JP4349671B2 - 易開栓性中栓及び中栓付容器蓋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、易開栓性中栓に関するもので、より詳細には、熱間充填に際して中栓のほぼ全面を殺菌乃至滅菌することが可能であり、しかも液飛び等も防止しながら指による開栓操作も容易に行われる易開栓性中栓に関する。本発明は更に上記中栓を備えた中栓付容器蓋にも関する。
【0002】
【従来の技術】
瓶詰め製品においては、流通時の密封性を向上させる目的で、中栓付きキャップが広く使用されている。この中栓付キャップにおいては、開栓性を向上させるため、中栓の内側に把持部材を設けたものも知られている。
【0003】
実開昭51−122855号公報には、有底中空筒部2の開口上端に周方向の鍔部3を一体に張り出し成形された合成樹脂製栓体1の、前記中空筒部2の開口上端若しくはその近傍から中空筒部2内に収まる環状体4を、中空筒部2とに連結片5を介して一体に設けた中栓が記載されている。
【0004】
従来、ワンタッチで開閉操作可能な液体容器用の開閉蓋も既に知られており、例えば、特開平9−30554号公報には、シール用シートと、第一の筒体と、第二の筒体と、キャップとを備え、第一の筒体を容器の口部に螺着可能に形成し、第一の筒体の首部に第二の筒体を開状態と閉状態とにスライドさせうるスライド域を形成し、第一の筒体の頭部にはボタン型のランド部とランド部の周りの液体用の注ぎ口を設けたものが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ヒートシール蓋をキャップとは別に施すタイプの容器蓋では、流通時の密封性はかなり良好に維持されるが、キャップの打栓操作に先だって、ヒートシール操作が必要であり、充填密封の工程数が多く、また、装置コストを必要とする点で未だ十分満足しうるものではない。
【0006】
一方、中栓付のキャップでは、中栓及びキャップの構造及び組み合わせを選択することにより、同時に打栓操作を行いうる、即ち中栓をキャップ内にセットして打栓を行いうるという利点があるが、従来の中栓付きキャップでは、容器口部内周面と中栓の側壁部外周面との間で密封的係合を行わせており、中栓の開栓が必ずしも容易でなく、しかもこの係合部乃至その近傍の殺菌乃至滅菌が不十分となりやすいという問題を未だ抱えている。
【0007】
すなわち、キャップを閉栓した包装容器において、容器及びキャップの殺菌は、容器内に飲料等の内容物を熱間充填し、キャップで密封を行った後、例えば包装容器を横倒しさせ、高温の液と容器及びキャップ内面とを接触させることにより行うが、従来の中栓の場合、容器口部内周面と中栓側壁外周面との接触乃至近接部分では高温の液が通りにくく、この部分が未殺菌の状態で残るという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、内容物の熱間充填と密栓後の横倒しとにより、中栓のほぼ全域を有効に殺菌乃至滅菌することが可能な中栓を提供するにある。
本発明の他の目的は、中栓の開栓操作が容易且つ円滑に進行すると共に、開栓操作の初期にシールブレークが行われる中栓を提供するにある。
本発明の更に他の目的は、上記中栓を容器蓋と共に同時に容器口部に締結させて密封を行うことが可能であり、中栓を開栓する際には、それに先だってキャップのみの取り外しを可能とする中栓付容器蓋を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、容器口部の頂面及び内周側コーナー部と密封的に係合するフランジ部と、容器口部の内周面と係合する側壁部と、閉塞底面部とを備えた易開栓性中栓において、前記フランジ部の付け根には容器口部の内周側コーナー部と密封的に係合するコーナー部が形成され、前記側壁部の外周には側壁部の高さ方向に延びるリブ部と凹部とが交互に多数配置され、前記各リブ部の中間にはフランジ面に平行な共通平面上でしかも共通な円周上に位置する突起部が形成され、突起部の各々が容器口部の内周面と係合するよう、該円周の直径が規定されかつ、凹部の各々が容器口部の内周面に対し半径方向内側に離隔するよう、凹部の各々の半径方向寸法が規定され、前記側壁部または閉塞底面部には開栓用把持部が設けられている、ことを特徴とする易開栓性中栓が提供される。本発明の中栓においては、リブの数が6乃至24個であること、が好ましい。
【0010】
本発明によればまた、容器口部に螺子締結により着脱自在に装着される合成樹脂製の蓋体と、該蓋体と容器口部上端との間で挟持される合成樹脂製の易開栓性中栓とから成り、前記蓋体には開閉可能な弁機構が設けられている易開栓性中栓付容器蓋において、
前記易開栓性中栓が、容器口部の頂面及び内周側コーナー部と密封的に係合するフランジ部と、容器口部の内周面と係合する側壁部と、閉塞底面部とを備え、フランジ部外周には薄肉周縁部が設けられ、フランジ部の付け根には容器口部の内周側コーナー部と密封的に係合するコーナー部が形成され、前記側壁部の外周には側壁部の高さ方向に延びるリブ部と凹部とが交互に多数配置され、前記各リブ部の中間にはフランジ面に平行な共通平面上でしかも共通な円周上に位置する突起部が形成され、突起部の各々が容器口部の内周面と係合するよう、該円周の直径が規定されかつ、凹部の各々が容器口部の内周面に対し半径方向内側に離隔するよう、凹部の各々の半径方向寸法が規定され、前記側壁部または閉塞底面部には開栓用把持部が設けられ、
前記蓋体は、水平フランジ部を備えた頂板部と、該水平フランジ部から垂下したスカート部とを備え、前記スカート部の内面には、容器口部の外面に形成された螺条と螺子係合する螺条が形成されていると共に、該螺条よりも上方であって且つ前記水平フランジ部とは小間隔を置いた位置に中栓係止用突起が形成されており、
前記易開栓性中栓は、打栓前の状態において、薄肉周縁部が前記蓋体の中栓係止用突起に係合されることにより前記蓋体に係止され、打栓後において、側壁部のリブ部に形成された突起部の各々が容器口部の内周面と係合して外径が縮小されることにより薄肉周縁部の外径が縮小され、開栓時において、薄肉周縁部が中栓係止用突起に係合されないか、或いは係合の程度が微弱となるよう、中栓係止用突起の内径、薄肉周縁部の外径、容器口部の内周面に対する突起部の各々の外径寸法が規定されている、
ことを特徴とする易開栓性中栓付容器蓋が提供される。
【0011】
【発明の実施形態】
本発明の中栓は、容器口部の頂面或いは頂面乃至そのコーナー部と密封的に係合するフランジ部と、容器口部の内周面と係合する側壁部と、閉塞底面部と、或いは更に側壁部または底面部に設けられた開栓用把持部とを備えているが、側壁部の外周に、側壁部の高さ方向に延びるリブ部と凹部とを交互に多数配置し、しかも前記各リブ部の中間に、フランジ面に平行な共通平面上でしかも共通な円周上に位置する突起部を形成したことが特徴である。
【0012】
本発明の中栓では、容器口部との密封保持は容器口部の頂面或いは頂面乃至そのコーナー部と係合する中栓のフランジ部により専ら行われ、一方容器口部に対する中栓の係止は側壁部のリブ部に設けた突起部により行われ、中栓による容器の密封保持と中栓の容器への係止とが機能分離的に行われている。
このように、両方の機能を分離することにより、後述するように、中栓側壁部の殺菌乃至滅菌を有効に行うと共に、開栓の初期にシールブレークを優先して行い、その後開栓(抜栓)を行うことが可能となる。
【0013】
即ち、中栓の側壁部では、容器口部に対する機械的係止を行うが、密封は行わないようにするため、側壁部の外周に、側壁部の高さ方向に延びるリブ部と凹部とを交互に形成させている。リブ部に設けた突起部は容器口部内周面と係合するが、凹部は容器口部内周面から径内方向に離隔していて、気体や液体が自由に通過できる通路となっている。
【0014】
このため、内容物を熱間充填し、中栓を密封させた後、この包装体を横倒しすると、中栓側壁部の凹部を通して熱い液体が中栓のほぼ全域に行き渡り、中栓の加熱殺菌乃至滅菌が有効に行われ、内容物の保存性が向上するという顕著な利点が奏されるものである。
【0015】
一方、中栓フランジ部と容器口部の頂面或いは頂面乃至そのコーナー部とは、垂直方向或いは更に水平方向に係合して密封保持されているから、中栓をほんの少し持ち上げるだけで、中栓フランジ部の下面と容器口部の頂面乃至そのコーナー部との隙間及び側壁部の凹部を通してシールブレークが行われ、その後容器口部内周面とリブ部の突起部との係合が解除されることにより、開栓が行われるのであって、シールブレークと開栓との間に十分なタイムラグをもたせることにより、液飛びの発生を防止できるのである。
【0016】
また、容器口部の内周面と係合する突起部を、側壁部外周に凹部を介して間欠的に配置したリブに形成したため、係止力の調節が容易となり、この係止力を、中栓が容器口部に確実に係止されるが、中栓の引き抜きが指で容易に行われる範囲に調節することが可能となる。
【0017】
本発明の中栓においては、フランジ部の付け根には容器口部の内周側コーナー部と密封的に係合するコーナー部を形成することが特に好ましい。この構成にすると、これらのコーナー部間では垂直方向のみならず水平方向にも係合が生じるので、中栓フランジ部の下面と容器口部の頂面とで単に垂直方向に係合させる場合に比して、密封保持を一層確実なものにすることができる。特に、側壁部で密封保持ができない本発明の中栓ではこの方式が特に有効である。
【0022】
また、中栓の側壁部におけるリブの数(従って凹部の数)が6乃至24個であることが、中栓の係止を確実にすると共に、開栓初期のシールブレークを確実にし、また内容物の熱間充填による中栓の殺菌乃至滅菌を確実に行うために好ましい。
【0023】
本発明の中栓は、多くの合成樹脂製蓋体との組合せで容器口部の密封に使用できるが、容器口部に螺子締結により着脱自在に装着される合成樹脂製の蓋体であって、該蓋体と容器口部頂面との間で中栓のフランジ部が挟持されるような蓋体との組合せで用いることが望ましい。
この蓋体との組合せでは、蓋体と容器口部との螺子締結により、中栓フランジ部下面と容器口部頂面との密封保持が確実に行われ、一方、開栓に際しては、蓋体の螺子締結を解除した後、中栓の開栓を行うことになる。
勿論、この場合、蓋体の締結を緩めることにより、中栓フランジ部と容器口部との密封的係合が解除され、シールブレークが行われるようにすることもできるが、密封保持の点では、蓋体の締結を緩めた場合にも中栓による密封的係合が維持されていることが好ましい。
熱間充填では、容器内部は一般にバキューム状態であるが、このバキュームを利用して蓋体の締結を緩めた後にも中栓による密封保持を行ってもよい。また、中栓の開栓に際しては、一旦シールブレークを行えば、その後の開栓力は小さくて済むことになる。
【0024】
本発明の易開栓性中栓付容器蓋においては、中栓はフランジ部外周に薄肉周縁部を有する中栓であり、一方、蓋体は、水平フランジ部を備えた頂板部と、該水平フランジ部から垂下したスカート部とを備え、前記スカート部の内面には、容器口部の外面に形成された螺条と螺子係合する螺条が形成されていると共に、該螺条よりも上方であって且つ前記水平フランジ部とは小間隔を置いた位置に中栓係止用突起が形成されていることが好ましい。
【0025】
上記中栓と蓋体との組合せを用いると、中栓薄肉周縁部と中栓係止用突起とが係合し、中栓を蓋体内に収納させた状態で、容器口部に一工程で同時に締結、密封させることが可能となり、しかも蓋体を取り外す場合には、中栓薄肉周縁部と中栓係止用突起との係合が外れて、中栓を容器口部に残すようにすることができる。
【0026】
【実施例】
本発明を次の例を参照しつつ、更に説明する。
添付図面において、
図1は本発明の中栓の一例の上面図であり、
図2は図1の中栓の側面図であり、
図3は図1の中栓の底面図であり、
図4は図1の中栓の側断面図であり、
図5は本発明の中栓付容器蓋の好適例を示す一部断面側面図であり、
図6は本発明の中栓付容器蓋の好適例を容器口部と共に示す一部断面側面図であり、
図7は図6の要部の拡大断面図であり、
図8は図5の容器蓋を、弁部材を取り外して示す上面図であり、
図9は図8の容器蓋の一部断面側面図であり、
図10は図8の容器蓋の側断面図であり、
図11は図8の容器蓋の底面図であり、
図12は図4の中栓の要部の拡大断面図である。
【0027】
本発明による中栓の構造を示す図1乃至4において、この中栓は、容器口部の頂面乃至そのコーナー部と係合するフランジ部1と、容器口部の内周面と係合する側壁部2と、閉塞底面部3と、開栓用把持部4を備えている。
【0028】
側壁部2の外周には、側壁部の高さ方向に延びるリブ部5と凹部6とが交互に多数配置されている。この各リブ部5の中間にはフランジ面に平行な共通な平面上でしかも共通な円周上に位置する突起部7が形成されている。
即ち、リブ部5は、図2及び図4から明らかなとおり、径外方向に凸な湾曲形状となっており、その径外方向に最も突出した部分が突起部7となっている。
【0029】
突起部7の水平断面における外形状は、図3の底面図から明らかなとおり、円周を分断した弧からなっており、容器口部との係合が確実に行われるようになっている。
一方、凹部6の水平断面形状は、図3に示す具体例の場合、半円状であるが、この例に限定されず、U字型溝、V字型溝、逆台形溝、半楕円型溝、放物線型溝サイクロイド型溝などの任意の溝形状であってよい。
突起部7及び凹部6の諸寸法は、既に指摘した範囲内にあるのが好適である。
【0030】
本実施例の中栓においては、フランジ部1の付け根には、容器口部の内周側コーナー部25c(図7参照)と密封的に係合するコーナー部8(図12参照)が形成されている。この構成により、これらのコーナー部8、25a間では垂直方向のみならず水平方向にも係合が生じるので、中栓フランジ部1の下面と容器口部の頂面25aとで単に垂直方向に係合させる場合に比して、密封保持を一層確実なものにすることができる。特に、側壁部で密封保持ができない本発明の中栓ではこの方式が特に有効である。
【0031】
この中栓では、弧状の把持部材4が側壁部2に一対の離隔した内側が滑らかな連結部9、9を介して一体に設けられ、しかも把持部材4は連結部9、9間の周a,bの内長い方の周aの側に延びている。
【0032】
上記の把持部材4と側壁部2との連結構造では、これらが連結部9、9の内側において滑らかに接続されているため、連結部9、9の部分は、他の側壁部2や把持部4に比して厚肉であり、把持部4を引っ張ったときにも伸びにくく、引張力が側壁部に伝達されやすい構造となっている。
【0033】
また、本発明による中栓では、把持部材4が連結部9、9間の周a,bの内長い方の周aの側に延びているので、把持部材4による引張力が側壁部2の短い方の周bに集中的に加わり、シールブレークと中栓の開栓とがこの順序に、しかも容易に進行するので、開栓時の液飛びが解消されるという利点が得られる。
【0034】
即ち、開栓に際して、把持部材4を指で摘み、開栓方向に引っ張ると、先ず、離隔した一対の連結部9、9が径内方に且つ長い方の周の側に引っ張られ、これにより、側壁部2の外周面と容器口部の内周面とのシールブレークが発生する。次いで、この剥離力は、一対の連結部9、9或いはその近傍の両側から、側壁部2の短い方の周bに沿って、しかも短い方の周bの中心Cに向かって、シール幅が次第に狭まるように開栓操作が進行する。
【0035】
このため、中栓の開栓に際して、常に中栓のシールブレークが優先して行われ、その後開栓、即ち中栓の取り外しが進行するので、開栓に際して液飛びが発生するのが完全に抑制され、しかも中栓の容器からの取り外し点(短い方の周の中心C)に両側から応力が集中するように開栓が行われるので、開栓操作も至って容易且つ確実に行われるという利点が達成されるものである。
【0036】
中栓の側壁部2は全体として円周状に形成されており、その内周面13は、型抜きが容易に行えるように、下向きに径が小さくなるようなテーパー状に形成されている。一方、その外周面10には、リブ部5と凹部6とが形成されているが、リブ部5のフランジ部2よりも下方に離隔した位置に、径外方向に最も膨出した突起部7が形成されている。突起部7の下方には、下向きに径が縮小するテーパー部が形成されていて、容器口部への打栓が容易に行えるようになっている。
【0037】
一方、把持部材4は、好適には、側壁部2の内径よりも小さな内径の環状部材の一部として形成されており、把持部材4と側壁部2との関係は次のようになっている。即ち、側壁部2を包含する仮想的な環状体Aと、把持部材4を包含しその延長上にある仮想的な環状体Bとを考えると、両者は環状体Aの内周面に環状体Bの内周面が内接する偏心的な位置関係にある。これらの環状体A及びBの内部には成型用の樹脂が充満されており、中栓を形成している。即ち、連結部9、9からの2個の周のうち長い方の周aの部分では側壁部2と把持部材4とが独立に存在するが、短い方の周bの部分では、前記環状体A及びBの両方を包含するように側壁部2の内周面が規定されている。一層具体的には、把持部材4と側壁部2とのこの連結構造では、把持部材4の側壁部2への付け根となる端において、側壁部の厚みが最も大きく、次いで連結部間の中心に向けて厚みが徐々に減少していく部分があり、連結部間の中心に最も厚みの小さい部分があり、開栓に際してこの厚みの最も小さい部分で容器口からの取り外しが容易に行われるようになっている。
【0038】
把持部材4の外周面は、図4に最もよく示されるように、側壁部2の内周面10とほぼ同様に下向きに径が小さくなるテーパー面を形成しており、また把持部材4の内周面も垂直面乃至下向きに径の小さくなるテーパー面を形成しているが、外周面のテーパー角度の方が大きく、把持部材4の径方向の厚みは下向きに次第に小さくなっている。上記の厚み分布を持たせた把持部材4では、成形時の型抜きが容易であり、例えば、把持部材の内周面より内側の型を先ず抜き、次いで外側の型を無理抜きすることにより、型抜きを容易に行うことができる。
【0039】
用いる中栓は、この場合に決して限定されるものではないが、把持部材4の上面を中栓のフランジ部1の上面と面一になるように設けておくことが好ましい。この構造では、把持部材付中栓の成形が最も容易であると共に、最も厚肉の把持部材上面とフランジ部上面とが接続されることにより、中栓の開栓による取り外しが容易に行われる。
更に、把持部材4の下端縁を通る面が側壁部外周の突起部7の少なくとも一部、特に突起部7の上の部分と交わるような位置関係にしておくことが好ましい。このような配置にすると、開栓に際して、突起部7を支点として側壁部外周を容器口部から離れやすくすることができ、シールブレークや中栓の取り外しを容易に行うことができる。
【0040】
把持部材4の内周面のほぼ中央には、指の掛かりをよくするためのリブ11が少なくとも1本周方向に伸びるように設けられている。また、把持部材4の中央は成形に際して、2分された樹脂流が合流するウェルドラインとなるが、開栓に際してこの部分が破壊するのを防止するため、相対的に厚肉の補強部となっている。
【0041】
この具体例においては、中栓のフランジ部2の外周に、薄肉でしかも幅の狭い延長部12が形成されており、この延長部12は、中栓をキャップ内にセットした状態で同時に打栓を可能にし、中栓を開栓する際には、それに先だってキャップのみの取り外しを可能とするものであるが、その作用については、後から詳述する。
【0042】
本発明の中栓において、把持部材4を包含する環状体Bの内径(Rb)は、開栓に際して少なくとも指の挿入が可能となるものである。一般に、Rbは少なくとも13.2mmの径を有することが好ましい。
また、把持部材4の径方向の厚みは、上面部で0.7乃至1.05mmの範囲にあることが、開栓性の点で好適である。
【0043】
中栓を構成する樹脂材料は、それ自体公知の任意のプラスチックで形成されていることができるが、比較的柔らかい樹脂材料、例えばオレフィン系樹脂で形成されていることが望ましく、特に弾性率(JIS K7203)が2000乃至10000kg/cm2 のオレフィン系樹脂、特に線状低密度ポリエチレン(LLDPE)や線状超低密度ポリエチレン(LUDPE)から形成されていると、シールブレークと開栓とにタイムラグをもうけた開栓を容易に行うことが可能となる。
【0044】
本発明の中栓は、天面乃至頂部に液注出機構或いは開閉可能な弁機構を有するものに有利に適用することができる。即ち、このタイプのキャップにおいては、前述した液注出機構或いは開閉可能な弁機構のために、容器口部よりかなり上方に突出した構造となるため、容器口部と密封係合する中栓の使用が不可欠となるものである。
以下、この例について図5乃至11を参照して説明する。
【0045】
図5において、この容器蓋は、合成樹脂製のキャップ30と、合成樹脂製の中栓20と、オーバーキャップ90を備えている。
キャップ30は、おおまかに言って頂部31と、スカート部32とから成っており、頂部31の中央上部に開閉可能な弁機構60を備えている。
頂部31の径内方向にはリング状の水平フランジ部51が形成されており、この頂部31の外側端部からスカート部32が下方に垂下している。水平フランジ部51の内面(下面)には、中栓押さえ用の環状突起52が形成されている。この突起52の機能については後述する。
スカート部32の内面には螺条35が形成されており、この螺条35により、キャップ1が容器口部25へ着脱自在に係合固定される。即ち、容器口部25の外面には、螺条26が形成されており、上記の螺条35とこの螺条26との螺合により、キャップ30が容器口部25に固定される。
また、スカート部32の内面の螺条35よりも上方部分には、水平フランジ部51とは小間隔を置いて中栓係止用突起53が形成されている。この中栓係止用突起53の機能についても後述する。
【0046】
上記の容器蓋において、キャップ30の頂部31の中央上部には、段差部54を介して上方に直立した中空筒55が形成されており、この中空筒55内の中空空間は、頂部31の下側空間と連通しており、中栓20がなければ、容器内に通じている。
一方、中空筒55内には、同心状に小径の柱状体56が上方に延びており、その上端は、中空筒55から突出している。この柱状体56と中空筒55との位置関係は図8乃至11から明白である。この図8乃至11に示されている様に、柱状体56は、一定間隔で設けられているブリッジ57によって中空筒55の内側に保持されており、中空筒55内の空間は、このブリッジ57によっては閉じられておらず、従って、中空筒55の内面と柱状体56の外面との間の空間が注出路58を形成し、この注出路58を通して、内容液の注ぎ出しが行われる。
【0047】
再び図5に戻って、中空筒55には、弁部材60が上下にスライド可能に嵌め込まれている。
この弁部材60の上下動によって、上述した注出路58が開放されたり、或いは閉じられたりするのであり、この弁部材60が上昇して注出路58が開放され、下降して注出路58が閉じられる。
弁部材60は、天井壁61と、天井壁61から下方に延びているインナーリング62及び外側筒状壁63とから構成されており、インナーリング62と外側筒状壁63との間に中空筒55がスライド可能に嵌め込まれている。また天井壁61の中央部分には、開口64が形成されている。
即ち、図5に示されている様に、弁部材60が最下方位置にある時(常態)には、柱状体56の上端部が開口64を閉じており、従って、この状態では、注出路58が塞がれ、内容液の注出を行うことができない。一方、弁部材60を上昇させると、開口64が開放され、注出路58が外部に通じる。従って、この状態で内容液の注ぎ出しを行うことが可能となるわけである。
このような構造では、一般の需要者は、例えば片手で容器を持ちながら、口で弁部材60を引っ張り上げることができるので、飲料などの容器内容液を喫飲する上で極めて便利である。
【0048】
弁部材60の外側筒状壁63の下端内面には、アンダーカット(突起部)65が形成されており、一方、中空筒55の上方部分外面には、係止用突起59を設けることが好ましい。
即ち、上記係止用突起59とアンダーカット65との係合により、弁部材60が上昇し過ぎて外れてしまうというトラブルを防止できる。更に、中空筒55の下方部分外面に係止用突起を設けると、アンダーカット65とこの係止用突起との係合により、弁部材60を最下方位置(常態)に安定に保持することができる。また弁部材60の上昇或いは降下による開閉感を需要者に与えることができる。
また図5から明らかな様に、本発明の容器蓋は、衛生性、商品価値、或いはホットパック後の冷却による水の侵入等を防止するなどの点で、オーバーキャップ90を設けた形で市販に供される。このために、頂部31から中空筒55の外側に至る中間部分には、ほぼ直立した段差部54を形成しておき、この部分にオーバーキャップ90を係止する様な構造とすることが望ましい。
【0049】
中栓20に薄肉周縁延長部12が形成されていることが特に好適である。この薄肉周縁部12とキャップスカート部32の内面に形成されている中栓係止用突起53との係合関係が、次のようにコントロールされる。
即ち、キャップを打栓する前の状態では、図5に明瞭に示されるように、中栓20の薄肉周縁延長部12が中栓係止用突起53と確実に噛み合う寸法関係となっている。
一方、キャップが容器口部に打栓された状態では、図7に明瞭に示されるとおり、薄肉周縁延長部12が径内方向に寸法が縮小された状態となっている。というのは、キャップ30の打栓に伴い、当然中栓20も打栓されるが、中栓20の突起部7の径は容器口部25の内面29の径よりも若干大きく形成されており、そのためフランジ部1及び薄肉周縁延長部12が径内方向に引き込まれるからである。
上記の点につき更に説明する。
【0050】
本発明の容器蓋では、キャッピングに先立って、中栓20はキャップ30内に挿入されるが、この状態において、中栓20の薄肉周縁部12は、図5に示されている様に、キャップスカート部32の内面に形成されている中栓係止用突起53と係合するようになっている。従って、中栓20のキャップ30からの脱落が有効に防止され、キャッピング工程への搬送及びキャッピングを確実に行うことができる。
【0051】
次いで、内容液が熱間充填された容器の口部25へのキャッピングが行われる。キャップ30を閉栓方向に旋回させてキャッピングを行っていくと、キャップ30の降下によって中栓20も押し下げられ、キャッピング終了時には、図6及び図7に示されている様に、中栓20は容器口部25内に嵌め込まれる。
容器口部25内に嵌め込まれた中栓20では、中栓20の突起部7が容器口部25の内面29に係合して、筒状側壁2が容器口部25によって絞られているから、薄肉周縁部12の外径は若干縮小している。
また、この状態において、水平フランジ部51の内面に形成されている中栓押さえ用の環状突起52は、中栓20のフランジ部1にがっちりと食い込み、従って、中栓20はしっかりと容器口部25に固定され、密封が確実なものとなる。
キャッピングが完全に終了した図6及び図7の状態では、薄肉周縁部12の外径が小さくなっているため、このままの状態でキャップ30を上昇させた時、薄肉周縁部12は、中栓係止用突起53とは係合しないか、或いは係合するとしても係合の程度が微弱なものとなっている。
【0052】
この中栓付のキャップにおいて、熱間充填は、一般に70℃以上、特に80乃至95℃の温度の液体内容物を充填することにより行うが、キャップを打栓した後の包装容器の横倒しは、一般に20乃至40秒間程度行うのが好ましい。
熱間充填に続く横倒しにより、中栓20側壁部の凹部6を通して熱い液体が中栓20のほぼ全域に行き渡り、中栓20の加熱殺菌乃至滅菌が有効に行われ、内容物の保存性が向上する。
更に、熱間充填に続く横倒し後の加熱液体散布工程との組み合わせにおいて特に有効である。この加熱液体散布工程において、中栓20の殺菌を有効に行うために、図6及び7に示すとおり、中栓密封部の周辺部の空間71に至る微細貫通孔70をキャップスカート状側壁32に設けるのが好ましい。この微細貫通孔70は、周方向スリットであり、図に示す例では、軸対称に4本周方向に分布して設けられている。
これらの各スリット3はキャップ本体の外面から内面にかけて完全に貫通している。また、この実施例において、スリット3の各々の開口面積は0.04mm2 である。
このキャップにおいて、加熱殺菌乃至滅菌に際して、散布された熱水は、スリット3を通して容器口部の外部空間71内に流入乃至吸引され、密封係合部分に最も近い容器口部頂面25a及び中栓フランジ部1と接触して、これを加熱し、密封係合部分及びその周辺部の殺菌乃至滅菌が有効に行われる。
【0053】
図6及び図7のようにキャップ30及び中栓20が容器口部25に装着された容器は、この状態で市販され、これを購入した一般需要者は、先ず、キャップ30を開栓方向に旋回させてキャップ30を上昇させ、キャップ30を容器口部25から取り除く。
キャップ30を開栓方向に旋回して上昇させると、中栓押さえ用の環状突起52の中栓フランジ1に対する押圧力も解除されるが、薄肉周縁部12と中栓係止用突起53との係合は外れる。即ち、薄肉周縁部12は合成樹脂製であり、しかも薄肉であることも関連して、変形が容易であり、薄肉周縁部12が中栓係止用突起53と若干の噛み合いを生じていたとしても、薄肉周縁部12が変形して突起53から容易に外れるのである。
かくして、キャップ30の開栓によって、キャップ30のみが上昇して容器口部25から取り除かれ、中栓20は、容器口部25にそのまま残存することになる。
【0054】
キャップ30を容器口部25から取り除いた後は、既に説明したとおり、把持部材4を手で持って引っ張り上げることにより、容器口部25に残存している中栓20を取り出して廃棄する。 次いで、再びキャップ30を容器口部25に装着する。
中栓20を取り除いた容器口部25にキャップ30を装着すると、中栓押さえ用の環状突起52が容器口部上端に圧接することになり、容器内の密封性は十分に確保される。
また、この状態では、容器内空間はキャップ30に形成されている注出路58に連通しているため、一般の需要者は、弁部材60を上昇させて内容液の注ぎ出し、或いは喫飲を行うことができ、弁部材60を降下させることにより、注出路58を閉じることができる。
【0055】
薄肉周縁部12の厚みや径は、打栓時には係止用突起53による保持が確実に行われ、一方開栓時には中栓係止用突起53と薄肉周縁部12との係合が生じないか或いは係合しても係合状態から容易に外れるように設定される。例えば、薄肉周縁部12の厚みは、100乃至200μm 程度が好適である。
【0056】
上述した構造の蓋体30及びオーバーキャップ90は、種々のプラスチックにより形成することができる。具体的には、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン1共重合体等のオレフィン樹脂;アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン(ABS)樹脂;耐衝撃性スチレン樹脂;アクリル樹脂;ナイロン樹脂等、特に好ましくは高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等を例示することができ、これらのプラスチックを用いての射出成形、圧縮成形等により、各部材を成形することができる。
【0057】
本発明の中栓付容器蓋は、キャッピング前の段階では中栓を容器蓋内に保持し、キャッピング後に容器蓋を容器口部から取り外すと中栓が容器口部に残るタイプの容器蓋であり、図5等に示した構造のプッシュプルタイプのキャップとして、各種の飲料を充填したスクイズボトルに特に有効に適用される。
また、蓋体の構造も、図5に示した構造の限定されるものではなく、種々の形状乃至構造で内容物注出用開口が形成されたものであってよい。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、側壁部の外周には側壁部の高さ方向に延びるリブ部と凹部とを交互に多数配置したため、容器口部内周面との分散された係合部の間に高さ方向に延びる凹部が多数存在するので、この凹部を通して内容物液体が移動でき、内容物の熱間充填と横倒しとにより、中栓のほぼ全域を有効に殺菌乃至滅菌することが可能となる。また、リブ部と凹部とが交互に存在するため、中栓の開栓操作が容易且つ円滑に進行すると共に、開栓初期にてシールブレークが行われ、その結果として開栓に際しての液飛びが有効に解消することができる。
更に、本発明の中栓付容器蓋では、中栓を容器蓋と共に同時に容器口部に締結させて密封を行うことが可能であり、中栓を開栓する際には、それに先だってキャップのみの取り外しが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中栓の一例の上面図である。
【図2】図1の中栓の側面図である。
【図3】図1の中栓の底面図である。
【図4】図1の中栓の側断面図である。
【図5】本発明の中栓付容器蓋の好適例を示す一部断面側面図である。
【図6】本発明の中栓付容器蓋の好適例を容器口部と共に示す一部断面側面図である。
【図7】図6の要部の拡大断面図である。
【図8】図5の容器蓋を、弁部材を取り外して示す上面図である。
【図9】図8の容器蓋の一部断面側面図である。
【図10】図8の容器蓋の側断面図である。
【図11】図8の容器蓋の底面図である。
【図12】図4の中栓の要部の拡大断面図である。
Claims (3)
- 容器口部の頂面及び内周側コーナー部と密封的に係合するフランジ部と、容器口部の内周面と係合する側壁部と、閉塞底面部とを備えた易開栓性中栓において、
前記フランジ部の付け根には容器口部の内周側コーナー部と密封的に係合するコーナー部が形成され、
前記側壁部の外周には側壁部の高さ方向に延びるリブ部と凹部とが交互に多数配置され、前記各リブ部の中間にはフランジ面に平行な共通平面上でしかも共通な円周上に位置する突起部が形成され、突起部の各々が容器口部の内周面と係合するよう、該円周の直径が規定されかつ、凹部の各々が容器口部の内周面に対し半径方向内側に離隔するよう、凹部の各々の半径方向寸法が規定され、
前記側壁部または閉塞底面部には開栓用把持部が設けられている、
ことを特徴とする易開栓性中栓。 - リブの数が6乃至24個であることを特徴とする請求項1に記載の易開栓性中栓。
- 容器口部に螺子締結により着脱自在に装着される合成樹脂製の蓋体と、該蓋体と容器口部上端との間で挟持される合成樹脂製の易開栓性中栓とから成り、前記蓋体には開閉可能な弁機構が設けられている易開栓性中栓付容器蓋において、
前記易開栓性中栓が、容器口部の頂面及び内周側コーナー部と密封的に係合するフランジ部と、容器口部の内周面と係合する側壁部と、閉塞底面部とを備え、フランジ部外周には薄肉周縁部が設けられ、フランジ部の付け根には容器口部の内周側コーナー部と密封的に係合するコーナー部が形成され、前記側壁部の外周には側壁部の高さ方向に延びるリブ部と凹部とが交互に多数配置され、前記各リブ部の中間にはフランジ面に平行な共通平面上でしかも共通な円周上に位置する突起部が形成され、突起部の各々が容器口部の内周面と係合するよう、該円周の直径が規定されかつ、凹部の各々が容器口部の内周面に対し半径方向内側に離隔するよう、凹部の各々の半径方向寸法が規定され、前記側壁部または閉塞底面部には開栓用把持部が設けられ、
前記蓋体は、水平フランジ部を備えた頂板部と、該水平フランジ部から垂下したスカート部とを備え、前記スカート部の内面には、容器口部の外面に形成された螺条と螺子係合する螺条が形成されていると共に、該螺条よりも上方であって且つ前記水平フランジ部とは小間隔を置いた位置に中栓係止用突起が形成されており、
前記易開栓性中栓は、打栓前の状態において、薄肉周縁部が前記蓋体の中栓係止用突起に係合されることにより前記蓋体に係止され、打栓後において、側壁部のリブ部に形成された突起部の各々が容器口部の内周面と係合して外径が縮小されることにより薄肉周縁部の外径が縮小され、開栓時において、薄肉周縁部が中栓係止用突起に係合されないか、或いは係合の程度が微弱となるよう、中栓係止用突起の内径、薄肉周縁部の外径、容器口部の内周面に対する突起部の各々の外径寸法が規定されている、
ことを特徴とする易開栓性中栓付容器蓋。
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