JP4347205B2 - ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
このような高解像性を実現するための微細加工技術において、特に電子線による露光工程を用いる方法に好適なレジスト材料として提案されているポジ型レジスト組成物には、一般に、ベース樹脂として、ポリヒドロキシスチレン系樹脂の水酸基の一部を酸解離性溶解抑制基で保護したものが用いられている。該酸解離性溶解抑制基としては、1−エトキシエチル基に代表される鎖状エーテル基又はテトラヒドロピラニル基に代表される環状エーテル基等のいわゆるアセタール基、tert−ブチル基に代表される第3級アルキル基、tert−ブトキシカルボニル基に代表される第3級アルコキシカルボニル基等が主に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
パターン倒れの解決策としては、レジスト膜を薄膜化することが考えられる。しかし、従来のレジスト組成物を用いた薄膜は、ドライエッチング耐性が十分でないという問題がある。
このような問題に対し、本発明者らは、非特許文献1において、ベース樹脂として、アダマントキシエチルにより保護されたヒドロキシスチレンとスチレンとの共重合体を含むレジスト組成物が、薄膜化が可能で、かつドライエッチング耐性を有し、電子線による露光工程を用いる方法に好適なレジスト材料であることを発表している。
すなわち、本発明の第1の発明は、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含むポジ型レジスト組成物であって、
前記樹脂成分(A)が、下記一般式(I)
で表される酸解離性溶解抑制基(II)により置換されることによって保護されている構成単位(a2)とを有し、かつ
前記一般式(I)の水酸基が、その水素原子が非環式の酸解離性溶解抑制基(III)により置換されることによって保護されている構成単位(a3)を有さない重合体(A1)と、
前記構成単位(a1)と前記構成単位(a3)とを有し、かつ前記構成単位(a2)を有さない重合体(A2)とを含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
また、本発明の第2の発明は、前記ポジ型レジスト組成物を基板上に塗布し、プレべークし、選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成することを特徴とするレジストパターン形成方法である。
また「露光」には電子線の照射も含まれる。
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)(以下、(A)成分ということがある。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分ということがある。)とを含む。
前記(A)成分においては、露光により前記(B)成分から発生した酸が作用すると、酸解離性溶解抑制基が解離し、これによって(A)成分全体がアルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。
そのため、レジストパターンの形成においてマスクパターンを介してまたは介さずに露光すると、または露光に加えて露光後加熱すると、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成できる。
(A)成分は、構成単位(a1)〜(a3)を必須の構成単位として有するものである。
<構成単位(a1)>
構成単位(a1)は、上記一般式(I)で表される構成単位である。
一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基であり、水素原子であることが好ましい。Rが水素原子であると、水酸基の保護率を向上させることができ、コントラストを向上させることができる。また、現像後の溶解速度を上昇させることができる。
mは1〜3の整数であり、好ましくは1である。
水酸基の位置は、o−位、m−位、p−位のいずれでもよいが、容易に入手可能で低価格であることからp−位が好ましい。さらに、mが2または3の場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。
構成単位(a2)は、上記一般式(I)の水酸基が、その水素原子が上記一般式(II)で表される酸解離性溶解抑制基(II)により置換されることによって保護されている構成単位である。
一般式(II)中、R1は、直鎖または分岐状の炭素数1〜5のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。工業的にはメチル基又はエチル基が好ましい。
R2は、直鎖または分岐状の炭素数1〜5のアルキル基または水素原子である。R2の炭素数1〜5のアルキル基としては、上述のR1の場合と同様の置換基とすることができる。これらのうち、R2としては、工業的には水素原子が好ましい。
Xが脂肪族多環式基であると、高い解像性が得られ、また、レジストパターンの断面形状が、良好な矩形形状となる。
Xが芳香族多環式炭化水素基であると、感度が良好になり、スループットが速く、生産性を向上させることができる。
構成単位(a3)は、前記一般式(I)の水酸基が、その水素原子が非環式の酸解離性溶解抑制基(III)により置換されることによって保護されている構成単位である。
ここで、「非環式」とは、当該酸解離性溶解抑制基中に環構造を有していないことを意味する。
非環式の酸解離性溶解抑制基(III)としては、化学増幅型のKrF用ポジ型レジスト組成物およびArF用ポジ型レジスト組成物におけるベース樹脂として提案されているヒドロキシスチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂等に、酸解離性溶解抑制基として提案されている非環式のものを適宜用いることができる。
好ましい酸解離性溶解抑制基(III)として、具体的には、鎖状第3級アルコキシカルボニル基、鎖状第3級アルキル基、鎖状アルコキシアルキル基および鎖状第3級アルコキシカルボニルアルキル基等が挙げられる。これらの酸解離性溶解抑制基(III)中に含まれる鎖状第3級アルコキシ基および/または鎖状第3級アルキル基の炭素数は、それぞれ、4〜10が好ましく、4〜8がより好ましい。また、酸解離性溶解抑制基(III)の総炭素数としては、4〜10が好ましく、4〜8がより好ましい。
鎖状第3級アルコキシカルボニル基としては、tert-ブトキシカルボニル基、tert-アミルオキシカルボニル基等が挙げられる。
鎖状第3級アルキル基としては、tert−ブチル基、tert-アミル基等が挙げられる。
鎖状アルコキシアルキル基としては、1−エトキシエチル基、1−メトキシメチルエチル基、1−イソプロポキシエチル基、1−メトキシプロピル基、1−n−ブトキシエチル基等が挙げられる。
鎖状第3級アルコキシカルボニルアルキル基としては、tert-ブトキシカルボニルメチル基、tert-アミルオキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
これらの中でも、鎖状第3級アルコキシカルボニル基が好ましく、tert―ブトキシカルボニル基が、レジストパターン形状が良好となるため最も好ましい。
また、(A)成分中の構成単位(a2)と構成単位(a3)との合計量は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対して、10〜45モル%が好ましく、20〜40モル%がより好ましい。10モル%以上であると、優れた露光量マージンが非常に優れたものとなる。また、解像性、特に孤立ラインパターンの解像性も優れたものとなる。45モル%以下であると、アルカリ現像液に対する充分な溶解性が得られ、ディフェクトが生じにくく、感度が良好である。
本発明のポジ型レジスト組成物は、さらに、寸法制御性にも優れている。これは、本発明のポジ型レジスト組成物が、露光量マージンに優れていることに加えて、真空中においてその性能が変化しにくいレジスト膜、すなわち真空中での安定性の高いレジスト膜を形成できるためである。すなわち、従来、フォトマスク製造においては、レジスト膜の露光は、通常、真空中(例えば1×10−7〜1×10−5Pa)で、電子線による直接描画により行われている。しかし、電子線の直接描画による露光においては、パターンの微細化に伴って、描画を開始してから終了する迄に長い時間(たとえば12〜24時間程度)がかかる。そのため、同一基板面内でも、最初に露光した部分と最後に露光した部分とでは、露光から露光後加熱(PEB)や現像を行うまでの時間が異なってしまう。そして、従来は、レジスト膜の真空中での安定性が低く、経時的な性能変化が大きいため、レジストの性能に差が生じ、最初に露光した部分のパターン寸法と、最後に露光した部分のパターン寸法とが異なってしまい、結果、寸法制御性が低下していたと推測される。これに対し、本発明のポジ型レジスト組成物は、真空中での安定性が高く、性能の経時変化が小さいため、寸法制御性が良好であると考えられる。
また、本発明のポジ型レジスト組成物は、基板の影響を受けにくく、どのような基板を用いた場合でも、たとえばシリコン基板上や反射防止膜上等においても、矩形のパターンを形成できる。
R3は、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状アルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。工業的にはメチル基又はエチル基が好ましい。
nは、0または1〜3の整数である。これらのうち、nは0または1であることが好ましく、特に工業上0であることが好ましい。
なお、nが1〜3である場合には、R3の置換位置はo−位、m−位、p−位のいずれでもよく、さらに、nが2または3の場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。
構成単位(a4)を用いる場合、構成単位(a4)の含有割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計の0.5〜25モル%とすることが好ましく、より好ましくは3〜20モル%である。構成単位(a4)が上記範囲より多いとラインエッジラフネスが増加したり、良好な孤立ラインパターンが得られない傾向にある。
また、前記構成単位(a2)の含有割合は、重合体(A1)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜35モル%であることが好ましく、10〜30モル%であることが最も好ましい。構成単位(a2)の含有割合を上記の範囲の下限値以上にすることによって、解像性、ドライエッチング耐性が向上し、さらに、良好なコントラストが得られる。また、上記の範囲の上限値以下にすることによって、現像欠陥(ディフェクト)を防ぐ効果が得られる。
なお、重合体(A1)が、後述するように、前記重合体(A1)が構成単位(a4)を有する場合には、前記構成単位(a2)の含有割合は、全構成単位に対して、好ましくは5〜35モル%であり、より好ましくは10〜20モル%である。
また、重合体(A1)が、前記構成単位(a4)を有さない場合には、前記構成単位(a2)の含有割合は、全構成単位に対して、好ましくは5〜35モル%であり、より好ましくは20〜30モル%である。
また、重合体(A1)における、前記酸解離性溶解抑制基で保護される前の重合体の分散度(質量平均分子量を数平均分子量で除した値(Mw/Mn)。以下同様。)としては、分散度が小さい単分散であると、解像性に優れ好ましい。具体的には、2.0以下が好ましく、さらに1.5以下が好ましい。
前記重合体(A1)として2種以上の混合物を用いる場合には、前記構成単位(a1)および(a2)を有し、かつ、前記構成単位(a3)および(a4)を有さない重合体(A1−1)、または、前記構成単位(a1)、(a2)および(a4)を有し、かつ、前記構成単位(a3)を有さない重合体(A1−2)から選ばれる任意の2種以上を組み合わせることができる。好ましくは、前記重合体(A1−1)と前記重合体(A1−2)との混合物を用いる。(A)成分としてこのような混合物を用いることにより、形成されるレジストパターンの形状が良好な矩形性を有し、かつ、優れた孤立ラインパターンを得ることができる。
重合体(A2)中、前記構成単位(a3)の含有割合は、重合体(A2)を構成する全構成単位の合計に対して、30〜50モル%であることが好ましく、35〜45モル%がより好ましい。含有割合を上記の範囲の下限値以上にすることによって、優れた露光量マージンが得られ、解像性、特に孤立ラインパターンの解像性が向上する。また、上記の範囲の上限値以下にすることによって、構成単位(a1)とのバランスが良好になる。
また、重合体(A2)における、前記酸解離性溶解抑制基で保護される前の重合体の分散度としては、分散度が小さい単分散であると、解像性に優れ好ましい。具体的には、2.0以下が好ましく、さらに1.5以下が好ましい。
また、重合体(A1)/重合体(A2)=20/80〜70/30であると、真空中での安定性が向上し、寸法制御性が高まることから好ましい。
また、(A)成分中の重合体(A1)と重合体(A2)との合計量は、本発明の効果のためには、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましい。最も好ましくは100質量%、すなわち(A)成分が重合体(A1)と重合体(A2)との混合樹脂であることが好ましい。
また、(A)成分は、予め水酸基が酸解離性溶解抑制基(II)または(III)で保護された、構成単位(a2)または(a3)に相当するモノマーを調製し、これを常法により重合させた後、加水分解により、酸解離性溶解抑制基で保護された水酸基の一部を水酸基に変える方法によっても製造することができる。
本発明において、酸発生剤成分(B)としては、従来、化学増幅型レジストにおける酸発生剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
ジアゾメタン系酸発生剤の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
(B)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対し、1〜20質量部、好ましくは2〜10質量部とされる。上記範囲より少ないとパターン形成が十分に行われないし、上記範囲を超えると均一な溶液が得られにくく、保存安定性が低下する原因となるおそれがある。
本発明のポジ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤(C)(以下、(C)成分という)に溶解させて製造することができる。
(C)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤との配合比は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜8:2、より好ましくは2:8〜5:5の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤として乳酸エチル(EL)を配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは2:8〜5:5、より好ましくは3:7〜4:6であると好ましい。また、有機溶剤として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(C)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜圧に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内とされる。
本発明のポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の(D)成分として含窒素有機化合物を配合させることができる。
この含窒素有機化合物は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、アミン、特に第2級低級脂肪族アミンや第3級低級脂肪族アミンが好ましい。具体的な例としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のアルキルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルまたはアルキルアルコールのアミンが挙げらる。これらのうち、炭素数7〜15の第2級または第3級の脂肪族アミンが好ましい。炭素数が7〜15であることによって、該脂肪族アミンが、形成されたレジストパターン中で拡散しにくいため均等に分布できる。本発明において、特にトリ−n−オクチルアミンのようなアルキルアミンが好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらは、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ‐n‐ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸‐ジ‐n‐ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを適宜、添加含有させることができる。
本発明のレジストパターン形成方法は例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベークを40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えば電子線描画装置などにより、電子線やその他遠紫外線等を所望のマスクパターンを介して選択的に露光する。すなわちマスクパターンを介して露光する、またはマスクパターンを介さずに電子線を直接照射して描画した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
本発明にかかるホトレジスト組成物は、従来のものよりもエッチング耐性が向上しており、レジスト膜の薄膜化を可能にし、パターン倒れを防ぐ効果を有する。従って、微細加工に好適に用いることができるため、特に、EB(電子線)に対して有効である。
最も一般的なドライエッチングは、平行平板型RIEである。この方法では、まず、RIE装置のチャンバーにレジスト積層体を入れ、必要なエッチングガスを導入する。チャンバー内の、上部電極と平行に置かれたレジスト積層体のホルダーに高周波電圧を加えると、ガスがプラズマ化される。プラズマ中では正・負のイオンや電子などの電荷粒子、中性活性種などが存在している。これらのエッチング種が下部レジスト層に吸着すると、化学反応が生じ、反応生成物が表面から離脱して外部へ排気され、エッチングが進行する。
[実施例1]
ポリヒドロキシスチレン(Mw=8000)の水酸基の26%をアダマントキシエチルで保護した樹脂(Mw=12000、Mw/Mn=1.2)と、ポリヒドロキシスチレン(Mw=8000)の水酸基の44%をt−ブトキシカルボニルで保護した樹脂(Mw=12400、Mw/Mn=1.2)を75/25(質量比)にて混合させ、その合計樹脂固形分量に対して、6質量%のトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートと、0.5質量%のトリオクチルアミンと、0.2質量%のサリチル酸と、0.05%のメガファックR−08(大日本インキ化学工業製)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解し、固形分濃度が12質量%のポジ型レジスト溶液を調整した。
その基板を、電子線描画機(日立製HL−800D、70kV加速電圧)にて描画を行い、110℃にて90秒ベーク処理、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38質量%水溶液にて60秒現像、純水にて30秒リンス、振り切り乾燥を行った後、100℃にて60秒加熱させて、ラインアンドスペース1:1のレジストパターン、および孤立ラインパターンを形成した。
また、200nmラインアンドスペースにおける最適露光量から±5%での1μC/cm2に対する寸法変化量は12nm[12nm/(μC/cm2)]であり、露光量マージンは8%であった。
また、孤立ラインパターンでは、100nmまで解像した。
さらに、どちらのパターンにおいてもレジストパターンは矩形であり、パターン倒れは見られなかった。
ポリヒドロキシスチレン(Mw=8000)の水酸基の26%をアダマントキシエチルで保護した樹脂(Mw=12000、Mw/Mn=1.2)の固形分量に対して、6質量%のトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートと、0.5質量%のトリオクチルアミンと、0.2質量%のサリチル酸と、0.05質量%のメガファックR−08(大日本インキ化学工業製)とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解し、固形分濃度が12質量%のポジ型レジスト溶液を調整した。
その基板を、電子線描画機(日立製HL−800D、70kV加速電圧)にて描画を行い、110℃にて90秒ベーク処理、TMAH2.38質量%水溶液にて60秒現像、純水にて30秒リンス、振り切り乾燥を行った後、100℃にて60秒加熱させて、ラインアンドスペース1:1のレジストパターン、および孤立ラインパターンを形成した。
また、200nmラインアンドスペースにおける最適露光量から±5%での1μC/cm2に対する寸法変化量は18nm[18nm/(μC/cm2)]であり、露光量マージンは5%であった。
孤立ラインパターンでは、200nmまでの解像であった。
ラインアンドスペースパターンは矩形であったが、孤立ラインパターンは逆テーパ形状であり、200nm以下の寸法ではパターン倒れが見られた。
下記表1に示す(A)成分100質量部と、(B)成分として8質量部のα−(メチルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリルと、(D)成分として0.96質量部のトリ−n−オクチルアミンと、(E)成分として0.364質量部のサリチル酸と、0.05質量部の界面活性剤「XR−08」(商品名、大日本インキ化学工業社製)とを、1150質量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解してポジ型レジスト組成物溶液を調整した。
得られたレジストパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、200nmのレジストパターンが形成される最適露光量における限界解像度(nm)を求めた。その結果を「解像性」として表2に示す。
得られた200nmのレジストパターンについて、寸法変化量を下記のようにして算出した。その結果を表2に示す。
寸法変化量(nm)=変化量が最も大きいライン幅−200nm(形成されたレジストパターンのうち、ラインパターンの最も太い部分のライン幅から200nmを減じた値と、最も細い部分のライン幅から200nmを減じた値とを比較して、その絶対値が大きい方の値)
表2中、+の値はパターンが太くなっていることを示し、−の値はパターンが細くなっていることを示す。
一方、比較例2,3のポジ型レジスト組成物は、解像性は高かったものの、寸法変化量が大きく、真空中での安定性が低かった。
Claims (17)
- 酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含むポジ型レジスト組成物であって、
前記樹脂成分(A)が、下記一般式(I)
で表される構成単位(a1)と、
前記一般式(I)の水酸基が、その水素原子が下記一般式(II)
で表される酸解離性溶解抑制基(II)により置換されることによって保護されている構成単位(a2)とを有し、かつ
前記一般式(I)の水酸基が、その水素原子が非環式の酸解離性溶解抑制基(III)により置換されることによって保護されている構成単位(a3)を有さない重合体(A1)と、
前記構成単位(a1)と前記構成単位(a3)とを有し、かつ前記構成単位(a2)を有さない重合体(A2)とを含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。 - 前記樹脂成分(A)を構成する全構成単位の合計に対して、前記構成単位(a2)と前記構成単位(a3)との合計量が10〜45モル%である請求項1記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記酸解離性溶解抑制基(III)が、鎖状第3級アルコキシカルボニル基、鎖状第3級アルキル基、鎖状アルコキシアルキル基および鎖状第3級アルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1または2記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記酸解離性溶解抑制基(III)が、鎖状第3級アルコキシカルボニル基である請求項3記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記酸解離性溶解抑制基(III)がtert−ブトキシカルボニル基である請求項1〜4のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記Xがアダマンチル基またはナフチル基である請求項1〜5のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記Rが水素原子である請求項1〜6のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記樹脂成分(A)中、前記重合体(A1)と前記重合体(A2)との比率(質量比)が、50/50〜90/20である請求項1〜7のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記樹脂成分(A)中、前記重合体(A1)と前記重合体(A2)との比率(質量比)が、20/80〜70/30である請求項1〜7のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記重合体(A2)を構成する全構成単位の合計に対して、前記構成単位(a3)の含有割合が30〜50モル%である請求項1〜9のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記重合体(A1)を構成する全構成単位の合計に対して、前記構成単位(a2)の含有割合が、5〜35モル%である請求項1〜9のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記重合体(A1)における、前記酸解離性溶解抑制基(II)で保護される前の重合体の質量平均分子量が、2000〜30000である請求項1〜9、11のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記重合体(A1)における、前記酸解離性溶解抑制基(II)で保護される前の重合体の分散度が2.0以下である請求項1〜9、11、12のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記酸発生剤成分(B)が、フッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩である請求項1〜13のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- さらに含窒素有機化合物(D)を含む請求項1〜14のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 電子線を用いた露光工程を有するレジストパターン形成方法に用いられるものである請求項1〜15のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 請求項1〜16のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を基板上に塗布し、プレべークし、選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成することを特徴とするレジストパターン形成方法。
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