JP4347277B2 - 電力バッファ装置システム - Google Patents
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Description
また、節電を推奨することを目的として、契約電力が小さいほど電気料金が安くなるシステムが用いられているために、二次電池から一部電力を供給することにより使用電力のピークをカットして、契約電力を低く保つピークカット運転も行われている。
そして、ピークカット運転と負荷平準化運転の両方を行う電力ピークカット電源装置が提案されている。しかし、二次電池に急速な充放電を繰り返すと二次電池の寿命を著しく損なうことになり、二次電池の頻繁な交換が必要になる。二次電池で急速充放電する場合の可能な充放電回数は1000回程度と言われている。充放電深度10%程度にまで浅くすれば、1万回近くの充放電寿命を確保できる(例えば、特許文献1参照)。
そこで、二次電池ではなく、電気二重層キャパシタを用いて充放電を行って系統連携を安定化させる出力安定化装置が提案されている。電気二重層キャパシタの充放電寿命は10万回以上、寿命も10年以上と言われている(例えば、特許文献2参照)。
この他にも、深夜電力貯蔵と太陽電池の電力貯蔵を兼ねたハイブリッド電源システムが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
また、電気二重層キャパシタを用いた場合、電気二重層キャパシタの重量当たりのエネルギー密度が二次電池のそれに比べて10分の1程度と低く、二次電池の10倍近い重量の電気二重層キャパシタを備える必要があるという問題がある。
また、太陽電池や風力発電機と無停電電源とを組み合わせた従来の電力貯蔵システムは、無停電電源としての利用が主なので、二次電池の充電状態は、満充電に近い状態に維持され、負荷平準化にほとんど寄与できないという問題がある。
また、充電深度を浅くして二次電池の寿命を長くするために4つの充放電変換器を組み込むなど高コストのシステムであるという問題がある。
図1は、この発明の実施の形態1に係わる電力バッファ装置システムの全体構成を示す模式図である。図2は、実施の形態1に係わる制御装置の機能ブロック図である。
この発明の実施の形態1に係わる電力バッファ装置システム1は、商用系統2の交流電力を受電して常用インバータ給電方式により通常負荷3および非常用負荷4に給電するシステムである。ここでの通常負荷3は、商用系統2が停電したとき動作を中断することが許容されている負荷である。そして、この通常負荷3は、電圧低下補償値が15%程度であり、20%を超えて電圧が低下すると動作が中断し、電力を消費しなくなる。
また、電力バッファ装置システム1は、商用系統2と常時インバータ給電部10との間に商用系統2に発生する停電を検出する停電検出回路8と停電が検出されたとき常時インバータ給電部10を商用系統2から解列する両切りのリレー9が介接されている。
なお、持続力型電力バッファ12として持続力型の電気二重層キャパシタを用いることもできる。同じ材料の電気二重層キャパシタであっても電極(正極および負極)の厚さによって瞬発力型も持続力型も構成することができる。
逆に0.4mm以上の電極厚さであれば、電気抵抗は高くなって、瞬時に高い効率での充放電はできないが、重量エネルギー密度が大きいので、数十分に亘って高い充放電効率で多くのエネルギーを貯めることができる。このような持続力型の電気二重層キャパシタとしては、静電容量Cと内部抵抗Rの積CRが200ΩF以上のものが望ましく、100分位掛かって充放電を行えば95%以上のエネルギー変換効率が保たれる。カーボンの材料を従来の活性炭ではなくナノゲートカーボンを用いることで、鉛蓄電池やニッケル水素電池に劣らない重量エネルギー密度が得られる。
また、制御装置16は、通常負荷3および非常用負荷4の負荷が急激に変化したとき第1の双方向DC/DCコンバータ14を制御して瞬発力型電力バッファ11に変化分を充放電することにより直流母線13での電圧の変化を緩和する急激負荷変動緩和部23を有している。
このように商用系統2が停電したときに持続力型電力バッファ12から放電するために、持続力型電力バッファ12には常に所定の時間に亘って非常用負荷4に供給できるだけの無停電用電力量が貯えられている。
商用系統2の正常時では、商用系統2から常時インバータ給電部10により通常負荷3および非常用負荷4に給電される。また、通常負荷3および非常用負荷4において発生する急激な負荷変動分は瞬発力型電力バッファ11に入出力される。従って、商用系統2との受電点での電力供給量は、短時間での変化が小さくなり、商用系統2の運用者である電力会社にとってメリットになる。
商用系統2が正常で深夜時間帯では、商用系統2から常時インバータ給電部10により通常負荷3および非常用負荷4に給電される。また、常時インバータ給電部10の直流母線13から持続力型電力バッファ12に一定の所定の電流で充電される。また、通常負荷3および非常用負荷4における急激な負荷変動分は瞬発力型電力バッファ11に入出力される。この深夜時間帯は、電気料金が昼間料金より安い深夜料金が設定されている午前1時から午前5時までの4時間である。
図5の電力会社の発電量は、全国平均を表しており、夏が最も大きくなるものの、1日における傾向の四季の変化はほとんど無い。早朝5時ごろ発電量は最も小さくなっており、次に、朝急激に電力需要が高まる朝の時間帯44があり、第1回目の発電量のピークの時間帯46が正午前に、第2回目の発電量のピークの時間帯50が午後2時ごろに現れる。正午から午後2時までは昼休みということで消費電力が一時的に減少する昼の時間帯49となっている。原子力発電所の出力を頻繁に増減することはできないので、ピーク時の発電量の40%位の電力を原子力発電が分担し、残りを主に火力発電で賄っている。
発電量のピークの時間帯46、50だけではなく、急激な電力需要の増大する朝の時間帯44も電力会社にとって頭の痛い問題になっている。なぜならば、この急激な電力需要の増加に合わせて火力発電量を増加しなければならないからである。
深夜電力を利用して貯蔵された電力は、午前7時から午前9時までの2時間で直流母線13に一定電流で放電され、通常負荷3および非常用負荷4に給電するとともに余った電力は商用系統2に逆潮流される。このようにすることにより、急激な電力需要の増加を緩和することができる。例えば、百万件の家庭が、1kWhの電力を放電するとすれば、その電力の総量は百万kWhに達し、これが毎日繰り返されるので、これをあてにして火力発電の量を削減することができる。すなわち、電力会社など電力供給側にとって昼間の電力料金で買い取るだけの価値が生じる。無停電用電力量が貯えられた持続力型電力バッファ12は、商用系統2の停電時に備えるととともに、次の日の深夜1時になれば再度、夜間電力が満充電になるように貯蔵される。
さらに、電力会社に電力を売る時間帯が午前7時から午前9時までの2時間の時間帯であるので、ユーザは深夜電力と昼間の電力の料金差をメリットとして得ることになる。
図6は、この発明の実施の形態2に係わる電力バッファ装置システムの全体構成を示す模式図である。図7は、実施の形態2に係わる制御装置の機能ブロック図である。
この発明の実施の形態2に係わる電力バッファ装置システム1Bは、実施の形態1に係わる電力バッファ装置システム1に太陽電池30により発電される電力(以下、太陽光発電電力と称す。)に対応する機能を追加したことが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態2に係わる電力バッファ装置システム1Bでは、図6に示すように、常時インバータ給電部10の直流母線13が第1の双方向DC/DCコンバータ14および第2の双方向DC/DCコンバータ15とリレー回路31を介して接続されている。このリレー回路31は、太陽光発電電力を持続力型電力バッファ12に充電するときに開かれ、商用系統2から持続力型電力バッファ12に充電するときおよび持続力型電力バッファ12から直流母線13に放電するとき閉じられる。
また、電力バッファ装置システム1Bでは、太陽電池30と第2の双方向DC/DCコンバータ15との間に介接されるようにダイオード32が備えられる。
一方、太陽光発電電力を持続力型電力バッファ12に充電する時間帯は、放電時間帯の直前までの時間帯で、具体的には、第1回目のピークの時間帯46に対しては、午前9時から午前11時までの2時間であり、第2回目のピークの時間帯50に対しては、正午から午後2時までの2時間である。
また、急激負荷変動緩和部23Bは、リレー回路31が閉じているとき、通常負荷3および非常用負荷4が急激に変化したとき第1の双方向DC/DCコンバータ14を制御して瞬発力型電力バッファ11に変化分を充放電するとともに、太陽光発電電力が急激に変化したとき第1の双方向DC/DCコンバータ14を制御して瞬発力型電力バッファ11に変化分を充放電することにより直流母線13での変化を緩和する。
太陽光発電電力を持続力型電力バッファ12に充電するとき、第2の双方向DC/DCコンバータを直流母線13から解列してから行い、瞬発力型電力バッファ11で太陽光発電電力の急激な変化を緩和する。この間、太陽光発電電力はすべて持続力型電力バッファ12に貯蔵され、商用系統2には供給されない。従って、雲に隠れていた太陽が出てきて急激に発電量が増しても、商用系統2に高調波成分が影響する心配がない。また、太陽光発電電力はひたすら貯蔵され、太陽光発電電力の変動は、瞬発力型電力バッファ11で吸収されるので、持続力型電力バッファ12の充放電寿命が維持される。すなわち、従来であれば、充放電の繰り返しによって3年ごとに交換が必要であった電力貯蔵装置の寿命を最大2倍まで引き延ばすことができる。また、持続力型電力バッファ12を二次電池ではなく、持続力型の電気二重層キャパシタにすればさらに寿命を延ばすことが可能になる。
太陽光発電電力を持続力型電力バッファ12に充電しているときリレー回路31が開いているので、商用系統2の停電が検出されると、リレー9が開かれ、リレー回路31が閉じられる。そして、実施の形態1の場合と同様に、10秒間、インバータ19から電圧100Vの交流電力が出力されて通常負荷3および非常用負荷4に供給が継続された後、インバータ19からの交流電力の電圧を70Vに変更することで、10秒を超える停電の場合に避難などに必要な電力を確保することが可能になる。このとき太陽光発電電力が供給されるので、昼間であれば、かなり長時間にわたって停電時に電力を供給することが可能になる。
図10の太陽光発電電力量は晴天時のものであるが、天候によって大きく変化し、雲に隠れると発電電力量が急激に低下し、雲から太陽が出ると急激に発電電力量が回復する。すなわち、秒単位や分単位での急激な変化があり、そのまま商用系統2に逆潮流すると高調波成分が悪影響を与えて不具合が生じるおそれがある。また、電力会社など電力供給側がその変化を事前に予測することは不可能に近い。
このようなシステムでは、持続力型電力バッファ12に太陽光発電電力が貯蔵され、電力需要の第2のピークの時間帯50である午後2時から午後3時までの1時間で放電されるので、ピーク電力を下げて、火力発電を削減することができる。
また、午前9時から午前11時までの時間帯と同様に、午後0時から午後2時までの時間帯が固定されているので、天候を把握することによって発電総量を予測することが可能である。従って、電力会社によっては、昼間の電力料金で買い取るだけの価値が生じる。
また、持続力型電力バッファ12から直流母線13に放電するとき太陽光発電電力は直流母線13に供給されるが、瞬発力型電力バッファ11で太陽光発電電力の急激な変化が緩和されるので、商用系統2に悪影響を与えない。
また、午後3時から午後6時までの間の太陽光発電電力により、商用系統2からの買電量の削減が望める。
図11は、この発明の実施の形態3に係わる電力バッファ装置システムの全体構成を示す模式図である。図12は、実施の形態3に係わる制御装置の機能ブロック図である。
この発明の実施の形態3に係わる電力バッファ装置システム1Cは、図11に示すように、実施の形態1に係わる電力バッファ装置システム1に風力発電機35により発電される電力(以下、風力発電電力と称す。)に対応する機能を追加したことが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態3に係わる電力バッファ装置システム1Cでは、風力発電機35と第2の双方向DC/DCコンバータ15との間に介接されるようにダイオード36が備えられる。
なお、実施の形態3に係わる持続力型電力バッファ12Cとして持続力型の電気二重層キャパシタが用いられている。
風力発電電力処理部37は、風力発電電力がインバータ19から出力される電力より小さいときには直流母線13にそのまま風力発電電力を供給し、風力発電電力がインバータ19から出力される電力より大きいとき持続力型電力バッファ12に充電する。
また、急激負荷変動緩和部23Cは、風力発電電力が急激に変化したとき第1の双方向DC/DCコンバータ14を制御して瞬発力型電力バッファ11に変化分を充放電して第2の双方向DC/DCコンバータ15に加わる風力発電電力の変化を緩和する。
また、急激負荷変動緩和部23Cは、通常負荷3および非常用負荷4が急激に変化したとき第1の双方向DC/DCコンバータ14を制御して瞬発力型電力バッファ11に変化分を充放電することにより直流母線13での変化を緩和する。
風力発電の場合も、実施の形態2の太陽光発電の場合と同様に、停電時には、実施の形態1の場合と同様に、10秒間、電圧が100Vの交流電力の供給が継続された後、停電検出回路8とリレー9を備えているので、インバータ19からの交流電力の電圧を70Vに変更することで、10秒を超える停電の場合に避難などに必要な電力を確保することが可能になる。
さらに風力発電電力が供給されるので、かなり長時間にわたって停電時に電力を供給することが可能になる。
また、夜間の停電時も、風力発電によって必要な照明の電源など、長時間にわたって電力を供給することができる。
Claims (9)
- 商用系統と直流母線との間で電力の交流直流変換する交直変換装置および上記直流母線と負荷との間で電力の直流交流変換するインバータを備える電力バッファ装置システムにおいて、
第1の双方向DC/DCコンバータを介して上記直流母線に接続される瞬発力型電力バッファと、
上記瞬発力型電力バッファに対して並列に第2の双方向DC/DCコンバータを介して上記直流母線に接続される持続力型電力バッファと、
上記第1の双方向DC/DCコンバータおよび第2の双方向DC/DCコンバータを制御する制御装置と、
を備え、
上記制御装置は、上記負荷が急激に変化するとき変化分を上記瞬発力型電力バッファに入出力するとともに、
上記商用系統と上記交直変換装置の間に設置される停電検出回路およびリレーを備え、
上記停電検出回路からの停電検出信号により上記リレーが開かれ、
上記制御装置は、上記停電検出信号を受信してから所定の時間経過後上記インバータから出力される交流電力の電圧が定格電圧の80%以下になるように上記インバータを制御することを特徴とする電力バッファ装置システム。 - 上記インバータは、電圧が定格電圧の80%以下の交流電力で動作する非常用負荷に対して交流電力を供給することを特徴とする請求項1に記載する電力バッファ装置システム。
- 上記持続力型電力バッファは二次電池であり、上記瞬発力型電力バッファは電気二重層キャパシタであることを特徴とする請求項1に記載する電力バッファ装置システム。
- 上記持続力型電力バッファは内部抵抗と静電容量との積が200ΩF以上の電気二重層キャパシタであり、上記瞬発力型電力バッファは内部抵抗と静電容量との積が2ΩF以下の電気二重層キャパシタであることを特徴とする請求項1に記載する電力バッファ装置システム。
- 上記制御装置は、タイマーを備え、
上記第2の双方向DC/DCコンバータを制御して、深夜時間帯には上記直流母線の直流電力を上記持続力型電力バッファに一定の電流で充電し、朝の時間帯には上記持続力型電力バッファから上記直流母線に一定の電流で放電することを特徴とする請求項1に記載する電力バッファ装置システム。 - 上記持続力型電力バッファおよび上記瞬発力型電力バッファを上記直流母線に対して開閉するリレー回路を備え、
上記持続力型電力バッファと上記瞬発力型電力バッファは、太陽電池に並列に接続され、
上記制御装置は、所定の時間帯に上記リレー回路を開いて上記太陽電池により発電された電力の急激な変化分を上記瞬発力型電力バッファに充放電し、他の所定の時間帯に上記リレー回路を閉じて上記太陽電池により発電された電力の急激な変化分を上記瞬発力型電力バッファに充放電することを特徴とする請求項1に記載する電力バッファ装置システム。 - 上記制御装置は、上記所定の時間帯に上記リレー回路を開いて上記太陽電池により発電された電力を上記持続力型電力バッファに充電することを特徴とする請求項6に記載する電力バッファ装置システム。
- 上記制御装置は、上記他の所定の時間帯に上記リレー回路を閉じて上記持続力型電力バッファ装置に充電された電力を上記直流母線に一定の電流で放電することを特徴とする請求項6または7に記載する電力バッファ装置システム。
- 上記他の所定の時間帯は、午前または午後の上記商用系統の発電量がピークになる時間帯であり、上記所定の時間帯は、上記商用系統の発電量がピークになる時間帯の直前までの時間帯であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載する電力バッファ装置システム。
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