JP4483908B2 - 燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、所定の燃料噴射弁を通じて燃料を噴射する燃料供給システムに適用され、その燃料噴射特性を制御する燃料噴射制御装置に関する。
車載ディーゼルエンジン等においては、そのエミッションを改善する技術の1つとして、高圧化された燃料を燃料噴射弁を通じてシリンダ内へ直接的に噴射供給する技術(高圧噴射)が知られている。そして少し前より、この高圧噴射を実現する燃料噴射システムとして、例えば特許文献1に記載されるようなシステム、いわゆるコモンレール式燃料噴射システムが注目されている。同システムにおいては、燃料ポンプから圧送された燃料が、コモンレールにより高圧状態で蓄圧され、その蓄圧された高圧燃料が、シリンダごとに設けられた配管(高圧燃料通路)を通じて、各シリンダの燃料噴射弁へそれぞれ供給されることになる。このシステムでは、上記コモンレールに対して、所定の圧力センサ(レール圧センサ)が設けられており、このレール圧センサの出力(センサ出力)に基づいて、燃料供給系を構成する各種装置の駆動を制御するように構成されている。
そして従来、こうしたコモンレール式燃料噴射システムにおいて、燃料噴射弁の噴射動作を制御する場合には、エンジン運転状態ごとの噴射パターン(適合値)が書き込まれたマップ(適合マップ)や数式を参照して、都度のエンジン運転状態に応じて噴射パターンを設定する制御方式が広く採用されている。この装置は、予め想定される各エンジン運転状態について実験等により求めた最適パターン(適合値)をマップや数式等として保持(例えばROMに記憶保持)することで、そのマップや数式等を参照しつつ、エンジン運転状態に応じた噴射パターンを設定するものである。
特開平10−220272号公報
このように、適合値の書き込まれたマップや数式を用いることによって、都度のエンジン運転状態に適した噴射態様(噴射パターン)で、エンジンに対して燃料の供給を行うことが可能になる。しかしながら、例えばエンジン制御システムの各要素を大量生産して大量販売しようとする場合には通常、例えばエンジン間で、また多気筒エンジンの場合は気筒(シリンダ)間でも、上記燃料噴射弁を含めた各種の制御部品の特性について幾らかの個体差が生じることになる。そしてこの場合に、その全て(例えば大量生産されて車両に搭載された全てのシリンダ)について、個体差も加味した適合値(最適な噴射パターン)を求めることは、現行の生産システムで考えた場合、手間がかかり過ぎて実情に即したものとはいえない。したがって、適合値の書き込まれたマップや数式を用いた場合でも、個体差による影響の全てが考慮された制御を行うことは困難である。
また、噴射制御を高い精度で行う場合には、制御部品の経年変化等に起因する特性変化も無視することができないものとなる。この点、前述した特許文献1に記載される装置を含めた従来の装置では、初期の段階において高い精度で最適値が得られたとしても、その後の特性変化の影響については知ることができない。このため、時間の経過と共に最適値からのずれが懸念されるようになる。なお、この場合において、予め実験値等により劣化係数(経時的な劣化の度合に係る係数)の適合値を求めておき、これをマップや数式等として保持する構成なども考えられる。しかし、こうした経時的な特性変化についても部品ごとに上述の個体差があるため、やはり完全にその影響を消し去ることは困難である。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、経時的な特性変化も含めた時々の噴射特性に応じて、より適切な燃料噴射制御を行うことのできる燃料噴射制御装置を提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するための手段、及び、その作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、対象エンジンに対して燃料を噴射供給する際の燃料噴射特性を制御する燃料噴射制御装置として、所定の燃料噴射弁により、対象エンジンの燃料燃焼を行う部分であるシリンダ内又はその吸気通路又は排気通路へ、燃料を噴射する燃料供給システムに適用され、前記燃料噴射弁の噴射に伴い変動する燃料圧力を逐次検出する燃料圧力検出手段と、前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率がその時に時間軸に対する推移として描く図形(例えば三角形や、台形、ブーツ形など)を検出する図形検出手段と、前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く検出図形と所定の基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形がその基本図形と同一種類の図形になるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とする噴射可変手段と、を備え、前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較することにより、前記検出図形の所定パラメータを、前記基本図形の対応するパラメータに近づけるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とするものであり、前記基本図形が台形であり、前記噴射可変手段は、前記検出図形について、その図形の4つの角のタイミング及び噴射率よりも優先して図形の面積を前記基本図形に近づけるものであることを特徴とする。
発明者は、同一の噴射量で噴射するにしても、噴射率推移の描く図形が異なることにより、噴射特性が変わることに注目し、上記装置を発明した。すなわちこの装置では、上記図形検出手段により、その時の噴射率推移の描く図形を検出することができるとともに、上記噴射可変手段により、同一燃焼サイクル内で又は次回以降の燃焼サイクルにおいて、実際に噴射率推移の描く図形が、予め定めた基本図形と同一の種類になるように、対象の燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とすることができる。このため、上記構成によれば、時々の噴射特性に応じて噴射特性を調整して、より適切な燃料噴射制御を行うことができるようになる。
適切な燃料噴射制御を行う上では、実際に噴射率推移の描く図形(図形検出手段により検出される図形に相当)と前記基本図形とを一致又は近似させることが重要になる。この点、上記構成であれば、前記噴射可変手段により、前記検出図形の所定パラメータを、前記基本図形の対応するパラメータに近づけることで、それら図形を一致又は近似させることが可能になり、ひいてはより適切な燃料噴射制御を行うことができるようになる。
エンジン制御に係る燃料噴射制御においては通常、前述した燃料噴射量が特に重要になる。したがって、上記構成のように、図形の形状の細かい部分を前記基本図形に対して精密に合わせるよりも、図形の面積を前記基本図形に対して精密に合わせる構成が特に有効になる。
なお、こうした発明をエンジンの燃料供給システムを適用する場合、発明の適用されるシステムが、前記検出図形の調整を自由に行うことのできるシステムであるとは必ずしも限らない。システムによっては、調整限界が存在する。そして、このようなシステムにおいて、図形の面積を前記基本図形に合わせようとした場合、図形の各種パラメータのうち、特定のパラメータを前記基本図形に対して精密に合わせると、別のパラメータは前記基本図形から乖離してしまうということが起こり得る。そこで、請求項に記載の発明では、いずれのパラメータを優先して調整するかを予め定めておくようにしている。
すなわち、この請求項に記載の装置では、前記噴射可変手段についてはこれを、前記検出図形の4つの角のうち、時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角よりも優先して時系列的に最も早く訪れる台形の第1角を前記基本図形に近づけるものとしている。
エンジン制御に係る燃料噴射制御においては通常、噴射終了タイミングよりも噴射開始タイミングの方が重要になる。したがって、適切な燃料噴射制御を行う上では、上記構成のように、台形の第4角よりも優先して第1角を前記基本図形に対して精密に合わせる構成が特に有効になる。
また、請求項に記載の発明では、前記検出図形の4つの角を個別に調整可能な構成を想定して、上記請求項に記載の発明において、前記噴射可変手段についてはこれを、前記検出図形の4つの角を、時系列的に最も早く訪れる台形の第1角、時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角、時系列的に2番目に訪れる台形の第2角、時系列的に3番目に訪れる台形の第3角の優先順位で、前記基本図形に近づけるものとしている。こうすることで、より適切な燃料噴射制御を行うことができるようになる。
請求項4に記載の発明では、所定の燃料噴射弁により、対象エンジンの燃料燃焼を行う部分であるシリンダ内又はその吸気通路又は排気通路へ、燃料を噴射する燃料供給システムに適用され、前記燃料噴射弁の噴射に伴い変動する燃料圧力を逐次検出する燃料圧力検出手段と、前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率がその時に時間軸に推移として描く図形を検出する図形検出手段と、前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く検出図形と所定の基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形がその基本図形と同一種類の図形になるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とする噴射可変手段と、を備え、前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較することにより、前記検出図形の所定パラメータを、前記基本図形の対応するパラメータに近づけるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とするものであり、前記基本図形が台形であり、前記噴射可変手段が、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角のうち、時系列的に最も早く訪れる台形の第1角の立ち上がりタイミング(噴射開始タイミング)及び立ち上がり角度について、両図形間における立ち上がり角度の乖離量が許容レベル内に収まった状態で立ち上がりタイミングの乖離量が許容レベルを超えている場合には、両図形で立ち上がりタイミングが一致するように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものである、ことを特徴とする
請求項5に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置において、前記基本図形が台形であり、前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角のうち、時系列的に最も早く訪れる台形の第1角の立ち上がりタイミング及び立ち上がり角度について、両図形間における立ち上がり角度の乖離量が許容レベル内に収まった状態で立ち上がりタイミングの乖離量が許容レベルを超えている場合には、両図形で立ち上がりタイミングが一致するように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものである、ことを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、所定の燃料噴射弁により、対象エンジンの燃料燃焼を行う部分であるシリンダ内又はその吸気通路又は排気通路へ、燃料を噴射する燃料供給システムに適用され、前記燃料噴射弁の噴射に伴い変動する燃料圧力を逐次検出する燃料圧力検出手段と、前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率がその時に時間軸に対する推移として描く図形を検出する図形検出手段と、前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く検出図形と所定の基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形がその基本図形と同一種類の図形になるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とする噴射可変手段と、を備え、前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較することにより、前記検出図形の所定パラメータを、前記基本図形の対応するパラメータに近づけるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とするものであり、前記基本図形が台形であり、前記噴射可変手段が、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角のうち、時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角の戻りタイミング(噴射終了タイミング)及び戻り角度について、両図形間における戻り角度の乖離量が許容レベル内に収まった状態で戻りタイミングの乖離量が許容レベルを超えている場合には、両図形で戻りタイミングが一致するように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものである、ことを特徴とする
請求項7に記載の発明では、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置において、前記基本図形が台形であり、前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角のうち、時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角の戻りタイミング及び戻り角度について、両図形間における戻り角度の乖離量が許容レベル内に収まった状態で戻りタイミングの乖離量が許容レベルを超えている場合には、両図形で戻りタイミングが一致するように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものであることを特徴とする。
請求項8に記載の発明では、所定の燃料噴射弁により、対象エンジンの燃料燃焼を行う部分であるシリンダ内又はその吸気通路又は排気通路へ、燃料を噴射する燃料供給システムに適用され、前記燃料噴射弁の噴射に伴い変動する燃料圧力を逐次検出する燃料圧力検出手段と、前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率がその時に時間軸に対する推移として描く図形を検出する図形検出手段と、前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く検出図形と所定の基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形がその基本図形と同一種類の図形になるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とする噴射可変手段と、を備え、前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較することにより、前記検出図形の所定パラメータを、前記基本図形の対応するパラメータに近づけるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とするものであり、前記基本図形が台形であり、前記噴射可変手段が、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角のうち、時系列的に最も早く訪れる台形の第1角の立ち上がり角度について、両図形間の乖離量が許容レベルを超えている場合には、その立ち上がり角度の調整は行わずに、前記検出図形における前記第1角の立ち上がりタイミングと時系列的に2番目に訪れる台形の第2角への到達タイミングとを、両図形の面積を一致させる方向へ移動させるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものである、ことを特徴とする
請求項9に記載の発明では、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置において、前記基本図形が台形であり、前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角のうち、時系列的に最も早く訪れる台形の第1角の立ち上がり角度について、両図形間の乖離量が許容レベルを超えている場合には、その立ち上がり角度の調整は行わずに、前記検出図形における前記第1角の立ち上がりタイミングと時系列的に2番目に訪れる台形の第2角への到達タイミングとを、両図形の面積を一致させる方向へ移動させるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものであることを特徴とする。
請求項11に記載の発明では、所定の燃料噴射弁により、対象エンジンの燃料燃焼を行う部分であるシリンダ内又はその吸気通路又は排気通路へ、燃料を噴射する燃料供給システムに適用され、前記燃料噴射弁の噴射に伴い変動する燃料圧力を逐次検出する燃料圧力検出手段と、前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率がその時に時間軸に対する推移として描く図形を検出する図形検出手段と、前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く検出図形と所定の基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形がその基本図形と同一種類の図形になるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とする噴射可変手段と、を備え、前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較することにより、前記検出図形の所定パラメータを、前記基本図形の対応するパラメータに近づけるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とするものであり、前記基本図形が台形であり、前記噴射可変手段が、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角のうち、時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角の戻り角度について、両図形間の乖離量が許容レベルを超えている場合には、その戻り角度の調整は行わずに、前記検出図形における前記第3角の立ち下がりタイミングと時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角の戻りタイミングとを、両図形の面積を一致させる方向へ移動させるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものである、ことを特徴とする
請求項12に記載の発明では、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置において、 前記基本図形が台形であり、前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角のうち、時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角の戻り角度について、両図形間の乖離量が許容レベルを超えている場合には、その戻り角度の調整は行わずに、前記検出図形における前記第3角の立ち下がりタイミングと時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角の戻りタイミングとを、両図形の面積を一致させる方向へ移動させるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものであることを特徴とする。
そして、上記請求項8又は9に記載の装置に関しては、前記噴射可変手段を、請求項10に記載の発明のように、前記検出図形と前記基本図形との間で前記第1角の立ち上がりタイミングが一致している場合には、それら両図形間での前記第2角への到達タイミングの乖離量の半分だけ、前記検出図形における立ち上がりタイミング及び到達タイミングをそれぞれ移動させるものとすることが有効である。
また、上記請求項11又は12に記載の装置に関しては、前記噴射可変手段を、請求項13に記載の発明のように、前記検出図形と前記基本図形との間で前記第4角の戻りタイミングが一致している場合には、それら両図形間での前記第3角の立ち下がりタイミングの乖離量の半分だけ、前記検出図形における立ち下がりタイミング及び戻りタイミングをそれぞれ移動させるものとすることが有効である。
上記請求項8、9、11、12のいずれか一項に記載の装置に関しては、このような構成とすることで、前記検出図形と前記基本図形とを、より容易且つ的確に一致又は近似させることが可能になり、ひいてはより適切な燃料噴射制御を行うことができるようになる。
請求項17に記載の発明では、所定の燃料噴射弁により、対象エンジンの燃料燃焼を行う部分であるシリンダ内又はその吸気通路又は排気通路へ、燃料を噴射する燃料供給システムに適用され、前記対象エンジンの運転状態に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率が時間軸に対する推移として描くべき基本図形を設定する基本図形設定手段と、前記基本図形設定手段により設定された基本図形に基づいて、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成する噴射指令作成手段と、前記燃料噴射弁に対する噴射指令に基づいて、前記燃料噴射弁の駆動を制御する駆動制御手段と、前記燃料噴射弁の噴射に伴い変動する燃料圧力を逐次検出する燃料圧力検出手段と、前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率がその時に時間軸に対する推移として描く図形を検出する図形検出手段と、前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く検出図形と前記基本図形設定手段により設定された基本図形とを比較することにより、実際に噴射率推移の描く図形がその基本図形と同一種類の図形になるように、且つ前記検出図形の面積を前記基本図形の面積に近づけるように前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とする噴射可変手段と、を備え、前記燃料供給システムが、前記燃料噴射弁へ供給する燃料を蓄圧保持するコモンレールと、該コモンレールから前記燃料噴射弁の燃料噴射口までの燃料通路のうち、前記コモンレールの燃料吐出口近傍よりも燃料下流側に位置する所定箇所についてその燃料通路内を流れる燃料の圧力を検出する一乃至複数の燃料圧力センサと、を備えるコモンレール式燃料噴射システムであり、前記燃料圧力検出手段は、前記燃料圧力センサの少なくとも1つの出力に基づいて、前記燃料圧力を逐次検出するものであり、前記燃料圧力センサの少なくとも1つは、前記燃料噴射弁の内部又は近傍に設けられてなる、ことを特徴とする。
このように、コモンレールから燃料噴射弁の燃料噴射口までの燃料通路のうち、コモンレールの燃料吐出口近傍よりも燃料下流側に位置する所定箇所の圧力を測定する態様で、上記燃料圧力センサを配設することにより、そのセンサの配設位置において、所定の噴射に係る燃料噴射弁の噴射動作(例えば電磁弁の開閉に基づいてニードルを駆動するタイプの噴射弁ではその電磁弁の開閉動作など)及び実噴射(該噴射動作を通じて実際に行われた噴射)の少なくとも一方による圧力変動態様を的確に検出することが可能になる。詳しくは、上記特許文献1に記載の装置では、基本的には、コモンレール内の圧力(レール圧)を測定するレール圧センサのみにより上記燃料噴射弁の噴射圧力を制御している。この装置において、噴射(噴射動作も含む)による圧力変動は、燃料噴射弁の燃料噴射口からコモンレールに到達するまでに減衰してしまい、レール圧の変動としては現れない。このため、こうした装置では、上記噴射により生じた圧力変動を精度よく検出することは困難である。これに対し、上記請求項17に記載の装置では、レール圧センサ(又はコモンレール近傍に設けられたセンサ)よりも燃料噴射口に近い位置で噴射圧力を測定する燃料圧力センサを備える。そのため、この圧力センサにより、噴射(噴射動作も含む)による圧力変動が減衰する前に、これを的確に捉えることが可能になる。したがって、このような装置によれば、前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力に基づいて、前記噴射可変手段により時々の噴射特性に応じて噴射特性をより適切に調整して、より適切な燃料噴射制御を行うことができるようになる。
前記燃料圧力センサの配設位置が前記燃料噴射弁の燃料噴射口に近い位置であるほどより高い精度で、その圧力センサのセンサ出力を通じて、噴射(噴射動作も含む)による圧力変動態様を検出することができるようになる。したがって、こうした圧力変動態様を高い精度で検出する上では、上記請求項17に記載のように、前記燃料噴射弁の内部又は近傍に前記燃料圧力センサを設けるようにした構成とすることが有効である。またこの場合、特に前記燃料圧力センサの少なくとも1つが、前記燃料噴射弁の燃料取込口に設けられた構成とすれば、同燃料圧力センサの取付け性や保守性が容易になるとともに、比較的安定して高い精度で圧力を検出することが可能になる。
請求項18に記載の発明では、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置において、 前記燃料供給システムが、前記燃料噴射弁へ供給する燃料を蓄圧保持するコモンレールと、該コモンレールから前記燃料噴射弁の燃料噴射口までの燃料通路のうち、前記コモンレールの燃料吐出口近傍よりも燃料下流側に位置する所定箇所についてその燃料通路内を流れる燃料の圧力を検出する一乃至複数の燃料圧力センサと、を備えるコモンレール式燃料噴射システムであり、前記燃料圧力検出手段は、前記燃料圧力センサの少なくとも1つの出力に基づいて、前記燃料圧力を逐次検出するものであり、前記燃料圧力センサの少なくとも1つは、前記燃料噴射弁の内部又は近傍に設けられてなることを特徴とする。
請求項19に記載の発明では、請求項14〜16のいずれか一項に記載の装置において、 前記燃料圧力センサの少なくとも1つは、前記燃料噴射弁の内部又は近傍に設けられてなることを特徴とする。
また、コモンレール式燃料噴射システムを構成する燃料噴射制御装置においては、例えばコモンレール内の圧力脈動を低減して安定した圧力により燃料噴射弁へ燃料を供給するなどの目的で、コモンレールと同コモンレールの燃料吐出側配管との接続部分に対して、該接続部分にて同配管を通じて前記コモンレールへ伝播される燃料脈動を軽減する燃料脈動軽減手段を設けることがある。この場合には、噴射(噴射動作も含む)による圧力変動が、燃料噴射弁の燃料噴射口で生じ、コモンレール燃料吐出側配管を通じてコモンレールへ向かって伝播してゆき、燃料脈動軽減手段にてそのうちの燃料脈動が軽減(減衰)される。したがって、こうした構成では、コモンレール内の圧力(レール圧)で噴射(噴射動作も含む)による圧力変動態様を正確に検出することがより困難になる。
この点、請求項14に記載の発明では、所定の燃料噴射弁により、対象エンジンの燃料燃焼を行う部分であるシリンダ内又はその吸気通路又は排気通路へ、燃料を噴射する燃料供給システムに適用され、前記対象エンジンの運転状態に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率が時間軸に対する推移として描くべき基本図形を設定する基本図形設定手段と、前記基本図形設定手段により設定された基本図形に基づいて、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成する噴射指令作成手段と、前記燃料噴射弁に対する噴射指令に基づいて、前記燃料噴射弁の駆動を制御する駆動制御手段と、前記燃料噴射弁の噴射に伴い変動する燃料圧力を逐次検出する燃料圧力検出手段と、前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率がその時に時間軸に対する推移として描く図形を検出する図形検出手段と、前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く検出図形と前記基本図形設定手段により設定された基本図形とを比較することにより、実際に噴射率推移の描く図形がその基本図形と同一種類の図形になるように、且つ前記検出図形の面積を前記基本図形の面積に近づけるように前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とする噴射可変手段と、を備え、前記燃料供給システムが、前記燃料噴射弁へ供給する燃料を蓄圧保持するコモンレールと、該コモンレールと同コモンレールの燃料吐出側配管との接続部分にて同配管を通じて前記コモンレールへ伝播される燃料脈動を軽減する燃料脈動軽減手段と、前記コモンレールから前記燃料噴射弁の燃料噴射口までの燃料通路のうち、前記燃料脈動軽減手段よりも燃料下流側に位置する所定箇所についてその燃料通路内を流れる燃料の圧力を検出する一乃至複数の燃料圧力センサと、を備えるコモンレール式燃料噴射システムであり、前記燃料圧力検出手段は、前記燃料圧力センサの少なくとも1つの出力に基づいて、前記燃料圧力を逐次検出するものであることを特徴とする。請求項15に記載の発明では、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置において、前記燃料供給システムが、前記燃料噴射弁へ供給する燃料を蓄圧保持するコモンレールと、該コモンレールと同コモンレールの燃料吐出側配管との接続部分にて同配管を通じて前記コモンレールへ伝播される燃料脈動を軽減する燃料脈動軽減手段と、前記コモンレールから前記燃料噴射弁の燃料噴射口までの燃料通路のうち、前記燃料脈動軽減手段よりも燃料下流側に位置する所定箇所についてその燃料通路内を流れる燃料の圧力を検出する一乃至複数の燃料圧力センサと、を備えるコモンレール式燃料噴射システムであり、前記燃料圧力検出手段は、前記燃料圧力センサの少なくとも1つの出力に基づいて、前記燃料圧力を逐次検出するものであることを特徴とする。こうした構成であれば、上記燃料脈動軽減手段により燃料脈動が軽減される前に、上記燃料圧力センサにて圧力変動態様を検出することが可能になり、ひいてはより高い精度で圧力変動態様を検出することが可能になる。
またこの場合、前記燃料脈動軽減手段としては、請求項16に記載の発明のように、オリフィス(絞り部)、フローダンパ、又はそれらの組合せによって構成されるものを用いることが有益である。こうした構成であれば、上記目的を好適に達成することができる。また、オリフィスやフローダンパで燃料脈動を軽減する技術は、既に実用化され実績のある技術であるため、実用性や信頼性も高い。
また一方、請求項20に記載のように、前記燃料圧力センサを前記コモンレールの燃料吐出側配管に配設する場合にはそのセンサを、前記コモンレールよりも前記燃料噴射弁の燃料噴射口の方に近い位置に設けた構成が有益である。上記請求項14〜19のいずれか一項に記載の装置においては、こうしたセンサの少なくとも1つを、燃料噴射弁で生じた圧力変動が減衰しきらない程度に、コモンレールよりも燃料噴射弁側へ近づけた位置に配設することが重要であり、そのためには、燃料噴射弁へ近い位置に配設することが好ましい。
請求項21に記載の発明では、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置において、 前記燃料供給システムが、前記燃料噴射弁へ供給する燃料を蓄圧保持するコモンレールと、該コモンレールから前記燃料噴射弁の燃料噴射口までの燃料通路のうち、前記コモンレールの燃料吐出口近傍よりも燃料下流側に位置する所定箇所についてその燃料通路内を流れる燃料の圧力を検出する一乃至複数の燃料圧力センサと、を備えるコモンレール式燃料噴射システムであり、前記燃料圧力検出手段は、前記燃料圧力センサの少なくとも1つの出力に基づいて、前記燃料圧力を逐次検出するものであり、前記燃料圧力センサの少なくとも1つは、前記コモンレールの燃料吐出側配管において、前記コモンレールよりも前記燃料噴射弁の燃料噴射口の方に近い位置に設けられてなることを特徴とする。
請求項22に記載の発明では、請求項14〜19のいずれか一項に記載の装置において、 前記燃料圧力センサの少なくとも1つは、前記コモンレールの燃料吐出側配管において、前記コモンレールよりも前記燃料噴射弁の燃料噴射口の方に近い位置に設けられてなることを特徴とする。
上記請求項14〜22のいずれか一項に記載の装置において、前記燃料圧力検出手段についてはこれを、請求項23に記載の発明のように、前記燃料圧力センサのセンサ出力を、該センサ出力で圧力推移波形の軌跡が描かれる程度に短い間隔にて逐次取得するものとすることが有効である。
噴射(噴射動作も含む)による圧力変動態様は通常、圧力推移波形として検出することができる。そして、こうした圧力推移波形(圧力変動態様)を高い精度で的確に検出するためには、上記構成のように、前記燃料圧力センサのセンサ出力を、その圧力推移波形が把握可能な程度に短い間隔で逐次取得する構成が有益である。具体的には、請求項24に記載の発明のように、前記燃料圧力検出手段を、前記燃料圧力センサのセンサ出力を「50μsec」よりも短い間隔で逐次取得するものとすることが有効である。現状採用されて
いる一般的なコモンレールシステムに上記請求項14〜22のいずれか一項に記載の装置を適用する場合には、上記構成のように、「50μsec」よりも短い間隔で上記センサ出
力を逐次取得する構成が、上述した圧力変動の傾向を的確に捉える上で特に有効である。ただし、高い精度で上記圧力変動態様を得る上では、より短い間隔でセンサ出力を逐次取得する構成がより好ましい。したがって通常、上記センサ出力(燃料圧力信号)の取得間隔は、センサ出力の取得回数が増えることによる不都合、例えば演算負荷の増大等の不都合を加味しつつ、より短い間隔に設定することが望ましい。
上記請求項1〜24のいずれか一項に記載の装置における前記基本図形としては、請求項25に記載の発明のように、三角形及び台形及び矩形のいずれか1つ、又はその少なくとも1種類を複数組み合わせた図形を採用することが有効である。
一般的な燃料噴射弁を採用した場合には通常、その噴射率推移の描く図形が、上記図形のうちの、いずれかに該当するようになる。したがって、上記請求項1〜24のいずれか一項に記載の装置について、一般的な燃料噴射弁を採用する場合には、こうした構成とすることが有益である。
請求項26に記載の発明では、上記請求項1〜25のいずれかに記載の装置において、前記基本図形自体(三角形、台形など)及びそのパラメータの少なくとも一方を、所定のパラメータ(例えば噴射圧力等の燃料噴射条件や、エンジン回転速度等のエンジン運転状態、運転者の運転操作に基づく要求トルクなど)に応じて可変設定する基本図形可変手段を備えることを特徴とする。
こうした構成であれば、時々の状況に応じて、前記基本図形自体(基本図形の種類)やそのパラメータを変更することが可能になり、ひいてはより実用的なかたちで上記装置を実現することができるようになる。なお、こうした基本図形可変手段は、マップ等を用いることで容易且つ的確に実現することができる。
上記請求項1〜26のいずれか一項に記載の装置に関しては、前記噴射可変手段についてはこれを、請求項27に記載の発明のように、前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く図形と前記基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形が、前記基本図形と面積の等しい図形になるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とするものとすることが有効である。
噴射率推移の描く図形の面積は、燃料噴射量(その噴射に係る噴射量)に相当し、エンジンから出力されるトルクは、主に燃料噴射量の大きさで決まる。そのため、エンジン制御に係る燃料噴射制御においては、燃料噴射量を所望の大きさに制御することが重要になる。この点、上記請求項27に記載の装置であれば、実際に噴射率推移の描く図形を、前記基本図形と同一種類の図形にするだけでなく、面積も等しい図形にすることができる。このため、同装置によれば、より適切な燃料噴射制御を行うことができるようになる。
上記請求項1〜27のいずれか一項に記載の装置に関しては、前記噴射可変手段についてはこれを、請求項28に記載の発明のように、前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く図形と前記基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形の角のタイミングが、前記基本図形と等しくなるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とするものとすることが有効であり、また、請求項29に記載の発明のように、前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く図形と前記基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形の噴射率が、前記基本図形と等しくなるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とするものとすることが有効である
エンジン制御に係る燃料噴射制御においては、前述した燃料噴射量のほか、その噴射期間におけるいずれの時間帯でどの程度の燃料量を噴射するか、が重要になる。そして、この特性を主に決めるものが、上記図形の角のタイミングや噴射率である。この点、上記請求項28に記載の装置では、実際に噴射率推移の描く図形を、前記基本図形と同一種類の図形にするだけでなく、その図形の角のタイミングについてもこれを、前記基本図形に等しくすることが可能になる。また、上記請求項29に記載の装置では、実際に噴射率推移の描く図形を、前記基本図形と同一種類の図形にするだけでなく、その図形の噴射率についてもこれを、前記基本図形に等しくすることが可能になる。このため、これらの装置によれば、より適切な燃料噴射制御を行うことができるようになる。
請求項30に記載の発明では、上記請求項1〜29のいずれか一項に記載の装置において、前記噴射可変手段が、前記噴射条件として、前記燃料噴射弁の噴射圧力を可変とするものである、ことを特徴とする。
噴射率推移の描く図形は、前記燃料噴射弁の噴射圧力に応じて変化する。この点、請求項30に記載の装置では、前記燃料噴射弁の噴射圧力を可変とすることで、実際に噴射率推移の描く図形を可変とすることができる。
またこの場合、前記燃料噴射弁が、切替可能な複数種の噴孔(例えば形状の異なる複数の噴孔)を備えるものである場合には、噴孔を切り替えることにより、前記燃料噴射弁の噴射圧力を可変とするようにしてもよい。また、前記燃料噴射弁が、増圧機構を備えるものである場合には、その増圧機構を操作することにより、前記燃料噴射弁の噴射圧力を可変とするようにしてもよい。ただし、一般的な燃料噴射弁への適用を考えた場合には、例えば請求項31に記載の発明のように、
・前記噴射可変手段が、前記燃料噴射弁に対して燃料を圧送供給する燃料ポンプの圧送量を可変とすることにより、前記燃料噴射弁の噴射圧力を可変とするものである構成。
あるいは請求項32に記載の発明のように、
・前記噴射可変手段が、前記燃料噴射弁に対して燃料を圧送供給する燃料ポンプの圧送タイミングを可変とすることにより、前記燃料噴射弁の噴射圧力を可変とするものである構成。
あるいは請求項33に記載の発明のように、
・前記噴射可変手段が、前記燃料噴射弁又はその燃料供給通路に設けられた減圧弁の弁開度を可変とすることにより、前記燃料噴射弁の噴射圧力を可変とするものである構成。
等々の構成が特に有効である。
請求項34に記載の発明では、上記請求項1〜33のいずれか一項に記載の装置において、前記噴射可変手段が、前記燃料噴射弁による噴射制御を行う際に用いられる噴射指令の書き込まれた所定の基準マップに対する補正係数を更新可能とすることにより、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を可変とするものである、ことを特徴とする。こうした構成であれば、より容易且つ的確に、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を可変とすることが可能になる。
請求項35に記載の発明では、上記請求項1〜34のいずれか一項に記載の装置において、前記噴射可変手段についてはこれを、対象エンジンの今回の燃焼サイクルについて、前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいて得た噴射結果を、次回以降の燃焼サイクルの噴射に反映させるかたちで前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものとすることを特徴とする。このようなフィードバックをかけながら、噴射指令の作成を継続的に行うことで、長期にわたって適正な燃料噴射を行うことが可能になる。
一方、請求項36に記載の発明では、上記請求項1〜34のいずれか一項に記載の装置において、前記噴射可変手段が、対象エンジンの1燃焼サイクルにおいて、前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいてその時までに検出された圧力推移を用いて、同サイクル中でその時よりも後に行うべき前記燃料噴射弁の燃料噴射に係る所定動作についての、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものである、ことを特徴とする。
このように、高い同時性で(リアルタイムに)噴射特性(圧力推移に相当)を検出しながら、先に検出された圧力推移に基づいて後の噴射動作を調整することで、前のタイミングの誤差を相殺することが可能になる。具体的には、前記燃料噴射に係る所定動作が、前記燃料噴射弁の閉弁動作である構成とすることが有効である。こうした構成であれば、その時までの検出図面の面積(噴射量)の誤差に応じて前記燃料噴射弁の閉弁タイミングを調整することが可能になる。このため、検出図面の面積ずれに起因した噴射量誤差を補償してその時の燃料噴射量を適正に維持することなどが可能になる。
上記請求項1〜36のいずれか一項に記載の装置における前記燃料噴射弁としては、例えば請求項37に記載の発明のように、
・所定の空間への流体の流入及び同空間からの流体の流出を制御する流体制御弁と、前記流体の流入及び流出に伴う前記空間の圧力変化に応じて当該燃料噴射弁の弁本体内部で往復動作して噴孔自体又は該噴孔までの燃料供給通路を開閉することにより当該燃料噴射弁の開弁及び閉弁を行うニードルと、を備えて構成される燃料噴射弁。
あるいは請求項38に記載の発明のように、
・弁本体内部での所定の往復動作に基づいて噴孔(燃料噴射口に相当)自体又は該噴孔までの燃料供給通路を開閉(開放・閉鎖)することにより当該燃料噴射弁の開弁及び閉弁を行うニードルを有し、前記燃料噴射弁に対する噴射指令に応じて前記ニードルの往復移動量を連続的に可変とする燃料噴射弁。
といった燃料噴射弁を用いることが有効である。
以下、本発明に係る燃料噴射制御装置を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態の装置は、例えばディーゼルエンジンを対象にしたコモンレール式燃料噴射システム(高圧噴射燃料供給システム)に搭載されている。すなわちこの装置も、先の特許文献1に記載の装置と同様、ディーゼルエンジンのシリンダ内の燃焼室に直接的に高圧燃料(例えば噴射圧力「1000気圧」以上の軽油)を噴射供給(直噴供給)する際に用いられる。
はじめに、図1を参照して、本実施形態に係るコモンレール式燃料噴射制御システム(車載エンジンシステム)の概略について説明する。なお、本実施形態のエンジンとしては、4輪自動車用の多気筒(例えば直列4気筒)エンジンを想定している。詳しくは、4ストロークのレシプロ式ディーゼルエンジン(詳しくは内燃機関)である。このエンジンでは、吸排気弁のカム軸に設けられた気筒判別センサ(電磁ピックアップ)にてその時の対象シリンダが逐次判別され、4つのシリンダ#1〜#4について、それぞれ吸入・圧縮・燃焼・排気の4行程による1燃焼サイクルが「720°CA」周期で、詳しくは例えば各シリンダ間で「180°CA」ずらしてシリンダ#1,#3,#4,#2の順に逐次実行される。図中のインジェクタ20は、燃料タンク10側から、それぞれシリンダ#1,#2,#3,#4用のインジェクタである。
同図1に示されるように、このシステムは、大きくは、ECU(電子制御ユニット)30が、各種センサからのセンサ出力(検出結果)を取り込み、それら各センサ出力に基づいて燃料供給系を構成する各装置の駆動を制御するように構成されている。ECU30は、吸入調整弁11cに対する電流供給量を調整して燃料ポンプ11の燃料吐出量を所望の値に制御することで、コモンレール12内の燃料圧力(燃圧センサ20aにて測定される時々の燃料圧力)を目標値(目標燃圧)にフィードバック制御(例えばPID制御)している。そして、その燃料圧力に基づいて、対象エンジンの所定シリンダに対する燃料噴射量、ひいては同エンジンの出力(出力軸の回転速度やトルク)を所望の大きさに制御している。
燃料供給系を構成する諸々の装置は、燃料上流側から、燃料タンク10、燃料ポンプ11、コモンレール12、及びインジェクタ20の順に、所定の配管で接続されて配設されている。このうち、燃料タンク10と燃料ポンプ11とは、燃料フィルタ10bを介して配管10aにより接続されている。
ここで、燃料タンク10は、対象エンジンの燃料(軽油)を溜めておくためのタンク(容器)である。また、燃料ポンプ11は、高圧ポンプ11a及び低圧ポンプ11bを有し、低圧ポンプ11bによって上記燃料タンク10から汲み上げられた燃料を、高圧ポンプ11aにて加圧して吐出するように構成されている。そして、高圧ポンプ11aに送られる燃料圧送量、ひいては燃料ポンプ11の燃料吐出量は、燃料ポンプ11の燃料吸入側に設けられた吸入調整弁(SCV:Suction Control Valve)11cによって調量されるようになっている。すなわち、この燃料ポンプ11では、吸入調整弁11c(例えば非通電時に開弁するノーマリオン型の調整弁)の駆動電流量(ひいては弁開度)を調整することで、同ポンプ11からの燃料吐出量を所望の値に制御することができるようになっている。
燃料ポンプ11を構成する2種のポンプのうち、低圧ポンプ11bは、例えばトロコイド式のフィードポンプとして構成されている。これに対し、高圧ポンプ11aは、例えばプランジャポンプからなり、図示しない偏心カム(エキセントリックカム)にて所定のプランジャ(例えば3本のプランジャ)をそれぞれ軸方向に往復動させることにより加圧室に送られた燃料を逐次所定のタイミングで圧送するように構成されている。いずれのポンプも、駆動軸11dによって駆動されるものである。ちなみにこの駆動軸11dは、対象エンジンの出力軸であるクランク軸41に連動し、例えばクランク軸41の1回転に対して「1/1」又は「1/2」等の比率で回転するようになっている。すなわち、上記低圧ポンプ11b及び高圧ポンプ11aは、対象エンジンの出力によって駆動される。
こうした燃料ポンプ11により燃料タンク10から燃料フィルタ10bを介して汲み上げられた燃料は、コモンレール12へ加圧供給(圧送)される。そして、コモンレール12は、その燃料ポンプ11から圧送された燃料を高圧状態で蓄えてこれを、シリンダごとに設けられた配管14(高圧燃料通路)を通じて、各シリンダ#1〜#4のインジェクタ20(燃料噴射弁)へそれぞれ供給する。なお、コモンレール12と配管14(コモンレール燃料吐出側配管)との接続部分12aには、配管14を通じてコモンレール12へ伝播される燃料脈動(主に噴射時にインジェクタ20の燃料噴射口にて発生)を軽減するオリフィス(燃料脈動軽減手段に相当する配管14の絞り部)が設けられており、コモンレール12内の圧力脈動を低減して安定した圧力で各インジェクタ20へ燃料を供給することができるようになっている。また、インジェクタ20(#1)〜(#4)の燃料排出口は、それぞれ余分な燃料を燃料タンク10へ戻すための配管18とつながっている。
図2に、上記インジェクタ20の詳細構造を示す。なお、上記4つのインジェクタ20(#1)〜(#4)は基本的には同様の構造(例えば図2に示す構造)となっている。いずれのインジェクタ20も、燃焼用のエンジン燃料(燃料タンク10内の燃料)を利用した油圧駆動式の燃料噴射弁であり、燃料噴射に際しての駆動動力の伝達が油圧室Cd(コマンド室)を介して行われる。
同図2に示されるように、このインジェクタ20は、内開弁タイプの燃料噴射弁であり、非通電時に閉弁状態となる、いわゆるノーマリクローズ型の燃料噴射弁として構成されている。このインジェクタ20には、コモンレール12から高圧燃料が送られてくるようになっている。また、このインジェクタ20の燃料取込口には、燃圧センサ20a(図1も併せ参照)が設けられており、同燃料取込口における燃料圧力(インレット圧)の随時の検出が可能とされている。具体的には、この燃圧センサ20aの出力により、当該インジェクタ20の実噴射や噴射動作に伴う燃料圧力変動(脈動パターンなど)や、無噴射時の静的な燃料圧力レベル(安定圧力)等を検出(測定)することができるようになっている。
このインジェクタ20の燃料噴射に際しては、二方電磁弁20bを構成するソレノイド201bに対する通電状態(通電/非通電)に応じてアウターバルブ202b(流体制御弁)がオリフィス(絞り部)of1を開閉し、油圧室Cdの密閉度合、ひいては同油圧室Cdの圧力(ニードル20cの背圧に相当)が増減される。そして、その圧力の増減により、スプリング20d(コイルばね)の伸張力に従って又は抗して、ニードル20cが弁筒内(ハウジング20e内)を往復動(上下)することで、噴孔20f(必要な数だけ穿設)までの燃料供給通路が、その中途(詳しくは往復動に基づきニードル20cが着座又は離座するテーパ状のシート面)で開閉される。ここで、ニードル20cの駆動制御は、いわばパルス幅の可変制御を通じて行われる。すなわち、ニードル20cの駆動部(上記二方電磁弁20b)には、ECU30からパルス信号(通電信号)が送られる。そして、ニードル20cのリフト量(シート面からの離間度合)が、そのパルス幅(通電時間に相当)に基づいて可変制御され、その制御に際しては、通電時間が長いほどリフト量が大きくなり、基本的には、リフト量が大きくなるほど噴射率(単位時間あたりに噴射される燃料量)が大きくなる。ちなみに、上記油圧室Cdの増圧処理は、コモンレール12からの燃料供給によって行われる。他方、油圧室Cdの減圧処理は、当該インジェクタ20と燃料タンク10とを接続する配管18(図1)を通じてその油圧室Cd内の燃料が上記燃料タンク10へ戻されることによって行われる。
このように、上記インジェクタ20は、弁本体(ハウジング20e)内部での所定の往復動作に基づいて噴孔20fまでの燃料供給通路を開閉(開放・閉鎖)することにより当該インジェクタ20の開弁及び閉弁を行うニードル20cを備える。そして、非駆動状態では、定常的に付与される閉弁側への力(スプリング20dによる伸張力)でニードル20cが閉弁側へ変位するとともに、駆動状態では、駆動力が付与されることにより上記スプリング20dの伸張力に抗してニードル20cが開弁側へ変位するようになっている。そしてこの際、それら非駆動状態と駆動状態とでは、ニードル20cのリフト量が略対称に変化する。
本実施形態では、上記インジェクタ20(#1)〜(#4)の近傍、特にその燃料取込口に対して、それぞれ燃圧センサ20aが設けられている。そして、これら燃圧センサ20aの出力に基づいて、所定の噴射について、インジェクタ20の実噴射や噴射動作に伴う燃料圧力の変動態様を高い精度で検出することができるようになっている(詳しくは後述)。
一方、図3は、本システムの燃料供給の対象となるディーゼルエンジンが備える4つのシリンダ#1〜#4のうち、その1つの内部構造を模式的に示す側面図である。なお、4つのシリンダ#1〜#4の構成は基本的には同様の構成となっているため、ここでは1つのシリンダ50(例えばシリンダ#1)に注目して、各シリンダの内部構造についての説明を行うこととする。
同図3に示されるように、このシリンダ50は、筒内にピストン51を収容して構成されている。そして、このピストン51に対しては、各シリンダ共通の出力軸としてフライホイール付きのクランク軸41が設けられ、ピストン51の往復動に連動してクランク軸41が回転するようになっている。また筒内において、ピストン51頂面とシリンダヘッドとの間には燃焼室Cmが形成されている。上述のインジェクタ20は、この燃焼室Cmに取り付けられている。さらに燃焼室Cmには、その内側に位置する検出部(燃焼室Cm内に差し込まれたプローブの先端部)にてシリンダ50内の圧力(筒内圧力)を測定してその測定値に対応した検出信号(電気信号)を出力する筒内圧センサ53が、例えば着火補助装置としてのグロープラグ(図示略)と一体にして設けられている。また、燃焼室Cmと吸気管及び排気管とをそれぞれ連通可能とする態様で、シリンダヘッドの部分には、吸気ポート及び排気ポートが設けられており、これら各ポートに対しては、それぞれ吸気弁52a及び排気弁52bが設けられている。このシリンダ50では、これら吸気弁52aと排気弁52bが、それぞれ上記クランク軸41に連動して回転するカム(詳しくはクランク軸41が2回転する時間で1回転するカム軸に取り付けられたカム)により駆動されることで、それぞれ所定のタイミングで往復動し、それら各弁体により上記吸気ポート及び排気ポートが開閉されるようになっている。
対象エンジンの各シリンダは、このような構造を有して構成されている。そして、エンジンの運転時には、吸気弁52aの開動作により吸入空気が吸気管からシリンダ50の燃焼室Cmへ導入され、これがシリンダ50内のピストン51により圧縮されつつ、インジェクタ20から直接的に噴射供給(直噴供給)された燃料と混ざり、混合気の状態で着火(自己着火)、燃焼し、排気弁52bの開動作により燃焼後の排気が排気管へ排出されることになる。こうして、燃焼室Cmでの燃料燃焼により各シリンダのピストンを順に往復動させることで、これら各ピストンの往復動に連動して上記出力軸としてのクランク軸41が回転するようになっている。
また、図示しない車両(例えば4輪乗用車又はトラック等)には、上記各センサのほかにもさらに、車両制御のための各種のセンサが設けられている。例えば対象エンジンの出力軸であるクランク軸41の外周側には、所定クランク角毎に(例えば30°CA周期で)クランク角信号を出力するクランク角センサ42(例えば電磁ピックアップ)が、同クランク軸41の回転角度位置や回転速度(エンジン回転速度)等を検出するために設けられている。また、アクセルペダル(運転操作部)には、同ペダルの状態(変位量)に応じた電気信号を出力するアクセルセンサ44が、運転者によるアクセルペダルの操作量(踏み込み量)を検出するために設けられている。
こうしたシステムの中で、本実施形態の燃料噴射特性検出装置及び燃料噴射指令補正装置として機能するとともに、電子制御ユニットとして主体的にエンジン制御を行う部分がECU30である。このECU30(エンジン制御用ECU)は、周知のマイクロコンピュータ(図示略)を備えて構成され、上記各種センサの検出信号に基づいて対象エンジンの運転状態やユーザの要求を把握し、それに応じて上記吸入調整弁11cやインジェクタ20等の各種アクチュエータを操作することにより、その時々の状況に応じた最適な態様で上記エンジンに係る各種の制御を行っている。また、このECU30に搭載されるマイクロコンピュータは、基本的には、各種の演算を行うCPU(基本処理装置)、その演算途中のデータや演算結果等を一時的に記憶するメインメモリとしてのRAM(Random Access Memory)、プログラムメモリとしてのROM(読み出し専用記憶装置)、データ保存用メモリとしてのEEPROM(電気的に書換可能な不揮発性メモリ)やバックアップRAM(ECU30の主電源停止後も車載バッテリ等のバックアップ電源により常時給電されているメモリ)、さらにはA/D変換器やクロック発生回路等の信号処理装置、外部との間で信号を入出力するための入出力ポート等といった各種の演算装置、記憶装置、信号処理装置、通信装置、及び電源回路等によって構成されている。そして、ROMには、当該噴射特性検出や噴射指令補正に係るプログラムを含めたエンジン制御に係る各種のプログラムや制御マップ等が、またデータ保存用メモリ(例えばEEPROM)には、対象エンジンの設計データをはじめとする各種の制御データ等が、それぞれ予め格納されている。
本実施形態では、ECU30が、随時入力される各種のセンサ出力(検出信号)に基づいて、その時に出力軸(クランク軸41)に生成すべきトルク(要求トルク)、ひいてはその要求トルクを満足するための燃料噴射量を算出する。こうして、インジェクタ20の燃料噴射量を可変設定することで、各シリンダ内(燃焼室)での燃料燃焼を通じて生成される図示トルク(生成トルク)、ひいては実際に出力軸(クランク軸41)へ出力される軸トルク(出力トルク)を制御する(要求トルクへ一致させる)ようになっている。すなわち、このECU30は、例えば時々のエンジン運転状態や運転者によるアクセルペダルの操作量等に応じた燃料噴射量を算出し、所望の噴射時期に同期して、その算出した燃料噴射量での燃料噴射を指示する噴射制御信号(駆動量)を上記インジェクタ20へ出力する。そしてこれにより、すなわち同インジェクタ20の駆動量(例えば開弁時間)に基づいて、対象エンジンの出力トルクが目標値へ制御されることになる。
なお周知のように、ディーゼルエンジンにおいては、定常運転時、新気量増大やポンピングロス低減等の目的で、同エンジンの吸気通路に設けられた吸気絞り弁(スロットル弁)が略全開状態に保持される。したがって、定常運転時の燃焼制御(特にトルク調整に係る燃焼制御)としては燃料噴射量のコントロールが主となっている。以下、図4を参照して、本実施形態に係る燃料噴射制御の基本的な処理手順について説明する。なお、この図4の処理において用いられる各種パラメータの値は、例えばECU30に搭載されたRAMやEEPROM、あるいはバックアップRAM等の記憶装置に随時記憶され、必要に応じて随時更新される。そして、これら各図の一連の処理は、基本的には、ECU30でROMに記憶されたプログラムが実行されることにより、対象エンジンの各シリンダについてそれぞれ1燃焼サイクルにつき1回の頻度で順に実行される。すなわち、このプログラムにより、1燃焼サイクルで休止シリンダを除く全てのシリンダに燃料の供給が行われることになる。
同図4に示すように、この一連の処理においては、まずステップS11で、所定のパラメータ、例えばその時のエンジン回転速度(クランク角センサ42による実測値)及び燃料圧力(燃圧センサ20aによる実測値)、さらには運転者によるその時のアクセル操作量(アクセルセンサ44による実測値)等を読み込む。そして、続くステップS12では、上記ステップS11で読み込んだ各種パラメータに基づいて(必要に応じて外部負荷による損失等も含めた要求トルクを別途算出して)噴射パターンを設定する。
なお、この噴射パターンは、例えば上記ROMに記憶保持された所定の基準マップ(噴射制御用マップ、数式でも可)及び補正係数に基づいて取得される。詳しくは、例えば予め上記所定パラメータ(ステップS11)の想定される範囲について実験等により最適噴射パターン(適合値)を求め、そのマップに書き込んでおく。ちなみに、この噴射パターンは、例えば噴射段数(1燃焼サイクル中の噴射回数)、並びにそれら各噴射の噴射時期(噴射タイミング)及び噴射時間(噴射量に相当)等のパラメータにより定められるものである。また本実施形態では、噴射率推移としてどのような図形を描かせるかを示す基準図形も、この噴射パターンのパラメータとして含ませるようにしている。この基準図形は、各噴射の特性を示す1パラメータとなっており、本実施形態では、この基準図形を、例えば面積及び噴射開始タイミングにて定義される台形とする。ここで、基準図形の面積、すなわち台形の面積は、燃料噴射量(その噴射に係る噴射量)に相当し、例えば単段噴射の場合にはその噴射の台形面積(燃料噴射量)が、また多段噴射の噴射パターンの場合にはトルクに寄与する各噴射の台形面積の総和(総燃料噴射量)が、それぞれ上記出力軸(クランク軸41)に生成すべきトルク(要求トルク、いわばその時のエンジン負荷に相当)に応じて可変設定される。
こうして、上記マップは、それらパラメータと最適噴射パターンとの関係を示すものとなっている。そして、このマップで取得された噴射パターンを、別途更新(詳しくは後述)されている補正係数(例えばECU30内のEEPROMに記憶)に基づいて補正する(例えば「設定値=マップ上の値/補正係数」なる演算を行う)ことで、その時に噴射すべき噴射パターンを得る。なお、上記噴射パターンの設定(ステップS12)には、同噴射パターンの要素(上記噴射段数等)ごと別々に設けられた各マップを用いるようにしても、あるいはこれら噴射パターンの各要素を幾つか(例えば全て)まとめて作成したマップを用いるようにしてもよい。
続くステップS13では、こうして設定された噴射パターンに基づいて、上記インジェクタ20に対する指令信号を作成する。
図5に、この噴射に係る指令信号の作成態様をタイムチャートとして示す。なお、この図5において、(a)は指令信号を、(b)は基準図形を、それぞれ示している。
同図5(b)に示されるように、本実施形態では、基準図形が、面積Qcの台形として設定されており、その4角のタイミング及び噴射率は、図中の第1角〜第4角P1〜P4、すなわちタイミングt10,t20,t30,t40や台形の高さDによって示されている。ここで、第2角P2から第3角P3までの期間(t20〜t30)を期間T1(台形の上底に相当)、第1角P1から第4角P4までの期間を期間T2(台形の下底に相当)とすると、燃料噴射量に相当する台形の面積Qcは、「Qc=1/2×D×(T1+T2)」と表すことができる。なお、本実施形態においては、上記台形の高さD、第1角P1の立ち上がり角度θ1、及び第4角の戻り角度θ2を、先のステップS11のパラメータの内容によらず一定の値(固定値)に設定するようにしている。
ステップS13では、実際に噴射率推移の描く図形がこうした台形になるように、上記インジェクタ20に対する指令信号(パルス信号)を作成する。すなわち、パルス信号の立ち上がりタイミングtp1が、第1角P1の立ち上がりタイミングよりも遅れ時間Td0の分だけ早いタイミングに設定される。そして、パルス信号の立ち下がりタイミングtp2から実際に噴射が終了する第4角の戻りタイミングt40までの時間的な遅れを遅れ時間Te0とした場合、パルス幅TQは、「TQ=T2+Td0−Te0」なる関係式に基づいて算出される。
こうして作成された噴射パターンに対応する指令値(例えば図5(a)参照)は、続くステップS14で使用される。すなわち、同ステップS14では、その指令値(指令信号)に基づいて(詳しくは上記インジェクタ20へその指令信号を出力して)、同インジェクタ20の駆動を制御する。これにより、車両の状況等に応じて、パイロット噴射、プレ噴射、アフタ噴射、ポスト噴射等が適宜メイン噴射と共に実行されることになる。このインジェクタ20の駆動制御をもって、図4の一連の処理を終了する。
本実施形態では、燃圧センサ20aの出力に基づいて、対象とするインジェクタ20の噴射率推移がその時に描く図形(その各種パラメータも含む)を検出するとともに、その検出された図形と前述した基本図形(図4のステップS12)とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形が、その基本図形に属する図形となり且つ、その基本図形と面積の等しい図形となるように、当該インジェクタ20に対する噴射指令を可変とするようにしている。具体的には、同インジェクタ20による噴射制御を行う際に用いられる噴射指令の書き込まれた基準マップ(図4のステップS12)に対する補正係数(厳密には複数種の係数のうちの上記基本図形に関する係数)を逐次更新することにより、同インジェクタ20に対する噴射指令を可変としている。
以下、図6〜図16を参照して、燃圧センサ20aの出力に基づいて、上記燃料噴射に係る各タイミング(噴射タイミング)を検出する場合の一態様について詳述する。
まず、この噴射タイミングの検出に際しては、燃圧センサ20aの出力を取り込み、その出力から、各タイミングにおける燃料圧力の1階微分値及び2階微分値を算出する。図6は、このデータ取得(センサ出力の取り込み及び保存、いわゆる学習処理)及び微分値算出に係る一連の処理を示すフローチャートである。なお、この図6に示す一連の処理は、基本的には、ECU30でROMに記憶されたプログラムが実行されることにより、所定処理間隔で(例えば「20μsec」間隔で)逐次実行される。また、同図6の処理において用いられる各種パラメータの値は、例えばECU30に搭載されたRAMやEEPROM、あるいはバックアップRAM等の記憶装置に随時記憶され、必要に応じて随時更新される。
同図6に示すように、この一連の処理に際しては、まずステップS21で、燃圧センサ20aの出力を取り込み、続くステップS22では、圧力値Pの前回値と今回値との差分として、圧力1階微分値dP(=P(今回値)−P(前回値))を算出し、続くステップS23では、圧力1階微分値dPの前回値と今回値との差分として、圧力2階微分値ddP(=dP(今回値)−dP(前回値))を算出する。そして、続くステップS24において、それら各データP,dP,ddPを保存して、この一連の処理を終了する。
次に、図7及び図8を参照して、図6の処理の実行期間、及びその設定態様について説明する。なお、図7及び図8において、(a)はインジェクタ20に対する噴射指令信号(パルス信号)の推移を、(b)は噴射率(単位時間あたりに噴射される燃料量)の推移を、(c)は上記燃圧センサ20a(図1)により検出される燃料圧力(インレット圧)の推移を、それぞれ示すタイムチャートである。
図7に示されるように、本実施形態では、エンジンの1燃焼サイクル中に複数の噴射(例えば図中のパイロット噴射Prt、メイン噴射Mn、ポスト噴射Pstの3段噴射)がインジェクタ20により行われることがある。センサ出力取得期間の設定に際しては、この燃焼サイクル中の最先の噴射(例えば図7中のパイロット噴射Prt)に係る噴射開始指令により指示される(換言すれば通電が開始される)インジェクタ20の噴射開始指示タイミング(タイミングt101)に対して、センサ出力取得期間(検出期間)の開始タイミングを設定することとする。さらに、同サイクル中の最後の噴射(例えば図7中のポスト噴射Pst)を実行した後の圧力変動態様に基づいて、より詳しくはポスト噴射Pstによる圧力変動が収束したタイミング(噴射終了タイミングに相当)に対して、上記検出期間の終了タイミング(タイミングt102)を設定することとする。こうすることにより、上記検出期間を、少なくともパイロット噴射Prtによる圧力変動の開始からポスト噴射Pstによる圧力変動の終了までの期間、すなわちインジェクタ20の実噴射による圧力変動の生じている期間(圧力変動期間)を含む所定の期間(タイミングt101〜t102)に限定的に設定するようにしている。
このように限定された期間であっても、基本的には、所望のデータ(噴射に係る圧力変動の波形)が得られる。このことは、上記検出期間の限定により除外された部分が、検出対象外の期間、すなわち通常では必要としないデータしか取得(検出)されない期間であることによる。そして、こうして検出期間を限定してより短い期間として設定することで、ECU30の処理負荷を軽減したり、RAMの使用記憶領域を小さくしたりすることができるようになる。
さらに本実施形態では、図8に示すように、上記の態様で設定された燃圧センサ20aの出力の逐次取得を行う期間(検出期間)のうち、同燃圧センサ20aの配設位置における燃料圧力が安定している期間(圧力安定期間)の少なくとも一部に対して、センサ出力の取得を一時的に休止する期間(休止期間t101a〜t102a)を設けるようにしている。詳しくは、インジェクタ20のニードル20c(図2)のリフト量が十分大きくなり、噴孔20f(図2)に対して十分な高圧燃料が供給されるようになると、噴孔20fの口径(燃料出口面積)による噴射限界で、噴射率が略一定に収束するようになる。したがってこの間は、噴射率の安定に伴い、燃圧センサ20aにより検出される圧力、すなわち同センサ20aの配設された燃料通路内の燃料圧力も安定するようになる。本実施形態では、同センサ20aの時々のセンサ出力(圧力変動態様)に基づき、こうした圧力安定期間の開始タイミング(タイミングt101a)を検出して、休止期間の開始タイミングを、その検出された圧力安定期間の開始タイミングt101a(厳密にいえば圧力安定期間の開始タイミングが確定したタイミング)に設定することとする。さらに、この休止期間の終了タイミングについてはこれを、インジェクタ20に対する噴射終了指令の指示する噴射終了指示タイミング(タイミングt102a)に設定することとする。
このように、本実施形態では、休止期間t101a〜t102aを設けることにより上記検出期間をさらに限定するようにしている。ただし、こうしてさらに限定された検出期間t101〜t101a,t102a〜t102であっても、基本的には、所望のデータ(噴射に係る圧力変動の波形)が得られる。このことは、上記検出期間の限定により除外された部分が、燃料圧力の安定している期間であり、基本的には、休止期間t101a〜t102a前後の圧力値に基づく補間演算等により予測可能であることによる。そして、こうして検出期間を限定してより短い期間として設定することで、ECU30の処理負荷のさらなる軽減を図ったり、RAMの使用記憶領域をさらに小さくしたりすることができるようになる。
図9は、上記図6のステップS21にて取得された圧力推移波形の一例を示すタイムチャートである。なお、この図9において、(a)にはインジェクタ20に対する噴射指令信号(パルス信号)の推移が、(b)には噴射率(単位時間あたりに噴射される燃料量)の推移が、また(c)には上記燃圧センサ20aにより検出される燃料圧力(インレット圧)の推移が、それぞれ実線PL10,R10,P10により示されている。
このように、先の図6のステップS21にて取得したセンサ出力には、高周波ノイズが含まれている。本実施形態では、こうしたセンサ出力をローパスフィルタ(バンドパスフィルタでも可)に通すことによりフィルタリング処理を施し、続くステップS22,S23において、そのフィルタリング処理後のデータ(高周波ノイズの除去されたデータ)に対して1階,2階の微分処理を施すことにより、上述の微分データを導出(算出)するようにしている。これにより、より高い精度で実噴射状態や噴射動作状態の変化に伴う燃料圧力の変化を検出することが可能になる。
図10は、上記図6の処理を通じて取得、保存(いわゆる学習)された圧力推移波形の一例を示すタイムチャートである。なお、この図10において、(a)は噴射率(単位時間あたりに噴射される燃料量)の推移を、(b)はセンサ出力に対して上記フィルタリング処理を施した後の波形データを、(c)(d)は、そのフィルタリング処理後のデータに対して1階,2階の微分処理を施した波形データを、それぞれ示すタイムチャートである。図10中、一点鎖線は燃料圧力レベル(噴射直前の燃料圧力)「75MPa」のデータを、実線は燃料圧力レベル「80MPa」のデータを、二点鎖線は燃料圧力レベル「85MPa」のデータを、それぞれ示している。
同図10(b)に示されるように、上記インジェクタ20に対する噴射指令パルスの立ち上がり(通電開始)タイミング(タイミングt0よりも前のタイミングに相当)よりも後の圧力推移は、その大きな傾向として、まず圧力不変の短い期間があり、その期間を過ぎると、図中のタイミングt0で、圧力が徐々に降下し始め、その後、タイミングt1で圧力が急峻に下がり始める、といった傾向を示す。ここで、始めの圧力不変の期間、及びその後の圧力が徐々に降下する期間t0〜t1は、上記インジェクタ20の無効噴射時間(無効噴射期間)に相当する。詳しくは、この無効噴射時間は、通電(噴射指令パルスの立ち上がり)からソレノイド201b(図2)により正常な磁界が形成されるまでの遅れ、並びに、アウターバルブ202bやニードル20c(図2)の慣性、燃料の慣性、及びノズル内部の壁面との摩擦等による動作遅れ、等々の各種の遅れの総和であり、いわば同インジェクタ20の駆動(通電)が開始されてから実際に燃料が噴射されるまでの時間に相当するものである。また、この無効噴射期間中、上記圧力不変の期間の後の期間では、圧力が徐々に降下している。これは、上記インジェクタ20の噴射動作により圧力のリークが発生していることを示しており、詳しくは同インジェクタ20が、噴射に係る動作(アウターバルブ202bの開動作)を開始してから実際に噴射が開始されるまでの間に圧力リークを伴うタイプの噴射弁であることに起因している。具体的には、前述したように、このインジェクタ20では、通電(ON)時、ニードル20cを駆動するために、オリフィスof1を開放して油圧室Cd内の燃料を燃料タンク10へ戻すようにしている。このため、コモンレール12による燃料圧力は、同インジェクタ20の噴射動作中に、オリフィスof1(図2)を通じて漏れる(リークする)ことになる。すなわち、この時の圧力降下(期間t0〜t1における圧力降下)が、上記無効噴射期間における緩やかな圧力降下(圧力リーク)に相当する。そして、これらに対し、上記圧力の急峻に下がり始める圧力降下点、すなわちタイミングt1が、当該インジェクタ20を通じて実際に噴射が開始されるタイミング、すなわち噴射開始タイミングに相当する。
同図10に示されるように、上記噴射開始タイミング(タイミングt1)後の圧力推移(圧力推移波形)は、その大きな傾向として、まずタイミングt1における前述の急峻な圧力降下から、タイミングt2の圧力極小点及びその圧力値での安定期間を経て、タイミングt2aで圧力上昇へ転じ、その後、タイミングt2bで圧力はいったん安定するものの、再びタイミングt3でその圧力は急峻に上昇し、やがてタイミングt4で噴射前の圧力値(ゼロクロス点)近傍のレベルに到達すると、その圧力値の近傍で波打つ(脈動する)ようになる、といった傾向を示す。
ここで、上記タイミングt2は、噴射率が最大となるタイミング(最大噴射率到達タイミング)、タイミングt2aは、アウターバルブ202bが閉じるタイミング、にそれぞれ相当する。またタイミングt3は、最大噴射率到達後に噴射率が降下を開始するタイミング(噴射率減少開始タイミング)に、タイミングt4は、当該インジェクタ20による噴射が停止するタイミング、すなわち噴射終了タイミングに、それぞれ相当する。そして、当該インジェクタ20では、噴射開始時の無効噴射時間と同様、噴射終了時にも、断電(噴射指令パルスの立ち下がり)から噴射終了タイミング(タイミングt4)までの間に遅れが生じることになる。
次に、図10に併せ図11〜図16を参照して、上記図10(b)〜(d)に示す圧力推移波形、すなわち上記図6の処理を通じて取得、保存(いわゆる学習)された圧力推移波形に基づいて、上記燃料噴射に係る各タイミング(タイミングt1〜t4)を検出する処理について詳述する。なお、図11、図13〜図15は、それら各タイミングの検出に係る一連の処理を示すフローチャートである。これら各図に示す一連の処理は、基本的には、ECU30でROMに記憶されたプログラムが実行されることにより、所定処理間隔で(例えば「20μsec」間隔で)逐次実行され、これら各処理が行われることで、上記各タイミングの検出、保存が、1噴射につき1回の頻度で、すなわち例えば単段噴射であれば1燃焼サイクルにつき1回、また2段噴射であれば1燃焼サイクルにつき2回の頻度で行われるようになっている。そして先の図6の処理と同様、これら各図の処理において用いられる各種パラメータの値も、例えばECU30に搭載されたRAMやEEPROM、あるいはバックアップRAM等の記憶装置に随時記憶され、必要に応じて随時更新されることになる。
まず、図11の処理は、上記噴射開始タイミング(タイミングt1)を検出するための処理である。
同図11に示されるように、この一連の処理においては、まずステップS31で、当該噴射について、噴射開始指令(通電開始)がなされており、且つ、タイミングt1が未検出であるか否かを判断し、このステップS31で、その噴射について、噴射開始指令がなされており、且つ、タイミングt1が未検出である旨判断された場合にのみ、ステップS32以降の処理を実行する。すなわち、このステップS31の条件を満足している期間が、上記タイミングt1の検出期間に相当する。
ステップS32では、先の図6のステップS23で算出した圧力2階微分値ddPが、所定の閾値K1よりも小さい(ddP<K1)か否かを判断する。
ここで、閾値K1は、「0」よりも小さい値(<0)、すなわち負の値に設定される。また、その値の設定に際しては、予め実験等により求められた複数のマップ、例えば図12(a)〜(c)に示すようなマップに基づいて可変設定される。これは、上述の噴射開始に伴う圧力下降(図10参照)の勾配が、噴射直前の燃料圧力(図10のタイミングt0よりも前の安定時の燃料圧力レベル)、噴射実行タイミング、及び筒内圧力などに応じて変化することに対応したものである。すなわち、圧力下降の勾配がより急峻になるほど、閾値K1をより小さな値(負側に大きい値)に設定する。
図12(a)は、燃料圧力レベル(燃圧センサ20aによる実測値)と、実験等により求められた閾値K1の適合値(最適値)との関係を示すマップである。同図12(a)に示されるように、このマップによれば、燃料圧力レベルが収束点(この例では「80MPa」)に到達するまでは、燃料圧力レベルが大きくなるほど閾値K1がより小さな値に設定される。そして、燃料圧力レベルが収束点に到達すると、燃料圧力レベルの増加に対して閾値K1の小さくなる度合が非常に小さくなる。
また、図12(b)は、噴射実行タイミングと、実験等により求められた閾値K1の適合値(最適値)との関係を示すマップである。なおここで、噴射実行タイミングは、インジェクタ20に対する噴射開始指令で指示される噴射開始指示タイミング、詳しくは噴射指令パルスの立ち上がり(通電開始)タイミングとして検出される。同図12(b)に示されるように、このマップによれば、噴射実行タイミングがTDC(上死点)に近づくほど、閾値K1がより小さな値に設定される。
また、図12(c)は、対象エンジンのシリンダ内の圧力(図3に示した筒内圧センサ53による実測値)と、実験等により求められた閾値K1の適合値(最適値)との関係を示すマップである。同図12(c)に示されるように、このマップによれば、筒内圧力が大きくなるほど、閾値K1がより小さな値に設定される。
このように、本実施形態では、圧力下降の勾配に合わせて閾値K1を可変設定することで、上記噴射に伴う圧力下降、ひいては噴射開始タイミング(図10のタイミングt1)をより高い精度で検出するようにしている。
このステップS32の処理は、タイミングt1の検出期間において繰り返し行われる。そして、同ステップS32で、圧力2階微分値ddPが閾値K1よりも小さくない旨判断された場合には、図11の一連の処理を終了し、圧力2階微分値ddPが閾値K1よりも小さい旨判断された場合には、続くステップS33にて、その時のタイミングを、噴射開始タイミング(タイミングt1)として、所定の記憶装置に保存する。また、そのタイミングt1における燃料圧力(噴射率の基準点(=0)に相当)も併せ、同記憶装置に保存する。なおこの場合は、必要に応じて所定のパラメータ(例えばデータ取得時のエンジン状態など)に関連付けつつ、ECU30の主電源停止後もデータを保持可能とする所定の記憶装置(例えばEEPROMやバックアップRAM)に対して、そのタイミング及び燃料圧力を保存することが有効である。こうすることで、例えば対象エンジンが停止され、当該ECU30に対する給電が遮断された後も消去されずに、記憶装置内にデータが不揮発に保持されるようになり、長期にわたるデータの保存、ひいてはそのデータの読み出しが可能になる。また、データを保存する際に所定パラメータに対して関連付けを行っておけば、データ読み出しの際にそのパラメータを利用することで必要なデータを容易に取り出すことが可能になり、データ解析等をより容易且つ的確に行うことができるようになる。
このように、本実施形態では、噴射開始に伴う圧力下降の生じたタイミング、ひいては噴射開始タイミング(図10のタイミングt1)を、圧力2階微分値ddPが閾値K1の大側から小側へ移行するタイミング(クロス点)として検出するようにしている。こうした検出方式によれば、上記圧力下降を的確にとらえることが可能になり、ひいては噴射開始タイミングを高い精度で検出することが可能になる。
図13の処理は、上記最大噴射率到達タイミング(タイミングt2)を検出するための処理である。
同図13に示されるように、この一連の処理においては、まずステップS41で、当該噴射について、タイミングt1が検出されており、且つ、タイミングt2が未検出であるか否かを判断し、このステップS41で、その噴射について、タイミングt1の検出がなされており、且つ、タイミングt2が未検出である旨判断された場合にのみ、ステップS42以降の処理を実行する。すなわち、このステップS41の条件を満足している期間が、上記タイミングt2の検出期間に相当する。
ステップS42では、先の図6のステップS22で算出した圧力1階微分値dPの前回値が「0」よりも小さくて(dP(前回値)<0)、且つ、圧力1階微分値dPの今回値が所定の閾値K2(例えば固定値、ただし可変値でもよい)以上である(dP(今回値)≧K2)か否かを判断する。ここで、閾値K2は、「0」よりも大きい値(>0)、すなわち正の値に設定される。
このステップS42の処理は、タイミングt2の検出期間において繰り返し行われる。そして、同ステップS42にて、「dP(前回値)<0」で且つ「dP(今回値)≧K2」ではない旨判断された場合には、図13の一連の処理を終了し、「dP(前回値)<0」で且つ「dP(今回値)≧K2」である旨判断された場合には、続くステップS43にて、その時のタイミングを、最大噴射率到達タイミング(図10のタイミングt2)として、所定の記憶装置(例えばEEPROMやバックアップRAMなど)に保存する。また、そのタイミングt2における燃料圧力(タイミングt1からの燃料圧力の低下量が同タイミングt2における噴射率に相当する)も併せ、同記憶装置に保存する。
このように、本実施形態では、噴射開始の際に生じた燃料圧力の急峻な下降が終わって燃料圧力が安定するタイミング、ひいては最大噴射率到達タイミング(図10のタイミングt2)を、圧力1階微分値dPが閾値K2の小側から大側へ移行するタイミング(クロス点)として検出するようにしている。こうした検出方式によれば、上記燃料圧力の安定するタイミングを的確にとらえることが可能になり、ひいては最大噴射率到達タイミングを高い精度で検出することが可能になる。
図14の処理は、上記噴射終了タイミング(タイミングt4)を検出するための処理である。
同図14に示されるように、この一連の処理においては、まずステップS51で、当該噴射について、タイミングt2が検出されており、且つ、タイミングt4が未検出であるか否かを判断し、このステップS51で、その噴射について、タイミングt2の検出がなされており、且つ、タイミングt4が未検出である旨判断された場合にのみ、ステップS52以降の処理を実行する。すなわち、このステップS51の条件を満足している期間が、上記タイミングt4の検出期間に相当する。
ステップS52では、先の図6のステップS22で算出した圧力1階微分値dPの前回値が「0」よりも大きくて(dP(前回値)>0)、且つ、圧力1階微分値dPの今回値が所定の閾値K3(例えば固定値、ただし可変値でもよい)以下である(dP(今回値)≦K3)か否かを判断する。ここで、閾値K3は、「0」よりも小さい値(<0)、すなわち正の値に設定される。
このステップS52の処理は、タイミングt4の検出期間において繰り返し行われる。そして、同ステップS52にて、「dP(前回値)>0」で且つ「dP(今回値)≦K3」ではない旨判断された場合には、図14の一連の処理を終了し、「dP(前回値)>0」で且つ「dP(今回値)≦K3」である旨判断された場合には、続くステップS53にて、その時のタイミングを、噴射終了タイミング(図10のタイミングt4)として、所定の記憶装置(例えばEEPROMやバックアップRAMなど)に保存する。また、そのタイミングt4における燃料圧力も併せ、同記憶装置に保存する。
このように、本実施形態では、噴射弁の閉弁に伴って生じた燃料圧力の急峻な上昇が終わって燃料圧力の脈動が始まるタイミング、ひいては噴射終了タイミング(図10のタイミングt4)を、圧力1階微分値dPが閾値K3の大側から小側へ移行するタイミング(クロス点)として検出するようにしている。こうした検出方式によれば、上記圧力変動態様の変化を的確にとらえることが可能になり、ひいては噴射終了タイミングを高い精度で検出することが可能になる。
図15の処理は、上記最大噴射率到達(タイミングt2)後に噴射率が降下を開始するタイミング(タイミングt3)を検出するための処理である。
同図15に示されるように、この一連の処理においては、まずステップS61で、当該噴射について、タイミングt4が検出されており、且つ、タイミングt3が未検出であるか否かを判断し、このステップS61で、その噴射について、タイミングt4の検出がなされており、且つ、タイミングt3が未検出である旨判断された場合にのみ、ステップS62以降の処理を実行する。
ステップS62では、噴射終了タイミング(タイミングt4)よりも所定の戻り時間Tcだけ前のタイミング(t4−Tc)として、上記最大噴射率到達後に噴射率が降下を開始するタイミング(図10のタイミングt3)を検出し、続くステップS63にて、そのタイミングt3を所定の記憶装置(例えばEEPROMやバックアップRAMなど)に保存する。また、そのタイミングt3における燃料圧力も併せ、同記憶装置に保存する。
ここで、戻り時間Tcは、予め実験等により求められた複数のマップ、例えば図16(a)(b)に示すようなマップに基づいて可変設定される。これは、噴射率が降下し始めてから噴射が終了するまでの時間が、噴射直前の燃料圧力(安定時の燃料圧力レベル)、及び噴射時間に応じて変化することに対応したものである。
図16(a)は、燃料圧力レベル(燃圧センサ20aによる実測値)と、実験等により求められた戻り時間Tcの適合値(最適値)との関係を示すマップである。同図16(a)に示されるように、このマップによれば、燃料圧力レベル(ベース圧力)が大きくなるほど、戻り時間Tcがより短い値に設定される。
また、図16(b)は、噴射時間(例えば噴射指令のパルス幅として検出)と、実験等により求められた戻り時間Tcの適合値(最適値)との関係を示すマップである。同図16(b)に示されるように、このマップによれば、噴射時間が長くなるほど、戻り時間Tcがより長い値に設定される。
このように、本実施形態では、上記図14の処理により検出されたタイミングt4との相対的な位置関係に基づいて、上記最大噴射率到達後に噴射率が降下を開始するタイミング(図10のタイミングt3)を検出するようにしている。こうした検出方式によれば、図10のタイミングt3を容易に高い精度で検出することが可能になる。
以上のように、本実施形態では、上記燃圧センサ20aの出力に基づいて、各噴射について(多段噴射の場合は1燃焼サイクル中に複数の噴射について)、それぞれ上記図6、図11、図13〜図15の処理により、噴射開始タイミング、最大噴射率到達タイミング、最大噴射率到達後に噴射率が降下を開始するタイミング、及び噴射終了タイミングを逐次検出する。そして、これら各タイミングから、詳しくは各タイミングの点を結線して図形とし、対象とするインジェクタ20の噴射率推移がその時に描く図形自体(台形)及びそのパラメータ(台形の面積や、台形の角のタイミング・噴射率)を検出する。本実施形態においては、この図形自体(台形)及びそのパラメータを検出するプログラムが、「図形検出手段」に相当する。
次に、その検出された図形(検出図形)と前述した基本図形(図4のステップS12)とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形が、その基本図形に属する図形となり且つ、その基本図形と面積の等しい図形となるように、基準マップ(図4のステップS12)に対する補正係数(厳密には複数種の係数のうちの上記基本図形に関する係数)を逐次更新する。すなわち、検出図形が台形以外の図形、例えば三角形やブーツ型であった場合には、次回以降の燃焼サイクルにおいてはその噴射率推移の描く図形が台形になるように、補正係数を更新する。
以下、図17〜図21に、この補正係数の更新態様をタイムチャートとして示す。なお、これら各図において、(a)は指令信号を、(b)は噴射率推移を、それぞれ示している。
図17に示す例では、検出図形(実線)と基本図形(破線)との両図形間において、第1角P1の立ち上がり角度は一致(共に角度θ1)した状態で、第1角P1の立ち上がりタイミング(噴射開始タイミング)にずれ(タイミングt10とタイミングt1との間の乖離量Td1)が生じている。これら両図形間では、第3角P3及び第4角P4は一致しており、第1角P1及び第2角P2については、基本図形に対して時間軸に平行に遅れが生じている。本実施形態では、これら検出図形と基本図形とを比較して、両図形間における立ち上がり角度の乖離量(この例では「0」)が許容レベル内に収まった状態(例えば「立ち上がり角度の乖離量<所定の判定値」)で、上記立ち上がりタイミングの乖離量Td1(=タイミングt1−タイミングt10)が許容レベルを超えている(例えばTd1>所定の判定値)か否かを判断する。そして、第1角P1の立ち上がりタイミングの乖離量Td1が許容レベルを超えている場合には、それら両図形で立ち上がりタイミングが一致するように、上記補正係数(噴射指令に相当)を作成するようにしている。すなわち、その補正係数により、立ち上がりタイミングの乖離量Td1だけパルス信号の立ち上がりタイミングtp1を早めるようにして、図中に示すように、立ち上がりタイミングtp1aのパルス信号を作成する。
図18に示す例では、検出図形(実線)と基本図形(破線)との両図形間において、第4角P4の戻り角度は一致(共に角度θ2)した状態で、第4角P4の戻りタイミング(噴射終了タイミング)にずれ(タイミングt40とタイミングt4との間の乖離量Td2)が生じている。これら両図形間では、第1角P1及び第2角P2は一致しており、第3角P3及び第4角P4については、基本図形に対して時間軸に平行にずれが生じている(詳しくは、実際に検出された戻りタイミングt4が、基準図形のタイミングt40よりも早くなっている)。本実施形態では、これら検出図形と基本図形とを比較して、両図形間における戻り角度の乖離量(この例では「0」)が許容レベル内に収まった状態(例えば「戻り角度の乖離量<所定の判定値」)で、戻りタイミングの乖離量Td2(=タイミングt40−タイミングt4)が許容レベルを超えている(例えばTd2>所定の判定値)か否かを判断する。そして、第4角P4の戻りタイミングの乖離量Td2が許容レベルを超えている場合には、それら両図形で戻りタイミングが一致するように、上記補正係数(噴射指令に相当)を作成するようにしている。すなわち、その補正係数により、戻りタイミングの乖離量Td2だけパルス信号の立ち下がりタイミングtp2を遅くするようにして、図中に示すように、立ち下がりタイミングtp2aのパルス信号を作成する。
図19に示す例では、検出図形(実線)と基本図形(破線)との両図形間において、第1角P1の立ち上がり角度にずれ(角度θ1と角度θ1aとの間のずれ)が生じている。これら両図形間では、第1角P1、第3角P3、及び第4角P4は一致しており、第2角P2についてだけ、基本図形に対して時間軸に平行に遅れが生じている。本実施形態では、これら検出図形と基本図形とを比較して、第1角P1の立ち上がり角度について、両図形間の乖離量が許容レベルを超えている(例えば「角度θ1−角度θ1a」>所定の判定値)か否かを判断する。そして、第1角P1の立ち上がり角度の乖離量が許容レベルを超えている場合には、その立ち上がり角度の調整は行わずに、検出図形における第1角P1の立ち上がりタイミングt1と第2角P2の安定タイミングt2とを、両図形の面積を一致させる方向へ移動させるように、詳しくは検出図形におけるタイミングt1,t2をそれぞれ図中のタイミングt10b,t20bまで移動させるように、上記補正係数(噴射指令に相当)を作成するようにしている。すなわち、その補正係数により、検出図形と基本図形との間での安定タイミングの乖離量Td3(=タイミングt2−タイミングt20)の半分(Td3/2)だけ、パルス信号の立ち上がりタイミングtp1を早めるようにして、図中に示すように、立ち上がりタイミングtp1bのパルス信号を作成する。
図20に示す例では、検出図形(実線)と基本図形(破線)との両図形間において、第3角P3の立ち下がり角度にずれ(角度θ2と角度θ2aとの間のずれ)が生じている。これら両図形間では、第1角P1、第2角P2、及び第4角P4は一致しており、第3角P3についてだけ、基本図形に対して時間軸に平行にずれが生じている(詳しくは、実際に検出された立ち下がりタイミングt3が、基準図形のタイミングt30よりも早くなっている)。本実施形態では、これら検出図形と基本図形とを比較して、第4角P4の戻り角度について、両図形間の乖離量が許容レベルを超えている(例えば「角度θ2−角度θ2a」>所定の判定値)か否かを判断する。そして、第4角P4の戻り角度の乖離量が許容レベルを超えている場合には、その戻り角度の調整は行わずに、検出図形における第3角P3の立ち下がりタイミングt3(最大噴射率到達後に噴射率が降下を開始するタイミング)と第4角P4の戻りタイミングt4(噴射終了タイミング)とを、両図形の面積を一致させる方向へ移動させるように、詳しくは検出図形におけるタイミングt3,t4をそれぞれタイミングt30b,t40bまで移動させるように、上記補正係数(噴射指令に相当)を作成するようにしている。すなわち、その補正係数により、検出図形と基本図形との間での立ち下がりタイミングの乖離量Td4(=タイミングt30−タイミングt3)の半分(Td4/2)だけ、パルス信号の立ち下がりタイミングtp2を遅くするようにして、図中に示すように、立ち下がりタイミングtp2bのパルス信号を作成する。
図21に示す例では、検出図形(実線)と基本図形(破線)との両図形間において、第1角P1〜第4角P4のタイミング及び噴射率のいずれにも、ずれが生じている。本実施形態では、検出図形の面積を、4つの角のタイミング及び噴射率よりも優先して、基本図形に近づけるようにしている。そしてこの際、最大噴射率(図5に示した台形の高さDに相当)や角度θ1a,θ2aを調整せずに、第1角P1〜第4角P4のタイミングを調整するようにしている。しかもこの調整に際しては、検出図形の4つの角のうち、第4角P4よりも優先して第1角P1を基本図形に近づけるようにしている。具体的には、検出図形の第1角P1のタイミングt1を、基本図形の第1角P1のタイミングt10に合わせた状態で、両図形の面積が等しくなるように、検出図形の第4角P4のタイミングt4をタイミングt40cまで移動させるように、上記補正係数(噴射指令に相当)を作成するようにしている。すなわち、その補正係数により、パルス信号の立ち上がりタイミングtp1を、その乖離量Td5a(=タイミングt1−タイミングt10)だけ早めるとともに、パルス信号の立ち下がりタイミングtp2を、その乖離量Td5b(=タイミングt40c−タイミングt4)だけ遅くするようにして、図中に示すように、立ち上がりタイミングtp1c、立ち下がりタイミングtp2cのパルス信号を作成する。こうすることで、基本図形とは最大噴射率の異なる台形であっても、その面積を等しくすることができる。
このように、本実施形態では、燃圧センサ20aの出力に基づいて、対象とするインジェクタ20の噴射率推移がその時に描く図形(そのパラメータも含む)を検出するとともに、その検出された図形(検出図形)と所定のマップに基づく基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形が、その基本図形に属する図形となり、且つ、その基本図形と面積の等しい図形となるように、基準噴射マップ(図4のステップS12)に対する補正係数を更新して、当該インジェクタ20に対する噴射指令を可変とするようにしている。
以上説明したように、本実施形態に係る燃料噴射制御装置によれば、以下のような優れた効果が得られるようになる。
(1)所定の燃料噴射弁(インジェクタ20)により、対象エンジンの燃料燃焼を行う部分であるシリンダ内へ、燃料を噴射供給する燃料供給システムに適用され、対象エンジンに対する燃料の噴射供給を制御する燃料噴射制御装置(エンジン制御用ECU30)として、インジェクタ20の噴射に伴い変動する燃料圧力を逐次検出するプログラム(燃料圧力検出手段、図6のステップS21)と、このプログラムにより逐次検出された燃料圧力推移に基づいて、インジェクタ20から単位時間あたりに噴射される燃料量(噴射率)がその時にその推移として描く図形自体及びそのパラメータを検出するプログラム(図形検出手段)と、このプログラムにより検出された噴射率推移の描く検出図形と所定の基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形がその基本図形に属する図形になるように、インジェクタ20に対する噴射指令を可変とするプログラム(噴射可変手段、図4のステップS12,S13及び図17〜図21)と、を備える構成とした。こうした構成とすることで、時々の噴射特性に応じて噴射特性を調整して、より適切な燃料噴射制御を行うことができるようになる。
(2)上記インジェクタ20へ供給する燃料を蓄圧保持するコモンレール12と、該コモンレール12からインジェクタ20の燃料噴射口(噴孔20f)までの燃料通路(配管14)のうち、コモンレール12の燃料吐出口近傍よりも燃料下流側に位置する所定箇所、詳しくは接続部分12a(オリフィス)よりもインジェクタ20側、より詳しくはコモンレール12よりもインジェクタ20の燃料噴射口の方に近い位置に相当するインジェクタ20の燃料取込口について、その燃料通路内を流れる燃料の圧力を検出する燃料圧力センサ(燃圧センサ20a)と、を備えるコモンレール式燃料噴射システムを適用対象とした。詳しくは、燃料圧力を検出するための燃圧センサ20aを、コモンレール12の燃料吐出側に接続された配管14のうち、コモンレール12よりもインジェクタ20の燃料噴射口の方に近い位置、より具体的には上記インジェクタ20の燃料取込口に取り付けるようにした。そして、図6のステップS21においては、燃圧センサ20aの出力に基づいて、上記インジェクタ20に供給される燃料の圧力を逐次検出するようにした。こうすることで、経時的な特性変化も含めた時々の噴射特性を示す脈動パターン(うねり特性など)を高い精度で検出することが可能になり、ひいてはその時々の噴射特性に応じて噴射特性をより適切に調整して、より適切な燃料噴射制御を行うことができるようになる。
(3)上記燃圧センサ20aを接続部分12a(オリフィス)よりもインジェクタ20側に設けたことで、オリフィスにより燃料脈動が軽減される前に上記燃圧センサ20aにて圧力変動態様を検出することが可能になり、ひいてはより高い精度で圧力変動態様を検出することが可能になる。
(4)一般にコモンレール12に取り付けられるレール圧センサを割愛したことで、コモンレール12近傍のスペースを大きく確保することが可能になる。そして、上記燃圧センサ20aを備える構成であれば、このようにレール圧センサを割愛した場合にも、燃圧センサ20aのセンサ出力に基づいて、通常の燃料噴射制御を適切に行うことが可能となる。
(5)図6の処理において、上記燃圧センサ20aのセンサ出力を、該センサ出力にて圧力推移波形の軌跡が描かれる程度に短い間隔で逐次取得するように構成した。これにより、上記圧力推移波形(圧力変動態様)を高い精度で的確に検出することができるようになる。
(6)図6の処理において、上記燃圧センサ20aのセンサ出力を「20μsec」間隔で逐次取得するように構成した。これにより、上記圧力推移波形(圧力変動態様)を的確に捉えることができるようになる。
(7)燃圧センサ20aが、シリンダ#1〜#4のインジェクタ20の燃料取込口に対して、それぞれ1つずつ設けられた構成とした。これにより、燃圧センサ20aの取付け性や保守性が容易になるとともに、比較的安定して高い精度で圧力を検出することが可能になる。
(8)基本図形として、台形を採用するようにした。図2に示したような油圧駆動式の燃料噴射弁を採用した場合には通常、その噴射率推移の描く図形が台形になる。このため、こうした構成とすることが特に有益である。
(9)基本図形のパラメータを、所定のパラメータ(図4のステップS11で取得された燃料圧力や、エンジン回転速度、アクセル操作量など)に応じて可変設定するプログラム(基本図形可変手段、図4のステップS12)を備える構成とした。こうした構成であれば、時々の状況に応じて、基本図形のパラメータを変更することが可能になり、ひいてはより実用的なかたちで上記装置を実現することができるようになる。ちなみに、本実施形態では、基本図形自体(基本図形の種類)は、図4のステップS11で取得されたパラメータの内容によらず全て台形としたが、これを可変設定するようにしてもよい。
(10)図4のステップS12,S13及び図17〜図21の処理により、検出図形と基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形が、基本図形と面積の等しい図形になるように、上記インジェクタ20に対する噴射指令を作成するようにした。こうすることで、より適切な燃料噴射制御を行うことができるようになる。
(11)図4のステップS12,S13及び図17〜図21の処理により、検出図形自体及びそのパラメータと基本図形自体及びそのパラメータとを比較することにより、検出図形の所定パラメータ(面積や角のタイミング)を、基本図形の対応するパラメータ(面積や角のタイミング)に近づけるように、上記インジェクタ20に対する噴射指令を可変とするようにした。こうすることで、それら図形を一致又は近似させることが可能になり、ひいてはより適切な燃料噴射制御を行うことができるようになる。
(12)同処理により、検出図形について、その図形の4つの角P1〜P4(図5)のタイミングよりも優先して図形の面積を基本図形に近づけるようにした。こうすることで、適正な燃料噴射量で対象エンジンに対して燃料の供給を行うことが可能になる。
(13)同処理(特に図21)により、検出図形の4つの角P1〜P4(図5)のうち、時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角P4よりも優先して時系列的に最も早く訪れる台形の第1角P1を基本図形に近づけるようにした。こうすることで、適正な噴射開始時期で対象エンジンに対して燃料の供給を行うことが可能になり、ひいては着火時期等についてもこれを、適正なタイミングに調整することが可能になる。
(14)同処理(特に図17)により、検出図形自体及びそのパラメータと基本図形自体及びそのパラメータとを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角P1〜P4(図5)のうち、時系列的に最も早く訪れる台形の第1角P1の立ち上がりタイミング(噴射開始タイミング)及び立ち上がり角度について、両図形間における立ち上がり角度の乖離量が許容レベル内に収まった状態で、立ち上がりタイミングの乖離量が許容レベルを超えている場合には、両図形で立ち上がりタイミングが一致するように、上記インジェクタ20に対する噴射指令を作成するようにした。こうすることで、より適切なかたちで燃料噴射制御を行うことができるようになる。
(15)同処理(特に図18)により、検出図形自体及びそのパラメータと基本図形自体及びそのパラメータとを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角P1〜P4(図5)のうち、時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角P4の戻りタイミング(噴射終了タイミング)及び戻り角度について、両図形間における戻り角度の乖離量が許容レベル内に収まった状態で、戻りタイミングの乖離量が許容レベルを超えている場合には、両図形で戻りタイミングが一致するように、上記インジェクタ20に対する噴射指令を作成するようにした。こうすることで、より適切なかたちで燃料噴射制御を行うことができるようになる。
(16)同処理(特に図19)により、検出図形自体及びそのパラメータと基本図形自体及びそのパラメータとを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角P1〜P4(図5)のうち、時系列的に最も早く訪れる台形の第1角P1の立ち上がり角度について、両図形間の乖離量が許容レベルを超えている場合には、その立ち上がり角度の調整は行わずに、検出図形における第1角P1の立ち上がりタイミングと時系列的に2番目に訪れる台形の第2角P2の安定タイミングとを、両図形の面積を一致させる方向へ移動させるように、上記インジェクタ20に対する噴射指令を作成するようにした。こうすることで、より適切なかたちで燃料噴射制御を行うことができるようになる。
(17)しかもこの場合、同処理(特に図19)により、検出図形と基本図形との間での立ち上がりタイミング及び安定タイミングの各乖離量の半分だけ、検出図形における立ち上がりタイミング及び安定タイミングをそれぞれ移動させるようにした。こうすることで、より適切なかたちで燃料噴射制御を行うことができるようになる。
(18)同処理(特に図20)により、検出図形自体及びそのパラメータと基本図形自体及びそのパラメータとを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角P1〜P4(図5)のうち、時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角P4の戻り角度について、両図形間の乖離量が許容レベルを超えている場合には、その戻り角度の調整は行わずに、検出図形における第3角P3の立ち下がりタイミングと時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角P4の戻りタイミングとを、両図形の面積を一致させる方向へ移動させるように、上記インジェクタ20に対する噴射指令を作成するようにした。こうすることで、より適切なかたちで燃料噴射制御を行うことができるようになる。
(19)しかもこの場合、同処理(特に図20)により、検出図形と基本図形との間での立ち下がりタイミング及び戻りタイミングの各乖離量の半分だけ、検出図形における立ち下がりタイミング及び戻りタイミングをそれぞれ移動させるようにした。こうすることで、より適切なかたちで燃料噴射制御を行うことができるようになる。
(20)同処理(特に図4のステップS12,S13)では、上記インジェクタ20による噴射制御を行う際に用いられる噴射指令の書き込まれた所定の基準マップに対する補正係数を更新可能とすることにより、上記インジェクタ20に対する噴射指令を可変とするようにした。こうすることで、より容易且つ的確に、上記インジェクタ20に対する噴射指令を可変とすることが可能になる。
(21)対象エンジンの今回の燃焼サイクルについて検出された燃料圧力推移に基づいて得た噴射結果(噴射データ)を、次回以降の燃焼サイクルの噴射に反映させるかたちで上記インジェクタ20に対する噴射指令を作成するようにした。そして、このようなフィードバックをかけながら噴射指令の作成を継続的に行うようにした。こうすることで、長期にわたって適正な燃料噴射を行うことが可能になる。
(22)対象エンジンに対して燃料を噴射供給する燃料噴射弁として、所定の空間(油圧室Cd)への流体の流入及び同空間(油圧室Cd)からの流体の流出を制御する流体制御弁(アウターバルブ202b)と、その流体の流入及び流出に伴う油圧室Cdの圧力変化に応じて当該燃料噴射弁の弁本体内部で往復動作して噴孔20fまでの燃料供給通路を開閉することにより当該燃料噴射弁の開弁及び閉弁を行うニードル(ニードル20c)と、を備えて構成される燃料噴射弁(インジェクタ20)を採用した。上記燃料噴射制御装置であれば、特別な燃料噴射弁を採用する必要はなく、こうした一般的な燃料噴射弁について、時々の噴射特性に応じて噴射特性を調整することで、より適切な燃料噴射制御を行うことができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施形態では、接続部分12aにオリフィスを設け、このオリフィスでコモンレール12内の圧力脈動を低減するようにした。しかし、このオリフィスに代えて、又はこのオリフィスと共に、フローダンパ(燃料脈動軽減手段)を設けることで、同コモンレール12内の圧力脈動を低減するようにしてもよい。
・上記実施形態では、図7及び図8に示した態様で、検出期間や休止期間を設定するようにした。しかしこれに限定されず、検出期間や休止期間の設定態様は任意である。これら検出期間及び休止期間は、例えば実験等により求めた固定値として設定するようにしても、あるいはマップ等を用いて時々の状況(特にエンジン運転状態)に応じた可変値として設定するようにしてもよい。また必要がなければ、休止期間を割愛してもよい。
・1燃焼サイクル中において、上記インジェクタ20に対する噴射指令を補正するようにしてもよい。具体的には、対象エンジンの1燃焼サイクルにおいて、上記図6のステップS21の処理により逐次検出された燃料圧力推移に基づいてその時までに検出された圧力推移を用いて、同サイクル中でその時よりも後に行うべき上記インジェクタ20の燃料噴射に係る所定動作についての、上記インジェクタ20に対する噴射指令(例えば同噴射弁の通電時間(パルス幅))を補正するプログラムを備える構成とすることも可能である。こうすることで、その時までの検出図面の面積(噴射量)の誤差に応じてその時よりも後の動作に係る上記インジェクタ20の噴射指令(例えば閉弁指令など)を調整することが可能になり、ひいては検出図面の面積ずれに起因した噴射量誤差を補償してその時の燃料噴射量を適正に維持することなどが可能になる。
・上記実施形態では、予め実験等により適合値を定めた適合マップ(図4のステップS12にて使用)を採用することを想定して、その適合マップによる噴射特性を補正するための補正係数を更新するようにした。しかしこれに限られず、例えばその補正係数に代えて補正後の値(補正係数を反映させた値)を、EEPROM等に格納する構成としてもよい。そしてこうした構成として、その補正後の値に十分な信頼性が得られれば、上記適合マップを必要としない構成、いわゆる適合レスの構成を採用することも可能になる。
・上記実施形態では、台形を採用するようにした。しかしこれに限られず、任意の図形を基本図形として採用することができる。ただし、より一般的な燃料噴射弁の特性を反映するような実用性の高い構成とする上では、基本図形として、三角形及び台形及び矩形のいずれか1つ、又はその少なくとも1種類を複数組み合わせた図形を採用することが有効である。代表的な例としては、上記台形状のほか、矩形状、三角形状(デルタ型)、ブーツ型(2つの台形の組み合わせに相当)などが知られている。
・上記実施形態では、燃料噴射弁に対する噴射指令を可変とすることで、噴射率推移の描く図形を可変制御するようにした。しかしこれに限られず、燃料噴射弁の噴射条件を可変とすることにより、噴射率推移の描く図形(図形の種類自体又はそのパラメータ)を可変制御するようにしてもよい。具体的には、例えば図22(a)〜(c)に示すような態様で、噴射率推移の描く図形を可変制御する。
図22(a)(b)に示す例では、台形状又は三角形状(デルタ型)の噴射率特性Qr11,Qr12について、噴射率の昇降速度の大小を調整するようにしている。詳しくは、これら図22(a)(b)において、噴射率特性Qr11a,Qr12aは、噴射率の昇降速度を大きくした例、噴射率特性Qr11b,Qr12bは、噴射率の昇降速度を小さくした例である。こうした昇降速度の調整は、例えばコモンレール12内の圧力、ひいては噴射圧力(燃料噴射弁の噴射条件の1つに相当)を調整(噴射圧力が大きくなるほど噴射率の昇降速度が速くなることを利用)することによって行うことができる。
具体的には、例えば上記インジェクタ20に対して燃料を圧送供給する燃料ポンプ11の圧送量を可変とする、詳しくは吸入調整弁11c(図1)の駆動電流量を調整することにより、コモンレール12内の圧力を可変とすることができる。例えば燃料ポンプ11の圧送量を多くすることで、上記コモンレール12内の圧力、ひいては噴射率の昇降速度及び最大噴射率が大きくなる。
また、上記インジェクタ20又はその燃料供給通路(例えばコモンレール12)に減圧弁を設け、その減圧弁の弁開度を可変とすることにより、コモンレール12内の圧力を可変とすることも可能である。例えば減圧弁の弁開度を開側に大きくすることで、上記コモンレール12内の圧力、ひいては噴射率の昇降速度及び最大噴射率が小さくなる。
また、上記インジェクタ20に対して燃料を圧送供給する燃料ポンプ11の圧送タイミングを可変とすることによっても、上記コモンレール12内の圧力を可変とすることができる。図23(a)〜(c)に、この圧力可変態様の一例をタイムチャートとして示す。なお、この図23において、(a)はインジェクタ20に対する噴射指令信号(パルス信号)の推移を、(b)は噴射率の推移を、また(c)は上記燃圧センサ20aにより検出される燃料圧力(インレット圧)の推移を、それぞれ示すタイムチャートである。
この図23に示す例では、燃料ポンプ11の燃料圧送のタイミングt201を、噴射開始タイミングに近づけるべく、例えば図中のタイミングt202に変更するようにしている。このように、燃料ポンプの圧送タイミングを噴射開始タイミングに近づけることで、圧力推移(燃圧センサ20aによる実測値)が実線L201から破線L202へと、また噴射率推移が実線L201aから破線L202aへとそれぞれ変化し、ひいては噴射率の昇降速度及び最大噴射率が大きくなる。
また、対象エンジンに対して燃料を噴射供給する燃料噴射弁として、切替可能な複数種の噴孔(例えば形状の異なる複数の噴孔)を備えるものを採用した場合には、それら噴孔を切り替えることにより、その燃料噴射弁の噴射圧力を可変とするようにしてもよい。また、燃料噴射弁が、増圧機構を備えるものである場合には、その増圧機構を操作することにより、同燃料噴射弁の噴射圧力を可変とするようにしてもよい。
さらに、対象エンジンに対して燃料を噴射供給する燃料噴射弁として、弁本体内部での所定の往復動作に基づいて噴孔(燃料噴射口に相当)自体又は該噴孔までの燃料供給通路を開閉(開放・閉鎖)することにより当該燃料噴射弁の開弁及び閉弁を行うニードルを有し、当該燃料噴射弁に対する噴射指令に応じてニードルの往復移動量を連続的に可変とする燃料噴射弁を採用した場合には、当該燃料噴射弁に対する噴射指令を通じてより高い自由度でその噴射率推移の描く図形を可変制御することが可能になる。
図24に、この種の燃料噴射弁、いわゆる直動式のピエゾインジェクタの構成の一例を示す。
同図24に示されるように、このインジェクタは、当該燃料噴射弁(より厳密には噴射孔101)の開弁及び閉弁を行うニードル102を直接的に駆動する駆動装置として、例えばPZT等の圧電材料の積層体(ピエゾスタック)からなるピエゾ素子103を備える。すなわち、このインジェクタにより燃料噴射を行う場合には、そのピエゾ素子103に対して所定電圧の印加を行う。そして、燃料噴射を行うべくピエゾ素子103に電圧の印加が開始されると、ピエゾ素子103の伸長に伴い、ピエゾピストン104が弁先端(噴射孔101側)へ変位する。これにより、第2油密室105、伝達通路106及び第1油密室107内の燃圧が上昇し、ひいてはニードル室108内の高圧燃料がニードル102を弁後方側に押す力と、第1油密室107内の燃料がニードルストッパ109を弁後方側に押す力とが大きくなる。そして、これらの力の総和が、スプリング110及び低圧燃料がニードルストッパ109を弁先端側に押す力と、バランス室111内の高圧燃料がバランスピストン112の背面を弁先端側に押す力との総和を上回ると、ニードル102が弁後方側に変位し、当該インジェクタが開弁することになる。すなわちこれにより、弁内部の燃料が噴射孔101を介して外部に噴射されることになる。
一方、ピエゾ素子103に対する電圧の印加が停止されると、ピエゾ素子103の収縮に伴い、ピエゾピストン104が弁後方側に変位する。このため、第2油密室105、伝達通路106及び第1油密室107内の燃圧が低下し、ひいてはスプリング110及び低圧燃料がニードルストッパ109を先端側に押す力と、バランス室111内の高圧燃料がバランスピストン112の背面を弁先端側に押す力とが大きくなる。そして、これらの力の総和が、ニードル室108内の高圧燃料がニードル102を弁後方側に押す力と、第1油密室107内の燃料がニードルストッパ109を弁後方側に押す力との総和を上回ると、ニードル102に弁先端側への力が付与され、ピエゾインジェクタが閉弁することになる。すなわちこれにより、燃料噴射が終了することになる。
このインジェクタでは、ピエゾ素子103の変位量に応じて、ひいては当該燃料噴射弁に対する噴射指令(ピエゾ素子103の通電量)に応じて、ニードル102の弁後方側への変位量(往復移動量)、いわゆるリフト量が連続的に変化する。このリフト量は、例えばピエゾ素子103の変位量に比例する。このため、当該燃料噴射弁の閉弁に対応するリフト量ゼロから最大のリフト量であるフルリフト量までの間で、リフト量を任意に制御することができる。
このような直動式の燃料噴射弁を採用した場合には、図21(c)に示すように、段階的な昇降を行うタイプ、いわゆるブーツ型の噴射率特性Qr13による燃料噴射を行うことが可能になる。そして、当該噴射弁に対する噴射指令に基づいて、高い自由度でその噴射率推移の描く図形を可変制御することが可能になる。具体的には、同図21(c)に示すように、噴射率特性Qr13から噴射率特性Qr13aへというように、噴射率上昇のタイミングを早めることなどができる。上述の直動式のインジェクタであれば、こうした昇降タイミングの調整も、燃料噴射弁に対する噴射指令を調整することによって容易に行うことができる。
また、このような直動式の燃料噴射弁を採用した場合にあっても、先の図21に示したように、検出図形(実線)と基本図形(破線)との両図形間において、第1角P1〜第4角P4のタイミング及び噴射率のいずれにも、ずれが生じているときには、検出図形の面積を、4つの角のタイミング及び噴射率よりも優先して、基本図形に近づける構成が有効である。そしてこの際、検出図形の4つの角を、時系列的に最も早く訪れる台形の第1角P1、時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角P4、時系列的に2番目に訪れる台形の第2角P2、時系列的に3番目に訪れる台形の第3角P3の優先順位で(すなわちこの順に誤差が少なくなるように)、基本図形に近づけ、実際に噴射率推移の描く図形の角のタイミング及び噴射率が基本図形と等しくなる(又は近くなる)ように、上記インジェクタに対する噴射指令を作成する構成とすることがより有効である。
なお、こうした噴射率特性(噴射率の変動態様)の推定や調整は、メイン噴射に限らず、多段噴射の場合はメイン噴射の前後に行われる噴射(例えばパイロット噴射やポスト噴射など)について行うようにしてもよい。
・上記インジェクタ20の最大噴射率到達後に噴射率が降下を開始するタイミング(タイミングt3)は、単位時間あたりの圧力変化量が所定レベルを上回る急峻な圧力上昇の開始点として、例えば図5のステップS23の処理を通じて取得された燃料圧力の2階微分値が所定の閾値の小側から大側へ移行するタイミングとして、圧力推移の変曲点を求め、その圧力変曲点に基づいて検出するようにしてもよい(図10(d)参照)。こうすることで、上記タイミングt3をより的確に検出することが可能になる。
・上記実施形態では、燃料圧力を検出するための燃圧センサ20a(燃料圧力センサ)を、上記インジェクタ20の燃料取込口に取り付けるようにした。しかしこれに限られず、この燃圧センサ20aを、上記インジェクタ20の内部(例えば図2の噴孔20f近傍)に設けるようにしてもよい。また、こうした燃料圧力センサの数は任意であり、例えば1つのシリンダの燃料流通経路に対して2つ以上のセンサを設けるようにしてもよい。また上記実施形態では、燃圧センサ20aを各シリンダに対して設けるようにしたが、このセンサを一部のシリンダ(例えば1つのシリンダ)だけに設け、他のシリンダについてはそのセンサ出力に基づく推定値を用いるようにしてもよい。
・上記実施形態では、筒内圧センサ53を各シリンダに対して設けるようにしたが、このセンサを一部のシリンダ(例えば1つのシリンダ)だけに設けるようにしてもよい。そして、こうして筒内圧センサを全てのシリンダには設けずに一部のシリンダだけに設ける場合には、筒内圧センサを設けたシリンダで求めた筒内圧力の実測値を用いて他のシリンダの筒内圧力を推定するような構成とすることが有効である。こうすることで、センサの数や演算負荷を極力抑えつつ、多くのシリンダについて、その筒内圧力を測定するとともに、その測定値に基づき噴射特性(噴射量等)を高い精度で制御(コントロール)することができるようになる。また必要がなければ、筒内圧センサ53を割愛してもよい。
・上記実施形態では、「20μsec」間隔(周期)で上記燃圧センサ20aのセンサ出力を逐次取得する構成について言及したが、この取得間隔は、上述した圧力変動の傾向を捉えることができる範囲で適宜に変更可能である。ただし、発明者の実験によると、「50μsec」よりも短い間隔が有効である。
・上記燃圧センサ20aに加えて、さらにコモンレール12内の圧力を測定するレール圧センサを備える構成とすることも有効である。こうした構成であれば、上記燃圧センサ20aによる圧力測定値に加え、コモンレール12内の圧力(レール圧)も取得することができるようになり、より高い精度で燃料圧力を検出することができるようになる。
・制御対象とするエンジンの種類やシステム構成も、用途等に応じて適宜に変更可能である。
例えば上記実施形態では、一例としてディーゼルエンジンに本発明を適用した場合について言及したが、例えば火花点火式のガソリンエンジン(特に直噴エンジン)等についても、基本的には同様に本発明を適用することができる。また、本発明に係る装置及びシステムは、シリンダ内に燃料を直接的に噴射する燃料噴射弁に限らず、エンジンの吸気通路又は排気通路に燃料を噴射する燃料噴射弁についても、その燃料噴射特性の制御等のために用いることができる。また、対象とする燃料噴射弁は、図2に例示したインジェクタに限られず、任意である。例えばニードルにより噴孔自体を開閉するものであっても、外開弁タイプの燃料噴射弁であってもよい。そして、上記実施形態についてこうした構成の変更を行う場合には、上述した各種の処理(プログラム)についても、その細部を、実際の構成に応じて適宜最適なかたちに変更(設計変更)することが好ましい。
・上記実施形態及び変形例では、各種のソフトウェア(プログラム)を用いることを想定したが、専用回路等のハードウェアで同様の機能を実現するようにしてもよい。
本発明に係る燃料噴射制御装置の一実施形態について、該装置の搭載されたシステムの概略を示す構成図。 同システムに用いられる燃料噴射弁の内部構造を模式的に示す内部側面図。 同システムの燃料供給の対象となるディーゼルエンジンが備える4つのシリンダ#1〜#4のうち、その1つの内部構造を模式的に示す側面図。 本実施形態に係る燃料噴射制御処理の基本的な手順を示すフローチャート。 (a)(b)は、それぞれ燃料噴射弁に対する指令信号の作成態様を示すタイムチャート。 データ取得(学習処理)及び微分値算出に係る一連の処理を示すフローチャート。 (a)〜(c)は、それぞれ同学習処理に係る実行期間の設定態様を示すタイムチャート。 (a)〜(c)は、それぞれ同学習処理に係る実行期間の設定態様を示すタイムチャート。 (a)〜(c)は、それぞれ噴射パラメータの推移を示すタイムチャート。 (a)〜(d)は、それぞれ噴射パラメータの推移を示すタイムチャート。 噴射開始タイミングを検出する一連の処理を示すフローチャート。 (a)〜(c)は、それぞれ同噴射開始タイミングの検出に用いられる閾値を可変設定するためのマップ。 最大噴射率到達タイミングを検出する一連の処理を示すフローチャート。 噴射終了タイミングを検出する一連の処理を示すフローチャート。 最大噴射率到達後に噴射率が降下を開始するタイミングを検出する一連の処理を示すフローチャート。 (a)(b)は、それぞれ噴射率降下開始タイミングの検出に用いられる戻り時間を可変設定するためのマップ。 (a)(b)は、燃料噴射弁に対する指令信号の補正係数の更新態様を示すタイムチャート。 (a)(b)は、同補正係数の別の更新態様を示すタイムチャート。 (a)(b)は、同補正係数の別の更新態様を示すタイムチャート。 (a)(b)は、同補正係数の別の更新態様を示すタイムチャート。 (a)(b)は、同補正係数の別の更新態様を示すタイムチャート。 (a)〜(c)は、それぞれ噴射率推移の描く図形についてその可変制御態様を示すタイムチャート。 (a)〜(c)は、圧力可変態様の一例を示すタイムチャート。 直動式のピエゾインジェクタの構成の一例を示す内部側面図。
符号の説明
11…燃料ポンプ、12…コモンレール、20…インジェクタ、30…ECU(電子制御ユニット)、50…シリンダ、20a…燃圧センサ。

Claims (38)

  1. 所定の燃料噴射弁により、対象エンジンの燃料燃焼を行う部分であるシリンダ内又はその吸気通路又は排気通路へ、燃料を噴射する燃料供給システムに適用され、
    前記燃料噴射弁の噴射に伴い変動する燃料圧力を逐次検出する燃料圧力検出手段と、
    前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率がその時に時間軸に対する推移として描く図形を検出する図形検出手段と、
    前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く検出図形と所定の基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形がその基本図形と同一種類の図形になるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とする噴射可変手段と、を備え、
    前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較することにより、前記検出図形の所定パラメータを、前記基本図形の対応するパラメータに近づけるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とするものであり、
    前記基本図形が台形であり、
    前記噴射可変手段は、前記検出図形について、その図形の4つの角のタイミング及び噴射率よりも優先して図形の面積を前記基本図形に近づけるものであることを特徴とする燃料噴射制御装置。
  2. 前記噴射可変手段は、前記検出図形の4つの角のうち、時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角よりも優先して時系列的に最も早く訪れる台形の第1角を前記基本図形に近づけるものである請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
  3. 前記噴射可変手段は、前記検出図形の4つの角を、時系列的に最も早く訪れる台形の第1角、時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角、時系列的に2番目に訪れる台形の第2角、時系列的に3番目に訪れる台形の第3角の優先順位で、前記基本図形に近づけるものである請求項2に記載の燃料噴射制御装置。
  4. 所定の燃料噴射弁により、対象エンジンの燃料燃焼を行う部分であるシリンダ内又はその吸気通路又は排気通路へ、燃料を噴射する燃料供給システムに適用され、
    前記燃料噴射弁の噴射に伴い変動する燃料圧力を逐次検出する燃料圧力検出手段と、
    前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率がその時に時間軸に推移として描く図形を検出する図形検出手段と、
    前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く検出図形と所定の基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形がその基本図形と同一種類の図形になるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とする噴射可変手段と、を備え、
    前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較することにより、前記検出図形の所定パラメータを、前記基本図形の対応するパラメータに近づけるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とするものであり、
    前記基本図形が台形であり、
    前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角のうち、時系列的に最も早く訪れる台形の第1角の立ち上がりタイミング及び立ち上がり角度について、両図形間における立ち上がり角度の乖離量が許容レベル内に収まった状態で立ち上がりタイミングの乖離量が許容レベルを超えている場合には、両図形で立ち上がりタイミングが一致するように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものであることを特徴とする燃料噴射制御装置。
  5. 前記基本図形が台形であり、
    前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角のうち、時系列的に最も早く訪れる台形の第1角の立ち上がりタイミング及び立ち上がり角度について、両図形間における立ち上がり角度の乖離量が許容レベル内に収まった状態で立ち上がりタイミングの乖離量が許容レベルを超えている場合には、両図形で立ち上がりタイミングが一致するように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  6. 所定の燃料噴射弁により、対象エンジンの燃料燃焼を行う部分であるシリンダ内又はその吸気通路又は排気通路へ、燃料を噴射する燃料供給システムに適用され、
    前記燃料噴射弁の噴射に伴い変動する燃料圧力を逐次検出する燃料圧力検出手段と、
    前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率がその時に時間軸に対する推移として描く図形を検出する図形検出手段と、
    前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く検出図形と所定の基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形がその基本図形と同一種類の図形になるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とする噴射可変手段と、を備え、
    前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較することにより、前記検出図形の所定パラメータを、前記基本図形の対応するパラメータに近づけるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とするものであり、
    前記基本図形が台形であり、
    前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角のうち、時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角の戻りタイミング及び戻り角度について、両図形間における戻り角度の乖離量が許容レベル内に収まった状態で戻りタイミングの乖離量が許容レベルを超えている場合には、両図形で戻りタイミングが一致するように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものであることを特徴とする燃料噴射制御装置。
  7. 前記基本図形が台形であり、
    前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角のうち、時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角の戻りタイミング及び戻り角度について、両図形間における戻り角度の乖離量が許容レベル内に収まった状態で戻りタイミングの乖離量が許容レベルを超えている場合には、両図形で戻りタイミングが一致するように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものである請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  8. 所定の燃料噴射弁により、対象エンジンの燃料燃焼を行う部分であるシリンダ内又はその吸気通路又は排気通路へ、燃料を噴射する燃料供給システムに適用され、
    前記燃料噴射弁の噴射に伴い変動する燃料圧力を逐次検出する燃料圧力検出手段と、
    前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率がその時に時間軸に対する推移として描く図形を検出する図形検出手段と、
    前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く検出図形と所定の基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形がその基本図形と同一種類の図形になるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とする噴射可変手段と、を備え、
    前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較することにより、前記検出図形の所定パラメータを、前記基本図形の対応するパラメータに近づけるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とするものであり、
    前記基本図形が台形であり、
    前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角のうち、時系列的に最も早く訪れる台形の第1角の立ち上がり角度について、両図形間の乖離量が許容レベルを超えている場合には、その立ち上がり角度の調整は行わずに、前記検出図形における前記第1角の立ち上がりタイミングと時系列的に2番目に訪れる台形の第2角への到達タイミングとを、両図形の面積を一致させる方向へ移動させるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものであることを特徴とする燃料噴射制御装置。
  9. 前記基本図形が台形であり、
    前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角のうち、時系列的に最も早く訪れる台形の第1角の立ち上がり角度について、両図形間の乖離量が許容レベルを超えている場合には、その立ち上がり角度の調整は行わずに、前記検出図形における前記第1角の立ち上がりタイミングと時系列的に2番目に訪れる台形の第2角への到達タイミングとを、両図形の面積を一致させる方向へ移動させるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものである請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  10. 前記噴射可変手段は、前記検出図形と前記基本図形との間で前記第1角の立ち上がりタイミングが一致している場合には、それら両図形間での前記第2角への到達タイミングの乖離量の半分だけ、前記検出図形における立ち上がりタイミング及び到達タイミングをそれぞれ移動させるものである請求項8又は9に記載の燃料噴射制御装置。
  11. 所定の燃料噴射弁により、対象エンジンの燃料燃焼を行う部分であるシリンダ内又はその吸気通路又は排気通路へ、燃料を噴射する燃料供給システムに適用され、
    前記燃料噴射弁の噴射に伴い変動する燃料圧力を逐次検出する燃料圧力検出手段と、
    前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率がその時に時間軸に対する推移として描く図形を検出する図形検出手段と、
    前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く検出図形と所定の基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形がその基本図形と同一種類の図形になるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とする噴射可変手段と、を備え、
    前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較することにより、前記検出図形の所定パラメータを、前記基本図形の対応するパラメータに近づけるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とするものであり、
    前記基本図形が台形であり、
    前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角のうち、時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角の戻り角度について、両図形間の乖離量が許容レベルを超えている場合には、その戻り角度の調整は行わずに、前記検出図形における前記第3角の立ち下がりタイミングと時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角の戻りタイミングとを、両図形の面積を一致させる方向へ移動させるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものであることを特徴とする燃料噴射制御装置。
  12. 前記基本図形が台形であり、
    前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された検出図形と前記基本図形とを比較して、これら両図形が台形であり、且つ、その台形の4つの角のうち、時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角の戻り角度について、両図形間の乖離量が許容レベルを超えている場合には、その戻り角度の調整は行わずに、前記検出図形における前記第3角の立ち下がりタイミングと時系列的に最も遅く訪れる台形の第4角の戻りタイミングとを、両図形の面積を一致させる方向へ移動させるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものである請求項1〜10のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  13. 前記噴射可変手段は、前記検出図形と前記基本図形との間で前記第4角の戻りタイミングが一致している場合には、それら両図形間での前記第3角の立ち下がりタイミングの乖離量の半分だけ、前記検出図形における立ち下がりタイミング及び戻りタイミングをそれぞれ移動させるものである請求項11又は12に記載の燃料噴射制御装置。
  14. 所定の燃料噴射弁により、対象エンジンの燃料燃焼を行う部分であるシリンダ内又はその吸気通路又は排気通路へ、燃料を噴射する燃料供給システムに適用され、
    前記対象エンジンの運転状態に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率が時間軸に対する推移として描くべき基本図形を設定する基本図形設定手段と、
    前記基本図形設定手段により設定された基本図形に基づいて、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成する噴射指令作成手段と、
    前記燃料噴射弁に対する噴射指令に基づいて、前記燃料噴射弁の駆動を制御する駆動制御手段と、
    前記燃料噴射弁の噴射に伴い変動する燃料圧力を逐次検出する燃料圧力検出手段と、
    前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率がその時に時間軸に対する推移として描く図形を検出する図形検出手段と、
    前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く検出図形と前記基本図形設定手段により設定された基本図形とを比較することにより、実際に噴射率推移の描く図形がその基本図形と同一種類の図形になるように、且つ前記検出図形の面積を前記基本図形の面積に近づけるように前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とする噴射可変手段と、を備え、
    前記燃料供給システムが、前記燃料噴射弁へ供給する燃料を蓄圧保持するコモンレールと、該コモンレールと同コモンレールの燃料吐出側配管との接続部分にて同配管を通じて前記コモンレールへ伝播される燃料脈動を軽減する燃料脈動軽減手段と、前記コモンレールから前記燃料噴射弁の燃料噴射口までの燃料通路のうち、前記燃料脈動軽減手段よりも燃料下流側に位置する所定箇所についてその燃料通路内を流れる燃料の圧力を検出する一乃至複数の燃料圧力センサと、を備えるコモンレール式燃料噴射システムであり、
    前記燃料圧力検出手段は、前記燃料圧力センサの少なくとも1つの出力に基づいて、前記燃料圧力を逐次検出するものであることを特徴とする燃料噴射制御装置。
  15. 前記燃料供給システムが、前記燃料噴射弁へ供給する燃料を蓄圧保持するコモンレールと、該コモンレールと同コモンレールの燃料吐出側配管との接続部分にて同配管を通じて前記コモンレールへ伝播される燃料脈動を軽減する燃料脈動軽減手段と、前記コモンレールから前記燃料噴射弁の燃料噴射口までの燃料通路のうち、前記燃料脈動軽減手段よりも燃料下流側に位置する所定箇所についてその燃料通路内を流れる燃料の圧力を検出する一乃至複数の燃料圧力センサと、を備えるコモンレール式燃料噴射システムであり、
    前記燃料圧力検出手段は、前記燃料圧力センサの少なくとも1つの出力に基づいて、前記燃料圧力を逐次検出するものである請求項1〜13のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  16. 前記燃料脈動軽減手段は、オリフィス、フローダンパ、又はそれらの組合せによって構成されるものである請求項14又は15に記載の燃料噴射制御装置。
  17. 所定の燃料噴射弁により、対象エンジンの燃料燃焼を行う部分であるシリンダ内又はその吸気通路又は排気通路へ、燃料を噴射する燃料供給システムに適用され、
    前記対象エンジンの運転状態に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率が時間軸に対する推移として描くべき基本図形を設定する基本図形設定手段と、
    前記基本図形設定手段により設定された基本図形に基づいて、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成する噴射指令作成手段と、
    前記燃料噴射弁に対する噴射指令に基づいて、前記燃料噴射弁の駆動を制御する駆動制御手段と、
    前記燃料噴射弁の噴射に伴い変動する燃料圧力を逐次検出する燃料圧力検出手段と、
    前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率がその時に時間軸に対する推移として描く図形を検出する図形検出手段と、
    前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く検出図形と前記基本図形設定手段により設定された基本図形とを比較することにより、実際に噴射率推移の描く図形がその基本図形と同一種類の図形になるように、且つ前記検出図形の面積を前記基本図形の面積に近づけるように前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とする噴射可変手段と、を備え、
    前記燃料供給システムが、前記燃料噴射弁へ供給する燃料を蓄圧保持するコモンレールと、該コモンレールから前記燃料噴射弁の燃料噴射口までの燃料通路のうち、前記コモンレールの燃料吐出口近傍よりも燃料下流側に位置する所定箇所についてその燃料通路内を流れる燃料の圧力を検出する一乃至複数の燃料圧力センサと、を備えるコモンレール式燃料噴射システムであり、
    前記燃料圧力検出手段は、前記燃料圧力センサの少なくとも1つの出力に基づいて、前記燃料圧力を逐次検出するものであり、
    前記燃料圧力センサの少なくとも1つは、前記燃料噴射弁の内部又は近傍に設けられてなることを特徴とする燃料噴射制御装置。
  18. 前記燃料供給システムが、前記燃料噴射弁へ供給する燃料を蓄圧保持するコモンレールと、該コモンレールから前記燃料噴射弁の燃料噴射口までの燃料通路のうち、前記コモンレールの燃料吐出口近傍よりも燃料下流側に位置する所定箇所についてその燃料通路内を流れる燃料の圧力を検出する一乃至複数の燃料圧力センサと、を備えるコモンレール式燃料噴射システムであり、
    前記燃料圧力検出手段は、前記燃料圧力センサの少なくとも1つの出力に基づいて、前記燃料圧力を逐次検出するものであり、
    前記燃料圧力センサの少なくとも1つは、前記燃料噴射弁の内部又は近傍に設けられてなる請求項1〜13のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  19. 前記燃料圧力センサの少なくとも1つは、前記燃料噴射弁の内部又は近傍に設けられてなる請求項14〜16のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  20. 所定の燃料噴射弁により、対象エンジンの燃料燃焼を行う部分であるシリンダ内又はその吸気通路又は排気通路へ、燃料を噴射する燃料供給システムに適用され、
    前記対象エンジンの運転状態に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率が時間軸に対する推移として描くべき基本図形を設定する基本図形設定手段と、
    前記基本図形設定手段により設定された基本図形に基づいて、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成する噴射指令作成手段と、
    前記燃料噴射弁に対する噴射指令に基づいて、前記燃料噴射弁の駆動を制御する駆動制御手段と、
    前記燃料噴射弁の噴射に伴い変動する燃料圧力を逐次検出する燃料圧力検出手段と、
    前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいて、前記燃料噴射弁から単位時間あたりに噴射される燃料量に相当する噴射率がその時に時間軸に対する推移として描く図形を検出する図形検出手段と、
    前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く検出図形と前記基本図形設定手段により設定された基本図形とを比較することにより、実際に噴射率推移の描く図形がその基本図形と同一種類の図形になるように、且つ前記検出図形の面積を前記基本図形の面積に近づけるように前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とする噴射可変手段と、を備え、
    前記燃料供給システムが、前記燃料噴射弁へ供給する燃料を蓄圧保持するコモンレールと、該コモンレールから前記燃料噴射弁の燃料噴射口までの燃料通路のうち、前記コモンレールの燃料吐出口近傍よりも燃料下流側に位置する所定箇所についてその燃料通路内を流れる燃料の圧力を検出する一乃至複数の燃料圧力センサと、を備えるコモンレール式燃料噴射システムであり、
    前記燃料圧力検出手段は、前記燃料圧力センサの少なくとも1つの出力に基づいて、前記燃料圧力を逐次検出するものであり、
    前記燃料圧力センサの少なくとも1つは、前記コモンレールの燃料吐出側配管において、前記コモンレールよりも前記燃料噴射弁の燃料噴射口の方に近い位置に設けられてなることを特徴とする燃料噴射制御装置。
  21. 前記燃料供給システムが、前記燃料噴射弁へ供給する燃料を蓄圧保持するコモンレールと、該コモンレールから前記燃料噴射弁の燃料噴射口までの燃料通路のうち、前記コモンレールの燃料吐出口近傍よりも燃料下流側に位置する所定箇所についてその燃料通路内を流れる燃料の圧力を検出する一乃至複数の燃料圧力センサと、を備えるコモンレール式燃料噴射システムであり、
    前記燃料圧力検出手段は、前記燃料圧力センサの少なくとも1つの出力に基づいて、前記燃料圧力を逐次検出するものであり、
    前記燃料圧力センサの少なくとも1つは、前記コモンレールの燃料吐出側配管において、前記コモンレールよりも前記燃料噴射弁の燃料噴射口の方に近い位置に設けられてなる請求項1〜13のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  22. 前記燃料圧力センサの少なくとも1つは、前記コモンレールの燃料吐出側配管において、前記コモンレールよりも前記燃料噴射弁の燃料噴射口の方に近い位置に設けられてなる請求項14〜19のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  23. 前記燃料圧力検出手段は、前記燃料圧力センサのセンサ出力を、該センサ出力で圧力推移波形の軌跡が描かれる程度に短い間隔にて逐次取得するものである請求項14〜22のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  24. 前記燃料圧力検出手段は、前記燃料圧力センサのセンサ出力を「50μsec」よりも短
    い間隔で逐次取得するものである請求項14〜22のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  25. 前記基本図形は、三角形及び台形及び矩形のいずれか1つ、又はその少なくとも1種類を複数組み合わせた図形である請求項1〜24のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  26. 前記基本図形自体及びそのパラメータの少なくとも一方を、所定のパラメータに応じて可変設定する基本図形可変手段を備える請求項1〜25のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  27. 前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く図形と前記基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形が、前記基本図形と面積の等しい図形になるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とするものである請求項1〜26のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  28. 前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く図形と前記基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形の角のタイミングが、前記基本図形と等しくなるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とするものである請求項1〜27のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  29. 前記噴射可変手段は、前記図形検出手段により検出された噴射率推移の描く図形と前記基本図形とに基づいて、実際に噴射率推移の描く図形の噴射率が、前記基本図形と等しくなるように、前記燃料噴射弁に対する噴射指令又はその噴射条件を可変とするものである請求項1〜28のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  30. 前記噴射可変手段は、前記噴射条件として、前記燃料噴射弁の噴射圧力を可変とするものである請求項1〜29のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  31. 前記噴射可変手段は、前記燃料噴射弁に対して燃料を圧送供給する燃料ポンプの圧送量を可変とすることにより、前記燃料噴射弁の噴射圧力を可変とするものである請求項30に記載の燃料噴射制御装置。
  32. 前記噴射可変手段は、前記燃料噴射弁に対して燃料を圧送供給する燃料ポンプの圧送タイミングを可変とすることにより、前記燃料噴射弁の噴射圧力を可変とするものである請求項30又は31に記載の燃料噴射制御装置。
  33. 前記噴射可変手段は、前記燃料噴射弁又はその燃料供給通路に設けられた減圧弁の弁開度を可変とすることにより、前記燃料噴射弁の噴射圧力を可変とするものである請求項30〜32のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  34. 前記噴射可変手段は、前記燃料噴射弁による噴射制御を行う際に用いられる噴射指令の書き込まれた所定の基準マップに対する補正係数を更新可能とすることにより、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を可変とするものである請求項1〜33のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  35. 前記噴射可変手段は、対象エンジンの今回の燃焼サイクルについて、前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいて得た噴射結果を、次回以降の燃焼サイクルの噴射に反映させるかたちで前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものである請求項1〜34のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  36. 前記噴射可変手段は、対象エンジンの1燃焼サイクルにおいて、前記燃料圧力検出手段により逐次検出された燃料圧力推移に基づいてその時までに検出された圧力推移を用いて、同サイクル中でその時よりも後に行うべき前記燃料噴射弁の燃料噴射に係る所定動作についての、前記燃料噴射弁に対する噴射指令を作成するものである請求項1〜34のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  37. 前記燃料噴射弁は、所定の空間への流体の流入及び同空間からの流体の流出を制御する流体制御弁と、前記流体の流入及び流出に伴う前記空間の圧力変化に応じて当該燃料噴射弁の弁本体内部で往復動作して噴孔自体又は該噴孔までの燃料供給通路を開閉することにより当該燃料噴射弁の開弁及び閉弁を行うニードルと、を備えて構成されるものである請求項1〜36のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  38. 前記燃料噴射弁は、弁本体内部での所定の往復動作に基づいて噴孔自体又は該噴孔までの燃料供給通路を開閉することにより当該燃料噴射弁の開弁及び閉弁を行うニードルを有し、前記燃料噴射弁に対する噴射指令に応じて前記ニードルの往復移動量を連続的に可変とするものである請求項1〜36のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
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