JP4313482B2 - 切削工具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中ぐり加工、旋盤、溝入れ、ねじ切り加工時などのびびり振動や過度のしなりを防止することができる切削工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、工具機械で中ぐり加工、すなわち、すでに工作物に空けられた穴を、切削工具を用いて所望の寸法に拡げる加工において、シャンク部(柄)の先端側に切刃部を備えた棒状体をなす切削工具が使用されている。中ぐり加工用の切削工具のシャンク部を構成する素材として合金鋼、超硬合金が用いられるが、加工穴直径に比べて穴が深い加工の場合には切削工具を細長形状とし、工具機械本体から切削工具の切刃部先端までの突き出し量Lを大きくする必要がある。そのため突き出し量L/加工径Dの比(L/D)が大きくなるので、シャンク部全体を合金鋼または超硬合金で構成する場合、次のような問題点があった。
【0003】
まず、合金鋼は剛性が低い(ヤング率が200GPa程度)ので、切削工具が細長形状の場合、びびり振動や過度のしなりが生じやすく、加工面が粗くなったり或いは所望の加工精度を得難かったりする。
【0004】
また、超硬合金は合金鋼に比べて剛性が非常に大きく(ヤング率が400〜720GPa程度)、切削工具が細長形状であっても、びびり振動やしなりが生じにくい一方、この素材は脆くて衝撃に弱いので破損しやすく、加えて、材料単価が高く、製作コスト高であった。
【0005】
他方、合金鋼製のシャンク部に防振機構を付加した次のような切削工具が提案されている。
【0006】
まず、特開平7−285002号の発明は、図2に示すように、合金鋼製のシャンク部21の軸線方向に設けたテーパー穴22に超硬合金からなるテーパー状の軸体23を挿入し、該軸体23を後端からワッシャ24を介して押込ねじ25により装着するよう構成した切削工具20に関するものである。この切削工具20によれば、超硬合金製の軸体23の周囲に高耐衝撃性の合金鋼(シャンク部21)を配したので、超硬合金の脆さが補強される。さらに、合金鋼製のシャンク部21の内部に高剛性の超硬合金からなる軸体23を挿入したことにより、合金鋼の剛性が補強される。加えて、軸体23とシャンク部21を圧接状態としたことで、このような効果を長期的に維持することが記載されている。
【0007】
次に、補強材として超硬合金を一切用いず、前記問題点を改善しようとする試みとして特開平8−197310号の発明は、図3に示すように、合金鋼製のシャンク部31の後端から先端側に向けて設けた有底穴32に、複数個の鉛又は鋼製の球体33を一列に充填し、複数個の球体33からなる列の後端をスプリング34により弾支する構成とした切削工具30に関するものである。この切削工具30によれば、補強材として超硬合金を一切用いないので高耐衝撃性を有する。
【0008】
さらに、前記球体33とスプリング34とからなる機構を備えることによって、防振効果を奏することが記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開平7−285002号の発明に係る切削工具20は、防振性能、加工精度が全体を合金鋼製としたものと比べて改善されている。しかしながら、全体を超硬合金製としたものと比べると防振性能、加工精度ともに大きく劣っていた。
【0010】
その原因として、前記切削工具20は補強材としての超硬合金をシャンク部21の軸部に配し(前記軸体23)ているが、外周部分に比べて切削時の曲げモーメントが小さなシャンク部21の軸部を高剛性の超硬合金を嵌合しているため剛性補強が効果的でなく、その結果、シャンク部全体を超硬合金製としたものと比べると防振性能、加工精度ともに大きく劣る。
【0011】
次に、特開平8−197310号の発明に係る切削工具30は、防振性能がシャンク部全体を合金鋼製としたものと比べて改善されたが、しなりが大きくなり加工精度はかえって悪くなっている。さらに、シャンク部全体を超硬合金製としたものと比べると防振性能は大きく劣る。
【0012】
これは、前記切削工具30にはシャンク部31の剛性を高める効果がないのに加え、防振効果があるのは加工条件が低い場合に限られるためである。すなわち、前記切削工具30では、剛性が非常に低い鉛や、鋼からなる球体33をシャンク部31の軸部分に配しているので、シャンク部31の剛性は全体を合金鋼製としたものより劣る。したがって、切削時の曲げモーメントによってシャンク部が大きくしなり加工精度はかえって悪くなる。
【0013】
さらに、この従来技術では、加工振動に対してスプリングと球体が振動(揺動)し、加工振動を打ち消そうとする反作用振動を生じせしめるが、使用するスプリングの最大荷重は最大でも2.184kgfと小さいので上記反作用振動も小さい。したがって、加工条件が低い時は加工振動を打ち消す効果があっても、加工条件を厳しくした場合には加工振動も大きくなるので、その結果、防振効果がほとんど無くなるという大きな欠点も有していた。
【0014】
以上のように前記従来技術は、高剛性、高防振性能、高加工精度、並びに十分高い耐衝撃性を兼備しておらず、近年の、加工径の小径化および加工能率の高度化という要求に十分に対応できるものではなかった。
【0015】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、シャンク部全体を超硬合金製としたものに匹敵する剛性、防振性能、加工精度と、十分高い耐衝撃性とを兼備した切削工具を提供するにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記課題を解決するために、次のような手段を講じた。
【0017】
すなわち、工作機械本体に取り付けるためのシャンク部の先端側に切刃部を備えた棒状の合金鋼製工具本体に、後端から先端側に向けて有底穴を設け、該有底穴内に弾性体およびヤング率が270GPa以上の素材からなる軸体の順に挿入させるとともに前記弾性体に圧縮荷重が印加されており、前記軸体および前記弾性体はいずれも、中空状をなし、貫通溝を形成している、又は、前記軸体および前記弾性体のいずれも、中実の本体の外周に先端から後端まで連なる溝を有していることを特徴としている。
【0018】
また、本発明は、前記軸体が前記有底穴の穴壁に圧着している点に特徴がある。
【0019】
さらに、本発明は、前記弾性体が皿バネである点に特徴がある。
【0020】
【作用】
本発明の切削工具は、有底穴内に弾性体およびヤング率が270GPa以上の素材からなる軸体の順に嵌装するとともに、弾性体に圧縮荷重が印加されていることを特徴とする。この構造では弾性体の大きな反発力で、シャンク部の外周部分に軸方向の強力な引っ張り応力が発生する。
【0021】
メカニズムは明らかではないが、この引っ張り応力は、合金鋼製シャンク部の耐衝撃強度を損なうことなく、高剛性軸体により大幅に補強されたシャンク部の剛性をさらに補強する。この結果、本発明の切削工具は、十分高い耐衝撃性に加えて、シャンク部全体を超硬合金製としたものに匹敵する剛性、防振性能、加工精度を兼備するものとなる。
【0022】
また、前記軸体を前記有底穴の穴壁に圧着することにより、軸体の周囲のシャンク部にも放射方向に拡がろうとする応力が発生する。そして、そのメカニズムは明らかでないが、切削加工の振動がこの部分を伝播しようとする時に、その応力は上記振動を減衰する。その結果、防振性能が一層向上する。
【0023】
更に、前記弾性体を弾性力の大きな皿バネで構成したことにより、皿バネは狭い空間でも大きな弾性力を発揮することができるので、シャンク部の剛性を補強する前記効果を十分大きなものとすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0025】
図1において、1は旋盤などの工作機械本体に取り付けられて切削加工を行う切削工具、2は該切削工具1が備える工具本体、9は該工具本体2が備えるシャンク部、3は工具本体2が備える切刃部、4は工具本体2に穿設した有底穴、5は該有底穴4に嵌装した軸体、6は有底穴4に嵌装した弾性体、8は有底穴4を封止する埋栓である。
【0026】
各部材の材質は、工具本体2と弾性体6が合金鋼により構成され、軸体5がハイス、超硬合金やサーメット等のヤング率270GPa以上の高剛性材により構成される。また、埋栓8はアルミニウムなどの軟質金属で構成することができる。前記工具本体2と弾性体6を構成する合金鋼の材種は、クロム・モリブデン鋼、ニッケル・クロム鋼、ニッケル・クロム・モリブデン鋼等の合金鋼や、鉄にC,Si,Mn,P及びSの5元素が入った炭素合金鋼をベースにクロム、タングステン、マンガン、モリブデン、バナジウムなどを添加した合金鋼などがある。
【0027】
棒状体の工具本体2は、不図示の工作機械本体に取り付けるためのシャンク部9と該シャンク部9の先端側に切刃部3とを備える。該切刃部3には、スローアウェイチップ7が着脱自在に取り付けられる。また、工具本体2には後端から先端側に向けて有底穴4が穿設され、該有底穴4内に弾性体6と軸体5とを順次挿入させている。前記有底穴4の入口部はその穴径が若干大きくなっており、穴を封止するべく埋栓8を圧入するよう構成されている。
【0028】
弾性体6は、軸体5と有底穴4の穴底4aとの間にあって圧縮状態で保持されている。前記弾性体6として、たわみ量1.8mm程度の皿バネを複数個重ねたものを図1に例示するが、この他、弾性体6はコイルバネなど任意の形態とすることができる。皿バネは径が小さくても弾性力が大きく、したがって、径の小さな切削工具1の場合でも大きな弾性力を発揮できるので、弾性体6として好適である。
【0029】
前記弾性体6は、10kgf以上の圧縮荷重が印加されていることが重要である。弾性体6に印加される圧縮荷重値が10kgf未満では、シャンク部9の軸方向への引っ張り応力が小さく、シャンク部9の剛性を補強する効果が不十分となる。その結果、シャンク部9の剛性を補強する効果が不十分となり、ビビリ振動が発生して被切削物表面の面状態が滑らかでなくなったり、シャンク部のしなりのため加工精度が不良となる恐れがある。なお、前記圧縮荷重値は、100kgf以上であることがさらに望ましい。
【0030】
弾性体6の圧縮荷重値は、前記軸体5を固定する前に軸体5で弾性体6を押圧する際の圧縮荷重値を測定することにより求めることができるが、他方、既に軸体5を固定してしまっている完成品からこれを確認するには、エンドミル等により工具本体2の一部を切削除去し、軸体5を単独で取り出し、弾性体6が保持されていたところの幅と同一幅まで弾性体6を圧縮することにより、前記圧縮荷重値を測定することができる。
【0031】
前記軸体5は、弾性体6を常時押圧する状態で有底穴4内に嵌挿されている。
【0032】
そのように軸体5を嵌挿するには、焼き嵌め法を用いることができる。
すなわち、工具本体2を予め高温に熱して有底穴4を拡げ、この有底穴4内に弾性体6挿入した後、軸体5を油圧プレス機により後側より押し込み、工具本体2の熱が冷めて有底穴4が収縮し、軸体5が有底穴4の穴壁4aに圧接固着するまでその状態を保持する。以上のような方法でもって、弾性体6に常時圧縮荷重が印加された状態で軸体5を有底穴4内に嵌挿することができる。この他、軸体5と有底穴4の穴壁との間に接着材を介在させる方法や、軸体5の後側の有底穴4内にセメントを充填する方法や、押し込みねじなど、任意の方法や部品により軸体5を有底穴4内に嵌挿すれば良い。
【0033】
前述のように、軸体5はハイス、超硬合金、サーメット等のヤング率が270GPa以上の高剛性材により構成されることが重要である。ヤング率が270GPa未満の場合、軸体5自身の剛性が小さく、その結果、シャンク部9の剛性を補強する効果が不十分となり、ビビリ振動が発生して被切削物表面の面状態が滑らかでなくなったり、シャンク部のしなりのため加工精度が不良となる恐れがある。なお、上記ヤング率としては、被切削物表面の面状態を滑らかにする点で550以上であることがさらに好ましい。
【0034】
図1において、前記軸体5および弾性体6は、いずれも中空状となっている。
【0035】
これは、前記軸体5により弾性体6を有底穴4の穴底4bの方向に押圧し、その状態で有底穴4内に軸体5と弾性体6を保持する作業の際に、穴底4b側の圧縮空気を抜くために中空状とし、前記圧縮空気の排出路を備えるようにしたものである。中空状とする代わりに、同じ目的を達成するため、中実の軸体5および弾性体6を外周に先端から後端に連なる溝を設けても良い。このように、軸体5および弾性体6を中空状としたり、或いは、それらに外周溝を設けることの利点として、形成された貫通溝や外周溝を切削油供給路として利用できる。
【0036】
上述のように構成される前記切削工具1は、超硬合金などヤング率が270GPa以上の素材からなる高剛性の軸体5によって、合金鋼製のシャンク部9の剛性が大きく補強される。
【0037】
また切削工具1は、有底穴4の穴底4b側に弾性体6且つ入口側に軸体5を嵌装し、加えて前記弾性体6に10kgf以上の圧縮荷重を印加したことにより、弾性体6の大きな反発力で穴底4bと軸体5が相半方向に押圧される。この内圧により、シャンク部9の外周部分に軸方向の強力な引っ張り応力が発生する。この引っ張り応力は、合金鋼製のシャンク部9の耐衝撃強度を損なうことなく、高剛性の軸体5により大幅に補強されたシャンク部9の剛性を、さらに補強する。
【0038】
この結果、前記切削工具1は、十分高い耐衝撃性に加え、シャンク部全体を超硬合金製としたものに匹敵する剛性を兼備する。
【0039】
なお、切削工具1は、前記軸体5を有底穴4の穴底4b側且つ前記弾性体6を入口側に嵌挿したものであってもよい。
【0040】
また、前記軸体5を前記有底穴4の穴壁4aに圧着することにより、軸体5の周囲のシャンク部9にも放射方向に拡がろうとする応力が発生する。そして、切削加工の振動がこの部分を伝播しようとする時に、その応力が上記振動を減衰する。これにより切削工具1の防振性能を向上させることができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、発明の目的を逸脱しない限り任意の形態とすることができることは言うまでもない。例えば、本発明の切削工具1は旋盤に用いられるもののみではなく、フライスに取り付けられ軸線回りに回転するエンドミルタイプの切削工具でも良い。また、本発明はスローアウェイチップ7を取り付ける切削工具1のみでなく、切刃片(ブレード)をロウ付けするものや、一体的に切刃を形成したソリッドタイプのものであっても構わない。
【0042】
実験例1
図1に示す切削工具1を実施例品として工具機械本体(旋盤)に装着し、突き出し量L/加工径Dの比(L/D)を7とし、内径切削加工を行った。そして、次に、加工後の被切削物表面を観察し、仕上面の面状態、加工精度について評価した。
【0043】
加工条件は以下のとおりである:
V(切削速度)=100m/min
d(切り込み)=0.5/1.0mm
f(送り) =0.1mm/rev
湿式加工
ワーク材質 :SCM415
軸体素材のヤング率:576GPa
弾性体の圧縮荷重値:100kgf
また比較例として、前記実施例品と外径形状がほぼ等しい4種の比較例品、すなわち、合金鋼製で且つシャンク部を中実状とした切削工具(比較例品1)、図3に示すように、合金鋼製のシャンク部31の後端から先端側に向けて設けた有底穴32に、複数個の鋼製の球体33を一列に充填し、複数個の球体33からなる列の後端をスプリング34により弾支する構成とした切削工具30(比較例品2)、シャンク部全体を超硬合金で構成した切削工具(比較例品3)および図2に示すように、合金鋼製のシャンク部21の軸線方向に設けたテーパー穴22に超硬合金からなるテーパー状の軸体23を挿入し、該軸体23を後端からワッシャ24を介して押込ねじ25により装着するよう構成した切削工具20(比較例品4)を用い、全く同様の加工および観察・評価を行った。
【0044】
これらの結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0004313482
【0046】
表1から明らかなように実施例品はビビリ振動は発生せず、仕上面の面状態が極めて良好であり、かつ加工精度も±0.03mmの範囲に入り良好であった。
【0047】
これに対して、比較例品2,4はビビリ振動が発生して、仕上面の面状態が悪く、また、加工精度も±0.4mmとなり不良であった。更に比較例3は加工途中でシャンク部に欠損が発生し、短時間で使用不可となってしまった。
【0048】
実施例2
次に、前記実施例品においてヤング率の異なるいくつかの素材で軸体を構成し、前記加工条件により前述の実施例1と同様の加工および観察・評価を行った。
【0049】
これらの結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
Figure 0004313482
【0051】
表2から明らかなように、軸体素材のヤング率が270GPa未満の試料1はビビリ振動が発生して、仕上面の面状態が悪く、また、加工精度も±0.3mmとなり不良であった。これに対してヤング率が270GPa以上の試料2乃至5はビビリ振動は発生せず、仕上面の面状態が良好であり、かつ加工精度も±0.03mmの範囲に入り良好であった。特に、ヤング率が550GPa以上の試料3乃至5は仕上面の面状態が極めて良好であった。
【0052】
実施例3
次に、前記実施例1の実施例品において、弾性体に印加する圧縮荷重を表3のように違え、前記加工条件により前述の実施例1と同様の加工および観察・評価を行った。
【0053】
これらの結果を表2に示す。
【0054】
【表3】
Figure 0004313482
【0055】
表3から明らかなように、圧縮荷重値が10kgf未満の試料6はビビリ振動が発生して、仕上面の面状態が悪く、また、加工精度も±0.3mmとなり不良であった。これに対して、圧縮荷重値が10kgf以上の試料7乃至試料10はビビリ振動は発生せず、仕上面の面状態が良好であり、かつ加工精度も±0.03mmの範囲に入り良好であった。特に、圧縮荷重値が100kgf以上の試料8乃至10は仕上面の面状態が極めて良好であった。
【0056】
【発明の効果】
本発明は、上述のように、工作機械本体に取り付けるためのシャンク部の先端側に切刃部を備えた棒状の合金鋼製工具本体に、後端から先端側に向けて有底穴を設け、該有底穴内に弾性体およびヤング率が270GPa以上の素材からなる軸体の順に挿入させるとともに前記弾性体に圧縮荷重が印加されていることを特徴とするものであるから、切削工具の剛性がシャンク部全体を超硬合金で構成した切削工具に略匹敵する程度まで高められる。したがって、防振性能が高く、切削加工振動が軽減され、加工精度も向上するとともに、超硬合金からなる軸体の脆さは鋼性の工具本体によって補強されるので、加工中の衝撃等によって折損することがなく耐久性が大きい。加えて、前記軸体および前記弾性体はいずれも、中空状をなし、貫通溝を形成している、又は、前記軸体および前記弾性体のいずれも、中実の本体の外周に先端から後端まで連なる溝を有していることを特徴とするものであるから、圧縮空気の排出が可能であったり切削油供給路を確保したりすることができる。
【0057】
また、高価な超硬合金の剛体からなる軸体は、軸芯部のみであるから、材料費を節約でき、安価な切削工具を得ることができる。
【0058】
本発明は、前記軸体を前記有底穴の穴壁に圧着することにより、軸体の周囲の工具本体に放射方向へ拡がろうとする応力が発生し、振動がこの部分を伝播しようとする時に、この応力がその勢いを減衰することができる。したがって、防振効果をより一層高めることが可能である。
【0059】
そして、前記弾性体を弾性力の大きな皿バネで構成することにより、前述の防振効果を十分大きなものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の切削工具の側面図である。
【図2】従来の切削工具の側面図である。
【図3】従来の別切削工具の側面図である。
【符号の説明】
1 切削工具
2 工具本体
3 切刃部
4 有底穴
4a 穴壁
4b 穴底
5 軸体
6 弾性体
7 スローアウェイチップ
8 埋栓
9 シャンク部

Claims (3)

  1. 工作機械本体に取り付けるためのシャンク部の先端側に切刃部を備えた棒状の合金鋼製工具本体に、後端から先端側に向けて有底穴を設け、該有底穴内に弾性体およびヤング率が270GPa以上の素材からなる軸体の順に挿入させるとともに前記弾性体に圧縮荷重が印加されており、
    前記軸体および前記弾性体はいずれも、中空状をなし、貫通溝を形成している、又は、前記軸体および前記弾性体のいずれも、中実の本体の外周に先端から後端まで連なる溝を有している切削工具。
  2. 前記軸体が前記有底穴の穴壁に圧着していることを特徴とする請求項1記載の切削工具。
  3. 前記弾性体が皿バネであることを特徴とする請求項1または2記載の切削工具。
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