しかしながら、特許文献3に開示の防振装置では、本体ゴム部の形状変更のみにより内筒の軸方向におけるばね定数を設定する必要があるため、そのばね定数の設定のために本体ゴム部の硬度や材質を変更すると、ストッパゴム部の特性にも影響が生じ、当接時の異音防止効果や荷重−撓み特性の悪化を招くという問題点がある。そのため、大変位時における異音の発生を防止しつつ、内筒の軸方向におけるばね定数を設定することが困難であるという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、大変位時における異音の発生を防止しつつ、内筒の軸方向におけるばね定数を容易に設定することができる防振装置を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載の防振装置は、内筒と、前記内筒の外周側に間隔を隔てて配置される外筒と、前記内筒と外筒との間に介在する本体ゴム部及び前記内筒の軸方向両端面に設けられるストッパゴム部を有しゴム状弾性材から構成される防振基体とを備えるものであり、前記内筒は、円筒状の胴部と、前記胴部の軸方向両端に位置し径方向外方へ張り出す一対のフランジ部とを備え、前記防振基体は、前記本体ゴム部とストッパゴム部とが別体に構成され、前記ストッパゴム部は、前記内筒のフランジ部よりも大径の円環状に形成されるストッパ基部と、前記ストッパ基部の底面から筒状に垂下され前記外筒の内径よりも大きな外径を有する脚部と、前記ストッパ基部の上面に突設される突起部とを備え、前記ストッパ基部の底面が前記内筒のフランジ部に載置されることで、前記脚部が前記外筒の内周側に内嵌され、前記ストッパゴム部が外筒に保持される。
請求項2記載の防振装置は、請求項1記載の防振装置において、前記脚部は、前記脚部の外周面から突設され周方向に突条状に連続すると共に前記脚部の垂下方向先端側に位置する係止突条と、前記係止突条の突設端から前記脚部の垂下方向先端へ向けて傾斜する傾斜面とを備え、前記脚部の外周面は、前記ストッパ基部の外周面と同径に形成されると共に、前記脚部の内周面は、前記ストッパ基部の底面から離間するに従って内径が増加するように傾斜されている。
請求項3記載の防振装置は、請求項2記載の防振装置において、前記本体ゴム部は、前記外筒の内周面側に結合される部位の軸方向寸法が前記内筒の外周面側に結合される部位の軸方向寸法よりも短くされ、前記脚部の内周面が傾斜する角度は、軸を含む平面により前記ストッパゴム部を切断した断面視において、前記脚部の内周面に沿って延ばした仮想線が前記突起部に交わる範囲内の角度に設定されている。
請求項4記載の防振装置は、請求項1から3のいずれかに記載の防振装置において、前記ストッパ基部の上面は、第1面と、前記第1面に凹設される第2面とを備え、前記第1面と第2面とは、前記ストッパ基部の上面視において、放射直線状に延びる仮想線によって前記ストッパ基部の上面を分断した形状に形成されると共に周方向に交互に配設され、かつ、前記第1面の中心角と前記第2面の中心角とが同じ角度に設定され、前記突起部は、前記第2面に突設されると共に、前記突起部の突設高さは、前記第1面よりも高くされている。
請求項1記載の防振装置によれば、防振基体は、内筒と外筒との間に介在する本体ゴム部と、内筒の軸方向両端面に設けられるストッパゴム部とを有し、内筒が軸方向へ大変位されると、ストッパゴム部に突設された突起部が対向するストッパ受け部に受け止められることで、内筒の変位が規制され、ストッパ作用が得られる。
ここで、本発明の防振装置によれば、本体ゴム部とストッパゴム部とが別体に構成されているので、ストッパゴム部の特性に影響を与えることなく、本体ゴム部の形状や硬度、材質を適宜変更することができる。その結果、大変位時における異音の発生を確実に防止しつつ、内筒の軸方向におけるばね定数の設定を容易とすることができるという効果がある。
なお、このような異音発生の防止とばね定数の設定容易性との両立は、従来品では硬度や材質の変更が本体ゴム部とストッパゴム部との両者の特性に同時に影響を与えてしまうため達成不可能であったところ、本発明のように本体ゴム部とストッパゴム部とを別体に構成することで初めて付与可能となったものであり、これにより異音発生の防止とばね定数の設定容易性との両立を達成することができる。
また、本発明の防振装置によれば、ストッパゴム部は、内筒のフランジ部よりも大径の円環状に形成されるストッパ基部と、そのストッパ基部の底面から筒状に垂下される脚部とを備え、ストッパ基部の底面を内筒のフランジ部に載置することで、脚部を外筒の内周側に内嵌させ、ストッパゴム部を外筒に保持させることができる。
これにより、本発明のようにストッパゴム部と本体ゴム部とを別体に構成した場合であっても、防振装置をショックアブソーバーへ組み付ける際に、外筒とストッパゴム部とが一体となった状態で組み付け作業を行うことができるので、内外筒及び本体ゴム部からなる部品とストッパゴム部とを別々に組み付ける場合と比較して、組み付け時の作業性の向上を図ることができるという効果がある。
また、この場合、ストッパゴム部は、ストッパ基部の底面を内筒のフランジ部に載置した状態、即ち、ストッパ作用を発揮するための位置に配置された状態で、外筒に保持されるので、この外筒とストッパゴム部とが一体となった状態の部品(即ち、防振装置)を組み付けた後は、内外筒及び本体ゴム部からなる部品に対するストッパゴム部の配設位置を、ストッパ機能を発揮させるための位置に再調整するという作業を別途行う必要がない。これにより、ストッパゴム部と本体ゴム部とを別体に構成した場合であっても、取り付け作業を簡素化して、その分、組み付け時の作業性の向上を図ることができるという効果がある。
また、脚部は、筒状(即ち、周方向に連続する形状)に形成されているので、外筒の内周側に内嵌され、その筒状が縮径された場合には、径方向への曲げ力だけでなく、周方向への圧縮力も発生させることができるので、その分、弾性復元力(即ち、外筒の内周側に内嵌保持される保持力)を十分に発生させることができる。
即ち、脚部が複数本(例えば、周方向120度間隔に配置される3本)から構成される場合には、それら各脚部の径方向への曲げ力だけが外筒の内周側に内嵌された場合の保持力(弾性復元力)となるので、必要な保持力を確保するべく、各脚部の肉厚を厚くする必要が生じ、その分、材料コストが嵩むと共に、軽量化や小型化が阻害される。
これに対し、本発明のように、脚部を筒状に形成することで、上述したように、径方向への曲げ力に加え、周方向への圧縮力も発生させ、上記保持力(弾性復元力)を十分に確保することができる。その結果、脚部の肉厚を薄くすることができ、その分、材料コストの削減や軽量化、小型化を図ることができるという効果がある。
また、本発明の防振装置は、内筒が、円筒状の胴部と、その胴部から径方向外方へ張り出す一対のフランジ部とを備え、そのフランジ部にストッパゴム部(ストッパ基部)の底面が載置される構成である。これにより、胴部が小径であることを利用して、本体ゴム部のボリューム(径方向寸法)を確保しつつ、大径のフランジ部を座面として利用することで、ストッパ作用時におけるストッパゴム部の受圧面積も確保して、ストッパ作用時における荷重−撓み特性を効果的に立ち上げることができるという効果がある。
この場合、ストッパゴム部は、その底面から垂下させた脚部を外筒の内周側に内嵌させる構成であるので、かかる脚部もストッパゴム部(ストッパ基部)の受圧面積を確保するための座面として利用することができる。即ち、ストッパ受け部に突起部が当接され、その突起部からストッパ基部に荷重が入力されると、かかる荷重を、フランジ部により受け止めると共に、脚部を介して、外筒の内周側によっても受け止めることができる。
このように、本発明によれば、ストッパゴム部を外筒に保持させる脚部が、ストッパ作用時の荷重入力を支える支持部としても機能する(即ち、内筒のフランジ部と同様の機能を奏する)構成であるので、その分、内筒のフランジ部を小型化(小径化)して、防振装置全体としての小型化と軽量化とを図ることができるという効果がある。
更に、脚部を外筒の内周側に支持される構成とすることで、脚部と本体ゴム部との干渉によるばね定数への影響や耐久性の低下を回避することができる。即ち、例えば、内筒のフランジ部における外周縁や本体ゴム部に脚部を係止させる構成では、脚部と本体ゴム部との干渉により、ばね定数の変化や摩耗による寿命低下を招くところ、本発明のように、外筒の内周側に内嵌させる構成であれば、干渉を発生し難くして、ばね定数への影響や耐久性の低下を抑制することができる。
請求項2記載の防振装置によれば、請求項1記載の防振装置の奏する効果に加え、脚部の外周面には係止突条が突設されると共に、その係止突条が周方向に突条状に連続する構成であるので、外筒の内周側に内嵌された脚部による保持力を確保して、ストッパゴム部をより強固に外筒に保持させることができるという効果がある。
即ち、脚部が外筒の内周側に内嵌された場合には、外筒の内周面に係止突条が押圧され、かかる係止突条が変形されることで、面圧を高めることができるので、例えば、脚部の外周面が面一の平坦面として構成される場合と比較して、外筒の内周面との間の密着度を高めて、保持力を確保することできるので、その分、ストッパゴム部を外筒に強固に保持させることができる。
また、かかる係止突条は、脚部の垂下方向先端側に位置しているので、脚部(係止突条)が外筒の内周側に一端保持されれば、脚部の根元側に係止突条が位置する場合と比較して、かかる係止突条が外筒の内周面から外れるまでの余裕を持たせることができる。よって、その分、サスペンション装置への取り付け作業時にストッパゴム部が外筒から脱落することを抑制することができるという効果がある。
また、脚部は、係止突条の突設端から脚部の垂下方向先端へ向けて傾斜する傾斜面を備え、かかる傾斜面によって、脚部の垂下方向先端が先窄まりの形状とされているので、脚部を外筒の内周側へ挿入させる場合には、かかる先窄まりの傾斜面を利用して、挿入作業を円滑に行うことができるという効果がある。
更に、脚部の外周面をストッパ基部の外周面と同径に形成すると共に、脚部の内周面をストッパ基部の底面から離間するに従って内径が増加するように傾斜させる構成であるので、この構成によっても、内嵌作業を円滑に行うことができると共に、ストッパゴム部を外筒に強固に保持させることができるという効果がある。
即ち、脚部の外周面及び内周面を上述の構成とすることで、脚部の厚み寸法を垂下方向先端へ向かうほど薄肉とすることができるので、脚部の垂下方向先端側の外周面に係止突条を突設した場合であっても、脚部の根元側と先端側とで厚み寸法を均一化することができる。その結果、脚部が外筒の内周側に内嵌され、筒状の脚部が縮径される場合には、かかる筒状の脚部を波打たせることなく周方向で均一に縮径させることができるので、内嵌作業を円滑に行うことができると共に、外筒に内嵌された脚部による保持力を適正に発揮させ、ストッパゴム部を外筒に強固に保持させることができる。
ここで、本発明によれば、脚部の外周面をストッパ基部の外周面と同径に形成すると共に、この脚部の外周面から係止突条を突設する構成であるので、外筒の内周側に脚部を内嵌した場合には、係止突条の突設高さに応じて、脚部を外筒の内周面から離間する方向に変形させることができ、その結果、外筒の内周面と脚部の外周面との間に隙間を設けることができる。
これにより、内筒が軸方向へ変位する場合には、上述した隙間により、外筒の内周面とストッパゴム部との間でスリップ音が発生することを抑制することができるという効果がある。また、突起部がストッパ受け部に受け止められるストッパ作用時には、その初期段階では、上述した隙間の分だけ、ストッパゴム部(突起部、ストッパ基部)の変形自由度を確保して、荷重−撓み曲線の立ち上がりを緩やかとすることができると共に、上述した隙間が埋まった後は、ストッパゴム部(突起部、ストッパ基部)の変形を外筒の内周面で拘束することができるので、荷重−撓み曲線を効果的に立ち上げることができるという効果がある。
また、本発明によれば、上述したように、ストッパゴム部の底面から垂下され外筒の内周側に内嵌される脚部が、ストッパ作用時の荷重入力を支える支持部としても機能する構成であるところ、かかる脚部の内周面は、ストッパ基部の底面から離間するに従って内径が増加するように傾斜されているので、ストッパ作用時の入力荷重を脚部が支える場合には、外筒の内周面へ押し当てる方向(軸直角方向)の分力を発生させ、外筒の内周面を有効に利用することで、入力荷重を効率的に支えることができるという効果がある。
請求項3記載の防振装置によれば、請求項2記載の防振装置の奏する効果に加え、本体ゴム部は、外筒の内周面側に結合される部位の軸方向寸法が内筒の外周面側に結合される部位の軸方向寸法よりも短くされているので、その寸法差の分だけ、外筒の内周面側に空間を設けることができる。これにより、ストッパゴム部の脚部を収容するための空間を確保することができるので、かかる空間を有効に活用して、防振装置全体としての小型化を図ることができると共に、脚部と本体ゴム部との干渉による摩耗を抑制して、耐久性の向上を図ることができるという効果がある。
また、本発明によれば、脚部の内周面が傾斜する角度を、軸を含む平面によりストッパゴム部を切断した断面視において、脚部の内周面に沿って延ばした仮想線が突起部に交わる範囲内の角度に設定する構成であるので、耐久性の向上を図りつつ、入力荷重の支持を確実に行うことができるという効果がある。
即ち、脚部の内周面が傾斜する角度を大きくし過ぎた場合(即ち、仮想線が突起部よりも外筒側に位置する場合)には、脚部の姿勢が立ち過ぎとなることで、内筒の変位時やストッパ作用時に脚部が本体ゴム部と干渉し易くなり、摩耗による耐久性の低下を招く。
一方、脚部の内周面が傾斜する角度を小さくし過ぎた場合(即ち、仮想線が突起部よりも軸心側に位置する場合)には、脚部の姿勢が傾斜し過ぎとなることで、脚部が外筒の内周面を利用して踏ん張ることができず、曲げ方向へ変形し易くなり、入力荷重を支持する機能の低下を招く。
これに対し、本発明によれば、脚部の姿勢が立ち過ぎとなることを抑制することで、脚部と本体ゴム部との干渉による摩耗を抑制して、耐久性の向上を図ることができると共に、脚部の姿勢が傾斜し過ぎとなることを抑制することで、外筒の内周面を利用して脚部を踏ん張らせることができるので、入力荷重の脚部による支持を確実に行うことができるという効果がある。
請求項4記載の防振装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の防振装置の奏する効果に加え、ストッパ基部の上面を、第1面と、その第1面に凹設される(即ち第1面よりも低い)第2面とから構成し、第2面に突起部を突設すると共に、突起部の突設高さを第1面よりも高くしたので、防振装置全体としての小型化を図りつつ、突起部の高さ寸法を確保して、突起部のばね定数を小さくすることができ、その結果、突起部がストッパ受け部に受け止められるストッパ作用時の初期段階において、荷重−撓み曲線の立ち上がりを緩やかとすることができるという効果がある。
この場合、第2面が第1面に凹設される構成(即ち、第1面が第2面より高い位置となる構成)であるので、突起部がストッパ受け部により押し潰された後には、第1面をストッパ受け部に当接させることができ、その結果、荷重−撓み曲線を効果的に立ち上げることができるという効果がある。更に、第1面が当接(密着)された状態でも、ストッパ受け部と第2面との間に隙間を設けることができるので、かかる隙間により圧縮空気を逃がすための通路を確保して、異音の発生を抑制することができるという効果がある。
また、本発明によれば、放射直線状に延びる仮想線によってストッパ基部の上面を分断した形状により第1面及び第2面を形成すると共にこれら第1面及び第2面を周方向へ交互に配設し、かつ、第1面の中心角と第2面の中心角とを同じ角度に設定する構成であるので、突起部と第1面との面積比を適正として、荷重−撓み曲線と異音抑制との両立を図ることができるという効果がある。
即ち、上述した面積比が突起部に偏ると、突起部がストッパ受け部に当接された際における荷重−撓み曲線の立ち上がりが過大になると共に、第1面がストッパ受け部に当接された際における荷重−撓み曲線の立ち上がりが不足するという不具合が生じる。一方、上述した面積比が第1面に偏ると、突起部の歪みが大きくなるため耐久性の低下を招き、また、第1面がストッパ受け部に当接された際における荷重−撓み曲線の立ち上がりが過大になると共に面当たりによる異音の発生も顕著になるという不具合が生じる。これに対し、面積比を本発明のように設定することで、荷重−撓み曲線と異音抑制との両立を図ることができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態における防振装置100が装着されたエアサスペンション装置1の断面図である。
防振装置100は、エアサスペンション装置1のショックアブソーバー2から車内に伝達される振動を減衰・緩和するためのものであり、図1に示すように、アウターシェル3の上部に設けられた筒状ホルダ5内に配設されている。
なお、後述するように、防振装置100は、外筒20が筒状ホルダ5に嵌入されると共に、内筒10にピストンロッド2aの先端部が挿入されナット6により締結されることで、車両に取り付けられる。
アウターシェル3は、ショックアブソーバー2のピストンロッド2aを取り囲む空気室7を形成するための部材であり、図1に示すように、このアウターシェル3の上部(図1上側)に筒状ホルダ5が配設されている。防振装置100は、外筒20の凹溝21(図2参照)にOリング4を取り付けた状態で筒状ホルダ5に嵌入され、外筒20と筒状ホルダ5の内周面との間が気密状態に保たれている。
なお、筒状ホルダ5は、図1に示すように、大径部と小径部とを備え、大径部に外筒20が嵌入されると共に、大径部と小径部との間の段部に外筒20の端面が当接され嵌入位置が位置決めされる。また、小径部の内径は、外筒20の内径と同一の値に設定されている。よって、後述するストッパゴム部50の一方(図1上側)は外筒10に取り囲まれると共に、他方は筒状ホルダ5の小径部に取り囲まれる。
図1に示すように、筒状ホルダ5の底部(図1下側)には、一対のストッパゴム部50の内の一方が当接される板状のストッパ受け部5aが配設されると共に、筒状ホルダ5の上部(図1上側)には、一対のストッパゴム部50の内の他方が当接される板状のストッパ受け部5bが配設されている。
これら上下のストッパ受け部5a,5bの間で防振装置100のストッパゴム部50が受け止められて、内筒10の軸方向変位(図1上下方向変位)が規制されることで、ストッパ作用が得られるように構成されている。なお、図1に示すように、エアサスペンション装置1は、アウターシェル3に固設されたボルト8を介して、車体9に取り付けられている。
次いで、図2から図7を参照して、防振装置100の詳細構成について説明する。まず図2を参照して、防振装置100の一部であって、内外筒10,20及び本体ゴム部40から構成される部品について説明する。
図2は(a)は、防振装置100の上面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb−IIb線における防振装置100の断面図である。なお、図2では、ストッパゴム部50が取り外された状態の防振装置100(即ち、上述した部品)が図示されている。
防振装置100は、内筒10と、その内筒10の外周側に間隔を隔てて配置される外筒20と、ゴム状弾性材から構成される防振基体30とを備えると共に、防振基体30は、内筒10と外筒20との間に介在する本体ゴム部40と、内筒10の軸O方向両端面に設けられるストッパゴム部50とを備え(図1又は図6参照)、本体ゴム部40とストッパゴム部50とが別体に構成されている(図3参照)。
内筒10は、鉄鋼材料又はアルミ合金などから軸Oを有する円筒状に構成される部材であり、図2に示すように、胴部11とフランジ部12とを備える。胴部11は、円筒状に構成される部位であり、軸O方向へ向けて貫通形成される挿通孔11aを備える。この挿通孔11aには、ショックアブソーバー2のピストンロッド2a(図1参照)が挿通される。
フランジ部12は、ストッパゴム部50の座面として機能する部位であり、図2に示すように、胴部11の軸O方向両端に位置すると共に、径方向(軸O直角方向)外方へ向けて張り出して形成されている。なお、フランジ部12の両端面(図2(b)上側面及び下側面)は、軸Oに直行する平坦面として構成されている。
このように、内筒10が小径の胴部11と大径のフランジ部12とを備え、後述するようにフランジ部12にストッパゴム部50の底面52が載置される構成であるので(図6参照)、胴部11の小径を利用して、本体ゴム部40のボリューム(径方向寸法)を確保しつつ、大径のフランジ部12を座面として利用することで、ストッパ作用時におけるストッパゴム部50の受圧面積も確保して、ストッパ作用時における荷重−撓み特性を効果的に立ち上げることができる。同時に、フランジ部12を利用して、本体ゴム部40の軸O方向のばね定数を大きくすることもできる。
外筒20は、鉄鋼材料又はアルミ合金などから軸Oを有する円筒状に構成される部材であり、図2に示すように、その外周面には、周方向に延設される複数本(本実施の形態では2本)の凹溝21が凹設されている。この凹溝21は、上述したように、Oリング4が取り付けられる部位であり、このOリング4によって、外筒20と筒状ホルダ5との間が気密状態に保たれる(図1参照)。
本体ゴム部40は、ゴム状弾性材から構成され、図2に示すように、内筒10と外筒20との間に介在しこれら内外筒10,20を接続する。本体ゴム部40は、外筒20の内周面側に結合される部位の軸O方向寸法(図2(b)上下方向寸法)が、内筒10の外周面側に結合される部位の軸O方向寸法よりも短くされている。
これにより、後述するストッパゴム部50の脚部55を収容するための空間をフランジ部12の外周側に確保することができるので(図6参照)、かかる空間を有効に活用して、防振装置100全体としての小型化を図ることができると共に、脚部55と本体ゴム部40との干渉による摩耗を抑制して、耐久性の向上を図ることができる。
次いで、図3から図5を参照して、上述した部品(図2参照)と共に防振装置100を構成するストッパゴム部50の詳細構成について説明する。図3(a)は、ストッパゴム部50の上面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線におけるストッパゴム部50の断面図である。
また、図4は、図3(a)のIV−IV線におけるストッパゴム部50の断面図であり、図5は、ストッパゴム部50の部分拡大断面図である。なお、図5は、図3(b)に示す断面図の一部に対応する。
ストッパゴム部50は、ストッパ作用を発揮するための部材であり、後述する突起部53等を対向するストッパ受け部5a,5bに当接させて、内筒10の変位を規制する。ストッパゴム部50は、内筒10(フランジ部12)の軸O方向両端とストッパ受け部5a,5bとの間にそれぞれ配置され(図1参照)、本体ゴム部40と異なる特性(或いは同じ特性)のゴム状弾性材から構成される。
このように、本発明では、本体ゴム部40とストッパゴム部50とを別体とする構成であるので、ストッパゴム部50の特性に影響を与えることなく、本体ゴム部40の形状や硬度、材質を適宜変更することができる。その結果、本体ゴム部40の機能とストッパゴム部50の機能とをそれぞれ効率的に発揮させることができる。
図3に示すように、ストッパ基部51と、突起部54と、脚部54とを主に備える。ストッパ基部51は、ストッパゴム部50の骨格をなす部位であり、図3に示すように、上面視円環状に形成されている(図1又は図6参照)。なお、ストッパ基部51の外周面における直径D1は、外筒20の内径よりも若干小径(例えば、直径で0.8mmだけ小径)に構成される。
また、ストッパ基部51の底面52は、軸Oに直行する平坦面として構成されており、その直径D3は、内筒10のフランジ部12における直径(少なくともフランジ部12外周縁の円弧部を含まない平坦面における直径であり、より好ましくは、フランジ部12の外周縁を含む最大外径部における直径)よりも大径に構成されている。
ストッパ基体51の上面53は、図3及び図4に示すように、第1面53aと、その第1面53aに凹設される第2面53bとを備え、これら第1面53aと第2面53bとは、図3(a)に示すように、円環状に形成されるストッパ基部51の上面53を、軸Oから放射直線状に延びる複数の仮想線(図示せず)によって分断した形状とされている。
なお、第1面53a及び第2面53bは、底面52と平行とされている。また、本実施の形態では、第1面53aと第2面53bとが周方向に交互に配設され、かつ、第1面53aの中心角θ1と第2面53bの中心角θ2とが共に30°に設定されている。これにより、上面53には、第1面53a及び第2面53bが周方向等間隔にそれぞれ6個ずつ配設されている。
突起部54は、ストッパ受け部5a,5bに最初に当接される円柱状体あり、図3及び図4に示すように、先端が半球状に構成されると共に、第2面53bそれぞれの中央部から軸O方向へ向けて合計6本が突設されている。なお、突起部54の突設高さ(第2面53bから突起部54先端までの距離寸法)は、第2面53bから第1面53aまでの距離寸法よりも大きな値(第1面53aから第2面53aまで距離寸法の2倍)に設定されている。
このように、本実施の形態では、ストッパ基部51の上面を、第1面53aに第2面53bを凹設し、その一段低くされた第2面53bに突起部54を突設すると共に、突起部54の突設高さを第1面53aよりも高くしたので、防振装置100全体としての小型化を図りつつ、突起部54の高さ寸法(図4上下方向寸法)を確保して、突起部54のばね定数を小さくすることができ、その結果、突起部54がストッパ受け部5a,5bに受け止められるストッパ作用時の初期段階において、荷重−撓み曲線の立ち上がりを緩やかとすることができる。
この場合、第2面53bが第1面53aに凹設される構成(即ち、第1面53aが第2面53bよりも高い位置となる構成)であるので、突起部54がストッパ受け部5a,5bにより押し潰された後には、第1面53aをストッパ受け部5a,5bに当接させることができ、その結果、荷重−撓み曲線を効果的に立ち上げることができる。
更に、第1面53aがストッパ受け部5a,5bに当接(密着)された状態でも、ストッパ受け部5a,5bと第2面53bとの間に隙間を設けることができるので、かかる隙間により圧縮空気を逃がすための通路を確保して、異音の発生を抑制することができる。
また、防振装置100は、第1面53aの中心角θ1と第2面53bの中心角θ2とを同じ角度(30°)に設定する構成であるので、突起部54と第1面53aとの上面視(図3(a))における面積比を適正として、荷重−撓み曲線と異音抑制との両立を図ることができる。
即ち、上面視(図3(a))における面積比が突起部54に偏る(突起部54の占める面積が大きくなる)と、突起部54がストッパ受け部5a,5bに当接された際における荷重−撓み曲線の立ち上がりが過大になると共に、第1面53aがストッパ受け部5a,5bに当接された際における荷重−撓み曲線の立ち上がりが不足するという不具合が生じる。
一方、上述した面積比が第1面53aに偏る(第1面53aの占める面積が大きくなる)と、突起部54の歪みが大きくなるため、座屈によるしわの発生などが生じ、その耐久性の低下を招き、また、第1面53aがストッパ受け部5a,5bに当接された際における荷重−撓み曲線の立ち上がりが過大になると共に面当たりによる異音の発生も顕著になるという不具合が生じる。これに対し、本発明の防振装置100によれば、面積比を上述のように設定することで、荷重−撓み曲線の特性の確保と異音の抑制との両立を図ることができる。
脚部55は、外筒20の内周面に内嵌保持される部位であり(図1参照)、図3及び図5に示すように、ストッパ基部51の底面52から筒状に垂下されている。なお、脚部55の直径は、ストッパ基体51の直径D1と同じ値に設定されており、これら脚部55及びストッパ基体51の外周面が面一とされている。
このように、脚部55を筒状(即ち、周方向に連続する形状)に形成したので、かかる脚部55が外筒20の内周側に内嵌され、その筒状が縮径された場合には(図1又は図6参照)、径方向への曲げ力だけでなく、周方向への圧縮力も発生させることができるので、その分、弾性復元力(即ち、外筒20の内周側に内嵌保持される保持力)を十分に発生させることができる。
例えば、脚部を複数本(例えば、周方向120度間隔に配置される3本)から構成すると、それら各脚部の径方向への曲げ力だけが外筒20の内周側に内嵌された場合の保持力(弾性復元力)となるので、必要な保持力を確保するべく、各脚部の肉厚(図5左右方向寸法)を厚くする必要が生じ、その分、材料コストが嵩むと共に、軽量化や小型化が阻害される。
これに対し、本実施の形態のように、脚部55を筒状に形成することで、上述したように、径方向への曲げ力に加え、周方向への圧縮力も発生させ、上記保持力(弾性復元力)を十分に確保することができる。その結果、脚部の肉厚を薄くすることができ、その分、材料コストの削減や軽量化、小型化を図ることができる。
脚部55は、図3及び図5に示すように、係止突条56と傾斜面57とを備えて構成されている。係止突条56は、脚部55を外筒20の内周面に内嵌する際にその内周面に当接される部位であり、軸O回りに延設されるリップ形状として構成されている。
即ち、係止突条56は、図3及び図5に示すように、脚部55の外周面から径方向外方(軸O直角方向)へ向けて突設されると共に、周方向に連続する突条(リップ)として形成されている。なお、脚部55は、係止突条56の突設端において直径が最大(直径D2)となる。
傾斜面57は、脚部55を外筒20の内周面へ内嵌する際の案内面となる部位であり、図3及び図5に示すように、係止突条56の突設端(図5右側)から脚部55の垂下方向先端(図5下側)へ向けて直線状に傾斜して形成されている。これにより、脚部55の垂下方向先端(図5下側)を先窄まりの形状とすることができるので、脚部55を外筒20の内周側へ挿入する場合には、かかる先窄まりの傾斜面57を利用して、脚部55を外筒20の内周側へ案内させ、その挿入作業を円滑に行うことができる。
なお、脚部55の外周面は、係止突条56及び傾斜面57が形成される形成領域とこれら各部56,57が形成されない非形成領域とから構成され、これら形成領域と非形成領域との比率は、軸O方向(図5上下方向)寸法が1:2となるように設定されている。これにより外筒20への保持力の確保、挿入作業性の向上、スリップオンの抑制或いは耐久性の向上を図ることができる。
脚部55の内周面58は、図3及び図5に示すように、ストッパ基部51の底面52から離間するに従って内径が増加するように直線状に傾斜されている。なお、図5に示す仮想線Gは、軸Oを含む平面によりストッパゴム部50を切断した断面視(即ち、図5)において、内周面58の傾斜に沿って延ばした仮想線である。
図3及び図5に示すように、脚部55の外周面をストッパ基部51の外周面と同径(直径D1)に形成すると共に、脚部55の内周面58を上述のように傾斜させる構成であるので、この構成によっても、外筒20への内嵌(挿入)作業を円滑に行うことができると共に、ストッパゴム部50を外筒20に強固に保持させることができる。
即ち、脚部55の外周面及び内周面58を上述の構成とすることで、脚部55の厚み寸法(図5左右方向寸法)を垂下方向先端へ向かうほど薄肉とすることができるので、図5に示すように、脚部55の垂下方向先端側(図5下側)の外周面に係止突条56を突設した場合であっても、脚部55の根元側及び先端側(図5上側及び下側)で厚み寸法を均一化することができる。
その結果、脚部55が外筒20の内周側に内嵌され、筒状の脚部55が縮径される場合には(図1又は図6参照)、かかる筒状の脚部55を波打たせることなく周方向で均一に縮径させることができるので、その内嵌(挿入)作業を円滑に行うことができると共に、外筒20に内嵌された脚部55による保持力を適正に発揮させ、ストッパゴム部50を外筒20に強固に保持させることができる。
次いで、図6及び図7を参照して、防振装置100の組み立て状態について説明する。図6は、防振装置100の断面図であり、図7は、防振装置100の部分拡大断面図である。なお、図7は、図6に示す断面図の一部に対応する。
防振装置100は、図6に示すように、内外筒10,20及び本体ゴム部40から構成される部品に一対のストッパゴム部50を装着して使用される。この場合、ストッパゴム部50を外筒20の両開口部からそれぞれ嵌入し、ストッパ基部51の底面52を内筒10のフランジ部12に載置することで、脚部55が外筒20の内周側に内嵌する。これにより、係止突条56が外筒20の内周面に押圧され、ストッパゴム部50が外筒20に保持される。
このように、防振装置100によれば、ストッパゴム部50を本体ゴム部40と別体に構成した場合であっても、かかる防振装置100をショックアブソーバー2へ組み付ける際には、内外筒10,20及び本体ゴム部40から構成される部品(図2参照)とストッパゴム部50とを一体とした状態で組み付け作業を行うことができるので、これら内外筒10,20及び本体ゴム部40からなる部品とストッパゴム部50とを別々に組み付ける場合と比較して、組み付け時の作業性の向上を図ることができる。
また、この場合、ストッパゴム部50は、図6に示すように、ストッパ基部51の底面52を内筒10のフランジ部12に載置した状態、即ち、ストッパ作用を発揮するための位置に配置された状態で、外筒20に保持されるので、外筒20にストッパゴム部50が保持された状態(図6の状態)の部品(即ち、防振装置100)をショックアブソーバー2に組み付けた後は、内外筒10,20及び本体ゴム部40からなる部品(図2参照)に対するストッパゴム部50の配設位置を、ストッパ機能を発揮させるための位置に再調整するという作業を別途行う必要がない。これにより、ストッパゴム部50を本体ゴム部40と別体に構成した場合であっても、ショックアブソーバー2への取り付け作業を簡素化して、その分、組み付け時の作業性の向上を図ることができる。
また、図6又は図7に示すように、脚部55が外筒20の内周側に内嵌された場合には、外筒20の内周面により係止突条56が押圧され、かかる係止突条56が変形されることで、面圧を高めることができる。これにより、例えば、脚部55の外周面が面一の平坦面として構成される場合(即ち、係止突条56を設けない場合)と比較して、外筒20の内周面との間の密着度を高めて、保持力を確保することできるので、その分、ストッパゴム部50を外筒20に強固に保持させることができる。
また、係止突条56は、脚部55の垂下方向先端側(図7下側)に位置しているので、脚部55(係止突条56)が外筒20の内周側に一端保持されれば、脚部55の根元側(図7上側)に係止突条56が位置する場合と比較して、かかる係止突条56が外筒20の内周面から外れるまでの余裕を持たせることができる。よって、その分、サスペンション装置1(ショックアブソーバー2)への取り付け作業時にストッパゴム部50が外筒20から脱落することを抑制することができる。
ここで、防振装置100は、上述したように、脚部55の外周面をストッパ基部51の外周面と同径(直径D1、図5参照)に形成すると共に、この脚部55の外周面から係止突条56を突設する構成であるので、外筒20の内周側に脚部55を内嵌した場合には、図7に示すように、係止突条56の突設高さに応じて、脚部55を外筒20の内周面から離間する方向(図7左側)に変形(変位)させることができ、その結果、外筒20の内周面と脚部55の外周面との間に隙間を設けることができる。
これにより、内筒10が軸方向へ変位する場合には、上述した隙間により、外筒20の内周面とストッパゴム部50との間でスリップ音が発生することを抑制することができる。また、突起部54がストッパ受け部5a,5bに受け止められるストッパ作用時には、その初期段階では、上述した隙間の分だけ、ストッパゴム部50(突起部54、ストッパ基部51)の変形自由度を確保して、荷重−撓み曲線の立ち上がりを緩やかとすることができると共に、上述した隙間が埋まった後は、ストッパゴム部50(突起部54、ストッパ基部51)の変形を外筒20の内周面で拘束することができるので、荷重−撓み曲線を効果的に立ち上げることができる。
ここで、防振装置100は、図7に示すように、ストッパゴム部50の底面52から垂下させた脚部55を外筒20の内周側に内嵌させる構成であるので、かかる脚部55もストッパゴム部50(ストッパ基部51)の受圧面積を確保するための座面として利用することができる。
即ち、ストッパ受け部5a,5bに突起部54が当接され、その突起部54からストッパ基部51に荷重が入力された場合には、かかる荷重を、内筒10のフランジ部12により受け止めると共に、脚部55を介して、外筒20の内周側によっても受け止めることができる。
このように、防振装置100によれば、ストッパゴム部50を外筒20に保持させる脚部55が、ストッパ作用時の荷重入力を支える支持部としても機能する(即ち、内筒10のフランジ部12と同様の機能を奏する)構成であるので、その分、内筒10のフランジ部12を小型化(小径化)して、防振装置100全体としての小型化と軽量化とを図ることができる。
この場合、防振装置100は、図7に示すように、脚部55の内周面58を、ストッパ基部51の底面52から離間する(図7下方へ向かう)に従って内径が増加するように傾斜されているので、ストッパ作用時の入力荷重を脚部55が支える場合には、外筒20の内周面へ押し当てる方向(軸O直角方向、図7右方向)の分力を発生させ、外筒20の内周面を有効に利用することで、入力荷重を効率的に支えることができる。
特に、本実施の形態における防振装置100は、図7に示すように、脚部55の内周面58が傾斜する角度を、軸Oを含む平面によりストッパゴム部50を切断した断面視(即ち、図7)において、仮想線G(脚部55の変形により内周面58が湾曲する場合には各点における接線を平均して求められる仮想線)が突起部54に交わる範囲内の角度に設定する。
なお、突起部54に交わる範囲内の角度とは、第2面53bを含む平面に突起部54を軸O方向へ投影して形成される領域Wを仮想線Gが通過する角度である。本実施の形態では、図7に示すように、外筒20に脚部55が保持された状態で内周面58の傾斜が上述の範囲内の角度となっており、かつ、外筒20から取り外した状態(図3の状態)においても上述の角度を満たしている。
このように、防振装置100は、脚部55の内周面58が傾斜する角度を、図7に示す断面視において、仮想線Gが突起部54に交わる範囲内の角度に設定する構成であるので、耐久性の向上を図りつつ、入力荷重の支持を確実に行うことができる。
即ち、脚部55の内周面58が傾斜する角度を大きくし過ぎた場合(即ち、仮想線Gが突起部54(領域W)よりも外筒20側(図7右側)に位置する場合)には、脚部55の姿勢が立ち過ぎとなることで、内筒10の変位時やストッパ作用時に脚部55が本体ゴム部40と干渉し易くなり、摩耗による耐久性の低下を招く。
一方、脚部55の内周面58が傾斜する角度を小さくし過ぎた場合(即ち、仮想線Gが突起部54(領域W)よりも軸O側(図7左側)に位置する場合)には、脚部55の姿勢が傾斜し過ぎとなることで、脚部55が外筒20の内周面を利用して踏ん張ることができず、曲げ方向へ変形し易くなり、入力荷重を支持する機能の低下を招く。
これに対し、本発明の防振装置100によれば、仮想線Gが領域Wを通過する角度に内周面の傾斜を設定する構成であるので、脚部55の姿勢が立ち過ぎとなることを抑制することで、脚部55と本体ゴム部40との干渉による摩耗を抑制して、耐久性の向上を図ることができると共に、脚部55の姿勢が傾斜し過ぎとなることを抑制することで、外筒20の内周面を利用して脚部55を踏ん張らせることができ、入力荷重の脚部55による支持を確実に行うことができる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記実施の形態で挙げた数値(例えば、各構成の数量や寸法・角度など)は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。