JP4307233B2 - 耐炎化繊維及び炭素繊維の製造方法 - Google Patents

耐炎化繊維及び炭素繊維の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭素繊維製造用耐炎化繊維の製造方法、並びに、前記耐炎化繊維を用いた炭素繊維の製造方法に関する。
従来、炭素繊維製造用のプリカーサー(前駆体繊維)を用い、これに耐炎化処理を施して耐炎化繊維を得ること、更にこの耐炎化繊維に炭素化処理を施して高性能炭素繊維を得ることは広く知られている。また、この方法は工業的にも実施されている。
特に、近年炭素繊維の用途はスポーツ・レジャー用品から航空宇宙分野、特に航空機の一次構造材にまで展開されている。さらに、炭素繊維の高い比強度、比弾性の特性を生かして製品の軽量化を図ることにより省エネルギー化を図り、これにより排出CO2の削減に寄与することを目的として各産業界は炭素繊維の新しい利用方法に注目し、また研究を進めている。
このような状況下において、炭素繊維にも更なる高性能化、低製造コスト化、また取扱性に優れる高品質化等の課題の解決が要請されている。
一般に原料繊維であるプリカーサーとしてはアクリル繊維が用いられる。このアクリル繊維から炭素繊維を製造する場合、アクリル繊維を200〜260℃の酸化性雰囲気下で延伸又は収縮を行いながら酸化処理(耐炎化処理)を行った後、260℃以上、又は1000℃以上の不活性ガス雰囲気中で炭素化して炭素繊維を製造する。
とりわけ耐炎化処理工程における繊維の延伸熱処理方法は、炭素繊維の強度発現に大きく影響を及ぼし、これまでに多くの検討が行われてきた(例えば、特許文献1〜3)。
特許文献1には、耐炎化伸長率を−10〜10%(延伸率0.9〜1.1)の範囲とし、繊維密度が1.30〜1.42g/cm3である耐炎化処理糸を炭素化することにより高強度炭素繊維が得られることが開示されている。しかし、この耐炎化処理方法では、長時間を要する耐炎化処理工程全てにおいて収縮若しくは延伸をさせており、強度発現に最適な緊縮を施すことは行われてない。
特許文献2には、繊維密度が1.22g/cm3に達するまで3%以上の伸長率(1.03以上の延伸率)を与え、以後の収縮を実質的に抑制して耐炎化処理を行い、続いて炭素化することにより高強度の炭素繊維が得られることが開示されている。
特許文献3には、繊維密度が1.22g/cm3に達するまで3%以上の伸長率(1.03以上の延伸率)で耐炎化処理を行った後、更に1%以上の伸長率(1.01以上の延伸率)で延伸処理を行うことによりストランド強度460kgf/mm2以上の炭素繊維が得られることが開示されている。
これら特許文献2及び3の方法によれば、従来の方法によるもののなかでは、高強度の炭素繊維が得られる。しかし、繊維密度が1.22g/cm3以上になった時点以後の延伸持続の耐炎化処理工程においては糸切れ等を多く発生し、安定した耐炎化繊維、炭素繊維の生産が損なわれる。
特公昭63−28132号公報(第2〜3頁) 特公平3−23649号公報(特許請求の範囲) 特公平3−23650号公報(特許請求の範囲)
本発明者は、上記問題を解決するために種々検討しているうちに、耐炎化処理に用いるアクリル繊維の150℃で1hr且つフリー荷重の条件で求めた収縮率に応じて、耐炎化処理時における25℃から250℃に昇温するまで(耐炎化初期)の延伸率を調節しつつ、アクリル繊維を延伸して耐炎化処理することにより、糸切れ等が無くなり、安定した耐炎化繊維の生産ができ、且つこの耐炎化繊維を炭素化して得られる炭素繊維は高配向、高強度であることを知得し、本発明を完成するに到った。
従って、本発明の目的とするところは、上記問題を解決した、高配向、高強度の炭素繊維の中間原料としての耐炎化繊維の製造方法、並びに、前記耐炎化繊維を用いた炭素繊維の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成する本発明は、以下に記載するものである。
〔1〕 酸素濃度17〜23vol%の酸化性ガス雰囲気下でアクリル繊維を延伸熱処理する耐炎化繊維の製造方法であって、延伸熱処理時における25℃から250℃に昇温するまでのアクリル繊維の延伸率[B]と、延伸熱処理に用いる前記アクリル繊維について150℃で1hr且つフリー荷重の条件で予め求めた収縮率[A]とを用いて算出される[(1−A)×B]の値が0.90〜0.97である耐炎化繊維の製造方法。
〔2〕 150℃で1hr且つフリー荷重の条件で求めた収縮率[A]のアクリル繊維を任意の延伸速度で延伸しながら25℃から250℃まで昇温速度50℃/minで昇温するTMA測定におけるアクリル繊維の延伸率−最大応力のグラフにおいて、最大応力が24.5〜58.8MPaの範囲になる、延伸熱処理時における25℃から250℃に昇温するまでのアクリル繊維の延伸率[B]と、延伸熱処理に用いるアクリル繊維の150℃で1hr且つフリー荷重の条件で求めた収縮率[A]の条件で延伸熱処理する〔1〕に記載の耐炎化繊維の製造方法。
〔3〕 酸素濃度17〜23vol%の酸化性ガス雰囲気下でアクリル繊維を延伸熱処理して耐炎化繊維を得、その後前記の耐炎化繊維を不活性雰囲気下で熱処理する炭素繊維の製造方法であって、延伸熱処理時における25℃から250℃に昇温するまでのアクリル繊維の延伸率[B]と、延伸熱処理に用いる前記アクリル繊維について150℃で1hr且つフリー荷重の条件で予め求めた収縮率[A]とを用いて算出される[(1−A)×B]の値が0.90〜0.97である炭素繊維の製造方法。
〔4〕 150℃で1hr且つフリー荷重の条件で求めた収縮率[A]のアクリル繊維を任意の延伸速度で延伸しながら25℃から250℃まで昇温速度50℃/minで昇温するTMA測定におけるアクリル繊維の延伸率−最大応力のグラフにおいて、最大応力が24.5〜58.8MPaの範囲になる、延伸熱処理時における25℃から250℃に昇温するまでのアクリル繊維の延伸率[B]と、延伸熱処理に用いるアクリル繊維の150℃で1hr且つフリー荷重の条件で求めた収縮率[A]の条件で延伸熱処理する〔3〕に記載の炭素繊維の製造方法。
本発明の耐炎化繊維の製造方法によれば、耐炎化処理に用いるアクリル繊維の150℃で1hr且つフリー荷重の条件で求めた収縮率に応じて、耐炎化初期における延伸率を調節しつつ、アクリル繊維を延伸して耐炎化処理しているので、糸切れ等が無くなり、安定した耐炎化繊維の生産ができる。
また、本発明の製造方法によって得られる耐炎化繊維を不活性雰囲気下で熱処理して得られる炭素繊維は、高配向、高強度のものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の耐炎化繊維の原料であるプリカーサーは、アクリル繊維である。このプリカーサーを用いることで、最も高配向、高強度の炭素繊維を得る中間原料として適した耐炎化繊維が得られる。
上記アクリル繊維は、例えばアクリロニトリルを95質量%以上含有する単量体を重合した単独重合体又は共重合体を含む紡糸溶液を、湿式又は乾湿式紡糸法において紡糸・水洗・乾燥・延伸等の処理を行うことによって得ることができる。共重合する単量体としては、アクリル酸メチル、イタコン酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸等が好ましい。
このようにして得られるアクリル繊維を、本発明の耐炎化繊維の製造方法に従って耐炎化して耐炎化繊維を得る。この耐炎化繊維を炭素化することによって高配向、高強度の炭素繊維を得ることができる。
上記アクリル繊維を大気中、150℃で1hr且つフリー荷重の条件で求めた収縮率[A]は、その製造過程における延伸率などの製造条件を調節することによって種々の値に調節することができる。この収縮率[A]の値は、この収縮率[A]値を持ったアクリル繊維を酸素濃度17〜23vol%の酸化性ガス雰囲気下で延伸熱処理する際の取扱性、その後の炭素化処理時の取扱性、並びに、得られる耐炎化繊維及び炭素繊維の品位に大きく影響を与える。
本発明の耐炎化繊維の製造方法は、上記アクリル繊維の収縮率[A]と、耐炎化処理時における25℃から250℃に昇温するまで(耐炎化初期)のアクリル繊維の延伸率[B]とで算出される[(1−A)×B]の値を0.90〜0.97の範囲(図1参照)、好ましくは0.91〜0.96の範囲に調節しつつ延伸して耐炎化処理することを特徴とする。
[(1−A)×B]の値が0.90未満の場合は、得られる耐炎化繊維の品位が低下し、この耐炎化繊維から得られる炭素繊維の強度及び弾性率が低下するので好ましくない。[(1−A)×B]の値が0.97を超える場合は、糸切れが多く発生し、耐炎化工程、炭素化工程が安定しないので好ましくない。
耐炎化初期における昇温は、途中降温することなく連続して250℃まで昇温しても良く、途中の降温を経る場合は、その降温を経た後、再昇温して250℃にしても良い。好ましくは常に正の昇温速度で昇温することである。
具体的には、耐炎化炉に導入されたアクリル繊維からなるストランドが、水平面に多数本並んだパス(1パス)を形成して耐炎化炉内を水平走行した後、耐炎化炉外に出、耐炎化炉外に備えられた折返しローラーにより折返されて耐炎化炉に戻る耐炎化炉におけるアクリル繊維の延伸熱処理を例示することができる。
このアクリル繊維の延伸熱処理においては、耐炎化炉に戻ったアクリル繊維ストランドは、上記1パスの下方に、水平面に多数本並んだパス(2パス)を形成して耐炎化炉内を水平走行する。以下、耐炎化炉内外の出入を数回繰返し、アクリル繊維は耐炎化処理される。
この例示された耐炎化炉におけるアクリル繊維が、1パス目を走行している間に250℃まで昇温される場合は、途中降温されることなく連続して昇温される。アクリル繊維の250℃までの最初の昇温が2パス目を走行している間である場合、このアクリル繊維は1パス目を水平走行した後、耐炎化炉外に出、耐炎化炉外に備えられた折返しローラーにより折返されて耐炎化炉に戻る間に、途中の降温を1回経ることになる。以下同様に、アクリル繊維の250℃までの最初の昇温が[n]パス目を走行している間である場合は、途中の降温を[n−1]回経ることになる。
上記の耐炎化初期におけるアクリル繊維の延伸率[B]と、耐炎化処理に用いるアクリル繊維の大気による酸化雰囲気、150℃で1hr且つフリー荷重の条件で求めた収縮率[A]との、耐炎化処理における条件範囲は、上記収縮率[A]のアクリル繊維を任意の延伸速度で延伸しながら室温(25℃)から250℃まで昇温速度50℃/minで昇温するTMA測定におけるアクリル繊維の延伸率−最大応力のグラフ(図2参照)において、最大応力を好ましくは24.5〜58.8MPa(2500〜6000gf/mm2)の範囲、更に好ましくは29.4〜58.8MPa(3000〜6000gf/mm2)の範囲にする。
本発明においては、上記最大応力が24.5〜58.8MPa(2500〜6000gf/mm2)の範囲に入る延伸率[B]でアクリル繊維を酸化処理することである。
TMA測定におけるアクリル繊維の任意の延伸率(TMA延伸率)に対する最大応力(TMA最大応力)は、以下の方法により求めることができる。
1. アクリル繊維を採取し、測定有効長1cmとして繊維測定用の治具に固定する。
2. 酸素濃度21vol%の酸化性ガス雰囲気下でアクリル繊維を任意の延伸速度で延伸しながら、25℃から250℃まで昇温速度50℃/分の条件で昇温し、この延伸熱処理中のアクリル繊維について単位断面積当りのTMA測定応力を測定する。
3. 測定された延伸熱処理中におけるTMA測定応力のうち最大のTMA測定応力を、TMA最大応力とする。
上記TMA最大応力が24.5MPa(2500gf/mm2)未満の場合は、アクリル繊維の配向の低下が激しくなる。そのため、耐炎化工程でのアクリル繊維ストランドのたるみが生じ、耐炎化繊維の生産が安定しないので好ましくない。
上記TMA最大応力が58.8MPa(6000gf/mm2)を超える場合は、得られる耐炎化繊維の品位低下、及び耐炎化処理過程におけるアクリル繊維の切断の虞が有るので好ましくない。
耐炎化処理過程において、アクリル繊維が最初の250℃に到達した時点以降は、従来の公知の方法で耐炎化処理を行うことができ、耐炎化繊維を得ることができる。
次に、この耐炎化繊維を、窒素雰囲気下などの不活性ガス雰囲気下で焼成し炭素化することにより炭素繊維を得ることができる。さらに、炭素繊維の後加工をしやすくし、取扱性を向上させる目的で、炭素繊維のサイジング処理することが好ましい。サイジング方法は、従来の公知の方法で行うことができ、サイジング剤は、用途に即して適宜組成を変更して使用し、均一付着させた後に、乾燥することが好ましい。
このようにして得られた炭素繊維は、高配向、且つ高強度を有し、毛羽や糸切れの少ない炭素繊維である。
炭素繊維の配向は、広角X線測定(回折角26°)における配向度などで示すことができ、炭素繊維の強度は、引張り強度などで示すことができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明する。また、各実施例及び比較例におけるアクリル繊維、耐炎化繊維及び炭素繊維の諸物性についての評価方法は、前述の方法又は以下の方法により実施した。
<TMA最大応力>
マックサイエンス社製の熱機械特性試験機(TMA)4000Sを用い、前述の方法により測定した。
<収縮率[A]:150℃で1hr且つフリー荷重の条件で求めた収縮率>
以下の方法により測定した。
1. アクリル繊維を1m計測する。
2. 金網状の棚にフリーの状態で上記アクリル繊維を載せ、150℃に設定した熱風循環式乾燥機に入れる。
3. 1時間後に取り出し、サンプル長を測定し、収縮率を求める。
4. 測定はn=3で測定し、平均値を求める。
<広角X線測定(回折角26°)における配向度>
X線回折装置:理学電機製RINT2050を使用し、以下の方法により測定した。
1. 延伸処理後のアクリル繊維の単繊維約12000本を束にし、アセトンを用いて束を収束させながら繊維軸方向に繊維を引揃える。
2. 直径1.0cmの穴をあけた台紙に、繊維束の中央が穴の中央に来るように、繊維を緊張させた状態で貼付ける。その後、繊維軸と治具の軸が平行になるように、台紙を試料調整用治具に固定する。
3. 更に、この治具を透過法による広角X線回折測定試料台に固定する。X線源として、CuのKα線を使用し、試料に照射すると、2θ26度付近に回折パターン(二つのピークを有する)が現れる。
4. この回折パターンのピーク角度を求め、それらの角度を含む360度の範囲について測定を行う。次いで得られたX線回折チャートのグラフ上にベースラインを引き、ピークの半値幅H1/2、H'1/2(度)を求め、下式
配向度=[360−(H1/2+H'1/2)]/360
によって配向度を計算する。
<引張り強度>
JIS R 7601に規定された方法により測定した。
作製例1
アクリロニトリル95質量%、アクリル酸メチル4質量%、及びイタコン酸1質量%の共重合体を含有する紡糸原液を湿式紡糸し、水洗・乾燥・延伸(延伸率3.5倍)・オイリングして繊維直径11.3μmのアクリル繊維を得た。このアクリル繊維の収縮率[A]は0.11であった。
作製例2
紡糸・水洗・乾燥後の延伸操作時の延伸率を5.5倍にした以外は作製例1と同様の条件でアクリル繊維を作製し、繊維直径9.0μm、収縮率[A]が0.09のアクリル繊維を得た。
作製例3
紡糸・水洗・乾燥後の延伸操作時の延伸率を6.5倍にした以外は作製例1と同様の条件でアクリル繊維を作製し、繊維直径8.3μm、収縮率[A]が0.08のアクリル繊維を得た。
実施例1〜18及び比較例1〜6
作製例1〜3のアクリル繊維について、TMA延伸率0.98〜1.10の表1に示す条件でTMA最大応力を測定した。その結果を表1及び図2に示す。
次いで、炉内温度分布25〜250℃の熱風循環式耐炎化炉において、耐炎化初期におけるアクリル繊維の延伸率[B]を、上記TMA延伸率の値に調節しつつ、作製例1〜3のアクリル繊維を耐炎化処理した。その耐炎化処理におけるアクリル繊維の取扱性、得られた耐炎化繊維は、以下の通りであった。
実施例1〜11及び13〜17については何れも、耐炎化初期におけるアクリル繊維の延伸率[B]と、150℃/1hr/フリー荷重収縮率[A]とで示される[(1−A)×B]の値は0.90〜0.97であり、且つ上記耐炎化処理に用いたアクリル繊維のTMA最大応力は24.5〜58.8MPa(2500〜6000gf/mm2)の範囲であった。
これら実施例1〜11及び13〜17の条件におけるアクリル繊維の耐炎化処理時の取扱性は何れ条件の場合も、糸切れ等が無く、安定したものであった。また、実施例1〜11及び13〜17の条件によって得られた耐炎化繊維を不活性雰囲気下で熱処理して得られる炭素繊維は何れ条件の場合も、広角X線測定(回折角26°)における配向度81.0%以上、引張り強度5600MPa以上と、高配向、高強度のものであった。
実施例12については、上記[(1−A)×B]の値は0.902と0.90〜0.97の範囲内であったが、上記耐炎化処理に用いたアクリル繊維のTMA最大応力は22.5MPa(2300gf/mm2)と24.5MPa(2500gf/mm2)未満であった。
この実施例12の条件におけるアクリル繊維の耐炎化処理時の取扱性は、アクリル繊維の配向の低下が激しく、耐炎化工程でのアクリル繊維ストランドのたるみが生じ、耐炎化繊維の生産が安定しないものではあったが、この実施例12の条件によって得られた耐炎化繊維を不活性雰囲気下で熱処理して得られる炭素繊維は、広角X線測定(回折角26°)における配向度81.0%以上、引張り強度5600MPa以上と、高配向、高強度のものであった。
比較例1、3及び5については何れも、上記[(1−A)×B]の値は、それぞれ0.899、0.892及び0.892と0.90未満であり、且つ上記耐炎化処理に用いたアクリル繊維のTMA最大応力は、それぞれ22.6MPa(2310gf/mm2)、24.0MPa(2450gf/mm2)及び21.0MPa(2150gf/mm2)と24.5MPa(2500gf/mm2)未満であった。
これら比較例1、3及び5の条件におけるアクリル繊維の耐炎化処理時の取扱性は何れ条件の場合も、アクリル繊維の配向の低下が激しく、耐炎化工程でのアクリル繊維ストランドのたるみが生じ、耐炎化繊維の生産が安定しないものであった。また、比較例1、3及び5の条件によって得られた耐炎化繊維を不活性雰囲気下で熱処理して得られる炭素繊維は何れ条件の場合も、広角X線測定(回折角26°)における配向度81.0%未満、引張り強度5600MPa未満と、低配向、低強度のものであった。
実施例18については、上記[(1−A)×B]の値は、0.966と0.90〜0.97の範囲内であったが、上記耐炎化処理に用いたアクリル繊維のTMA最大応力は、60.8MPa(6200gf/mm2)と58.8MPa(6000gf/mm2)以上であった。
この実施例18の条件におけるアクリル繊維の耐炎化処理時の取扱性は何れ条件の場合も、後述する比較例2、4及び6ほどではないが、糸切れが多く発生し、耐炎化工程が安定しなかった。
比較例2、4及び6については何れも、上記[(1−A)×B]の値は、それぞれ0.979、0.983及び0.975と0.97を超えており、且つ上記耐炎化処理に用いたアクリル繊維はTMA測定中に切断した。
これら比較例2、4及び6の条件におけるアクリル繊維の耐炎化処理時の取扱性は何れ条件の場合も、糸切れが多く発生し、耐炎化工程が安定しなかった。
Figure 0004307233
耐炎化処理に用いるアクリル繊維の収縮率[A]と、耐炎化初期のアクリル繊維の延伸率[B]との関係を示すグラフであって、本発明における[(1−A)×B]値の範囲を示すグラフである。 実施例1〜18及び比較例1〜6について、耐炎化処理に用いるアクリル繊維の収縮率[A]で層別した、TMA延伸率に対するTMA最大応力の変化を示すグラフである。

Claims (4)

  1. アクリロニトリルを95質量%以上含有する単量体を重合した単独重合体又は共重合体を含む紡糸溶液を、湿式又は乾湿式紡糸法において紡糸・水洗・乾燥・延伸の処理を行うことによって得られるアクリル繊維を、酸素濃度17〜23vol%の酸化性ガス雰囲気下で延伸熱処理する耐炎化繊維の製造方法であって、アクリル繊維の製造過程における延伸率が3.5〜6.5倍であり、延伸熱処理時における25℃から250℃に昇温するまでのアクリル繊維の延伸率[B]と、延伸熱処理に用いる前記アクリル繊維について150℃で1hr且つフリー荷重の条件で予め求めた収縮率[A]とを用いて算出される[(1−A)×B]の値が0.90〜0.97であり、且つ収縮率[A]の値が0.08〜0.11である耐炎化繊維の製造方法。
  2. 150℃で1hr且つフリー荷重の条件で求めた収縮率[A]のアクリル繊維を任意の延伸速度で延伸しながら℃から250℃まで昇温速度50℃/minで昇温するTMA測定におけるアクリル繊維の延伸率−最大応力のグラフにおいて、最大応力が24.5〜58.8MPaの範囲になる、延伸熱処理時における25℃から250℃に昇温するまでのアクリル繊維の延伸率[B]と、延伸熱処理に用いるアクリル繊維の150℃で1hr且つフリー荷重の条件で求めた収縮率[A]の条件で延伸熱処理する請求項1に記載の耐炎化繊維の製造方法。
  3. アクリロニトリルを95質量%以上含有する単量体を重合した単独重合体又は共重合体を含む紡糸溶液を、湿式又は乾湿式紡糸法において紡糸・水洗・乾燥・延伸の処理を行うことによって得られるアクリル繊維を、酸素濃度17〜23vol%の酸化性ガス雰囲気下で延伸熱処理して耐炎化繊維を得、その後前記の耐炎化繊維を不活性雰囲気下で熱処理する炭素繊維の製造方法であって、アクリル繊維の製造過程における延伸率が3.5〜6.5倍であり、延伸熱処理時における25℃から250℃に昇温するまでのアクリル繊維の延伸率[B]と、延伸熱処理に用いる前記アクリル繊維について150℃で1hr且つフリー荷重の条件で予め求めた収縮率[A]とを用いて算出される[(1−A)×B]の値が0.90〜0.97であり、且つ収縮率[A]の値が0.08〜0.11である炭素繊維の製造方法。
  4. 150℃で1hr且つフリー荷重の条件で求めた収縮率[A]のアクリル繊維を任意の延伸速度で延伸しながら25℃から250℃まで昇温速度50℃/minで昇温するTMA測定におけるアクリル繊維の延伸率−最大応力のグラフにおいて、最大応力が24.5〜58.8MPaの範囲になる、延伸熱処理時における25℃から250℃に昇温するまでのアクリル繊維の延伸率[B]と、延伸熱処理に用いるアクリル繊維の150℃で1hr且つフリー荷重の条件で求めた収縮率[A]の条件で延伸熱処理する請求項3に記載の炭素繊維の製造方法。
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