JP4330875B2 - シール装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シール部と端面シールとが一対に組み合わされて互いに接触する接触面に設けられたシールディンプルによりシール能力を向上させると共に、摩擦係数を低減したシール装置に関する。更に詳しくは、高圧、又は高圧と低圧とに変動する被密封流体を効果的にシールするシール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の関連技術として図9に示す軸封装置100が存在する。この軸封装置100は、端面シール101と密封環110との組み合わせから構成されている。
軸封装置100に於ける端面シール101は、図示省略のハウジングの内周面に密封に嵌着される図示省略の外周部が設けられている。又、この端面シール101のエラストマ本体102に於ける正面の内周側には、エラストマリップ105が設けられている。そして、エラストマ本体102の背面には、補強環103が一体に接着されている。
更に、このエラストマリップ105の被密封流体側には、エラストマリップ105と同形状の樹脂リップ104がエラストマ本体102に接着されている。この樹脂リップ104の摺動面106には、被密封流体をポンピングしてシールするねじ溝106Aが形成されている。
【0003】
一方、回転軸150に嵌着する密封環110には、端部に第1シール面111が設けられている。又、この第1シール面111には、樹脂リップ104の摺動面106が接合している。
更に、エラストマリップ105には、第2シール面111Aと接合する密封面105Aが形成されている。
そして、端面シール101のエラストマリップ105と樹脂リップ104とが密封環110の第1及び第2シール面111、111Aに密接して摺動する。
【0004】
この軸封装置100において樹脂リップ104は、相対摺動時にねじ溝106Aのポンピング作用により被密封流体を押し戻してシールする。しかし、樹脂リップ104のねじ溝106Aでは、静止時又は回転時に、このねじ溝106Aを通過して大気側へ漏洩することや、被密封流体の圧力により樹脂リップ104が変動するから、被密封流体が漏洩することがある。この為に、エラストマリップ105が第2シール面111Aに接合して樹脂リップ104から漏洩した被密封流体をシールする。
【0005】
この軸封装置100では、樹脂リップ104をエラストマ本体102に接着するために、被密封流体が高圧の場合に、材質の相違から生起する接着強度や成形加工に難がある。又、樹脂リップ104とエラストマリップ105とを二重に設けなければならないので、構造的に大型になると共に、被密封流体が高圧の場合、又、被密封流体の圧力が変動する場合には、設計通りのシール効果が期待できない。
【0006】
更に、本発明の関連技術として図10に示す軸封装置200が存在する。この軸封装置200は、端面シール201と密封環210との組み合わせから構成されている。
軸封装置200に於ける端面シール201は、ハウジング160の内周面に密封に嵌着される外周部202が設けられている。この外周部202には外周に突起したシール部202Aが設けられており、このシール部202Aにより外周部202が嵌着したときに嵌着面間をシールする。
又、この端面シール201のエラストマ本体に於ける正面の内周側には、エラストマリップ205が外方へ傾斜して突出した状態に形成されている。そして、エラストマリップ205の先端側には摺動面206が設けられている。又、このエラストマ本体の背面には、補強環203が一体に接着されている。
【0007】
一方、回転軸150に嵌着する密封環210は、金属板を加工して断面L形の環状体に形成されている。そして、フランジ状を成す端部にシール面211が設けられている。又、内周側の円筒部213は回転軸150に嵌着する嵌着孔を設けている。
更に、密封環210のシール面211には、被密封流体をポンピングするねじ溝211Aが形成されている。更には、エラストマリップ205の摺動面206がシール面211のねじ溝211Aを覆うようにして接面している。
そして、回転軸150が回転すると、エラストマリップ205の摺動面206が密封環210のシール面211に於けるねじ溝211Aを介して相対摺動し、被密封流体を被密封流体側へポンピングする。
【0008】
この軸封装置200に於いては、回転軸150の回転時にエラストマリップ205は、密封環210のシール面211に設けられたねじ溝211Aとの協動作用により被密封流体を押し戻してシールする。
しかし、回転軸150が静止している時は、シール面211に設けたねじ溝211Aでは、ねじ溝211Aを介して大気側へ漏洩することになる。又は、回転軸150が回転している時でも連続したねじ溝211Aの角部によりエラストマリップ205が摩耗させられ、エラストマリップ105は、シール能力の低下と共に、耐久能力も低下する。
更に、被密封流体が高圧になると、エラストマリップ205が変形して密接できずにねじ溝211Aとのポンピング作用を低下させ、被密封流体がエラストマリップ205の摺動面206から漏洩することになる。
更に、被密封流体が変動圧の場合には、エラストマリップ205が変動に対応できずに変形して被密封流体を漏洩させることがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述のような問題点に鑑み成されたものであって、その発明が解決しようとする技術的課題は、シール装置のシール能力の向上と共に、シール面の摺動抵抗を低減して摩耗を防止することにある。又、各種回転機器が回転と停止とを繰り返す場合、又は、被密封流体の圧力が高圧と低圧とに変動する場合でも、シール能力を発揮させることにある。
更に、端面シールと密封環の摺動面の摺動抵抗を低減して動力エネルギーが損失するのを防止することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述のような技術的課題を解決するために成されたものであって、その技術的な解決手段は以下のように構成されている。
請求項1に係わる本発明のシール装置は、ハウジングの孔に挿嵌される回転軸又はハウジングに密封に取り付けられて端面にシール面を有した密封環と、密封環と対向してハウジング又は回転軸に密封嵌着すると共に一端から突出して前記シール面と密接するシールリップを有した端面シールとを具備し、シールリップがシール面と接触する接触面又は密封環のシール面に円周に沿って配列された被密封流体をポンピングするディンプルを有するシールディンプルが形成されているものである。
【0011】
この請求項1に係わる本発明のシール装置では、密封環のシール面又はシールリップの接触面に有する凹部状のシールディンプルにより摺動時にシール面と接触面との間に被密封流体を介在させると共に、シール面と接触面との間に介在する必要量以上の被密封流体を被密封流体側へポンピングする機能を有するので、シールリップの接触面の摩耗を効果的に防止する。同時に、被密封流体を摺動面間から被密封流体側へポンピングするので、シール効果が飛躍的に向上する。
【0012】
特に、シール装置の摺動する一方がゴム状弾性材のシールリップにより形成されているので、被密封流体の圧力が高圧のときには、高圧力に押圧されてシールリップの密封環に対する接触面積を大きくするので、シールディンプルに於けるディンプルの作動個数が増加するから、被密封流体を被密封流体側へポンピングする能力が向上する。
【0013】
又、被密封流体に変動圧が生じても、シールディンプルはシール面又は接触面に点在するように形成されているので、このシールディンプルに被密封流体が作用してもシールリップの接面状態は離反するような悪影響を受けない。この為にシールリップの接触面はシール面に密接した状態に保持されて、シール能力を発揮する。
【0014】
請求項2に係わる本発明のシール装置は、ディンプルが回転軸の回転方向に対して密封環が回転するときは回転方向内径側へ傾斜し、端面シールが回転するときは逆回転方向内側へ傾斜して傾斜方向長手の溝に形成されていると共に径の異なる各円周線上に複数個に配列されているものである。
【0015】
この請求項2に係わる本発明のシール装置では、シールディンプルのディンプルが回転方向に対して内方向へ傾斜しているので、回転時に被密封流体を被密封流体側へ効果的にポンピングする。そして、シール装置のシール能力が大きく向上する。しかも、シールリップの接触面によりシールディンプルの径方向の列を遮断するように覆うことが可能になるので、回転しないときでもディンプルを介して被密封流体が大気側へ漏洩するのを効果的に防止することが可能になる。
特に、被密封流体が高圧になると、ゴム状弾性を有するシールリップの接触面が接触する面積を増加させるから、この配列された多数のディンプルに対してシールリップの接触面がポンピング作用を発揮し、被密封流体を被密封流体側へ押し戻してシール能力を向上させることが可能になる。
【0016】
請求項3に係わる本発明のシール装置は、シールリップの支持部の周面にリップ支持部を有するバックアップリングが嵌着されて支持部を支持すると共にリップ支持部がシールリップの突出する付け根部に接合して支持するものである。
【0017】
この請求項3の本発明のシール装置では、シールリップの付け根部をリップ支持部により支持すると、シールリップの弾性変形を応力解析した結果、被密封流体の圧力が作用すればするほど、リップシールの接触面がシール面に対して平行に密接することが可能になる。この為に、シール能力の向上と共に、被密封流体をポンピングする作用が飛躍的に向上する。
又、リップ支持部により支持されたシールリップは、被密封流体の圧力を受けても、必要以上のシール面に対する圧接を防止できるので、シール効果と共に、被密封流体のポンピング作用が向上する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる好ましい実施の形態のシール装置を、その図面により詳述する。尚、以下に説明する各図面は、寸法関係が正確な設計図を基にして作成したものである。
【0019】
図1は、本発明の好ましい実施の形態を示すシール装置1の半断面図である。又、図2は、図1に示すシール装置1における密封環11の平面図である。
図1に於いて、シール装置1は端面シール2とシール部10が一対に組み合わされて被密封流体側Aと大気側Bとを遮断している。
この端面シール2には、断面がL形を成して環状に形成された端面シール体5を設けている。端面シール体5の一端には被密封流体側の外方へ突出したシールリップ3が形成されている。このシールリップ3と端面シール体5との内周結合部は支持部5Bに形成されている。
又、端面シール体5の外周面5Aには2カ所に周面密封部が形成されている。そして、端面シール体5の周面密封部がハウジング60の内周面と密接して嵌着している。この端面シール体5はゴム材で構成されている。更に、端面シール体5には補強環4が埋設されており、この補強環4が端面シール2の全体を補強している。更に又、この補強環4は断面L形の内周から筒状に突出した内周支持部4Aにより支持部5Bを補強している。
【0020】
この内周支持部4Aに支持されたシールリップ3は、密封環11のシール面11Bに向かって発散するように被密封流体側Aの外方へ傾斜している。そして、シールリップ3の先端側内周の接触面3Aは対向するシール面11Bに弾性力で接触している。このシールリップ3は外周側から被密封流体の圧力を受けると傾斜角度を水平方向へ向かって小さくなるように変形するので、接触面3Aはシール面11Bに対して接触面積を拡大するように圧接する。
この端面シール体5及びシールリップ3はゴム材製である。このゴム材は、被密封流体の種類により選定される。例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)、アクリルゴム(ACM)、シリコンゴム(VMQ)フッ素ゴム(FKM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のゴム又は合成樹脂により形成されている。
【0021】
このシールリップ3を保持するために、シールリップ3の付け根部側の支持部5Bを断面U形状のバックアップリング7により支持している。このバックアップリング7は、シールリップ3側にリップ支持部7Aが設けられている。このリップ支持部7Aの自由端側は、円弧状に折曲げられてシールリップ3の付け根部を支持している。又、バックアップリング7のリップ支持部7Aと反対側のカシメ部7Bは、保持板8を保持するように折曲げられている。この保持板8は、端面シール体5のゴム部を介して補強環4とリップ支持部7を連結するように支持している。
【0022】
次に、シール部10を構成する密封環11は、回転軸50軸に嵌着して回転軸50と一体に回転可能に結合している。又、密封環11には、内周面11AにOリング取付溝11Cが設けられている。このOリング取付溝11Cには、内周面11Aと回転軸50との嵌合間をシールするOリング19が設けられている。
【0023】
又、密封環11の径方向端面にはシール面11Bが設けられている。このシール面11Bには、第1ディンプル12Aが同一径の線上に多数個を一定方向の形状に配列されている。
図2は、この密封環11のシール面11Bに設けられたシールディンプル12の配置を示すものである。そして、密封環11は、図2の状態で反時計方向N1へ回転する。
【0024】
この密封環11におけるシール面11Bには、図示するようにシールディンプル12が配列されている。そして、シールディンプル12を構成する多数の第1ディンプル12Aは、平面から見て長方形状を成している。この長方形の第1ディンプル12Aの配列は、シール面11Bの回転方向N1の円周線に対して接線方向から30°に回転方向先端が内周側へ傾斜している。尚、この第1ディンプル12Aの傾斜角度Cは、10°から80°、好ましくは16°から55°にすると良い。
このように形成された各第1ディンプル12Aは、径方向線に沿って第1ディンプル12Aが等配に6個配列されてディンプル列を形成している。
更に、このディンプル列は、シール面11Bに放射状に配列されている。そして、第1ディンプル12Aは、直径の異なる6個の各円周線上に傾斜して多数配列されたようになる。このシール面11Bに於ける第1ディンプル12Aの集合個数がシールディンプル12を構成する。
又、シール面11Bのシールリップ3が接面しない外周面には、第1ディンプル12Aを形成することなく平坦なシール面に形成することもできる。
【0025】
密封環11は、外径D1と内径D2にしたリング状に形成されている。そして、密封環11のシール面11Bに於けるR1〜R2の範囲は、被密封流体の圧力がシールリップ3に作用しない状態で接触面3Aが接面する第1接触範囲S1である。
又、シール面11BのR1〜Rh2の範囲は、シールリップ3に高圧の被密封流体が作用したとき、接触面3Aが接面する第2接触範囲S2である。
【0026】
この密封環11は、超硬合金、炭化珪素、セラミックなどの硬質材料から製作することができる。特に、この密封環11を炭化珪素等などにすると適材である。つまり、炭化珪素は、密封環11としての強度が向上すると共に、摺動面の耐摩耗性が向上する。同時に、シールディンプル12の形成も容易である。
一方、従来技術のような焼結全体に気孔を形成した焼結材料では、接触相手のシールリップ3の接触面が摩耗し、更には、被密封流体や潤滑油が摺動材を浸透して漏洩する問題が存する。しかし、本発明の密封環11では、このような問題点を効果的に改善する。
【0027】
この密封環11のシール面11Bにシールディンプル12を形成する加工方法の1つは、サンドブラスト用感光性フィルムを摺動面に貼り付けて加工するサンドブラスト方法による。
このサンドブラスト方法は、シール面11Bにサンドブラスト用感光性フィルムを貼り付けて、シールディンプル12の形状を焼き付けたポジフィルムを密着させてサンドブラスト用感光性フィルムを露光する。その後、サンドブラスト用感光性フィルムを現像し、その面にサンドブラストを行うことによりポジフィルムのパターンと一致したシールディンプル12に加工して形成する。
【0028】
この第1ディンプル12Aの形状は、図示省略の長方形の両端が半円状に形成されたものを実施した。更に、第2実施例として図示省略する長方形に形成したものも実施した。
この第1ディンプル12Aの長方形の幅は、150×10−6 mから1000×10−6 mの範囲に形成されている。この幅の具体例として150×10−6 m、250×10−6 mにしたものがある。又、第1ディンプル12Aの長手方向の長さは、幅の2倍以上であり、シール面11Bの幅寸法以下に形成されている。例えば、具体的な第1ディンプル12Aの長さとして600×10−6 m、1000×10−6 mにしたものがある。そして、第1ディンプル12Aの深さは、1×10−6 mから25×10−6 mの寸法に形成されている。このような形状の第1ディンプル12Aを設けた密封環11は、実験の結果、第1ディンプル12Aが設けられていない密封環11に比べて4から6倍のシール効果が認められる。
【0029】
密封環11は回転軸50の段部に取り付けられると共に、回転軸50に嵌合面20Aを嵌着したスリーブ20により一方側が押し当てられて固定されている。スリーブ20の図示省略端部は回転軸50にボルトを介して固着されている。又、スリーブ20とバックアップリング7との嵌合間は間隙に形成されている。
以上の第1実施の形態は密封環11が回転する場合である。一方、他の実施態様は図示省略するが、密封環11の外周をハウジング60の孔に密封に嵌着すると共に、対向する端面シール2の内周面を回転軸50の段部に嵌着する。この場合、図2において端面シール2は時計(右回り)方向へ回転する。そして、端面シール2の回転に伴って、第1実施の形態と同様に、被密封流体をシールディンプル12により被密封流体側Aへポンピングする。
【0030】
図3は、本発明に係わる第2実施の形態を示すシール装置の取付状態の半断面図である。又、図4は、本発明に係わる第2実施の形態を示すシール装置に被密封流体の圧力が作用した状態の半断面図である。又、図5は図3のシール装置1の密封環11とシールリップ3との接触状態を示す一部平面図である。更に、図6は、図4のシール装置1の密封環11とシールリップ3との接触状態を示す一部平面図である。
この図3と図4に示すシール装置1で、図1に示すシール装置1と同じ構成は同一符号で示してある。
【0031】
このシール装置1は被密封流体側Aが高圧であり、大気側Bが低圧である。又、回転軸50が停止中又は回転中に被密封流体が高圧と低圧とに圧力変動する場合に適している。
この図3と図4のシール装置1において、図1に示すシール装置1の構成と相違する点は、密封環11のシール面11Bにおけるシールディンプル12の配列範囲をシールリップ3が接触する範囲に形成したものである。
この図3に示すシール装置1は、被密封流体が作用しないか、又は、低圧の被密封流体がシールリップ3に作用している状態である。この作用状態は、例えば、被密封流体の作動が停止している状態である。
このシールリップ3は、密封環11のシール面11Bに接触してほとんど圧力が作用しない状態である。この状態では、シールリップ3の接触面3AがR1〜R2の範囲に接触していることを示す第1接触範囲S1である。
このシールリップ3の第1接触範囲S1は、図5に示すように、外径円周線上の第1ディンプル12Aと内径円周上の第1ディンプル12Aとの間を遮断するように接触している。このために回転軸50が停止しているときでも、シールリップ3の接触面3Aとシール面11Bとの接触により被密封流体をシールすることが可能になる。
【0032】
図4に示すシール装置1は、図3の状態から被密封流体が高圧に移行した状態である。この高圧の被密封流体の作用を受けると、シールリップ3は図4に示すように弾性変形する。そして、図6に示すように、シールリップ3の接触面3Aは、Rh1〜Rh2の範囲に接触範囲S2が拡大される。そして、拡大された接触範囲S2内の第1ディンプル12Aの個数は増加するから、この各第1ディンプル12Aの作用により被密封流体の流量を多量にポンピングすることが可能になる。
更に、シールリップ3は、リップ支持部7Aによりシールリップ3の付け根部が支持されているから、シールリップ3の接触面3Aは被密封流体の圧力に応じてシール面11Bに平行に接面するように弾性変形する。このために、シールリップ3の弾性変形した平面によりポンピング作用が向上すると共に、シール能力も向上する。
以上の図3、図4、図5、図6においても、密封環11を回転用としたが、この密封環11をハウジング等の固定部に取り付けると共に、端面シール2を回転軸に取り付けることが可能である。この場合も、作用効果は密封環11を回転用とした上述と同様である。
【0033】
図7の密封環11は、他の実施例を示す平面図である。この密封環11のシールディンプル12は第1ディンプル12Aと第2ディンプル12Bとを対向させてハ形になるように周方向へおのおの配列されたものである。このように構成することにより、回転軸50が正・逆両用に回転しても正回転用の第1ディンプル12Aと逆回転用の第2ディンプル12Bとにより被密封流体を被密封流体側へポンピングすることが可能になる。
この密封環11は、固定部に取り付けることができる。また、回転軸に取り付けることもできる。そして、密封環11と端面シール2は正回転する場合でも、逆回転する場合でもどちらでも潤滑効果と共に、シール効果を発揮する。
【0034】
図8は、更に他の実施例における密封環11の平面図である。
図8に示すように、シール面11Bの外方に第2ディンプル12Bを設けるとともに、シール面11Bの内方に第1ディンプル12Aを設けたものである。この1列の第1ディンプル12Aと第2ディンプル12Bの個数は図示通りとは限らずに、設計に応じて個数が選択される。そして、第2ディンプル12Bにより被密封流体を内径方向に引き込むとともに、第1ディンプル12Aにより被密封流体をポンピングするものである。このような各ディンプル12A、12Bの配列によりシール面11Bの潤滑効果とともに、シール能力を向上させるものである。
図8において、矢印N1の回転方向は、密封環11が回転する方向である。又、端面シール2が回転する場合は、端面シール2は、逆の右回転方向へ回転する。
【0035】
【発明の効果】
本発明に係わるシール装置によれば、以下のような優れた効果を奏する。
シール装置の密封環とシールリップとの接触面に設けられたシールディンプルにより摺動時にシール面と接触面との間に被密封流体を介入させると共に、シール面と接触面との間に介在する必要量以上の被密封流体を被密封流体側へポンピングする機能を有するので、シールリップの接触面の摩耗を効果的に防止できる。
同時に、被密封流体を接触面から被密封流体側へポンピングするので、シール効果が飛躍的に向上する(図10に示すような軸封装置に比較してシール能力が数倍に向上する)。
【0036】
特に、シール装置の摺動する一方がゴム状弾性材のシールリップにより、被密封流体の圧力が高圧のときには、高圧力に押圧されてシールリップの密封環に対する摺動面積を大きくするので、シールディンプルのポンピングするディンプルの個数が増加するから、被密封流体を被密封流体側へポンピングする能力が向上する。
【0037】
又、被密封流体に変動圧が生じても、シールディンプルはシール面又は摺動面に一方向へ整列されて点在するように小さく形成されているので、シールリップの接面状態はシール面に対して良好になる。この為に、シール面に密接した状態が保持されてシール能力を発揮する。
【0038】
又、リップ支持部によりシールリップを支持することにより、シールリップに被密封流体の圧力が作用しても、シールリップの接触面をシール面に密接させる働きをして被密封流体のシール効果の向上とともに、被密封流体をポンピングする効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる第1実施の形態を示すシール装置の半断面図である。
【図2】図1に示すシール装置に設けられた密封環の平面図である。
【図3】本発明に係わる第2実施の形態を示すシール装置の取り付け状態を示す半断面図である。
【図4】本発明に係わる第2実施の形態を示すシール装置に高圧の被密封流体が作用した状態の半断面図である。
【図5】図3に示す密封環とシールリップとの接触状態を示す一部平面図である。
【図6】図4に示す密封環とシールリップとの接触状態を示す一部平面図である。
【図7】本発明に係わる密封環の他の実施例を示す平面図である。
【図8】本発明に係わる密封環の更に他の実施例を示す平面図である。
【図9】本発明に係わる関連技術の軸封装置を示す一部断面図である。
【図10】本発明に係わる関連技術の軸封装置を示す半断面図である。
【符号の説明】
1 シール装置
2 端面シール
3 シールリップ
3A 接触面
4 補強環
4A 内周支持部
5 端面シール体
5A 外周面
5B 支持部
7 バックアップリング
7A リップ支持部
7B カシメ部
8 保持版
10 シール部
11 密封環
11A 内周面
11B シール面
11C Oリング取付溝
12 シールディンプル
12A 第1ディンプル
12B 第2ディンプル
19 Oリング
20 スリーブ
20A 嵌合面
A 被密封流体側
B 大気側
S1 第1接触範囲
S2 第2接触範囲
Claims (2)
- ハウジングの孔に挿嵌される回転軸又はハウジングに密封に取り付けられていて径方向端面にシール面を有した密封環と、
前記密封環と対向して前記ハウジング又は前記回転軸に密封嵌着すると共に、補強環が埋設された端面シール体の一端から突出して先端側内周に前記シール面に密接する接触面が形成されるシールリップを有したゴム材製端面シールとを具備し、
前記密封環のシール面に、周面に沿って配列されて被密封流体をポンピングするディンプルを多数個有するシールディンプルが形成されているシール装置において、
前記各ディンプルの形状は長方形の両端が半円状であって、
前記回転軸の回転方向に対して前記密封環が回転するときは回転方向内径側へ傾斜し、前記端面シールが回転するときは逆回転方向内側へ傾斜して形成されていると共に、
前記ディンプルは、径方向線に沿って複数個のディンプルが配列されたディンプル列がさらに放射状に複数配列されることにより、直径の異なる各円周線上に沿って複数個配列され、
前記シールリップが接触する範囲に形成されたシールディンプルの配列範囲において、前記各ディンプルは外径円周線上と内径円周線上との間が、前記シールリップの接触面との接触により遮断されていることを特徴とするシール装置。 - 前記シールリップの付け根部側の支持部は、リップ支持部を有する断面U形状のバックアップリングにより支持されており
前記バックアップリングのリップ支持部の自由端側は、円弧状に折り曲げられてシールリップの付け根部を支持していると共に、前記リップ支持部と反対側は、前記端面シール体のゴム部を介して補強環と前記リップ支持部とを連結保持する保持板を支持していることを特徴とする請求項1に記載のシール装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002374143A JP4330875B2 (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | シール装置 |
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