JP4321288B2 - 電子写真用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、複写機やプリンタ等に使用される電子写真用トナーに関する。
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を作成する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては帯電、露光工程により感光体上に静電荷像を形成し、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像し、転写、定着工程を経て可視化される。ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とがあるが、そのトナーの製法は通常、熱可塑性樹脂を顔料、帯電制御剤、ワックスなどの離型剤とともに溶融混練し、冷却後、微粉砕し、さらに分級する混練粉砕製法が使用されている。これらトナーには、必要であれば流動性やクリーニング性を改善するための無機、有機の微粒子をトナー粒子表面に添加することもある。
近年カラー電子写真法の普及が著しいが、それと共に使用される分野も広くなっている。例えば画像中に付加情報を重畳して埋め込んだ付加データを埋め込み、静止画像等のデジタル著作物の著作権保護、不正コピー防止やIDカード等に利用し、偽造防止やセキュリティー性を高める不可視情報用トナーや、トナー溶融までのヒートアップ時間が短く、小エネルギー化、オフセット現象とは無縁な、非接触定着方式であるフラッシュ定着用トナーが挙げられる。
これらに使用されるトナーは、近赤外に吸収を持つ有機系化合物(色素等)や、無機系化合物を含有している。しかし、それらの中で有機系化合物の構造中にポリメチン鎖を有するシアニン系化合物、ポリメチン系化合物、ピリリウム系化合物等の近赤外光吸収剤は、光や熱に弱く、特に光を吸収して分解し易く、それら単独では、近赤外光吸収剤本来の性能を十分発現していないのが現状である。
具体的には、例えば不可視情報用トナーの場合、経時で徐々に分解して、情報の読み込み精度が低下する場合や、分解により、スペクトルが変化して、定着画像が、目視で確認出来てしまう可能性がある。
また、フラッシュ定着用トナーの場合は、定着時の光で、近赤外光吸収剤が分解してしまい、熱吸収性が低下する場合や、また、定着後に経時でさらに分解してしまい、定着画像の色合いが変化する可能性がある。
例えば、特許文献1には、シアニン系色素、ポリメチン系色素、ピリリウム系色素等の色素を記録層として使用する光記録媒体における耐光性向上を目的に、ベンゼンジチオール銅錯体系の光安定化剤が開示されている。
特開平10−279936号公報
従来の技術においては、ポリメチン鎖を有するシアニン系化合物、ポリメチン系化合物、ピリリウム系化合物等の近赤外光吸収剤を含有する電子写真用トナーにおいては、光に対して不安定であるために、経時で分解し易く、それを含有するトナーとしての機能が十分発現し難い。
また、特許文献1のような光記録媒体においては、通常400nm〜800nmの波長を持つ半導体レーザにより記録を行うため、記録層に用いる色素としては半導体レーザの波長に吸収を有することが必要となる。しかし、不可視情報用トナーの場合は、可視部に吸収は必要ないため、用いる近赤外吸収剤については異なる設計が必要となる。
本発明は、ポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤を含有する電子写真用トナーにおいて、安定的に不可視情報の読み込みが可能で、定着後に長期に渡り安定した近赤外光吸収能を有する電子写真用トナーを提供する。
本発明は、ポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤を含有する電子写真用トナーであって、前記ポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤は、ピリリウム系化合物であり、前記近赤外光吸収剤は、800〜1200nmに最大吸収波長λmaxを有し、かつ380〜780nmにおける最大吸収波長λmaxの吸収率は前記800〜1200nmにおける最大吸収波長λmaxの吸収率の30%以下であり、前記トナーは、さらに、N,N,N’N’−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミン−過塩素酸アミニウム塩、N,N,N’N’−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミンビス−過塩素酸イモニウム塩から選択される少なくとも1つの化合物を前記近赤外光吸収剤の質量に対して0.1〜50質量%含有し、前記トナーの体積平均粒子径は5.5〜5.9μmである
本発明によって、ポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤を含有する電子写真用トナーにおいて、近赤外光吸収剤の可視部及び近赤外部における吸収率を規定し、さらにトナーに特定の化合物を含有させることにより、光等に対する安定性が向上し、安定的に不可視情報の読み込みが可能で、定着後の長期画像安定性等に優れる。
以下に、本発明における電子写真用トナーの実施形態について説明する。
本発明の一実施形態において、電子写真用トナーはポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤と、アミニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、銅系錯体化合物、ニッケル系錯体化合物、メタロセン系化合物から選択される少なくとも1つの化合物と、を含む。また、結着樹脂を含むことが好ましい。さらに必要に応じて、顔料、離型剤、その他の成分を含有してもよい。
ポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤は、800〜1200nmに最大吸収波長λmaxを有し、かつ380〜780nmにおける最大吸収波長λmaxの吸収率は前記800〜1200nmにおける最大吸収波長λmaxの吸収率の30%以下であり、好ましくは20%以下である。それを満たさない場合、可視領域における吸収が大きくなってしまい、例えば、不可視情報パターンとして使用した場合、情報パターンが目視で確認し易くなり、また、読み込みを行う上で、可視領域と近赤外領域との間の吸収差が得られなくなる恐れがある。また、フラッシュ定着トナー用として使用した場合、色材として顔料を含む場合において、色調が上記近赤外光吸収剤を含まない場合と比べて、著しく変化してしまう可能性が高い。
なお、ここで使用されている「吸収率」とは、吸収率(%)=100−反射率(%)で表され、反射率は、分光光度計(日立製:U−4000)等により測定出来る。
また、ポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤は、800〜1200nmの波長域に最大吸収波長λmaxを有するが、800〜1000nmの波長域に有することがより好ましく、CCDの光学感度が高い900nm〜1000nmの波長域に有することがさらに好ましい。
ポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤は、メロシアニン系化合物、インドシアニン系化合物、チアシアニン系化合物、オキサシアニン系化合物、シアニン系化合物、トリアリールメタン系化合物、フェナンスレン系化合物、テトラデヒドロコリン系化合物、クロコニックメチン系化合物、スクアリリウム系化合物、ポリメチン系化合物、ピリリウム系化合物、およびクロコニウム系化合物等の化合物から選択される少なくとも1つの化合物であることが好ましい。これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上用いても良い。なお、ここでポリメチン鎖とは、メチン結合(−C=)の連鎖を含む鎖のことを言う。また、フタロシアニン系化合物、アミニウム系化合物、イモニウム系化合物、ニッケル錯体化合物、アントラキノン系化合物、又はナフタロシアニン系化合物等の他の近赤外光吸収剤と併用してもよい。さらに、酸化イッテルビウム、ITO、ATO、又は酸化スズ等の無機系近赤外光吸収剤と併用してもよい。また、ポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤と、前記他の近赤外光吸収剤と、無機系近赤外光吸収剤を併用してもよい。
この場合、ポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤と上記他の近赤外光吸収剤の混合比は質量比で100:0〜50:50、ポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤と無機系近赤外光吸収剤の混合比は質量比で100:0〜5:95であることが好ましい。また、ポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤と、前記他の近赤外光吸収剤と、無機系近赤外光吸収剤を併用する場合は、ポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤と、前記他の近赤外光吸収剤および無機系近赤外光吸収剤の混合比は質量比で100:0〜50:50で、そのうち前記他の近赤外光吸収剤および無機系近赤外光吸収剤の混合比は100:0〜5:95であることが好ましい。
また、前記近赤外光吸収剤の合計量は、トナー構成固体分総質量に対し0.1〜10質量%含まれることが好ましく、0.2〜5質量%含まれることがより好ましい。0.1質量%未満の場合、情報の読み込みが出来る吸収が得られない。また、10質量%を超える場合は、近赤外光吸収剤の着色が目立ち、目視で認知し易くなる恐れがある。さらに、混練にてトナー化の際、バインダーが相対的に少なくなるために、トナー化困難になる場合や、また近赤外光吸収剤が均一に分散し難くなる可能性が高い。
また、ポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤の平均分散径は1μm以下が望ましく、より望ましくは0.5μm以下が良い。1μmを超える場合、近赤外光吸収剤の着色が目立ち易くなる。
なお、「平均分散径」とは、トナー中に分散している個々の近赤外吸収剤の平均粒子径を意味する。この平均分散径は、TEM(透過型電子顕微鏡:日本電子データム(株)製、JEM−1010)観察により、トナー中に分散している1000個の粒子状の近赤外吸収剤について、個々の断面積よりその粒径を算出し、これを平均した値より求めることができる。
ポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤の粒度分布は、1〜1.5であることが好ましく、1〜1.2であることがより好ましい。粒度分布が1.5を超える場合、粗大粒子の存在が近赤外光吸収量を低下させ易い。
なお、「粒度分布」は、上記で求めた「平均分散径」において、16%径と84%径から粒度分布を計算した。
本実施形態における電子写真用トナーは、アミニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、銅系錯体化合物、ニッケル系錯体化合物、メタロセン系化合物から選択される少なくとも1つの化合物を含有する。メタロセン系化合物としては、フェロセン系、チタノセン系、ニッケロセン系等のメタロセン系化合物などが挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上用いても良いが、可視光領域に吸収の少ないものを使用すると、着色が目立たなくなるので好ましい。例えば、800〜1200nmに最大吸収波長λmaxを有し、かつ380〜780nmにおける最大吸収波長λmaxの吸収率は前記800〜1200nmにおける最大吸収波長λmaxの吸収率の30%以下であり、好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。なお、これらの化合物は、一重項酸素を補促することによりポリメチン鎖の分解を防止する、いわゆる一重項酸素クエンチャとしての働きを有することが好ましい。この一重項酸素クエンチャとしての働きを有することにより、ポリメチン鎖を有する近赤外吸収剤の酸化劣化が防止され、その結果、耐光性が向上し、経時による近赤外吸収剤の分解による近赤外光吸収性の低下や、分解による定着画像の変質を防ぐことが出来る。
また、アミニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、銅系錯体化合物、ニッケル系錯体化合物、メタロセン系化合物から選択される少なくとも1つの化合物、の含有量は、ポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤の質量に対して0.1〜50質量%、より好ましくは1〜30質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、一重項酸素クエンチャとしての効果が殆ど得られないため、経時により近赤外吸収剤が分解し易くなる。また、50質量%を超える場合、過剰量に含有せしめても、一重項酸素クエンチャとしての効果は殆ど変化しない。また、これらの化合物のスペクトルが可視光領域に吸収が多い場合、その着色が目立つため、好ましくない。
また、アミニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、銅系錯体化合物、ニッケル系錯体化合物、メタロセン系化合物から選択される少なくとも1つの化合物、の平均分散径は1μm以下が望ましく、より望ましくは0.5μm以下が良い。1μmを超える場合、これらの化合物の着色が目立ち易くなる。
また、アミニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、銅系錯体化合物、ニッケル系錯体化合物、メタロセン系化合物から選択される少なくとも1つの化合物、の粒度分布は、1〜1.5であることが好ましく、1〜1.2であることがより好ましい。粒度分布が1.5を超える場合、粗大粒子の存在が一重項酸素クエンチャの効果を低下させ易い。
本実施形態における電子写真用トナーは、トナーとして使用する分には、特に限定は無いが、トナー特性を考慮すると、不可視情報パターン形成用トナーとして用いられることが好ましい。また、フラッシュ定着用トナーとして用いられることが好ましい。
不可視情報パターン用トナーとして用いられる場合、CCD等の読み取り装置による読み取り書き込み強度・復号化時の精度を確保する点から、トナーの近赤外領域における最大吸収波長λmaxは800〜1200nmの範囲にあることが好ましく、800〜1000nmの波長域に有することがより好ましく、CCDの光学感度が高い900nm〜1000nmの波長域に有することがさらに好ましい。
なお、トナーの近赤外光領域における吸収率(近赤外光吸収率)は、分光光度計(日立製:U−4000)等を用いて、トナーにより形成された画像の近赤外域の分光反射率をNIR(1)、画像出力媒体の近赤外域の分光反射率をNM(1)と測定することにより、下式(1)に示したように求められる。
トナーの近赤外光吸収率=NIR(1)−NM(1)・・・(1)
さらに、上記と同様に、可視域において測定することにより、トナーの可視光領域における吸収率(可視光吸収率)も求めることができる。即ち、トナーにより形成された画像の可視光域の分光反射率をV(1)、画像出力媒体の分光反射率をVM(1)と測定することにより、下式(2)に示したように求められる。
トナーの可視光吸収率=V(1)−VM(1)・・・(2)
不可視情報パターン用トナー及びフラッシュ定着用トナーとして使用される場合、トナー製造方法としては、混練法、乳化重合法、懸濁重合法などいずれでも良いが、前記近赤外吸収剤は、熱に対して一般的にあまり安定ではないため、混練法よりも低温で作成出来るヘテロ凝集法が好ましい。
トナー用の結着樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、乳化重合法の場合、ビニル系二重結合を有する重合性モノマーを重合して得られる樹脂であることが好ましく、不飽和カルボン酸を繰り返し単位に含有するスチレン−アクリル系共重合樹脂であることがより好ましい。
具体的には、例えば、以下に列挙するような材料を用いることができる。スチレン、パラクロルスチレンなどのスチレン類;ビニルナフタレン、塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n―ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n―オクチル、アクリル酸2―クロルエチル、アクリル酸フェニル、α―クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメチレン脂肪族カルボン酸エステル類;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;アクリルアミド;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;N―ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物などの含N極性基を有するモノマー;メタクリル酸、アクリル酸、桂皮酸、カルボキシエチルアクリレートなどビニルカルボン酸類;等が挙げられる。
また近赤外光吸収剤を含有させて熱溶融混練・粉砕法によりトナー化する場合には、トナー粒子中における、近赤外光吸収材料の分散均一性、濃度設定の自由度、および、近赤外トナー粒子の機械的強度確保等の観点から、ポリエステルを結着樹脂として用いることが好ましい。
ポリエステル樹脂の合成に用いられるポリオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。
ポリカルボン酸成分としては、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパンテトラメチレンカルボン酸など、およびそれらの無水物などが挙げられる。
さらに、これらポリエステル系の結着樹脂としては、軟化点が90℃〜150℃、ガラス転移点が50℃〜80℃、数平均分子量が2000〜7000、質量平均分子量が8000〜15000、酸価が5〜40、水酸基価が5〜50の範囲である樹脂が、定着性、及び、偽造防止効果等発現可能となるトナーにより形成される不可視情報画像領域への光沢性付与の観点で特に好ましい。
ヘテロ凝集法による製造法の場合、例えば乳化重合凝集法において、通常1μm以下の、微粒化された原材料を出発物質とするため原理的に小径かつ狭い粒度分布のトナーを効率的に作成することができるため、高画像な定着画像を得ることが出来るため、好ましい。
このようにして得られる結着樹脂の微粒子分散液中の微粒子の中心径(メジアン径)は1μm以下が好ましく、より好ましくは50〜400nm、さらに好ましくは70〜350nmの範囲が適当である。なお、微粒子の中心径は、例えばレーザ回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)等で測定することができる。
乳化重合凝集法トナーの製造における凝集工程において、pH変化により凝集を発生させ、粒子を調整することができる。同時に粒子の凝集を安定に、また迅速に、またはより狭い粒度分布を持つ凝集粒子を得る方法として、凝集剤を添加しても良い。
凝集剤としては一価以上の電荷を有する化合物が好ましく、凝集剤として一価以上の電荷を有する化合物の具体例としては、前述のイオン性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の水溶性界面活性剤類;塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸類;塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩;酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸、芳香族酸の金属塩:ナトリウムフェノレート等のフェノール類の金属塩;アミノ酸の金属塩、トリエタノールアミン塩酸塩、アニリン塩酸塩等の脂肪族、芳香族アミン類の無機酸塩類;等が挙げられる。
凝集粒子の安定性、凝集剤の熱や経時に対する安定性、洗浄時の除去を考慮した場合、無機酸の金属塩が性能、使用の点で好ましい。具体的には塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩が挙げられる。
これらの凝集剤の添加量は、電荷の価数により異なるが、いずれも少量であって、一価の場合は3質量%以下程度、二価の場合は1質量%以下程度、三価の場合は0.5質量%以下程度である。凝集剤の量は少ない方が好ましいため、価数の多い化合物が好ましい。
本実施形態のトナー製造方法において、融合工程を終了した後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程等を経ることにより本実施形態のトナーを得ることができる。この際、洗浄工程は帯電性を考慮すると、イオン交換水で十分に置換洗浄することが好ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
着色剤を含有させる場合は、黒色顔料、黄色顔料、橙色顔料、赤色顔料、青色顔料、紫色顔料、緑色顔料、白色顔料、体質顔料、染料などを挙げることが出来る。これら着色剤は、一種単独で、または二種以上を併用して使用される。また、上記着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。
前記着色剤は、トナー構成固体分総質量に対して4〜15質量%の範囲で添加することが好ましい。着色剤の配合量を上記範囲にすることにより、定着時の発色性を確保することができる。
本実施形態において使用する離型剤の例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を示すシリコン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような加熱により軟化点を示す脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような加熱により軟化点を示す植物系ワックス;ミツロウのような加熱により軟化点を示す動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような加熱により軟化点を示す鉱物系・石油系ワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。これらのワックス類は、室温付近では、トルエンなど溶剤にはほとんど溶解しないか、溶解しても極めて微量である。
これらの離型剤は、トナー構成固体分総質量に対して5〜25質量%の範囲で添加することが、オイルレス定着システムにおける定着画像の剥離性を確保する上で好ましい。
また、本実施形態における電子写真用トナーは、必要に応じて、画像の耐候性などを向上させるために重合性紫外線安定性モノマーなどを含有しても良い。
また本実施形態における電子写真用トナーの体積平均粒子径としては、ヘテロ凝集法の場合、3〜9μmが好ましく、4〜8μmがさらに好ましく、特に4.5〜7.5μmが好ましい。体積平均粒子径が3μm以上であるとトナーの重量が重いため、感光体とトナーの衝突時にトナー表面の金属酸化物を埋め込む力が大きく、結果として感光体表面に金属酸化物の残留を防ぐことができる。9μm以下であると、現像時の細線再現性に優れる。
混練法の場合は、製造性を考慮すると、3〜12μmの範囲が好ましく、5〜10μmの範囲がより好ましい。体積平均粒径が、3μmより小さいと、静電的付着力が重力と比べて大きくなり、粉体としてハンドリングするのが困難になる可能性が高い。一方、体積平均粒径が、12μmより大きいと、高画質や高精細な不可視情報の記録が困難になる可能性が高くなる。
なお、トナーの体積平均粒子径は、レーザ回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)等で測定することができる。
また、本実施形態において、電子写真用現像剤は、前記電子写真用トナーを含むことが好ましい。電子写真用トナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられることが好ましい。二成分現像剤として用いる場合には公知のキャリア等と混合して使用されることが好ましい。
(画像形成方法)
本実施形態において、画像形成方法は、前記電子写真用トナーを用いることが好ましい。また、本実施形態において、画像形成方法は、前記電子写真用トナーを含む電子写真用現像剤を用いることが好ましい。特に不可視情報パターンの場合は、画像出力媒体表面に、不可視画像のみ、または、不可視画像の上に可視画像が積層されて設けられ、少なくともいずれかの不可視画像が2次元パターンからなる画像形成方法により画像が形成され、不可視画像が、本実施形態における前記電子写真用トナーにより形成されることが好ましい。
なお、「不可視画像」とは、近赤外域において、CCD等の読み取り装置により認識することができる画像であると共に、不可視画像を形成する電子写真用トナーが可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性を有さないために、可視域において、目視により認識することができない(即ち、不可視である)画像を意味する。
また、「可視画像」とは、赤外域において、CCD等の読み取り装置により認識することが出来ない画像であると共に、可視画像を形成する電子写真用トナーが、可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性を有するために、可視域において、目視により認識できる(即ち、可視である)画像を意味する。
本実施形態において形成される不可視画像は、前記電子写真用トナーを用いて形成されることにより、赤外光照射によって機械読み取り・復号化処理が長期間にわたり安定して可能で、情報が高密度に記録できる。また、前記不可視画像は、可視域において発色性を有さず、不可視であるために、画像出力媒体の画像形成面に可視画像が設けられるか否かに関係なく、該画像形成面の任意の領域に形成することができる。
また、画像形成面に形成された可視画像の領域と、不可視画像の領域との一部または全部が重なる場合は、前記可視画像と前記不可視画像とが重なって形成される領域において、前記不可視画像は、前記可視画像と、画像出力媒体表面との間に形成されることが好ましい。このような場合、画像形成面を正面から目視しても可視画像しか認識できないが、斜めから目視した場合には、不可視画像が形成された領域と、それ以外の領域の光沢差により、可視画像の品質を損なうことなく、前記不可視画像の存在を確認することができる。一方、画像出力媒体表面に形成された可視画像表面に不可視画像が形成される場合には、該不可視画像による可視光隠蔽により、前記可画像の発色を妨げ、画像欠陥となってしまう。
また、不可視画像を、画像出力媒体表面と、可視画像との間に形成することにより、前記不可視画像が、前記可視画像により保護される。このため、画像出力媒体の可視画像及び不可視画像が形成された画像形成面の摩耗等により、不可視画像が劣化しにくいため、より長期にわたり、安定して赤外光照射により機械読み取り・復号化処理が可能である。
さらに、偽造物の流通により多大な不利益を蒙る可能性の高い機密文書や有価証券等においては、真贋を識別するために不可視画像として記録された情報が、可視画像により保護されるため、前記情報の除去や書き換えが極めて困難になり、優れた偽造抑止効果を得ることが可能となる。
このような光沢差に起因する不可視画像の目視による認識は、本物認識・偽造防止効果を得るためにのみ限定されるものではなく、例えば、バーコードのようなハンディタイプの読み取り機によって、画像出力媒体表面の特定の位置に形成された不可視画像の情報を読み取る際に、不可視の情報が記録された位置を認識する際の目印等として、他の用途にも幅広く利用することができる。
特に本実施形態の不可視情報パターン用画像形成において、可視画像が、近赤外光領域における吸収率が5%以下である、イエロー色、マゼンタ色、シアン色、の少なくともいずれかのトナーにより形成されることが好ましい。
本発明の一実施形態において、可視画像形成も電子写真法を用いる場合、可視画像形成用に使用するトナーとしては、公知のものを用いることができるが、近赤外光領域における吸収率(近赤外光吸収率)が、5%以下であるイエロー色、マゼンタ色および/またはシアン色のトナー(以下、「可視トナー」と略す場合がある)を用いることが、不可視情報の読み取り精度確保の点で好ましい。
可視トナーの近赤外光吸収率が5%以上である場合には、画像出力媒体表面に、不可視画像と、可視画像とが形成された画像形成面を、赤外光照射により機械読み取りする場合において、可視画像も、不可視画像として誤認されてしまう場合がある。特に、画像形成面の不可視画像が形成された領域を特定せずに機械読み取りする場合や、可視画像と、画像出力媒体表面との間に不可視画像を形成する場合においては、不可視画像の情報のみを読み取って正確に復号化することが困難になる可能性が高い。
この可視トナーの近赤外光吸収率は、既述したトナーの場合と同様に分光反射率測定機等を用いて、前記可視トナーにより形成された可視画像の近赤外域の分光反射率をVNIR(1)、画像出力媒体の分光反射率をM(1)と測定することにより、下式に示したように求められる。
可視トナーの近赤外光吸収率=VNIR(1)−M(1)・・・(3)
上記したような可視トナーを得るために用いる着色剤としては、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーン・オキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などを代表的なものとして例示することが出来る。
また、不可視画像の読み取り精度を高めるためには、不可視画像を形成するトナーの800〜1200nmにおける最大吸収率は、可視画像を形成する可視トナーの800〜1200nmにおける近赤外光吸収率よりも15%以上大きいことが好ましく、30%以上大きいことがより好ましい。
不可視画像と可視画像との近赤外光吸収率差が15%よりも小さい場合には、不可視画像の近赤外吸収率と、可視画像の近赤外吸収率と、の間の吸収率域において、機械読み取りする際に不可視画像か否かを識別して読み取るために、一定のコントラスト(閾値)を境界として2値化処理して、不可視画像のみを認識して読み取ることが困難となる場合がある。このような場合、可視画像が、不可視画像の読み取り、さらには、不可視画像に記録された情報を正確に復号化する際の障害となってしまう可能性がある。
なお、このような、不可視画像を形成するトナーの近赤外光吸収率と、可視画像を形成する可視トナーの近赤外光吸収率との差(以下、単に「近赤外光吸収率差」と略す場合がある)は、分光反射率測定機を用いて、画像出力媒体表面に形成された不可視画像(ベタ画像)の分光反射率NIR(1)と、画像出力媒体表面に形成された可視画像(ベタ画像)の分光反射率VNIR(1)と測定することにより、下式に示したように求められる。
近赤外光吸収率差=NIR(1)−VNIR(1)・・・(4)
(不可視画像の具体例)
次に、本発明の一実施形態における画像形成方法により形成される不可視画像の画像構成、不可視画像の目視による認識、及び不可視画像の機械読み取り等について具体的に説明する。
不可視画像は、前記電子写真用トナーを用いて形成されるもので、近赤外光照射により機械読み取り可能であれば特に限定されるのではないが、文字、数字、記号、模様、絵、写真等の画像からなるのは勿論、JAN、標準ITF、Code128、Code39、NW−7等と呼ばれる公知のバーコードのような2次元パターンであってもよい。
不可視画像がバーコードのような2次元パターンからなる場合には、画像出力媒体に画像を形成した画像形成装置を特定するためのシリアル番号や、画像出力媒体表面に前記不可視画像と共に形成される可視画像の著作権認証番号等として利用できる。また、不可視画像と共に形成される可視画像が機密文書・有価証券・免許・個人IDカード等の形態をとる場合においては、これら偽造物の識別を検出することにも効果的に用いられる。
なお、上記のバーコードの例のみならず、本実施形態において、2次元パターンとは、従来可視で認識可能な画像として用いられてきた公知の記録方式であれば特に限定されるものではない。例えば、微小面積セルを幾何学的に配置させた2次元パターンを形成する方法としては、QRコードと呼ばれる2次元バーコードが挙げられる。また、微小ラインビットマップを幾何学的に配置させた2次元パターンを形成する方法としては、特開平4−233683号公報に記載の技術である、回転角度が異なる複数のパターンによるコードの形成方法が挙げられる。
このような2次元パターンからなる不可視画像を画像出力媒体表面に形成することにより、容量の大きい情報、例えば、音楽情報、文章アプリケーションソフトの電子ファイル等を目視では理解できない形式で画像に埋め込むことが可能となり、より高度な機密文書あるいはデジタル/アナログ情報共有文書等の作成技術を提供することが出来る。
(フラッシュ定着)
本発明の電子写真用トナーの一実施形態によるフラッシュ定着用トナーとしての使用について説明する。前記電子写真用トナーを含有する現像剤の使用により可視化された画像を記録媒体に転写した後に定着する工程において、トナー定着方式として、光定着方式を使用することが好ましい。前記光定着方式は、例えば、前記記録媒体に転写された前記可視化された像に対し光定着器を用いて光照射することにより行うことができる。前記光定着器は、赤外線を照射するフラッシュ定着器(フラッシュランプ)を少なくとも有する。前記光定着手段は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。前記フラッシュ定着器(フラッシュランプ)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、赤外線ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプなどが好適に挙げられる。
前記光定着における前記光定着器による発光波長としては、用いる近赤外光吸収剤における吸収波長と近いことが好ましい。フラッシュ光は、可視光から近赤外光までに及ぶ広い波長域の光のなかから、使用するフラッシュ定着装置の仕様に応じて適切なものを使用することができる。特に、フラッシュ光としてキセノンランプを用いて、効率よくトナーを定着することができる。また、キセノンのランプ強度を示すフラッシュ光1回の単位面積当りの発光エネルギーは、発光エネルギー密度で表して、カラートナー1色当たり、1〜3J/cm2程度が好ましく、4色まとめて定着を行う場合には、2〜7J/cm2程度が好ましく、3〜5J/cm2程度がより好ましい。前記光エネルギーが、前記数値範囲に満たないと、良好に定着できないことがある一方、前記数値範囲を超えると、トナーボイド、用紙の焦げ等が発生することがある。なお、発光エネルギー密度: S(J/cm2)は、以下の式(5)で表される。
S=((1/2)×C×V2)/(u×l)/(n×f)・・・(5)
(ここで、ランプ本数 :n(本)、点灯周波数: f(Hz)、入力電圧: V(V)、コンデンサ容量: C(μF)、プロセス搬送速度: u(mm/s)、印字幅: l(mm)を表す。)
また、フラッシュ光の発光時間は、フラッシュ光の発光エネルギー密度などに応じて広く変更することができるというものの、通常、500〜3,000μ/sの範囲であることが好ましい。フラッシュ光の発光時間が短すぎると、フラッシュ定着率を上昇させるのに十分な程度にトナーを溶融させることができない。また、フラッシュ光の発光時間が長すぎると、記録媒体上に定着したトナーの過熱を引き起こすおそれがある。
さらに、カラートナーの良好な定着とともに長期安定性を得るため、フラッシュ定着にハロゲン光定着を併用することも推奨される。また、目的に応じて、前記光定着と共に、例えば、熱ローラ定着器などの公知の定着器を用いてもよい。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(樹脂微粒子分散液の調整)
スチレン 540質量部
n−ブチルアクリレート 60質量部
アクリル酸 12質量部
ドデカンチオール 18質量部
上記成分を混合溶解してモノマー溶液を調製した。
また、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックス)14質量部をイオン交換水250質量部に溶解し、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化する(単量体乳化液A)。さらに、同じくアニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックス)1質量部を555質量部のイオン交換水に溶解し、重合用フラスコに仕込む。重合用フラスコを密栓し、還流管を設置し、窒素を注入しながら、ゆっくりと攪拌しながら、85℃まで重合用フラスコをウオーターバスで加熱し、保持する。過硫酸アンモニウム9質量部をイオン交換水43質量部に溶解し、重合用フラスコ中に定量ポンプを介して、20分かけて滴下した後、単量体乳化液Aを再度定量ポンプを介して200分かけて滴下する。その後、ゆっくりと攪拌を続けながら重合用フラスコを85℃に、3時間保持して重合を終了する。これにより微粒子の中心径が190nm、ガラス転移点が54℃、酸化が25mgKOH/g、固形分量が42%のアニオン性の樹脂微粒子分散液を得た。
(近赤外吸収剤粒子分散液(1)の調製)
ピリリウム系化合物(林原生物化学研究所製、NK−2674、λmax=943nm、(吸収率 at λmax380-780)/(吸収率 at λmax800-1200)=0.2) 46質量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製、ネオゲンR) 4質量部
イオン交換水 200質量部
上記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)により10分間予備分散し、さらにサンドミルで2時間分散することにより中心径125nm、固形分量20.0%の近赤外吸収剤粒子分散液(1)を得た。
(近赤外吸収剤粒子分散液(2)の調製)
ピリリウム系化合物NK−2674の代わりに、シアニン系化合物(山本化成社製、YKR−2200、λmax=1007nm、(吸収率 at λmax380-780)/(吸収率 at λmax800-1200)=0.1) 46質量部を使用した以外は、近赤外吸収剤粒子分散液(1)の調製と同様にして、中心径150nm、固形分量20.0%の近赤外吸収剤粒子分散液(2)を得た。
(近赤外吸収剤粒子分散液(3)の調製)
ピリリウム系化合物NK−2674の代わりに、ポリメチン系化合物(H.W.SANDS社製、SDA8630、λmax=863nm、(吸収率 at λmax380-780)/(吸収率 at λmax800-1200)=0.3) 46質量部を使用した以外は、近赤外吸収剤粒子分散液(1)の調製と同様にして、中心径140nm、固形分量20.0%の近赤外吸収剤粒子分散液(3)を得た。
(アミニウム系化合物粒子分散液の調製)
アミニウム系化合物(日本カーリット社製、CIR−960) 46質量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製、ネオゲンR) 4質量部
イオン交換水 200質量部
上記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)により10分間予備分散し、さらにサンドミルで2.5時間分散することにより中心径140nm、固形分量20.0%のアミニウム系化合物粒子分散液を得た。
(ジイモニウム系化合物粒子分散液の調製)
アミニウム系化合物CIR−960の代わりに、ジイモニウム系化合物(日本カーリット社製、CIR−1080) 46質量部を使用した以外は、アミニウム系化合物粒子分散液の調整と同様にして、中心径180nm、固形分量20.0%のジイモニウム系化合物粒子分散液を得た。
(銅系錯体化合物粒子分散液の調製)
アミニウム系化合物CIR−960の代わりに、銅系錯体化合物(住友精化社製、EST−5) 46質量部を使用した以外は、アミニウム系化合物粒子分散液の調整と同様にして、中心径175nm、固形分量20.0%の銅系錯体化合物粒子分散液を得た。
(ニッケル系錯体化合物粒子分散液の調製)
アミニウム系化合物CIR−960の代わりに、ニッケル系錯体化合物(三井化学ファイン社製、SIR−130) 46質量部を使用した以外は、アミニウム系化合物粒子分散液(1)の調整と同様にして、中心径180nm、固形分量20.0%のニッケル系錯体化合物粒子分散液を得た。
(ヒンダードアミン系光安定剤粒子分散液の調製)
アミニウム系化合物CIR−960の代わりに、ヒンダードアミン系光安定剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、TINUVIN770) 46質量部を使用した以外は、アミニウム系化合物粒子分散液の調整と同様にして、中心径200nm、固形分量20.0%のヒンダードアミン系光安定剤粒子分散液を得た。
(離型剤粒子分散液の調製)
パラフィンワックス(日本精蝋社製、HNPO190;融点85℃) 46質量部
アニオン性界面活性剤(ダウケミカル製 ダウファクス) 4質量部
イオン交換水 200質量部
上記成分を96℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で1時間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)で分散処理し、中心径160nm、固形分量20.0%の離型剤粒子分散液を得た。
<実施例1>
(トナー粒子(1)の調製)
樹脂微粒子分散液 (樹脂70質量部) 180質量部
近赤外吸収剤粒子分散液(1) (近赤外吸収剤5質量部) 25質量部
アミニウム系化合物粒子分散液 (アミニウム系化合物1質量部) 5質量部
離型剤粒子分散液(離型剤6.45質量部) 30質量部
ポリ塩化アルミニウム 0.15質量部
イオン交換水 500質量部
上記成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱し、48℃で60分間保持した後、樹脂微粒子分散液を81質量部(樹脂34質量部)追加して緩やかに攪拌した。その後、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、攪拌を継続しながら95℃まで加熱した。95℃までの昇温の間、通常の場合、系内のpHは、5.0程度まで低下したがそのまま保持した。反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで攪拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行いトナー粒子(1)を得た。
このトナー粒子(1)の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が5.6μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.23であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子(1)の形状係数SF1は130のポテト形状であった。
上記のトナー粒子(1)50質量部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.2質量部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナー(1)を得た。そして、ポリメチルメタアクリレート(総研化学社製)を1%被覆した平均粒径50μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が5%になるように外添トナー(1)を秤量し、両者をボールミルで5分間攪拌・混合して現像剤(1)を調製した。
<実施例2>
実施例1において、アミニウム系化合物粒子分散液の代わりに、ジイモニウム系化合物粒子分散液を使用した以外は、実施例1の調整と同様にしてトナー粒子(2)、外添トナー(2)及び現像剤(2)を得た。
このトナー粒子(2)の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が5.5μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.25であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子(2)の形状係数SF1は131のポテト形状であった。
比較例1
実施例1において、近赤外吸収剤粒子分散液(1)の代わりに、近赤外吸収剤粒子分散液(2)を使用した以外は、実施例1の調製と同様にしてトナー粒子(3)、外添トナー(3)及び現像剤(3)を得た。
このトナー粒子()の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が5.7μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.26であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子()の形状係数SF1は127のポテト形状であった。
比較例2
実施例1において、近赤外吸収剤粒子分散液(1)の代わりに、近赤外吸収剤粒子分散液(3)を使用した以外は、実施例1の調製と同様にしてトナー粒子(4)、外添トナー(4)及び現像剤(4)を得た。
このトナー粒子()の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が5.8μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.22であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子()の形状係数SF1は131のポテト形状であった。
<実施例
実施例1において、アミニウム系化合物粒子分散液の添加量を、5質量部から10質量部に変更した以外は、実施例1の調製と同様にしてトナー粒子(5)、外添トナー(5)及び現像剤(5)を得た。
このトナー粒子()の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が5.7μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.25であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子()の形状係数SF1は130のポテト形状であった。
<実施例
実施例1において、近赤外吸収剤粒子分散液(1)の添加量を、25質量部から60質量部に変更した以外は、実施例1の調製と同様にしてトナー粒子(6)、外添トナー(6)及び現像剤(6)を得た。
このトナー粒子()の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が5.9μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.24であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子()の形状係数SF1は133のポテト形状であった。
比較例3
結着樹脂として線状ポリエステルを89質量部と、ピリリウム系化合物(林原生物化学研究所製、NK−2674)を5質量部、アミニウム系化合物(日本カーリット社製、CIR−960)を1質量部、添加剤としてワックス(長鎖直鎖脂肪酸長鎖直鎖飽和アルコール;ベベン酸ステアリル)を5質量部からなるトナー原料の混合物をエクストルーダーで混練し、粉砕した後、風力式分級機により細粒と粗粒とを分級し、体積平均粒径(平均粒径D50)が8.6μmのトナー粒子(7)を得た。なお、前記線状ポリエステルは、テレフタル酸と、ビスフェノールA・エチレンオキシド付加物と、シクロヘキサンジメタノールとを原料として合成したものであり、ガラス転移点Tg=73℃、数平均分子量Mn=4900、質量平均分子量Mw=35000、酸価=12mgKOH/g、水酸価=21mgKOH/gであった。また、実施例1の調製と同様にして外添トナー(7)及び現像剤(7)を得た。
<比較例
実施例1において、アミニウム系化合物粒子分散液を添加しないこと以外は、実施例1の調製と同様にしてトナー粒子(8)、外添トナー(8)及び現像剤(8)を得た。
このトナー粒子()の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が5.7μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.25であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子()の形状係数SF1は129のポテト形状であった。
<比較例
実施例1において、アミニウム系化合物粒子分散液の代わりに、ヒンダードアミン系光安定化剤粒子分散液に変更した以外は、実施例1の調製と同様にしてトナー粒子(9)、外添トナー(9)及び現像剤(9)を得た。
このトナー粒子()の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が5.5μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.22であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子()の形状係数SF1は127のポテト形状であった。
<画像形成装置による画像形成>
各々の実施例および比較例において作製したトナーの評価として、トナーによる画像形成テストには、画像形成装置として、富士ゼロックス社製のDocuColor1250改造機を用いた。また、画像形成テストに用いた画像出力媒体としては、A4サイズ白色紙(富士ゼロックス製、P−A4紙、幅:210mm、長さ:297mm)を使用した。
上記の現像剤を用いて、画像形成装置により画像出力媒体表面に画像形成されて得られた記録物は、その画像形成面に可視画像および不可視画像が形成され、該可視画像は、画像形成面全体に文字や絵図等により構成される文書からなるものである。
一方、前記不可視画像は、回転角度が異なる2種の微小ラインビットマップで形成される機械読み取り・復号化可能な2次元パターンからなるものであり、この2次元パターンからなる不可視画像が光沢性により巨視的に認識できる場合には、目視した場合に偽造防止効果を発揮するために『XEROX』という文字が見えるように150バイトの著作権情報を繰り返し配列してなるものである。
なお、画像形成テストにおいては、可視画像の品質を評価するためのリファレンスとして、上記の不可視画像及び可視画像が、画像出力媒体表面に形成された記録物(以下、「記録物1」と略す)の他に、記録物1と同じ可視画像のみが画像出力媒体表面に形成された記録物(以下、「記録物2」と略す)を同時に画像形成した。
また、光に対する安定性を確認するために、作成した画像に対して、光を照射しないもの、及び光照射100h処理したもの(スガ試験機製キセノンウェザーメーターによる処理:50℃50RH%)の、2種類にて以下の評価を行うこととした。
<記録物に形成された不可視画像および可視画像の評価>
記録物1の画像形成面に形成された不可視画像および可視画像の評価は、不可視画像については、不可視情報復元率と、偽造防止効果に関しては、可視画像に対しては、可視画像品質について評価した。以下にこれらの具体的な評価方法及び評価基準について説明する。
(不可視情報復元率の評価)
不可視情報復元率の評価は、記録物1の画像形成面を、該画像形成面のほぼ真上10cmのところに設置した近赤外の波長域の光も照射するリング状LED光源(京都電気製、LEB−3012CE)にて照射した。この状態で、画像形成面のほぼ真上15cmのところに設置した、800nm以下の波長成分をカットするフィルタをレンズ部に装着した800nm〜1000nmの波長域に受光感度を有するCCDカメラ(KEYENCE製、CCD TL−C2)によって、前記画像形成面を読み取り、一定のコントラスト(閾値)を境界として2値化処理することにより不可視画像を抽出し、これをソフトウエアで復号化処理し、著作権情報が正確に復元できるかどうかを評価した。そして、この評価は500回実施した際に、情報が正確に復元できた回数を、不可視情報復元率(%)として表2に示した。なお、不可視情報復元率(%)が85%以上であれば、実用上問題無いレベルとした。
(偽造抑止効果の評価)
偽造抑止効果の評価は、記録物1の画像形成面を、該画像形成面のほぼ垂直方向(正面)から目視した場合と、該画像形成面の垂直方向に対して斜めから目視した場合とにおいて、不可視画像として形成された『XEROX』の文字を読み取ることができるかを不可視パターン度として、以下の判定基準により行った。なお、評価結果を表2に示す。
◎:『XEROX』の文字は、どの方向から目視しても、読み取ることが出来ず、十分な偽造抑止効果が得られる。
○:『XEROX』の文字は、正面から目視した場合には判らないが、斜めから目視した場合には明快に読み取ることが出来るものの、実用上、十分な偽造抑止効果が得られる。
△:『XEROX』の文字は、正面から目視した場合には判らないが、斜めから目視した場合には画像ノイズとして不可視画像の存在が確認でき、実用上、弱いながらも偽造抑止効果を得ることができる。
×:『XEROX』の文字は、正面または斜めから目視した場合のいずれにおいても判別出来ないだけでなく、画像ノイズとしても確認できないため、なんらの偽造抑止効果を得ることができない。
(可視画像品質の評価)
可視画像品質の評価は、記録物1の可視画像と、記録物2の可視画像と、を目視にて比較し、以下の判定基準により評価した。なお、評価結果を表2に示す。
○:記録物1及び記録物2の可視画像の画質には差異が無く、実用上問題が無いレベル。
△:記録物2の可視画像と比較すると、記録物1の可視画像には若干の画質ノイズが確認されるものの、実用上はほぼ問題が無いレベル。
×:記録物2の可視画像と比較すると、記録物1の可視画像には明確な画質ノイズが確認され、実用上問題となるレベル。
<吸収率評価>
実施例および比較例にて用いたトナーの可視光領域における吸収率、及びトナーと、可視トナーと、の近赤外光吸収率差の評価は以下に説明するように実施した。
(トナーの可視光領域における吸収率評価)
実施例において用いた画像出力媒体に、トナーのベタ画像を形成し、このベタ画像が形成された領域と、何も画像が形成されていない前記画像出力媒体の表面と、を既述したように分光反射率測定機により測定し、各々の分光反射率を式1に代入してトナーの可視光吸収率として求め、可視光の波長域において最大の可視光吸収率を表2に示した。
(近赤外光吸収率差の評価)
前記トナーと、可視トナーとの近赤外光吸収率差は、既述したように、これらのトナーを用いて作製した不可視画像(ベタ画像)と、可視画像(ベタ画像)の分光反射率差を、分光反射率測定機を用いて波長900nmにて測定し、式4により求めた。結果を表2に示す。
Figure 0004321288
Figure 0004321288
(フラッシュ定着)
(顔料粒子分散液(1)の調製)
サイアン顔料(大日本インキ化学工業社製、B15:3) 46質量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製、ネオゲンR) 4質量部
イオン交換水 200質量部
上記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)により10分間予備分散し、さらにサンドミルで2時間分散することにより中心径120nm、固形分量20.0%の顔料粒子分散液(1)を得た。
<実施例
(トナー粒子(10)の調製)
樹脂微粒子分散液 (樹脂70質量部) 180質量部
近赤外吸収剤粒子分散液(1) (近赤外吸収剤1質量部) 5質量部
アミニウム系化合物粒子分散液(アミニウム系化合物0.2質量部) 1質量部
顔料粒子分散液(1) (顔料 8質量部) 40質量部
離型剤粒子分散液(離型剤6.45質量部) 30質量部
ポリ塩化アルミニウム 0.15質量部
イオン交換水 500質量部
上記成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱し、48℃で60分間保持した後、樹脂微粒子分散液を81質量部(樹脂34質量部)追加して緩やかに攪拌した。その後、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、攪拌を継続しながら95℃まで加熱した。95℃までの昇温の間、通常の場合、系内のpHは、5.0程度まで低下したがそのまま保持した。反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで攪拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行いトナー粒子(10)を得た。
このトナー粒子(10)の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が5.7μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.23であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子(10)の形状係数SF1は130のポテト形状であった。
上記のトナー粒子(10)50質量部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.2質量部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナー(10)を得た。そして、ポリメチルメタアクリレート(総研化学社製)を1%被覆した平均粒径50μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が5%になるように外添トナー(10)を秤量し、両者をボールミルで5分間攪拌・混合して現像剤(10)を調製した。
<実施例
実施例において、アミニウム系化合物粒子分散液の代わりに、ジイモニウム系化合物粒子分散液を使用した以外は、実施例の調製と同様にしてトナー粒子(11)、外添トナー(11)及び現像剤(11)を得た。
このトナー粒子(11)の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が5.7μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.22であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子(11)の形状係数SF1は129のポテト形状であった。
比較例6
結着樹脂として線状ポリエステルを89質量部と、ピリリウム系化合物(林原生物化学研究所製、NK−2674) 1質量部、アミニウム系化合物(日本カーリット社製、CIR−960)を0.2質量部、顔料として、サイアン顔料(大日本インキ化学工業社製、B15:3)を5質量部、添加剤としてワックス(長鎖直鎖脂肪酸長鎖直鎖飽和アルコール;ベベン酸ステアリル)を5質量部からなるトナー原料の混合物をエクストルーダーで混練し、粉砕した後、風力式分級機により細粒と粗粒とを分級し、体積平均粒径(平均粒径D50)が8.7μmのトナー粒子(12)を得た。なお、前記線状ポリエステルは、テレフタル酸と、ビスフェノールA・エチレンオキシド付加物と、シクロヘキサンジメタノールとを原料として合成したものであり、ガラス転移点Tg=73℃、数平均分子量Mn=4900、質量平均分子量Mw=35000、酸価=12mgKOH/g、水酸価=21mgKOH/gであった。また、実施例の調製と同様にして外添トナー(12)及び現像剤(12)を得た。
<比較例
比較例6において、アミニウム系化合物を添加しない以外は、比較例6調製と同様にして、体積平均粒径(平均粒径D50)が8.7μmの粒子を得た。
(評価法)
フラッシュ定着の評価として、調整された現像剤を、フラッシュ定着用に設計され、キセノン光源を定着光源に装備した高速プリンタ装置(品番PS2160、富士通社製)の改造機に搭載した後、記録媒体として普通紙(NIP−1500LT、小林記録紙)を使用して、発光エネルギー(光定着エネルギー)2.2J/cm2及び印刷速度8,000ライン/minで線画の印字を行った。使用したキセノン光源の発光スペクトルは、700〜1500nmの波長範囲に高い発光強度を有するものであり、また、発光時間は1000μ/sであった。得られた印刷物のそれぞれを、下記の項目:
(1)トナーの定着率(%)
(2)定着性の判定
(3)印字濃度
(4)耐光性試験前後の画像変化
に関して、次のような指針に従って評価を行った。結果を表4に示す。
トナーの定着率の測定:トナー像が定着させられた普通紙上の画像印字濃度を光学濃度(ステータスA濃度)として測定した。次いで、普通紙上のトナー像上に粘着テープ(スコッチTMメンディングテープ、住友スリーエム社製)を軽く貼り付けた後、直径100mm及び厚さ20mmの鉄製円柱ブロックをテープ上を密着状態で転がし、引き続いてテープを剥離した。テープ剥離後の普通紙上の画像印字濃度(光学濃度)を再び測定した。テープ剥離の前の光学濃度を100として、テープ剥離後における光学濃度をパーセンテージで算出し、これを「トナーの定着率」(%)とした。なお、光学濃度の測定には、マクベスPCMメータを使用した。
定着性の判定:それぞれのトナーの定着率(%)の大きさから、下記の基準に従って定着性の良否を判定した。
×:70%未満
△:70〜95%未満
○:95%以上
印字濃度の測定:トナー像が定着させられた普通紙上の画像印字濃度を、マクベスPCMメータを使用して光学濃度(ステータスA濃度)として測定した。測定条件は、高温高湿HH(32℃、80%RH)とLL低温低湿(15℃、20%RH)の2種類とした。印字濃度が1.3以上であるものを良好(○)とした。
耐光性試験前後の画像変化:作成した画像に対して、光を照射しないもの、及び光照射100h処理したもの(スガ試験機製キセノンウェザーメーターによる処理:50℃、50%RH)を比較し、照射前との画像(色)変化を以下のように判定した。
×:著しく変化しているもの
△:変化している部分があること
○:ほぼ変化無し
Figure 0004321288
Figure 0004321288
このように、本発明の電子写真用トナーは、例えば、不可視情報パターン形成用トナーとして使用される場合には、経時による光照射が行われても近赤外光吸収効果が低減することなく、安定的に不可視情報の読み込みが可能で、定着後の長期画像安定性等に優れる。また、例えば、フラッシュ定着用トナーとして使用される場合には、定着時及び定着後の安定性が増し、定着時の分解による熱吸収性の低下、あるいは定着後の経時劣化による定着画像の色合いの変化等を抑制することができ、極めて有用である。

Claims (1)

  1. ポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤を含有する電子写真用トナーであって、
    前記ポリメチン鎖を有する近赤外光吸収剤は、ピリリウム系化合物であり、前記近赤外光吸収剤は、800〜1200nmに最大吸収波長λmaxを有し、かつ380〜780nmにおける最大吸収波長λmaxの吸収率は前記800〜1200nmにおける最大吸収波長λmaxの吸収率の30%以下であり、
    前記トナーは、さらに、N,N,N’N’−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミン−過塩素酸アミニウム塩、N,N,N’N’−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミンビス−過塩素酸イモニウム塩から選択される少なくとも1つの化合物を前記近赤外光吸収剤の質量に対して0.1〜50質量%含有し、
    前記トナーの体積平均粒子径は5.5〜5.9μmであることを特徴とする電子写真用トナー。
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