JP4325077B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触温度センサにより検出される車室内の温度に基づいて空調制御を行う車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車両用空調装置として、多数の温度検出素子をマトリックス状に配置した赤外線センサ(非接触温度センサ)にて、図13に示すように乗員Mの顔部M3付近の温度を検出し、顔部温度(33℃前後)に近い温度を示す画素A、B、Cの平均温度を顔部平均温度として、その顔部平均温度等に基づいて空調制御を行うものが知られている。
【0003】
ここで、上記の3箇所の画素A、B、Cのうち画素Aは顔部M3のみでなく背景部分を含んでいるが、顔部M3の占める割合が大きいため画素Aの温度は顔部温度に近い値になる。従って、画素Aは顔部M3と判断されてしまい、画素Aの温度も顔部平均温度の算出に用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、画素Aの背景部分の温度が変動すると顔部平均温度も変動してしまう。そして、その背景部分がシートや天井の場合、それらは熱容量が小さいため空調風や日射等によって温度が急激に変動しやすく、そのため、顔部平均温度もそれらの影響で急激に変動してしまう。従って、顔部平均温度等に基づいて空調制御を行う場合は、画素Aの背景部分の温度変動に伴って空調風の吹出風量や吹出温度が変動してしまい、安定な温度環境が得られないという問題があった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、乗員の顔部およびこの顔部の周囲の温度分布を非接触温度センサで検出し、その温度信号に基づいて空調制御を行う車両用空調装置において、顔部背景部分の温度変動による顔部平均温度の変動を少なくし、安定な温度環境が得られるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車両の幅方向に複数の座席が配置された車両に搭載され、乗員(M)の顔部(M3)およびこの顔部(M3)の周囲を温度検出領域(160)とし、この温度検出領域(160)の温度分布を多数の温度検出素子により非接触で検出する非接触温度センサ(70)を備え、非接触温度センサ(70)の温度信号に基づいて空調制御を行う車両用空調装置において、非接触温度センサ(70)の位置から温度検出領域(160)を見たときに顔部(M3)と車両のガラス部(171a、174、175)とが重なるように、非接触温度センサ(70)の位置を設定し、1つの非接触温度センサ(70)の温度検出領域(160)に、異なる座席に着座した複数の乗員(M)が入るようにして、車両の幅方向の一方側に非接触温度センサ(70)を配置し、顔部(M3)の大きさを温度信号に基づいて求め、顔部(M3)の大きさから乗員(M)が着座している座席を特定することを特徴とする。
【0007】
これにより、顔部の背景部分となるガラスは熱伝導率が低くかつ熱容量が大きいため、空調風、外気、日射等による急激な温度変化が起こりにくい。従って、顔部背景部分の温度変動による顔部平均温度の変動が少なくなり、空調風の吹出風量や吹出温度の変動が少なくなって、安定な温度環境を得ることができる。
【0009】
また、1つの非接触温度センサで複数の乗員の着座位置や顔部平均温度を検出することができるため、非接触温度センサを、検出対象となる乗員数よりも少なくすることができる。
【0010】
さらに、車両の幅方向に複数の座席が配置された車両の空調装置においては、顔部(M3)の大きさから乗員(M)が着座している座席を特定することができる。
【0015】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は本発明に係わる車両用空調装置を示すもので、この空調装置は空気通路を形成するエアダクト10を備えており、このエアダクト10はそのフェイス吹出口11およびフット吹出口12にて車室10a内に開口している。そして、フェイス吹出口11から乗員の上半身に向けて主に冷風が吹き出され、フット吹出口12から乗員の足元に向けて主に温風が吹き出される。エアダクト10内には、その空気導入口側から各吹出口11、12にかけて、内外気切替ドア80、ブロワ20、エバポレータ(冷房用熱交換器)30、エアミックスダンパ40、ヒータコア(暖房用熱交換器)50および吹出口切替ダンパ60が順に配設されている。
【0017】
内外気切替ドア80は、エアダクト10内に外気を導入するか、内気を導入するかを決める。ブロワ20は、そのブロワモータ20aの駆動に応じエアダクト10内にその導入口から空気流を導入し、エバポレータ30、エアミックスダンパ40、ヒータコア50および吹出口切替ダンパ60を介し、フェイス吹出口11またはフット吹出口12から車室10a内に空気を吹き出す。エバポレータ30は、コンプレッサ30aの作動下にて冷凍サイクル中の冷媒を受けてブロワ20からの空気流を冷却する。コンプレッサ30aは、これに付設の電磁クラッチ30bの選択的係合下にて当該車両のエンジンにより駆動される。
【0018】
エアミックスダンパ40は、空気の温度を調節する温度調節手段を構成するもので、その現実の開度θ(図1参照)に応じ、エバポレータ30からヒータ50に流入させるべき冷却空気流の量、およびエバポレータ30からヒータ50を迂回してその後流に流入させるべき冷却空気流の量を調節する。かかる場合、エアミックスダンパ40が図1にて図示破線(または実線)の位置にあるとき現実の開度θは最小開度θmin(または最大開度θmax)になる。ヒータコア50は、エンジン冷却水を受けてその流入冷却空気流を再加熱する。
【0019】
吹出口切替ダンパ60は、図1に実線で示す切替位置(以下、第1切替位置という)にて、ヒータコア50からの加熱空気流およびこのヒータコア50を迂回する冷却空気流の混合空気流をフット吹出口12から吹き出す。また、吹出口切替ダンパ60は、フット吹出口12を閉じる位置(以下、第2切替位置という)に切り替えられて、前記混合空気流をフェイス吹出口11から吹き出す。さらに、吹出口切替ダンパ60は、両吹出口11、12をともに開口する位置(以下、第3切替位置という)に切り替えられて、前記混合空気流を両吹出口11、12から吹き出す。
【0020】
空調装置は、非接触温度センサ70、内気温センサ71、開度センサ72〜74、さらには図示しない各種センサを備え、非接触温度センサ70は車室10a内の所定領域の表面温度を非接触で検出して表面温度信号を発生し、内気温センサ71は当該車室10a内の空気温度を検出して内気温信号を発生し、開度センサ72〜74は、エアミックスダンパ40、吹出口切替ダンパ60および内外気切替ドア80の現実の開度を検出して開度信号を発生する。
【0021】
操作パネル150は空調装置への乗員からの入力である各種設定信号(設定温度信号、モード選択信号、オート/マニュアル選択信号等)を生じる。ここで、操作パネル150は、乗員が希望する室内の温度を設定するための温度設定手段を含んでいる。
【0022】
ECU90は、図2に示すフローチャートに従ってプログラムを実行し、この実行中において、ブロワモータ20a、電磁クラッチ30b、3つのモータ120a、130a、140aにそれぞれ接続した各駆動回路100、110、120、130、140の制御に必要な演算処理をする。かかる場合、ECU90は、当該車両のイグニッションスイッチIGによりバッテリBから給電されて作動状態となり、プログラムの実行を開始する。また、上述のプログラムはECU90のROMに予め記憶されている。
【0023】
駆動回路100は、ECU90により制御されてブロワモータ20aの回転速度を制御する。駆動回路110は、ECU90により制御されて電磁クラッチ30aを選択的に係合させる。モータ120aは、ECU90の制御に応じて駆動回路120により駆動されて回転する。このことは、モータ120aが減速機構(図示せず)を介しエアミックスダンパ40の現実の開度を調節することを意味する。
【0024】
モータ130aは、ECU90の制御に応じて駆動回路130により駆動されて回転する。このことは、モータ130aが減速機構(図示せず)を介し吹出口切替ダンパ60を第1〜第3切替位置に選択的に切り替えることを意味する。モータ140aは、ECU90にに応じて駆動回路140により駆動されて回転する。このことは、モータ140aが減速機構(図示せず)を介し内外気切替ドア80の現実の開度を調節することを意味する。
【0025】
また、電磁クラッチ30bが、ECU90からの出力信号に応答して駆動回路110により駆動されて係合し、これに伴いコンプレッサ30aがエンジンにより駆動されて圧縮冷媒をエバポレータ30に供給する。しかして、ブロワ20による導入空気流が、エバポレータ30により冷却され、エアミックスダンパ40の現実の開度θに応じた量でもってヒータコア50に流入して加熱されるとともに、残余の空気流が、直接ヒータコア50の後方へ流入し加熱空気流と混合される。
【0026】
次に、本実施形態の要部である非接触温度センサ70について説明する。図3は、上記非接触温度センサ70による表面温度の検出領域160を示すもので、検出領域160には、運転者(乗員)Mの上半身(着衣部)M1、頭部M2、顔部M3、前席ドア171のサイドガラス171aおよびドア内張171b、前席シート172が含まれている。
【0027】
ここで、検出領域角θirが図4のように設定された非接触温度センサ70を、天井部において運転者Mの前方のルームミラー近傍に設置することにより、図3に示すように、非接触温度センサ70の位置から温度検出領域160を見たときに顔部M3とサイドガラス171aとが重なるように、すなわち顔部M3の背景部分がほぼサイドガラス171aとなるようにしている。
【0028】
また、非接触温度センサ70は、多数の温度検出素子が1つの基盤上に12行18列のマトリックス状に配置して構成され、各温度検出素子は温度検出領域160の各画素160a毎の表面温度をそれぞれ独立に検出して表面温度信号を発生する。この非接触温度センサ70は、被検温体の温度変化に伴う赤外線量の変化に対応して表面温度信号を発生する赤外線センサであり、より具体的には、被検温体の温度変化に伴う赤外線量の変化に対応して、赤外線量に比例した起電力を発生するサーモパイル型検出素子を用いた赤外線センサである。
【0029】
上記構成において、イグニッションスイッチIGの閉成により当該車両のエンジンを始動させるとともにECU90を作動状態におく。
【0030】
次いで、操作パネル150から操作信号を発生させれば、ECU90が、図2のフローチャートに従い、ECU90内のプログラムの実行を開始し、まずステップS100にて、以降の処理の実行に使用するカウンタやフラグを初期設定する初期化の処理を実行した後、ステップS110に移行する。そして、ステップS110、120にてスイッチ信号および非接触温度センサ70を含む各種センサ信号(内気温、エンジン冷却水温、エバポレータ出口温、車速、湿度等)を読み込む。これらのセンサ信号のうち、非接触温度センサ70の信号はステップS130へ入力される。
【0031】
ステップS130では、個々の温度検出素子の温度信号毎に、システムへの影響度(おもみ)を考慮した係数を設定する。すなわち、冷房熱負荷や温感への影響度合が大きい検出領域の表面温度信号出力値に対する係数を大きくする。
【0032】
次に、ステップS140では、ステップS120で読み込んだ表面温度信号出力値、設定温度および内気温とに基づき、目標吹出空気温度TAOが演算される。
【0033】
次に、ステップS150において、上記目標吹出空気温度TAOに基づいて目標風量に対応するブロワモータ20aへの印可電圧(第1ブロワ電圧)を算出するとともに、エンジン冷却水温に基づいて第2ブロワ電圧を算出し、そして両ブロワ電圧のうち低い方をブロワ電圧として決定する。
【0034】
次に、ステップS160では、目標吹出空気温度TAOとエンジン冷却水温及びエバポレータ出口温とに基づき、エアミックスダンパ40の目標開度SWを算出する。
【0035】
次にステップS170では、目標吹出空気温度TAOに基づき、内気導入にするか、外気導入にするかを決定する。次にステップS180では、目標吹出空気温度TAOに基づいて、吹出口モードをフェイスモード、バイレベルモード、およびフットモードのいずれにするかを決定する。
【0036】
そしてステップS190では、上記ステップS150〜ステップS180による演算結果に応じて、駆動回路100、120、130、140に、ブロワ電圧制御信号、エアミックスダンパ開度制御信号、内外気導入モード制御信号、および吹出口モード制御信号を夫々出力する。そして、ステップS200へ進み、周期時間t秒経過したか否かを判定し、NOの場合はステップS200で待ち、YESの場合はステップS110へ戻る。
【0037】
本実施形態では、非接触温度センサ70により検出した検出領域160の温度分布情報に基づいて顔部M3の位置を判断する。すなわち、夏場のクールダウン時のように内気温が極めて高い場合を除けば、温度分布は顔部M3付近が最も高温になるため、最も高温部(本例では、図3の斜線部)を顔部M3の位置と判断する。ちなみに、頭部M2の温度は27℃前後であり、顔部M3の温度は33℃前後である。
【0038】
そして、顔部M3の位置に対応する画素160aの温度を平均して顔部平均温度を求め、この顔部平均温度に基づいて、空調風の吹出風量(ブロワ電圧)や吹出温度(エアミックスダンパ開度θ)を制御して、温感にマッチした空調制御を行う。
【0039】
ここで、サイドガラス171aの温度は内気温と外気温の中間点あたりになり、外気温が高い夏場においても車室10aの温度が設定温度(25℃前後)に略等しくなった状態では、サイドガラス171aの温度は顔部M3の温度(33℃前後)よりも低くなる。従って、検出領域160の温度分布情報に基づいて顔部M3の位置を容易に判断することができる。しかも、サイドガラス171aの面積は大きいため、運転者Mが多少前後左右に移動しても、非接触温度センサ70の位置から温度検出領域160を見たときに顔部M3とサイドガラス171aとが重なる関係は維持される。
【0040】
また、顔部M3の位置に対応する画素160aの一部に、顔部M3の背景部分としてサイドガラス171aが含まれるが、ガラスは熱伝導率が低くかつ熱容量が大きいため、空調風、外気、日射等による急激な温度変化が起こりにくい。従って、顔部背景部分の温度変動による顔部平均温度の変動が少なくなり、空調風の吹出風量や吹出温度の変動が少なくなって、安定な温度環境を得ることができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、図5に示す第2実施形態について説明する。第1実施形態では非接触温度センサ70の温度検出領域160に入る乗員は一人であったが、本実施形態では温度検出領域160に複数(本例では二人)の乗員が入るようにしている。なお、非接触温度センサ70の設置位置および温度検出領域160を変更した点を除いては、第1実施形態と同一である。
【0042】
すなわち、本実施形態では、非接触温度センサ70を、天井部において運転者Mの前方のルームミラー近傍、あるいは、天井部において前席と後席の中間部で、かつ車両の幅方向中央部(図1、図4のX位置)に設置することにより、図5に示すように、非接触温度センサ70の位置から温度検出領域160を見たときに、後席シート173に着座した複数の乗員Mの顔部M3とリヤガラス174とが重なるように、すなわち顔部M3の背景部分がほぼリヤガラス174となるようにしている。
【0043】
上記構成において、温度検出領域160の温度分布情報に基づいて、後席乗員Mの有無、および着座位置を判断する。すなわち、顔部温度(33℃前後)に近い値を示す高温の画素部分(本例では、図5の斜線部)が例えば4画素以上隣り合って存在していれば、その高温の画素部分が乗員Mの顔部M3と推定し、その位置に乗員Mが着座していると判断する。
【0044】
そして、顔部M3の位置に対応する画素部分(図5の斜線部)の表面温度を平均して顔部平均温度を求め、この顔部平均温度に基づいて、空調風の吹出風量や吹出温度を制御して、温感にマッチした空調制御を行う。
【0045】
また、各席毎に独立して吹出風量や吹出温度を制御可能な空調装置の場合、乗員Mが着座している座席にのみ空調風を吹き出し、また、各座席の乗員Mの顔部平均温度に応じて、各座席毎に独立して吹出風量や吹出温度を制御する。
【0046】
本実施形態によれば、顔部M3の背景部分がほぼリヤガラス174となるようにしているため、第1実施形態と同様に、検出領域160の温度分布情報に基づいて顔部M3の位置を容易に判断することができ、また、空調風の吹出風量や吹出温度の変動が少なくなって、安定な温度環境を得ることができる。
【0047】
さらに、1つの非接触温度センサ70で複数の乗員Mの着座位置や顔部平均温度を検出するようにしているため、非接触温度センサ70を、検出対象となる乗員数よりも少なくすることができる。
【0048】
(第3実施形態)
次に、図6、図7に示す第3実施形態について説明する。第2実施形態では1つの非接触温度センサ70で後席シート173の複数の乗員の着座位置や顔部平均温度を検出したが、本実施形態では、1つの非接触温度センサ70で運転席乗員および助手席乗員の着座有無や顔部平均温度を検出するようにしている。なお、非接触温度センサ70の設置位置、温度検出領域160を変更した点、および図7の制御処理を追加した点を除いては、第1実施形態と同一である。
【0049】
すなわち、本実施形態では、非接触温度センサ70を、助手席側のAピラーの上方部ないしはAピラーの上下方向略中央部(図4のY位置)に設置することにより、図6に示すように、非接触温度センサ70の位置から温度検出領域160を見たときに、運転席乗員Mの顔部M3とフロントサイドガラス171aとが重なり、また、助手席乗員Mの顔部M3とリヤサイドガラス175とが重なるように、すなわち両乗員の顔部M3の背景部分がほぼガラスとなるようにしている。なお、本明細書でいうAピラーは、車室を構成する柱のうち、車両の幅方向の両側で、かつ車両最前方にある柱である。
【0050】
図7は前席乗員Mの有無および着座位置を判断するためのフローチャートであり、まず、ステップS300にて温度検出領域160の温度分布情報を取得する。次に、ステップS310にて、顔部温度に近い値を示す高温の画素部分(本例では、図6の斜線部)があるか否かを判定し、YESの場合は乗員Mがいると判断してステップS320に進む。ステップS320では、温度検出領域160の所定部位(正しい着座姿勢のときに顔部M3が位置すると推定される部位)の温度分布情報を抽出する。
【0051】
次に、ステップS330では、顔部温度に近い値を示す高温の画素部分が温度検出領域160のどの位置にあり、また、その高温の画素部分がいくつかたまって存在しているか(すなわち、顔部M3の大きさ)によって、乗員Mが着座している座席を特定する。
【0052】
そして、乗員着座席が特定できた場合(ステップS330がYES)はステップS340に進み、第2実施形態と同様にして、前席乗員Mの着座位置や各座席の乗員Mの顔部平均温度に応じて、吹出風量や吹出温度を制御する。
【0053】
本実施形態によれば、顔部M3の背景部分がほぼガラスとなるようにしているため、第1実施形態と同様に、検出領域160の温度分布情報に基づいて顔部M3の位置を容易に判断することができ、また、空調風の吹出風量や吹出温度の変動が少なくなって、安定な温度環境を得ることができる。
【0054】
さらに、第2実施形態と同様に、非接触温度センサ70を、検出対象となる乗員数よりも少なくすることができる。
【0055】
(第4実施形態)
次に、図8〜図10に示す第4実施形態について説明する。本実施形態は、車室内で移動する物体が乗員であるか荷物であるかを判断し、乗員に対して優先的(集中的)に空調制御を行うようにしたものである。なお、図8の制御処理を追加した点を除いては、第1実施形態と同一である。
【0056】
図8は移動物体が乗員であるか荷物であるか等を判断するためのフローチャートであり、まず、ステップS400にて温度検出領域160の現在の温度分布情報を取得し、ステップS410にて前回の温度分布情報を読み出し、ステップS420にて現在(今回)の温度分布情報と前回の温度分布情報から各画素毎の温度変化量を求め、ステップS430にてその各画素毎の温度変化量をしきい値と比較する。
【0057】
ここで、図9は各種被検温体の車室内での温度をある画素にて検出した際の温度変化の様子を示すもので、実線はシートやガラス等が日射や屋外環境温度等の環境の影響を受けて温度変化する場合の特性を示し、一点鎖線および二点鎖線は乗員または荷物が移動した場合の温度変化特性を示している。そして、図9から明らかなように、ガラス等が環境の影響を受けて温度変化する場合の温度変化は緩やかであり、一方、物体が移動した場合の温度変化は急である。
【0058】
従って、ステップS430にて各画素毎の所定時間あたりの温度変化量をしきい値と比較することにより、環境の影響による温度変化か物体の移動による温度変化かを判断することができ、温度変化量がしきい値以上となった画素があれば移動物有り(ステップS430がYES)と判断してステップS440に進む。
【0059】
ステップS440では、温度変化量がしきい値以上となった画素(図10の斜線部)についてのみ、その位置および今回の温度情報を保存する。
【0060】
次に、ステップS450では、温度変化量がしきい値以上となった画素(図10の斜線部)については前回の温度情報を、他の画素については今回の温度情報を、今回の温度情報として記憶する。そして、ここで記憶した温度情報が、後にステップS410にて前回の温度分布情報として読み出される。
【0061】
次に、ステップS460では、ステップS440で保存した温度情報に、顔部温度に近い値の温度情報が含まれているか否かを判定し、顔部温度に近い値の温度情報が含まれていなければ移動物体は荷物と判断し(ステップS460がNO)、顔部温度に近い値の温度情報が含まれていれば移動物体は乗員と判断して(ステップS460がYES)ステップS470に進む。
【0062】
次に、ステップS470では、ステップS440で保存した位置および温度情報に基づいて、乗員Mが着座している座席を特定する。そして、ステップS480に進み、乗員Mの着座位置や各座席の乗員Mの顔部平均温度に応じて、吹出風量や吹出温度を制御する。
【0063】
本実施形態によれば、例えば夏場のクールダウン時のように内気温が極めて高い場合、荷物側への空調風の吹き出しを停止し、乗員に対して優先的(集中的)に空調風を吹き出すことができる。
【0064】
(第5実施形態)
次に、図11に示す第5実施形態について説明する。本実施形態は、車室内温度(内気温)が、乗員Mが希望する設定温度に略等しくなった後に、乗員Mの着座位置や顔部平均温度を検出するようにしたものである。なお、図11の制御処理を追加した点を除いては、第1実施形態と同一である。
【0065】
図11はその制御フローチャートを示すもので、ステップS500にて、乗員Mが設定した設定温度および内気温の情報を取得する。次に、ステップS510にて設定温度と内気温を比較し、内気温が設定温度に略等しくなった場合(例えば内気温=設定温度±2℃)にはステップS520に進む。そして、ステップS520では、非接触温度センサ70で検出した温度分布情報に基づいて、乗員Mの着座位置や顔部平均温度を検出する。
【0066】
このように、内気温が設定温度に略等しくなった状態では、ガラスの温度は内気温と外気温の中間点あたりで安定しているため、乗員Mの着座位置や顔部平均温度の検出精度を向上することができる。
【0067】
なお、吹出風量や吹出温度等から、内気温が設定温度に略等しくなったか否かを判定してもよい。
【0068】
(第6実施形態)
次に、図12に示す第6実施形態について説明する。図12において、前席シート172の座面172aに、荷重に応じた電気信号を発生する多数の荷重センサ180を分散して配置している。なお、荷重センサ180を追加した点を除いては、第1実施形態と同一である。
【0069】
そして、多数(本例では16)の荷重センサ180の信号により座面172a上の荷重分布を求め、この荷重分布からシート172内での乗員Mの着座位置を求めることにより、乗員Mの顔部M3の位置(左右のどちら寄りか)を推定することが可能である。従って、荷重センサ180の荷重分布情報と非接触温度センサ70の温度分布情報とに基づいて、乗員Mの顔部M3の位置を正確に推定することができる。
【0070】
(他の実施形態)
図12の荷重センサ180の信号またはシートベルトスイッチの信号にて乗員の着座が確認された時点で、非接触温度センサ70で検出した温度分布情報に基づいて、顔部平均温度を検出するようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、非接触温度センサとしてサーモパイル型検出素子を用いた赤外線センサを例示したが、ボロメータ型検出素子や焦電型検出素子を用いた赤外線センサを用いることもできる。さらに、赤外線センサに限らず、被検温体の表面温度を非接触で検出する他の形式の非接触温度センサを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】図1のECUにて実行される空調制御処理を示すフローチャートである。
【図3】図1の非接触温度センサの温度検出範囲を示す車室内の図である。
【図4】図1の車両の平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態の温度検出範囲を示す車室内の図である。
【図6】本発明の第3実施形態の温度検出範囲を示す車室内の図である。
【図7】本発明の第3実施形態の空調制御処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第4実施形態の空調制御処理を示すフローチャートである。
【図9】第4実施形態の作動説明に供する特性図である。
【図10】非接触温度センサにて取得した温度検出範囲の温度分布を示す図である。
【図11】本発明の第5実施形態の空調制御処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第4実施形態を示すシート部の平面図である。
【図13】従来の温度検出範囲を示す車室内の図である。
【符号の説明】
70…非接触温度センサ、160…温度検出領域、
171a、174、175…ガラス部、M…乗員、M3…顔部。
Claims (1)
- 車両の幅方向に複数の座席が配置された車両に搭載され、乗員(M)の顔部(M3)およびこの顔部(M3)の周囲を温度検出領域(160)とし、この温度検出領域(160)の温度分布を多数の温度検出素子により非接触で検出する非接触温度センサ(70)を備え、前記非接触温度センサ(70)の温度信号に基づいて空調制御を行う車両用空調装置において、
前記非接触温度センサ(70)の位置から前記温度検出領域(160)を見たときに前記顔部(M3)と車両のガラス部(171a、174、175)とが重なるように、前記非接触温度センサ(70)の位置を設定し、
1つの前記非接触温度センサ(70)の前記温度検出領域(160)に、異なる座席に着座した複数の前記乗員(M)が入るようにして、前記車両の幅方向の一方側に前記非接触温度センサ(70)を配置し、前記顔部(M3)の大きさを前記温度信号に基づいて求め、前記顔部(M3)の大きさから前記乗員(M)が着座している座席を特定することを特徴とする車両用空調装置。
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