JP4317938B2 - 2,6−ジアシル化化合物をスペーサとして有する亜鉛ポルフイリンダイマ−及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な亜鉛(II)ポルフイリンダイマー及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属ポルフイリンにおいて観察される電子移動反応は、光合成及び呼吸酸化による燐光発生に重要な役割を果たしている。多くの場合、葉緑体及びバクテリア葉緑体に含まれるポルフイリン誘導体は、電子移動に際して中心的な役割を果たしている。電子移動反応の機構を明らかにするために、多くの化学モデルが構築されてきた。ポルフイリン化学の分野では、ポルフイリン二量体は光合成反応の中心及び光獲得錯体のみならず、ヘモグロビン、ミオグロビン、シトクロームcオキシダーゼ等の分子触媒として興味が持たれている。そして、数多くのポルフイリンダイマー及びそれに関連する化合物が光合成用の生体モデル及び機能的な分子デバイスのために研究されてきた。一方、自然界の光合成における電子移動反応は、タンパク質の骨格に対して非共有結合で結合している一連の発色団において見ることができる。そして、その結合の結果、正確な位置を維持するとともに、素早くエネルギー移動を起こさせる空間的な配置方向及び単一方向に電子移動を起こすようにすることが知られている。このことに加えて、電子移動反応プロセスは、幾つかの発色団にわたる長距離であるにも関わらず、高い量子収率で進行する。又、生物体での電子移動体では、水素結合、配位結合、静電接触などの弱い相互作用によって、超分子物集合体が組み立てられていると考えられる。幾つかの総説では、これらの相互作用を明確にすることは、生物学的システムにおけるエネルギー及び電子移動についてよりよく理解するうえで必要なことであることが指摘されている。近年、非共有結合で結合している電子受容システムについてのかなりの数の研究が、これらの非共有結合に見られる電子移動プロセスに与える影響を明確にするために発表されている。これらの非共有結合の相互作用の中では、超分子集合体の中に存在する水素結合がもっとも重要な自己集積因子であることが認識されている。この理由は、自然界に存在する発色団の結合には、主として水素結合が使用されているからである。水素結合パターンを適当に選択することにより、種々な構造のよく知られている分子集合体が得られることも知られている。このような技術背景のもとにおいて、新規なポルフイリンダイマーの合成の必要性が指摘されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、水素結合を生じさせることができる、新規な超分子集合体を形成することができるものであり、特定の含窒素複素環化合物、含酸素複素環化合物、又は含硫黄複素環化合物から選ばれる化合物を介して亜鉛(II)ポルフイリンが結合した新規な亜鉛(II)ポルフイリン二量体及びその製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、亜鉛(II)ポルフイリンが有するエステル基を鹸化し、対応するカルボン酸とし、さらにこれを酸クロライドとして得られる亜鉛(II)ポルフイリン誘導体を、特定の含窒素複素環化合物、含酸素複素環化合物、又は含硫黄複素環化合物から選ばれる化合物反応させると、亜鉛(II)ポルフイリン二量体を製造することができること、及びこのようにして得られる亜鉛(II)ポルフイリン二量体では、超分子を形成することができること、及びスペサーである特定のジアミノ置換されている、含窒素複素環化合物、含酸素複素環化合物、又は含硫黄複素環化合物から選ばれる化合物の部分では分子認識作用を行うことができることを見いだして、本発明を完成させた。
【0005】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)下記の構造式(1)で示されることを特徴とするポルフイリンダイマー。
【化9】
(式中、Rは以下の基から選ばれる含窒素複素環化合物、
【化10】
以下の基から選ばれる含酸素複素環化合物、
【化11】
又は、以下の基から選ばれる含硫黄複素環化合物を示す。
【化12】
(2)構造式2で示される、メソ位が4’−エトキシカルボニルビフエニル基を有する亜鉛(II)ポルフイリン化合物を鹸化反応によりカルボキシル化して、構造式3で示される亜鉛(II)ポルフイリンを製造し、さらにこの化合物のカルボキシル基を、酸クロライド基として、構造式4で示される化合物を得た後に、構造式4で示される化合物と、構造式5で示されるジアミノ置換されているR化合物(Rは、特定の含窒素複素環化合物、含酸素複素環化合物、又は含硫黄複素環化合物を表す。)と反応させ、構造式6で示されるアミド化合物を得た後、引き続いて構造式4で示される亜鉛ポルフイリンと反応させ、構造式1で示される亜鉛(II)ポルフイリンダイマ−を製造することを特徴とする亜鉛(II)ポルフイリンダイマーの製造方法。
【化13】
(式中、Rは以下の基から選ばれる含窒素複素環化合物、
【化14】
以下の基から選ばれる含酸素複素環化合物、
【化15】
又は、以下の基から選ばれる含硫黄複素環化合物を示す。
【化16】
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、新規な亜鉛(II)ポルフイリン二量体であり、この亜鉛(II)ポルフイリン二量体は、ジアミノ置換されている特定の含窒素複素環化合物、含酸素複素環化合物、又は含硫黄複素環化合物から選ばれる化合物からなるスペーサを介して、亜鉛ポルフイリンが結合している構造をしており、以下の構造式(1)により表される化合物である。
【化17】
(式中、Rは以下の基から選ばれる含窒素複素環化合物、
【化18】
以下の基から選ばれる含酸素複素環化合物、
【化19】
又は、以下の基から選ばれる含硫黄複素環化合物を示す。
【化20】
【0007】
削除
【0008】
本発明の亜鉛(II)ポルフイリン二量体の製造方法は、特定の亜鉛(II)ポルフイリン化合物と、ジアミノ置換されている特定の含窒素複素環化合物、含酸素複素環化合物、又は含硫黄複素環化合物から選ばれる化合物と反応させて製造する。具体的には、メソ位が4’−エトキシカルボニルビニルフエニル基を有する特定の亜鉛(II)ポルフイリン化合物を原料とし、この亜鉛(II)ポルフイリンのエステル基を鹸化し、対応するカルボキシル基とし、さらに、酸塩化物基とし、これと、ジアミノ置換されている芳香族炭化水素、含窒素複素環化合物、含酸素複素環化合物、又は含硫黄複素環化合物から選ばれる化合物とを反応させて製造する。
【0009】
本発明では亜鉛ポルフイリン化合物に関し、そのメソ位が4’−エトキシカルボニルビフエニル基を有する化合物が用いられる。具体的には、以下の構造式(2)の化合物をあげることができる。
【化21】
【0010】
前記のメソ位が、4’−エトキシカルボニルビフエニル基を有する亜鉛(II)ポルフイリン化合物(構造式2)の製造には、本発明者らが発明した以下の反応を用いることが有効である。メソ位が4’−エトキシカルボニルビフエニルにより置換されている亜鉛ポルフイリンである、(5,10,15−(3,5−ジ−tert−ブチルフエニル)−20−(4−(4’−エトキシカルボニルビフエニル))ポルフイリン亜鉛錯体(構造式2)(以下、ポルフイリン2ともいう)を製造する。亜鉛ポルフイリンの製造方法には、多くの方法が知られているが、本発明者らが発明した以下の方法によれば、前記ポルフイリン2(構造式2)を多く含む混合物を得ることができる。
(a)ジピロメタン(構造式8)と、芳香族アルデヒド(構造式9)及び3,5−ジ−tert−ブチルベンズアルデヒド(構造式10)を、ジクロロメタンに溶解させたトリクロロ酢酸中で反応させ、次に、クロラニルを添加し、次にジクロロメタン及びメタノール等の溶剤の存在下に、酢酸亜鉛と反応させて、亜鉛(II)ポルフイリン混合物(混合物の内訳は以下の通り。(5,10,15,20−(3,5−ジ−tert−ブチルフエニル)ポルフイリン亜鉛(II)錯体(構造式6)(以下ポルフイリン1ともいう。):(5,10,15−(3,5−ジ−tert−ブチルフエニル)−20−(4−(4’−エトキシカルボニルビフエニル))ポルフイリン亜鉛錯体(構造式2)(以下、ポルフイリン2ともいう):ポルフイリン2:5,15−(3,5−ジ−tert−ブチルフエニル)−10,20−(4−(4’−エトキシカルボニルビフエニル))ポルフイリン亜鉛(II)錯体(構造式7)(以下ポルフイリン3ともいう)からなる混合物)を製造し、この混合物からポルフイリン2を分離する。反応式は以下の通りである。
【化22】
ジピロメタン(構造式8)と芳香族アルデヒド(構造式9)を、ジクロロメタンに溶解させたトリクロロ酢酸中で反応させ、次に、クロラニルを添加し、次に酢酸亜鉛と反応させて、前記(a)と同じく、亜鉛(II)ポルフイリン誘導体混合物を製造し、この混合物からポルフイリン2を分離する。反応式は以下の通りである。
【化23】
【0011】
削除
【0012】
前記の原料化合物を用いて、本発明の方法により、亜鉛(II)ポルフイリン二量体化合物を製造する方法は、以下の通りである。
(1)ポルフイリン2(構造式2)のエステル部分を鹸化して、対応するカルボキシル基を有する化合物(以下、ポルフイリン4ともいう)(構造式3)とし、さらにこの化合物のカルボキシル基を酸塩化物基とし、化合物(構造式4)を得ることが出来る。
ポルフイリン2のエステル部分を鹸化する際には、アルカリ条件下に行う。アルカリ条件に保つためには、具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等が用いることができる。反応は、適当な溶剤の存在下に行う。溶剤には、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等を用いることができる。対応するカルボン酸は70%程度の収率で得ることができる。得られた鹸化生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフイにより精製する。次に、ベンゼンに溶解させたハロゲン化合物と、加熱条件下に反応させて、ポルフイリン4のカルボキシル基の部分を、酸塩化物基とする。ハロゲン化合物には、塩化スルフリル、五塩化リン、三塩化リン、塩化ホスホリル、塩化チオニルなどが用いられる。通常、塩化スルフリルを用いることにより、酸塩化物を得ることが出来る。構造式4で示される酸塩化物は、緑色の固体である。前記加熱の範囲は、60〜100℃の範囲で行われる。
【化24】
【0013】
(2)このようにして得られる酸塩化物である構造式4の化合物と、構造式5で示されるジアミノ置換されているR化合物(Rは、芳香族炭化水素、含窒素複素環化合物、含酸素複素環化合物、又は含硫黄複素環化合物を表す。)を、溶剤の存在下に反応させ、次に、ポルフイリン4と反応させて、目的とする亜鉛(II)ポルフイリン二量体(構造式1)を製造する。この酸クロライドポルフイリンを、ジアミノ化合物であるジアミノピリジンと反応させる際についても、溶剤の存在下に行うことが必要である。ジアミノピリジン以外の前記R化合物を用いるときにも同様な結果が得られる。
【化25】
【0014】
溶剤には、ベンゼン、ベンゼン−THF混合物、及びTHFが考えられるが、ベンゼンを溶剤に用いた場合には、前記カップリング反応はほとんど進行しないし、所望のポルフイリン誘導体は得ることができない。しかしながら、ベンゼンに対して等量のTHFを添加して用いることにより、ポルフイリン4とジアミノピリジンを反応させ、酸アミド化合物が得ることができる。この収率は、50%収率程度である。溶剤としてTHFを用いると、カップリングの収率は70%迄あげることができる。このカップリング反応は種々な条件下に行うことができる。このカップリング反応の溶剤及び反応原料の割合は以下の通りである。
【0015】
【表1】
前記反応は、95℃、15時間、アルゴン雰囲気下にすべて実施した。得られた生成物をシリカゲルクロマトグラフイにより精製する。
【0016】
次に、構造式4で示される酸塩化物基を有するポルフイリンを、前記酸アミド化合物と反応させて、目的とするポルフイリン二量体を得ることができる。前記酸アミド化合物を製造した場合と同じく、ベンゼン中ではカップリング反応は殆ど進行しない。ベンゼンに対するTHFの容積比が増加するにつれて、カップリング効率も上昇し、THF中では16%迄上昇する。しかしながら、16%の最大収率ということは、同じ条件下におけるポルフイリン5を製造する場合と比較して極端に低い結果である。THF中のカップリング反応は、ポルフイリン5に対するポルフイリン4の1.7倍モル中で行われるけれども(表1の第4番目の結果)、得られる結果は、第3番目の結果と同じである。これらの結果は、ポルフイリン環の置換基の大きさが、カップリング反応には重大な影響を与えることを意味している。
【0017】
ポルフイリン2量体の吸収及び蛍光スペクトルは、図1及び図2に示すとおりである。対応するポルフイリン4及び5の光物性について検討した。
これらのスペクトルを比較すると、ポルフイリン二量体の吸収帯と同族のポルフイリンの吸収帯は同様な波長を有するものであるから、ポルフイリンユニットの間には相互作用がほとんどないことがわかる。ポルフイリン環の距離を予測するために、遊離塩基ポルフイリン二量体の幾何学的形状をAM1レベルでの半経験的分子軌道法(semi−empirical molecular orbital(MO)計算法)により最適化を行った。はじめに、前記軌道法を、対応するポルフイリン二量体に対して行った。これは、ポルフイリン二量体の3,5−ジ−tert−ブチルフエニル基を、幾つかの異なる立体配座となるフエニル基に置き換えた。もっとも安定な立体配座が、ポルフイリン二量体の最初の構造として用いられた。計算によって得られる局在最小エネルギーを有する構造体は
図3に示されており、二つのポルフイリン単位の距離(中心から中心まで)は、27.2Åと計算される。その結果得られる構造体は、吸収測定の結果を支持するものであり、中心の分子を、超分子形成に導く二つのポルフイリン単位になるために、十分な空間を与えるのに十分であることがわかる。
超分子集合体の形成状況を調査するために、300MHz1H NMRの測定を、N−(2,5−ジ−tert−ブチルフエニル)−N’−(水素)−ナフタレンテトラカルボキシイミド(NDIM)の存在下に、行った。ここで用いられるNDIMは文献に従って合成したものである。NDIMの存在すると、ポルフイリン二量体のアミドプロトンの下方フイールドにシフトすることが観察された。ダウンフイールドシフトが起こるということは、水素結合が形成されることにより引き起こされる電子密度の減少することにより、脱シールドが起こっていることを説明することができる。NDIMの存在下に超分子が形成されること、2,6−ジアシルピリジル基が分子認識サイトとして作用することが観察によりわかった。
【実施例】
【0018】
融点は、毛細管に充填されている状態で、電子熱融点測定装置により測定された結果であり、未補正のものである。UV可視スペクトルは、ShimadzuUV−3101PCスペクトルメーターによって測定されたものである。定常状態の蛍光スペクトルは、Shimazu RF−5301PCにより測定する。1H NMR スペクトルは、Varian XL−300スペクトルメーターにより測定したものである。これは、室温(20℃)において、300MHzで操作され、フーリエ変換モードを備えている。クロロホルム−d1を溶剤として用いた。テトラメチルシランを1HNMR測定用内部参照物質として用いた。FAB及びMALDI−TOFマススペクトルは、JEOL−DX30−3、及びPerSeptive BiosystemsJMS−ELITEにより各々に記録される。カップリング反応に使用されるテトラヒドロフラン(THF)は、Na−ベンゾフエノン錯体から蒸留によって分離される。一方、ジクロロメタンはCaH2上で蒸留により精製される。他の全ての化学品は試薬級であり、更に精製することなく使用した。全ての反応はアルゴン雰囲気中で行った。
【0019】
参考例1(ポルフイリン2及び3の合成)
3,5−ジ−tert−ブチルベンズアルデヒド 0.933g(4.39mモル)、4−(4’−エトキシカルボニル)ビフエニルアルデヒド1.1g(4.39mモル)、及びメソ−(3,5−ジ−tert−ブチルフエニル)−2,2’−ジピロメタン2.86g(8.63mモル)をジクロロメタン50ml中に溶解、撹拌して、トリクロロ酢酸0.67g(4.18mモル)を添加した。混合物を、夜中、暗所で撹拌した。ジクロロメタン5mlに溶解させたp−クロラニル4.0g(16.27mモル)を添加し、さらに3時間にわたり撹拌を続けた。得られた生成物を水中に注入し、クロロホルムにより抽出した。混合物を蒸発させることにより完全に濃縮し、残さをジクロロメタンに溶解させ、メタノールに溶解させたZn(OAc)2を添加した。TLC分析の結果、3種類のポルフイリンからなる生成物が得られることがわかった。混合物を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。蒸発させた後に濾過することにより、得られる残さを、シリカゲルを充填したカラムクロマトグラフイーにより分離することにより、3種類の金属ポルフイリンを分離した。具体的には、ポルフイリン1(5,10,15,20−(3,5−ジ−tert−ブチルフエニルポルフイリン)亜鉛錯体)0.62g(26%);ポルフイリン2(5,10,15−(3,5−ジ−tert−ブチルフエニル)−20−(4−(4’−エトキシカルボニルビフエニル))ポルフイリン)亜鉛錯体)1.42g(28%);ポルフイリン3(5,15−(3,5−ジ−tert−ブチルフエニル)−10,20,−(4−(4’−エトキシカルボニルビフエニル))ポルフイリン)亜鉛錯体)0.35g(13%)であった。
ポルフイリン1;紫色の粉末。
mp>300℃;300MHz1H NMR(CDCl3):δ(ppm),1.52(72H、s、t−Bu)、7.79(4H,t、J=1.5Hz,ArH),8.10(8H,d,J=1.8Hz,ArH)、9.01(8H,s,pyrrole−H);MS(FAB):m/z1126(M+);吸収スペクトル(CH2Cl2,λmax)421.5(ε=5.1×105),549.5,587.5nm.Anal.Calcd C,76.32;H,7.74;N,4.64.FoundC,76.80;H,7.88;N,4.35.
ポルフイリン2; 紫色の粉末。
mp>300℃;300MHz1H NMR(CDCl3):δ(ppm),0.92(3H、t、J=7.2Hz−CH2CH3)、1.53(54H,m,t−Bu);4.45(2H,q,J=7.5Hz,−CH2CH3);7.80(3H,t,J=8.4Hz;8.02(4H,m,biphenyl−H);8.35(2H,d,J=8.1Hz,biphenyl−H);9.02(8H,s,pyrrole−H);MS(FAB);m/z1161(M+);吸収スペクトル(CH2Cl2、λmax)422.5(ε=5.0×105)、549.5,588.5nm.Anal.Calcdfor C77H84N4O2Zn・H2O:Calcd C78.32;H,7.34;N,4.74.
Found C,78.06;H,7.57;N4.30.
ポルフイリン3;紫色の粉末。
mp>300℃;300MHz1H NMR(CDCl3):δ(ppm)0.90(6H、t、J=7.2Hz,−CH2CH3);1.55(36H,m,t−Bu);4.48(4H,q,J=7.2Hz−CH2CH3);7.81(2H,m,ArH);8.06(8H,m,biphenyl−H);8.11(4H,m,ArH);8.28(4H,d,J=8.1Hz,biphenyl−H);8.35(4H,d,J=8.7Hz,biphenyl−H);9.04(8H,m,pyrrole−H);MS(FAB):m/z=11980(M+).吸収スペクトル(CH2Cl2、λmax)422.5(ε=4.9×105),550.0,590.0nm.Anal.Calcd for C78H76 N4 O4Zn・1/3CHCl3;Calcd C75.96;H,6.212;N4.52 Found:C75.86;H,5.87;N,4.40.
【化26】
【0020】
実施例1前記参考例1で得られたポルフイリン2を、THFに溶解させたKOH水溶液中に添加し、エステル基を鹸化し、対応するカルボン酸に変化させ、シリカゲルカラムクロマログラフイーにより精製し、ポルフイリン4を得た。次に、ポルフイリン4 0.40g(0.35mモル)及び塩化チオニル4.0ml(53.33mモル)を、無水のベンゼン中で85℃で3時間撹拌した。次に、過剰の塩化チオニルを真空中で除去し、対応する酸クロライドを得た。生成物は緑色で固相であった。緑色の固相をTHF中に溶解させ、得られた生成液を、トリエチルアミンを存在させた2,6−ジアミノピリジン0.50g(4.58mモル)を含有するTHF溶液中に添加した。反応混合物を95℃で15時間保持し、その後、室温までに冷却した。冷却した後、蒸発させて濃縮し、残さをクロロホルム中に溶解させた。得られた溶液を水により2回にわたり、洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。シリカゲルを満たしたカラムクロマトグラフイーにより精製を行い、ポルフイリン5(ポルフイリン4と2,6−ジアミノピリジンを反応させて得られる化合物)を得た。
ポルフイリン5 紫色の粉末。
mp>300℃;300MHz 1H NMR(CDCl3):δ(ppm)1.55(54H,s,t−Bu);4.42(2H,d,−NH2);7.03(1H,t,J=pyridyl−H);7.46(1H,d,J=7.5Hz,pyridyl−H);7.75(1H,bs,NH);7.78−8.46(17H,m,pyridyl−H,ArH及びbiphenyl−H);8.95−9.04(8H,m,pyrrole−H);MS(FAB):m/z1223(M+);吸収スペクトル(CH2 Cl2、λmax)423.0(ε=4.8×105)、550.0、587.5nm.Anal.Calcd for C80H86 N7 OZn・1/2CHCl3Calcd:C,75.20:H,6.71:N,7.63.Found C,75.58;H,6.88;N7.70.
カップリング反応は、ベンゼン、ベンゼン及びTHF混合液(1:1容積比)中で行った。混合溶液を用いた場合には、50%収率でポルフイリン5を得ることができた。一方、THFを含まない液を用いた場合にはカップリング反応は殆ど進行せず、また、目的とする生成物を殆ど得ることができなかった。ポルフイリン4及びポルフイリン5を、いろいろな条件下に前記と同様の条件でカップリングさせることにより、ポルフイリン二量体を製造した。結果は、前記表1に示すとおりであった。
ポルフイリン二量体 紫色の粉末。
mp>300℃;300MHz、1H NMR(CDCl3):δ(ppm),1.53(108H、s、t−Bu);7.79−8.39(37H,m,pyridyl−H,biphenyl−H,及びArH);8.48(2H,bs,NH);8.95−9.04(16H,d,J=3.3Hz,pyrrol−H);MS(MALDI−TOF);2342(M);吸収スペクトル(CH2 Cl2、λmax)422.5(ε=8.0×105),550.0、589.0nm.Anal.Calcd for C155H163N11O2Zn2・4H2O Calcd for C77.09;H,7.14;N,6.38.Found C,76.82;H,7.15;N5.92.
【化27】
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、新規な亜鉛ポルフイリンダイマーを得ることができる。この新規化合物は、スペーサとして2,6−ジアミノピリジン等の複素環化合物を挟んでポルフイリンをカップリングすることにより得られる亜鉛ポルフイリンダイマーである。ポルフイリン二量体のジクロロメタン中の吸収スペクトルを観察すると、二つの亜鉛ポルフイリンユニットの間には格別な相互作用が存在していないことを示している。又、水素イオンの存在下に、超分子が形成されること、2,6−ジアシルピリジル基による分子認識作用を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ジクロロメタン中におけるポルフイリン二量体の吸収スペクトルを示す図である。
【図2】 ジクロロメタン中におけるポルフイリン二量体を、550nmで励起した状態における定常状態の蛍光スペクトルを示す図である。
【図3】 AM1レベルでMO計算により最適化された局在化最小エネルギー状態にあるポルフイリン二量体の構造を示す図である。
Claims (2)
- 構造式2で示される、メソ位が4’−エトキシカルボニルビフエニル基を有する亜鉛(II)ポルフイリン化合物を鹸化反応によりカルボキシル化して、構造式3で示される亜鉛(II)ポルフイリンを製造し、さらにこの化合物のカルボキシル基を、酸塩化物として、構造式4で示される化合物を得た後に、構造式4で示される化合物と、構造式5で示されるジアミノ置換されているR化合物と反応させ、構造式6で示されるアミド化合物を得た後、引き続いて構造式4で示される亜鉛ポルフイリンと反応させ、構造式1で示される亜鉛(II)ポルフイリンダイマ−を製造することを特徴とする亜鉛(II)ポルフイリンダイマーの製造方法。
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