JP4304883B2 - 窒化物半導体レーザダイオード、並びにその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化物半導体レーザダイオード、及びその製造方法に関し、特に、埋め込み層を有するリッジ形状の窒化物半導体レーザダイオードに適用される。
【0002】
【従来の技術】
半導体発光素子である窒化物半導体レーザダイオードは、大容量の情報を記憶するDVD等のメディアや通信用の光源、又は印刷機器等への利用が期待されている。またガリウムを含有する窒化物半導体は発光波長が400nm帯の短波長領域であるため、紫外から緑色までの発光光源とすることができる。そのため、ガリウムを含有する窒化物半導体レーザダイオードとして用いた場合、従来の赤色レーザダイオードに比べて数倍の大容量メディアの再生装置、又は記憶装置として使用可能となる。さらに電界効果トランジスタ(FET)のような電子デバイスへの応用も期待されている。
【0003】
このような窒化物半導体レーザダイオードには、光導波路を形成し横方向の光閉じ込めを実現するために窒化物半導体にエッチングをすることによりリッジを備えたものがある。この窒化物半導体レーザダイオードはリッジを形成後に露出面となったリッジの側壁部からリッジ両側のp側窒化物半導体層の露出面上に絶縁性の埋め込み層を備えたものである。これは、リッジを形成し露出面となったリッジ両側のp側窒化物半導体層の露出面上に窒化物半導体と屈折率の違う、例えば屈折率の低い埋め込み層を有することで、リッジ両側にある窒化物半導体の屈折率をコア領域となる窒化物半導体の屈折率よりも低くするものである。これより、光をコア領域内に閉じ込めることで、横方向の光閉じ込めを可能とするものである。このようなレーザダイオードを実効屈折率型レーザダイオードと呼ぶ。また、窒化物半導体レーザダイオードにおいて、リッジ両側の埋め込み層を絶縁体とすることで電流狭窄ができる。この実効屈折率型レーザダイオードは、例えばJpn.J.Appl.Phys.vol.37(1988) pp.L309-L312、Part2,No.cB,15 March 1998に示している。
【0004】
例えば、絶縁性を有する特性を満たした埋め込み層としてSiOやZrOが報告されている。ZrOからなる埋め込み層を有する窒化物半導体レーザダイオードにおいては、出力が5mW程度では寿命特性が連続発振1万時間以上を達成した良好な窒化物半導体レーザダイオードを可能としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、SiOやZrOを埋め込み膜として用いた場合には、低出力時や高出力時に関わらずリップルが発生してしまう。これは、実効屈折率型レーザダイオードはコア領域だけでなく、このコア領域の両横側にも活性層が存在するからである。コア領域の両横側にある活性層から、発光があるため出力が不均一となる。また、コア領域からの発光漏れも考えられる。リップルが発生すればFFP(ファー・フィールド・パターン)は非ガウシアン分布となる。このような非ガウシアン分布を特性として示す窒化物半導体レーザダイオードは、光ディスクへの書き込み等には用いるのが困難である。つまり、リップルが発生すれば、ピークが複数発生するようなFFPとなり、ピークの読み間違い等による歩留まり低下が問題となる。そこで、本発明の目的は、低出力や高出力に関わらずリップルの発生しない、窒化物半導体レーザダイオードを提供することである。
【0006】
前記リップルとは、さざなみの意味を示す。図3(a)にはリップルのないFFP−Xを示す。また、図3(b)にはリップルの発生したFFP−Xを示す。また前記コア領域とは、光閉じ込め領域を示す。縦方向の光閉じ込めはガイド層とクラッド層との屈折率差を利用したものである。また、横方向の光閉じ込めはリッジの両側に形成した埋め込み膜に屈折率が低いものを用いる。これにより、埋め込み膜の下部にある窒化物半導体の屈折率を低下させ実効屈折率を形成する。そのため、横方向の光閉じ込めが可能となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の窒化物半導体レーザダイオードは、上記目的を達成するために、p側窒化物半導体層上にリッジを有し、そのリッジ両側に埋め込み膜が形成された窒化物半導体レーザダイオードにおいて、前記埋め込み膜は吸収係数の異なる第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とを順に形成した2層構造からなり、前記第1の絶縁膜は前記第2の絶縁膜よりも吸収係数が高いものであって、前記第1の絶縁膜は、前記リッジの側壁部を除いた領域であって、p側窒化物半導体層の露出面に形成されており、前記第2の絶縁膜は、前記第1の絶縁膜上及びリッジの側壁部に形成されている
【0008】
本発明の窒化物半導体レーザダイオードにおいて、前記第1の絶縁膜は、前記第2の絶縁膜よりも吸収係数が高いことを特徴とする。
【0009】
本発明の窒化物半導体レーザダイオードは、基板上にn側窒化物半導体層、活性層、p側窒化物半導体層とを形成したものであり、このp側窒化物半導体層は活性層上にp側キャップ層、p側ガイド層、p側クラッド層、p側コンタクト層とを有するものであって、前記窒化物半導体レーザダイオードは少なくともp側クラッド層までエッチングすることによりリッジを形成していることを特徴とする。
【0010】
本発明の窒化物半導体レーザダイオードにおいて、前記第1の絶縁膜はリッジ形成後のp側窒化物半導体層の露出面上に形成され、かつリッジの側壁部には接触していないことを特徴とする。前記窒化物半導体レーザダイオードにおいて、前記第1の絶縁膜は光吸収機能を有し、前記第2の絶縁膜は電流狭窄及び横方向の光閉じ込め機能を有することを特徴とする。
【0011】
本発明における窒化物半導体レーザダイオードは、リッジ形状を有する実効屈折率型レーザダイオードであり、吸収係数の異なる第1の絶縁膜と第2の絶縁膜との2層構造からなる埋め込み層を有する。この第1の絶縁膜には吸収係数が高いものを用いることとする。これより、第1の絶縁膜は光吸収膜としての効果を有し、コア領域からの発光漏れやコア領域以外での発光による光を吸収することでリップルをなくすことができる。ここで、吸収係数の高い埋め込み層としては、TiO(酸化チタン)やNb(酸化ニオブ)、RhO等が挙げられる。また、前記第1の絶縁膜であるTiO等はSiOやZrOに比べて熱伝導率が高く、放熱性に優れており高出力時の連続発振に用いる埋め込み膜としては好ましい。さらに、本発明は埋め込み膜を2層構造とすることで、逆耐圧が高くなる。これは、窒化物半導体レーザダイオードを形成するための電極と窒化物半導体との間の絶縁が強くなるからである。そのため、逆方向に電圧がかかった場合でも壊れにくく、品質の向上が期待できる。
【0012】
また、前記窒化物半導体レーザダイオードは、少なくともp側クラッド層までエッチングすることでリッジを形成している。また、活性層までエッチングすれば活性層にダメージを与えるため寿命特性を低下させてしまう。さらに、このリッジ形成後に形成する第1の絶縁膜はリッジの側壁部には接触していないものとする。これは、第1の絶縁膜がリッジに接触していたら、閾値が上がり寿命特性を低下させるためである。これは、第1の絶縁膜が光吸収膜としての効果があるものの、レーザ発振に必要なレーザ光までこの第1の絶縁膜が吸収してしまうからである。
【0013】
前記窒化物半導体レーザダイオードの製造方法は、p側窒化物半導体層上にリッジを有し、そのリッジの両側に埋め込み層が形成された窒化物半導体レーザダイオードの製造方法において、前記埋め込み膜は吸収係数の異なる第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とを順に形成した2層構造からなり、前記第1の絶縁膜は前記第2の絶縁膜よりも吸収係数が高いものであって、前記リッジ形成後にリッジ上部、及びリッジの側壁部を除いた領域であり、p側窒化物半導体層の露出面に第1の絶縁膜を形成する工程と、その後、前記第1の絶縁膜上、及びリッジの側壁部に第2の絶縁膜を形成する工程とを具備することにより前記埋め込み層を形成することを特徴とする。また、前記第1の絶縁膜、第2の絶縁膜の成膜方法としては、特に限定しないが、スパッタやECRスパッタ、蒸着を用いることができる。
【0014】
前記窒化物半導体レーザダイオードの製造方法において、前記第1の絶縁膜の形成にはウェットエッチング法を用いることを特徴とする。このウェットエッチングには、熱硫酸やBHF、フッ酸が用いられる。第1の絶縁膜はウェットエッチングで形成することにより、リッジ両側の側壁と第1の絶縁膜との間隔を均一に制御することができる。また、リッジの端からの距離を数ミクロンの1/10という狭い範囲でのエッチングが可能となる。そのため、リッジ両横側の閉じ込めを均一にすることができ、FFPのピークずれを抑制することができる。
【0015】
本発明における埋め込み膜は上記に示す材料であれば、電気伝導度が低く、10〜1012Ωcmであるため絶縁体となり、埋め込み層からの電流のリークはない。さらに、熱伝導率が高く、放熱性に優れている。そのため、30mW以上の高出力に連続発振をする窒化物半導体レーザダイオードにおいても、コア内で発生した熱を埋め込み層から外部に逃がし発熱による素子の劣化を抑制することができるため、寿命特性の向上が期待できる。また、フェイスダウン構造である窒化物半導体レーザダイオードにおいては窒化物半導体レーザダイオードと、ステムとの接合面積が広いため効率よく熱を逃がすことができ好ましい。その他として、第1の絶縁膜をリッジ両横側の範囲のみに形成するのであれば、絶縁膜に限らずメタルを使用することもできる。
【0016】
以上に示すように、本発明における窒化物半導体レーザダイオードはリッジ形状を有する実効屈折率型レーザダイオードであり、2層構造から成る埋め込み層を用いるものである。これにより、低出力や高出力に関係なくリップルをなくした窒化物半導体レーザダイオードを提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る実施の形態の半導体レーザダイオードは、リッジを有し、そのリッジの側壁部からリッジの両側表面に連続して埋め込み膜が形成された窒化物半導体レーザダイオードにおいて、前記埋め込み膜としては吸収係数の異なる第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とを順に形成した2層構造からなるものである。前記第1の絶縁膜は、前記第2の絶縁膜よりも吸収係数が高いものとする。この吸収係数の測定にはエリプソメーターを用い、0.005〜0.1の範囲の第1の絶縁膜を成膜する。
【0018】
前記窒化物半導体レーザダイオードは、基板上にn側窒化物半導体層、活性層、p側窒化物半導体層とを形成したものである。この基板は、窒化物半導体基板と異なるサファイア等の異種基板であってもよい。また、n側窒化物半導体層は前記基板上にn側コンタクト層、クラック防止層、n側クラッド層、n側ガイド層とを有するものである。さらに、このn側窒化物半導体層上に形成する活性層は多重量子井戸構造からなる。この活性層上に形成するp側窒化物半導体層は、活性層上にp側キャップ層、p側ガイド層、p側クラッド層、p側コンタクト層とを有するものであって、本実施の形態では少なくともp側クラッド層までエッチングすることによりリッジを形成している。
【0019】
前記窒化物半導体レーザダイオードにおいて、前記第1の絶縁膜はリッジ形成後のp側窒化物半導体層の露出面上に形成され、かつリッジの側壁部には接触していないものとする。
【0020】
本発明に係る実施の形態の窒化物半導体レーザダイオードにおける埋め込み層は、吸収係数の異なる第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とを順に形成した2層構造からなる。また、前記第1の絶縁膜は、前記第2の絶縁膜よりも吸収係数が高いものとするため、以下の効果を有する。
【0021】
効果1
上記に示すように、吸収係数の高い第1の絶縁膜を埋め込み膜に用いることで、FFP−Xにおけるリップルの発生をなくすことができる。この第1の絶縁膜としては、TiO等の絶縁膜を用いる。このリップルの発生をなくす理由は、これらの絶縁膜の吸収係数が高いために、光を吸収することができるからである。具体的数値としては0.005〜0.1である。吸収係数の高い絶縁膜を有することで、コア領域からの漏れ光、又はコア領域以外での発光を取り除き、単一なレーザ光とするこtこができる。そのため、上記埋め込み膜を形成することで、リップルをなくすことができる。また、TiOの成膜方法としてはスパッタ法等が考えられる。
【0022】
効果2
本発明では、埋め込み膜を2層構造としているために、逆耐圧が高くなる。その理由は、窒化物半導体レーザダイオードを形成時に電極と窒化物半導体との間の絶縁が2層構造とすることで強くなるからである。
【0023】
また、リッジ形成時のエッチング深さは、活性層までエッチングしなければ、p側キャップ層までエッチングしてもよく、好ましくはp側ガイド層やp側クラッド層までエッチングすることとする。これは、窒化物半導体はエッチングにより形成したエッチング表面が劣化することが考えられるからである。このエッチングによる劣化の影響が活性層に及ばない範囲とすることが好ましいからである。
【0024】
以上より、本発明ではp側ガイド層までエッチングすれば、コア領域以外に電流が流れることなく電流狭窄が可能となる。その結果、リッジ形成後に露出面となるp側ガイド層上に埋め込み膜を2層構造で形成した窒化物半導体レーザダイオードであって5mW程度の低出力のみならず、30mW以上、好ましくは50mW程度の高出力時においてもリップルやキンクが発生することなく3000時間以上の連続発振を行なうことが可能なリッジ形状の窒化物半導体レーザダイオードを提供することができる。
【0025】
本発明に係る実施形態の半導体レーザダイオードにおける埋め込み膜の形成方法を以下に示す。まず、埋め込み膜を形成するために窒化物半導体レーザダイオードにリッジを形成する。図2(a)に示すように、リッジの最上面にレジスト、又はSiO等を保護マスクとして形成した後、スパッタ等によりレジスト上部やリッジの側壁部、p側窒化物半導体層の露出面上に第1の絶縁膜を形成する。次に、図2(b)に示すように、レジスト上部、及びリッジの側壁部に形成した第1の絶縁膜を熱硫酸やBHF(バッファードフッ酸)を用いてウェットエッチング等により除去する。ここで、リッジ両側の側壁部と第1の絶縁膜とは接触していない状態とすることが好ましい。その後、図2(c)に示すように、レジスト上部やリッジの側壁部、第1の絶縁膜上に第2の絶縁膜を形成する。さらに、図2(d)に示すように、リッジの上面に形成されているレジストやSiO、第2の絶縁膜とを除去し、リッジ最上面を露出させる。この露出面には後工程において、p側電極を形成する。
【0026】
ここで、TiOの成膜条件を以下に示す。成膜装置としては、スパッタ装置を用いる。原料にはTiターゲットを使用し、成膜温度を窒化物半導体にダメージを与えない温度である600℃以下である150℃とする。また、成膜温度が600℃より高ければ、成膜時に窒化物半導体にダメージを与える恐れがある。以上より、本発明における埋め込み膜は、100℃以上、好ましくは200℃以上500℃以下の範囲を成膜条件とする。埋め込み膜は2層構造とするため、組み合わせにより埋め込み膜の屈折率を2.0〜2.65と広範囲で形成することができる。そのため、窒化物半導体レーザダイオードの窒化物半導体層をGaN(屈折率=約2.3)だけでなく一般式InAlGa1−x−yN(0≦X<1、0≦Y<1、0≦X+Y<1)で示した場合にも、この組成式内での屈折率に対して屈折率差を維持することが可能であり、上記組成の窒化物半導体に対して安定した光閉じ込めができる。また、埋め込み膜の膜厚は第1の絶縁膜が100Å〜2500Å、第2の絶縁膜が100Å〜6000Åとする。
【0027】
また、埋め込み膜である第1の絶縁膜、第2の絶縁膜の成膜方法としては、スパッタ法、ECRスパッタ法等のスパッタリング法、又は電子ビーム蒸着法、イオンビーム蒸着法等の蒸着法、その他にマイクロ波プラズマCVD法やDCプラズマCVD法などのプラズマCVD法、熱フィラメントCVD法、EACVD法、アークイオンプレーティング法、電子励起式イオンプレーティング法を使用した装置を用いることができる。
【0028】
以下、本発明に係る実施の形態の半導体レーザダイオードの製造工程の一例をさらに詳細に説明するが、本発明は、これに限定されるものでない。
本発明における基板は、窒化物半導体層をエピタキシャル成長させることができる基板であればよく、基板の大きさや厚さ等は特に限定されない。この基板の具体例としては、C面、R面、及びA面のいずれかを主面とするサファイアやスピネルのような絶縁性基板、また炭化珪素(6H、4H、3C)、シリコン、ZnS、ZnO、GaAs、ダイヤモンド、及び窒化物半導体と格子接合する酸化物基板が挙げられる。
また、サファイアを基板として用いる場合、サファイア基板は、A面をオリフラとし、C面を成長面とする。その他、R面やA面でも成長面とすることができるが、好ましくはC軸配向の窒化物半導体層を成長させることである。この基板は、外周を面取り加工や裏面を研削加工したものであってもよい。
【0029】
次に、前記基板上に成長させる窒化物半導体層としては、窒化物半導体であり、一般式としてInAlGa1−x−yN(0≦X<1、0≦Y<1、0≦X+Y<1)で表される。また、窒化物半導体層を本発明では有機金属化学気相成長(MOCVD)法、やハライド気相エピタキシャル成長(HVPE)法、分子線エピタキシー(MBE)法等の気相成長法を用いて成長させる。
【0030】
まずは、前記基板上に低温で窒化物半導体AlGa1−xN(0≦X≦1)から成る下地層を成長させる。これにより、基板と窒化物半導体との格子定数差により生じる欠陥や割れを抑制することができる。ここで、低温とは300〜800℃の温度範囲である。さらに、第2の下地層としてAlGa1−xN(0≦X≦1)を有機金属化学気相成長法により成長させる場合、成長原料にTMG(トリメチルガリウム)、TMA(トリメチルアルミニウム)とアンモニアを使用して成長温度1150℃以下で1〜20μm程度成長させ、窒化物半導体の表面を平坦な鏡面とする。
【0031】
また、前記下地層上にELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)法によりAlGa1−xN(0≦X≦1)層を成長させてもよい。このELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)法とは窒化物半導体を横方向成長させることで貫通転位を曲げて収束させることにより転位を低減させるものである。異種基板上に窒化物半導体を成長させる場合、この基板と窒化物半導体との格子定数の違いから成長界面に応力が発生する。この応力が貫通転位等を発生させることとなり、貫通転位が窒化物半導体の結晶性を低下させてしまう。そこで、このELO法では縦方向に伸びる性質を有する貫通転位を横方向に曲げることで窒化物半導体の表面の貫通転位を低減させるものである。まず、下地層上に保護膜を成膜し、この保護膜に開口部を設ける。この保護膜の性質としては、保護膜上には窒化物半導体が成長しないものとする。さらに、保護膜の開口部には下地層が露出しており、この下地層を核として窒化物半導体を成長させるものである。核から成長した窒化物半導体は保護膜上で横方向成長する。この横方向成長した窒化物半導体と同様に貫通転位も横方向に伸びる。この横方向に伸びた貫通転位は保護膜上で接合し、収束する。また、開口部から縦方向に伸びる貫通転位も存在する。以上より、保護膜開口部から保護膜上に成長させた窒化物半導体は、保護膜の開口部上、及び保護膜上に横方向成長した同士の接合部以外の領域には低転位領域を形成することができる。
【0032】
さらに、本発明者らは図4や図6に示す窒化物半導体基板上に形成した窒化物半導体レーザダイオードを提供することができる。この図4に示す窒化物半導体基板は、基板上に横方向成長させた窒化物半導体をT字形状とし、さらに窒化物半導体を再成長させるものである。この窒化物半導体基板は、T字柱上には転位が伸びるものの、T字両翼上部、及び隣り合うT字両翼の開口部上には転位が大幅に低減された結晶性の良好な窒化物半導体基板を得ることができる。この窒化物半導体基板は低欠陥領域がウェハー上に広範囲で存在するため、この上に形成した窒化物半導体レーザーダイオードは寿命特性の良好なものが期待できる。また、図6に示すように、基板上に窒化物半導体を成長後、部分的にエッチングを行い、さらに窒化物半導体を再成長させる方法により窒化物半導体基板を形成することができる。このエッチング深さは特に限定しないが、基板を露出させず、底面には空洞を有するものであればよい。基板を露出すれば、基板と窒化物半導体との成長界面を露出することになる。この成長界面は、基板と窒化物半導体との格子定数が違うため窒化物半導体の結晶性がよくない。この結晶性がよくない窒化物半導体を露出すれば、基板上の窒化物半導体へのダメージが大きく、上部の窒化物半導体まで転位がより多く伸びてしまう。そのため、基板は露出させない方が好ましい。しかしながら、エッチング深さが浅ければ、凹部の底面からの窒化物半導体の再成長が起こり、転位が伸びてしまう。そのため、基板を露出させず、かつ空洞を有する図6に示す窒化物半導体基板が好ましい。
【0033】
また、窒化物半導体に生じる貫通転位を減少させるには、前記ELO法の他に、HVPE法により厚膜成長させ、この厚膜成長時に貫通転位を収束させることで転位を 低減させる方法が挙げられる。
【0034】
このHVPE法で窒化物半導体を成長させる場合、例えばGaNであれば、HClガスとGa金属が反応することでGaClやGaClを形成し、さらにこのGa塩化物がアンモニアと反応することでGaNを基板上に堆積させるものである。HVPE法による窒化物半導体の成長時に成長速度を変化させ、2段階成長させることで結晶欠陥を大幅に低減させることができる。これにより、保護膜を用いた横方向成長をする必要がなく、効率良く窒化物半導体基板を得ることができる。この2段階成長基板を図5に示す。
【0035】
また、HVPE法により窒化物半導体と異なる異種基板上に窒化物半導体を厚膜成長させた場合には、この厚膜の窒化物半導体基板から異種基板を除去することにより窒化物半導体のみから成る単体基板を形成することができる。厚膜の窒化物半導体基板から異種基板を除去する方法としては、異種基板を研磨により除去する方法、その他には、異種基板と窒化物半導体との界面にエキシマレーザ照射することにより異種基板を除去する方法が挙げられる。そのため、サファイア基板のような絶縁体基板上に成長させた窒化物半導体基板であってもサファイア基板除去することで窒化物半導体から成る単体基板とし、裏面電極構造とすることが可能となる。
ここまでの工程で得られた基板上に窒化物半導体を成長させたもの、ELO法で成長させたもの、及びHVPE法により成長させたものを含めて以下、窒化物半導体基板という。
【0036】
次に、前記窒化物半導体基板上に窒化物半導体素子を形成する。前記窒化物半導体基板上にn側コンタクト層3としてn型不純物をドープしたAlGa1−xN(0≦X<1)を5μm程度で成長させる。このn側コンタクト層上にクラック防止層(図示されていない)としてn型不純物ドープInGa1−xN(0≦X<1)を0.2μm程度で成長させる。なお、このクラック防止層は省略可能である。続いて、クラック防止層上にn側クラッド層4を成長させる。このn側クラッド層としては、超格子構造であるのが好ましく、アンドープAlGa1−xN(0≦X<1)よりなる層と、n型不純物をドープしたn型GaNよりなる層とを交互に積層して総膜厚1.2μm程度の超格子構造よりなるn側クラッド層を成長させる。続いて、アンドープGaNよりなるn側光ガイド層5を0.1μm程度の膜厚で成長させる。このn側光ガイド層は、n型不純物をドープしてもよい。
【0037】
次に、障壁層にノンドープInGa1−xN(0≦X≦1)と井戸層にn型不純物ドープInGa1−xN(0≦X≦1)とからなる単一量子井戸構造、又は多重量子井戸構造である活性層6を成長させる。多重量子井戸構造であれば、障壁層と井戸層とを同一温度で2〜5回程度で交互に積層し、最後に障壁層とし総膜厚を200〜500Åとする。
【0038】
次に、活性層上にp側キャップ層(図示されていない)としてp型不純物をドープしたp型AlGa1−xN(0≦X<1)を成長させる。このp側キャップ層は膜厚を300Å程度で成長させる。続いて、アンドープGaNよりなるp側光ガイド層を0.1μm程度の膜厚で成長させる。このp側光ガイド層7は、p型不純物をドープしてもよい。次に、p側光ガイド層上にp側クラッド層8を成長させる。このp側クラッド層としては、n側クラッド層と同様に超格子構造であるのが好ましく、アンドープAlGa1−xN(0≦X<1)よりなる層と、p型不純物をドープしたp型GaNよりなる層とを交互に積層して総膜厚0.6μm程度の超格子構造よりなるp側クラッド層を成長させる。最後に、p側クラッド層の上に、p型不純物をドープしたAlGa1−xN(0≦X≦1)からなるp側コンタクト層9を成長させる。
【0039】
ここで、不純物濃度としては、特に限定する必要はないが、好ましくはn型不純物、及びp型不純物は1×1018/cm〜1×1020/cmとする。また、前記n型不純物としてはSi、Ge、Sn、S、O、Ti、Zr、Cd等が挙げられ、p型不純物としてはBe、Zn、Mn、Mg、Ca、Sr等が挙げられる。
【0040】
次に、前記窒化物半導体基板上に窒化物半導体素子を形成後、p電極とn電極とを同一面側に形成する場合には、n電極を形成するためにn側コンタクト層をエッチングにより露出させる。次に、ストライプ状の光導波路領域を形成するためにエッチングすることによりリッジを形成する。ここで、エッチングはリッジを形成するには異方性エッチングであるのが好ましく、例えばRIE(反応性イオンエッチング)装置等を使用する。ここで形成されるリッジ幅としては本発明においては後工程で形成する埋め込み層や出力にもよるが、リッジ幅は1.0〜3.0μmと広くすることができる。また、エッチング深さとしては窒化物半導体素子内の少なくともp側クラッド層までエッチングするものとする。さらに、リッジ形状は、順メサ型、逆メサ型、垂直型から成り、これらの形状であれば横方向の光閉じ込めができ好ましい。
【0041】
リッジを形成後、露出したリッジの側壁部からリッジの両側表面の窒化物半導体層上に絶縁体である埋め込み膜を2層構造でスパッタ法等により形成する。埋め込み膜の成膜方法、及び成膜条件は前記に示しており、ここでは省略する。
【0042】
この埋め込み膜の効果としては第1の絶縁膜11は光吸収である。また、第2の絶縁膜12の効果としては、電流狭窄、及び横方向の光閉じ込めである。横方向の光閉じ込めをするためには窒化物半導体層との間に屈折率差を設ける必要があり、またコア領域内に光を閉じ込めるには窒化物半導体よりも屈折率の小さい材料を埋め込み層に用いる。また、縦方向の光閉じ込めは屈折率の高いコア領域と、屈折率の低いp、n側クラッド層とで屈折率差をつけることでコア内に光を閉じ込めている。
【0043】
その後、p側電極13を形成するためにリッジ最上面に成膜された埋め込み層をリフトオフ等により除去する。次に、除去後、露出したp側コンタクト層の表面にNi/Auよりなるp側電極をストライプ状に形成し、p側電極を形成後、n側コンタクト層の表面にTi/Alよりなるn側電極10をリッジストライプと平行に形成する。次に取り出し電極であるパッド電極14をp電極、及びn電極上に形成する。
【0044】
また、p側電極をNi/Au/RhOとし、p側パッド電極をRhO/Pt/Auとする組み合わせとすることもできる。パッド電極を形成する前に、SiO、TiO等から成る誘電体多層膜を共振器面(光出射端面側)に形成してもよい。この誘電体多層膜を有することにより高出力時における光出射端面の端面劣化を抑制することができる。
【0045】
さらに、ストライプ状の電極に垂直な方向で、基板側からバー状にヘキカイし、ヘキカイ面((11−00)面、六方晶系の側面に相当する面=M面)に共振器を形成する。この共振器面に誘電体多層膜を形成し、電極に平行な方向でバーを切断して窒化物半導体レーザ素子とする。この窒化物半導体レーザ素子をヒートシンクに設置し、ワイヤーボンディングし、キャップで封止することで窒化物半導体レーザダイオードとする。
【0046】
以上により得られた窒化物半導体レーザダイオードを用いて室温でレーザ発振を試みたところ、発振波長400〜420nm、閾値電流密度2.9kA/cmにおいて連続発振を示し、5mW程度の低出力時だけでなく30mW以上、好ましくは50mW程度の光出力時でもリップルが発生せず、3000時間以上の寿命特性を示す。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
[実施例1]
まず、基板1としてC面を主面、オリフラ面をA面とする2インチφで厚さ2mmのサファイア基板を用い、MOCVD装置にセットし、温度1050℃で10分間のサーマルクリーニングを行い水分や表面の付着物を除去した。
【0048】
次に、温度を510℃にして、キャリアガスに水素、原料ガスにアンモニアとTMG(トリメチルガリウム)を用い、GaNより成る下地層を200オングストロームの膜厚で成長させる。
【0049】
その後、第2の下地層であるGaNを成長温度1050℃、膜厚2.5μmで成長する。この第2の下地層は、上記下地層と同様にキャリアガスには水素、原料ガスにはアンモニアを用いて成長させる。
【0050】
第2の下地層を成長後、その上にSiOよりなる保護膜を膜厚0.5μmで成膜する。さらに、この保護膜に開口部を有するストライプパターンを形成する。この保護膜のストライプパターンは基板のオリフラ面に対して垂直方向に形成される。また、保護膜のストライプ幅は14μm、開口部幅は6μmである。この開口部は下地層であるGaNが露出している。次に、この開口部より露出したGaNを核としてGaNを横方向に成長させ、このGaN同士が接合する前に成長を止める。この時のGaNの断面形状としてはT字状となる。その後、保護膜を除去し、T字状のGaNの両翼側面、及びT字上面よりGaNを再成長させることで、膜厚15μmのGaN層2を形成する。このGaN基板は、平坦でミラー形状を有する窒化物半導体基板であり、保護膜上の横方向成長させた領域は単位面積あたりの貫通転位が1×10個/cm以下となる低欠陥である窒化物半導体基板とすることができる。
【0051】
次に、前記窒化物半導体基板上に窒化物半導体素子を形成する。
[アンドープn型コンタクト層(図示されていない)]
前記窒化物半導体基板を形成したウェーハをMOCVD装置の反応容器内にセットし、1050℃で窒化物半導体に、TMG(トリメチルガリウム)、TMA(トリメチルアルミニウム)、アンモニアを用い、Al0.05Ga0.95Nよりなるアンドープn型コンタクト層を1μmの膜厚で成長させる。この層は、GaNからなる窒化物半導体基板とn型コンタクト層をはじめとする半導体素子との間で、緩衝層としての機能を有する。
【0052】
[n型コンタクト層3]
次にアンドープn型コンタクト層上にTMG、TMA、アンモニア、不純物ガスとしてシランガスを用い、1050℃でSiドープしたAl0.05Ga0.95Nよりなるn型コンタクト層3を4μmの膜厚で成長させる。
【0053】
[クラック防止層]
次に、TMG、TMI(トリメチルインジウム)、アンモニアを用い、温度を900℃にしてIn0.07Ga0.93Nよりなるクラック防止層を0.15μmの膜厚で成長させる。なお、このクラック防止層は省略可能である。
【0054】
[n型クラッド層4]
次に、温度を1050℃にして、原料ガスにTMA、TMG及びアンモニアを用い、アンドープのAl0.05Ga0.95NよりなるA層を25Åの膜厚で成長させ、続いて、TMAを止め、不純物ガスとしてシランガスを用い、Siを5×1018/cmドープしたGaNよりなるB層を25Åの膜厚で成長させる。この操作を200回繰り返しA層とB層との積層構造とし、総膜厚1μmの多層膜(超格子構造)よりなるn型クラッド層を成長させる。
【0055】
[n型光ガイド層5]
次に、シランガスを止め、同様の温度で、原料ガスにTMG及びアンモニアを用い、アンドープのGaNよりなるn型ガイド層5を0.15μmの膜厚で成長させる。このn型光ガイド層5は、n型不純物をドープしてもよい。
【0056】
[活性層6]
次に、温度を900℃にし、原料ガスにTMI(トリメチルインジウム)、TMG及びアンモニアを用い、不純物ガスとしてシランガスを用い、Siを5×1018/cmドープしたIn0.05Ga0.95Nよりなる障壁層を140Åの膜厚で成長させ、シランガスを止め、アンドープのIn0.13Ga0.87Nよりなる井戸層を25Åの膜厚で成長させることにより、障壁層/井戸層/障壁層/井戸層の順に積層し、最後に障壁層として、TMI、TMG及びアンモニアを用い、アンドープのIn0.05Ga0.95Nを成長させる。活性層6は、総膜厚500Åの多重量子井戸構造(MQW)となる。
【0057】
[p型キャップ層(図示されていない)]
次に、活性層と同じ温度で、原料ガスにTMA、TMG及びアンモニアを用い、不純物ガスとしてCpMg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、Mgを1×1019/cmドープしたAl0.3Ga0.7Nよりなるp型電子閉じ込め層を100Åの膜厚で成長させる。
【0058】
[p型光ガイド層7]
次に、CpMg、TMAを止め、温度を1050℃にして、原料ガスにTMG及びアンモニアを用い、アンドープのGaNよりなるp型ガイド層7を0.15μmの膜厚で成長させる。
【0059】
[p型クラッド層8]
次に、1050℃でアンドープAl0.05Ga0.95NよりなるA層を25Åの膜厚で成長させ、続いてTMAを止め、CpMgを用いて、Mgを1×1020/cmドープしたGaNよりなるB層を25Åの膜厚で成長させ、それを90回繰り返して総膜厚0.45μmの超格子層よりなるp型クラッド層8を成長させる。p型クラッド層は、GaNとAlGaNとを積層した超格子構造とする。p型クラッド層8を超格子構造とすることによって、クラッド層全体のAl混晶比を上げることができるので、クラッド層自体の屈折率が小さくなり、さらにバンドギャップエネルギーが大きくなるので、しきい値を低下させる上で非常に有効である。
【0060】
[p型コンタクト層9]
最後に、1050℃で、p型クラッド層109の上に、TMG、アンモニア、CpMgを用い、Mgを1×1020/cmドープしたp型GaNよりなるp型コンタクト層9を150Åの膜厚で成長させる。
反応終了後、反応容器内において、ウェハを窒素雰囲気中、700℃でアニーリングを行い、p型層をさらに低抵抗化する。
【0061】
アニーリング後、窒化物半導体を積層させたウェハを反応容器から取り出し、最上層のp型コンタクト層の表面にSiOよりなる保護膜を形成して、RIE(反応性イオンエッチング)法を用いClガスによりエッチングし、n電極を形成すべきn型コンタクト層3の表面を露出させる。
【0062】
次に、レジストをマスクとして形成し、RIEを用いClガス、及びSiClガスとによりエッチングすることにより、ストライプ状の導波路領域としてリッジストライプをリッジのストライプ幅を1.8μmで形成する。このエッチングはp側ガイド層までエッチングして、ストライプ状の光導波路領域となるリッジを形成する。その後、スパッタ装置を用いて第1の絶縁膜であるTiOを膜厚500Åで形成する。その後、リッジ側壁部とレジスト上部の第1の絶縁膜を除去し、第2の絶縁膜であるZrOを図2に示すように膜厚550Åで形成する。その後、剥離液により図2(d)に示すようにリッジ上部を露出させる。
【0063】
次に前記リッジ最上面の露出したp型コンタクト層上にp側電極をNi/Auで100μmのストライプ幅で形成し、また、エッチングにより露出したn型コンタクト層上にはTi/Alよりなるn型電極を形成する。このp側電極は、リッジ上にストライプ形成されており、同じくストライプ形成されているn側電極とは平行な方向で形成する。
【0064】
次に、光反射端面にSiOとTiOよりなる誘電体多層膜を設けた後、p側電極、及びn側電極上にNi−Ti−Au(1000Å−1000Å−8000Å)よりなるパット電極をそれぞれ形成する。
【0065】
以上のようにして得られた窒化物半導体レーザ素子をヒートシンクに設置し、それぞれのパッド電極にワイヤーボンディングをすることで窒化物半導体レーザダイオードとする。本実施例におけるFFP−Xを図7に示す。また、埋め込み膜をZrOのみとした他は実施例1と同様にして形成した窒化物半導体レーザーダイオードにおけるFFP−Xを図8にしめす。以上より、この窒化物半導体レーザダイオードを用いて、室温においてしきい値2.8kA/cm、5〜30mWの出力においてリップルが発生せず、3000時間以上の寿命特性を有する発振波長405nmの連続発振の窒化物半導体レーザダイオードを得られた。
【0066】
[実施例2]
実施例1と同様にサファイア基板1上に下地層2を成長させた後、ハイドライド気相エピタキシャル成長装置にセットし、Gaメタルを石英ボートに用意し、ハロゲンガスにHClガスを用いることによりGaClを生成し、次に、Nガスであるアンモニアガスと反応させ、アンドープGaNよりなる窒化物半導体2aを成長させる。窒化物半導体2aの成長温度としては1000℃であり、成長速度を1mm/hourとして、膜厚100μmで成長させる。次に、窒化物半導体2a上に、窒化物半導体2bをハイドライド気相エピタキシャル成長法装置において成長させる。この時の成長条件としては、成長温度を窒化物半導体2aと同温とし、窒化物半導体2bの成長速度を50μm/hourで膜厚は50μmで成長させた。ここで得られた窒化物半導体基板は表面は平坦かつ鏡面となり、CL観察によると貫通転位密度は約1×10cm−2程度であり、低欠陥である図5に示す窒化物半導体基板を提供することができる。
【0067】
以上により得られた窒化物半導体基板を用いる以外は実施例1と同様に窒化物半導体レーザダイオードを形成し、実施例1と同条件で埋め込み膜を第1の絶縁膜と第2の絶縁膜との2層構造で形成する。ここで得られた窒化物半導体レーザダイオードは実施例1と同様にリップルが発生しない連続発振が3000時間以上の寿命特性が期待できる。
【0068】
[実施例3]
基板1にはC面を主面、オリフラ面をA面とする2インチφで厚さ2mmのサファイア基板を用い、MOCVD装置にセットし、温度1050℃で10分間のサーマルクリーニングを行い水分や表面の付着物を除去する。 次に、温度を510℃にして、キャリアガスに水素、原料ガスにアンモニアとTMG(トリメチルガリウム)を用い、GaNより成る下地層を200オングストロームの膜厚で成長させる。
【0069】
その後、窒化物半導体2aとしてGaNを成長温度1050℃、膜厚10μmで成長する。この窒化物半導体2aは、上記下地層と同様にキャリアガスには水素、原料ガスにはアンモニアを用いて成長させる。
【0070】
次に、窒化物半導体2aを深さ8.5μmの溝を形成する。この溝の幅は14μmであり、14:6の比で溝を等間隔で形成している。さらに窒化物半導体2bを窒化物半導体2aの側面、及び上面より成長させて、窒化物半導体のトータル膜厚が15μmである欠陥を低減させた窒化物半導体基板とする。この窒化物半導体2bの成長条件は窒化物半導体2aと同様とする。
【0071】
以上により得られた窒化物半導体基板を用いる以外は実施例1と同様に窒化物半導体レーザダイオードを形成し、実施例1と同条件で埋め込み膜を第1の絶縁膜と第2の絶縁膜との2層構造で形成する。ここで得られた窒化物半導体レーザダイオードは実施例1と同様の効果が期待できる。
【0072】
【発明の効果】
以上に示すように、本発明における埋め込み膜を窒化物半導体レーザダイオードに形成すれば、低出力、高出力に関係なくリップルが発生せず、寿命特性の安定な窒化物半導体レーザダイオードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を説明する模式断面図である。
【図2】本発明の一実施形態を説明する工程図である。
【図3】FFP−Xを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態を説明する窒化物半導体基板の模式断面図である。
【図5】本発明の一実施形態を説明する窒化物半導体基板の模式断面図である。
【図6】本発明の一実施形態を説明する窒化物半導体基板の模式断面図である。
【図7】本発明の一実施例におけるFFP−Xを示す図である。
【図8】比較例におけるFFP−Xを示す図である。
【符号の簡単な説明】
1・・・基板
2・・・下地層
3・・・n側コンタクト層
4・・・n側クラッド層
5・・・n側光ガイド層
6・・・活性層
7・・・p側光ガイド層
8・・・p側クラッド層
9・・・p側コンタクト層
10・・・n側電極
11・・・埋め込み膜(第1の絶縁膜)
12・・・埋め込み膜(第2の絶縁膜)
13・・・p側電極
14・・・パッド電極

Claims (6)

  1. p側窒化物半導体層上にリッジを有し、そのリッジ両側に埋め込み膜が形成された窒化物半導体レーザダイオードにおいて、
    前記埋め込み膜は吸収係数の異なる第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とを順に形成した2層構造からなり、前記第1の絶縁膜は前記第2の絶縁膜よりも吸収係数が高いものであって、
    前記第1の絶縁膜は、前記リッジの側壁部を除いた領域であって、p側窒化物半導体層の露出面に形成されており、
    前記第2の絶縁膜は、前記第1の絶縁膜上及びリッジの側壁部に形成されていることを特徴とする窒化物半導体レーザダイオード。
  2. 前記第1の絶縁膜は、前記第2の絶縁膜よりも吸収係数が高いことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体レーザダイオード。
  3. 前記窒化物半導体レーザダイオードは、基板上にn側窒化物半導体層、活性層、p側窒化物半導体層とを形成したものであり、このp側窒化物半導体層は活性層上にp側キャップ層、p側ガイド層、p側クラッド層、p側コンタクト層とを有するものであって、前記窒化物半導体レーザダイオードは少なくともp側クラッド層までエッチングすることによりリッジを形成していることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体レーザダイオード。
  4. 前記窒化物半導体レーザダイオードにおいて、前記第1の絶縁膜は光吸収機能を有し、前記第2の絶縁膜は電流狭窄及び横方向の光閉じ込め機能を有することを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体レーザダイオード。
  5. p側窒化物半導体層上にリッジを有し、そのリッジの両側に埋め込み膜が形成された窒化物半導体レーザダイオードの製造方法において、
    前記埋め込み膜は吸収係数の異なる第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とを順に形成した2層構造からなり、前記第1の絶縁膜は前記第2の絶縁膜よりも吸収係数が高いものであって、
    前記リッジ形成後にリッジ上部、及びリッジの側壁部を除いた領域であり、p側窒化物半導体層の露出面に第1の絶縁膜を形成する工程と、
    その後、前記第1の絶縁膜上、及びリッジの側壁部に第2の絶縁膜を形成する工程とを具備することにより前記埋め込み膜を形成することを特徴とする窒化物半導体レーザダイオードの製造方法。
  6. 前記窒化物半導体レーザダイオードの製造方法であって、前記第1の絶縁膜の形成にはウェットエッチング法を用いることを特徴とする請求項5に記載の窒化物半導体レーザダイオードの製造方法。
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