JP4319298B2 - ポリウレタン樹脂の分解回収方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタン樹脂製品の成形加工工程で生み出される切断片や製品として利用された後の廃品等を化学的に分解し、ポリウレタン樹脂の原料であるポリアミン化合物および/またはポリオール化合物を工業的有利に回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン樹脂は、軟質、半軟質、硬質ウレタンフォームとして、たとえばソファー、ベッドなどの家具や寝具、自動車のシート等のクッション材、冷蔵庫等の断熱材などに広範且つ多量に用いられており、またエラストマーとして靴底、タイヤ、ベルトなどにも多く使用されている。最近、資源の保護、環境保全が重要視されるに至り、各種プラスチック製品のリサイクル、リユース方法が個々に検討されているが、ポリウレタン樹脂もその例外ではない。これまで知られているポリウレタン樹脂のリサイクル方法は、(1)マテリアルリサイクル技術、(2)ケミカルリサイクル技術および(3)エネルギーリサイクル技術に大別することができる。
(1)のマテリアルリサイクル技術は、たとえばポリウレタンフォームを、必要により適当な大きさに裁断し、リボンドや圧縮成形等の手段でクッション材や断熱材として再利用する方法やフォームやエラストマーを粉砕し新たな原料に充填材等として混合利用する方法である。(2)のケミカルリサイクル技術は、ポリウレタン樹脂を利用可能な化学物質に分解して再利用する方法で、グリコール分解法、アミン分解法、加水分解法などが知られている。(3)のエネルギーリサイクル技術は、ポリウレタン樹脂を燃料として用いる技術である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記(1)の技術はリサイクルにより得られた製品、たとえばクッション材、断熱材等の品質面での問題があり、用途は極く一部に限られる。(3)の技術は燃焼による有害物質の発生など、新たな公害問題を引き起こす危険性が指摘されている。
前記(2)のケミカルリサイクル技術は、もしそれが経済的且つ工業的に実施可能であれば、理想的なリサイクル技術といえる。前述のグリコール分解法やアミン分解法は、ポリウレタン樹脂中に存在するウレタン結合、尿素結合、ビウレット結合、アロファネート結合などの種々の結合のうちで、比較的分解を受けやすいウレタン結合や尿素結合をグリコールやアミン化合物で切断し、交換反応により液状化するものである。その際、分解剤として使用したグリコールやアミンは新たにウレタン結合や尿素結合を生成して、ウレタンや尿素誘導体として液状分解物中に混入してくる。したがって、この技術ではポリウレタン樹脂の原料であるポリオールやポリアミン化合物にまで分解されて回収されるものではないので、回収物の用途も限定される。
また、水を分解剤としてポリウレタン樹脂を加水分解する方法も提案されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、ポリウレタン樹脂の連続分解回収法につき鋭意検討を重ねた結果、ポリウレタン樹脂をまずポリアミン化合物、分子量200以下のグリコールまたはアミノアルコールを含む可溶化剤に溶解し、不溶物をたとえば濾過器等にて除去し、この溶液を高温・高圧下の水槽へ連続的に供給することにより、加水比を小さくしてもポリウレタン樹脂を短時間でしかも完全にその原料であるポリオール化合物とポリアミン化合物に分解することができることを見出した。しかも、加水分解後のアミン未分離液の一部をそのまま可溶化剤としてフィードバックさせて使用できることが判り、この方法が経済的にも工業的にも実現可能な優れた方法であることを確信した。すなわち、本発明は、
(1)ポリウレタン樹脂をポリアミン化合物、分子量200以下のグリコールまたはアミノアルコールを含む可溶化剤に溶解し、不溶物を濾過により除去した後、200〜320℃の液状水により加水分解し、生成したポリアミン化合物および/またはポリオール化合物を回収することを特徴とするポリウレタン樹脂の分解回収方法、
(2)可溶化剤への溶解を、120〜250℃で行う前記(1)記載の方法、
(3)可溶化剤への溶解を150〜230℃で行い、加水分解を250〜300℃の液状水で行う前記(1)または(2)記載の方法、
(4)可溶化剤としてのポリアミン化合物が、トルイレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリメチルポリフェニルポリアミン、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミンまたはキシリレンジアミンである前記(1)記載の方法、
(5)可溶化剤としてのグリコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールまたはジプロピレングリコールである前記(1)記載の方法、
(6)可溶化剤としてのアミノアルコールが、モノエタノールアミンまたはジエタノールアミンである前記(1)記載の方法、および
(7)加水分解により生成したポリアミン化合物の一部を可溶化剤としてフィードバックする前記(1)または(2)記載の方法、
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、ポリウレタン樹脂の連続分解回収法につき鋭意検討を重ねた結果、ポリウレタン樹脂をまずポリアミン化合物、低分子グリコールまたはアミノアルコールを含む可溶化剤に溶解し、必要に応じて不溶物をたとえば濾過器等にて除去し、この溶液を高温・高圧下の水槽へ連続的に供給することにより、加水比を小さくしてもポリウレタン樹脂を短時間でしかも完全にその原料であるポリオール化合物とポリアミン化合物に分解することができることを見出した。しかも、加水分解後のアミン未分離液の一部をそのまま可溶化剤としてフィードバックさせて使用できることが判り、この方法が経済的にも工業的にも実現可能な優れた方法であることを確信した。
すなわち、本発明は、
(1)ポリウレタン樹脂をポリアミン化合物、低分子グリコールまたはアミノアルコールを含む可溶化剤に溶解し、必要により不溶物を除去した後、200〜320℃の液状水により加水分解し、生成したポリアミン化合物および/またはポリオール化合物を回収することを特徴とするポリウレタン樹脂の分解回収方法、
(2)可溶化剤への溶解を、120〜250℃で行う前記(1)記載の方法、
(3)可溶化剤への溶解を150〜230℃で行い、加水分解を250〜300℃の液状水で行う前記(1)または(2)記載の方法、
(4)可溶化剤としてのポリアミン化合物が、トルイレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリメチルポリフェニルポリアミン、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミンまたはキシリレンジアミンである前記(1)記載の方法、
(5)可溶化剤としての低分子グリコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールまたはジプロピレングリコールである前記(1)記載の方法、
(6)可溶化剤としてのアミノアルコールが、モノエタノールアミンまたはジエタノールアミンである前記(1)記載の方法、および
(7)加水分解により生成したポリアミン化合物の一部を可溶化剤としてフィードバックする前記(1)または(2)記載の方法、
である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の分解対象物であるポリウレタン樹脂は一般にポリイソシアネート化合物と活性水素化合物を反応させることにより得られる高分子物質である。
ポリイソシアネート化合物としては、たとえば、トルイレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI(PMDI)、水添MDI、変性MDI、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDIなどが挙げられる。
活性水素化合物の代表的なものはポリオール化合物であり、このポリオール化合物としては、たとえば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドと活性水素含有開始剤から誘導される2〜8官能のポリエーテルポリオールの外、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール等が挙げられる。
本発明の方法においては、分子構造、構成単位、重合度の如何に拘わらず、ウレタン結合、アロハネート結合、ウレア結合、ビウレット結合、アミド結合などの結合を有するすべてのポリウレタン樹脂を分解の対象とすることができる。
【0007】
しかし分解して得られた物質の分離、精製、回収の効率を考慮すると、分解対象のポリウレタン樹脂は次のイソシアネートとポリオールの反応によって得られたものであることが望ましい。
イソシアネート化合物としては、TDI、TDI変性体(ビューレット変性体、トリマー化物など)またはTDIとPMDIとの混合品が好ましい。また2,4−トルイレンジイソシアネートの含量が40〜100%のTDI類、例えばTDI100%(例、タケネート−100、武田薬品工業(株)製)、80%(例、タケネート−80、武田薬品工業(株)製)、65%(例、タケネート−65、武田薬品工業(株)製)、64%(例、タケネート−TM20、武田薬品工業(株)製)〔TDI−80/PMDI=80/20〕、40%(例、タケネート−TM50、武田薬品工業(株)製)〔TDI80/PMDI=50/50〕およびこれらの変性体やプレポリマーが挙げられる。とりわけ、2,4−トルイレンジイソシアネートの含量が約80%のTDIまたはその変性体が好ましい。
ポリオール化合物としては、例えば官能基数が2〜4、好ましくは3〜4、OH価が10〜100(mgKOH/g)、好ましくは24〜80のものが挙げられる。また、エチレンオキシ基(EO)を0〜20%含むポリエーテルポリオールが挙げられる。具体的には、アクトコールMF53、アクトコールMF56、アクトコールMF59(いずれも武田薬品工業(株)製)の各種ポリエーテルポリオールが挙げられる
【0008】
本発明の分解対象物であるポリウレタン樹脂の形状としては、たとえば、一般家庭や事務所で用いられているベッド、ソファー、座椅子、自動車のシート、ヘッドレスト、サンバイザー、インパネ、アームレストなどのクッション材に用いられている軟質、半軟質ウレタンフォームあるいは断熱材として使用されている硬質ポリウレタンフォームの成形加工時に発生する不具合品や切り出し屑、およびこれら製品が利用された後の廃品、またタイヤ、チューブ、靴底などのポリウレタン樹脂エラストマー製品の製造時の切断片や使用後の廃品などがあげられる。
分解対象物がフォームの場合は、シュレッダーなどにより裁断したり、エラストマーの場合は粉砕機により粉砕しておくのが望ましいが、それらの中に製品を構成していた繊維、皮革、合成皮革、木、金属などが多少含まれていても差し支えない。
本発明に使用されるポリウレタン樹脂の可溶化剤であるポリアミン化合物としては、通常ポリイソシアネートの原料であるポリアミン化合物が挙げられ、トルイレンジアミンがその代表的なものであるが、ジアミノジフェニルメタン、ポリメチルポリフェニルポリアミン、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン等またはこれらの混合物も使用することができる。
【0009】
本発明において、可溶化剤として使用される低分子グリコールとしては、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなど、分子量200以下、好ましくは150以下の低分子グリコールが挙げられる。
またアミノアルコールとしては、たとえばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミンなど分子量200以下、好ましくは150以下の低分子アミノアルコールが挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、トルイレンジアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびモノエタノールアミンである。これらの可溶化剤は、単独または混合物として用いることができる。
これらの可溶化剤に、官能基数2〜8、水酸基当量100〜2,000のポリエーテルポリオールを混合して使用することもできる。さらに、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物やアンモニア等を分解触媒として少量用いてもよい。
可溶化剤に対するポリエーテルポリオール化合物の混合比率は重量比で、通常前者が1に対し後者が0.5から5の範囲である。後者の配合比率があまり高いとポリウレタン樹脂の溶解量が低下し好ましくない。ポリウレタン樹脂に対する可溶化剤の使用割合は、前者1重量部に対し後者0.2〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部程度である。この可溶化剤の最も好ましい使用形態の1つは、次工程で生成するポリウレタン樹脂の加水分解液を一部リサイクルして使うことであり、この場合は当然のことながら液組成は分解に用いたポリウレタン樹脂の組成に依存する。
前記ポリウレタン樹脂を可溶化剤に溶解する際の温度は通常120〜250℃、好ましくは150〜230℃である。温度が低すぎると溶解に長時間を要するし、温度が高すぎると可溶化剤の分解や重合が起こり回収率が低下する。
このポリウレタン樹脂の可溶化は、ポリウレタン樹脂中のウレタン結合や尿素結合が可溶化剤で切断されることにより進行する。
【0010】
上記のポリウレタン樹脂を溶解した液は必要によりたとえば濾過器等を通し、繊維等の不溶物を除いて加水分解装置へ送られる。濾過器の具体的な例としては、たとえばテフロン、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やガラス繊維製の濾布、たとえばSUS製の金網やセラミックフィルター等を備えた、自動式フィルタープレス、回転円盤型濾過器、遠心分離型の濾過器等をあげることができる。
加水分解装置の構造については特に限定されるものではないが、その好ましい例として、塔底部でポリウレタン樹脂溶解液と加熱水を混合させ、混合液を塔本体へ押し上げ、塔頂部に設けた圧力調整弁を通して連続的に分解液と発生する炭酸ガスを塔外へ排出するように設計されたものをあげることができる。要は加水分解に必要な加熱水の温度を保ちうる圧力と加水分解に必要な液滞留時間を確保しうる構造の装置であれば良い。
加水分解工程の温度は200〜320℃、好ましくは250〜300℃である。温度が低すぎると分解速度が遅く、また高すぎる場合にはエーテル結合が切れたり、生成するポリアミン化合物の縮合等の副反応が生起する。本工程の圧力は直接収率に影響するものではないが、加熱水が液状を保ちうる以上の圧力に制御することが好ましい。また、被分解液と加熱水の重合割合(加水比)は分解するポリウレタン樹脂の種類によっても変わってくるが、被分解液1に対し、加熱水は通常0.3〜5.0、好ましくは0.5〜3.0の範囲である。加水比が低くすぎるとポリアミン化合物やポリオール化合物への分解が不完全となり、多すぎる場合にはエネルギーロスが大きく不経済である。なお、この反応は無触媒下でも進行するが、少量のアルカリ金属水酸化物、アンモニア等を触媒として使用することもできる。加水分解に要する時間は、加水分解の温度や加水比にもよるが、通常5分〜2時間、好ましくは10分〜1時間程度である。
【0011】
加水分解生成物は次いで脱水装置へ導かれる。大部分の水及び炭酸ガスは圧力調整弁で減圧されることにより気化し、気体として回収されるが、必要に応じて減圧蒸留や乾燥窒素等を吹き込む等の手段により脱水することもできる。
かくして得られた加水分解生成物は実質的には可溶化剤、ポリウレタン樹脂の加水分解物であるポリアミン化合物とポリオール化合物を含んだ混合物であるが、減圧蒸留等の手段によって、可溶化剤およびポリアミンを回収し、可溶化剤およびポリアミン化合物の一部はポリウレタン樹脂の可溶化工程へフィードバックしてもよいし、また加水分解生成物をそのまま可溶化剤としてフィードバックしてもよい。残りの液については蒸留や遠心分離あるいは溶媒溶出などの公知の手段でポリアミン化合物とポリオール化合物に分離することができる。これらの操作は、分解するポリウレタン樹脂の種類によって適宜選択すればよい。また、加水分解物からポリアミン化合物を分離することなくプロピレンオキサイドのようなアルキレンオキサイドで処理し、アミノ末端基を水酸基に変えポリオールとして利用することもできる。
本発明の方法により得られるポリアミン類やポリオール類は、通常のポリウレタン製造に用いられる原料物質と同一の化合物であり、純度や品質はこれらと同等もしくは優れているのでそれぞれそのままポリウレタンの原料として使用することができる。
【0012】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
温度計、撹拌機及び窒素ガス導入管を備えた500mlの4口フラスコ中に、50gのトルイレンジアミンと50gの分子量3,000のポリオキシプロピレントリオールを仕込み、外部から加熱し170℃に昇温した。この液中に分子量3,000のポリオキシプロピレントリオールとトルイレンジイソシアネート(タケネート80:武田薬品工業(株)製)を用いて発泡させた密度25kg/m3の軟質ポリウレタンフォームの裁断片30gを加え、同温度で1時間撹拌してフォームを完全に溶解させた。この液を25℃まで冷却し、粘度を測定したところ約10,000mPaであった。
次いで温度計及び圧力計を備えた内容積200mlのオートクレーブ中に、上記で得られたフォーム溶解液50gと純水50gを仕込み窒素ガスで置換後外部から加熱し、270℃まで昇温した。この時内圧は68kg/m2Gを示した。この温度で20分間放置したがこれ以上の昇圧は認められなかった。オートクレーブを室温まで冷却し、内容物をメタノールで希釈しゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で分析した結果ポリオール部分については分子量3,000のトリオールに相当するピーク以外に高分子物質は認められず、アミンの領域ではトルイレンジアミンに相当するピークのみが認められた。また、NMRの分析で生成物中にはウレタン結合や尿素結合が存在しないことが確かめられた。これらの事実からポリウレタンフォームは完全にトルイレンジアミンとポリプロピレントリオールに分解されたことが裏付けられた。
【0013】
実施例2
実施例1と同様の装置を使いトルイレンジアミン120gと分子量3,000のポリオキシプロピレントリオール80gの混合液を160℃に加熱した。この液に分子量5,000、末端にエチレンオキサイドを付加したポリエーテルトリオールおよびトルイレンジイソシアネートを原料として用いて発泡成形用した自動車シートモールドフォーム(密度:50kg/m3)の裁断片100gを加え、1時間撹拌してフォームを完全に溶解させた。
実施例1と同様のオートクレーブを使い、上記で得られた溶液40gと純水60gを用いて実施例1と同様に加熱し250℃で30分間放置した。この時圧力は50kg/m2Gで一定となった。装置ごと室温まで冷却し、内容物を上記と同様にして分析を行った結果、生成物中にはウレタン結合や尿素結合は存在せず、GPCの分析でもトルイレンジアミンと原料や溶媒として用いたポリエーテルポリオールに基づくピーク以外の高分子物質は認められなかった。
【0014】
実施例3
実施例1で得られた加水分解物40gを使い、実施例1と同様の軟質ポリウレタンフォーム10gを180℃で45時間撹拌したところフォームは完全に溶解した。上記で得られたフォーム溶解液45gを純水55gと共に実施例1と同様のオートクレーブに仕込み、同様の方法で加熱し280℃とした。20分間同温度に保った後冷却し、内容物をメタノールで希釈して、GPC、NMR等で分析した結果、実施例1の結果と同様に生成物中にはウレタン結合や尿素結合は認められなかった。またGPCによる分析でも原料である分子量3,000のポリプロピレントリオールに相当するピーク以外には高分子物質は認められず、また低分子領域でもトルイレンジアミンに相当するピークのみが認められた。
【0015】
実施例4
温度計、撹拌機及び窒素ガス導入管を備えた500mlの4口フラスコ中に、300gのジエチレングリコールを仕込み、外部から加熱し200℃に昇温した。この液中に末端がエチレンオキサイドで活性化された分子量3,000のポリエーテルトリオール及びトルイレンジイソシアネート(タケネート80:武田薬品工業(株)製)を用いて発泡させた密度25kg/m3の軟質ポリウレタンフォーム200gを同温度で1時間かけて加え、さらに同温度で1時間撹拌してフォームを完全に溶解させた。この液を25℃まで冷却し、粘度を測定したところ約400mPaであった。
次いで温度計及び圧力計を備えた内容積200mlのオートクレーブ中に、上記で得られたフォーム溶解液50gと純水50gを仕込み窒素ガスで置換後外部から加熱し、270℃まで昇温した。この時内圧は68kg/m2Gを示した。この温度で20分間放置したがこれ以上の昇圧は認められなかった。オートクレーブを室温まで冷却し、内容物をメタノールで希釈しGPCで分析した結果ポリオール部分については分子量3,000のトリオールに相当するピーク以外に高分子物質は認められず、また低分子領域でも可溶化剤に使ったジエチレングリコールおよびトルイレンジアミンに相当するピークのみが認められた。また、NMRの分析で生成物中にはウレタン結合や尿素結合が存在しないことが確かめられた。
【0016】
実施例5
実施例1と同様の装置、すなわち温度計、撹拌機及び窒素ガス導入管を備えた500mlの4口フラスコ中に、300gのモノエタノールアミンを仕込み、外部から加熱し170℃に昇温した。この液中にグリセリンにプロピレンオキサイドを付加して得られた分子量3,000のポリエーテルトリオール(アクトコール79−56:武田薬品工業(株)製)及びトルイレンジイソシアネート(タケネート80:武田薬品工業(株)製)を用いて発泡させた密度20kg/m3の軟質ポリウレタンフォーム250gを同温度で1時間かけて加え、さらに同温度で1時間撹拌してフォームを完全に溶解させた。この液を25℃まで冷却し、粘度を測定したところ約900mPaであった。
次いで実施例1で用いたと同じ200mlのオートクレーブ中に、上記で得られたフォーム溶解液40gと純水60gを仕込み窒素ガスで置換後外部から加熱し、290℃まで昇温した。この時内圧は78kg/m2Gを示した。この温度で30分間放置したがこれ以上の昇圧は認められなかった。オートクレーブを室温まで冷却し、内容物をメタノールで希釈しGPCで分析した結果ポリオール部分については分子量3,000のトリオールに相当するピーク以外に高分子物質は認められず、アミンの領域でもモノエタノールアミンおよびトルイレンジアミンに相当するピークのみが認められた。また、NMRの分析で生成物中にはウレタン結合や尿素結合が存在しないことが確かめられた。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、ポリウレタン樹脂の分解、原料回収に際し、まず樹脂を可溶化剤に溶解し、必要により固形物を除去した後、200〜320℃の液状水で加水分解することからなり、分解対象の切断片等に他の繊維、皮革、合成皮革等が混入していても差し支えなく、連続的にポリウレタン樹脂の原料であるポリオール化合物やポリイソシアネート化合物の合成中間体であるポリアミン化合物に分解して回収することができるという画期的なものである。
しかも回収されたポリアミン化合物を含む分解液はそのままポリウレタン樹脂の可溶化剤として装置にフィードバックすることができるので、一循環以後は新たに可溶化剤を補充する必要がなく、経済的、工業的に極めて優れた方法である。
Claims (7)
- ポリウレタン樹脂をポリアミン化合物、分子量200以下のグリコールまたはアミノアルコールを含む可溶化剤に溶解し、不溶物を濾過により除去した後、200〜320℃の液状水により加水分解し、生成したポリアミン化合物および/またはポリオール化合物を回収することを特徴とするポリウレタン樹脂の分解回収方法。
- 可溶化剤への溶解を、120〜250℃で行う請求項1記載の方法。
- 可溶化剤への溶解を150〜230℃で行い、加水分解を250〜300℃の液状水で行う請求項1または2記載の方法。
- 可溶化剤としてのポリアミン化合物が、トルイレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリメチルポリフェニルポリアミン、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミンまたはキシリレンジアミンである請求項1記載の方法。
- 可溶化剤としてのグリコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールまたはジプロピレングリコールである請求項1記載の方法。
- 可溶化剤としてのアミノアルコールが、モノエタノールアミンまたはジエタノールアミンである請求項1記載の方法。
- 加水分解により生成したポリアミン化合物の一部を可溶化剤としてフィードバックする請求項1または2記載の方法。
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