JP4316231B2 - X線ctシステムならびに画像処理装置および方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検体にX線を複数方向から投影して得られる投影データに基づき、高品質な被検体断層像を提供するためのX線CTシステム等における画像処理技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線CT(Computerized Tomography)システムは、被検体に複数方向からX線を投影するスキャンを行い、被検体を透過した各方向からのX線より得られる投影データに基づいて画像再構成処理を行うことによって、診断部位の断層像を提供する。
【0003】
断層像の画質を改善するために、これまでにさまざまな画像処理技術が提案され、実際に導入されている。例えば、再構成処理前または再構成処理後のデータに対して、断層像に現れるアーチファクトを除去するための補正などが行われる(例えば特許文献1を参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−31610号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のアーチファクト除去用の補正処理では、被検体のサイズによっては補正が不十分であったり逆に過補正であったりする場合があるという問題がある。
【0005】
そこで、この発明は、被検体のサイズにかかわらず最適な度合いでアーチファクト除去用の補正処理を行うことを可能にし、もって高画質の断層像を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の一の側面は、X線発生源からのX線を被検体に複数方向から照射しその透過X線を検出することで収集された投影データを入力し、その投影データに基づいて被検体の断層像を生成する画像処理装置に関する。この画像処理装置は、入力した投影データに対してアーチファクト除去用の補正処理を行う補正手段を備えており、当該補正手段は、被検体の投影断面を楕円と見立てたときの長軸をX線パスとする透過X線の強度を推定する推定手段と、推定した前記強度に基づいてこの補正手段による補正効果を制御する制御手段とを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の他の側面は、X線発生源からのX線を被検体に複数方向から照射しその透過X線を検出することで収集された投影データを入力し、その投影データに基づいて被検体の断層像を生成する画像処理方法に関する。この画像処理方法は、入力した投影データに対してアーチファクト除去用の補正処理を行う補正ステップを有し、当該補正ステップは、被検体の投影断面を楕円と見立てたときの長軸をX線パスとする透過X線の強度を推定する推定ステップと、推定した前記強度に基づいてこの補正ステップによる補正効果を制御する制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の更に別の側面は、X線発生源からのX線を被検体に複数方向から照射しその透過X線を検出することで投影データを収集し、その投影データに基づいて被検体の断層像を生成するX線CTシステムに関する。このX線CTシステムは、入力した投影データに対してアーチファクト除去用の補正処理を行う補正手段を備え、前記補正手段は、被検体の投影断面を楕円と見立てたときの長軸をX線パスとする透過X線の強度を推定する推定手段と、推定した前記強度に基づいてこの補正手段による補正効果を制御する制御手段とを含むことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係るX線CTシステムの構成を示す図である。
【0011】
図示の如く、本システムは、被検体へのX線照射と被検体(患者)を透過したX線を検出するガントリ100と、ガントリ100に対して各種動作設定を行うとともに、ガントリ100から出力されてきたデータに基づいて断層像を再構成し出力(表示)する操作コンソール200を含む構成である。
【0012】
ガントリ100は、その全体の制御をつかさどるメインコントローラ1をはじめ以下の構成を備える。
【0013】
2aおよび2bは操作コンソール200との通信を行うためのインタフェース、3はテーブル11上に横たえた被検体を図面に垂直な方向(一般に患者の体軸の方向に一致する方向であり、以下、z軸方向という。)に搬送するための空洞部を有する回転部であり、その内部には、X線発生源であるX線管4(X線管コントローラ5により駆動が制御される)、X線の照射範囲を制限するための開口を有するコリメータ6、コリメータ6のz軸方向の開口幅を調整するための開口制御モータ7(開口制御モータドライバ8により駆動が制御される)が設けられている。
【0014】
また、回転部3には、コリメータ6および空洞部を経由してきたX線管4からのX線を検出するための複数(例えば1,000個)の検出チャネルを有するX線検出部14、および、X線検出部14の各検出チャネルの出力に基づき投影データとして収集するデータ収集部15も備える。X線管4およびコリメータ6とX線検出部14とは、互いに空洞部を挟んで、すなわち、被検体を挟んで、対向する位置に設けられる。回転部3は、その位置関係を維持した状態で空洞部の周りを回転するように構成されている。この回転は、回転モータドライバ10からの駆動信号により駆動される回転モータ9によって行われる。また、被検体を載置するテーブル11は、z軸方向への搬送がなされるが、その駆動は、テーブルモータドライバ13からの駆動信号により駆動されるテーブルモータ12によって行われる。
【0015】
メインコントローラ1は、インタフェース2aを介して受信した各種コマンドの解析を行い、それに基づいて上記のX線管コントローラ5、開口制御モータドライバ8、回転モータドライバ10、テーブルモータドライバ13、およびデータ収集部15に対し、各種制御信号を出力することになる。
【0016】
また、データ収集部15で収集されたデータは、インタフェース2bを介して操作コンソール200に送出される。
【0017】
一方、操作コンソール200は、いわゆるワークステーションであり、図示するように、装置全体の制御を司るCPU51、ブートプログラム等を記憶しているROM52、主記憶装置として機能するRAM53をはじめ、以下の構成を備える。
【0018】
HDD54は、ハードディスク装置であって、ここにOSのほか、ガントリ100に各種指示を与えたり、ガントリ100より受信したデータに基づいて断層像を再構成し、表示するための画像処理プログラムが格納されている。また、VRAM55は表示しようとするイメージデータを展開するメモリであり、ここにイメージデータ等を展開することでCRT56に表示させることができる。57および58はそれぞれ、各種設定を行うためのキーボードおよびマウスである。また、59および60はガントリ100と通信を行うためのインタフェースであり、それぞれガントリ100のインタフェース2aおよび2bに接続される。
【0019】
実施形態におけるX線CTシステムの構成は概ね上記のとおりである。かかる構成のX線CTシステムにおいて、投影データの収集は例えば次のように行われる。
【0020】
まず、被検体を回転部3の空洞部に位置させた状態でz軸方向の位置を固定し、X線管4からのX線ビームを被検体に照射し(X線の投影)、その透過X線をX線検出部14で検出する。そして、この透過X線の検出を、X線管4とX線検出部14を被検体の周囲を回転させながら(すなわち、投影角度(ビュー角度)を変化させながら)複数N(例えば、N=1,000)のビュー方向で、360度分行う。
【0021】
検出された各透過X線は、データ収集部15でディジタル値に変換されて投影データとしてインタフェース2bを介して操作コンソール200に転送される。これら一連の工程を1つの単位として1スキャンとよぶ。そして、順次z軸方向にスキャン位置を所定量移動して、次のスキャンを行っていく。このようなスキャン方式はアキシャルスキャン方式とよばれるが、投影角度の変化に同期してテーブル11を所定速度で移動させることでスキャン位置を移動させながら(X線管4とX線検出部14とが被検体の周囲をらせん状に周回することになる)投影データを収集する、いわゆるヘリカルスキャン方式であってもよい。
【0022】
操作コンソール200は、ガントリ100から転送されてくる投影データをHDD54に格納するとともに、例えば、所定の再構成関数とたたみ込み演算を行い、バックプロジェクション処理により断層像を再構成する。ここで、操作コンソール200は、スキャン処理中にガントリ100から順次転送されてくる投影データからリアルタイムに断層像を再構成し、常に最新の断層像をCRT56に表示させることが可能である。さらに、HDD54に格納されている投影データを呼び出して改めて画像再構成を行わせることも可能である。
【0023】
次に、本実施形態における操作コンソール200で行われる処理の概要を、図2のフローチャートを用いて説明する。このフローチャートに対応するプログラムは、HDD54にインストールされている画像処理プログラムに含まれ、RAM53にロードされてCPU51によって実行されるものである。
【0024】
まず、スキャン計画を立てる(ステップS1)。一般には、画像処理プログラムが提供するGUI(CRT56に設定画面が表示され、キーボード57および/またはマウス58を用いて入力することを可能にするユーザインタフェース)を介して、諸種のスキャン条件が設定されることになる。スキャン条件としては、例えば、スライス厚、スキャン開始/終了位置、X線管4に与える電流値、ガントリ3の回転速度等がある。このスキャン計画そのものは公知のものであるので、その詳細は省略する。設定されたスキャン条件はRAM53に記憶される。
【0025】
次に、ステップS2で、オペレータからのキーボード57またはマウス58の入力に応じて、設定されたスキャン条件を含むスキャン指示をガントリ100に送出する。ガントリ100はこれに応じて、スキャン条件に従いスキャンを開始する。
【0026】
そして、ガントリ100より転送されてくる各スライス位置の投影データを入力し(ステップS3)、その投影データに対し、対数変換、線質硬化(Beam Hardning)補正、所定のリファレンス用検出チャネルを用いた投影データの正規化(リファレンス補正)等の、所定の前処理を行う(ステップS4)。
【0027】
その後、アーチファクト除去用の補正処理を実行する(ステップS5)。この補正処理の内容については後ほど詳しく説明する。
【0028】
そして、所定の画像再構成アルゴリズム(例えば、フィルタード・バックプロジェクション)に従い断層像の再構成を行い(ステップS6)、その断層像をCRT56に表示する(ステップS7)。
【0029】
本実施形態における操作コンソール200で行われる処理の概ね上記のとおりであるが、次に、上記のステップS5におけるアーチファクト除去用の補正処理について詳しく説明する。
【0030】
図3は、投影角度θにおいて被検体にX線を照射したときに収集される投影データを示す図である。
【0031】
同図において、X線管4から強度I0のX線が、投影角度θで被検体に照射される(同図(a))。HはX線が照射される被検体(テーブル11に横たわっている)の断層面を示している。X線検出器14の各検出チャネル(ch)では、X線パスに係る吸収係数の通路積分量だけ減衰した強度のX線が投影データとして検出される(同図(b))。本明細書では、検出強度(検出チャネル出力)のことを「カウント値」といい、また、投影角度θ、検出チャネルchにおけるカウント値をc(θ,ch)で表す。
【0032】
上記したステップS3では各投影角度における各検出チャネルのカウント値が操作コンソール200に入力されることになる。操作コンソール200では、このカウント値をX線減衰量を表すかたちに変形するため、次式で示すような対数変換を行う(上記したステップS4における前処理として行われる。)。本明細書では、カウント値の対数変換後のデータをプロジェクションとよび、投影角度θ、検出チャネルchにおけるプロジェクションをp(θ,ch)で表す。
【0033】
p(θ,ch)=−log(c(θ,ch)/I0) (1)
【0034】
このようにして得られたプロジェクションp(θ,ch)が、同図(c)に示される。
【0035】
さて、このp(θ,ch)にアーチファクト除去用の補正処理を加えるわけであるが、本実施形態におけるアーチファクト除去用の補正処理は、基本的には、検出チャネルchのカウント値が小さいほど、すなわちX線減衰量が大きいほど、検出チャネル方向のp(θ,ch)の高周波抑制効果を大きくするような補正を行う。これは、カウント値が小さいほど、すなわちX線減衰量が大きいほど増大するノイズ成分を抑圧するためである。
【0036】
補正後のデータp’(θ,ch)は、次式で表される。
【0037】
p’(θ,ch)=sm(p(θ,ch))+g・{p(θ,ch)−sm(p(θ,ch))} (2)
【0038】
ただし、右辺第1項のsm(p(θ,ch))は、典型的には前後複数チャネル(例えば7チャネル)の移動平均法による平均化処理である。これによって低周波成分が抽出され高周波成分が抑制される。もちろん、高周波抑制効果が得られるかぎり、移動平均法による平滑化だけではなく別のローパスフィルタを用いてもよい。
【0039】
そして、右辺第2項は、元のデータp(θ,ch)から低周波成分sm(p(θ,ch))を差し引いて得られる高周波成分に所定のゲインg(ただし0≦g≦1)を乗じる演算である。上式より、このゲインgを小さくするほど補正効果(すなわち高周波抑制効果)が強まり、逆にゲインgを大きくするほど補正効果が弱まることが理解されよう。したがって、この補正処理においては、図4に示すように、検出チャネルchのカウント値が小さいほど(すなわちX線減衰量が大きいほど)、補正効果を強めるべくゲインgが小さな値に設定され、検出チャネルchのカウント値が大きいほど(すなわちX線減衰量が小さいほど)、補正効果を弱めるべくゲインgが大きな値に設定されることになる。
【0040】
従来、ゲインgは例えば次式により求められていた。
【0041】
g=1.0−ec(θ,ch) /U (3)
ただし、Uは所定の定数である。
【0042】
さて、従来のアーチファクト除去用の補正処理では、被検体のサイズによっては補正が不十分であったり逆に過補正であったりする場合があるということは先述したとおりである。この原因は、上記(3)式によるゲインgの設定にあることが分かった。以下、その理由を図5を用いて詳しく説明する。
【0043】
図5の(a)は、被検体Hの投影断面を示している。この投影断面を楕円と仮定し、この楕円の短軸の半径をA、長軸の半径をBとする。そして、この短軸に所定線量のX線を照射したときのカウント値をcA、長軸に同じ線量のX線を照射したときのカウント値をcBとする。
【0044】
図5の(c)は、(3)式による、各カウント値に対するゲインgを示すグラフである。このグラフから分かるようにカウント値が大きくなるほどゲインgの値は1に近づいていく。このグラフにおけるカウント値cB〜cAの区間では、ゲインgが適度に変動し、適切な補正効果が得られる。
【0045】
図5の(b)は、(a)に示した被検体Hより小さいサイズの被検体H’の投影断面を示しており、やはりその投影断面を楕円と仮定する。この楕円の短軸の半径をA’、長軸の半径をB’とし、また、この短軸に所定線量のX線を照射したときのカウント値をcA’、長軸に同じ線量のX線を照射したときのカウント値をcB’とする。
【0046】
さて、(c)のグラフにおけるこのカウント値cB’〜cA’の区間に注目してみると、その区間ではゲインgはほぼ1に収束しており、補正がほとんど効かないことになる。
【0047】
さらに、図示は省略するが、逆に(a)に示した被検体Hよりも大きいサイズの被検体に対しては、(c)のグラフにおける対応する区間ではゲインgは小さな値でのみ変動することになり、過補正になるおそれがある。
【0048】
このように、従来のゲインgの設定式は被検体の投影断面のサイズをまったく考慮していないために、補正が不十分であったり、過補正となる場合があった。
【0049】
そこで、本件発明者は、被検体の投影断面を楕円と見立て、その楕円の長軸(被検体のサイズを表す)をX線パスとする透過X線の強度(カウント値)に基づいて補正曲線を調整することで、補正効果を制御することを提案する。
【0050】
被検体内のX線吸収係数が均一と仮定すれば、X線が被検体を通過する距離はプロジェクションに対応する。よって、楕円の長軸の長さを求めることは1スキャンにおける最大のプロジェクションを求めることに相当する。しかし、適正な補正を開始するまでに1スキャン待たなければならないのは望ましくない。本発明は第1スキャンの第1ビューの投影データから適正な補正が加えられることを一つの特徴とする。
【0051】
図6は、実施形態における、ステップS5のアーチファクト除去用の補正処理の内容を示すフローチャートである。ここでは、第1ビューの投影データに係る補正について示すこととし、第1ビューの投影角度をθとする。これは、ヘリカルスキャンを行う場合には一般に、初期投影角度は任意であることを考慮したものである。
【0052】
まず、ステップS52で、被検体の投影断面を楕円と見立てたときの長軸に係るプロジェクション、すなわち最大プロジェクションpmaxを推定する。具体的には、例えば以下のように推定する。
【0053】
まず、投影下面積(プロジェクション面積)を求める。これは各検出チャネルchのプロジェクションの総和を求めることとほぼ等価である。よって、プロジェクション面積Sは次式で表される。
【0054】
【0055】
ただし、Nは検出チャネルの総数を表す。
【0056】
また、投影断面である楕円の短軸の半径をA、長軸の半径をBとすると、投影断面の面積S(=プロジェクション面積)は次式で表される。
【0057】
S=kABπ+i (5)
ただし、k、iは装置によって決まる定数である。
【0058】
さらに、X線検出部14の中心の検出チャネルcchにおけるプロジェクションp(θ,cch)は、次式で表される。
【0059】
【0060】
上記した(4)、(5)、(6)式より、A、Bが求められる。Bの長さは長軸に係るプロジェクションに相当する。これによって最大プロジェクションpmaxを推定することができる。
【0061】
次に、ステップS53で、最大プロジェクションpmaxに対応するカウント値(最小カウント値)cminを次式により求める。
【0062】
【0063】
これにより、被検体の投影断面を楕円と見立てたときの長軸をX線パスとする透過X線の強度(最小カウント値)が推定された。
【0064】
次に、ステップS54で、上記した最小カウント値cminを用いた補正係数αを次式により求める。
【0065】
α=β・cmin/ln(0.1) (8)
ただし、βは補正強度を決定する所定の係数である。
【0066】
続いて、上記した補正係数αを用いた補正ゲインgを、次式により求める。
【0067】
g=1.0−ec(θ,ch) / α (9)
【0068】
上記した従来の補正ゲインgの設定式(3)では、被検体のサイズに関する情報が考慮されていなかったのに対し、この(9)式には、被検体の投影断面を楕円と見立てたときの長軸をX線パスとする透過X線の強度(最小カウント値)によって決定される係数αが含まれている。
【0069】
(9)式で表される補正ゲインgによる補正曲線は、図7に示すように、標準的な曲線70が、αの値に応じて曲線71や曲線72のように調整されることになる。
【0070】
そして、ステップS56で、上記した(2)式と同様に補正を実行する。
【0071】
p’(θ,ch)=sm(p(θ,ch))+g・{p(θ,ch)−sm(p(θ,ch))} (10)
【0072】
以上説明した実施形態によれば、被検体の投影断面を楕円と見立て、被検体のサイズとしての楕円の長軸をX線パスとする透過X線の強度(カウント値)に基づいて補正曲線を調整するようにした。これにより、補正効果が適正に制御されるようになる。
【0073】
また、以上説明した実施形態によれば、本発明はX線CTシステムにおける操作コンソール200の制御処理によって実現されたが、この操作コンソール200とは独立してスクリーニング検査等のための画像観察用端末(Dr's console)を上記システムに接続し、上述した処理をこの端末に行わせることももちろん可能である。操作コンソール200および上記画像観察用端末の構成自体は汎用の画像処理装置(ワークステーションやパーソナルコンピュータ等)で実現できるものであるので、上述のとおり、ソフトウェアを同装置にインストールし、それでもって実現することが可能である。
【0074】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するための、コンピュータにインストールされるプログラム自体および、そのプログラムを格納した記録媒体そのものも本発明を実現するものである。つまり、本発明の特許請求の範囲には、本発明の機能処理を実現するためのプログラム自体および、そのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も含まれる。
【0075】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD等)、光磁気ディスク、磁気テープ、メモリカード等がある。
【0076】
その他、プログラムの供給方法としては、インターネットを介して本発明のプログラムをファイル転送によって取得する態様も含まれる。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被検体のサイズにかかわらず最適な度合いでアーチファクト除去用の補正処理を行うことを可能にし、もって高画質の断層像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態におけるX線CTシステムのブロック構成図である。
【図2】実施形態における操作コンソールで行われる処理の概要を示すフローチャートである。
【図3】被検体にX線を照射したときに収集される投影データを示す図である。
【図4】実施形態における補正ゲインと補正効果との関係を示す図である。
【図5】被検体のサイズと補正ゲインとの関係を説明する図である。
【図6】実施形態におけるアーチファクト除去用の補正処理を示すフローチャートである。
【図7】補正曲線が調整されるようすを示す図である。
Claims (9)
- X線発生源からのX線を被検体に複数方向から照射しその透過X線を検出することで収集された投影データを入力し、その投影データに基づいて被検体の断層像を生成する画像処理装置であって、
入力した投影データに対してアーチファクト除去用の補正処理を行う補正手段を備え、
前記補正手段は、
被検体の投影断面を楕円と見立てたときの長軸をX線パスとする透過X線の強度を、前記被検体の投影下面積と所定の投影角度θ及び検出チャネルchにおける投影データp(θ,ch)とを用いて推定する推定手段と、
推定された前記長軸をX線パスとする透過X線の強度に基づいて、この補正手段による補正効果を、前記長軸をX線パスとする透過X線の強度が弱いほど補正効果を大きくするように制御する制御手段と、
を含むことを特徴とする画像処理装置。 - 前記補正手段は、透過X線の強度が弱いほど高周波成分を抑制するよう補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記推定手段は、前記被検体の投影下面積と第1ビューの投影データに基づく投影角度における透過X線の強度とを用いて前記長軸をX線パスとする透過X線の強度を推定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
- 前記補正手段は、投影角度θ、検出チャネルchにおけるプロジェクションをp(θ,ch)、補正後のデータをp’(θ,ch)としたとき、
p’(θ,ch)=sm(p(θ,ch))+g・{p(θ,ch)−sm(p(θ,ch))}
の式に基づいて補正を行うものであり(ただし、sm(p(θ,ch))は前記プロジェクションの前後複数チャネルの移動平均法による平均化処理後のデータ、gはゲイン((ただし0≦g≦1)である)、前記ゲインgは、前記推定された長軸をX線パスとする透過X線の強度を用いて求められたものであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の画像処理装置。 - X線発生源からのX線を被検体に複数方向から照射しその透過X線を検出することで収集された投影データを入力し、その投影データに基づいて被検体の断層像を生成する画像処理方法であって、
入力した投影データに対してアーチファクト除去用の補正処理を行う補正ステップを有し、
前記補正ステップは、
被検体の投影断面を楕円と見立てたときの長軸をX線パスとする透過X線の強度を、前記被検体の投影下面積と所定の投影角度θ及び検出チャネルchにおける投影データp(θ,ch)とを用いて推定する推定ステップと、
推定された前記長軸をX線パスとする透過X線の強度に基づいて、この補正ステップによる補正効果を、前記長軸をX線パスとする透過X線の強度が弱いほど補正効果を大きくするように制御する制御ステップと、
を含むことを特徴とする画像処理方法。 - 前記補正ステップは、透過X線の強度が弱いほど高周波成分を抑制するよう補正を行うことを特徴とする請求項5に記載の画像処理方法。
- X線発生源からのX線を被検体に複数方向から照射しその透過X線を検出することで投影データを収集し、その投影データに基づいて被検体の断層像を生成するX線CTシステムであって、
入力した投影データに対してアーチファクト除去用の補正処理を行う補正手段を備え、
前記補正手段は、
被検体の投影断面を楕円と見立てたときの長軸をX線パスとする透過X線の強度を、前記被検体の投影下面積と所定の投影角度θ及び検出チャネルchにおける投影データp(θ,ch)とを用いて推定する推定手段と、
推定された前記長軸をX線パスとする透過X線の強度に基づいて、この補正手段による補正効果を、前記長軸をX線パスとする透過X線の強度が弱いほど補正効果を大きくするように制御する制御手段と、
を含むことを特徴とするX線CTシステム。 - 請求項5または請求項6に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
- 請求項8に記載のプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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