ヒータ
9 断熱材
10 冷却部
11 第1ヒートゾーン
12 第2ヒートゾーン
13 第3ヒートゾーン
14 ガス導入部
15 ガス導入口
16 円筒状冷却部本体
17 断熱カバー
18 シャッター
19 シャッター
20 ガス導入口
26 光ファイバ保護筒
27 保護管
28 断熱材
30 外径測定器
36 光ファイバ冷却装置
40 一次被覆用ダイス
41 紫外線照射装置
46 二次被覆用ダイス
47 紫外線照射装置
50 キャプスタン
56 巻取装置
60 光ファイバ母材
61 第一溶融変形部
63 第二溶融変形部
65 光ファイバ素線
70 被覆ファイバ
75 第3ヒータ
76 第1ヒータ
80 ガス予熱流路
81 予熱流路形成体
82 導入口
83 排出口

Claims (9)

  1. 光ファイバ母材の端部を加熱炉で加熱溶融して形成される溶融変形部(メニスカス部をいう。以下同様)の先端に張力を加えて線引きする光ファイバの線引き方法であって、
    前記加熱炉は1つの加熱炉内に少なくとも2つのヒートゾーンが形成されており、第1ヒートゾーンを形成する第1ヒータと、前記第1ヒートゾーンの下方に配置され、第2ヒートゾーンを形成する第2ヒータと、前記第1ヒータおよび第2ヒータの外側に設けられた断熱材と、光ファイバ母材を収容する炉心管を有し、
    前記炉心管は、前記第1ヒータの内側に配置される太径部と、前記第2ヒータの内側に配置される細径部と、を有し、
    前記第1ヒートゾーンは、前記第1ヒータの上方に配置された前記断熱材の下端部から前記炉心管の前記細径部の上端までの領域であり、
    前記第2ヒートゾーンは、前記第2ヒータの上方に配置された前記断熱材の下端部から前記第2ヒータの下方に配置された前記断熱材の上端までの領域であり、
    前記溶融変形部が、前記少なくとも2つのヒートゾーンで形成され、
    前記第2ヒートゾーンの長さは第1ヒートゾーンの長さと同じかそれ以上の長さであり、
    前記第1ヒートゾーンを形成するヒータの下端と第2ヒートゾーンを形成するヒータの上端との距離が100mm以上600mm以下であり、
    前記第1ヒートゾーンの温度に対して第2ヒートゾーンの温度を低く設定し、第2ヒートゾーンの温度を600℃以上1800℃以下の所定の温度に制御して線引きを行うことを特徴とする光ファイバの線引き方法。
  2. 前記第2ヒートゾーンに対応する溶融変形部の最大の径を2mm以下とすることを特徴とする請求項1記載の光ファイバの線引き方法。
  3. 前記第2ヒートゾーンに対応する溶融変形部の最大の径を0.5mm以下とすることを特徴とする請求項1記載の光ファイバの線引き方法。
  4. 前記第2ヒートゾーンに対応する加熱範囲に溶融変形部が完全に固まり光ファイバとなる部分が含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバの線引き方法。
  5. 少なくとも第2ヒートゾーンにはガス予熱流路があり、前記ガス予熱流路を通過した予熱ガスを前記光ファイバ母材がある雰囲気内に供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ファイバの線引き方法。
  6. 前記予熱ガスがヘリウム(He)ガス、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)とアルゴン(Ar)の混合ガス、ヘリウム(He)と窒素の混合ガス、ヘリウム(He)と可燃限界以下の濃度の水素の混合ガス、ヘリウム(He)と可燃限界以下の濃度の重水素の混合ガス、アルゴン(Ar)と可燃限界以下の濃度の水素の混合ガス、又は、アルゴン(Ar)と可燃限界以下の濃度の重水素の混合ガスであり、前記予熱ガスを加熱炉の上方及び/又は下方に流すことを特徴とする請求項5記載の光ファイバの線引き方法。
  7. 前記ガス予熱流路がヒータの雰囲気と隔離されていることを特徴とする請求項5又は6記載の光ファイバの線引き方法。
  8. 前記加熱炉内にある溶融変形部の最も速い冷却速度を4000℃/s以下とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光ファイバの線引き方法。
  9. 光ファイバ母材の端部を加熱炉で加熱溶融し、溶融して形成される溶融変形部の先端に張力を加えて線引きする光ファイバの線引き装置であって、
    前記加熱炉は1つの加熱炉内に少なくとも2つのヒートゾーンが形成されており、第1ヒートゾーンを形成する第1ヒータと、前記第1ヒートゾーンの下方に配置され、第2ヒートゾーンを形成する第2ヒータと、前記第1ヒータおよび第2ヒータの外側に設けられた断熱材と、光ファイバ母材を収容する炉心管を有し、
    前記炉心管は、前記第1ヒータの内側に配置される太径部と、前記第2ヒータの内側に配置される細径部と、を有し、
    前記第1ヒートゾーンは、前記第1ヒータの上方に配置された前記断熱材の下端部から前記炉心管の前記細径部の上端までの領域であり、
    前記第2ヒートゾーンは、前記第2ヒータの上方に配置された前記断熱材の下端部から前記第2ヒータの下方に配置された前記断熱材の上端までの領域であり、
    前記第1ヒータと第2ヒータは、独立に温度制御可能であり、
    前記溶融変形部が前記少なくとも2つのヒートゾーンで形成されるように、前記第2ヒートゾーンの長さが、前記第1ヒートゾーンの長さと同じかそれ以上であり、前記第1ヒートゾーンの下端と第2ヒートゾーンの上端との距離が100mm以上600mm以内であり、第1ヒートゾーンのヒータを1700℃〜2300℃の範囲に設定して加熱し、第2ヒートゾーンのヒータを600℃〜1800℃の範囲に設定して加熱する
    ことを特徴とする光ファイバの線引き装置。
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