JP4314454B2 - 自己接着性加熱硬化型液状シリコーンゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱により硬化する自己接着性シリコーンゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種金属・樹脂を接着させるためにシリコーン樹脂接着剤が使用されている。その中でも、硬化前に液状を呈するシリコーン樹脂接着剤は、作業性・耐久性において優れた能力を有することから、電気電子部品や車載部品等に広く応用されている。その液状シリコーン樹脂接着剤は、白金族元素を触媒とした付加反応硬化型シリコーンゴム組成物と、錫やチタン化合物を触媒とした縮合型RTVシリコーンゴム組成物に大別される。
【0003】
付加反応硬化型シリコーンゴム組成物は、加熱により短時間で硬化し、作業性に優れるものの、窒素化合物・硫黄化合物・リン化合物に代表される硬化阻害物質によって硬化できない場合がある。
【0004】
一方、縮合型RTVシリコーンゴム組成物は、前述した硬化阻害物質には耐性があるものの、空気中の水分によって硬化することから、硬化に長時間を要するという問題がある。
【0005】
上記の理由から、短時間で硬化し、かつ硬化阻害物質に対する耐性を有する液状シリコーンゴム接着剤が望まれている。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第3,220,972号明細書
【特許文献2】
米国特許第3,159,601号明細書
【特許文献3】
米国特許第3,159,662号明細書
【特許文献4】
米国特許第3,775,452号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記要望に応えるためになされたもので、短時間で硬化し、かつ硬化阻害物質に対する耐性を有し、空気と接触する界面においても良好な硬化性を有する、自己接着性の加熱硬化型液状シリコーンゴム組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、(B)10時間半減期温度が40℃以上である有機過酸化物、(C)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン及び(D)白金族金属系触媒を含有することにより得られる液状シリコーンゴム組成物が、60℃以上に加熱することによって硬化し、かつ金属や有機樹脂に対して自己接着性を有することを知見した。
【0009】
即ち、本発明のシリコーンゴム組成物を用いることにより、従来は硬化阻害により付加反応型液状シリコーンゴム接着剤が使用できないような被着体(部品)においても、短時間で硬化接着させることが可能となり、作業性・低コスト化の点で非常に有利となることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
従って、本発明は、
(A)下記一般式(1)
【化21】
(式中、R 1 は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、Xはアルケニル基であり、nは0又は1以上の整数であり、mは0又は1以上の整数であり、aは0〜3の整数であり、a=0の場合、mは2以上の整数である。)
で表される一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、
(B)10時間半減期温度が40℃以上である有機過酸化物、
(C)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(D)白金族金属系触媒
を含有し、60℃以上に加熱することによって硬化し、かつ金属及び/又は有機樹脂に対して自己接着性を有することを特徴とする加熱硬化型液状シリコーンゴム組成物(但し、R 2 b SiO (4-b)/2 (R 2 は非置換又は置換の1価炭化水素基、bは0.5〜1.8の正数)で表されるオルガノポリシロキサンレジンを含有するものを除く)を提供する。
【0011】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
[(A)アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン]
本発明のシリコーンゴム組成物に用いるアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するもので、通常は、主鎖部分が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のものであるのが一般的であるが、これは分子構造の一部に分枝状の構造を含んだものであってもよく、また環状体であってもよい。硬化物の機械的強度等の物性の点からは直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。該アルケニル基は、分子鎖の両末端にのみ存在していても、分子鎖の途中にのみ存在していても或いは分子鎖の両末端及び分子鎖の途中に存在していてもよい。
【0012】
このようなアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンの代表例としては、例えば、下記一般式(1)で表されるジオルガノポリシロキサンが挙げられる。
【化1】
(式中、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、Xはアルケニル基であり、nは0又は1以上の整数であり、mは0又は1以上の整数であり、aは0〜3の整数であり、a=0の場合、mは2以上の整数である。)
【0013】
上記式中、R1の脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基、並びにこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、シアノ基などで置換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、シアノエチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基などが挙げられ、炭素原子数が1〜10、特に炭素原子数が1〜6のものが好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等の炭素原子数1〜3の非置換又は置換のアルキル基、及びフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基等の非置換又は置換のフェニル基である。
【0014】
また、Xのアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等の通常炭素原子数2〜8程度のものが挙げられ、中でもビニル基、アリル基等の低級アルケニル基が好ましい。
【0015】
nは0又は1以上の整数であり、mは0又は1以上の整数である。また、n及びmは、10≦n+m≦10,000を満たす整数であるのが好ましく、より好ましくは50≦n+m≦2,000であり、かつ0≦m/(n+m)≦0.2を満足する整数であることが好ましい。
【0016】
また、aは0〜3の整数であるが、1よりも2、2よりも3である方が硬化性も早くなり、組成物の作業性を向上させる効果も確認されている。なお、a=0の場合、mは2以上の整数である。
【0017】
このようなアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、25℃における粘度が10〜1,000,000cSt、特に100〜500,000cSt程度のものが好ましい。
【0018】
[(B)有機過酸化物]
本発明に用いられる有機過酸化物は、成分(A)と成分(C)をラジカル反応により架橋させるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、アルキルパーエステル、パーカーボネート等が挙げられる。
【0019】
この有機過酸化物は、液状シリコーンゴム組成物を加熱硬化させる温度と保存性を考慮し、10時間半減期温度が40℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは65℃以上のものを使用する。10時間半減期温度が低すぎると、組成物の保存性を十分確保することが困難となる。なお、その上限は特に制限されないが、通常200℃以下である。
【0020】
成分(B)有機過酸化物の配合量は、組成物の保存安定性と硬化性のバランスから、成分(A)100重量部に対し、0.01〜10重量部であることが好ましく、更には0.1〜5重量部であることが好ましい。
【0021】
また、添加方法については、そのまま添加する方法、溶液・ペースト化して添加する方法等の手段をとることができる。
【0022】
[(C)オルガノハイドロジェンポリシロキサン]
本発明のシリコーンゴム組成物に用いるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のケイ素原子に結合する水素原子(即ち、SiH基)を含有するものであり、直鎖状、分岐状、環状、或いは三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよい。
【0023】
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、下記平均組成式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
HbR2 cSiO(4-b-c)/2 (2)
(式中、R2は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、b及びcは0<b<2、0.8≦c≦2かつ0.8<b+c≦3となる数であり、好ましくは0.05≦b≦1、1.5≦c≦2かつ1.8≦b+c≦2.7となる数である。)
【0024】
上記式(2)中、R2の脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基としては、前記一般式(1)のR1として例示したものと同様のものが挙げられ、炭素原子数が1〜10、特に炭素原子数が1〜7のものが好ましく、更に好ましくは、メチル基等の炭素原子数1〜3の低級アルキル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基である。
【0025】
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7,8−ペンタメチルペンタシクロシロキサン等のシロキサンオリゴマー;分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体等;R2(H)SiO1/2単位とSiO4/2単位からなり、任意にR3SiO1/2単位、R2SiO2/2単位、R(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2単位又はRSiO3/2単位を含み得るシリコーンレジン(但し、式中、Rは前記のR1として例示した非置換又は置換の1価炭化水素基と同様のものである)等で表されるものが挙げられる。
【0026】
本発明のシリコーンゴム組成物に用いるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、公知の方法で得ることができ、例えば、下記一般式:
R2SiHCl2及びR2 2SiHCl
(式中、R2は前記と同じである。)
から選ばれる少なくとも1種のクロロシランを(共)加水分解し、或いは該クロロシランと下記一般式:
R2 3SiCl及びR2 2SiCl2
(式中、R2は前記と同じである。)
から選ばれる少なくとも1種のクロロシランとを組み合わせて共加水分解して得ることができる。また、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、このように共加水分解して得られたポリシロキサンを平衡化したものでもよい。
【0027】
成分(C)の使用量は、成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン中のアルケニル基1モル当たり、成分(C)のオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)が、通常0.5〜4モルとなるような量、好ましくは1〜2.5モルとなるような量である。
【0028】
[(D)白金族金属系触媒]
本発明に用いる白金族金属系触媒は、前記の成分(A)のアルケニル基と成分(C)のケイ素原子に結合する水素原子(SiH基)との付加反応を促進するための触媒であり、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として周知の触媒が挙げられる。その具体例としては、例えば、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;
H2PtCl4・nH2O、H2PtCl6・nH2O、NaHPtCl6・nH2O、KHPtCl6・nH2O、Na2PtCl6・nH2O、K2PtCl4・nH2O、PtCl4・nH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・nH2O
(但し、式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である。)
等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩、アルコール変性塩化白金酸(特許文献1参照)、塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(特許文献2、3及び4参照)、白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの、ロジウム−オレフィンコンプレックス、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)、塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックスなどが挙げられる。
【0029】
成分(D)の使用量は、所謂触媒量でよく、通常、成分(A)及び成分(C)の合計量に対する白金族金属の重量換算で、0.1〜500ppm、特には0.5〜200ppm程度でよい。
【0030】
なお、成分(D)は、成分(C)と共に成分(B)の有機過酸化物が空気中の酸素によって反応阻害を受けた部分の架橋並びに硬化反応を補う役目を担うものであり、これらの成分がないとシリコーンゴム組成物の空気接触面が硬化に至らない。
【0031】
[その他の成分]
本発明のシリコーンゴム組成物には、前記成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)以外に、必要に応じて、各種成分を添加することが可能である。
【0032】
例えば、高度の自己接着性を必要とする用途の場合には、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、メトキシシリル基等のアルコキシシリル基、カルボニル基などに代表される官能基の少なくとも1種を有するオルガノシラン、オルガノシロキサン等の有機ケイ素化合物などを接着性付与剤として含有することができる。
【0033】
この場合、オルガノシラン化合物としては、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基又はフェニル基とアルコキシシリル基とを有するものが好ましく、オルガノシロキサン化合物としては、エポキシ基及び/又はアルコキシシリル基と、ケイ素原子結合水素原子(SiH基)とを有する、ケイ素原子数4〜20程度の、直鎖状又は環状のオリゴマーが好ましい。
接着性付与剤として具体的には、下記のものが挙げられる。
【0034】
【化2】
【0035】
【化3】
【0036】
上記接着性付与剤の配合量としては、成分(A)100重量部に対して、通常10重量部以下(0〜10重量部)、好ましくは0.1〜5重量部程度とすることができる。
【0037】
また、白金族金属系触媒による反応をコントロールするために、アセチレンアルコール類に代表される反応制御剤を添加してもよい。この場合、反応制御剤の配合量としては、成分(A)100重量部に対して5重量部以下(0〜5重量部)、好ましくは0.001〜2重量部程度とすることができる。
【0038】
また、有機過酸化物から有機酸が発生する場合には、カルシウム・亜鉛・マグネシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、酸化物、水酸化物に代表される塩基性充填剤を添加して電気特性を向上させることも可能である。この場合、塩基性充填剤の配合量としては、成分(A)100重量部に対して、通常、100重量部以下(0〜100重量部)、好ましくは0〜50重量部程度とすることができる。
【0039】
また、ヒュームドシリカ、ヒュームド二酸化チタン等の補強性無機充填剤;補強性のシリコーンレジン;ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、酸化第二鉄、カーボンブラック等の非補強性無機充填剤などを添加することができる。これらの配合量は、通常、該無機充填剤を除く成分の合計量100重量部当たり、0〜200重量部である。
【0040】
[硬化性シリコーンゴム組成物及びその硬化物]
本発明のシリコーンゴム組成物は、上記成分(A)〜(D)、及び必要に応じて他の任意成分を常法に準じて混合することにより得ることができる。
この場合、本発明のシリコーンゴム組成物は、通常の硬化性シリコーンゴム組成物と同様に、2液に分け、使用時にこの2液を混合して硬化させる所謂2液型の組成物としてもよいが、作業性を考慮すると1液型の組成物とすることが好ましい。
【0041】
このようにして得られるシリコーンゴム組成物は、23℃における粘度が、10,000Pa・s以下(通常、0.1〜10,000Pa・s)、好ましくは1〜1,000Pa・s、特に1〜100Pa・sの液状であることが好ましい。
【0042】
本発明のシリコーンゴム組成物は、金属あるいは有機樹脂に対して自己接着性を有するものであり、従来は硬化阻害により付加反応型液状シリコーンゴム接着剤が使用できないような被着体においても接着することができる。ここで、被着体である金属として具体的には、アルミニウム、鉄、ステンレススチール(SUS)、銅、銀、金及びそれらのメッキ等が例示され、また、有機樹脂として具体的には、PET、PBT、PPS、塩化ビニル、ポリスチレン等が例示される。
【0043】
本発明のシリコーンゴム組成物は、加熱することにより硬化するものであり、その硬化条件としては、公知の加熱硬化型シリコーンゴム組成物と同様でよく、必要に応じた室温より高い温度で加熱硬化することができるが、本発明においては、60℃以上、特に60〜200℃で、好ましくは2〜120分間加熱することにより硬化するものである。
【0044】
このような本発明のシリコーンゴム組成物の硬化物は、耐熱性、電気絶縁性に優れるものであり、車載電装部品(エアフローセンサ、圧力センサ、スロットコントロールモジュール、クランク角センサ、ノックセンサ、温度センサ、酸素センサ、NOxセンサ、加速度センサ、及びエンジン制御回路や、ディスチャージランプ制御回路等)や、家電製品等に応用可能である。
【0045】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0046】
[実施例1〜24、比較例1〜6]
下記原料を使用した。
【0047】
(a)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
(a−1)オルガノポリシロキサン
下記式で表されるビニル基含有の直鎖状オルガノポリシロキサン。
【化4】
(式中、nは該シロキサンの25℃における粘度が10,000cStとなる数である。)
【0048】
(a−2)オルガノポリシロキサン
下記式で表されるビニル基含有の直鎖状オルガノポリシロキサン。
【化5】
(式中、nは該シロキサンの25℃における粘度が100,000cStとなる数である。)
【0049】
(b)有機過酸化物
(b−1)ケトンパーオキサイド
化薬アクゾ(株)製、トリゴノックス40、10時間半減期温度:130℃
【化6】
【0050】
(b−2)ハイドロパーオキサイド
日本油脂(株)製、パーメックN、10時間半減期温度:109℃
【化7】
【0051】
(b−3)ジアシルパーオキサイド
化薬アクゾ(株)製、カドックスB−75W(下記式の化合物を75重量%含有)、10時間半減期温度:72℃
【化8】
【0052】
(b−4)ジアルキルパーオキサイド
化薬アクゾ(株)製、カヤヘキサAD、10時間半減期温度:118℃
【化9】
【0053】
(b−5)パーオキシケタール
化薬アクゾ(株)製、トリゴノックス29A、10時間半減期温度:95℃
【化10】
【0054】
(b−6−1)アルキルパーエステル
化薬アクゾ(株)製、トリゴノックス151(下記式の化合物を70重量%含有)、10時間半減期温度:41℃
【化11】
【0055】
(b−6−2)アルキルパーエステル
化薬アクゾ(株)製、カヤエステルTMPO−70(下記式の化合物を70重量%含有)、10時間半減期温度:64℃
【化12】
【0056】
(b−7)パーカーボネート
化薬アクゾ(株)製、カヤレン6−70(下記式の化合物を70重量%含有)、10時間半減期温度:97℃
【化13】
【0057】
(b−8)ジアシルパーオキサイド
化薬アクゾ(株)製、カヤアシルIBC20(下記式の化合物を20重量%含有)、10時間半減期温度:33℃
【化14】
【0058】
(c)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
下記平均分子式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン。
【化15】
【0059】
(d)白金属金属系触媒
白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体/トルエン溶液
白金元素含有量0.5重量%
【0060】
(e)反応制御剤
エチニル−シクロヘキサノール/50%トルエン溶液
【0061】
(f)接着性付与剤
(f−1)
【化16】
【0062】
(f−2)
【化17】
【0063】
(f−3)
【化18】
【0064】
(f−4)
【化19】
【0065】
(g)充填剤
(g−1)シリカ
デグッサ社製、R8200
(g−2)炭酸カルシウム
白石カルシウム(株)製、ホワイトンSSB
【0066】
減圧混合が可能な品川万能混合機(3L)で、まず上記成分a,gを表1〜3に示す割合で混合し、温度30℃、60mmHgの減圧下で混練を行い、続いて残りの成分を表1〜3に示す割合で成分b,d,e,c,fの順で添加、混合し、シリコーンゴム組成物を調製した。この組成物の粘度、保存性、被着体への接着性、硬化性及び硬化物の硬さを測定した。
【0067】
接着性は、下記の評価基準により評価した。
〈評価基準〉
接着:剥離試験において、接着界面では剥離せず、シリコーンゴムが凝集破壊した。
密着:剥離試験において、強い応力が加えられると界面で剥離した。
剥離:剥離試験において、密着力もなく、界面において容易に剥離した。
【0068】
保存性の評価は、組成物を500ml金属缶に入れ、40℃で3日間及び7日間保存したものを開封し、液状を保っているかどうかを確認した。
【0069】
また、組成物硬化条件は、120℃×1hrとし、被着体への接着性、硬化性(空気との非接触部分の内部硬化性)、また空気との接触面の硬化状態(表面硬化性)を確認した。なお、被着体は、アルミニウム、ガラス、並びにいずれも白金付加反応に対する反応阻害が起こることが確認されている硬質塩化ビニル樹脂及びシンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPS)「S120」を使用した。これらの結果を表1〜3に併記する。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
表1〜3に示すとおり、本発明のシリコーンゴム組成物(実施例1〜24)は、白金触媒による付加反応に対し、硬化阻害の強い被着体に対しても、良好に硬化し、かつ接着することが確認された。
【0074】
比較例1〜6に示すとおり、本発明に必要な成分が欠けた場合には不十分な性能となる。
【0075】
【発明の効果】
本発明のシリコーンゴム組成物は、有機過酸化物による加硫と白金族金属触媒による付加反応を併せ持つことにより、硬化阻害の影響を受けにくく、かつ良好な接着性を示すものである。これにより、加熱硬化という生産性に優れる工程において、今まで接着が不可能であった被着体に対しても、接着させることができるようになる。
Claims (7)
- (A)下記一般式(1)
で表される一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、
(B)10時間半減期温度が40℃以上である有機過酸化物、
(C)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(D)白金族金属系触媒
を含有し、60℃以上に加熱することによって硬化し、かつ金属及び/又は有機樹脂に対して自己接着性を有することを特徴とする加熱硬化型液状シリコーンゴム組成物(但し、R 2 b SiO (4-b)/2 (R 2 は非置換又は置換の1価炭化水素基、bは0.5〜1.8の正数)で表されるオルガノポリシロキサンレジンを含有するものを除く)。 - 23℃における粘度が1,000Pa・s以下であり、かつ加熱硬化時に空気との界面も硬化することを特徴とする請求項1に記載の加熱硬化型液状シリコーンゴム組成物。
- 更に、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アルコキシシリル基及びカルボニル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する接着性付与成分を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の加熱硬化型液状シリコーンゴム組成物。
- 更に、塩基性充填剤を含有することを特徴とする請求項1,2又は3記載の加熱硬化型液状シリコーンゴム組成物。
- (B)有機過酸化物の10時間半減期温度が、50℃以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の加熱硬化型液状シリコーンゴム組成物。
- 1液型であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の加熱硬化型液状シリコーンゴム組成物。
- 金属と金属、有機樹脂と有機樹脂、又は金属と有機樹脂との接着用である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の加熱硬化型液状シリコーンゴム組成物。
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