JP4351760B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、良外観、機械特性および耐候性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関し、詳しくは成形板表面平滑性、漆黒性、耐衝撃性および耐候性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐候性、耐衝撃性及び熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物としてポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムからなる複合ゴムを含むグラフト共重合体を用いた樹脂材料が、特許2608439号公報等に提案されている。
【0003】
さらにその着色性の改良技術として、特定のグラフト共重合体および/または特定の共重合体を樹脂組成物の構成成分として用いる方法が、特開平8−41149号公報、特開平8−199025号公報および特開平8−283524号公報に提案されている。その際得られる樹脂成形品の漆黒性が重要であり、上記従来技術には、用いる樹脂成分を特定することによって優れた漆黒性を得る方法について示唆されている。
【0004】
これら耐候性材料の利用分野では一般に黒着色品が多く、上記熱可塑性樹脂組成物中には各種黒色系の顔料、染料を着色剤として樹脂中に添加する方法が一般的な手法として用いられている。
【0005】
また、一般に耐候性材料は無塗装仕様で使用し、成形品表面がそのまま製品の意匠面となる。例えば,近年、サイドミラー、フロントグリル、リアガーニシュ等の自動車材料での無塗装化が要望されており、その際上記漆黒性に加え、塗装面と同等レベルの高い成形板表面平滑性が必要となる。
【0006】
この漆黒性とは、JIS−Z−8729に準拠して測定したL*値であり、樹脂成形板の黒色度を示す指標であり,自動車外装用部品を考慮すると、一般的にはL*値は10以下が必要とされている。
【0007】
また,成形板表面平滑性とは、例えば添加した顔料の分散不良による突起状のブツあるいは、樹脂成分の成形加工時の溶融不良による突起状ブツのような、成形品表面に発生するブツによる外観不良の程度を示すものであり、一般に成形板表面1mm2当たり100個以下のブツ個数であれば、成形板表面平滑性に優れるとされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来方法であるポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴムにビニル単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体と、アクリロニトリル−スチレン共重合体とを構成成分とする熱可塑性樹脂組成物において、黒着色時の実成形品の漆黒性と成形板表面平滑性は塗装品並に改良されたが、無塗装材料の更なる商品的価値向上の手法は、なお探索が続けられていたのが現状である。
【0009】
すなわち、従来はポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴムを含むグラフト共重合体と熱可塑性樹脂とを構成成分とする熱可塑性樹脂組成物において、塗装品と同等レベル以上の黒着色品の成形板表面平滑性を有した樹脂材料を実現する樹脂材料の開発が強く望まれていた。
【0010】
本発明は、この要望を解決することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムからなる複合ゴムを含むグラフト共重合体と熱可塑性樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物について、有機染料の化学構造と得られる該樹脂組成物の成形板表面平滑性、漆黒性との関係について鋭意検討した結果、特定の共重合体の熱可塑性樹脂組成物に対して配合する黒系有機染料の化学構造を規定することにより、従来にはない成形板表面平滑性、漆黒性および耐候性に優れた樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
すなわち、本発明の要旨とするところは、
(1)(A)(a)ポリオルガノシロキサンと(b)アルキル(メタ)アクリレ−トゴムとからなる複合ゴム((a)+(b))に、(c)芳香族アルケニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物およびシアン化ビニル化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体を、グラフト重合させることによって得られたグラフト共重合体、
(B)芳香族アルケニル化合物成分、シアン化ビニル化合物成分、(メタ)アクリル酸エステル化合物成分よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分、および必要に応じてこれらと共重合可能なビニル単量体成分とを、重合又は共重合させることによって得られた(共)重合体、および
(C)上記(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対し,0.001〜10重量部の割合で配合された有機染料
とよりなる熱可塑性樹脂組成物であって、該有機染料(C)が、原色(赤、 紫、緑、青、黄色)合成染料を混合し黒色系に調整して得られたものであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、
(2) 上記(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物を熱成形することによって得られる自動車外装部品、にある。
【0013】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、従来知られている樹脂材料では得られない高いレベルの成形板平滑性、漆黒性、耐衝撃性および耐候性を有し、各種工業用材料、特に自動車外装部品等の高いレベルの成形外観が要求される用途に使用することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係るグラフト共重合体(A)としては、ポリオルガノシロキサン(a)とアルキル(メタ)アクリレ−トゴム(b)とからなる複合ゴム(a+b)に、芳香族アルケニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物およびシアン化ビニル化合物からなる群から選ばれるた少なくとも1種以上の単量体(c)を、グラフト重合させることによって得られたグラフト共重合体が用いられる。
【0015】
グラフト共重合体(A)を構成するポリオルガノシロキサン(a)としては特に限定されるものではないが、ビニル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサンが好ましく、さらに好ましくは、ビニル重合性官能基含有シロキサン単位0.3〜3モル%およびジメチルシロキサン単位97〜99.7モル%からなり、さらに3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子がポリオルガノシロキサン中の全ケイ素原子に対し1モル%以下であるものである。
【0016】
ポリオルガノシロキサン(a)中のビニル重合性官能基含有シロキサン単位が0.3モル%未満では、アルキル(メタ)アクリレ−トゴム(b)との複合化が不十分となり、グラフト共重合体(A)を含む樹脂組成物成形品の表面におけるポリオルガノシロキサンのブリ−ドアウトに由来する外観不良が発生しやすくなる。
【0017】
また、ポリオルガノシロキサン(a)中のビニル重合性官能基含有シロキサン単位が3モル%を超えるか、または3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子がポリオルガノシロキサン中の全ケイ素原子に対し1モル%を超える場合は、グラフト共重合体(A)を含む樹脂組成物の耐衝撃性が低くなりやすくなる。
【0018】
さらにグラフト共重合体(A)を含む樹脂組成物の耐衝撃性と成形外観の両方を考慮すると、好ましくはポリオルガノシロキサン(a)中のビニル重合性官能基含有シロキサン単位は0.5〜2モル%、さらに好ましくは0.5〜1モル%の範囲である。
【0019】
上記ポリオルガノシロキサン(a)の製法としては、ジメチルシロキサンとビニル重合性官能基含有シロキサンからなる混合物、または、必要に応じてこれにシロキサン系架橋剤を含む混合物(以下シロキサン混合物と記す)を乳化剤と水によって乳化させてラテックスとし、このラテックスをホモミキサ−や、ホモジナイザ−等を用いて微粒子化した後、酸触媒を用いて高温下で重合させ、次いでアルカリ性物質により酸を中和することによって得られたものである。
【0020】
ポリオルガノシロキサン(a)の製造に用いられるジメチルシロキサンとしては、3員環以上のジメチルシロキサン系環状体((−(CHSiO−))が挙げられ、3〜6員環(n=3〜6)のものが好ましい。具体的にはヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。これらは必要に応じて単独でまたは二種以上混合して用いられる。
【0021】
ポリオルガノシロキサン(a)の製造に用いられるビニル重合性官能基含有シロキサンとしては、ビニル重合性官能基を含有し、かつジメチルシロキサンとシロキサン結合を介して結合しうるものであり、ジメチルシロキサンとの反応性を考慮すると、ビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物が好ましい。
【0022】
具体的には、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシランおよびδ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオキシシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン、さらにγ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシロキサンが挙げられる。
【0023】
なお、これらビニル重合性官能基含有シロキサンは、単独で、または二種以上の混合物として用いることができる。
【0024】
ポリオルガノシロキサン(a)の製造に用いられるシロキサン系架橋剤としては、3官能性または4官能性のシラン系架橋剤、例えばトリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が用いられる。これらは必要に応じて単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
ポリオルガノシロキサン(a)の製造の際用いる乳化剤としては、アニオン系乳化剤が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ−テル硫酸エステルナトリウムなどの中から選ばれた乳化剤が使用される。特にアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸系の乳化剤が好ましい。
【0026】
これらの乳化剤は、シロキサン混合物100重量部に対して0.05〜5重量部程度の範囲で使用される。使用量が少ないと分散状態が不安定となり微小な粒子径の乳化状態を保てなくなるおそれがある。また、使用量が多いとこの乳化剤に起因する樹脂組成物成形品の着色が著しくなるおそれがある。
【0027】
シロキサン混合物、乳化剤、水および/または酸触媒を混合する方法は、高速撹拌による混合、ホモジナイザ−などの高圧乳化装置による混合などがあるが、ホモジナイザ−を使用する方法は、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径の分布が小さくなるので好ましい方法である。
【0028】
ポリオルガノシロキサン(a)の製造に用いる酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類、および硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸類が挙げられる。これらの酸触媒は、1種または2種以上を組み合わせて用いられる。また、これらの酸触媒の中では、ポリオルガノシロキサン(a)のラテックスの安定化作用にも優れている点で脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好適に用いられ、より好ましくは、n−ドデシルベンゼンスルホン酸である。また、n−ドデシルベンゼンスルホン酸と硫酸などの鉱酸とを併用すると、ポリオルガノシロキサンラテックスの乳化剤成分に起因する樹脂組成物の着色を低減させることができるという効果がある。
【0029】
上記酸触媒の添加方法としては、シロキサン混合物、乳化剤および水とともに酸触媒を混合する方法と、シロキサン混合物の微粒子化したラテックスを高温の酸触媒水溶液中に一定速度で滴下する方法などが挙げられるが、ポリオルガノシロキサン粒子径の制御のしやすさを考慮すると、シロキサン混合物が微粒子化したラテックスを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法が好ましい。
【0030】
ポリオルガノシロキサン粒子の大きさは、特に限定されないが、グラフト共重合体(A)を含む熱可塑性樹脂組成物の漆黒性を考慮すると、重量平均粒子径が0.2μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.1μm以下である。
【0031】
ポリオルガノシロキサン(a)の製造の際の重合温度は、50℃以上が好ましく、さらに好ましくは80℃以上である。重合時間は、酸触媒をシロキサン混合物、乳化剤、水と混合、微粒子化させて重合させる場合は2時間以上、さらに好ましくは5時間以上であり、酸触媒の水溶液中にシロキサン混合物の微粒子化したラテックスを滴下する場合は、ラテックス滴下終了後1時間程度保持することが好ましい。重合の停止は、反応液を冷却、さらにラテックスを苛性ソ−ダ、苛性カリ、炭酸ナトリウムなどのアルカリ性物質で中和することによって行うことができる。
【0032】
グラフト共重合体(A)を構成するアルキル(メタ)アクリレ−トゴム(b)は、アルキル(メタ)アクリレ−トと多官能性アルキル(メタ)アクリレ−トとからなるアルキル(メタ)アクリレ−ト単量体成分を重合させたものである。
【0033】
上記アルキル(メタ)アクリレ−トとしてはメチルアクリレ−ト、エチルアクリレ−ト、n−プロピルアクリレ−ト、n−ブチルアクリレ−ト、2−エチルヘキシルアクリレ−ト等のアルキルアクリレ−ト、キシルメタクリレ−ト、2−エチルヘキシルメタクリレ−ト、n−ラウリルメタクリレ−ト等のアルキルメタクリレ−トが挙げられ、中でもn−ブチルアクリレ−トの使用が好ましい。これらは必要に応じて単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0034】
上記多官能性アルキル(メタ)アクリレ−トとしては、例えばアリルメタクリレ−ト、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、プロピレングリコ−ルジメタクリレ−ト、1,3−ブチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、1,4−ブチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、トリアリルシアヌレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト等が挙げられる。これらは必要に応じて単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、多官能性アルキル(メタ)アクリレ−トの使用量は、アルキル(メタ)アクリレ−ト単量体成分中0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜5重量%、さらに好ましくは0.2〜1重量%である。
【0035】
ポリオルガノシロキサン(a)とアルキル(メタ)アクリレ−トゴム(b)からなる複合ゴム(a+b)は、ポリオルガノシロキサン(a)成分のラテックス中に上記アルキル(メタ)アクリレ−ト単量体成分と界面活性剤を添加し、通常のラジカル重合開始剤を作用させて重合させることによって調製される。アルキル(メタ)アクリレ−ト単量体成分を添加する方法としては、ポリオルガノシロキサン(a)のラテックスとアルキル(メタ)アクリレ−ト単量体成分を一括しで混合する方法、ポリオルガノシロキサン(a)のラテックス中に一定速度で滴下する方法が挙げられる。中でも、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性を考慮すると、ポリオルガノシロキサン(a)のラテックスとアルキル(メタ)アクリレート単量体成分を一括で混合する方法が好ましい。
【0036】
また、アルキル(メタ)アクリレート単量体成分の重合に用いられるラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤、または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。中でも、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸にナトリウム塩・ロンガリット・ヒドロパ−オキサイドを組み合わせたスルホキシレ−ト系開始剤が好ましい。
【0037】
上記複合ゴム(a+b)中におけるポリオルガノシロキサン(a)の占める割合は、1〜20重量%であることが好ましい。ポリオルガノシロキサン(a)の量が1重量部未満では、ポリオルガノシロキサン(a)が少なすぎるため耐衝撃性が低くなり、20重量%を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の漆黒性が低下するので好ましくない。また、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性と漆黒性の両方を考慮すると、より好ましくは6〜20重量%、さらに好ましくは10〜20重量%である。
【0038】
グラフト共重合体(A)を構成する単量体(c)は、芳香族アルケニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物およびシアン化ビニル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体からなる。グラフト共重合体(A)中におけるこれら単量体成分(c)の割合は特に限定されるものではないが、好ましくは50〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%、さらに好ましくは50〜60重量%である。50重量%未満ではグラフト共重合体(A)を含む熱可塑性樹脂組成物の漆黒性が低下する傾向を示し、80重量%を超えるとゴム量が低くなるため耐衝撃性が低くなりやすい傾向がある。
【0039】
上記芳香族アルケニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられる。これらは必要に応じて単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0040】
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えばメチルメタクリレ−ト、エチルメタクリレ−ト、2−エチルヘキシルメタクリレ−ト等のメタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレ−ト、ブチルアクリレ−ト等のアクリル酸エステルが挙げられる。これらは必要に応じて単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0041】
上記シアン化ビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。これらは必要に応じて単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0042】
これら単量体成分(c)の中でも、得られる熱可塑性樹脂組成物の熱安定性を考慮すると、スチレンおよびアクリロニトリルの組み合わせが好ましい。
【0043】
上記単量体成分(c)と複合ゴム(a+b)とのグラフト重合は、複合ゴム(a+b)のラテックスに、単量体成分(c)、ラジカル重合開始剤、界面活性剤を加え、ラジカル重合により一段、あるいは多段で行われる。得られるグラフト共重合体(A)を含む熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性および漆黒性を考慮すると、二段以上で重合を行うことが好ましい。
【0044】
また、単量体(c)中には、得られるグラフト共重合体の分子量やグラフト率を調節するための連鎖移動剤を添加することができる。
【0045】
グラフト重合が終了した後、グラフト共重合体(A)が含まれるラテックスを酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固させることによりグラフト共重合体(A)を分離回収することができる。
【0046】
このようにして得られるグラフト共重合体(A)の粒子径は特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性と漆黒性の両方を考慮すると、数平均粒子径が0.10〜0.5μmであることが好ましく、より好ましくは0.10〜0.30μm、さらに好ましくは0.10〜0.15μm、である。
【0047】
また、グラフト共重合体(A)は、アセトン溶媒に対する不溶分が70〜99重量%の範囲にあり、かつアセトン可溶分を0.2g/100ccのN,N−ジメチルホルムアミド溶液にして、25℃で測定した還元粘度が0.30〜0.70dl/gの範囲であることが好ましい。アセトン溶媒に対する不溶分が70重量%未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向にあり、99重量%を超えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形光沢が低下する傾向にある。
【0048】
また、上記還元粘度が0.30dl/g未満の場合は、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向にあり、0.70dl/g超えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の低温度成形時の光沢が低下する傾向を示す。
【0049】
本発明に係る(共)重合体(B)は、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を構成成分とし、必要に応じてこれらと共重合可能なビニル単量体成分を構成成分に加えて、重合又は共重合させることによって得られた重合体もしくは共重合体が挙げられる。
【0050】
上記芳香族アルケニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2、4ージメチルスチレン、p−ブロモスチレン、pークロロスチレン等があげられる。これらは必要に応じて単独で、あるいは2種以上組み合わせて用 いることができる。
【0051】
上記シアン化ビニル化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、マレオニトリル等が挙げられる。これらは必要に応じて単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル等が挙げらる。
【0052】
また、これらと共重合可能なビニル単量体としては、、N−置換マレイミド化合物、無水マレイン酸等の不飽和酸無水物、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物、エチレン、プロピレン等の不飽和炭化水素およびアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは必要に応じて単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0053】
上記(共)重合体(B)の具体例としては、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、アクリトニトリル−スチレン共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸メチル共重合体、アクリロニトリル−スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、アクリトニトリル−α−メチルスチレン共重合体、アクリトニトリル−スチレン−N−フェニルマレイニド共重合体、シクロヘキシルマレイミド−メタクリル酸メチル−スチレン共重合体等が挙げられ、これらのうち、本発明の効果である成形板表面平滑性および漆黒性を考慮すると、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレートおよびアクリロニトリル−スチレン−メチルメタクリレート共重合体が好ましく 、さらに好ましくは、ポリメチルメタクリレートである。
【0054】
上記(共)重合体(B)の分子量は特に限定されるものではないが、これを含む熱可塑性樹脂組成物の流動性、耐候性、機械特性を考慮すると、重量平均分子量が50000〜500000の範囲が好ましく、さらに好ましくは50000〜300000の範囲である。
【0055】
上記(共)重合体(B)は、通常、公知の乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法および塊状重合法によって重合を行って得ることができる。中でも、得られる(共)重合体の熱安定性および生産性を考慮すると、懸濁重合法および塊状重合法を用いて製造することが好ましく、中でも懸濁重合法がより好適に用いられる。
【0056】
上記懸濁重合法は、公知の分散剤、開始剤、連鎖移動剤を使用し、公知の重合条件で行われる。
【0057】
分散剤としては、例えば、70〜100%のケン化度のポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸ソーダ塩、ポリアクリル酸ソーダ塩等の水溶性高分子が挙げられる。
【0058】
開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物などが挙げられる。
【0059】
連鎖移動剤としてはn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン類などが挙げられる。
【0060】
本発明に係る(C)有機染料としては、アントラキノン系、ペリノン系、モノアゾ系、複素環系等からなる原色(赤、紫、緑、青、黄色)合成染料を混合し黒色系に調整して得られたものである。
【0061】
具体的には、Celliton Fast Pink B、Celliton Fast Pink FF3B、Celliton Fast Violet RN、Celliton Fast Violet 6B、Celliton Fast Blue B、Celliton Fast Blue FFR、Celliton Fast Blue FW、Celliton Fast Blue FFG、Celliton Blue extra、Celliton Fast Blue Green B、Celliton Blue Green B等の名称で市販されているアントラキノン系合成染料、Celliton Red R、Celliton Fast Red R、Celliton Fast Rubine 3B、Celliton Fast Brown 3R、Celliton Red Violet RR、Celliton Scarlet RN、Celliton Discharge Blue BG、Celliton Discharge Violet 5R、Celliton Rubine BBF、Celliton Discharge Pink BRF、Cibacet Yellow GN、Cibacet Yellow 3G、Cibacet Yellow 5GおよびDispersol Yellow 3G等の名称で市販されているアゾ系合成染料を、黒色の発色性を示すように混合調製することによって得られる。また、これを混合した黒色有機染料としては、たとえば三菱化学(株)よりダイレジンブラックBとして市販されている。
【0062】
これら有機染料(C)の添加量は、熱可塑性樹脂組成物の合計100重量部に対して0.001重量部〜10重量部の範囲であり、好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。
【0063】
有機染料(c)添加量が0.001部未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の漆黒性が得られず、10部を超えた範囲では、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性,耐候性が低下し、ともに好ましくない。
【0064】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)、(共)重合体(B)および有機染料(c)を公知の混練機械によって混練し、成形機により成形することにより製造することができる。このような成形機としては、押出成形機、射出成形機、ブロ−成形機、カレンダー成形機およびインフレ−ション成形機等が挙げられる。
【0065】
本発明の熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(A)および(共)重合体(B)の含有量は、特に限定されるものではないが、該樹脂組成物の耐衝撃性、剛性、流動性および耐候性を考慮すると、グラフト共重合体(A)と(共)重合体(B)の合計を100重量部とした場合、好ましくはグラフト共重合体(A)が0.1〜99.8重量部、(共)重合体(B)が99.9〜0.2重量部の範囲であり、より好ましくはグラフト共重合体(A)が10〜70重量部、(共)重合体(B)が90〜30重量部の範囲であり、さらに好ましくはグラフト共重合体(A)が20〜50重量部、(共)重合体(B)が80〜50重量部の範囲である。
【0066】
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて顔料、光安定剤、酸化防止剤、補強剤、充填材、難燃剤、防腐剤、離型剤、滑剤等の各種添加剤を配合することができる。
【0067】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形法、ブロー成形法、トランスファー成形法、押出成形法、フラッシュ成形法、回転成形法、およびカレンダー成形法等の熱成形により、各種工業部品に成形することができる。
【0068】
特に、得られる成形品の良好な耐衝撃性、耐候性および成形外観は、自動車外装部品として有用である。このような自動車外装部品の具体例としては、ドアミラーボディー、センターピラー、ルーフレールレッグ、フロントグリル、ラジエーターグリル、サイドモール、オーバーフェンダーおよびリアガーニッシュ等があげられる。
【0069】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によってげんていされるものではない。ここで、「部」は、特に断りがない限り、「重量部」を意味する。
【0070】
また、実施例中における各種測定は、以下の方法を用いて行った。
【0071】
・ラテックス中のポリオルガノシロキサンおよびラテックス中のグラフト共重合体の重量平均粒子径:DLS−700型(大塚電子(株)社製)を用いた動的光散乱法により求めた。
【0072】
・グラフト共重合体(A)中のカルシウム元素濃度: 所定量のグラフト共重合体を600℃で灰化し、この塩酸水溶液を用いた原子吸光分析によりカルシウムを定量し、カルシウム元素濃度を求めた。
【0073】
・グラフト共重合体(A)中のアセトン不溶分量: 冷却管および加熱器を備えたフラスコ中にグラフト共重合体約2.5gおよびアセトン80mlを入れ、加熱器により65℃で3時間加熱抽出処理を行い、ついで冷却し、内液を遠心分離器(日立工機(株))を用いて15000回転/分の条件で30分処理して、アセトン不溶分を分離し、沈殿物を乾燥後、その重量を測定し、下記式(1)で算出した。
【0074】
アセトン不溶分(重量%)=分離処理後の沈殿物乾燥重量/アセトン抽出前のグラフト共重合体重量 X100 式(1)
・グラフト共重合体(A)中のアセトン可溶成分の還元粘度: 冷却管および加熱器を備えたフラスコ中に適量のグラフト共重合体およびアセトンを入れ、加熱器により65℃で3時間加熱抽出処理を行い、ついで冷却し、内液を遠心分離器(日立工機(株))を用いて15000回転/分で30分処理して、アセトン不溶分を分離し、上澄み液中のアセトンを減圧蒸発させてアセトン可溶成分を回収し、このアセトン可溶成分0.2gを100ccのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、この溶液の溶液粘度を自動粘度計(SAN DENSHI(株)社製)を用いて25℃で測定し、同条件で測定した溶媒粘度より還元粘度を求めた。
【0075】
実施例および比較例におけるアイゾット衝撃強度の測定は、ASTM D258に準拠した方法により行った。
【0076】
実施例および比較例における表面硬度(ロックウェル硬度)の測定は、ASTM D785に準拠した方法により行った。
【0077】
実施例および比較例における樹脂組成物の耐候性は、100mmx100mmx3mm白着色板をサンシャインウエザーメーター(スガ試験機(株)製)で1000時間処理した後の光沢度保持率、漆黒性変化を、下記式(2)、(3)により算出した。
【0078】
【数1】
Figure 0004351760
・熱可塑性樹脂組成物の漆黒性評価: IS−100EN(射出成形機;東芝機械(株)社製)を用い、シリンダー設定温度230℃、金型温度60℃、インジェクションスピード60%、射出圧力設定30%の条件で熱可塑性樹脂組成物を射出成形し、得られた100mmx100mmx3mmの板をJIS−Z−8729に準拠した色相測定によりL*値を求めた。
【0079】
・熱可塑性樹脂組成物の成形板表面平滑性の評価: IS−100ENを用い、シリンダー設定温度230℃、金型温度60℃、インジェクションスピード60%、射出圧力設定30%の条件で熱可塑性樹脂組成物を射出成形し、得られた100mmx100mmx3mmの板の表面を光学顕微鏡(ニコン(株)社製)にて1mm2辺りの突起状のブツ個数を目視にて測定し、成形板表面平滑性を判定をした。
【0080】
参考例1 ポリオルガノシロキサン(a)の製造
オクタメチルシクロテトラシロキサン98部、γ−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン2部を混合してシロキサン系混合物100部を得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部を溶解した蒸留水300部を添加し、ホモミキサ−にて10000回転/分で2分間撹拌した後、ホモジナイザ−に30MPa の圧力で1回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
【0081】
一方、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、ドデシルベンゼンスルホン酸10部と蒸留水90部とを注入し、10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。
【0082】
この水溶液を85℃に加熱した状態で、予備混合オルガノシロキサンラテックスを4時間にかけて滴下し、滴下終了後1時間85℃を維持したのち、冷却した。次いでこの反応物を苛性ソ−ダ水溶液で中和した。
【0083】
このようにして得られたポリオルガノシロキサン(a)ラテックスを170℃で30分間乾燥して固形分を求めたところ、17.7重量%であった。また、ラテックス中のポリオルガノシロキサンの重量平均粒子径は0.06μmであった。
【0084】
参考例2 グラフト共重合体(A)の製造
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、ポリオルガノシロキサン(a)のラテックス45.2部、エマールNC−35(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート;花王(株)社製)0.2部を採取し、蒸留水148.5部を添加混合した後、ブチルアクリレ−ト42部、アリルメタクリレ−ト0.3部、1,3−ブチレングリコ−ルジメタクリレ−ト0.1部およびt−ブチルハイドロパ−オキサイト0.11部の混合物を添加した。
【0085】
この反応器に窒素気流を通じることによって、 雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。 内部の液温が60℃となった時点で、硫酸第一鉄0.000075部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.000225部およびロンガリット0.2部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を開始させた。
【0086】
アルキル(メタ)アクリレ−ト成分の重合により、液温は78℃まで上昇した。1時間この状態を維持し、アルキル(メタ)アクリレ−ト成分の重合を完結させ、ポリオルガノシロキサン(a)とアルキル(メタ)アクリレ−トゴム(b)とからなる複合ゴム((a)+(b))のラテックスを得た。
【0087】
反応器内部の液温が70℃に低下した後、ロンガリット0.25部を蒸留水10部に溶解した水溶液を添加し、ついで単量体(c)としてアクリロニトリル2.5部、スチレン7.5部およびt−ブチルハイドロパ−オキサイト0.05部の混合液を2時間にわたって滴下し、重合させた。
【0088】
滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持した後、硫酸第一鉄0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部、ロンガリット0.2部およびエマールNC−35(花王(株)社製)0.2部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、次いでアクリロニトリル10部、スチレン30部およびt−ブチルハイドロパ−オキサイト0.2部の混合液を2時間にわたって滴下し重合させた。
【0089】
滴下終了後、温度60℃の状態を0.5時間保持した後、クメンヒドロパ−オキサイト0.05部を添加し、さらに温度60℃の状態を0.5時間保持した後、冷却した。
【0090】
このラテックスにラテムルASK(アルケニルコハク酸ジカリウム塩;花王(株)社製)を0.5部添加し、グラフト共重合体(A)の重合ラテックスを得た。
【0091】
動的光散乱法より求めたラテックス中のグラフト共重合体(A)の重量平均粒子径は、0.12μmであった。この重合ラテックスのせん断力に対する安定性は、ホモミキサー試験で5分と良好であった。
【0092】
ついでグラフト共重合体(A)の重合ラテックスを、60℃に加熱した1重量%酢酸カルシウム水溶液100部に滴下し、凝固させた。析出物を分離し、洗浄した後、H−130E(遠心器;国産遠心器(株)社製)を用いて1800毎秒回転の条件で2分間脱水処理した。得られた粉体状のグラフト共重合体(A)の水分率は、35重量%であった。
【0093】
この粉体を85℃で24時間乾燥し、グラフト共重合体(A)を得た。このグラフト共重合体(A)中のカルシウム濃度は、900ppmであった。
【0094】
また、グラフト共重合体(A)中のアセトン不溶分は85重量%であり、アセトン可溶成分の還元粘度は0.58dl/gであった。
【0095】
参考例3 共重合体(B)の製造
冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた耐圧反応器内に、水150部、アクリロニトリル25部、スチレン75部、アゾビスイソブチロニトリル0.20部、ターシャリードデシルメルカプタン0.4部およびポリビニルアルコール0.7部を仕込み、400回転/分の条件で攪拌した。
【0096】
反応容器内温度をを75℃まで昇温し、2時間重合させた。ついで反応容器内温度を110℃まで昇温し、この状態を20分間保持し反応を完結させた。
【0097】
内容物を冷却後、遠心機を用いて洗浄、脱水を繰り返し、さらに得られた固形物を乾燥させ、白色粒状の共重合体(B)を得た。
【0098】
この重合体(B)の還元粘度は、25℃のN,N−ジメチルホルムアミド中で0.50dl/gであった。
【0099】
(実施例1) 熱可塑性樹脂組成物の製造
グラフト共重合体(A)48部、およびメタクリル樹脂(三菱レイヨン(株)社製アクリペットVH)52部および黒色系に調製された有機染料:ダイレジンブラックB(三菱化学(株)社製)0.3部、さらに熱安定剤としてアデカスタブC(旭電化(株)製)を0.3部、離型剤としてステアリン酸バリウムを0.4部、滑剤としてEBSを0.4部、光安定剤としてアデカスタブLA−63P(旭電化(株)製)を0.2部、アデカスタブLA−36(旭電化(株)製)を0.2部添加した後、ヘンシェルミキサーを用いて3分間混合した。
【0100】
これら混合物をバレル温度230℃に設定したTEM−35B(二軸押出機;東芝機械(株)社製)で賦形し、ペレットを作製した。得られたペレットをシリンダ温度 230℃、金型温度60℃に設定した射出成形機によって100mmx100mmx3mmの平板を成形した。この成形板を用いて、機械的特性、成形板表面平滑性、漆黒性ならびに耐候性の評価を行った。評価結果を表−1に示す。
【0101】
(実施例2) 熱可塑性樹脂組成物の製造
樹脂組成物中の染料をダイレジンブラックB1部に変更する以外は実施例1と同様にして成形板を製造し、同様の方法で、機械的特性、成形板表面平滑性、漆黒性ならびに耐候性の評価を行った。評価結果を表−1に示す。
【0102】
(実施例3) 熱可塑性樹脂組成物の製造
樹脂組成物中の染料をダイレジンブラックB3部に変更する以外は実施例1と同様にして成形板を製造し、同様の方法で、機械的特性、成形板表面平滑性、漆黒性ならびに耐候性の評価を行った。評価結果を表−1に示す。
【0103】
(実施例4) 熱可塑性樹脂組成物の製造
メタクリル樹脂(三菱レイヨン(株)社製アクリペットVH)52部を共重合体(B)52部に変更する以外は実施例1と同様にして成形板を製造し、同様の方法で、機械的特性、成形板表面平滑性、漆黒性ならびに耐候性の評価を行った。評価結果を表−1に示す。
【0104】
(実施例5および6) 熱可塑性樹脂組成物の製造
メタクリル樹脂(三菱レイヨン(株)社製アクリペットVH)52部を共重合体(B)52部に、染料をダイレジンブラックB1部と、3部にそれぞれ変更する以外は実施例1と同様にして成形板を製造し、同様の方法で、機械的特性、成形板表面平滑性、漆黒性ならびに耐候性の評価を行った。評価結果を表−1に示す。
【0105】
(比較例1) 熱可塑性樹脂組成物の製造
樹脂組成物中の染料をダイレジンブラックB15部に変更する以外は実施例1と同様にして成形板を製造し、同様の方法で、機械的特性、成形板表面平滑性、漆黒性ならびに耐候性の評価を行った。評価結果を表−1に示す。
【0106】
(比較例2)熱可塑性樹脂組成物の製造
メタクリル樹脂(三菱レイヨン(株)社製アクリペットVH)52部を共重合体(B)52部に変更する以外は比較例1と同様にして成形板を製造し、同様の方法で、機械的特性、成形板表面平滑性、漆黒性ならびに耐候性の評価を行った。評価結果を表−1に示す。
【0107】
(比較例3および4) 熱可塑性樹脂組成物の製造
樹脂組成物中の染料のダイレジンブラックB15部をカーボンブラック #2600(三菱化学(株)社製)2部と、10部とにそれぞれ変更する以外は比較例1と同様にして成形板を製造し、機械的特性、成形板表面平滑性、漆黒性ならびに耐候性の評価を行った。評価結果を表−1に示す。
【0108】
【表1】
Figure 0004351760
実施例および比較例より、以下のことが判明した。
【0109】
(1)実施例1〜6の樹脂組成物は、成形板表面平滑性、漆黒性が良好であり、このような良外観の材料は、例えば自動車外装部品の様な高いレベルの成形板表面平滑性、漆黒性が必要となる用途に使用することが可能になる等、工業的価値が極めて高い。
【0110】
(2)比較例3および4のカーボンブラックを着色剤とした樹脂組成物は、成形板表面平滑性と漆黒性を同時に満足することができず、工業的利用価値が低い。
【0111】
(3)実施例の樹脂組成物は、耐候性にも優れる。
【0112】
(4)比較例2の黒系有機染料を10部を超えた範囲含有する樹脂組成物は、漆黒性には優れるものの、耐衝撃性、耐候性が劣り工業的価値が低い。
【0113】
【発明の効果】
本発明は以上説明した通りであり、次のように特別に顕著な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
【0114】
本発明に係るポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムからなる複合ゴムを含むグラフト共重合体および黒色系に調整した有機染料を構成成分として含む熱可塑性樹脂組成物は、従来知られている樹脂材料では得られない高いレベルの成形板平滑性、漆黒性、耐衝撃性および耐候性を有し、この様に成形外観に優れた樹脂材料は、各種工業用材料、特に自動車外装部品等の高いレベルの成形外観が要求される用途に使用することが可能であり、工業的利用価値は極めて高い。

Claims (2)

  1. (A)(a)ポリオルガノシロキサンと(b)アルキル(メタ)アクリレ−トゴムとからなる複合ゴム((a)+(b))に、(c)芳香族アルケニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物およびシアン化ビニル化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体を、グラフト重合させることによって得られたグラフト共重合体、
    (B)芳香族アルケニル化合物成分、シアン化ビニル化合物成分、(メタ)アクリル酸エステル化合物成分よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分、および必要に応じてこれらと共重合可能なビニル単量体成分とを、重合又は共重合させることによって得られた(共)重合体、および
    (C)上記(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対し,0.001〜10重量部の割合で配合された有機染料
    とよりなる熱可塑性樹脂組成物であって、該有機染料(C)が、原色(赤、紫、緑、青、黄色)合成染料を混合し黒色系に調整して得られたものであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物を熱成形することによって得られる自動車外装部品。
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