JP4320493B2 - クリップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一の部材と他の部材とを解除可能に連結固定するためのクリップに関し、更に詳述すると、二部材を確実に連結固定することができる共に、簡易な作業により容易に連結状態を解除することが可能であり、自動車のフェンダーにフェンダープロテクタを取り付ける場合などに好適に使用されるクリップに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、自動車のフェンダーへのプロテクターの取り付けは、図9に示したように、樹脂製のクリップaとタッピングスクリューeを用いて行われている。
【0003】
即ち、このクリップaは、図9に示されているように、断面略扁平S字状の樹脂製クリップ本体a1に上下両面に貫通するスクリュー挿通孔a2を穿設すると共に、該スクリュー挿通孔a2と連通する短軸円筒状のタップ部a3を上記クリップ本体a1上面に突設したものである。
【0004】
そして、上記クリップ本体a1の第1の空間部a4にフェンダープロテクタcを挿入して該プロテクタcのロック穴c1と上記スクリュー挿通孔a2とを一致させると共に、上記クリップ本体a1の第2の空間部a5にフェンダーbの連結部b1を挿入して該連結部b1に設けられたロック穴b2と上記スクリュー挿通孔a2とを一致させ、この状態でタッピングスクリューeを上記スクリュー挿通孔a2及びロック穴b2,c1に刺し通して上記タップ部a3に捩じ込むことにより、フェンダーbとプロテクタcとを連結固定することが行われている。
【0005】
しかしながら、上記クリップaによる連結固定作業は、フェンダーbとプロテクタcとを上記クリップ本体a1に挿入した状態で、このクリップ本体a1のスクリュー挿通孔a2と上記両ロック穴b2,c1とを一致させ、この状態を保持したまま上記スクリューeの捩じ込み作業を行うという、非常に煩雑な作業を要する。また、修理やメンテナンスのためにフェンダーbとプロテクタcとを脱着する必要が生じる場合には、上記煩雑な作業が作業効率を大きく低下させることとなる。
【0006】
また、クリップaの他に上記スクリューeを必要とし、更に該スクリューの締付け工程を要するため、コスト的に不利である上、スクリューの捩じ込み作業時にドライバー等の工具でフェンダーbを傷付ける虞もある。更に、近年ではフェンダーを樹脂で形成することも行われているが、この場合スクリューeによる締付けが強すぎると、フェンダーに割れが生じる虞もある。
【0007】
一方、タッピングスクリューを用いることなく自動車部品を連結するクリップも種々提案されており、例えば実公昭59−19647号公報に開示されたクリップを例示することができる。
【0008】
このクリップは、図8に示したように、互いに所定間隔離間して平行に配置された一対の挟持板d1及びd2を連結部d3で一体に連結すると共に、一方の挟持板d1の下面に脚部d4を一体に突設したものである。
【0009】
この図8のクリップdは、同図に示されているように、自動車ボディーfに設けられた取付孔f1に上記脚部d4を圧入し、脚部d4の外周面に設けられたロック片d41を取付穴f1の裏側周縁部に係合させてボディーfに固定し、上記両挟持板d1,d2間にラジエータグリルgの縁部を圧入して該ラジエータグリルgを両挟持板d1,d2間に挟持させると共に、該ラジエータグリルgの縁部に設けられた切欠状の凹部g1内に上記連結部d3を挿入して、ラジエータグリルgをボディーfに取り付けるものである。この場合、このクリップdによれば、上述のように、ラジエータグリルgの凹部g1内にクリップdの連結部d3が挿入されていることにより、横方向のズレを生じさせることなく、ラジエータグリルgをボディーfに取り付けることができるものである。
【0010】
しかしながら、このクリップdは、ラジエータグリルgを単に上記両挟持板d1,d2で挟持しているだけであり、あくまでラジエータグリルgをボディーfに仮止めするためのものである。よって、このクリップdによる連結構造ではラジエータグリルgをボディーfに確実に固定することはできず、最終的にはネジ止め等の締結作業を必要とするものである。
【0011】
従って、このクリップdを用いてフェンダーとフェンダープロテクターとを連結しても、これら二部材を位置決めした状態で仮止めすることはできても、両部材を確実に連結固定することはできず最終的にはネジ止め等の締結作業が必要となり、結局上記と同様の問題が残るものである。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、自動車のフェンダーにフェンダープロテクタを取り付ける場合などのように、一の部材と他の部材とを連結固定する場合、ネジ等による締結作業を要することなく、簡易な作業で確実に二部材を連結固定することができ、しかも簡易な操作で両部材の脱着を行うことができるクリップを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、第1の発明として、一の部材と他の部材とを解除可能に連結固定するクリップであって、中央部に少なくとも1つの貫通孔を有する基板と、該基板の下面に突設された脚部と、該脚部の外周面から外方へと突出する弾性変形可能な第1ロック部と、上記基板の貫通孔内に配置され、弾性変形可能な連結片により上記基板と一体に形成されていると共に、一部が上記基板の上面から突出した第2ロック部と、上記基板の上面側に該基板上面と所定間隔離間して配設された上板と、該上板に、上記基板の貫通孔に対応して設けられたロック解除孔とを具備してなるクリップであり、一の部材に設けられたロック穴に上記脚部を圧入し、該ロック穴の裏面側周縁部に上記第1ロック部を係合させて、クリップを一の部材に固定すると共に、他の部材の板状連結部を上記基板と上板との間に挿入して、該板状連結部に設けられたロック穴に上記第2ロック部を係合させて、他の部材をクリップに固定することにより、一の部材と他の部材とを連結固定し、また上記上板のロック解除孔を通して上記第2ロック部を押圧することにより、該第2ロック部と上記ロック穴との係合状態を解除して、両部材の連結固定状態を解除し得るように構成したことを特徴とするクリップを提供する。
【0014】
即ち、上記第1発明のクリップは、一の部材に設けられたロック穴に上記脚部を挿入し、該脚部に設けられた上記第1ロック部を該ロック穴の裏面側周縁部に係合させて、一の部材に強固に固定することができ、また上記他の部材に設けられた板状連結部を上記基板と上板の間に挿入し、該板状連結部に設けられたロック穴に上記基板に設けられた上記第2ロック部を係合させて、他の部材をこのクリップに強固に固定することができるものである。従って、このクリップによれば、タッピングスクリューなどの締結手段を必要とせず、フェンダーとフェンダープロテクタなどの二部材をこのクリップのみで確実に連結固定することができる。
【0015】
また、上記第1ロック部が弾性変形可能であると共に、上記第2ロック部も弾性変形可能な連結片を介して上記基板に設けられているため、上記二部材を連結する際には、上記脚部を一の部材のロック穴に圧入することにより、上記第1ロック部が一旦弾性変形して再び元の状態に弾性復帰して自動的にロック穴裏側周縁部に係合し、また他の部材の板状連結部を上記基板と上板との間に圧入することにより、上記第2ロック部を基板と連結している上記連結片が一旦弾性変形して再び元の状態に弾性復帰して該第2ロック部が自動的に板状連結部のロック穴と係合する。従って、このクリップによれば、一の部材のロック穴に上記脚部を圧入すると共に、他の部材の板状連結部を上記基板と上板との間に圧入する、極めて簡易な作業により、両部材を確実に連結固定することができるものである。
【0016】
更に、このクリップにより連結固定された二部材の連結状態を解除して両部材を分離する場合には、ドライバなどの工具を用いて上記上板のロック解除孔を通して上記第2ロック部を押圧することにより、該第2ロック部と上記ロック穴との係合状態を解除して両部材の連結固定状態を解除することができ、非常に簡易な作業により容易に両部材の連結状態を解除することができる。従って、このクリップによれば、上述のように二部材を確実に連結固定することができるにもかかわらず、簡易な作業で容易に連結固定状態を解除して両部材を分離することができるものである。
【0017】
このように、このクリップによれば、自動車のフェンダーにフェンダープロテクタを取り付ける場合などのように、一の部材と他の部材とを連結固定する場合、ネジ等による締結作業を要することなく、簡易な作業で確実に二部材を連結固定することができ、しかも簡易な操作で両部材の脱着を行うことができるものである。
【0018】
また、本発明は、第2の発明として、一の部材と他の部材とを解除可能に連結固定するクリップであって、中央部に少なくとも1つの貫通孔を有する基板と、該基板の下面に突設された脚部と、該脚部の外周面から外方へと突出する弾性変形可能な第1ロック部と、上記基板の貫通孔内に配置され、弾性変形可能な連結片により上記基板と一体に形成されていると共に、一部が上記基板の上面から突出した第2ロック部と、上記基板の上面側に該基板上面と所定間隔離間して配設された上板と、該上板に、上記基板の貫通孔に対応して設けられ、下面側に上記第2ロック部に臨むように突出したロック解除突部を有する弾性変形可能なロック解除片とを具備してなるクリップであり、一の部材に設けられたロック穴に上記脚部を圧入し、該ロック穴の裏面側周縁部に上記第1ロック部を係合させて、クリップを一の部材に固定すると共に、他の部材の板状連結部を上記基板と上板との間に挿入して、該板状連結部に設けられたロック穴に上記第2ロック部を係合させて、他の部材をクリップに固定することにより、一の部材と他の部材とを連結固定し、また上記上板のロック解除片を押圧して該ロック解除片の下面側に設けられた上記ロック解除突部で上記第2ロック部を押圧することにより、該第2ロック部と上記ロック穴との係合状態を解除して、両部材の連結固定状態を解除し得るように構成したことを特徴とするクリップを提供する。
【0019】
この第2発明のクリップは、上記第1発明のクリップの上板に設けられたロック解除孔の代わりに、下面側に上記第2ロック部に臨むように突出したロック解除突部を有する弾性変形可能なロック解除片を上板に設けたものであり、その他の構成は上記第1発明のクリップと同様である。
【0020】
即ち、この第2発明のクリップは、上記第2ロック部と上記ロック穴との係合状態を解除して二部材の連結固定状態を解除する場合に、上記ロック解除片を押圧してこれを弾性変形させることにより、その下面側に設けられた上記ロック解除突部で上記第2ロック部を押圧して、該第2ロック部とロック穴との係合状態を解除することができるようにしたものである。
【0021】
従って、このクリップによれば、両部材の連結固定状態を解除する場合に、ドライバ等の工具も必要とせず、上記ロック解除片を指等で押圧するという極めて簡易な作業により、かかる連結固定状態を解除することができ、より簡易な作業で両部材の連結固定状態を解除して、両部材を分離することができるものである。
【0022】
【発明の実施の形態及び実施例】
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
[第1実施例]
図1は上記第1発明にかかるクリップの一例を示すもので、このクリップ1aは、図2に示したように、フェンダープロテクタcをフェンダーbに連結固定するために用いられるものである。
【0023】
図1中の参照符号2は、略家形板状の基板であり、図1(B),(C)に示されているように、この基板2のほぼ中央部には、四角形の貫通孔21が設けられていると共に、該貫通孔21内中央部にはブロック状のロック体(第2ロック部)3が弾性変形可能な2つの連結片31,31を介して基板2と一体的に設けられている。このロック体(第2ロック部)3は、前端面上部(図中左側面の上部)が斜めに切り欠かれたテーパ面32となっており、このテーパ面32より上側が基板2の上面から突出した状態となっている。
【0024】
上記基板2の下面中央部には、上記貫通孔21と連通した四角筒状の脚部4が一体に突設されている。この脚部4の互いに対向する一対の壁面には、それぞれコ字状のスリット41,41が穿設されており、このスリット41の内側が弾性変形可能なロック片(第1ロック部)42となっている。このロック片(第1ロック部)42は、その先端側を上(基板側)にして形成されており、図1(B)に示されているように、この先端側外面が断面山形に膨出して脚部4の外面から外方へと突出している。
【0025】
上記基板2の上方には、底辺中央部が円弧状に膨出した略三角形状の上板5が基板2と所定間隔離間して平行に配置されている。この上板5は、上記基板2の両斜行縁部に立設された壁部51,51により基板2と一体に形成されており、また、この上板5には、図1(A),(B)に示されているように、基板2の上記貫通孔21に対応して円形のロック解除孔52が穿設されている。
【0026】
なお、図1中参照符号22,22は、フェンダープロテクタcの端縁に係合する鉤状の掛止片である。また、このクリップ1aは、特に制限されるものではないが、通常ポリプロピレン、ポリアセタール等の合成樹脂により上記各部分が一体成型される。
【0027】
次に、図2に示されているように、上記クリップ1aを用いてフェンダーbにフェンダープロテクタcを取り付ける際の、作業手順及びクリップ1aの動作について説明する。
【0028】
まず、図2に示されているように、フェンダープロテクタcに設けられた四角形のロック穴c1に、クリップ1aの上記脚部4を圧入する。これにより、脚部4の上記ロック片(第1ロック部)42,42先端の膨出部が、ロック穴c1の内周縁により内側へと押圧されて一旦脚部4内へと退入し、ロック穴c1を通過すると再び弾性復帰して、図3(A)に示されているように、ロック穴c1の反対側周縁部に係合する。これにより、図3(A)に示されているように、上記クリップ1aがフェンダープロテクタcに固定される。
【0029】
この状態で、上記クリップ1aの基板2と上板5との間にフェンダーbの板状連結部b1を圧入する。このとき、図3(B)に示されているように、上記板状連結部b1の先端が基板2の上面から突出するロック体(第2ロック部)3のテーパ面32に当接し、このテーパ面32のカム作用により、図3(C)に示されているように、該ロック体(第2ロック部)3が下方へと押圧されて上記連結片31,31(図1(C)参照)の弾性変形により下方へと押し下げられ、板状連結部b1が更に圧入されて、該板状連結部bに設けられたロック穴b2とロック体(第2ロック部)3とが一致すると、ロック体(第2ロック部)3の押圧状態が解除されて上記連結片31,31が元の状態に弾性復帰し、図3(D)に示されているように、これと一体的にロック体(第2ロック部)3が上方へと移行してロック穴b2に係合する。
【0030】
このようにして、フェンダープロテクタcに固定されたクリップ1aが、フェンダーbに固定され、これによりフェンダーbとフェンダープロテクタcとが連結固定される。
【0031】
上記のように、このクリップ1aは、上記ロック片(第1ロック部)42,42とロック穴c1周縁部との係合によりフェンダープロテクタcに強固に固定することができると共に、上記ロック体(第2ロック部)3とロック穴b2との係合によりフェンダーに強固に固定することができるものである。従って、タッピングスクリューなどの締結手段を用いる必要なく、フェンダーbとプロテクタcとをこのクリップa1のみで確実に連結固定することができる。また、プロテクタcのロック穴c1に上記脚部4を圧入すると共に、フェンダーbの板状連結部b1を上記基板2と上板5との間に圧入するだけの極めて簡易な作業により、フェンダーbにプロテクタcを連結固定することができるものである。
【0032】
このクリップ1aにより連結固定された上記フェンダーbとフェンダープロテクタcとの連結固定状態を解除して両部材を分離する場合には、図4(A)に示したように、ドライバなどの工具hにより上記上板5のロック解除孔52を通して上記ロック体(第2ロック部)3を押圧し、図4(B)に示されているように、ロック体(第2ロック部)3を下方へと押し込んで、該ロック体(第2ロック部)3とフェンダーbの板状連結部b1に設けられたロック穴b2との係合状態を解除する。
【0033】
この状態で、フェンダーb側又はフェンダープロテクタc側を操作して、図4(C)に示されているように、上記板状連結部b1をクリップ1a内で引き抜き方向に移動させ、ロック穴b2とロック体(第2ロック部)3とがずれた状態となったところで、工具hを上記ロック解除孔52から抜き出し、図4(D)に示されているように、ロック体(第2ロック部)3がロック穴b2から退出して上記板状連結部b1の下面に当接した状態とする。
【0034】
次いで、図4(E)に示されているように、上記板状連結部b1をクリップ1aから引き抜くように操作することにより、図4(F)に示されているように、フェンダーbとフェンダープロテクタcとの連結状態を完全に解除し、両部材を分離することができる。
【0035】
このように、本実施例のクリップ1aは、ドライバなどの工具hを用いて上記上板5のロック解除孔52を通して上記ロック体(第2ロック部)3を押圧することにより、該ロック体(第2ロック部)3と上記ロック穴b2との係合状態を解除してフェンダーbとプロテクタcとの連結固定状態を解除することができ、非常に簡易な作業により容易に両部材b,cの連結状態を解除することができる。従って、このクリップ1aによれば、上述のようにフェンダーbとプロテクタcとを確実に連結固定することができるにもかかわらず、簡易な作業で容易に連結固定状態を解除して両部材b,cを分離することができるものである。
【0036】
このように、このクリップ1aによれば、自動車のフェンダーbにフェンダープロテクタcを取り付ける場合、ネジ等による締結作業を要することなく、簡易な作業で確実にこれらの部材b,cを連結固定することができ、しかも簡易な操作で両部材b,cの脱着を行うことができるものである。
【0037】
[第2実施例]
図5は、上記第2発明にかかるクリップの一例を示すもので、このクリップ1bも、上記第1実施例のクリップ1aと同様に、フェンダーbとフェンダープロテクタcとを連結固定するためのものである。
【0038】
このクリップ1bは、上記第1実施例のクリップ1aの上板5に設けられたロック解除孔52(図1参照)の代わりに、下面側にロック体(第2ロック部)3に臨むように突出したロック解除突部54を有する弾性変形可能なロック解除片53を上板5に設けたものであり、その他の構成は上記第1実施例のクリップ1aと同様である。
【0039】
即ち、このクリップ1bは、図5(A)に示されているように、上板5にコ字状のスリット55を基板2の貫通孔21に対応して形成し、このスリット55の内側を弾性変形可能なロック解除片53としたものである。この場合、このロック解除片53は、その先端部を後方(図中右側)に向けて形成されていると共に、この先端部が部分的に厚肉に形成され、該先端部下面側が上記上板5の下面から下方へと突出するロック解除突部54とされている。
【0040】
このクリップ1bは、図6に示したように、上記第1実施例のクリップ1aと同様にしてフェンダーbとフェンダープロテクタcとを連結固定するものであるが、このようにして連結固定したフェンダーbとプロテクタcとを連結解除して分離する際、上記ロック解除片53によって上記第1実施例のクリップ1aよりも更に簡便な作業により連結解除を行うことができるものである。
【0041】
即ち、図7(A)に示された状態から、フェンダーbとプロテクタcとの連結固定状態を解除して両部材b,cを分離する場合、まず上記ロック解除片53の先端部を指等で強く押圧pすることにより、このロック解除片53を下方へと撓ませて、図7(B)に示されているように、該ロック解除片53の上記ロック解除突部54でロック穴b2内のロック体(第2ロック部)3を押圧し、該ロック体(第2ロック部)3を下方へと押し込んで、該ロック体3とフェンダーbの板状連結部b1に設けられた上記ロック穴b2との係合状態を解除する。
【0042】
この状態で、フェンダーb側又はフェンダープロテクタc側を操作して、図7(C)に示されているように、上記板状連結部b1をクリップ1b内で引き抜き方向に移動させ、ロック穴b2とロック体(第2ロック部)3とがずれた状態となったところで、上記ロック解除片の押圧pを解除し、図7(D)に示されているように、ロック体(第2ロック部)3がロック穴b2から退出して上記板状連結部b1の下面に当接した状態とする。
【0043】
次いで、図7(E)に示されているように、上記板状連結部b1をクリップ1aから引き抜くように操作することにより、図7(F)に示されているように、フェンダーbとフェンダープロテクタcとの連結状態を完全に解除し、両部材を分離するものである。
【0044】
このように、このクリップ1bによれば、フェンダーbとフェンダープロテクタcとの連結固定状態を解除する場合に、ドライバ等の工具も必要とせず、上記ロック解除片53を指等で押圧するという極めて簡易な作業により、かかる連結固定状態を解除することができ、より簡易な作業でフェンダーbとフェンダープロテクタcとの連結固定状態を解除して、両部材b,cを分離することができるものである。
【0045】
なお、このクリップ1bのその他の構成、連結固定時の作業手順及びその際の動作などは、上記第1実施例のクリップ1aと同様であるから、図5〜7の同一構成部分にクリップ1aと同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
このように、このクリップ1bも、自動車のフェンダーbにフェンダープロテクタcを取り付ける場合、ネジ等による締結作業を要することなく、簡易な作業で確実にこれらの部材b,cを連結固定することができ、しかもドライバ等の工具を用いる必要なく、指でロック解除片53を押圧するだけの更に簡易な操作で、両部材b,cの脱着を行うことができるものである。
【0047】
以上、本発明の実施例にかかるクリップ二例を示したが、本発明は上記第1及び第2実施例のクリップ1a,1bに限定されるものではなく、各構成部分の形状や配置形態は、連結固定する二部材の形状や連結形態などに応じて適宜変更することができる。また、本発明のクリップは、上記実施例のように、フェンダーにフェンダープロテクタを取り付ける場合などの自動車部品の連結固定に好適に使用されるものであるが、その用途は自動車部品の連結固定に限定されるものではなく、二部材を解除可能に連結固定する場合であれば、種々の用途に用いることができる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のクリップによれば、自動車のフェンダーにフェンダープロテクタを取り付ける場合などのように、一の部材と他の部材とを連結固定する場合、ネジ等による締結作業を要することなく、簡易な作業で確実に二部材を連結固定することができ、しかも簡易な操作で両部材の脱着を行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明にかかるクリップの一例を示すものであり、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線に沿った断面図、(C)は(B)のC−C線に沿った断面図である。
【図2】同クリップを用いて自動車のフェンダーとフェンダープロテクタとを連結固定する際の手順の概略を説明する斜視図である。
【図3】同クリップを用いて自動車のフェンダーとフェンダープロテクタとを連結固定する際の手順及び動作の詳細を説明する断面図である。
【図4】同クリップを用いて連結固定した自動車のフェンダーとフェンダープロテクタとを分離する際の手順及び動作の詳細を説明する断面図である。
【図5】第2発明にかかるクリップの一例を示すものであり、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線に沿った断面図である。
【図6】同クリップを用いて自動車のフェンダーとフェンダープロテクタとを連結固定する際の手順及び動作の詳細を説明する断面図である。
【図7】同クリップを用いて連結固定した自動車のフェンダーとフェンダープロテクタとを分離する際の手順及び動作の詳細を説明する断面図である。
【図8】従来のクリップを示す該略図である。
【図9】従来の他のクリップを用いて自動車のフェンダーとフェンダープロテクタとを連結固定する際の手順の概略を説明する斜視図である。
【符号の説明】
1a 第1発明のクリップ
1b 第2発明のクリップ
2 基板
21 貫通孔
3 ロック体(第2ロック部)
31 連結片
4 脚部
42 ロック片(第1ロック部)
5 上板
52 ロック解除孔
53 ロック解除片
54 ロック解除突部
b フェンダー(他の部材)
b1 板状連結部
b2 ロック穴
c フェンダープロテクタ(一の部材)
c1 ロック穴
Claims (2)
- 一の部材と他の部材とを解除可能に連結固定するクリップであって、
中央部に少なくとも1つの貫通孔を有する基板と、
該基板の下面に突設された脚部と、
該脚部の外周面から外方へと突出する弾性変形可能な第1ロック部と、
上記基板の貫通孔内に配置され、弾性変形可能な連結片により上記基板と一体に形成されていると共に、一部が上記基板の上面から突出した第2ロック部と、
上記基板の上面側に該基板上面と所定間隔離間して配設された上板と、
該上板に、上記基板の貫通孔に対応して設けられたロック解除孔とを具備してなるクリップであり、
一の部材に設けられたロック穴に上記脚部を圧入し、該ロック穴の裏面側周縁部に上記第1ロック部を係合させて、クリップを一の部材に固定すると共に、他の部材の板状連結部を上記基板と上板との間に挿入して、該板状連結部に設けられたロック穴に上記第2ロック部を係合させて、他の部材をクリップに固定することにより、一の部材と他の部材とを連結固定し、また上記上板のロック解除孔を通して上記第2ロック部を押圧することにより、該第2ロック部と上記ロック穴との係合状態を解除して、両部材の連結固定状態を解除し得るように構成したことを特徴とするクリップ。 - 一の部材と他の部材とを解除可能に連結固定するクリップであって、
中央部に少なくとも1つの貫通孔を有する基板と、
該基板の下面に突設された脚部と、
該脚部の外周面から外方へと突出する弾性変形可能な第1ロック部と、
上記基板の貫通孔内に配置され、弾性変形可能な連結片により上記基板と一体に形成されていると共に、一部が上記基板の上面から突出した第2ロック部と、
上記基板の上面側に該基板上面と所定間隔離間して配設された上板と、
該上板に、上記基板の貫通孔に対応して設けられ、下面側に上記第2ロック部に臨むように突出したロック解除突部を有する弾性変形可能なロック解除片とを具備してなるクリップであり、
一の部材に設けられたロック穴に上記脚部を圧入し、該ロック穴の裏面側周縁部に上記第1ロック部を係合させて、クリップを一の部材に固定すると共に、他の部材の板状連結部を上記基板と上板との間に挿入して、該板状連結部に設けられたロック穴に上記第2ロック部を係合させて、他の部材をクリップに固定することにより、一の部材と他の部材とを連結固定し、また上記上板のロック解除片を押圧して該ロック解除片の下面側に設けられた上記ロック解除突部で上記第2ロック部を押圧することにより、該第2ロック部と上記ロック穴との係合状態を解除して、両部材の連結固定状態を解除し得るように構成したことを特徴とするクリップ。
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