JP4302665B2 - 燃料噴射制御方法、燃料噴射弁及び燃料噴射制御装置 - Google Patents

燃料噴射制御方法、燃料噴射弁及び燃料噴射制御装置 Download PDF

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本発明は、アクチュエータの変位に応じてノズルニードルのリフト量を連続的に調整可能な燃料噴射弁について、前記アクチュエータの操作態様を調整する燃料噴射制御方法に関する。また、本発明は、アクチュエータの変位に応じてノズルニードルのリフト量を連続的に調整可能な燃料噴射弁に関する。更に、本発明は、アクチュエータの変位に応じてノズルニードルのリフト量を連続的に調整可能な燃料噴射弁について、前記アクチュエータを操作することで燃料噴射率の制御を行う燃料噴射制御装置に関する。
燃料噴射弁により噴射される燃料量を、同燃料噴射弁の備えるアクチュエータを駆動する駆動パルス幅により設定することは周知である。ただし、各燃料噴射弁は、その製造時に許容される誤差の範囲で個体差を有する。このため、同一の駆動パルスにより各燃料噴射弁のアクチュエータを駆動したとしても、これら各燃料噴射弁から噴射される燃料量の間には、ばらつきが生じる。
そこで従来は、例えば下記特許文献1に見られるように、燃料噴射弁による燃料の噴射量を実際に測定し、目標とする噴射量と測定された噴射量との差から駆動パルスのパルス幅の補正値を設定することも提案されている。こうした駆動パルスのパルス幅の補正によれば、燃料噴射弁の開弁時期及び閉弁時期を制御することで燃料噴射量を制御する燃料噴射弁については、その個体差に起因した燃料噴射量のばらつきを適切に排除することができる。
ところで、近年、下記特許文献2に見られるように、アクチュエータの変位に応じてノズルニードルのリフト量を連続的に調整可能な燃料噴射弁が提案されている。この燃料噴射弁によれば、燃料噴射途中におけるノズルニードルのリフト量を制御することができるため、燃料噴射量のみならず、燃料噴射率をも制御することができる。ただし、こうした燃料噴射弁にあっては、アクチュエータを所定の操作量に操作したとしても、各燃料噴射弁の個体差に起因して実際のリフト量がばらつくこととなる。このため、こうした燃料噴射弁は燃料噴射率を制御することが可能とはいえ、その固体差に起因して、燃料噴射量のみならず燃料噴射率波形にもばらつきが生じることとなる。
そして、こうした燃料噴射弁の固体差を駆動パルスのパルス幅の補正により補償することを試みると、所望の噴射率波形を実現するリフトパターンについての途中のリフト状態の補正をすることができず、上記所望の噴射率波形とする補正をすることができない。なお、上記燃料噴射弁の固体差等による燃料噴射量のばらつきを補償する技術としては、特許文献1に記載のものの他、例えば特許文献3に記載されるものもある。
特開2002−201992号公報 米国特許第6520423号明細書 特開2003−120384号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、アクチュエータの変位に応じてノズルニードルのリフト量を連続的に調整可能な燃料噴射弁を用いる際、その固体差や経時変化等にかかわらず、燃料噴射率の制御を好適に行なうことにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明では、前記アクチュエータの操作に際して計測される燃料噴射態様に基づき、前記アクチュエータの操作量に対する前記ノズルニードルの変位の関係についての当該燃料噴射弁の固体差及び経時変化の少なくとも一方に起因した固有の情報を取得し、該取得される情報に基づき、前記燃料噴射弁による実際の噴射率波形を目標とする噴射率波形に近似させるために前記アクチュエータの操作量を調整することを特徴とする。
上記燃料噴射弁によれば、アクチュエータの操作量やその変化速度を調整することで、ノズルニードルのリフト量やその変化速度を調整することができ、ひいては、燃料噴射率波形を目標とする燃料噴射率波形に制御することができる。ただし、アクチュエータの操作に対するノズルニードルの変位の関係には、用いる燃料噴射弁の固体差や経時変化が反映される。そして上記関係は、燃料噴射弁から燃料を噴射させたときの燃料噴射量や燃料噴射率等の燃料噴射態様に反映されることとなる。このため、個々の燃料噴射弁の燃料噴射態様から、その燃料噴射弁の固体差や経時変化を検出することができる。上記方法では、この性質を用いて、上記燃料噴射態様の計測に基づき、上記関係についての固体差や経時変化に起因した固有の情報を取得することができる。そして、上記固有の情報を用いることで、これら固有の情報を用いずに同一機種の燃料噴射弁で共通の操作量を設定する場合に生じる燃料噴射率波形のばらつきを抑制する操作量の調整が可能となる。
ちなみに、この操作量の調整は、1回の燃料噴射におけるアクチュエータの操作期間内(望ましくは、期間の両端以外のタイミング)での操作量の大小の調整を含んで行なわれることが望ましい。
請求項2記載の発明では、請求項1において、前記目標とする噴射率波形は、噴射率ゼロにおけるリフト量とフルリフト量との間の中間のリフト量に対応した操作量で一旦前記操作量が固定されることで実現されるものであることを特徴とする。
上記方法では、中間のリフト量に対応する操作量で一旦操作量が固定される。こうした制御に際し、燃料噴射弁の駆動パルスのパルス幅を調整することで固体差や経時変化に起因したリフト量のばらつきを補償することを仮に試みる場合、上記操作量が固定されることで実現される噴射率については、そのばらつきを補償することができない。この点、上記方法では、例えば上記固定される操作量の大小の調整を通じて、噴射率のばらつきを補償することができる。
請求項3記載の発明では、請求項1又は2において、前記目標とする噴射率波形は、1回の燃料噴射においてリフト量を多段階に設定するリフト波形により実現されるものであることを特徴とする。
上記方法では、燃料噴射弁の経時変化や固体差により、多段階の各リフト段と対応する各リフト量にばらつきが生じる。そして、このばらつきは、燃料噴射弁の駆動パルスのパルス幅を調整することでは、補償することができない。これに対し、上記方法では、例えば1回の燃料噴射におけるアクチュエータの操作期間内(望ましくは、期間の両端以外のタイミング)での操作量の大小の調整を通じて、各リフト量のばらつきを補償することができる。
請求項4記載の発明では、請求項3において、前記アクチュエータの操作量の調整を、前記多段階の各々のリフト段と対応する操作量毎に行うことを特徴とする。
上記方法では、多段階の各々のリフト段と対応する操作量のそれぞれが、上記固有の情報に基づき調整されるために、多段階の各リフト段に対応した噴射率のばらつきを抑制することができる。このため、実際の噴射率波形を目標とする噴射率波形に好適に近似させることができる。
請求項5記載の発明では、請求項4において、前記多段階の各々のリフト段と対応する操作量毎の調整を、前記目標とする噴射率波形を実現するための基準となる操作量について、その各リフト段における値を同一の調整量にて調整することで行うことを特徴とする。
固体差や経時変化に起因してリフト量が基準のリフト量からばらつく際、実際のリフト量と基準のリフト量との大小関係は、各リフト段において同一の関係となる傾向にある。すなわち、例えばあるリフト段において基準のリフト量より実際のリフト量が小さかったなら、別のリフト段においても基準のリフト量より実際のリフト量の方が小さくなる傾向にある。
この点、上記方法によれば、上記傾向に鑑み、各リフト段における実際のリフト量のばらつきを簡易且つ好適に抑制することができる。
請求項6記載の発明では、請求項4において、前記多段階の各々のリフト段と対応する操作量毎の調整を、前記目標とする噴射率波形を実現するための基準となる操作量について、その各リフト段における値を各々独立に定められた調整量にて調整することで行うことを特徴とする。
上記方法によれば、各々のリフト段毎に各別に調整量が設定されるために、各リフト段における実際のリフト量のばらつきを好適に抑制することができる。なお、この方法は、実際のリフト量(噴射率)の基準に対するばらつきと操作量との関係が非線形性を有する場合等において特に有効である。
請求項7記載の発明では、請求項5又は6において、前記調整量を、燃料噴射期間及び燃料噴射量のいずれかについての複数の値のそれぞれにおいて各別に設定することを特徴とする。
上記方法によれば、アクチュエータからの動力が、アクチュエータからノズルニードルまでの間の動力伝達系を介して伝達される際の動力伝達系内での力のバランスが、燃料噴射期間(燃料噴射量)に依存して変化することに鑑み、各噴射期間(噴射量)に見合った適切な調整量を設定することができる。
請求項8記載の発明では、請求項7において、前記調整量の設定は、前記燃料噴射弁がエンジンシステムに搭載される以前に、前記いずれかについてのいくつかの値のそれぞれにおける前記燃料噴射態様の計測に基づき前記いずれかと前記調整量との関係を定める演算式を作成する処理と、前記燃料噴射弁が前記システムに搭載された後、前記演算式に都度の前記いずれかの値を代入することで前記調整量を設定する処理とを有して行なわれることを特徴とする。
上記方法では、燃料噴射期間(噴射量)と調整量との関係を演算式にて精度良く近似できることに鑑み、燃料噴射弁のエンジンシステムへの搭載後における調整量の設定に際して上記演算式を用いることで、エンジンシステムの制御系に記憶する記憶データ量を削減することができる。
請求項9記載の発明では、請求項5〜8のいずれかにおいて、前記燃料噴射弁は、高圧状態で燃料を蓄える蓄圧室の燃料を噴射するものであり、前記調整量を、前記蓄圧室内の燃圧についての複数の値のそれぞれにおいて各別に設定することを特徴とする。
上記方法によれば、アクチュエータからの動力が、アクチュエータからノズルニードルまでの間の動力伝達系を介して伝達される際の動力伝達系内での力のバランスが、燃圧に依存して変化することに鑑み、各燃圧に見合った適切な調整量を設定することができる。
請求項10記載の発明では、請求項9において、前記調整量の設定は、前記燃料噴射弁がエンジンシステムに搭載される以前に、前記燃圧についてのいくつかの値のそれぞれにおける前記燃料噴射態様の計測に基づき燃圧と前記調整量との関係を定める演算式を作成する処理と、前記燃料噴射弁が前記システムに搭載された後、該演算式に都度の燃圧を代入することで前記調整量を設定する処理とを有して行なわれることを特徴とする。
上記方法では、燃圧と調整量との関係を演算式にて精度良く近似できることに鑑み、燃料噴射弁のエンジンシステムへの搭載後における調整量の設定に際して上記演算式を用いることで、エンジンシステムの制御系に記憶する記憶データ量を削減することができる。
請求項11記載の発明では、請求項1〜10のいずれかにおいて、前記燃料噴射弁が実際にエンジンシステムに搭載される以前に前記燃料噴射態様の計測を行なうことで、前記固体差に起因した固有の情報を取得することを特徴とする。
上記方法によれば、燃料噴射弁が実際にエンジンシステムに搭載される以前に上記計測を行なうことで、内燃機関の稼動初期から燃料噴射弁による燃料の噴射率を良好とすることができる。
請求項12記載の発明では、請求項1〜11のいずれかにおいて、前記燃料噴射弁がエンジンシステムに搭載された後、内燃機関の出力軸の回転状態を目標とする回転状態にフィードバック制御するために前記アクチュエータを操作する処理と、前記目標とする回転状態とするための基準となる操作量と前記フィードバック制御における操作量との差を検出する処理とを有して前記固有の情報を取得することを特徴とする。
上記方法では、燃料噴射弁がエンジンシステムに搭載された後、その回転状態が、目標とする回転状態にフィードバック制御される。このフィードバック制御におけるアクチュエータの操作量には、燃料噴射弁の固体差や経時変化の影響が及ぼされることとなる。すなわち例えば、固体差や経時変化に起因してリフト量を大きくするための操作の割に実際のリフト量が小さくなる場合には、フィードバック制御によってリフト量を大きくする操作が行なわれる程度がより大きくなる。このため、上記目標とする回転状態とするための基準となる操作量と上記フィードバック制御における操作量との差は、基準となる燃料噴射弁の噴射特性に対する当該燃料噴射弁の噴射特性の固体差や経時変化に起因したばらつきを定量化したものとなっている。
請求項13記載の発明では、請求項1〜12のいずれかにおいて、前記アクチュエータがピエゾアクチュエータであることを特徴とする。
上記方法では、ピエゾアクチュエータを用いることで、アクチュエータに投入する駆動制御エネルギに応じてアクチュエータの伸長量を制御することが可能となる。
請求項14記載の発明では、請求項13において、前記操作量が、前記ピエゾアクチュエータの駆動制御エネルギであることを特徴とする。
上記方法では、駆動制御エネルギを用いることで、ピエゾアクチュエータの伸長量を制御することができる。このため、アクチュエータの伸長量に応じてノズルニードルのリフト量が決定される燃料噴射弁においては、ノズルニードルのリフト量を簡易に制御することができる。
なお、駆動制御エネルギとしては、例えばピエゾアクチュエータの電圧、電流の時間積分値、電流と電圧との積の時間積分値等とすることが望ましい。また、これらをパラメータとする関数としてもよい。
請求項15記載の発明では、請求項13又は14において、前記操作量の調整は、基準となる操作量に対する補正として行なわれるものであり、前記リフト量の増加制御は、前記ピエゾアクチュエータに対する充電プロファイルを、前記基準となる操作量のものと前記補正のなされた操作量のものとで同一としつつ行うものであることを特徴とする。
上記方法では、操作量を補正したものとしないものとで、また、補正したもの同士の間で、充電プロファイルが同一となる。このため、リフト波形におけるリフト量の増加部分(噴射率波形における噴射率の増加部分)を、操作量を補正したものとしないものとで、また、補正したもの同士の間で、互いに同一とすることができる。
請求項16記載の発明では、請求項13〜15のいずれかにおいて、前記操作量の調整は、基準となる操作量に対する補正として行なわれるものであり、前記リフト量の減少制御は、前記ピエゾアクチュエータに対する放電プロファイルを、前記基準となる操作量のものと前記補正のなされた操作量のものとで同一としつつ行うものであることを特徴とする。
上記方法では、操作量を補正したものとしないものとで、また、補正したもの同士の間で、放電プロファイルが同一となる。このため、リフト波形におけるリフト量の減少部分(噴射率波形における噴射率の減少部分)を、操作量を補正したものとしないものとで、また、補正したもの同士の間で、互いに同一とすることができる。
請求項17記載の発明では、前記アクチュエータの操作量に対する前記ノズルニードルのリフト量の変位の関係についての当該燃料噴射弁の個体差に起因した固有の情報を記憶する記憶手段を備える。
上記方法では、固有の情報を記憶する記憶手段を備えるために、燃料噴射弁がエンジンシステムに搭載されるに当たり、エンジンシステムの制御系による燃料噴射弁の操作態様を好適に調整することができる。
なお、この記憶手段に記憶される情報としては、上記請求項2又は3の記載の噴射率波形での燃料噴射制御に際して用いられるものとしてもよく、請求項4における調整のためのものであってもよい。また、上記請求項5〜10に記載の調整量に関する情報を含めることとしてもよく、また、請求項11に記載の情報を含めてもよい。更に、この請求項17における燃料噴射弁としては、請求項13のアクチュエータを備えるものであってもよい。
請求項18記載の発明では、前記アクチュエータの操作量に対する前記ノズルニードルのリフト量の変位の関係についての固体差に起因した固有の情報を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶される情報に基づき前記アクチュエータの操作量を設定する設定手段とを備える。
上記構成によれば、固有の情報を用いて操作量を設定することで、この情報を用いずに同一機種の燃料噴射弁で共通の操作量を設定する場合に生じる燃料噴射態様のばらつきを抑制することができる。このため、固体差にかかわらず、実際の噴射率波形を目標とする噴射率波形に近似させることができる。
なお、請求項18における操作量の設定は、実際の噴射率波形を、請求項2又は3に示す目標噴射率波形とするために行なうものであってもよい。また、この操作量の設定は、手段4に記載の操作量の調整として行なってもよく、また請求項5〜10に記載の調整量を用いて行なうものであってもよい。更に、固体差についての情報は、請求項11に示すものであってもよい。更に、この請求項18における燃料噴射弁としては、請求項13のアクチュエータを備えるものであってもよい。
請求項19記載の発明では、前記アクチュエータの操作により前記燃料噴射弁の搭載される内燃機関の出力軸の回転状態を目標とする回転状態にフィードバック制御する制御手段と、前記目標とする回転状態に制御するための前記アクチュエータの操作量の基準値を記憶する記憶手段と、前記制御手段により実際の回転状態が前記目標とする回転状態とされるときの前記アクチュエータの操作量と前記記憶手段に記憶されている操作量との差に基づき、前記アクチュエータの操作量に対する前記ノズルニードルの変位の関係についての当該燃料噴射弁に固有の情報を取得する取得手段と、該取得手段によって取得される情報に基づき、前記アクチュエータの操作量を補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
上記構成では、内燃機関の回転状態が、目標とする回転状態にフィードバック制御される。このフィードバック制御におけるアクチュエータの操作量には、燃料噴射弁の固体差や経時変化の影響が及ぼされることとなる。すなわち例えば、固体差や経時変化に起因してリフト量を大きくするための操作の割に実際のリフト量が小さくなる場合には、フィードバック制御によってリフト量を大きくする操作が行なわれる程度がより大きくなる。このため、上記目標とする回転状態とするための基準となる操作量と上記フィードバック制御における操作量との差は、基準となる燃料噴射弁の噴射特性に対する当該燃料噴射弁の噴射特性の固体差や経時変化に起因したばらつきを定量化したものとなっている。このため、上記構成では、上記差に基づき取得される情報に基づき、経時変化や固体差によるリフト量の変化分を除去するように操作量を補正することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる燃料噴射制御方法、燃料噴射弁、燃料噴射制御装置をディーゼル機関に搭載される燃料噴射弁を用いた燃料噴射制御に適用した第1の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1に、上記ディーゼル機関を含むエンジンシステムの全体構成を示す。図示されるように、燃料タンク2から汲み上げられた燃料は、高圧燃料ポンプ4により加圧され高圧状態でコモンレール6に供給される。コモンレール6は、高圧燃料ポンプ4から供給される燃料を高圧状態で蓄え、高圧燃料通路8を介して燃料噴射弁10に供給する。この燃料噴射弁10は、低圧燃料通路12とも接続されており、低圧燃料通路12を介して燃料タンク2に燃料を戻すことが可能となっている。
電子制御装置(ECU20)は、マイクロコンピュータやメモリ等を備えて構成され、内燃機関の出力の制御を行なう。この制御に際しては、ECU20は、コモンレール6内の燃圧を検出する燃圧センサ14の検出結果や、内燃機関のクランク軸の回転角度を検出するクランク角センサ16の検出結果等、各種センサの検出結果を取り込み、これら検出結果を参照する。
図2に、燃料噴射弁10の構成を示す。
燃料噴射弁10のボディ30の先端部には、ボディ30の内部と燃料噴射弁10の外部とを連通させる噴射口32が形成されている。そして、ボディ30内部には、ノズルニードル34、ニードルストッパ36及びバランスピストン38が先端部側から順に連結され、ボディ30の内壁に沿ってその軸方向に変位可能に収納されている。ノズルニードル34とボディ30の内壁との間と、バランスピストン38の背面側とには、上記高圧燃料通路8から高圧燃料が供給される。
ニードルストッパ36のうちボディ30の後方側の面側には、スプリング40が設けられており、これにより、ニードルストッパ36は、ボディ30の先端側へ押されている。また、ニードルストッパ36のうちボディ30の後方側の面とボディ30の内壁とで形成される背圧室41は、上記低圧燃料通路12と連通しており、低圧燃料通路12からの燃料が供給される。
一方、ニードルストッパ36のうち、ボディ30の先端部側の面側は、ボディ30の内壁とともに第1油密室42を形成している。第1油密室42は、伝達通路44を介して、バランスピストン38よりもボディ30の後方に位置する第2油密室46と接続されている。これら第1油密室42、伝達通路44、第2油密室46には、動力を伝達する媒体としての燃料が充填されている。
第2油密室46は、ピエゾピストン48のうちボディ30の先端側の面とボディ30の内壁との間で形成される空間である。ピエゾピストン48は、その内部に逆止弁50を備えており、低圧燃料通路12から第2油密室46への燃料の供給が可能となっている。また、ピエゾピストン48は、その後方においてピエゾアクチュエータ52と接続されている。ピエゾアクチュエータ52の後部は、ボディ30に連結され固定されている。
こうした構成において、ピエゾアクチュエータ52に通電が開始されると、ピエゾアクチュエータ52の伸長に伴い、ピエゾピストン48がボディ30の先端方向に変位する。これにより、第2油密室46、伝達通路44及び第1油密室42内の燃圧が上昇する。そして、高圧燃料がノズルニードル34を押す力と第1油密室42内の燃料がニードルストッパ36を押す力とが、スプリング40及び低圧燃料がニードルストッパ36を押す力と高圧燃料がバランスピストン38の背面を押す力とに打ち勝つようになると、ノズルニードル34がボディ30の後方に変位し、燃料噴射弁10が開弁する。これにより、ボディ30の内部の燃料が噴射口32を介して外部に噴射される。
一方、ピエゾアクチュエータ52の通電後にこれを放電させると、ピエゾアクチュエータ52の収縮に伴い、ピエゾピストン48がボディ30の後方に変位するため、第1油密室42、伝達通路44及び第2油密室46内の燃圧が低下する。これにより、スプリング40及び低圧燃料がニードルストッパ36を押す力と高圧燃料がバランスピストン38の背面を押す力とが、高圧燃料がノズルニードル34を押す力と第1油密室42内の燃料がニードルストッパ36を押す力とに打ち勝つようになると、ノズルニードル34がボディ30の先端側へ変位し、燃料噴射弁10が閉弁する。これにより、燃料噴射が終了する。
この燃料噴射弁10では、ピエゾアクチュエータ52の変位量に応じて、ノズルニードル34のボディ30の後方への変位量であるリフト量が変化する。このため、燃料噴射弁10の閉弁に対応するリフト量ゼロから最大のリフト量であるフルリフト量まで間で、リフト量を任意に制御することができる。すなわち、例えばピエゾアクチュエータ52の通電によりその電圧を操作する際に、電圧一定期間を設けると、ノズルニードル34は中間のリフト量で停滞する。このため、その後通電制御を再開し、電圧を上昇させることで2段階のリフト量を有するリフト制御が可能となる。このように、燃料噴射弁10を用いることで、リフト量を自由に制御することができるために、燃料噴射量のみならず1回の燃料噴射における燃料噴射率波形をも自由に制御することが可能となる。ちなみに、ここで燃料噴射率とは、燃料噴射弁10から噴射される単位時間当たりの燃料量を意味する。
ところで、上記燃料噴射弁10は、実際には同一構造のものが多量に製造され、それぞれディーゼル機関に搭載されることとなる。この際には、燃料噴射弁10の各構成部品に許容される寸法ばらつきや、ピエゾアクチュエータ52の特性ばらつき等が生じ、燃料噴射弁10は固体差を有するものとなる。そして、この固体差により、ピエゾアクチュエータ52を同一の操作態様で操作したとしても、ノズルニードル34のリフト量の変位態様や、燃料噴射率の波形には、個々の燃料噴射弁10の固体差に起因したばらつきが生じる。
図3に、燃料噴射弁10の固体差に起因するノズルニードル34のリフト量のばらつきや噴射率のばらつきの一例を示す。ここで、図3(a)はピエゾアクチュエータ52に印加する電圧(操作電圧)の推移を示し、図3(b)はノズルニードル34のリフト量の推移を示し、図3(c)は噴射率の推移を示す。
この図3の例では、ピエゾアクチュエータ52に印加する操作電圧を2段階に操作することで、ノズルニードル34のリフト量や燃料噴射弁10から噴射される燃料噴射率を2段階に制御する。ただし、操作電圧を同一としても、ノズルニードル34のリフト量や、燃料噴射弁10から噴射される燃料の噴射率には、燃料噴射弁10の個体差に起因したばらつきが生じる。
この個体差に起因した燃料噴射特性のばらつきの補償は、ピエゾアクチュエータ52に電圧を加える期間の調整によっては行なうことができない。すなわち、この場合、燃料噴射量のばらつき(図3(c)における各燃料噴射率の時間積分値のばらつき)を補償することができるとはいえ、リフト量の変化のばらつきについてはこれを補償することはできない。このため、燃料噴射弁10により燃料噴射率の制御が可能とはいえ、燃料噴射弁10の個体差に起因した燃料噴射率のばらつきを補償することはできない。
そこで、本実施形態では、2段階にリフト量が設定される各リフト量(リフト段)と対応する各操作電圧をそれぞれ調整することで、上記ばらつきを補償する。
具体的には、図4に示されるように、2段階の操作電圧V1,V2のそれぞれに同一の調整係数kを乗算することで、操作電圧を補正する。図5に、この調整係数を用いた補正の例を示す。ここで、図5(a)はピエゾアクチュエータ52の操作電圧の推移を示し、図5(b)はピエゾピストン48のリフト量の推移を示し、図5(c)はノズルニードル34のリフト量の推移を示し、図5(d)は噴射率の推移を示す。
この図5(b)〜図5(d)において実線は、複数の燃料噴射弁10を製造した際の平均的な特性を示している。これに対し、図5(b)〜図5(d)において破線は、平均的な特性よりもリフト量や燃料噴射率が増加側にばらついた個体の特性を示している。図5(a)に一点鎖線で示す操作電圧は、この破線で示した特性を有する個体について、その特性を上記平均的な特性とすべく、操作電圧に調整係数k(<1)を乗算することで補正された操作電圧を示している。これにより、図5(b)〜図5(d)に一点鎖線で示すように、上記個体のリフト量や噴射率は、実線で示す平均的なものに近似するようになる。
ここで、本実施形態において燃料噴射弁10の個体差のばらつきを補償して先の図1に示したECU20による制御の態様に反映させる処理の手順について説明する。図6に、この処理の手順を示す。
この一連の処理においては、まずステップS10において、燃料噴射弁10から噴射される燃料の噴射期間と、燃料噴射弁10に供給する燃料の圧力(燃圧)とによって複数の計測点を定めて、これら各計測点毎に燃料噴射弁10の噴射特性を計測する。図7に、この計測点の設定例を示す。図7において、横軸は操作電圧による操作時間(駆動パルス幅)を示し、縦軸は噴射量を示す。図7の曲線は、操作時間と噴射量との関係が、燃圧に依存して変わることを示している。そして、図7に、計測点を丸印で示した。ここでは、噴射期間と燃圧との2次元パラメータによって複数の計測点が定められている。
上記態様にて計測点を複数設けるのは、次の理由による。ノズルニードル34のリフト量は、第1油密室42内の燃圧と、ノズルニードル34とボディ30との間に充填される燃料の圧力と、バランスピストン38の背面に及ぼされる燃料の圧力等のバランスによって決まる。そして、これらの力のバランスは、燃料噴射弁10に供給される燃圧や、燃料噴射期間によって変化する。このため、本実施形態では、燃料噴射期間と燃圧とによって複数の計測点を定めて、それぞれ燃料噴射特性を計測する。
ここで、燃料噴射特性の計測は、例えば燃料噴射期間を通じてのリアルタイムでの燃料噴射率の計測によって行なってもよい。また、燃料噴射期間の間に噴射される燃料噴射量の計測によって行なってもよい。
続くステップS12では、ステップS10における計測結果に基づき、各計測点毎にピエゾアクチュエータ52の操作電圧の調整係数を定める。ここでは、例えば、(イ)複数の燃料噴射弁10の平均的な特性等に基づき、まず基準となる操作電圧を定める(ロ)平均的な特性から外れたものについて、所望とするリフト特性(噴射特性)とするために要する操作電圧を基準となる操作電圧で徐算することで調整係数を定める、等々の処理によって行なってもよい。ここで所望とするリフト特性(噴射特性)とするために要する操作電圧は、実際にいくつかの操作電圧にて燃料噴射を行なうことで定めてもよい。
こうして調整係数が定められると、ステップS14において、調整係数を燃料噴射弁10のQRコードに記憶する。ここで、QRコードは、図8に示す概観を有し、縦方向及び横方向に情報を有する2次元コードの一種である。
続くステップS16では、燃料噴射弁10をエンジンシステムに搭載する際、QRコードから調整係数を取り込み、ECU20に記憶させる。詳しくは、図8に示すように、燃料噴射弁10の備えるQRコードを、QRコードスキャナ60により読み込み、一旦パーソナルコンピュータ62に取り込む。そして、パーソナルコンピュータ62では、取り込まれたQRコードを、ECU20での処理が可能なデータに変換し、ECU20に記憶させる。
続くステップS18及びステップS20の処理は、ECU20によってなされる処理である。すなわち、まずステップS18において、各燃料噴射制御に際し、アクセルペダルの操作量等によって定められる燃料噴射期間と、当該ディーゼル機関の運転状態等によって定められるコモンレール6内の燃圧等に基づき、該当する調整係数を選択する。続くステップS20では、ECU20内に備えられる基準となるピエゾアクチュエータ52の操作電圧に上記選択された調整係数を乗算することで、ピエゾアクチュエータ52の操作電圧を補正する。こうして補正された操作電圧に基づきピエゾアクチュエータ52を操作することで、各燃料噴射弁10の個体差に起因した噴射率のばらつきを補償することが可能となる。ちなみに、燃料噴射期間と燃圧との少なくとも一方がECU20に記憶された各調整係数を定める際に用いた計測点と異なる場合には、隣接するいくつかの計測点での調整係数を用いた補間演算にて当該燃料噴射期間及び燃圧に対応する調整係数を定めるようにすればよい。
ところで、上記調整係数によって補正した操作電圧に基づきピエゾアクチュエータ52を操作することで可能となるのは、ノズルニードル34の各リフト段におけるリフト量のばらつきの補償である。そして、本実施形態では、各リフト段へと移行させる際のリフト量の変化態様についてもそのばらつきを抑制するようにECU20においてピエゾアクチュエータ52の操作を行なう。この操作は、ピエゾアクチュエータ52への充電態様(充電プロファイル)及び放電態様(放電プロファイル)を、補正なしのものと補正後のものとで同一とすることで行なう。以下これについて説明する。
図9に、ピエゾアクチュエータ52の操作電圧の変化速度を一定としたときの補正なしのものと補正後のものとの噴射率波形を示す。詳しくは、図9(a)にピエゾアクチュエータ52の操作電圧の推移を示し、図9(b)にピエゾピストン48のリフト量の推移を示し、図9(c)にノズルニードル34のリフト量の推移を示し、図9(d)に燃料噴射率の推移を示す。ちなみに、図9において、充電速度一定とは、操作電圧を増加させる際の増加速度が補正の有無にかかわらず同一であることを意味し、放電速度一定とは、操作電圧を減少させる際の減少速度が補正の有無にかかわらず同一であることを意味する。
図9では、複数の燃料噴射弁10の平均的な特性等、補正に際しての基準となる特性を一点鎖線にて示す。これに対し、図9に実線にて示すのは、上記基準に対してピエゾピストン48やノズルニードル34のリフト量が小さくなる側にばらついた場合の補正後の特性を示している。図9(a)に示すように、リフト段(ここでは、一段を想定し、リフト量の最大値に相当)における操作電圧を調整係数にて補正するとともに、操作電圧の変化速度を、補正がない基準のものと補正のあるものとで同一とすることで、図9(d)に示すように、噴射率波形を好適に近似させることができる。
ちなみに、図9(b),図9(c)においては、ピエゾピストン48のリフト量やノズルニードル34のリフト量が、基準となるものと補正のなされたものとで途中から大きく異なったものとなっている。しかし、これは、噴射率の変化に寄与しない大きなリフト量に対応した領域においてである。すなわち、燃料噴射率は、燃料噴射弁10の噴射口32の開口面積によって決まる最大の噴射率を上限とするため、ノズルニードル34のリフト量がある程度大きくなると、リフト量が噴射率の変化に寄与しなくなる。図9(b),図9(c)では、リフト量の変化が噴射率の変化に寄与するリフト領域におけるリフト量が、基準のものと補正のなされたものとで略一致していることを示している。
これに対し、図10に、ピエゾアクチュエータ52の操作電圧を「0V」から所定のリフト段に対応する電圧に上昇させるのに要する時間や、所定のリフト段に対応する電圧から「0V」に低下させるのに要する時間を、補正のない基準のものと補正のあるものとで同一とする場合を示す。詳しくは、図10(a)にピエゾアクチュエータ52の操作電圧の推移を示し、図10(b)にピエゾピストン48のリフト量の推移を示し、図10(c)にノズルニードル34のリフト量の推移を示し、図10(d)に燃料噴射率の推移を示す。
図10では、複数の燃料噴射弁10の平均的な特性等、補正に際しての基準となる特性を一点鎖線にて示す。これに対し、図10に実線にて示すのは、上記基準に対してピエゾピストン48やノズルニードル34のリフト量が小さくなる側にばらついた場合の補正後の特性を示している。ここで、図10(a)に示すように、リフト段(ここでは、一段を想定し、リフト量の最大値に相当)における操作電圧を調整係数にて補正するとともに、充電時間や放電時間を補正がない基準のものと補正のあるものとで同一とした場合の各特性を、図10(b)〜図10(d)に実線で示す。
図示されるように、充電時においては、補正された操作電圧が基準に対して高くなるにもかかわらず、充電時間を一定とする操作を行なうために、操作電圧の上昇速度が補正のない基準のものと比較して大きくなってしまう。このため、噴射開始時間も基準のものと比較して早くなってしまう。
一方、放電時においては、噴射終了時期に大きな差はないものの、操作電圧の下降速度が補正のないものと比較して大きくなるために、ピエゾピストン48やノズルニードル34のリフト量の変化速度が大きくなることで閉弁時の着座音の増大や、閉弁時のバウンス等を生じるおそれがある。
以上の理由から、本実施形態では、充電速度や放電速度を補正のない基準のものと補正のあるものとで略同一となるようにする。図11に、本実施形態におけるピエゾアクチュエータ52の駆動回路の構成を示す。
図示されるように、バッテリBからECU20に供給される電力は、まず昇圧回路であるDC/DCコンバータ21に供給される。DC/DCコンバータ21は、バッテリBの電圧(例えば「12V」)を、ピエゾアクチュエータ52を充電するための高電圧(例えば「200〜300V」)に昇圧する。
DC/DCコンバータ21の昇圧電圧は、コンデンサ22に印加される。コンデンサ22は、その一方の端子がDC/DCコンバータ21側に接続され、また他方の端子が接地されている。そして、DC/DCコンバータ21の昇圧電圧がコンデンサ22に印加されると、コンデンサ22はピエゾアクチュエータ52に供給するための電荷を蓄える。ちなみに、コンデンサ22は、ピエゾアクチュエータ52への一回の充電処理によってはその電圧がほとんど変化しないような容量(例えば「数100μF」程度)を有するものであることが望ましい。
コンデンサ22のうちの高電位となる端子側、すなわち、DC/DCコンバータ21側は、充電スイッチ23と充放電コイル24との直列接続体を介して、ピエゾアクチュエータ52の高電位となる端子側に接続されている。そして、ピエゾアクチュエータ52の低電位となる端子側は、接地されている。
充電スイッチ23と充放電コイル24との間には、放電スイッチ25の一方の端子が接続されており、放電スイッチ25の他方の端子は、接地されている。
放電スイッチ25には、ダイオード26が並列接続されている。このダイオード26は、そのカソード側がコンデンサ22及び充放電コイル24との間に、またそのアノード側が接地側にそれぞれ接続されている。このダイオード26は、コンデンサ22、充電スイッチ23、充放電コイル24と共に、ピエゾアクチュエータ52を充電するチョッパ回路を構成するものであり、フリーホイーリングダイオードとして機能する。
一方、充電スイッチ23には、ダイオード27が並列接続されている。このダイオード27は、そのカソード側がコンデンサ22側と、またそのアノード側が放電スイッチ25側と接続されている。このダイオード27は、コンデンサ22、充放電コイル24、放電スイッチ25と共に、ピエゾアクチュエータ52の電荷を放電するチョッパ回路を構成するものであり、フリーホイーリングダイオードとして機能する。
上記構成の駆動回路は、マイクロコンピュータ28により駆動される。詳しくは、マイクロコンピュータ28では、ディーゼル機関の運転状態等を検出する各種センサの検出値に基づき、充電スイッチ23や放電スイッチ25を操作する。これら各操作は、図12に示す態様にて行なわれる。
図12(a)に充電スイッチ23の操作態様の推移を示し、図12(b)に放電スイッチ25の操作態様の推移を示し、図12(c)にピエゾアクチュエータ52を介して流れる電流(操作電流)の推移を示し、図12(d)にピエゾアクチュエータ52の操作電圧の推移を示す。
図示されるように、充電スイッチ34のオン・オフ操作によるチョッパ制御により、操作電流を増減させつつピエゾアクチュエータ52の充電がなされる。具体的には、充電スイッチ23がオン操作されることによって、コンデンサ22、充電スイッチ23、充放電コイル24、ピエゾアクチュエータ52からなる閉ループ回路が形成される。これにより、コンデンサ22の電荷がピエゾアクチュエータ52に充電される。このとき、ピエゾアクチュエータ52を介して流れる電流量が増加する。一方、充電スイッチ23のオン操作の後、充電スイッチ23がオフ操作されることで、充放電コイル24、ピエゾアクチュエータ52、ダイオード26からなる閉ループ回路が形成される。これにより、充放電コイル24のフライホイールエネルギが、ピエゾアクチュエータ52に充電される。このとき、ピエゾアクチュエータ52を介して流れる電流量が減少する。
上記態様にて充電スイッチ23が操作される降圧チョッパ制御が行われることで、ピエゾアクチュエータ52が充電され、ピエゾアクチュエータ52の高電位となる端子側の電位が上昇する。
一方、放電スイッチ25のオン・オフ操作によるチョッパ制御により、操作電流を増減させつつピエゾアクチュエータ52の放電がなされる。具体的には、放電スイッチ25がオン操作されることで、放電スイッチ25、充放電コイル24、ピエゾアクチュエータ52によって閉ループ回路が形成される。これにより、ピエゾアクチュエータ52が放電される。このとき、ピエゾアクチュエータ52を介して流れる電流量が増加する。更に、放電スイッチ25のオン操作の後、放電スイッチ25がオフ操作されることで、コンデンサ22、ダイオード27、充放電コイル24、ピエゾアクチュエータ52によって閉ループ回路が形成される。これにより、充放電コイル24のフライホイールエネルギがコンデンサ22に回収される。
上記態様にて放電スイッチ25が操作される昇圧チョッパ制御が行われることで、ピエゾアクチュエータ52が放電され、ピエゾアクチュエータ52の高電位となる端子側の電位が低下する。
上記充電制御及び放電制御に際し、特に本実施形態では、充電電流(放電電流)が所定の上限値となるたびに充電スイッチ23(放電スイッチ25)をオフとし、充電電流(放電電流)がゼロとなるたびに充電スイッチ23(放電スイッチ25)をオンとする操作を行なう。ECU20内においてこうした態様にてチョッパ制御を行うことで、平均の充電速度や平均の放電速度を、操作電圧の補正のない基準のものと補正のなされたものとで略同一とすることができる。このため、操作電圧の補正のない基準のものと補正のなされたものの双方で充電プロファイルや放電プロファイルを略等しくすることができ、ひいては、噴射率波形をこれらの間で略等しくすることができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)ピエゾアクチュエータ52の操作に際して計測される燃料噴射態様に基づき、操作電圧に対するノズルニードル34の変位の関係についての当該燃料噴射弁10の固体差に起因した固有の情報を取得し、該取得される情報に基づき、燃料噴射弁10による実際の噴射率波形を目標とする噴射率波形に近似させるために操作電圧を調整した。このように、上記固有の関係についての情報を用いることで、これら固有の関係を用いずに同一機種の燃料噴射弁で共通の操作電圧を設定する場合に生じる燃料噴射態様のばらつきを抑制する操作電圧の調整が可能となる。
(2)操作電圧の調整を、多段階の各々のリフト段と対応する操作電圧毎に行った。これにより、多段階の各リフト段に対応した噴射率のばらつきを抑制することができる。このため、実際の噴射率波形を目標とする噴射率波形に好適に近似させることができる。
(3)多段階の各々のリフト段と対応する操作電圧毎の調整を、目標とする噴射率波形を実現するための基準となる操作電圧について、その各リフト量毎の値に同一の調整係数を乗算することで行った。これにより、各リフト段における実際のリフト量のばらつきを簡易且つ好適に抑制することができる。
(4)調整係数を、複数の燃料噴射期間のそれぞれにおいて各別に設定した。これにより、ピエゾアクチュエータ52からの動力が、ピエゾアクチュエータ52からノズルニードル34までの間の動力伝達系を介してノズルニードル34へ伝達する際の力のバランスが、燃料噴射期間に依存して変化することに鑑み、各噴射期間に見合った適切な調整係数を設定することができる。
(5)調整係数を、コモンレール6内の燃圧毎に各別に設定した。これにより、ピエゾアクチュエータ52からの動力が、ピエゾアクチュエータ52からノズルニードル34までの間の動力伝達系を介してノズルニードル34に伝達する際の力のバランスが、燃圧に依存して変化することに鑑み、各燃圧に見合った適切な調整係数を設定することができる。
(6)燃料噴射弁10が実際にエンジンシステムに搭載される以前に燃料噴射態様の計測を行なうことで、ディーゼル機関の稼動初期から燃料噴射弁10による燃料の噴射率を良好とすることができる。
(7)リフト量の増加制御を、ピエゾアクチュエータ52に対する充電プロファイルを、基準となる操作電圧のものと補正したものとで同一となるようにして行なった。これにより、リフト波形におけるリフト量の増加部分(噴射率波形における噴射率の増加部分)を、操作電圧を補正したものとしないものとで、また、補正したもの同士の間で、互いに同一とすることができる。
(8)リフト量の減少制御を、ピエゾアクチュエータ52に対する放電プロファイルを、基準となる操作電圧のものと補正したものとで同一となるようにして行った。これにより、リフト波形におけるリフト量の減少部分(噴射率波形における噴射率の減少部分)を、操作電圧を補正したものとしないものとで、また、補正したもの同士の間で、互いに同一とすることができる。
(9)上記調整係数を記憶するQRコードを、燃料噴射弁10に備えた。これにより、燃料噴射弁10とECU20との対応付けが容易となる。このため、これらを予め対応付けつつ製造する必要性が生じないため、製造時の煩雑さを低減することができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
上記第1の実施形態では、燃料噴射期間及び燃圧で定まる計測点毎に、調整係数を定めてQRコードに記憶し、該記憶される調整係数に基づきECU20により操作電圧を補正した。これに対し、本実施形態では、先の図6のステップS10〜S12の処理に基づき、燃料噴射量(噴射期間に相当)及び燃圧と調整係数との関係を定める一次式を作成し、1次式の係数(切片を含む)を上記QRコードに記憶する。具体的には、燃料噴射量Qと燃圧Pと調整係数Kとの関係を「K=α×P+β×Q+γ」にて表現する。
図13に、実際に計測して定めた調整係数と、上記一次式によって算出される調整係数との相関係数の一例を示す。図13では、「α=3.34E−4,β=1.84E−3,γ=0.0078」とし、燃圧の単位を「MPa」とし、また噴射量の単位を「mm3/st」とした。図示されるように、相関係数は「0.9752」であり、実際に計測して定めた調整係数と、一次式によって定めた調整係数とは強い相関を有する。
このため、ECU20では、上記一次式に都度の噴射量と燃圧とを代入することで、適切な調整係数を算出することができる。
なお、上記一次式の使用に際しては、リフト段数が燃料噴射量等に応じて変化してもよい。ちなみに、先の図13は、1段のリフト段による燃料噴射制御と2段のリフト段による燃料噴射制御とのいずれを行なうかが燃料噴射量と燃圧とに応じて選択されるものにおける計測結果となっている。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(9)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(10)燃料噴射弁10がエンジンシステムに搭載される以前に、燃料噴射量の複数の値のそれぞれにおける燃料噴射態様の計測に基づき燃料噴射量と調整係数との関係を定める一次式を作成し、燃料噴射弁10が上記システムに搭載された後、一次式に都度の燃料噴射量を代入することで調整係数を設定した。これにより、ECU20に記憶する記憶データ量を削減することができる。
(11)燃料噴射弁10がエンジンシステムに搭載される以前に、燃圧の複数の値のそれぞれにおける燃料噴射態様の計測に基づき燃圧と調整係数との関係を定める一次式を作成し、燃料噴射弁10がシステムに搭載された後、一次式に都度の燃圧を代入することで調整係数を設定した。これにより、ECU20に記憶する記憶データ量を削減することができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
上記第1の実施形態では、各リフト段と対応する操作電圧を同一の調整係数にて補正した。これに対し、本実施形態では、図14に示すように、各リフト段と対応する操作電圧毎に各々独立に定められた調整係数k1,k2を乗算することで、操作電圧の補正を行なう。このため、実際のリフト量(噴射率)の基準に対するばらつきと操作電圧との関係が非線形性を有する場合等においても、各リフト段のばらつきを好適に抑制することができる。ちなみに、本実施形態においては、先の図6のステップS10における噴射特性の計測は、リアルタイムでの燃料噴射率の計測として行なうか、各リフト段での燃料噴射率の計測として行なうことが望ましい。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1),(2),(4)〜(9)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(12)目標とする噴射率波形を実現するための基準となる操作電圧について、その各リフト量毎の値に各々独立に定められた調整係数を乗算することで調整係数の補正を行なった。これにより、各リフト段における実際のリフト量のばらつきをいっそう好適に抑制することができる。
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
燃料噴射弁10を使用している間に、例えばスプリング40が経たりバネ定数が変化したり、ノズルニードル34とボディ30の内壁との間の摩擦等の相対的に変位する部分同士の摩擦力が変化したりすることがある。こうした経時変化に対しては、上記実施形態のように各燃料噴射弁10の個体差に起因した固有の情報に基づく調整係数では対処できない。そこで本実施形態では、ディーゼル機関のアイドル回転速度制御時に経時変化による燃料噴射弁10の噴射特性を検出し、経時変化による噴射特性のばらつきを補償する調整係数を求める。以下、これについて図15に基づき説明する。
図15に上記経時変化を補償する調整係数の算出にかかる処理の手順を示す。この処理は、ECU20により、例えば所定周期で繰り返し実行される処理である。
この一連の処理においては、まずステップS30において、ECU20によって制御されるディーゼル機関がアイドル回転速度制御の実行中であるか否かを判断する。ここで、アイドル回転速度制御とは、アイドル時において、燃料噴射量を操作することで、ディーゼル機関のクランク軸の回転速度を目標とする回転速度にフィードバック制御するものである。
ステップS30においてアイドル時であると判断されると、ステップS32において、上記フィードバック制御により、実際の回転速度が目標とする回転速度と一致したか否かを判断する。そして、実際の回転速度が目標とする回転速度となったと判断されると、ステップS34において、アイドル時において燃料噴射弁10の噴射特性(ノズルニードル34のリフト特性、燃料噴射特性)を所望の噴射特性とする調整係数kactを算出する。この調整係数は、ステップS32において実際の回転速度が目標とする回転速度に一致したときにおける操作電圧を、アイドル時の基準となる操作電圧で徐算したときの値として設定される。ここで、実際の回転速度が目標とする回転速度に一致したときにおける操作電圧には、経時変化による燃料噴射弁10の噴射特性の変化が反映されている。
例えば操作電圧の割にはリフト量が小さくなる場合には、基準となる操作電圧によってピエゾアクチュエータ52を操作すると、ディーゼル機関の回転速度は目標回転速度よりも小さくなる。また、例えば操作電圧の割にはリフト量が大きくなる場合には、基準となる操作電圧によってピエゾアクチュエータ52を操作すると、ディーゼル機関の回転速度は目標回転速度よりも大きくなる。そして、上記アイドル回転速度制御により、実際の回転速度を目標とする回転速度に制御すべく操作電圧が調整されると、この操作電圧は、上記経時変化による噴射特性の変化を補償するための値となる。
このため、このときの操作電圧を基準となる操作電圧で除算することで、アイドル時の調整係数を定めることができる。
ステップS34の処理が完了すると、ステップS36において燃圧P、燃料噴射量Qのときの調整係数を算出する。ここでは、先の第2の実施形態において示したように、調整係数が燃圧Pと噴射量Qとの一次式によって算出されることに基づき、調整係数を算出する。詳しくは、先の第2の実施形態で定めた一次式に、「kact/kref」を乗算することで、一次式を補正する。換言すれば、一次式の各係数(及び切片)α、β、γに「kact/kref」を乗算することでこれら係数を補正する。ちなみに、ここで、「kref」は、「P0」をアイドル時の燃圧、「Q0」をアイドル時の基準となる噴射量として「kref=α×P0+β×Q0+γ」として定義される。
このように、ステップS36によれば経時変化に応じて簡易に一次式を補正することができる。
なお、ステップS30においてアイドル時でないと判断されるときや、ステップS32において実際の回転速度が目標とする回転速度と一致していないと判断されるとき、ステップS36の処理が完了したときにはこの処理を一旦終了する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第2の実施形態の上記効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(13)アイドル時、目標とする回転速度とするための基準となる操作電圧とフィードバック制御における操作電圧との差に基づき、燃料噴射弁10の経時変化についての情報を検出し、これに基づき調整係数を設定した。これにより、燃料噴射弁10の経時変化に起因した噴射特性のばらつきを好適に抑制することができる。
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について、先の第4の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図16に本実施形態における経時変化を補償する調整係数の算出にかかる処理の手順を示す。この処理は、ECU20により、例えば所定周期で繰り返し実行される処理である。
図16に示す処理においても、ステップS40〜S44において、先の図15に示したステップS30〜S34の処理と同様の処理を行なう。ただし、図16に示す処理においては、ステップS46において、調整係数を定める一次式を「α(kact)×P+β(kact)+γ」に補正する。ここで、各係数(及び切片)の補正は、ステップS44によって算出される調整係数kactに基づきマップ演算にて行なわれる。すなわち、アイドル時の経時変化による情報を有する調整係数kactに基づき、一次式がどのように変化するかをあらかじめ実験等で定めておき、その結果に基づき、調整係数kactと一次式の各係数との関係を定めたマップを作成しECU20に記憶させる。これにより、経時変化に応じて一次式を好適に補正することができる。
以上説明した本実施形態によれば、先の第4の実施形態の上記効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(14)アイドル時の経時変化による情報を有する調整係数kactに基づき、上記一次式がどのように変化するかをあらかじめ実験等で定めた。これにより、経時変化に応じて一次式をより好適に補正することができる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・ピエゾアクチュエータ52の駆動回路としては先の図11に例示したものに限らず、また、ピエゾアクチュエータ52の駆動方法としては、先の図12に例示したものに限らない。ただし、操作電圧の変化の態様(充電プロファイルや放電プロファイル)を、補正のなされるものとなされないものとで同一とすることが望ましい。
・先の図4に例示するように操作電圧の変化に際して充電速度一定の操作や放電速度一定の操作を行なう代わりに、図17に例示するように、充電時間一定の操作や放電時間一定の操作を行なったとしても、先の第1の実施形態における上記(1)〜(6)、(9)の効果を得ることはできる。
・調整係数を、燃料噴射期間や燃料噴射量の複数の値に対して各別に設定しなくても、先の第1の実施形態の上記(1)〜(3)、(5)〜(9)の効果や、先の第2の実施形態の上記(11)の効果を得ることはできる。
・調整係数を、燃圧の複数の値に対して各別に設定しなくても、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)、(6)〜(9)の効果や、先の第2の実施形態の上記(10)の効果を得ることはできる。
・燃料噴射弁10をエンジンシステムに搭載する以前に、各燃料噴射弁10の個体差に起因した噴射特性のばらつきを補償するための調整係数を算出する処理を行なわなくても、アイドル回転速度制御の操作電圧の変化に基づき、個体差及び経時変化の少なくとも一方の情報を得ることはできる。このため、この情報に基づき調整係数を算出することも可能である。ここで、燃料噴射弁10をエンジンシステムに搭載した直後に上記調整係数の算出を行なうなら、個体差を補償する調整係数を算出することができる。
・先の図15や図16に示した処理において、実際の回転速度が目標とする回転速度に制御されたときの操作電圧には、ピエゾアクチュエータ52の温度による特性変化や、ディーゼル機関の温度による特性変化の影響が反映されていることを考慮することが望ましい。これは、ディーゼル機関の温度が例えば予め定められた温度領域内にあるときにのみ、ステップS34、S36の処理や、ステップS44,S46の処理を行なうことで実現してもよい。
・ディーゼル機関の出力軸の回転状態を目標とする回転状態にフィードバック制御するためにアクチュエータを操作するに際し、目標とする回転状態とするための基準となる操作量とフィードバック制御における操作量との差に基づき、上記固有の情報を取得する手法としては、アイドル回転速度制御時に行うものに限らない。例えば、エンジンシステムの搭載される車両の減速に起因して機関出力が駆動輪から切り離されているときに、燃料噴射を行い、そのときの回転上昇量が目標とする上昇量となるようにフィードバック制御するものでもよい。この場合であっても、目標とする上昇量とするための基準となる操作量と実際の操作量との差は、燃料噴射弁10の噴射特性の固有の情報を定量化したものとなっている。
・燃圧や燃料噴射期間(燃料噴射量)と調整係数との関係を定める演算式としては、一次式に限らない。例えば高次の多項式を用いて上記関係を表現するなら、先の図13に例示した場合において同図13に例示した相関係数よりも更に大きな相関係数とすることも可能である。
・アクチュエータの操作量に対するノズルニードルの変位の関係についての当該燃料噴射弁の個体差及び経時変化の少なくとも一方に起因した固有の情報に基づき、実際の噴射率波形を目標とする噴射率波形に近似させるためにアクチュエータの操作量を調整する手法としては、基準となる操作量に調整係数を乗算するものに限らない。例えば、基準となる操作量に調整値を加算するものであってもよい。また、こうした調整量(調整係数、調整値等)にて基準となる操作量を補正する代わりに、上記情報に基づき調整された操作量そのものをECU20に記憶してもよい。
・燃料噴射弁10の備える記憶手段としては、上記QRコードに限らない。また、燃料噴射弁10に記憶手段を備えなくても、直接ECU20に調整係数等を記憶させればよい。
・燃料噴射制御としては、操作電圧を複数の値のそれぞれで一旦固定するものに限らない。例えば、噴射率ゼロに対応するリフト量とフルリフト量との間の中間のリフト量に対応する操作電圧で一旦操作量を固定する態様にて燃料噴射制御を行うなら、燃料噴射弁10の個体差や経時変化に起因した噴射特性のばらつきを噴射期間の調整によっては補償することができない。このため、本発明の適用が特に有効となる。また、例えば燃料噴射率の変化が緩やかな勾配を有するようにする等、燃料噴射率を所望に制御するために操作電圧の変化速度を意図的に調整する燃料噴射制御を行なうなら(1度の燃料噴射において操作電圧の変化速度を意図的に変化させる燃料噴射制御や、操作電圧の変化速度を各燃料噴射において各々独立に調整する燃料噴射制御等)においても、燃料噴射弁10の個体差や経時変化に起因した噴射特性のばらつきを噴射期間の調整によって補償することができない。このため、本発明の適用が特に有効となる。
・ピエゾアクチュエータ52の操作量としては、電圧に限らない。ただし、この際、電流の時間積分値や、電流と電圧との積の時間積分値等、ピエゾアクチュエータ52の駆動制御エネルギであることが望ましい。
・燃料噴射弁10の構成としては、先の図2に例示したものに限らない。例えばピエゾアクチュエータ52を備える代わりに他のアクチュエータを備えて構成してもよい。また例えば、ピエゾアクチュエータ52を備える場合であっても、同ピエゾアクチュエータ52の動力がノズルニードル34へと伝達される動力伝達系の構成は、先の図2に例示したものに限らない。要は、アクチュエータの変位に応じてノズルニードルのリフト量を連続的に調整可能な燃料噴射弁であればよい。ただし、燃料噴射弁に供給される燃料の圧力についてのアクチュエータの動力と同方向及び反対方向の少なくとも一方向の力が、上記動力伝達系内に加わるものであるときには、先の第1の実施形態の上記(4)及び(5)の効果等を特に好適に奏することができる。
・その他、内燃機関としてもディーゼル機関に限らない。
第1の実施形態におけるエンジンシステムの全体構成を示す図。 同実施形態における燃料噴射弁の断面構造を示す断面図。 複数の燃料噴射弁の各々の個体差による特性ばらつきを例示するタイムチャート。 上記実施形態における燃料噴射弁の操作電圧の補正態様を示すタイムチャート。 同実施形態における燃料噴射弁の操作電圧の補正態様を示すタイムチャート。 同実施形態における燃料噴射弁の操作電圧の補正にかかる処理の手順を示すフローチャート。 同実施形態における燃料噴射態様の計測点を示す図。 操作電圧を補正する調整係数をECUに記憶させる手法を例示する図。 充電速度及び放電速度を補正の有無にかかわらず一定とした場合の噴射特性のタイムチャート。 充電時間及び放電時間を補正の有無にかかわらず一定とした場合の噴射特性のタイムチャート。 ECU20の備えるピエゾアクチュエータの駆動回路の構成を示す回路図。 上記実施形態におけるピエゾアクチュエータの充電操作態様及び放電操作態様を示すタイムチャート。 第2の実施形態にかかる一次式に基づき算出される調整係数と各計測に基づき算出される調整係数との相関係数を示す図。 第3の実施形態における操作電圧の補正態様を示すタイムチャート。 第4の実施形態における操作電圧の補正態様を示すフローチャート。 第5の実施形態における操作電圧の補正態様を示すフローチャート。 上記各実施形態の変形例におけるピエゾアクチュエータの充電操作態様及び放電操作態様を示すタイムチャート。
符号の説明
6…コモンレール、10…燃料噴射弁、20…電子制御装置(ECU)、52…ピエゾアクチュエータ。

Claims (19)

  1. アクチュエータの変位に応じてノズルニードルのリフト量を連続的に調整可能な燃料噴射弁について、前記アクチュエータの操作態様を調整する燃料噴射制御方法において、
    前記アクチュエータの操作に際して計測される燃料噴射態様に基づき、前記アクチュエータの操作量に対する前記ノズルニードルの変位の関係についての当該燃料噴射弁の固体差及び経時変化の少なくとも一方に起因した固有の情報を取得し、該取得される情報に基づき、前記燃料噴射弁による実際の噴射率波形を目標とする噴射率波形に近似させるために前記アクチュエータの操作量を調整することを特徴とする燃料噴射制御方法。
  2. 前記目標とする噴射率波形は、噴射率ゼロにおけるリフト量とフルリフト量との間の中間のリフト量に対応した操作量で一旦前記操作量が固定されることで実現されるものであることを特徴とする請求項1記載の燃料噴射制御方法。
  3. 前記目標とする噴射率波形は、1回の燃料噴射においてリフト量を多段階に設定するリフト波形により実現されるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料噴射制御方法。
  4. 前記アクチュエータの操作量の調整を、前記多段階の各々のリフト段と対応する操作量毎に行うことを特徴とする請求項3記載の燃料噴射制御方法。
  5. 前記多段階の各々のリフト段と対応する操作量毎の調整を、前記目標とする噴射率波形を実現するための基準となる操作量について、その各リフト段における値を同一の調整量にて調整することで行うことを特徴とする請求項4記載の燃料噴射制御方法。
  6. 前記多段階の各々のリフト段と対応する操作量毎の調整を、前記目標とする噴射率波形を実現するための基準となる操作量について、その各リフト段における値を各々独立に定められた調整量にて調整することで行うことを特徴とする請求項4記載の燃料噴射制御方法。
  7. 前記調整量を、燃料噴射期間及び燃料噴射量のいずれかについての複数の値のそれぞれにおいて各別に設定することを特徴とする請求項5又は6記載の燃料噴射制御方法。
  8. 前記調整量の設定は、前記燃料噴射弁がエンジンシステムに搭載される以前に、前記いずれかについてのいくつかの値のそれぞれにおける前記燃料噴射態様の計測に基づき前記いずれかと前記調整量との関係を定める演算式を作成する処理と、前記燃料噴射弁が前記システムに搭載された後、前記演算式に都度の前記いずれかの値を代入することで前記調整量を設定する処理とを有して行なわれることを特徴とする請求項7記載の燃料噴射制御方法。
  9. 前記燃料噴射弁は、高圧状態で燃料を蓄える蓄圧室の燃料を噴射するものであり、
    前記調整量を、前記蓄圧室内の燃圧についての複数の値のそれぞれにおいて各別に設定することを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の燃料噴射制御方法。
  10. 前記調整量の設定は、前記燃料噴射弁がエンジンシステムに搭載される以前に、前記燃圧についてのいくつかの値のそれぞれにおける前記燃料噴射態様の計測に基づき燃圧と前記調整量との関係を定める演算式を作成する処理と、前記燃料噴射弁が前記システムに搭載された後、該演算式に都度の燃圧を代入することで前記調整量を設定する処理とを有して行なわれることを特徴とする請求項9記載の燃料噴射制御方法。
  11. 前記燃料噴射弁が実際にエンジンシステムに搭載される以前に前記燃料噴射態様の計測を行なうことで、前記固体差に起因した固有の情報を取得することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の燃料噴射制御方法。
  12. 前記燃料噴射弁がエンジンシステムに搭載された後、内燃機関の出力軸の回転状態を目標とする回転状態にフィードバック制御するために前記アクチュエータを操作する処理と、前記目標とする回転状態とするための基準となる操作量と前記フィードバック制御における操作量との差を検出する処理とを有して前記固有の情報を取得することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の燃料噴射制御方法。
  13. 前記アクチュエータがピエゾアクチュエータであることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の燃料噴射制御方法。
  14. 前記操作量が、前記ピエゾアクチュエータの駆動制御エネルギであることを特徴とする請求項13記載の燃料噴射制御方法。
  15. 前記操作量の調整は、基準となる操作量に対する補正として行なわれるものであり、
    前記リフト量の増加制御は、前記ピエゾアクチュエータに対する充電プロファイルを、前記基準となる操作量のものと前記補正のなされた操作量のものとで同一としつつ行うものであることを特徴とする請求項13又は14記載の燃料噴射制御方法。
  16. 前記操作量の調整は、基準となる操作量に対する補正として行なわれるものであり、
    前記リフト量の減少制御は、前記ピエゾアクチュエータに対する放電プロファイルを、前記基準となる操作量のものと前記補正のなされた操作量のものとで同一としつつ行うものであることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の燃料噴射制御方法。
  17. アクチュエータの変位に応じてノズルニードルのリフト量を連続的に調整可能な燃料噴射弁において、
    前記アクチュエータの操作量に対する前記ノズルニードルのリフト量の変位の関係についての当該燃料噴射弁の個体差に起因した固有の情報を記憶する記憶手段を備えることを特徴とする燃料噴射弁。
  18. アクチュエータの変位に応じてノズルニードルのリフト量を連続的に調整可能な燃料噴射弁について、前記アクチュエータを操作することで燃料噴射率の制御を行う燃料噴射制御装置において、
    前記アクチュエータの操作量に対する前記ノズルニードルのリフト量の変位の関係についての固体差に起因した固有の情報を記憶する記憶手段と、
    該記憶手段に記憶される情報に基づき前記アクチュエータの操作量を設定する設定手段とを備えることを特徴とする燃料噴射制御装置。
  19. アクチュエータの変位に応じてノズルニードルのリフト量を連続的に調整可能な燃料噴射弁について、前記アクチュエータを操作することで燃料噴射率の制御を行う燃料噴射制御装置において、
    前記アクチュエータの操作により前記燃料噴射弁の搭載される内燃機関の出力軸の回転状態を目標とする回転状態にフィードバック制御する制御手段と、
    前記目標とする回転状態に制御するための前記アクチュエータの操作量の基準値を記憶する記憶手段と、
    前記制御手段により実際の回転状態が前記目標とする回転状態とされるときの前記アクチュエータの操作量と前記記憶手段に記憶されている操作量との差に基づき、前記アクチュエータの操作量に対する前記ノズルニードルの変位の関係についての当該燃料噴射弁に固有の情報を取得する取得手段と、
    該取得手段によって取得される情報に基づき、前記アクチュエータの操作量を補正する補正手段とを備えることを特徴とする燃料噴射制御装置。
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