JP2000169624A - ポリウレタン樹脂の分解回収方法 - Google Patents

ポリウレタン樹脂の分解回収方法

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JP2000169624A JP26342499A JP26342499A JP2000169624A JP 2000169624 A JP2000169624 A JP 2000169624A JP 26342499 A JP26342499 A JP 26342499A JP 26342499 A JP26342499 A JP 26342499A JP 2000169624 A JP2000169624 A JP 2000169624A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】産業廃棄物として多量に排出されるポリウレタ
ンフォーム等のポリウレタン樹脂を、連続的に分解し、
ポリウレタン樹脂の原料であるポリアミン化合物やポリ
オール化合物を工業的有利に回収する方法の提供。 【解決手段】ポリウレタン樹脂をポリアミン化合物、低
分子グリコールまたはアミノアルコールを含む可溶化剤
に溶解し、必要により固形物を除去した後、200〜3
20℃の液状水と接触させて加水分解すると、ポリウレ
タン樹脂の原料であるポリアミン化合物やポリオール化
合物を連続的に回収することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリウレタン樹脂
製品の成形加工工程で生み出される切断片や製品として
利用された後の廃品等を化学的に分解し、ポリウレタン
樹脂の原料であるポリアミン化合物および/またはポリ
オール化合物を工業的有利に回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリウレタン樹脂は、軟質、半軟質、硬
質ウレタンフォームとして、たとえばソファー、ベッド
などの家具や寝具、自動車のシート等のクッション材、
冷蔵庫等の断熱材などに広範且つ多量に用いられてお
り、またエラストマーとして靴底、タイヤ、ベルトなど
にも多く使用されている。最近、資源の保護、環境保全
が重要視されるに至り、各種プラスチック製品のリサイ
クル、リユース方法が個々に検討されているが、ポリウ
レタン樹脂もその例外ではない。これまで知られている
ポリウレタン樹脂のリサイクル方法は、(1)マテリア
ルリサイクル技術、(2)ケミカルリサイクル技術およ
び(3)エネルギーリサイクル技術に大別することがで
きる。(1)のマテリアルリサイクル技術は、たとえば
ポリウレタンフォームを、必要により適当な大きさに裁
断し、リボンドや圧縮成形等の手段でクッション材や断
熱材として再利用する方法やフォームやエラストマーを
粉砕し新たな原料に充填材等として混合利用する方法で
ある。(2)のケミカルリサイクル技術は、ポリウレタ
ン樹脂を利用可能な化学物質に分解して再利用する方法
で、グリコール分解法、アミン分解法、加水分解法など
が知られている。(3)のエネルギーリサイクル技術
は、ポリウレタン樹脂を燃料として用いる技術である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記(1)の技術はリ
サイクルにより得られた製品、たとえばクッション材、
断熱材等の品質面での問題があり、用途は極く一部に限
られる。(3)の技術は燃焼による有害物質の発生な
ど、新たな公害問題を引き起こす危険性が指摘されてい
る。前記(2)のケミカルリサイクル技術は、もしそれ
が経済的且つ工業的に実施可能であれば、理想的なリサ
イクル技術といえる。前述のグリコール分解法やアミン
分解法は、ポリウレタン樹脂中に存在するウレタン結
合、尿素結合、ビウレット結合、アロファネート結合な
どの種々の結合のうちで、比較的分解を受けやすいウレ
タン結合や尿素結合をグリコールやアミン化合物で切断
し、交換反応により液状化するものである。その際、分
解剤として使用したグリコールやアミンは新たにウレタ
ン結合や尿素結合を生成して、ウレタンや尿素誘導体と
して液状分解物中に混入してくる。したがって、この技
術ではポリウレタン樹脂の原料であるポリオールやポリ
アミン化合物にまで分解されて回収されるものではない
ので、回収物の用途も限定される。また、水を分解剤と
してポリウレタン樹脂を加水分解する方法も提案されて
いる。
【0004】例えば特開昭54−70377号には、ポ
リウレタンフォームをアルカリ金属やアルカリ土類金属
化合物の存在下に、300℃、0.4〜10気圧の水蒸
気で加水分解する方法が開示されている。しかしこのよ
うな低圧の水蒸気を使った場合には加水分解の反応速度
が遅く、しかも触媒の存在が不可欠である。一方、最近
高温、高圧の水を使ってポリウレタン樹脂を低分子化合
物に分解して回収する方法も報告されている(W098
/34904)。この方法の原料となるウレタン廃材
が、ポリウレタン樹脂のみからなり、加水分解されない
異物を含んでいない場合には、この方法も利用価値があ
ると考えられる。しかし、ポリウレタン樹脂を含む廃材
の中で、最も多量に排出されるのは、自動車用シートの
シュレッダーダストであり、これはシートの表層材であ
る繊維や皮革など加水分解されない異物の裁断片をかな
り含んでいる。したがって原料としてこのシュレッダー
ダストを用いる限り、加水分解工程に付しても分解され
なかったものが異物として分解液に混じって残存してく
る。そしてこの分解液から異物を除去するには、反応容
器を常圧に戻して濾過する必要が生じ、連続的に加水分
解処理をすることは困難である。この方法をバッチ方式
で行うことも考えられるが、ウレタンフォームは、嵩高
く疎水性であので、加水比(被加水分解物/水)を相当
高くしなければならず、そのためには大型の高圧設備が
必要となる。バッチ方式で大型の設備が必要となれば回
収コストが高くなるので、この方法は実用的とは云えな
い。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、ポ
リウレタン樹脂の連続分解回収法につき鋭意検討を重ね
た結果、ポリウレタン樹脂をまずポリアミン化合物、低
分子グリコールまたはアミノアルコールを含む可溶化剤
に溶解し、必要に応じて不溶物をたとえば濾過器等にて
除去し、この溶液を高温・高圧下の水槽へ連続的に供給
することにより、加水比を小さくしてもポリウレタン樹
脂を短時間でしかも完全にその原料であるポリオール化
合物とポリアミン化合物に分解することができることを
見出した。しかも、加水分解後のアミン未分離液の一部
をそのまま可溶化剤としてフィードバックさせて使用で
きることが判り、この方法が経済的にも工業的にも実現
可能な優れた方法であることを確信した。すなわち、本
発明は、(1)ポリウレタン樹脂をポリアミン化合物、
低分子グリコールまたはアミノアルコールを含む可溶化
剤に溶解し、必要により不溶物を除去した後、200〜
320℃の液状水により加水分解し、生成したポリアミ
ン化合物および/またはポリオール化合物を回収するこ
とを特徴とするポリウレタン樹脂の分解回収方法、
(2)可溶化剤への溶解を、120〜250℃で行う前
記(1)記載の方法、(3)可溶化剤への溶解を150
〜230℃で行い、加水分解を250〜300℃の液状
水で行う前記(1)または(2)記載の方法、(4)可
溶化剤としてのポリアミン化合物が、トルイレンジアミ
ン、ジアミノジフェニルメタン、ポリメチルポリフェニ
ルポリアミン、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジ
アミンまたはキシリレンジアミンである前記(1)記載
の方法、(5)可溶化剤としての低分子グリコールが、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレ
ングリコールまたはジプロピレングリコールである前記
(1)記載の方法、(6)可溶化剤としてのアミノアル
コールが、モノエタノールアミンまたはジエタノールア
ミンである前記(1)記載の方法、および(7)加水分
解により生成したポリアミン化合物の一部を可溶化剤と
してフィードバックする前記(1)または(2)記載の
方法、である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の分解対象物であるポリウ
レタン樹脂は一般にポリイソシアネート化合物と活性水
素化合物を反応させることにより得られる高分子物質で
ある。ポリイソシアネート化合物としては、たとえば、
トルイレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメ
タンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI
(PMDI)、水添MDI、変性MDI、イソホロンジ
イソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシ
アネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(X
DI)、水添XDIなどが挙げられる。活性水素化合物
の代表的なものはポリオール化合物であり、このポリオ
ール化合物としては、たとえば、エチレンオキシド、プ
ロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドと活性水素
含有開始剤から誘導される2〜8官能のポリエーテルポ
リオールの外、ポリエステルポリオール、アクリルポリ
オール等が挙げられる。本発明の方法においては、分子
構造、構成単位、重合度の如何に拘わらず、ウレタン結
合、アロハネート結合、ウレア結合、ビウレット結合、
アミド結合などの結合を有するすべてのポリウレタン樹
脂を分解の対象とすることができる。
【0007】しかし分解して得られた物質の分離、精
製、回収の効率を考慮すると、分解対象のポリウレタン
樹脂は次のイソシアネートとポリオールの反応によって
得られたものであることが望ましい。イソシアネート化
合物としては、TDI、TDI変性体(ビューレット変
性体、トリマー化物など)またはTDIとPMDIとの
混合品が好ましい。また2,4−トルイレンジイソシア
ネートの含量が40〜100%のTDI類、例えばTD
I100%(例、タケネート−100、武田薬品工業
(株)製)、80%(例、タケネート−80、武田薬品
工業(株)製)、65%(例、タケネート−65、武田
薬品工業(株)製)、64%(例、タケネート−TM2
0、武田薬品工業(株)製)〔TDI−80/PMDI
=80/20〕、40%(例、タケネート−TM50、
武田薬品工業(株)製)〔TDI80/PMDI=50
/50〕およびこれらの変性体やプレポリマーが挙げら
れる。とりわけ、2,4−トルイレンジイソシアネート
の含量が約80%のTDIまたはその変性体が好まし
い。ポリオール化合物としては、例えば官能基数が2〜
4、好ましくは3〜4、OH価が10〜100(mgK
OH/g)、好ましくは24〜80のものが挙げられ
る。また、エチレンオキシ基(EO)を0〜20%含む
ポリエーテルポリオールが挙げられる。具体的には、ア
クトコールMF53、アクトコールMF56、アクトコ
ールMF59(いずれも武田薬品工業(株)製)の各種
ポリエーテルポリオールが挙げられる
【0008】本発明の分解対象物であるポリウレタン樹
脂の形状としては、たとえば、一般家庭や事務所で用い
られているベッド、ソファー、座椅子、自動車のシー
ト、ヘッドレスト、サンバイザー、インパネ、アームレ
ストなどのクッション材に用いられている軟質、半軟質
ウレタンフォームあるいは断熱材として使用されている
硬質ポリウレタンフォームの成形加工時に発生する不具
合品や切り出し屑、およびこれら製品が利用された後の
廃品、またタイヤ、チューブ、靴底などのポリウレタン
樹脂エラストマー製品の製造時の切断片や使用後の廃品
などがあげられる。分解対象物がフォームの場合は、シ
ュレッダーなどにより裁断したり、エラストマーの場合
は粉砕機により粉砕しておくのが望ましいが、それらの
中に製品を構成していた繊維、皮革、合成皮革、木、金
属などが多少含まれていても差し支えない。本発明に使
用されるポリウレタン樹脂の可溶化剤であるポリアミン
化合物としては、通常ポリイソシアネートの原料である
ポリアミン化合物が挙げられ、トルイレンジアミンがそ
の代表的なものであるが、ジアミノジフェニルメタン、
ポリメチルポリフェニルポリアミン、イソホロンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン等ま
たはこれらの混合物も使用することができる。
【0009】本発明において、可溶化剤として使用され
る低分子グリコールとしては、たとえばエチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジ
オールなど、分子量200以下、好ましくは150以下
の低分子グリコールが挙げられる。またアミノアルコー
ルとしては、たとえばモノエタノールアミン、ジエタノ
ールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノール
アミンなど分子量200以下、好ましくは150以下の
低分子アミノアルコールが挙げられる。これらの中で特
に好ましいものは、トルイレンジアミン、エチレングリ
コール、ジエチレングリコールおよびモノエタノールア
ミンである。これらの可溶化剤は、単独または混合物と
して用いることができる。これらの可溶化剤に、官能基
数2〜8、水酸基当量100〜2,000のポリエーテ
ルポリオールを混合して使用することもできる。さら
に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ
金属水酸化物やアンモニア等を分解触媒として少量用い
てもよい。可溶化剤に対するポリエーテルポリオール化
合物の混合比率は重量比で、通常前者が1に対し後者が
0.5から5の範囲である。後者の配合比率があまり高
いとポリウレタン樹脂の溶解量が低下し好ましくない。
ポリウレタン樹脂に対する可溶化剤の使用割合は、前者
1重量部に対し後者0.2〜5重量部、好ましくは0.
5〜3重量部程度である。この可溶化剤の最も好ましい
使用形態の1つは、次工程で生成するポリウレタン樹脂
の加水分解液を一部リサイクルして使うことであり、こ
の場合は当然のことながら液組成は分解に用いたポリウ
レタン樹脂の組成に依存する。前記ポリウレタン樹脂を
可溶化剤に溶解する際の温度は通常120〜250℃、
好ましくは150〜230℃である。温度が低すぎると
溶解に長時間を要するし、温度が高すぎると可溶化剤の
分解や重合が起こり回収率が低下する。このポリウレタ
ン樹脂の可溶化は、ポリウレタン樹脂中のウレタン結合
や尿素結合が可溶化剤で切断されることにより進行す
る。
【0010】上記のポリウレタン樹脂を溶解した液は必
要によりたとえば濾過器等を通し、繊維等の不溶物を除
いて加水分解装置へ送られる。濾過器の具体的な例とし
ては、たとえばテフロン、PPS(ポリフェニレンサル
ファイド)やガラス繊維製の濾布、たとえばSUS製の
金網やセラミックフィルター等を備えた、自動式フィル
タープレス、回転円盤型濾過器、遠心分離型の濾過器等
をあげることができる。加水分解装置の構造については
特に限定されるものではないが、その好ましい例とし
て、塔底部でポリウレタン樹脂溶解液と加熱水を混合さ
せ、混合液を塔本体へ押し上げ、塔頂部に設けた圧力調
整弁を通して連続的に分解液と発生する炭酸ガスを塔外
へ排出するように設計されたものをあげることができ
る。要は加水分解に必要な加熱水の温度を保ちうる圧力
と加水分解に必要な液滞留時間を確保しうる構造の装置
であれば良い。加水分解工程の温度は200〜320
℃、好ましくは250〜300℃である。温度が低すぎ
ると分解速度が遅く、また高すぎる場合にはエーテル結
合が切れたり、生成するポリアミン化合物の縮合等の副
反応が生起する。本工程の圧力は直接収率に影響するも
のではないが、加熱水が液状を保ちうる以上の圧力に制
御することが好ましい。また、被分解液と加熱水の重合
割合(加水比)は分解するポリウレタン樹脂の種類によ
っても変わってくるが、被分解液1に対し、加熱水は通
常0.3〜5.0、好ましくは0.5〜3.0の範囲であ
る。加水比が低くすぎるとポリアミン化合物やポリオー
ル化合物への分解が不完全となり、多すぎる場合にはエ
ネルギーロスが大きく不経済である。なお、この反応は
無触媒下でも進行するが、少量のアルカリ金属水酸化
物、アンモニア等を触媒として使用することもできる。
加水分解に要する時間は、加水分解の温度や加水比にも
よるが、通常5分〜2時間、好ましくは10分〜1時間
程度である。
【0011】加水分解生成物は次いで脱水装置へ導かれ
る。大部分の水及び炭酸ガスは圧力調整弁で減圧される
ことにより気化し、気体として回収されるが、必要に応
じて減圧蒸留や乾燥窒素等を吹き込む等の手段により脱
水することもできる。かくして得られた加水分解生成物
は実質的には可溶化剤、ポリウレタン樹脂の加水分解物
であるポリアミン化合物とポリオール化合物を含んだ混
合物であるが、減圧蒸留等の手段によって、可溶化剤お
よびポリアミンを回収し、可溶化剤およびポリアミン化
合物の一部はポリウレタン樹脂の可溶化工程へフィード
バックしてもよいし、また加水分解生成物をそのまま可
溶化剤としてフィードバックしてもよい。残りの液につ
いては蒸留や遠心分離あるいは溶媒溶出などの公知の手
段でポリアミン化合物とポリオール化合物に分離するこ
とができる。これらの操作は、分解するポリウレタン樹
脂の種類によって適宜選択すればよい。また、加水分解
物からポリアミン化合物を分離することなくプロピレン
オキサイドのようなアルキレンオキサイドで処理し、ア
ミノ末端基を水酸基に変えポリオールとして利用するこ
ともできる。本発明の方法により得られるポリアミン類
やポリオール類は、通常のポリウレタン製造に用いられ
る原料物質と同一の化合物であり、純度や品質はこれら
と同等もしくは優れているのでそれぞれそのままポリウ
レタンの原料として使用することができる。
【0012】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 実施例1 温度計、撹拌機及び窒素ガス導入管を備えた500ml
の4口フラスコ中に、50gのトルイレンジアミンと5
0gの分子量3,000のポリオキシプロピレントリオ
ールを仕込み、外部から加熱し170℃に昇温した。こ
の液中に分子量3,000のポリオキシプロピレントリ
オールとトルイレンジイソシアネート(タケネート8
0:武田薬品工業(株)製)を用いて発泡させた密度2
5kg/m 3の軟質ポリウレタンフォームの裁断片30
gを加え、同温度で1時間撹拌してフォームを完全に溶
解させた。この液を25℃まで冷却し、粘度を測定した
ところ約10,000mPaであった。次いで温度計及
び圧力計を備えた内容積200mlのオートクレーブ中
に、上記で得られたフォーム溶解液50gと純水50g
を仕込み窒素ガスで置換後外部から加熱し、270℃ま
で昇温した。この時内圧は68kg/m2Gを示した。
この温度で20分間放置したがこれ以上の昇圧は認めら
れなかった。オートクレーブを室温まで冷却し、内容物
をメタノールで希釈しゲル・パーミエーション・クロマ
トグラフィー(GPC)で分析した結果ポリオール部分
については分子量3,000のトリオールに相当するピ
ーク以外に高分子物質は認められず、アミンの領域では
トルイレンジアミンに相当するピークのみが認められ
た。また、NMRの分析で生成物中にはウレタン結合や
尿素結合が存在しないことが確かめられた。これらの事
実からポリウレタンフォームは完全にトルイレンジアミ
ンとポリプロピレントリオールに分解されたことが裏付
けられた。
【0013】実施例2 実施例1と同様の装置を使いトルイレンジアミン120
gと分子量3,000のポリオキシプロピレントリオー
ル80gの混合液を160℃に加熱した。この液に分子
量5,000、末端にエチレンオキサイドを付加したポ
リエーテルトリオールおよびトルイレンジイソシアネー
トを原料として用いて発泡成形用した自動車シートモー
ルドフォーム(密度:50kg/m3)の裁断片100
gを加え、1時間撹拌してフォームを完全に溶解させ
た。実施例1と同様のオートクレーブを使い、上記で得
られた溶液40gと純水60gを用いて実施例1と同様
に加熱し250℃で30分間放置した。この時圧力は5
0kg/m2Gで一定となった。装置ごと室温まで冷却
し、内容物を上記と同様にして分析を行った結果、生成
物中にはウレタン結合や尿素結合は存在せず、GPCの
分析でもトルイレンジアミンと原料や溶媒として用いた
ポリエーテルポリオールに基づくピーク以外の高分子物
質は認められなかった。
【0014】実施例3 実施例1で得られた加水分解物40gを使い、実施例1
と同様の軟質ポリウレタンフォーム10gを180℃で
45時間撹拌したところフォームは完全に溶解した。上
記で得られたフォーム溶解液45gを純水55gと共に
実施例1と同様のオートクレーブに仕込み、同様の方法
で加熱し280℃とした。20分間同温度に保った後冷
却し、内容物をメタノールで希釈して、GPC、NMR
等で分析した結果、実施例1の結果と同様に生成物中に
はウレタン結合や尿素結合は認められなかった。またG
PCによる分析でも原料である分子量3,000のポリ
プロピレントリオールに相当するピーク以外には高分子
物質は認められず、また低分子領域でもトルイレンジア
ミンに相当するピークのみが認められた。
【0015】実施例4 温度計、撹拌機及び窒素ガス導入管を備えた500ml
の4口フラスコ中に、300gのジエチレングリコール
を仕込み、外部から加熱し200℃に昇温した。この液
中に末端がエチレンオキサイドで活性化された分子量
3,000のポリエーテルトリオール及びトルイレンジ
イソシアネート(タケネート80:武田薬品工業(株)
製)を用いて発泡させた密度25kg/m3の軟質ポリ
ウレタンフォーム200gを同温度で1時間かけて加
え、さらに同温度で1時間撹拌してフォームを完全に溶
解させた。この液を25℃まで冷却し、粘度を測定した
ところ約400mPaであった。次いで温度計及び圧力
計を備えた内容積200mlのオートクレーブ中に、上
記で得られたフォーム溶解液50gと純水50gを仕込
み窒素ガスで置換後外部から加熱し、270℃まで昇温
した。この時内圧は68kg/m2Gを示した。この温
度で20分間放置したがこれ以上の昇圧は認められなか
った。オートクレーブを室温まで冷却し、内容物をメタ
ノールで希釈しGPCで分析した結果ポリオール部分に
ついては分子量3,000のトリオールに相当するピー
ク以外に高分子物質は認められず、また低分子領域でも
可溶化剤に使ったジエチレングリコールおよびトルイレ
ンジアミンに相当するピークのみが認められた。また、
NMRの分析で生成物中にはウレタン結合や尿素結合が
存在しないことが確かめられた。
【0016】実施例5 実施例1と同様の装置、すなわち温度計、撹拌機及び窒
素ガス導入管を備えた500mlの4口フラスコ中に、
300gのモノエタノールアミンを仕込み、外部から加
熱し170℃に昇温した。この液中にグリセリンにプロ
ピレンオキサイドを付加して得られた分子量3,000
のポリエーテルトリオール(アクトコール79−56:
武田薬品工業(株)製)及びトルイレンジイソシアネー
ト(タケネート80:武田薬品工業(株)製)を用いて
発泡させた密度20kg/m3の軟質ポリウレタンフォ
ーム250gを同温度で1時間かけて加え、さらに同温
度で1時間撹拌してフォームを完全に溶解させた。この
液を25℃まで冷却し、粘度を測定したところ約900
mPaであった。次いで実施例1で用いたと同じ200
mlのオートクレーブ中に、上記で得られたフォーム溶
解液40gと純水60gを仕込み窒素ガスで置換後外部
から加熱し、290℃まで昇温した。この時内圧は78
kg/m2Gを示した。この温度で30分間放置したが
これ以上の昇圧は認められなかった。オートクレーブを
室温まで冷却し、内容物をメタノールで希釈しGPCで
分析した結果ポリオール部分については分子量3,00
0のトリオールに相当するピーク以外に高分子物質は認
められず、アミンの領域でもモノエタノールアミンおよ
びトルイレンジアミンに相当するピークのみが認められ
た。また、NMRの分析で生成物中にはウレタン結合や
尿素結合が存在しないことが確かめられた。
【0017】
【発明の効果】本発明は、ポリウレタン樹脂の分解、原
料回収に際し、まず樹脂を可溶化剤に溶解し、必要によ
り固形物を除去した後、200〜320℃の液状水で加
水分解することからなり、分解対象の切断片等に他の繊
維、皮革、合成皮革等が混入していても差し支えなく、
連続的にポリウレタン樹脂の原料であるポリオール化合
物やポリイソシアネート化合物の合成中間体であるポリ
アミン化合物に分解して回収することができるという画
期的なものである。しかも回収されたポリアミン化合物
を含む分解液はそのままポリウレタン樹脂の可溶化剤と
して装置にフィードバックすることができるので、一循
環以後は新たに可溶化剤を補充する必要がなく、経済
的、工業的に極めて優れた方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 熊木 高志 大阪府大阪市淀川区十三本町二丁目17番85 号 武田薬品工業株式会社化学品カンパニ ー内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリウレタン樹脂をポリアミン化合物、低
    分子グリコールまたはアミノアルコールを含む可溶化剤
    に溶解し、必要により不溶物を除去した後、200〜3
    20℃の液状水により加水分解し、生成したポリアミン
    化合物および/またはポリオール化合物を回収すること
    を特徴とするポリウレタン樹脂の分解回収方法。
  2. 【請求項2】可溶化剤への溶解を、120〜250℃で
    行う請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】可溶化剤への溶解を150〜230℃で行
    い、加水分解を250〜300℃の液状水で行う請求項
    1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】可溶化剤としてのポリアミン化合物が、ト
    ルイレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリメ
    チルポリフェニルポリアミン、イソホロンジアミン、ヘ
    キサメチレンジアミンまたはキシリレンジアミンである
    請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】可溶化剤としての低分子グリコールが、エ
    チレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレン
    グリコールまたはジプロピレングリコールである請求項
    1記載の方法。
  6. 【請求項6】可溶化剤としてのアミノアルコールが、モ
    ノエタノールアミンまたはジエタノールアミンである請
    求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】加水分解により生成したポリアミン化合物
    の一部を可溶化剤としてフィードバックする請求項1ま
    たは2記載の方法。
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