JP4353636B2 - ヒノキチオールの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、ヒノキチオール(別名、β−ツヤプリシン(β−Thujaplicin))の製造方法に関するものである。
本発明で製造されるヒノキチオールは、広範囲に抗菌・抗カビ作用を有するとともに、細胞賦活作用、チロシナーゼ活性阻害作用、植物のエチレン生成阻害作用などを有し、抗菌・抗カビ剤として医薬化粧品、養毛剤、シャンプー・石鹸の成分として有用であるほか、鮮度保持フィルムや抗菌塗料などにも配合される。
背景技術
ヒノキチオールの製造法として、従来、下記のような方法が知られている:
(i)メトキシトロピリデンを原料に、イソプロピルトロポン、アミノイソプロピルトロポンを経由して製造する方法(Tetrahedron,32,1051(1991));
(ii)カルボンを過酸化水素でエポキシ化後、アセタール化などの6工程を経て製造する方法(特開昭62−93250);
(iii)イソプロピルシクロヘキサノン又はイソプロピルシクロヘキセノンをシアノヒドリン化後、2工程を経て、イソプロピルシクロヘプタノンを合成し、これを酸化、臭素化、脱臭化水素化することにより製造する方法(特開昭63−5048、特開昭63−17841);及び
(iv)ブロモトロポロンに有機スズ化合物を作用させた後、Pd/C触媒の存在下、水素還元する方法(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1989,616(1989))。
これらの方法は、工程数が多かったり、原料の入手が困難であり、工業的に実施する上で実用的とは言えない。
その他の製造法として、シクロペンタジエンを原料として用いてイソプロピルシクロペンタジエンを得、これにジクロロケテンを付加させ、この付加体を加溶媒分解する方法が知られている。この方法は、原料のシクロペンタジエンが入手しやすく、工程数も少ないので、工業的に実施する上では有利な方法である。この方法では、ヒノキチオールはイソプロピルシクロペンタジエンの3つの異性体のうち、専ら1−イソプロピルシクロペンタジエンから生成することが知られている。従って、1−イソプロピルシクロペンタジエンを選択的に合成することによって、目的のヒノキチオールの収率を向上させ、あるいは精製工程の負荷を軽減する検討が行われている。すなわち、ヒノキチオールを製造する上で、いかに1−イソプロピルシクロペンタジエンを高選択的に作るかが重要である。
このような方法として例えば以下のような方法がある:
(v)シクロペンタジエンにグリニャール試薬(エチルマグネシウムブロミド)とイソプロピルトシレートを反応させて、1−イソプロピルシクロペンタジエンを高選択的に得、これにジクロロケテンを付加させた後、加溶媒分解反応によりヒノキチオールを製造する方法(特公昭51−33901);及び
(vi)塩基性条件下でシクロペンタジエンにアセトンを作用させて、6,6−ジメチルフルベンを得、これを水素化ジアルキルアルミニウムで還元して選択的に1−イソプロピルシクロペンタジエンを得、これにジクロロケテンを付加させた後、加溶媒分解反応によりヒノキチオールを製造する方法(特開平8−40971)。
これらの方法は、先述の(i)から(iv)の方法に比べ、入手が容易で安価なシクロペンタジエンを原料として用いて少ない工程数でヒノキチオールを得ている点で優れているが、(v)ではグリニャール試薬、(vi)では水素化ジアルキルアルミニウムのように、極度の非水条件を要する試薬を用いなければならないために、取扱いに多大の注意を払わなければならず、また用いる溶媒等も特別の脱水操作が必要であり、さらにこれらの試薬は一般に高価である。以上のように、1−イソプロピルシクロペンタジエンを経由するこれらの方法も、工業的に実施する上では難点を有していた。
本発明者らは、イソプロピルシクロペンタジエンの異性体のうち、5−イソプロピルシクロペンタジエンは、室温付近で熱により、選択的に1−イソプロピルシクロペンタジエンに異性化することを見出し、2−イソプロピルシクロペンタジエンの生成を極力抑え、5−若しくは1−イソプロピルシクロペンタジエン又はこの混合物をいかに高選択的に、かつ安価で取扱いの容易な試薬を用いて合成することがヒノキチオールの製造において重要であることを見出した。
一般に、アルキルシクロペンタジエンには、先述したようにアルキル基の位置により、5−、1−、及び2−アルキルシクロペンタジエンの3種の異性体の存在が知られている。熱力学的に安定な平衡状態では、アルキルシクロペンタジエンは1−体と2−体がほぼ等量と少量の5−体からなる異性体混合物である。
ヒノキチオールの製造法ではないが、シクロペンタジエンをアルキル化してアルキルシクロペンタジエンを得る方法として、今まで種々の方法が知られている。
(vii)シクロペンタジエンと脂肪族低級アルコールを触媒の存在下に気相で反応させる方法(特公平4−27215)や炭化水素上でシクロペンタジエンとエチレンを気相で反応させる方法(日本化学会誌、1977(3)、375頁(1977));
(viii)液体アンモニア中で金属ナトリウムとシクロペンタジエンを反応させた後、等量のハロゲン化アルキルを反応させる方法(Izv.Vyssh.Vchebn.Zaved.,Khim.Khim.Technol.,19(10),1511頁(1970));
(ix)4級アンモニウム塩などの相間移動触媒の存在下に金属水酸化物の水溶液中でシクロペンタジエンとハロゲン化アルキルを反応させる方法(米国特許3560583)や、酸化カルシウムのような脱水剤の存在下に有機溶媒中でシクロペンタジエンとアルカリ金属水酸化物を反応させてシクロペンタジエニル金属を発生させ、これにハロゲン化アルキルを作用させる方法(ロシア特許520341);
(x)先述の従来技術(v)と同様、グリニャール試薬(アルキルマグネシウムブロミド)を用いる方法であり、シクロペンタジエンのグリニャール試薬とハロゲン化アルキルやアルキル硫酸を反応させて1−アルキルシクロペンタジエンを選択的に得る方法(Montasch.Chemie.,91,805−812(1960));
(xi)プロスタグランジン類の製造方法の第一工程として、シクロペンタジエンとアルキルリチウムからシクロペンタジエニルリチウムを得、これと7−ブロモヘプタン酸エチルを反応させて1−体を得る方法(特公昭53−33583);
(xii)ジメトキシエタンやジグライムなどの有機溶媒中、金属ナトリウムとシクロペンタジエンからシクロペンタジエニル金属溶液を得、これをアルキル化剤に滴下して、1−体又は5−体を得る方法(Tetrahedron,vol.21,2313(1965));
(xiii)ノルボルネン誘導体の製造方法の第一工程として、テトラヒドロフラン溶媒中、水素化ナトリウムとシクロペンタジエンを反応させてシクロペンタジエニルナトリウムを生成させた後、これにアルキル化剤を低温で滴下する方法(特開昭54−63063の参考例中に記載);及び
(xiv)光学活性シクロペンテンジオールの製造方法の第一工程として、塩基の存在下、シクロペンタジエンとアルキル化剤を反応させてアルキルシクロペンタジエンを得る方法(特開平6−239779)。この引例には、アルキル化剤の種類が網羅的に例示され、塩基としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、金属水素化物、アルカリ金属アルコキシドなど広範囲に亙って記載され、また反応溶媒についても、ジエチルエーテル、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが例示され、反応に悪影響を及ぼさない限り、いかなる溶媒を用いてもよいと、ほとんど無制限に記載されている。しかし、実施例には、テトラヒドロフラン溶媒中、水素化ナトリウムとシクロペンタジエンを反応させてシクロペンタジエニルナトリウムを生成させた後、これにアルキル化剤を低温で滴下する、という例しか記載がなく、これは上記従来技術(xiii)と全く同じ方法である。
ここで(vii)の方法は、気相反応のため特別の装置が必要であり、また多置換アルキル体が生成するためモノアルキル体の収率が低く、さらに得られるアルキルシクロペンタジエンが平衡混合物であり、5−体及び/又は1−体を選択的に得る方法ではない。(viii)の方法は、使用する試薬の取り扱い上の難点がある上に、得られるアルキルシクロペンタジエンは平衡混合物である。(ix)の方法は、金属ナトリウムや液体アンモニアなどの取り扱いに注意を要する試薬を使わない方法ではあるが、やはり平衡組成のアルキルシクロペンタジエンしか得られない。
(x)から(xii)の方法は、5−体及び/又は1−体を高選択的に得る方法であるが、(x)では(v)と同様、グリニャール試薬、(xi)ではアルキルリチウム、といずれも高価で、かつ極度の非水条件が必要な試薬を用いなければならず、工業的に実施する上で困難を伴うものであった。さらに(xii)の方法では、金属ナトリウムを使用するので、極度の非水条件が必要な上、1級アルキル基を付加する例しか記載がなく、本発明者らの検討結果では、イソプロピル基のような、反応性の低い2級又は3級アルキル基を付加する場合には、5−体及び/又は1−体の選択性が低いことが分かっており、本発明のヒノキチオールの製造法に適用することはできない。
(xiii)の方法は、詳述すると、水素化ナトリウムとシクロペンタジエンから調製したシクロペンタジエニルナトリウムのテトラヒドロフラン溶液を、−45〜−55℃に冷却し、これに1級アルキルブロミドを加え、1時間撹拌後、さらに−30℃から−45℃で4.5時間撹拌する方法が、参考例1に記載されている。参考例1には、得られるアルキル基の位置の違いによる異性体の割合についての記載はないが、本文中にこの発明のアルキル化反応について、先ず生成した5−体が、直ちに1−体及び2−体に異性化する、と記載されている。
ところが、従来技術(xiv)の実施例1には、水素化ナトリウムとシクロペンタジエンから調製したシクロペンタジエニルナトリウムのテトラヒドロフラン溶液に、−50℃で1級アルキルブロミドを滴下する、という記載があり、(xiii)と全く同じ方法であるにもかかわらず、低温のままで5−体を、室温まで昇温して1−体を選択的に得ている。2−体の生成については全く記載がない。
以上のように、(xiii)と(xiv)とでは異性体に関する記述が異なる。本発明者らが、(xiv)の実施例を検討した限りにおいては、反応で得られた生成物が、実施例記載の1H−NMRでは異性体種を判別できず、本当に5−及び/又は1−アルキルシクロペンタジエンを高選択的に得られるかを確認できなかった。
また、(xiii)と(xiv)の実施例中の方法は、水素化ナトリウムを使用しており、これは極度の非水条件を要求し、一般に高価な試薬であることから、工業的に実施する上では、大きな困難を伴うものであった。さらに、この方法で2級アルキル基であるイソプロピル基を付加しても、1−体と2−体がほぼ等量の平衡組成のイソプロピルシクロペンタジエン混合物しか得られないことが、本発明者らの検討でわかっている。すなわち、これらの方法はヒノキチオールの製造には適用できない。
以上述べたように、安価で、極度の非水条件を必要とせずに、簡便かつ高選択的にヒノキチオールを製造する方法は今まで知られていなかった。
発明の開示
本発明は、入手が容易なシクロペンタジエンから1−イソプロピルシクロペンタジエンを合成し、これにジクロロケテンを付加した後、加溶媒分解することによりヒノキチオールを製造する方法であって、1−イソプロピルシクロペンタジエンを、安価で、極度の非水条件を必要とせずに、簡便かつ高選択的に製造する方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、
(1)シクロペンタジエンと一般式R−X(Rはイソプロピル基、Xはハロゲン又はトシル基又はアルキルスルホネート基)で表されるイソプロピル化剤から1−イソプロピルシクロペンタジエンを得(第1工程)、該1−イソプロピルシクロペンタジエンとジハロケテンとを反応させてケテン付加体を得(第2工程)、該ケテン付加体を分解する(第3工程)ことを含むヒノキチオールの製造方法であって、第一工程がさらに以下の3つの工程を含む上記製造方法:
(イ)シクロペンタジエンと、金属水酸化物又は金属アルコキシドの少なくとも1種とからシクロペンタジエニル金属を調製する工程(シクロペンタジエニル金属の調製工程);
(ロ)該シクロペンタジエニル金属とイソプロピル化剤とを、生成物のイソプロピルシクロペンタジエンと混合すると二液相を形成する非プロトン性極性溶媒の存在下で反応させて、イソプロピルシクロペンタジエンを取得する工程(イソプロピル化工程);及び
(ハ)該イソプロピルシクロペンタジエン中の5−イソプロピルシクロペンタジエンを、熱により1−イソプロピルシクロペンタジエンに選択的に異性化する工程(異性化工程)。
(2)イソプロピル化工程に続いて、静置後下層を抜き取ることにより、イソプロピルシクロペンタジエンを主成分とする相を分離する工程を含む、上記(1)記載の方法。
(3)シクロペンタジエニル金属の調製工程において、金属水酸化物を用いる、上記(1)記載の方法。
(4)イソプロピル化工程において、前記非プロトン性極性溶媒がジメチルスルホキシドである、上記(1)記載の方法。
(5)シクロペンタジエニル金属調製工程において、金属水酸化物が水酸化カリウムである、上記(1)記載の方法。
(6)前記非プロトン性極性溶媒に加えて、脂肪族炭化水素を存在させて、イソプロピル化工程を実施する、上記(1)記載の方法。
(7)イソプロピル化工程において、前記非プロトン性極性溶媒を、シクロペンタジエニル金属に対して4倍モル以上使用する、上記(1)から(6)のいずれか一項記載の方法。
(8)イソプロピル化工程において、前記非プロトン性極性溶媒を、シクロペンタジエニル金属に対して6倍モル以上使用する、上記(1)から(7)のいずれか一項記載の方法。
(9)イソプロピル化工程において、前記非プロトン性極性溶媒を、シクロペンタジエニル金属に対して10倍モル以上使用して、イソプロピル化剤にシクロペンタジエニル金属を含む溶液を添加する、上記(1)から(5)のいずれか一項記載の方法。
(10)イソプロピル化工程において、金属アルコキシドがカリウムエトキシドであり、かつ前記非プロトン性極性溶媒を、シクロペンタジエニル金属に対し12倍モル以上使用する、上記(1)記載の方法。
(11)イソプロピル化工程において、反応温度が30℃を超えない、上記(1)から(9)のいずれか一項記載の方法。
(12)イソプロピル化工程において、反応系内に存在する水分量が、シクロペンタジエニル金属に対して、モル比で3倍モルを超えない、上記(1)から(11)のいずれか一項記載の方法。
(13)シクロペンタジエニル金属調製工程及びアルキル化工程を、不活性ガス雰囲気下で行う、上記(1)から(12)のいずれか一項記載の方法。
(14)異性化工程の温度が0から40℃である上記(1)から(13)のいずれか一項記載の方法。
(15)第3工程において、トリエチルアミンを反応系に滴下しながらトリエチルアミン、水、及び水溶性有機溶媒の存在下でケテン付加体の分解を実施する、上記(1)から(14)のいずれか一項記載の方法。
(16)ギ酸、酢酸及びプロピオン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる有機酸をさらに添加してケテン付加体の分解を実施する、上記(15)記載の方法。
(17)前記水溶性有機溶媒が、ターシャリーブタノールである、上記(15)又は(16)記載の方法。
(18)第3工程及びヒノキチオールを精製する工程において用いられる装置の、ヒノキチオールと接触する部分が、ハステロイC、ガラス、樹脂及びセラミックからなる群から選ばれる少なくとも一つの材質からなる、上記(1)から(17)のいずれか一項記載の方法。
本発明のヒノキチオールの製造法を化学式で示すと、以下のようである。
先述したように、ヒノキチオールになるのは、1−イソプロピルシクロペンタジエンだけであり、2−イソプロピルシクロペンタジエンや5−イソプロピルシクロペンタジエンからは、ヒノキチオールを製造することはできない。
また、第一工程を化学式で示すと、以下のようである。
従来技術で述べたように、シクロペンタジエンを原料として用いて、1−イソプロピルシクロペンタジエン、ケテン付加体を経てヒノキチオールを製造する方法は既知である。
一般的に、アルキルシクロペンタジエンには二重結合とアルキル基の位置の違いにより、1−体、2−体及び5−体の三種の異性体が存在し、シクロペンタジエンと塩基からシクロペンタジエニル金属を得、これとアルキル化剤を反応させると先ず5−体が一旦生成したあと、1−体と2−体に異性化し、平衡状態では少量の5−体とともに1−体と2−体がほぼ等量で存在していることが知られている。
ミロノフ(V.A.Mironov)らは、シクロペンタジエニル金属へのアルキル付加は、まず5−体が生成し、5−体のアルキル基の付いている炭素上の水素が隣接する炭素に1,2−水素移動して1−体に異性化し、さらに1−体のメチレンプロトンが同じように隣の炭素に1,2−水素移動して2−体に異性化することを明らかにした。さらに5−体から1−体への異性化はより低温でも進むが、1−体から2−体への異性化はより高温が必要であることも示した(Tetrahedron,vol.19,1939(1963))。
従って、異性化が1,2−水素移動により進むものであれば、2−体の生成を最小限にして5−体及び/又は1−体を生成することは可能である。マクリーン(S.McLean)らは、上記の1,2−水素移動による異性化は強塩基が存在しないときに有効であり、強塩基が存在すると5−体からアルキルシクロペンタジエニルアニオンが生成し、これは直接平衡混合物に異性化すると述べている(Tetrahedron、vol.21,2313〜2329(1965))。
すなわち、強塩基が存在すると、5−体及び/又は1−体を選択的に合成することはできず、1−体と2−体がほぼ等量の平衡混合物が生成することを意味している。従って、言い換えれば、5−体及び/又は1−体を選択的に合成するには、一旦生成したアルキルシクロペンタジエンと強塩基を接触させないことが必須条件と言える。
ここで言う強塩基とは、金属ナトリウムとシクロペンタジエンから得られるシクロペンタジエニルナトリウムのようなシクロペンタジエニル金属のことである。従来技術の(viii)及び(ix)の方法では、均一溶媒中、シクロペンタジエンのグリニャール試薬やシクロペンタジエニルリチウムのようなシクロペンタジエニル金属を用いて5−体及び/又は1−体を選択的に得ているが、その理由は、これらのシクロペンタジエニル金属の塩基性が低いためにアルキルシクロペンタジエニルアニオンを生成しないためではないかと本発明者らは考えている。シクロペンタジエニル金属の金属がナトリウムのようなアルカリ金属である場合、反応原料として系内に必要であるにもかかわらずそれ自体が平衡組成への異性化を促進する強塩基であるため、反応操作にはある工夫が必要となってくる。
従来技術の(xii)でマクリーンらは、アルキル化剤にシクロペンタジエニルナトリウムのジメトキシエタンやジグライムの溶液を滴下することで、5−体及び/又は1−体を高選択的に得ている。滴下と同時にアルキル化反応を起こさせ、系内には実質的にフリーのシクロペンタジエニルナトリウムを存在させないようにすることで、アルキルシクロペンタジエニルアニオン経由の平衡組成への異性化を防いでいる、と本発明者らは考えている。逆の滴下、すなわちシクロペンタジエニルナトリウムの溶液にアルキル化剤を滴下して反応させた場合、滴下中に生成するアルキルシクロペンタジエンがフリーのシクロペンタジエニルナトリウムと接触するため、平衡組成か2−体の多い組成のアルキルシクロペンタジエンしか得られていない。また従来技術(xiii)と(xiv)の実施例中の方法は同じ方法であり、上記従来技術(xii)とは逆に、シクロペンタジエニルナトリウム溶液にアルキル化剤を滴下する方法である。生成するアルキルシクロペンタジエンの異性体比については(xiii)と(xiv)とでは記述が異なり、(xiii)では5−体は1−体と2−体にすぐに異性化すると述べ、(xiv)では5−体又は1−体が高選択的に得られると述べている。滴下順序から考えれば、(xiii)の記載が正しいように思われるが、(xiv)の方法で5−体と1−体を高選択的に得ているとすれば、その理由は不明である。
従来技術の(xii)で5−体及び/又は1−体を選択的に得るには、滴下したシクロペンタジエニルナトリウムとアルキル化剤の反応が速いこと、すなわちアルキル化剤の反応性が高いことが必要である、と推測される。例えば従来技術の(xii)の方法で反応させてもアルキル化剤の反応性が低ければ、実質的に系内にシクロペンタジエニルナトリウムが存在することになってしまい、反応系が均一系のため、この強塩基と生成物のアルキルシクロペンタジエンが接触し、アルキルシクロペンタジエニルアニオン経由の異性化が進行すると考えられるからである。実際、従来技術(xii)の方法ではメチル基などのような1級アルキル基の付加の例しか記載されていない。本発明者らも、これら従来技術に従ってアルキル化を試みたが、ジメチル硫酸やn−プロピルブロミドなどの1級アルキル化剤では、5−体及び/又は1−体が選択的に生成するが、反応性の低い2級アルキルハライドであるイソプロピルブロミドでは、得られたイソプロピルシクロペンタジエンは1−体と2−体がほぼ等量の混合物であった。従来技術(xiv)の方法も、5−体及び/又は1−体が高選択的に得られる理由は不明であるにしろ、均一系の反応系において、強塩基であるシクロペンタジエニルナトリウムを用いている点は、従来技術(xii)と同様であり、実施例に記載されている3つのアルキル基は、全て1級アルキル基であり、反応性の低い2級又は3級アルキル基の付加の例はない。この方法に従って本発明者らがイソプロピルシクロペンタジエンの合成を実施したが、(xii)と同様、1−体と2−体がほぼ等量の平衡混合物しか得られなかった。検討結果は、後述の比較例10に示す。
そこで本発明者らは、シクロペンタジエニルナトリウム又はシクロペンタジエニルカリウムのような強塩基を用い、なおかつ、反応性の低い2級アルキル化剤との反応であっても、アルキルシクロペンタジエニルアニオン経由で異性化が生じることを抑制できる方法を検討した。その結果、生成物のアルキルシクロペンタジエンと混合すると二液相を形成する有機溶媒を用いれば、選択的に5−体及び/又は1−体が得られることを見いだした。
すなわちシクロペンタジエニルナトリウムもしくはカリウムとアルキル化剤の反応は上記溶媒中で起こるが、反応によって生成するアルキルシクロペンタジエンが直ちに溶媒から相分離し、相分離することにより生成物のアルキルシクロペンタジエンとシクロペンタジエニルナトリウム若しくはカリウムのような強塩基との接触が妨げられ、その結果アルキルシクロペンタジエニルアニオン経由の異性化が起こらず、5−体及び/又は1−体が選択的に得られることを見出したのである。
本方法では、従来技術(xii)とは異なり、アルキル化剤の反応性が5−体及び/又は1−体の選択性に何ら影響を及ぼさないこと、また試薬の滴下順序の影響がないこと、反応操作に特殊な工夫が要らないことがわかった。これは生成物のアルキルシクロペンタジエンと、強塩基であるシクロペンタジエニルナトリウムなどとを、相分離により接触させないという原理から理解できる。実際、従来技術(xii)及び(xiv)では選択性の見られなかった、イソプロピルブロミドのようなアルキル化剤を反応させた場合でも、5−体及び/又は1−体が選択的に得られることがわかった。
今まで述べたような、相分離により生成物のアルキルシクロペンタジエンとシクロペンタジエニルナトリウム若しくはカリウムのような強塩基とを接触させないで5−体及び/又は1−体の選択性を高めるという概念は今までに知られておらず、本発明者らが鋭意検討した結果初めて得られた概念である。5−体及び/又は1−体を選択的に得る従来技術は全て均一系の反応であり、5−体及び/又は1−体の選択性と反応場の相の状態を関連づけたものは、従来、皆無であった。
さらに、反応系に水分が存在しても、5−体及び/又は1−体の選択性に及ぼす影響が非常に小さいことも本発明のさらに大きな利点である。5−体及び/又は1−体を選択的に得ている従来技術はすべて極度の非水条件を要求するものばかりであり、工業的に実施する上で困難さを伴っていた。本発明では水分が共存しても選択性の低下が少なく、従ってアルカリ金属単体やアルカリ金属水素化物などの、高価でかつ工業的に取り扱う上で困難な物質を使う必要がなく、安価でかつ取り扱いが容易な金属水酸化物を好適に使用することができる。また実際には金属水酸化物を使用すると、シクロペンタジエニル金属ができるときに水が金属水酸化物と等モル量で生成するが、この調製時に生成する水に加え、さらに水が混入していたとしても、5−体及び/又は1−体の選択性を高いまま維持することができる。グリニャール試薬やリチウム化合物は水分があると分解するため反応が起こらなくなるし、従来技術(xii)ではアルキル化反応が、水の存在により遅くなり、その結果、系内に実質的にシクロペンタジエニルナトリウムなどの強塩基が存在するようになり、平衡組成へ異性化する。従って、シクロペンタジエニル金属の調製時に水を発生する金属水酸化物は使用することができず、また使用する溶媒も特別の脱水操作が必要となる。従来、金属水酸化物を用いて高選択的に5−体及び/又は1−体を製造した例はなく、かかる製造は本発明の相分離法を採用することにより初めて達成された。
また全く同様の理由でシクロペンタジエニル金属の調製時に、金属アルコキシドを使うこともできる。この場合シクロペンタジエニル金属の調製時に、金属と等モル量のアルコールが生成するが、この生成したアルコールは従来技術(xii)のような、均一系反応においては、アルキル化反応を遅くし、結果的に、5−体及び/又は1−体の選択性を低下させるものであったが、本発明の相分離反応系では、選択性の低下を起こさない。
従来技術の(ix)に記載された、4級アンモニウム塩などの相間移動触媒の存在下で、金属水酸化物、たとえば水酸化ナトリウムの水溶液中でシクロペンタジエンを反応させてシクロペンタジエニルナトリウムを調製し、これにハロゲン化アルキルを加えるという方法は、本発明の方法とは反応システムが全く異なるものである。従来技術(ix)でも二液相を形成しているが、これはアルキル化剤を添加する前は、水と金属水酸化物からなる水相とシクロペンタジエンとシクロペンタジエニルナトリウムからなる有機相の二相であり、静置状態では水相が下相となる。ここにアルキル化剤を添加すると有機相中でシクロペンタジエニルナトリウムと反応し、生成したアルキルシクロペンタジエンはそのまま有機相に留まるため、有機相中で生成物のアルキルシクロペンタジエンとシクロペンタジエニルナトリウムが接触することになり、アルキルシクロペンタジエニルアニオン経由での異性化が生じ、その結果1−体と2−体がほぼ等量の平衡組成しか得られないことになる。
本発明の反応系では、これとは相の構成成分が異なり、シクロペンタジエニル金属と有機溶媒からなる均一相にアルキル化剤を添加すると、生成したアルキルシクロペンタジエンはすぐさま相分離し、アルキルシクロペンタジエン相を形成し、シクロペンタジエニルアルカリ金属との接触が遮断されるのである。
金属水酸化物又は金属アルコキシドから選ばれる少なくとも1種を用いて、5−及び/又は1−アルキルシクロペンタジエンを高選択的に得ている従来技術はなかった。金属水酸化物を用いた場合には、得られるアルキルシクロペンタジエンは、1−アルキルシクロペンタジエンと2−アルキルシクロペンタジエンとのほぼ等量の平衡混合物にすぎなかった。
本発明によれば、シクロペンタジエンから1−イソプロピルシクロペンタジエンを得、これにジハロケテンを付加させ、得られるケテン付加体を加溶媒分解してヒノキチオールを得る製造方法において、安価で、極端な非水条件を必要とせずに簡便な操作で1−イソプロピルシクロペンタジエンを高選択的に得ることができ、従って、その結果として、安価で、極端な非水条件を必要とせずに簡便な操作で、高選択的なヒノキチオールを製造することができる。
発明を実施するための最良の形態
本発明の第一工程から説明する。シクロペンタジエニル金属の調製工程は、溶媒中でシクロペンタジエンと金属水酸化物又は金属アルコキシドを反応させ、シクロペンタジエニル金属を生成する工程である。シクロペンタジエニル金属は溶媒中では実際には、シクロペンタジエニルアニオンと金属イオンとにイオン化して溶解している。金属水酸化物又は金属アルコキシドはシクロペンタジエンから水素を引き抜く塩基として作用している。塩基として、従来技術に記載のある金属単体や金属水素化物を本発明の金属水酸化物又は金属アルコキシドの代わりに用いることもできるが、背景技術の説明で述べたように、空気中の水分と反応して発火危険性があるなど、取り扱う上で注意を要するという点で金属水酸化物に比べて不利である。本発明では、シクロペンタジエニル金属の調製工程で用いる塩基は、金属水酸化物又は金属アルコキシドから選ばれる少なくとも1種である。
本発明で用いられる金属水酸化物は、アルカリ金属の水酸化物又はアルカリ土類金属の水酸化物であり、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられるが、好ましくは、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。ただし水酸化ナトリウムの場合、シクロペンタジエンと反応してシクロペンタジエニル金属を調製する際、析出物の発生を伴うことが多く、この場合は水酸化カリウムを用いる方が好ましい。水酸化カリウムを用いる場合、フレーク状、粒状、水溶液を問わず、一般に市販されているグレードでかまわない。本発明で用いられる金属アルコキシドは、例えば、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムメトキシドなどであり、好ましくは、カリウムエトキシドである。金属水酸化物と金属アルコキシドのうち、取り扱い易さ、価格の点から、工業生産には金属水酸化物の方がより好ましい。
シクロペンタジエニル金属を調製する際に用いる溶媒については、シクロペンタジエニル金属を溶解する溶媒であれば、どのような溶媒でも用いることができ、乾燥等の特別な処理は必要ない。ただし次のイソプロピル化工程でイソプロピル化剤との反応に悪影響を与えるような溶媒の場合、シクロペンタジエニル金属の調製後、イソプロピル化剤との反応の前に一旦溶媒を留去する工程が必要となりプロセスが煩雑となる。従って、次工程のイソプロピル化工程に用いる溶媒を、このシクロペンタジエニル金属の調製時にも使用することが、溶媒留去工程を省けるという点から好ましい。
シクロペンタジエンと金属水酸化物又は金属アルコキシドの量比は、特に限定されるものではない。通常、シクロペンタジエンに対する、金属水酸化物又は金属アルコキシドのモル比は、0.1から10の範囲であり、好ましくは0.5から2の範囲であり、さらに好ましくは0.8から1.5の範囲である。
シクロペンタジエニル金属の調製時の反応温度は、−10℃から溶媒の沸点温度まで採用できるが、低すぎると反応が進みにくく、高すぎるとシクロペンタジエンの二量化が進みジシクロペンタジエンを生成しやすいので、好ましくは0℃から80℃、さらに好ましくは10℃から50℃である。反応は常圧又は加圧下で実施できる。シクロペンタジエンの常圧での沸点は約40℃なので、常圧−開放系で行う場合には、シクロペンタジエンのロスを防ぐために還流冷却器を備えた反応器で実施する方がよい。またシクロペンタジエンと金属水酸化物又は金属アルコキシドとの反応は発熱反応であるため、所定の反応温度を維持するための手段を反応器に備えた方がよい。またシクロペンタジエニル金属は空気中の酸素により酸化されやすいので、窒素などのような不活性ガスで反応系をシールすることが好ましい。反応時間は通常10分から6時間である。シクロペンタジエニル金属の調製時の溶媒に、次工程のイソプロピル化工程で使うものと同じ溶媒を用いると、本工程で得られるシクロペンタジエニル金属の溶液をそのまま後処理をすることなくイソプロピル化工程に供することができる。ただしシクロペンタジエニル金属の調製工程の反応で生成する水又はアルコールをイソプロピル化工程に移る前に分離除去してもかまわない。例えば水やアルコールより高沸点の溶媒を用いたときには、蒸留により水やアルコールを除去することができる。
イソプロピル化工程は、前の工程で得られたシクロペンタジエニル金属とイソプロピル化剤との反応により、イソプロピルシクロペンタジエンを得る工程である。
本工程で用いられるイソプロピル化剤は、一般式R−Xで表される。ここでRはイソプロピル基を表し、Xはハロゲン又はトシル基又はアルキルスルホネート基を表す。イソプロピル化剤として、例えば、イソプロピルクロリド、イソプロピルブロミド、イソプロピルヨーダイド、イソプロピルトシレート、ジイソプルピル硫酸などが挙げられる。
イソプロピル化工程で用いられる溶媒は、生成物のイソプロピルシクロペンタジエンと混合すると二液相を形成し、かつシクロペンタジエニル金属を溶解するような溶媒である。さらに、シクロペンタジエニル金属とイソプロピル化剤の反応においては、シクロペンタジエニル金属中のシクロペンタジエニルアニオンがアルキル化剤を求核攻撃することが第一段階なので、シクロペンタジエニルアニオンに対する溶媒和が少ない溶媒を用いることが好ましい。従って、水素結合に関与するような酸性の水素を持たず、アニオンへの溶媒和が小さく、かつ強い極性によりシクロペンタジエニル金属の金属イオンを強く溶媒和することによりシクロペンタジエニル金属を溶解するような溶媒、即ち、非プロトン性極性溶媒で、かつ生成物のアルキルシクロペンタジエンと混合すると二液相を形成するような溶媒が好ましい。このような溶媒としては、スルホン化合物やスルホキシド化合物が挙げられ、具体的には、スルホラン、ジメチルスルホキシドやジエチルスルホキシドなどが挙げられる。好ましくはジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略す)である。非プロトン性極性溶媒であっても生成物のアルキルシクロペンタジエンと混合したとき二液相を形成しない溶媒では、5−及び/又は1−イソプロピルシクロペンタジエンを高選択的に得ることはできない。例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミド、又は1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンは代表的な非プロトン性極性溶媒であるが、生成物のイソプロピルシクロペンタジエンとは混合したとき二液相を形成せず、5−及び/又は1−イソプロピルシクロペンタジエンを高選択的に得ることはできない。
また、生成物のイソプロピルシクロペンタジエンと、イソプロピルシクロペンタジエンと混合すると二液相を形成する溶媒との相分離を補助する目的で、炭化水素系溶媒を追加的に添加して用いることは効果的である。かかる溶媒としては脂肪族炭化水素が好ましいが、イソプロピルシクロペンタジエンと混合すると二液相を形成する溶媒と均一相を形成するような炭化水素系溶媒は好ましくない。あまり沸点が低いと操作中のロスが多いので、炭素数6以上の脂肪族炭化水素がより好ましい。脂肪族炭化水素は直鎖状であるか分岐状であるかを問わない。例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどが好適に挙げられる。なお、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記以外の溶媒を併用してもかまわない。
生成物のイソプロピルシクロペンタジエンと混合すると二液相を形成する非プロトン性極性溶媒の使用量は重要であり、目的とするイソプロピルシクロペンタジエンの異性体を高い選択率で得るためには、シクロペンタジエニル金属に対してモル比で4倍モル以上であり、好ましくは6倍モル以上である。4倍モルより少ないと、2−イソプロピルシクロペンタジエンの生成が増加する傾向にある。理由は明確ではないが、溶媒が少ないと、相対的にイソプロピルシクロペンタジエン相に含まれるシクロペンタジエニル金属の量が増えるためではないかと、本発明者らは考えている。特に、炭化水素を追加的に添加せず、イソプロピル化剤にシクロペンタジエニル金属溶液を滴下するときには、10倍モル以上用いることが好ましい。また、カリウムエトキシドの場合、非プロトン性極性溶媒をシクロペンタジエニル金属に対し、12倍モル以上使用することが好ましい。用いる溶媒の量によりイソプロピルシクロペンタジエンの異性体比が変化する事実は、従来技術の均一系反応では観られなかったことであり、本発明のイソプロピル化工程が二相反応で進むことに特有の現象であると考えられる。
イソプロピル化工程における反応は、以下の二相(A相及びB相)を形成しながら進行する。
A相:イソプロピルシクロペンタジエンを主成分とする相。炭化水素を共存させるときは、炭化水素とイソプロピルシクロペンタジエンがA相の主成分となる。
B相:イソプロピルシクロペンタジエンと混合すると二液相を形成する溶媒とシクロペンタジエニル金属を主成分とする相。
イソプロピル化剤とシクロペンタジエニル金属はB相で反応し、反応で生成したイソプロピルシクロペンタジエンはすぐにA相に移行するので、強塩基であるシクロペンタジエニル金属と接触することがない。
シクロペンタジエニル金属とイソプロピル化剤との量比は、特に限定されるものではない。シクロペンタジエニル金属に対するイソプロピル化剤のモル比は、通常、0.1から10であり、好ましくは0.5から3、さらに好ましくは0.8から1.2である。従来技術(xii)の場合、この比が1未満であると、反応系内にシクロペンタジエニル金属が未反応のまま存在することになるため、結果的に5−体及び/又は1−体を高選択的に得ることはできないが、本発明の場合には相分離を利用するため、このような制限がない。このことは、反応操作上運転許容幅が広いということを意味し、特に連続的に反応を行う場合、有利である。
イソプロピル化工程の反応温度は−20℃から30℃の範囲、好ましくは−10℃から25℃の範囲、さらに好ましくは−5から10℃の範囲である。−20℃より低い温度では反応が遅く、30℃より高い温度では2−イソプロピルシクロペンタジエンの生成が増加する。反応操作としては、シクロペンタジエニル金属溶液にイソプロピル化剤を滴下又は少量ずつ添加してもよいし、イソプロピル化剤にシクロペンタジエニル金属溶液を滴下又は少量ずつ添加してもよい。また−20℃より低い温度でシクロペンタジエニル金属とイソプロピル化剤を混合した後、−20℃から25℃に昇温しで反応させてもよい。また反応による発熱を効果的に除去することができ、上記温度範囲内に反応温度を維持することができる反応装置であれば、シクロペンタジエニル金属とイソプロピル化剤を一度に混合し、それと同時に反応を生ぜしめてもよい。このような反応装置はスタティックミキサーのような撹拌作用の付いた管型反応器に、両者を供給しながら反応させる形式のものでもよい。本発明の方法は、5−体及び/又は1−体の高選択的生成を相分離系で実現しているため、従来技術(xii)のように反応操作に特別の工夫は必要としないのである。
反応系内に存在する水分の量は、金属水酸化物を用いてシクロペンタジエニル金属を調製した時に生成する水分も含め、シクロペンタジエニル金属に対して3倍モルを超えないようにし、好ましくは2.5倍モルを超えないようにし、さらに好ましくは2倍モルを超えないようにする。水分量が3倍モルを超えると5−及び/又は1−イソプロピルシクロペンタジエンの選択性が低くなるからである。ただし、3倍モルの水とは、シクロペンタジエニル金属の調製時に1倍モルの水が生成することを考慮すると、調製前に水が2倍モル存在してもよいことを示し、水の存在量に関して許容範囲が広いことを意味している。従って、本発明では、使用する溶媒や原料に関し、特別の乾燥操作をする必要がなく、このことは溶媒等を回収使用する際に、大きな利点となる。
シクロペンタジエニル金属とイソプロピル化剤との反応は、槽型反応器で実施する場合には、撹拌下で実施するのがよい。好ましくは反応液1立方メートルあたり0.1kW以上の撹拌強度で反応を実施するのが好ましい。さらに好ましくは、反応液1立方メートルあたり0.2kW以上である。0.1kW/m3より小さいと反応の進行が遅くなるばかりか、5−及び/又は1−イソプロピルシクロペンタジエンの選択性が低下するからである。
イソプロピル化反応中は、窒素のような不活性ガスで反応系をシールした方が好ましい。未反応のシクロペンタジエニル金属が空気中の酸素により酸化されるからである。シクロペンタジエニル金属の酸化が起こると、次に述べる後処理操作において、二液相になっている反応液の液々界面付近に不溶物が浮遊し、分層操作に困難をきたす場合があるからである。
イソプロピル化終了後の後処理操作は以下の通りである。反応終了後は、反応液は二液相を形成しており、先ず下相を抜き取って上相のアルキルシクロペンタジエンを含む相を取り出し、この中に微量含まれるアルカリ分を除去するために、液がアルカリを呈しないまで水洗を繰り返すか、いったん塩酸や硫酸などの鉱酸を加えて酸性にした後、水洗する。この際ヘキサンなどの炭化水素を添加してもかまわない。また反応終了後の二液相を形成している反応液に、先ず鉱酸を加えて系全体を酸性にしたあと、下相を抜き取ってもよい。後処理操作中の液温度も重要であり、30℃を超えないことが好ましい。30℃を超えると2−イソプロピルシクロペンタジエンの生成が後処理操作中に増大する傾向にあるからである。
異性化工程は、イソプロピル化工程で得られたイソプロピルシクロペンタジエン中の5−イソプロピルシクロペンタジエンをに熱により1−体に異性化する工程である。後処理操作後に得られるイソプロピルシクロペンタジエンを主成分とする液には、シクロペンタジエニル金属などの強塩基が存在しないため、異性化は熱による1,2−水素移動により実現される。5−体から1−体への熱による異性化は可逆反応であるが、1−体の方に平衡が偏っているので、5−体は異性化後、非常に少量しか存在し得ない。一方、1−体から2−体への異性化も起こり、これも可逆反応で、平衡組成は先に述べたように1−体と2−体がほぼ1対1の比となるが、この異性化は5−体から1−体への異性化に比べて遅い。従って、5−体と1−体の混合物をある温度において必要な時間だけ保つことにより、5−体から1−体への異性化のみを進行させ、1−体を主生成物とすることができる。異性化においては5−体と1−体を含む液を静置してもよいし、撹拌してもよい。異性化の温度は、0℃から40℃の範囲である。0℃より低いと異性化の進行が遅く実用的でなく、高すぎると異性化の進行は速くなるが、同時に望ましくない異性体である2−体の生成も促進されてしまい、制御が困難になってしまう。異性化に必要な時間は、温度条件や異性化開始時の異性体比等によって異なるため一概には言えないが、おおよそ以下の通りである。異性化温度10℃では8から40時間程度、20℃では3から30時間程度、30℃では30分から10時間程度である。異性化の時間がこれより短いと5−体の残存が多く、長すぎると2−体の生成が増大する傾向にある。
以上が、シクロペンタジエニル金属の調製工程、イソプロピル化工程、及び異性化工程の3つの工程からなる第1工程である。
本発明の第2工程は、第1工程で得られた1−イソプロピルシクロペンタジエンに、ジハロケテンを付加し、ケテン付加体を発生させる工程である。
ジハロケテンは、一般式CXY=C=Oで表され、X及びYはそれぞれ独立に塩素、臭素及びヨウ素から選ばれる。例えば、ジクロロケテン、ジブロモケテン、クロロブロモケテンなどである。この中でもジクロロケテンが好ましい。
ジハロケテンは非常に不安定なため、ケテン発生とケテン付加をワンポットで行うのが好ましい。ケテン発生方法は、下記の2つの既知の方法のいずれかを採用することができる。
(i)一般式CHXY−COZ1(X及びYは先述の通り。Z1は塩素、臭素及びヨウ素から選ばれるハロゲン原子である。)で表される、ジハロ酢酸ハライドに、トリエチルアミンを作用させて脱ハロゲン化水素を行う方法。
(ii)一般式CXYZ2−COZ1(X、Y及びZ1は先述の通り。Z2は塩素、臭素及びヨウ素から選ばれるハロゲン原子である。)で表される、トリハロ酢酸ハロリドに、金属亜鉛粉末を作用させて脱ハロゲン化する方法。
ジハロ酢酸ハロリドの脱ハロゲン化水素によりジハロケテンを発生する方法でを例に挙げて本発明の第2工程を説明すると、以下の通りである。
第1工程で得られた、イソプロピルシクロペンタジエンにジハロ酢酸ハライドを加え、所定温度範囲を維持しながら、この混合液にトリエチルアミンを一度にではなく滴下する。あるいは、イソプロピルシクロペンタジエンに、ジハロ酢酸ハライドとトリエチルアミンを同時に滴下する。この際、トリエチルアミンを滴下するのが好ましい。所定量のトリエチルアミンを一度にイソプロピルシクロペンタジエンと混合すると、トリエチルアミンの塩基性により、イソプロピルシクロペンタジエン中の1−イソプロピルシクロペンタジエンが2−体に異性化してしまうからである。またトリエチルアミンは、ケテンの重合触媒でもあるので、トリエチルアミンは少量ずつ滴下し、できる限り、反応系内にフリーで存在することを避ける方が好ましい。本工程の反応は発熱反応であり、反応温度を所定の範囲に維持する上でも、滴下方式が好ましい。
ジハロケテン発生原料として使用できるジハロ酢酸ハライドとして、例えば、ジフロロ酢酸クロリド、ジクロロ酢酸クロリド、ジブロモ酢酸クロリド、ジフロロ酢酸ブロミド、ジクロロ酢酸ブロミド、ジブロモ酢酸ブロミド等が挙げられるが、好ましくはジクロロ酢酸クロリドである。
イソプロピルシクロペンタジエンに対するジハロ酢酸ハライドのモル比は、イソプロピルシクロペンタジエン中の1−体の比にもよるが、通常0.1から10であり、好ましくは0.5から5であり、さらに好ましくは0.5から3である。ジハロ酢酸ハロゲン化物に対するトリエチルアミンのモル比は、0.5から2であり、好ましくは0.7から1.5であり、さらに好ましくは0.9から1.1である。トリエチルアミンのモル比が0.5より低いと、ジハロ酢酸ハライドが未反応で残存する量が多くなる。2より高くなると、未反応のトリエチルアミンが反応系内に残存する量が多くなり、1−イソプロピルシクロペンタジエンから2−イソプロピルシクロペンタジエンへの異性化を促進する傾向が大きくなるからである。
上記の範囲のジハロ酢酸ハライドとトリエチルアミンとから発生するジハロケテンの量により、生成物であるケテン付加体の収率や、ケテン付加体中の1−イソプロピルシクロペンタジエン由来の付加体(1−体付加体と略す)と2−イソプロピルシクロペンタジエン由来の付加体(2−体付加体)の比が変わってくる。一般にジハロケテンの量が多いと、ケテン付加体の収率は向上するが、ケテン付加体中の1−体付加体の比が下がり、ジハロケテンの量が少ないと、ケテン付加体の収率は下がるが、ケテン付加体中の1−体付加体の比は上がる。ジハロケテンは2−イソプロピルシクロペンタジエンよりも1−イソプロピルシクロペンタジエンへの付加の方が、より優先的に進むからである。
第2工程の反応温度は、通常、−30℃から50℃であり、好ましくは−30℃から30℃、さらに好ましくは−10℃から10℃である。温度が低すぎると、反応の進行が遅く実用的でなく、温度が高すぎると、未反応の1−イソプロピルシクロペンタジエンが2−イソプロピルシクロペンタジエンへ異性化したり、発生したケテンが重合する傾向があるからである。
第2工程の反応は、槽型反応器で実施する場合には、撹拌下で実施するのがよい。好ましくは反応液1立方メートルあたり0.1kW以上の撹拌強度で反応を実施する。さらに好ましくは反応液1立方メートルあたり0.2kW以上の撹拌強度で反応を実施するのがよい。撹拌強度が0.1kW/m3より小さいと、発生したケテンがイソプロピルシクロペンタジエンに付加するより、重合してしまう割合が増える傾向にあるからである。
また、ジハロケテンをジハロ酢酸ハライドの脱ハロゲン化水素で発生させる場合、トリエチルアミンのハロゲン化水素塩が大量に発生し、撹拌が困難になる場合があるので、溶媒で希釈するのが好ましい。この溶媒は、ジハロ酢酸ハライド及びジハロケテンに対して不活性なものであればいずれも用いることができる。例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル等の飽和炭化水素が挙げられる。第1工程後処理後に得られるイソプロピルシクロペンタジエンがヘキサン溶液の状態であれば、そのまま第2工程に供することができる。
第2工程終了後の反応液の後処理は次のように行えばよい。反応液から、ろ過又は遠心分離などにより、トリエチルアミンのハロゲン化水素塩を除去した後、反応液を塩酸などの鉱酸で洗浄してもよいし、水洗を繰り返し実施してもよい。又は反応液に鉱酸又は水を添加し、トリエチルアミンのハロゲン化水素塩を溶解した後、下相の水相を抜き取ってケテン付加体を含む有機相を取得してもよい。ここで得られたケテン付加体を含む有機相から、溶媒に用いた飽和炭化水素を留去する。溶媒留去後のケテン付加体は、さらに蒸留で精製してもよいし、そのまま、次の第3工程の原料にしてもかまわない。
一方、後処理の際にケテン付加体を含む有機相から分離除去された、トリエチルアミンのハロゲン化水素塩を含む水相から、トリエチルアミンを回収することは、資源節約の観点から重要である。トリエチルアミンのハロゲン化水素塩を含む水相に、水酸化ナトリウムのような無機塩基を添加し、中性又はアルカリ性にする。この際、析出している塩がないように、必要であれば水を加える。こうすることによって、トリエチルアミンを含む有機相とハロゲン化ナトリウムのような無機塩を含む水相とが分離するため、水相を除去し、トリエチルアミンを含む有機相を取り出し、蒸留によりトリエチルアミンを精製する。精製されたトリエチルアミンは、再び、第2工程の原料として使用できる。
次に第3工程について説明する。第3工程は、第2工程で得られたケテン付加体を、塩基を含む混合溶媒中で分解して、ヒノキチオールを製造する工程である。
混合溶媒としては、酢酸−酢酸カリウム−水系、酢酸−酢酸ナトリウム−水系、酢酸−トリエチルアミン−アセトン−水系が知られている。本反応は、ケテン付加体からの塩素引き抜きが引き金となって起こると言われており、塩素キャッチャーとして塩基が使われる。またヒノキチオールのヒドロキシル基源として水の存在が必須である。本発明者らの検討の結果、上記従来技術の系のうち、トリエチルアミンを用いる系が、所要時間が短いため好ましい。
トリエチルアミンを用いる系について、鋭意検討した結果、次のことがわかった。従来技術では、混合溶媒とケテン付加体原料を一度に仕込んで、分解反応を行っているが、この場合高沸点物が多量に副生することが、本発明者らによる反応液のGPC分析からわかった。しかも反応時間に比例して高沸点副生物が増えるのではなく、反応初期に高沸点副生物の生成が多いことを見出した。そこでトリエチルアミンを最初から所定量仕込むのではなく、滴下又は少量ずつ分割して反応系に添加することが、この高沸点副生物の生成が大幅に抑制され、その結果ヒノキチオールの収率が向上するので好ましい。さらに、従来技術では酢酸を必須成分として添加しているが、本発明者らが見出したトリエチルアミン滴下法を用いれば、酢酸がなくても高収率でヒノキチオールが得られることがわかった。さらに、酢酸に限らず、ギ酸及びプロピオン酸のうち少なくとも1種の有機酸を添加すると、一層ヒノキチオールの収率が向上する。
また本反応では、高沸点副生物のほかに、5員環にラクトン環が付いたビス環化合物(以下、ラクトン副生物と略す)が副生することも判明した。ラクトン副生物は、目的の生成物であるヒノキチオールと沸点が近く、副生量が多いと、ヒノキチオール精製時に負荷が大きくなるため、反応で副生する量を抑えることが好ましい。この件について、本発明者らは、水溶性有機溶媒として、アセトンに代えてターシャリーブタノールを用いたところ、このラクトン副生物の生成が大幅に抑えられることを見出した。
反応に用いる各成分の比率は特に限定されるものではないが、原料のケテン付加体に対してモル比で、水は0.1から30、好ましくは0.5から20、さらに好ましくは0.8から10である。トリエチルアミンは、ケテン付加体に対してモル比で、0.1から10、好ましくは0.5から5、さらに好ましくは0.8から3である。有機酸は、トリエチルアミンに対してモル比で、0から0.9、好ましくは0から0.7、さらに好ましくは0から0.5である。有機酸の量がトリエチルアミンに対してモル比で1を超えると、反応が進まなくなるからである。親水性有機溶媒の量は、特に限定されないが、通常、ケテン付加体に対してモル比で、5から30の範囲である。
第3工程の反応温度は、第1工程や第2工程に比べ高い温度が用いられる。通常50℃から140℃の範囲である。常圧で実施する場合には、反応系の還流温度で実施することが好適に行われる。
このようにして第3工程で得られた、粗ヒノキチオールを含む反応液は、抽出・洗浄等の操作を適宜行う。さらに使用する用途、又は最終製品に要求される純度に応じて、蒸留若しくは再結晶又は蒸留と再結晶とを組み合わせた精製を実施する。
粗ヒノキチオールを含む反応液を抽出・洗浄する際に、トリエチルアミンの塩酸塩を含む水溶液が廃水として発生するが、第2工程のときと同様の方法で、この廃水からトリエチルアミンを回収して、再使用することができる。
粗ヒノキチオールを精製する際に注意しなければならない点は、ヒノキチオールが鉄とキレート錯体を作りやすく着色しやすいこと、言い換えれば、鉄を材質にした装置であると腐食が激しい点である。従って、ヒノキチオールが接触する装置の材質は、ハステロイCのような高級金属材質か、ガラス製の又はガラスでライニングされた装置、又はテフロンコーティングなどの樹脂コーティング、又はセラミック材もしくはセラミックコーティングを施された装置を用いるのが好ましい。ヒノキチオールを精留する場合には、充填材として、セラミック充填材を用いるのが好ましい。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。
本発明の生成物のガスクロマトグラフィーによる分析条件を次に示す。
1.イソプロピルシクロペンタジエンの分析
装置:島津製作所GC−14A、島津製作所クロマトパックCR−4A
カラム:J&Wサイエンティフィック社キャピラリーカラムDB−1
(長さ30m×内径0.25mm、液相膜厚0.25μm)
温度条件:カラム40℃×5分→250℃(10℃/分)。
注入口60℃、検出器250℃(FID)
2.付加体及び加溶媒分解物の分析
装置:島津製作所GC−14A、島津製作所クロマトパックCR−4A
カラム:J&Wサイエンティフィック社キャピラリーカラムDB−1
(長さ30m×内径0.25mm、液相膜厚0.25μm)
温度条件:カラム100℃×2分→250℃(10℃/分)。
注入口300℃、 検出器300℃(FID)
本発明の実施例で使用した試薬類は下記のとおりである。
・シクロペンタジエン
ジシクロペンタジエン(和光純薬工業(株)製)を160℃で熱分解して製造
した。
・水酸化カリウム
85%水酸化カリウム:片山化学工業(株)製
96%水酸化カリウム:日本曹達(株)製
・水酸化ナトリウム:片山化学工業(株)製
・水酸化リチウム:和光純薬工業(株)製
・水酸化ルビジウム:石津製薬(株)製
・水酸化セシウム:キシダ化学(株)製
・カリウムエトキシド:アルドリッチ製
・イソプロピルブロミド:東京化成工業(株)製
・ジメチルスルホキシド:和光純薬工業(株)製 特級
・アセトニトリル:和光純薬工業(株)製 特級
・ジメチルホルムアミド:和光純薬工業(株)製 特級
・1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン:和光純薬工業(株)製 特級
・n−ヘキサン:和光純薬工業(株)製 特級
・n−ヘプタン:和光純薬工業(株)製 特級
・n−オクタン:和光純薬工業(株)製 特級
・ジクロロ酢酸クロリド:東京化成工業(株)製
・トリエチルアミン:和光純薬工業(株)製 特級
・酢酸:片山化学工業(株)製 特級
・アセトン:片山化学工業(株)製 一級
・ターシャリーブタノール:和光純薬工業(株)製 特級
・テトラヒドロフラン:和光純薬工業(株)製 特級
・エタノール:和光純薬工業(株)製99.8%
実施例1
ジメチルスルホキシド281.3g(3.6mol)にシクロペンタジエン49.3g(純度96.3%、0.72mol)、水酸化カリウム39.6g(純度85%、0.60mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で6.0であった。
また、シクロペンタジエニルカリウムに対する水分量はモル比で1.6であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液にn−ヘキサン140.0gを加えた後、溶液温度を5℃に保ち、撹拌しながら、イソプロピルブロミド147.6g(1.2mol)を50分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液309gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率95.9%(0.58mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=27.0:65.1:7.9であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で7時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=91.0:1.1:7.9であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン294gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン62.3g(0.58mol)を含有するn−ヘキサン溶液603gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド89.1g(0.60mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ち、撹拌しながら、トリエチルアミン64.1g(0.63mol)を2時間かけて滴下した。撹拌強度は0.3kW/m3であった。滴下終了後、1N塩酸を加えて、生じた塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は82%(0.47mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体含有留分95.7g(純度95%、0.42mol)を得た。該ケテン付加体をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ99.8:0:0.2であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸25g、アセトン314g及び水52gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン105gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率76%(0.32mol)で得られた。
実施例2
イソプロピル化工程において、シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドのモル比を変え、かつイソプロピルブロミド滴下終了後1N塩酸及びヘキサンを加えずに下層を抜き取った以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド233.7g(3.0mol)にシクロペンタジエン49.8g(純度95.1%、0.72mol)、水酸化カリウム39.5g(純度85%、0.60mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で5.0であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液にn−ヘキサン140.5gを加えた後、溶液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド147.4g(1.2mol)を45分かけて滴下した。滴下終了後、有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液270gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率93.8%(0.56mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=22.2:65.0:12.8であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で7時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=86.2:1.0:12.8であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン317gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン60.7g(0.56mol)を含有するn−ヘキサン溶液587gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド86.8g(0.59mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン62.4g(0.62mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて、生じた塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は79%(0.44mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体を含む留分を含む留分91.8g(純度93%、0.39mol)を得た。該ケテン付加体含有留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来する付加体の比率はそれぞれ98.0:0:2.0であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸23g、アセトン294g及び水49gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン99gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率73%(0.28mol)で得られた。
実施例3
シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドのモル比を変えてイソプロピル化を行った以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド140.7g(1.8mol)にシクロペンタジエン49.4g(純度95.1%、0.71mol)、水酸化カリウム39.4(純度85%、0.60mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で3.0であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液にn−ヘキサン140.9gを加えた後、溶液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド147.4g(1.2mol)を50分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液307gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率52.8%(0.31mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=33.7:31.6:34.7であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で6時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=64.3:1.0:34.7であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン23gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン34.1g(0.31mol)を含有するn−ヘキサン溶液330gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド48.75g(0.33mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン35.0g(0.35mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は70%(0.22mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体を含む留分45.2g(純度94%、0.19mol)を得た。該ケテン付加体含有留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来する付加体の比率はそれぞれ82.7:0:17.3であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸12g、アセトン147g及び水24gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン49gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率60%(0.12mol)で得られた。
実施例4
シクロペンタジエニルカリウム溶液を滴下してイソプロピル化を行った以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド281.3g(3.6mol)にシクロペンタジエン49.3g(純度95.7%、0.71mol)、水酸化カリウム39.6g(純度85%、0.60mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で6.0であった。
イソプロピルブロミド147.6g(1.2mol)にn−ヘキサン140.0gを加えた後、溶液温度を10℃に保ちながら、上記のシクロペンタジエニルカリウム溶液を70分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液309gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率94.9%(0.57mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=40.9:50.5:8.6であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で7時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=90.4:1.0:8.6であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン287gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン61.6g(0.57mol)を含有するn−ヘキサン溶液596gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド88.1g(0.60mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン63.4g(0.63mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は81%(0.46mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体を含む留分96.7g(純度92%、0.41mol)を得た。該ケテン付加体含有留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ99.7:0:0.3であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸24g、アセトン306g及び水51gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン103gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率74%(0.30mol)で得られた。
実施例5
脂肪族炭化水素を添加せず、かつシクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドのモル比を変えてイソプロピル化を行った以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド469.3g(6.0mol)にシクロペンタジエン42.1g(純度94.5%、0.60mol)、水酸化カリウム33.2g(純度85%、0.50mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で11.9であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液の温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド124.1g(1.0mol)を55分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液259gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率93.6%(0.47mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=42.5:42.8:14.7であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で6時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=84.1:1.2:14.7であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン234gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン50.9g(0.47mol)を含有するn−ヘキサン溶液493gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド72.9g(0.49mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン52.4g(0.52mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は73%(0.34mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体を含む留分69.7g(純度95%、0.30mol)を得た。該ケテン付加体含有留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ97.5:0:2.5であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸18g、アセトン228g及び水38gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン77gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率71%(0.21mol)で得られた。
実施例6
脂肪族炭化水素を添加せずにイソプロピル化を行った以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド273.5g(3.5mol)にシクロペンタジエン49.4g(純度94.7%、0.71mol)、水酸化カリウム38.5g(純度85%、0.58mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で6.0であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液の温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド143.3g(1.2mol)を50分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液300gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率94.7%(0.55mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=36.2:50.8:13.0であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で7時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=85.6:1.4:13.0であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン278gを加え、インプロピルシクロペンタジエン59.7g(0.55mol)を含有するn−ヘキサン溶液578gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド85.5g(0.58mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン61.5g(0.61mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて、生じた塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は73%(0.40mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体を含む留分82.7g(純度95%、0.36mol)を得た。該ケテン付加体含有留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ97.6:0:2.4であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸21g、アセトン268g及び水45gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン90gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率72%(0.26mol)で得られた。
実施例7
脂肪族炭化水素を添加せず、かつシクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドのモル比を変えてイソプロピル化を行った以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド213.7g(2.7mol)にシクロペンタジエン75.1g(純度94.5%、1.07mol)、水酸化カリウム59.2g(純度85%、0.90mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で3.0であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液の温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド220.7g(1.8mol)を80分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液462gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率99.0%(0.89mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=41.6:28.7:29.7であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で5時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=69.2:1.1:29.7であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン468gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン96.0g(0.89mol)を含有するn−ヘキサン溶液930gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド137.4g(0.93mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン98.8g(0.98mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は71%(0.63mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体を含む留分132.0g(純度92%、0.56mol)を得た。該ケテン付加体含有留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ87.7:0:12.3であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸33g、アセトン419g及び水70gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン140gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率65%(0.36mol)で得られた。
実施例8
脂肪族炭化水素を添加せず、かつシクロペンタジエニルカリウム溶液を滴下してイソプロピル化を行った以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド1342.3g(17.2mol)にシクロペンタジエン128.5g(純度88.2%、1.72mol)、水酸化カリウム91.5g(純度88%、1.43mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で12.0であった。
イソプロピルブロミド352.0g(2.9mol)に、液温度を10℃に保ちながら、上記のシクロペンタジエニルカリウム溶液を170分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液709gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率93.0%(1.33mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=49.8:43.4:6.8であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で5時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=92.0:1.2:6.8であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン681gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン143.6g(1.33mol)を含有するn−ヘキサン溶液1390gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド205.4g(1.39mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン147.7g(1.46mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は82.8%(1.10mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体を含む留分227.7g(純度93%、0.97mol)を得た。該ケテン付加体含有留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、インプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ99.8:0.1:0.1であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸58g、アセトン730g及び水122gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン245gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率76%(0.73mol)で得られた。
実施例9
脂肪族炭化水素を添加せず、かつシクロペンタジエニルカリウム溶液を滴下してイソプロピル化を行った以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド180.3g(2.3mol)にシクロペンタジエン19.6g(純度94.0%、0.28mol)、水酸化カリウム14.7g(純度87%、0.23mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で10.2であった。
イソプロピルブロミド49.6g(0.4mol)に、液温度を0℃に保ちながら、上記のシクロペンタジエニルカリウム溶液を120分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液117gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率93.7%(0.21mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=40.1:53.2:6.7であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で7時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=92.7:0.6:6.7であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン106gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン23.0g(0.21mol)を含有するn−ヘキサン溶液223gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド32.9g(0.22mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン23.6g(0.23mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は82.0%(0.17mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体を含む留分35.7g(純度94%、0.15mol)を得た。該ケテン付加体含有留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ99.8:0.1:0.1であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸9g、アセトン116g及び水19gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン39gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率75%(0.11mol)で得られた。
実施例10
脂肪族炭化水素を添加せず、かつシクロペンタジエニルカリウム溶液を滴下してイソプロピル化を行った以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド330.0g(4.2mol)にシクロペンタジエン35.0g(純度95.0%、0.50mol)、水酸化カリウム31.7g(純度85%、0.48mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で8.8であった。
イソプロピルブロミド106.4g(0.9mol)に、液温度を5℃に保ちながら、上記のシクロペンタジエニルカリウム溶液を160分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液247gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率99.0%(0.47mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=43.9:18.8:37.3であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で20時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=61.1:0.2:38.7であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン250gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン51.3g(0.47mol)を含有するn−ヘキサン溶液497gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド73.4g(0.50mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン52.8g(0.52mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は70%(0.33mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体を含む留分67.4g(純度95%、0.29mol)を得た。該ケテン付加体含有留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ78.4:0:21.6であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸18g、アセトン221g及び水37gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン74gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率52%(0.15mol)で得られた。
実施例11
イソプロピル化工程を20℃で行った以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド281.4g(3.6mol)にシクロペンタジエン49.4g(純度95.12%、0.71mol)、水酸化カリウム39.4g(純度85%、0.60mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で6.0であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液にn−ヘキサン140.0gを加えた後、溶液温度を20℃に保ちながら、イソプロピルブロミド147.5g(1.2mol)を50分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加た後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有のn−ヘキサン溶液308gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率93.1%(0.56mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=39.0:46.9:14.1であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で7時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=84.8:1.1:14.1であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン275gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン60.2g(0.56mol)を含有するヘキサン溶液583gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド86.1g(0.58mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン61.9g(0.61mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は78%(0.44mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体含有留分89.0g(純度94%、0.38mol)を得た。該ケテン付加体をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ98.0:0:2.0であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸23g、アセトン288g及び水48gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン97gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率73%(0.28mol)で得られた。
実施例12
イソプロピル化工程を30℃で行った以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド281.2g(3.6mol)にシクロペンタジエン49.4g(純度95.12%、0.71mol)、水酸化カリウム39.6g(純度85%、0.60mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で6.0であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液にn−ヘキサン140.0gを加えた後、溶液温度を30℃に保ちながら、イソプロピルブロミド147.4g(1.2mol)を50分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有のn−ヘキサン溶液309gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率91.9%(0.55mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=49.5:13.9:36.6であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で5時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=62.4:1.0:36.6であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン268gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン59.6g(0.55mol)を含有するヘキサン溶液577gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド85.2g(0.58mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン61.3g(0.61mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は70%(0.39mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体含有留分78.2g(純度95%、0.34mol)を得た。該ケテン付加体をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ80.2:0:19.8であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸20g、アセトン256g及び水43gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン86gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率58%(0.20mol)で得られた。
実施例13
含水率の低い水酸化カリウムを用いることによりシクロペンタジエニルカリウム溶液の水分率を低減させた例を以下に示す(それ以外の条件は実施例1と同様)。
ジメチルスルホキシド281.3g(3.6mol)にシクロペンタジエン50.3g(純度96.3%、0.73mol)、水酸化カリウム35.1g(純度96%、0.60mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で6.0であった。また、シクロペンタジエニルカリウムに対する水分量はモル比で1.1であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液にn−ヘキサン140.0gを加えた後、溶液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド147.6g(1.2mol)を50分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液309gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率90.0%(0.54mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=19.8:73.4:6.8であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で7時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=92.2:1.0:6.8であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン256gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン58.4g(0.54mol)を含有するn−ヘキサン溶液565gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド83.6g(0.57mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン60.1g(0.59mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は82%(0.44mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体含有留分92.8g(純度92%、0.39mol)を得た。該ケテン付加体をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ99.8:0:0.2であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸23g、アセトン294g及び水49gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン99gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率74%(0.29mol)で得られた。
実施例14
イソプロピル化工程より回収した高水分率のジメチルスルホキシドを用いてシクロペンタジエニルカリウムを調製した例を以下に示す(それ以外の条件は実施例1と同様)。
ジメチルスルホキシド296.0g(水分率5%、3.6mol)にシクロペンタジエン49.0g(純度96.3%、0.71mol)、水酸化カリウム39.1g(純度85%、0.59mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で6.1であった。また、シクロペンタジエニルカリウムに対する水分量はモル比で2.9であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液にn−ヘキサン140.0gを加えた後、溶液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド148.0g(1.2mol)を50分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液305gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率89.0%(0.53mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=45.0:35.0:20.0であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で5時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=78.9:1.1:20.0であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン247gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン57.0g(0.53mol)を含有するn−ヘキサン溶液552gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド81.6g(0.55mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン58.7g(0.58mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は72%(0.38mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体含有留分78.6g(純度93%、0.33mol)を得た。該ケテン付加体をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ97.5:0:2.5であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸20g、アセトン252g及び水42gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン84gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率71%(0.24mol)で得られた。
実施例15
シクロペンタジエニル金属の調製において、水酸化カリウムの代わりに水酸化ナトリウムを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド281.3g(3.6mol)にシクロペンタジエン49.4g(純度96.0%、0.72mol)、水酸化ナトリウム25.0g(純度96%、0.60mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルナトリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルナトリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で6.0であった。
該シクロペンタジエニルナトリウム溶液にn−ヘキサン140.0gを加えた後、溶液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド148.0g(1.2mol)を50分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液309gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率51.0%(0.31mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=19.9:73.4:6.7であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で7時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=92.2:1.1:6.7であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン11gを加え、インプロピルシクロペンタジエン10.7g(0.31mol)を含有するn−ヘキサン溶液320gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド47.3g(0.32mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン34.0g(0.0.34mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は82%(0.25mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体含有留分52.5g(純度92%、0.22mol)を得た。該ケテン付加体をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ99.8:0:0.2であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸13g、アセトン166g及び水28gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン56gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率73%(0.16mol)で得られた。
実施例16
イソプロピル化工程において、n−ヘキサンの代わりにn−ヘプタンを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド281.3g(3.6mol)にシクロペンタジエン49.7g(純度95.74%、0.72mol)、水酸化カリウム39.6g(純度85%、0.60mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で6.0であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液にn−ヘプタン142.1gを加えた後、溶液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド147.6g(1.2mol)を70分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液309gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率90.4%(0.54mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=31.3:61.2:7.5であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で7時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=91.5:1.0:7.5であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン259gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン58.7g(0.54mol)を含有するn−ヘキサン溶液568gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド84.0g(0.57mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン60.4g(0.60mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は82%(0.44mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体含有留分91.2g(純度94%、0.39mol)を得た。該ケテン付加体をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ99.7:0:0.3であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸24g、アセトン296g及び水49gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン99gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率73%(0.29mol)で得られた。
実施例17
イソプロピル化工程において、n−ヘキサンの代わりにn−オクタンを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド281.4g(3.6mol)にシクロペンタジエン49.3g(純度95.74%、0.71mol)、水酸化カリウム39.7g(純度85%、0.60mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で6.0であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液にn−オクタン139.1gを加えた後、溶液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド147.6g(1.2mol)を50分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液310gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率78.0%(0.47mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=49.1:43.1:7.8であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で6時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=91.2:1.0:7.8であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン181gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン50.7g(0.47mol)を含有するn−ヘキサン溶液491gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド72.6g(0.49mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン52.2g(0.52mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は82%(0.39mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体含有留分78.1g(純度95%、0.34mol)を得た。該ケテン付加体をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ99.5:0:0.5であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸20g、アセトン256g及び水43gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン86gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率72%(0.24mol)で得られた。
実施例18
第2工程において、イソプロピルシクロペンタジエンに対するジクロロ酢酸クロライド及びトリエチルアミンのモル比を増加させた以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド281.2g(3.6mol)にシクロペンタジエン49.3g(純度96.3%、0.72mol)、水酸化カリウム39.6g(純度85%、0.60mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で6.0であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液にn−ヘキサン140.0gを加えた後、溶液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド147.4g(1.2mol)を50分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液309gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率90.0%(0.54mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=29.2:63.0:7.8であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で7時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=91.1:1.1:7.8であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン180gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン58.3g(0.54mol)を含有するn−ヘキサン溶液489gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド159.8g(1.1mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン114.6g(1.1mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は87%(0.47mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体含有留分97.2g(純度93%、0.41mol)を得た。該ケテン付加体をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ92.2:0.1:7.7であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸25g、アセトン312g及び水52gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン104gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率68%(0.28mol)で得られた。
実施例19
第3工程において、酢酸を用いない以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド281.0g(3.6mol)にシクロペンタジエン49.0g(純度96.3%、0.71mol)、水酸化カリウム39.7g(純度85%、0.60mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で6.0であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液にn−ヘキサン140.0gを加えた後、溶液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド147.8g(1.2mol)を50分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液310gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率87.5%(0.53mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=27.5:64.8:7.7であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で7時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=91.3:1.0:7.7であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン241gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン57.0g(0.53mol)を含有するn−ヘキサン溶液551gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド81.5g(0.55mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン58.6g(0.58mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は82%(0.43mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体含有留分90.4g(純度92%、0.38mol)を得た。該ケテン付加体をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ99.8:0:0.2であった。
該ケテン付加体含有留分にアセトン287g及び水48gからよりなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン96gを2時間かけて滴下した後、さらに2.5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率52%(0.20mol)で得られた。
実施例20
第3工程において、トリエチルアミンを滴下せず一括して仕込んだ以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド281.0g(3.6mol)にシクロペンタジエン49.5g(純度96.3%、0.72mol)、水酸化カリウム39.2g(純度85%、0.59mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で6.0であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液にn−ヘキサン140.0gを加えた後、溶液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド147.1g(1.2mol)を50分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液306gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率90.3%(0.54mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=26.8:65.4:7.8であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で7時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=91.2:1.0:7.8であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン256gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン58.0g(0.54mol)を含有するn−ヘキサン溶液562gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド83.0g(0.56mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン59.7g(0.59mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は81.5%(0.44mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体含有留分89.6g(純度94%、0.39mol)を得た。該ケテン付加体をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ99.8:0:0.2であった。
該ケテン付加体含有留分に、酢酸23g、トリエチルアミン97g、アセトン290g及び水48gからなる混合溶媒を加え、60℃で8時間加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率67%(0.26mol)で得られた。
実施例21
第3工程において、アセトンの代わりにt−ブタノールを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド281.5g(3.6mol)にシクロペンタジエン49.4g(純度96.3%、0.72mol)、水酸化カリウム39.5g(純度85%、0.60mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で6.0であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液にn−ヘキサン140.0gを加えた後、溶液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド147.4g(1.2mol)を50分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液308gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率91.0%(0.54mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=27.2:65.1:7.7であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で7時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=91.3:1.0:7.7であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン262を加え、イソプロピルシクロペンタジエン58.9g(0.54mol)を含有するn−ヘキサン溶液570gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド84.3g(0.57mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン60.6g(0.60mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は81.7%(0.44mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体含有留分92.2g(純度93%、0.39mol)を得た。該ケテン付加体をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来するケテン付加体の比率はそれぞれ99.8:0:0.2であった。
該ケテン付加体含有留分に、酢酸24g、t−ブタノール377g及び水49gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン99gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率66%(0.26mol)で得られた。
実施例22
シクロペンタジエニル金属の調製において、水酸化カリウムの代わりにカリウムエトキシドを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド562.5g(7.2mol)にシクロペンタジエン49.4g(純度96.3%、0.72mol)、カリウムエトキシド53.1g(純度95%、0.60mol)を加え、窒素気流下、室温で40分撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。カリウムエトキシドは水酸化カリウムに比べて反応性が大であった。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で12.0であった。
該シクロペンタジエニルナトリウム溶液にn−ヘキサン140.0gを加えた後、溶液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド147.5g(1.2mol)を50分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて、生じた塩を溶解した後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液307gを得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率74.0%(0.44mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=47.6:38.3:14.1であった。
該イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を、20℃で6時間静置することによって5−体を1−体へと異性化させた。異性化後の異性体の比率は1−体:5−体:2−体=85.0:0.9:14.1であった。
該n−ヘキサン溶液にn−ヘキサン297gを加え、イソプロピルシクロペンタジエン47.5g(0.44mol)を含有するn−ヘキサン溶液604gを得た。該n−ヘキサン溶液にジクロロ酢酸クロリド68.1g(0.46mol)を加えた後、溶液温度を0℃に保ちながらトリエチルアミン49.0g(0.48mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて塩を溶解した後有機層を分離させ、ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液を得た。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ケテン付加体の収率は81%(0.36mol)であった。
該ケテン付加体含有n−ヘキサン溶液のn−ヘキサンを留去した後減圧蒸留し、ケテン付加体を含む留分を含む留分73.9g(純度93%、0.32mol)を得た。該ケテン付加体含有留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの1−体:5−体:2−体に由来する付加体の比率はそれぞれ98.3:0:1.7であった。
該ケテン付加体含有留分に酢酸19g、アセトン239g及び水40gからなる混合溶媒を加え、溶液温度を60℃に保ちながらトリエチルアミン80gを2時間かけて滴下した後、さらに5時間60℃に加熱した。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、付加体のピークは消失し、ヒノキチオールが収率72%(0.23mol)で得られた。
製造例1
イソプロピル化工程において、水酸化カリウムの代わりに水酸化リチウム一水和物を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド280g(3.6mol)にシクロペンタジエン49.3g(純度96.8%、0.72mol)、水酸化リチウム一水和物25.18g(0.60mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間攪拌することによってシクロペンタジエニルリチウム溶液を得た。シクロペンタジエニルリチウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で6.0であった。
該シクロペンタジエニルリチウム溶液にn−ヘキサン139.5gを加えた後、溶液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド147.6g(1.2mol)を50分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて、生じた塩を溶解した後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=21.5:75.2:3.3であった。
製造例2
イソプロピル化工程において、水酸化カリウムの代わりに水酸化ルビジウムを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド22.6g(0.29mol)にシクロペンタジエン4.05g(純度96.8%、0.059mol)、水酸化ルビジウム4.92g(0.048mol)を加え、窒素気流下、室温で2時間攪拌することによってシクロペンタジエニルルビジウム溶液を得た。シクロペンタジエニルルビジウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で6.0であった。
該シクロペンタジエニルルビジウム溶液にn−ヘキサン11.31gを加えた後、溶液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルプロミド11.81g(0.096mol)を50分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて、生じた塩を溶解した後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=24.0:54.6:21.3であった。
製造例3
イソプロピル化工程において、水酸化カリウムの代わりに水酸化セシウム一水和物を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。
ジメチルスルホキシド280g(3.6mol)にシクロペンタジエン49.3g(純度96.8%、0.72mol)、水酸化セシウム一水和物100.76g(0.60mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルセシウム溶液を得た。シクロペンタジエニルセシウムに対するジメチルスルホキシドの量はモル比で6.0であった。
該シクロペンタジエニルセシウム溶液にn−ヘキサン140.0gを加えた後、溶液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド147.6g(1.2mol)を50分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸を加えて、生じた塩を溶解した後有機層を分離し、イロプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=39.1:54.0:6.9であった。
比較例1
以下に、イソプロピルシクロペンタジエンと均一に混合する非プロトン性極性溶媒であるアセトニトリルを用い、かつ脂肪族炭化水素を添加せずにイソプロピル化を行った例を示す。
アセトニトリル151.4g(3.69mol)にシクロペンタジエン15.9g(純度96.1%、0.23mol)、水酸化カリウム12.5g(純度85%、0.19mol)を加え、窒素気流下、室温で3.5時間撹拌し、さらに55℃で2時間加熱することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するアセトニトリルの量はモル比で19.4であった。
イソプロピルブロミド47.5g(0.39mol)に、液温度を5℃に保ちながら、上記のシクロペンタジエニルカリウム溶液を120分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率47.0%(0.089mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=44.3:0.5:55.2であった。
比較例2
以下に、イソプロピルシクロペンタジエンと均一に混合する非プロトン性極性溶媒であるテトラヒドロフランを用い、かつ脂肪族炭化水素を添加せずにイソプロピル化を行った例を示す。
テトラヒドロフラン180.3g(2.50mol)にシクロペンタジエン19.08g(純度96.1%、0.28mol)、水酸化カリウム14.92g(純度85%、0.23mol)を加え、窒素気流下、室温で2時間撹拌したが全くシクロペンタジエニルカリウムが生成しなかった。その後45℃で1時間ついで65℃で1時間加熱したところ、不溶物が発生したためろ過した後にろ液を分析するとシクロペンタジエニルカリウムは使用したKOHに対して僅か0.4%しか生成していなかった。
上記で使用したKOHに対するテトラヒドロフランの量はモル比で10.9であった。
イソプロピルブロミド56.6g(0.46mol)に、液温度を5℃に保ちながら、上記のろ液を60分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、n−ヘキサン溶液を得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンは全く生成していなかった。
比較例3
以下に、非プロトン性極性溶媒以外の溶媒を用いてイソプロピル化を行った例を示す。
n−ヘキサン96.0g(1.1mol)にシクロペンタジエン15.1g(純度96.1%、0.22mol)、水酸化カリウム12.5g(純度85%、0.19mol)を加え、窒素気流下、室温で3時間撹拌したが、シクロペンタジエニルカリウムは全く生成しなかった。
比較例4
以下に、非プロトン性極性溶媒以外の溶媒を用いてイソプロピル化を行った例を示す。
エタノール52.0g(1.1mol)にシクロペンタジエン15.6g(純度96.1%、0.23mol)、水酸化カリウム12.5g(純度85%、0.19mol)を加え、窒素気流下、室温で3時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するエタノールの量はモル比で6.0であった。
上記のシクロペンタジエニルカリウム溶液に、液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド47.0g(0.38mol)を120分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離した。
該有機層をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンは全く生成していなかった。
比較例5
以下に、イソプロピルシクロペンタジエンと均一に混合する非プロトン性極性溶媒であるジメチルホルムアミドと脂肪族炭化水素を用いてイソプロピル化を行った例を示す。
ジメチルホルムアミド264.4g(3.6mol)にシクロペンタジエン50.2g(純度96.0%、0.73mol)、水酸化カリウム39.6g(純度85%、0.60mol)を加え、窒素気流下、30℃で2.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対するジメチルホルムアミドの量はモル比で6.0であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液にn−ヘキサン139.3gを加えた後、溶液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド147.6g(1.2mol)を60分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率89.2%(0.54mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=40.7:0.3:59.0であった。
比較例6
以下に、イソプロピルシクロペンタジエンと均一に混合する非プロトン性極性溶媒である1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンと脂肪族炭化水素を用いてイソプロピル化を行った例を示す。
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン410.9g(3.6mol)にシクロペンタジエン51.1g(純度96.0%、0.74mol)、水酸化カリウム39.7g(純度85%、0.60mol)を加え、窒素気流下、室温で1.5時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム溶液を得た。シクロペンタジエニルカリウムに対する1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの量はモル比で6.0であった。
該シクロペンタジエニルカリウム溶液にn−ヘキサン141.3gを加えた後、溶液温度を5℃に保ちながら、イソプロピルブロミド147.5g(1.2mol)を60分かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率86.7%(0.52mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=40.1:1.7:58.2であった。
比較例7
以下に、従来技術に従った、イソプロピルシクロペンタジエンと均一に混合する非プロトン性極性溶媒であるテトラヒドロフランを用い、かつ脂肪族炭化水素を添加せずにイソプロピル化を行った例を示す。
イソプロピルブロミド34.4g(0.28mol)に、液温度を2℃に保ちながら、シクロペンタジエニルナトリウム(0.14mol、2Mテトラヒドロフラン溶液:Aldrich試薬)を7時間かけて滴下した。滴下終了後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率60.3%(0.084mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=40.9:0.7:58.4であった。
比較例8
以下に、イソプロピルシクロペンタジエンと均一に混合する非プロトン性極性溶媒をテトラヒドロフラン用い、かつ脂肪族炭化水素を添加せずにイソプロピル化を行った例を示す。本例は、従来技術(xiii)、(xiv)の実施例記載を参考にして行った。
水素化ナトリウム3.6g(油性、純度60%、0.09mol)をn−ヘキサンで洗浄したのち、水素化リチウムアルミニウム存在下で還流して乾燥させたテトラヒドロフラン40mlを加え、液温度を5℃に保ちながら、シクロペンタジエン9.2g(純度97.8%、0.14mol)を1時間かけて滴下し、シクロペンタジエニルナトリウム溶液を得た。
該シクロペンタジエニルナトリウム溶液に、溶液温度を−50℃に保ちながら、イソプロピルブロマイド13.2g(0.11mol)を40分かけて滴下した。滴下終了後、溶液を1時間かけて0℃まで昇温した。少量の液をサンプリングし、1N塩酸、n−ヘキサンで処理後、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率は、7.9%、異性体の比率は、1−体:5−体:2−体=40.9:3.1:56.0であった。
さらに、0℃を保ちながら、2時間撹拌した後、1N塩酸及びn−ヘキサンを加えた後有機層を分離し、イソプロピルシクロペンタジエン含有n−ヘキサン溶液を得た。
該n−ヘキサン溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、イソプロピルシクロペンタジエンの収率58.3%(0.053mol)、異性体の比率は1−体:5−体:2−体=41.3:2.9:55.9であった。
産業上の利用可能性
本発明の方法により、シクロペンタジエンを原料として、1−イソプロピルシクロペンタジエンを、安価で、極度の非水条件が要らず操作が簡便で、かつ高選択的に得ることができ、これを用いてヒノキチオールを工業的にきわめて有利に製造することができる。
Claims (18)
- シクロペンタジエンと一般式R−X(Rはイソプロピル基、Xはハロゲン又はトシル基又はアルキルスルホネート基)で表されるイソプロピル化剤から1−イソプロピルシクロペンタジエンを得(第1工程)、該1−イソプロピルシクロペンタジエンとジハロケテンとを反応させてケテン付加体を得(第2工程)、該ケテン付加体を分解する(第3工程)ことを含むヒノキチオールの製造方法であって、第一工程がさらに以下の3つの工程を含む上記方法:(イ)シクロペンタジエンと、金属水酸化物又は金属アルコキシドの少なくとも1種とから、シクロペンタジエニル金属を調製する工程(シクロペンタジエニル金属の調製工程);
(ロ)該シクロペンタジエニル金属とイソプロピル化剤とを、生成物のイソプロピルシクロペンタジエンと混合すると二液相を形成する非プロトン性極性溶媒の存在下で反応させて、イソプロピルシクロペンタジエンを取得する工程(イソプロピル化工程);及び(ハ)該イソプロピルシクロペンタジエン中の5−イソプロピルシクロペンタジエンを、熱により1−イソプロピルシクロペンタジエンに選択的に異性化する工程(異性化工程)。 - イソプロピル化工程に続いて、静置後下層を抜き取ることにより、イソプロピルシクロペンタジエンを主成分とする相を分離する工程を含む、請求項1記載の方法。
- シクロペンタジエニル金属の調製工程において、金属水酸化物を用いる、請求項1記載の方法。
- イソプロピル化工程において、前記非プロトン性極性溶媒がジメチルスルホキシドである、請求項1記載の方法。
- シクロペンタジエニル金属調製工程において、金属水酸化物が水酸化カリウムである、請求項1記載の方法。
- 前記非プロトン性極性溶媒に加えて、脂肪族炭化水素を存在させて、イソプロピル化工程を実施する、請求項1記載の方法。
- イソプロピル化工程において、前記非プロトン性極性溶媒を、シクロペンタジエニル金属に対して4倍モル以上使用する、請求項1記載の方法。
- イソプロピル化工程において、前記非プロトン性極性溶媒を、シクロペンタジエニル金属に対して6倍モル以上使用する、請求項1載の方法。
- イソプロピル化工程において、前記非プロトン性極性溶媒を、シクロペンタジエニル金属に対して10倍モル以上使用して、イソプロピル化剤にシクロペンタジエニル金属を含む溶液を添加する、請求項1記載の方法。
- イソプロピル化工程において、金属アルコキシドがカリウムエトキシドであり、かつ前記非プロトン性極性溶媒を、シクロペンタジエニル金属に対し12倍モル以上使用する、請求項1記載の方法。
- イソプロピル化工程において、反応温度が30℃を超えない、請求項1記載の方法。
- イソプロピル化工程において、反応系内に存在する水分量が、シクロペンタジエニル金属に対して、モル比で3倍モルを超えない、請求項1記載の方法。
- シクロペンタジエニル金属の調製工程及びイソプロピル化工程を、不活性ガス雰囲気下で行う、請求項1記載の方法。
- 異性化工程の温度が0から40℃である請求項1記載の方法。
- 第3工程において、トリエチルアミンを反応系に滴下しながらトリエチルアミン、水、及び親水性有機溶媒の存在下でケテン付加体の分解を実施する、請求項1記載の方法。
- ギ酸、酢酸及びプロピオン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる有機酸をさらに添加してケテン付加体の分解を実施する、請求項15記載の方法。
- 前記親水性有機溶媒が、ターシャリーブタノールである、請求項15記載の方法。
- ヒノキチオールと接触する部分の材質が、ハステロイC、ガラス、樹脂及びセラミックからなる群から選ばれる少なくとも一つである装置を用いる、請求項1記載の方法。
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