JP4301712B2 - 差動摩擦ローラ減速装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械的な減速装置に関し、特に小形軽量で静粛な大減速比の差動摩擦ローラ減速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、コンパクトな機械的な減速装置として歯車を使用した差動歯車減速機が用いられているが、歯車減速機は騒音を発するので、静かな環境を求められる場所での使用は制約されていた。
【0003】
その条件に合う減速装置として、入力軸に太陽ローラを直結し、その外周に複数の遊星ローラを配置し、遊星ローラの外側を固定内輪で締め付ける、遊星ローラ減速装置が提供されてきたが、遊星ローラ減速装置は減速比と伝達トルクに限界があって、1段での高減速比は望めず、高減速比と然るべき伝達トルクを得るには、2段、3段の減速機構を必要とし、コスト面等に難点があった。
【0004】
差動摩擦ローラ減速装置は1段で高減速比が得られるものであり、従来のものの例として、特開昭53−72961号に示されるものがある。この差動摩擦ローラ減速装置は、入力軸に設けられた偏心軸に、転がり軸受を介して出力遊星ローラ(摩擦ローラ)が回転自由に嵌装され、出力遊星ローラの外周面がケーシングに焼嵌めされた外側輪(摩擦内ローラ)の内周面と与圧を与えられた状態で接触し、その摩擦力と偏心軸より遊星ローラへ伝えられた回転力を合成し、出力トルクとして出力軸から動力を取り出す構成となっている。
【0005】
その減速比1/Rは、1/R=(Do−Dr)/Dr(Do:外側輪の軌道径、Dr:出力遊星ローラ径)となり、出力遊星ローラ径が外側輪の軌道径に近づくほど、大きな減速比が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、太陽ローラに複数の遊星ローラを等分角配置した遊星ローラ減速装置は、単段では減速比を大きくとることが困難であり、高減速比を得るためには2段、3段の減速機構の設置が必要となり、装置が大きくなって、部品数が増え、高コストとなる。
【0007】
また、特開昭53−72961号で開示されたような、大径の出力遊星ローラと、この出力遊星ローラより少し内径が大きな外側輪を用いた従来の差動摩擦ローラ減速装置は、入力軸に設けられた偏心軸に転がり軸受を介して出力遊星ローラが嵌装され、出力遊星ローラの外周面がケーシングに固定の外側輪の内周面と圧接し、その摩擦力で動力を伝える構成となっており、しかも、焼き嵌め等で組み立てることによって、剛性の高い部材同士を機械的に拘束して接触させてその圧接力を得ている。
【0008】
しかし、転がり軸受は、高速回転する偏心軸に回されると同時に外側輪と圧接する出力遊星ローラの圧接力が負荷されるので、転がり軸受の転動体(コロまたはボール)は次第に摩耗する。
【0009】
上記の従来の差動摩擦ローラ減速装置の摩擦伝動機構は、剛性の高い部材同士の機械的な拘束と接触とで成り立っており、剛性の高い部材の僅かな変形を出力遊星ローラ(摩擦ローラ)と外側輪(摩擦内ローラ)の圧接力に利用しているので、上記のように、転がり軸受の転動体等に僅かな摩耗でも生じると圧接力が減少し、動力伝達能力が失われる結果となり、耐久性、実用性に問題があった。
【0010】
本発明は、高速回転する偏心軸に回され、出力遊星ローラ(摩擦ローラ)の負荷を受ける転がり軸受が、摩耗しても動力伝達能力を失うことのない範囲の大きい静粛でコンパクトな高減速比の差動摩擦ローラ減速装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その第1の手段として、ケーシングに軸受を介して回転自由に支持され、回転中心軸に平行で偏心方向の軸幅が偏心方向に直角の軸幅より小さい偏心軸を設けた前記入力軸と、外周に摩擦ローラ面が形成され側面の同一ピッチ円上の等角度の位置に前記入力軸方向の複数の通し孔が開けられ中心部に貫通孔を有する円板状の摩擦ローラと、同摩擦ローラの貫通孔に圧嵌し前記偏心軸との間に設けられた転がり軸受と、前記ケーシング内に前記入力軸と同心に且つ前記摩擦ローラを囲む位置に固設された摩擦内ローラと、前記偏心軸と前記転がり軸受との間に設けられ同転がり軸受を介して前記摩擦ローラを偏心方向へ圧し出して摩擦内ローラに圧接させる圧し出し手段と、前記複数の通し孔のそれぞれと係合して摩擦ローラからトルクを伝達する複数の伝動軸を前記通し孔と同一半径のピッチ円上の等角度の位置に固設した円板と、同円板と一体構造でケーシングに軸受を介して回転自由に前記入力軸と同心に支えられる前記出力軸とを有してなる差動摩擦ローラ減速装置であって、前記偏心軸は偏心方向に沿う平行平面を有する矩形断面を有し、前記平行平面と摺動可能で且つ同偏心軸の偏心による張出し側の側面または引込み側の側面との間に隙間を形成する角孔を有する角孔筒を外嵌し、同角孔筒は前記転がり軸受の内側に圧嵌されたものであり、前記圧し出し手段は前記角孔筒内面と前記偏心軸の張出し側の側面との隙間に与圧されて嵌め込まれた板ばねであることを特徴とする差動摩擦ローラ減速装置を提供する。
【0012】
第1の手段によれば、入力軸の回転によって転がり軸受を介して入力軸の偏心軸に転がり軸受を介して外嵌する摩擦ローラが偏心回転するとき、前記圧し出し手段の作用により摩擦ローラ面が前記ケーシング内に固設された摩擦内ローラの内面と確実に圧接して転動し、騒音を発生すること無く静粛に、摩擦ローラと摩擦内ローラの間の摩擦力と、入力軸のトルクにより偏心軸の軸心に働く力とにより生じた摩擦ローラの高減速比の差動減速回転とトルクを、前記伝動軸を介して出力軸へ伝えるとともに、圧し出し手段により転がり軸受の転動体が摩耗しても、摩擦ローラ、摩擦内ローラ間の面圧を維持でき、長期間の動力伝達性能を維持する。
そして、入力軸の回転によって前記摩擦ローラが偏心回転するとき、角孔筒内面と偏心軸の側面との隙間の与圧された板ばねの圧力が摩擦ローラが摩擦内ローラを圧す力となり、転がり軸受等の磨耗が生じても、ローラ間の摩擦力が確実に働く範囲が大きく、高減速比における差動減速回転と高い伝達トルクと保持できる。
【0019】
また、第の手段として、第の手段の差動摩擦ローラ減速装置において、前記入力軸の偏心軸は、同じ偏心寸法で同入力軸の軸方向に順に180度ずつ偏心位相角度を換え、軸方向長さを1対2対1の比で連接して設けられた3組の偏心軸であり、前記摩擦ローラ、転がり軸受および圧し出し手段は、前記3組の偏心軸のそれぞれに組合わされ且つその幅と伝達する圧し出し力を前記順に1対2対1の比とした側接する3組の同じ外径の摩擦ローラ、側接する3組の転がり軸受および側接する3組の圧し出し手段であって、前記摩擦内ローラは、前記側接する3組の同じ外径の摩擦ローラに共通に外接する幅広の摩擦内ローラであり、前記出力軸は前記側接する3組の摩擦ローラから共通の前記伝動軸を介して差動減速回転を取り出すように構成してなることを特徴とする差動摩擦ローラ減速装置を提供する。
【0020】
の手段によれば、第の手段の作用に加え、動力伝達能力が倍増し、また、摩擦ローラへの圧接力が対向して働くので、入力軸の曲げモーメントが入力軸内でバランスし入力軸の軸受の負荷が著しく軽減すると同時に、偏心回転重量がバランスし、回転性能が向上する。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1から図4に基づき、本発明に係り本発明者が検討した検討例1の差動摩擦ローラ減速装置を説明する。図1は本検討例の摩擦ローラ減速装置の側面断面図、図2は図1中A−A矢視による正面断面図、図3は図2の中央部の詳細図、図4は図3の偏心軸と板ばねの係合状態の説明図である。
【0022】
図において、ケーシング1にはケーシング蓋2が取り付けられ、その組合わせた状態で入力軸3と出力軸4を同心に回転自由に支えている。ケーシング1の内側には、入力軸3と同心に摩擦内ローラ8が圧嵌され、ケーシング蓋2により締め付けられており、その回転方向はケーシング1に対して固定される。
【0023】
出力軸4には、軸受18、18が軸受ナット21により取付けられ、出力軸4はケーシング蓋2に軸受18、18を介して支持される。軸受18、18は軸受カバー22によりケーシング蓋2に軸方向を固定される。
【0024】
入力軸3は、ケーシング1に軸受13,隔筒15を介し支持され、また、出力軸4の中心穴において軸受16,隔筒17を介して支持される。軸受13は軸受カバー14によりケーシング1に軸方向を固定される。
【0025】
入力軸3には、隔筒15と隔筒17の間において、その回転中心軸に平行で距離eだけ偏心した偏心軸3aが形成されている。偏心軸3aは偏心による張出し側と引込み側において外嵌される転がり軸受5の内面との間に一定の隙間s1 を置けるように、偏心方向の軸幅を、偏心方向に直角の軸幅より若干減らした楕円断面に形成されている。
【0026】
このため、偏心軸3aの外周に転がり軸受5を外嵌した状態で、転がり軸受5は隙間s1 だけ偏心方向へ移動することが可能となっている。
【0027】
また、偏心軸3aの偏心による張出し側の側面には4角形の凹穴3bを設けてあり、この凹穴3bの中に複数の曲げた鋼板からなる板ばね6が嵌め込まれている。
【0028】
転がり軸受5の外周には、円板状の摩擦ローラ7がその中心部に設けられた貫通孔において圧嵌めで固定され、摩擦ローラ7の外周は摩擦ローラ面を形成し、摩擦ローラ7は摩擦内ローラ8内に組み込まれるが、図4に、摩擦ローラ7が摩擦内ローラ8と組合わされていないときの転がり軸受5に偏心軸3aと与圧された板ばね6とを嵌め込んだ状態を示す。この状態では、偏心軸3aの偏心による引込み側の側面3cは転がり軸受5に当接している。
【0029】
しかし、ケーシング1内に摩擦ローラ7が摩擦内ローラ8と組合わされているときは、図3に示すように、偏心軸3aの偏心による引込み側の側面3cと、転がり軸受5の内周面の間には隙間s1 ができ、板ばね6は押されて変形し、偏心方向の大きな弾性力が転がり軸受5に負荷されている状態となっている。
【0030】
転がり軸受5は、円板状の摩擦ローラ7の中央の貫通孔に圧嵌めで固定され、摩擦ローラ7の外周は摩擦ローラ面を形成し、摩擦ローラ7の円板状の側面には同一半径(ピッチ円半径)上の等角度となる位置に入力軸3の軸方向の複数の通し孔7aが開けられている。
【0031】
摩擦内ローラ8内に摩擦ローラ7が組み込まれた状態で、入力軸3の偏心軸3aの回転によって摩擦ローラ7が偏心回転するとき、摩擦ローラ7には偏心軸3aの凹穴3b内に与圧されて嵌め込まれた板ばね6が摩擦ローラ7を摩擦内ローラに圧接する圧し出し手段として働き、その圧力が、転がり軸受5を介して摩擦ローラ7が摩擦内ローラ8を圧す力となる。
【0032】
その圧接力のため、摩擦ローラ7と摩擦内ローラ8の間に摩擦力を生じ、この摩擦力と入力軸3のトルクによる偏心軸3aの軸心に働く力とが合成されて、摩擦ローラ7に回転トルクを発生する。
【0033】
このときの、入力軸3の回転数に対する摩擦ローラ7の回転比(減速比)を1/Rとすれば、1/R=(Do−Dr)/Dr(Do:摩擦内ローラ8の内径、Dr:摩擦ローラ7の径、Dr=Do−2e)となり、摩擦ローラ7の径Drが摩擦内ローラ8の内径Doに近づくほど(偏心距離eが小さくなるほど)、大きな回転比が得られる。
【0034】
また、摩擦ローラ7と摩擦内ローラ8との面圧P1 は、P1 =T/μ・Dr(T:出力トルク、μ:摩擦ローラ7と摩擦内ローラ8との間の摩擦係数)であり、この面圧P1 は板ばね6のばね力で与えられる。
【0035】
出力軸4には円板4aが一体構造で設けられ、この円板4aには、摩擦ローラ7の複数の通し孔7aと被駆動ローラ12を介して係合し摩擦ローラ7よりトルクを出力軸4に伝達する複数の伝動軸11が、円板4a上の同一半径(ピッチ円半径)上の等角度となる位置に固設されている。
【0036】
また、複数の伝動軸11のピッチ円半径とピッチ(または、角度)は、摩擦ローラ7の複数の通し孔7aのピッチ円半径とピッチ(または、角度)とそれぞれ同一となっている。
【0037】
被駆動ローラ12は、回転自在に各伝動軸11に装着され、止め輪9によって抜け出さないように係止されている。
【0038】
摩擦ローラ7は出力軸4に対してeの偏心距離を有しているので、摩擦ローラ7の通し孔7aの直径は、伝動軸11に装着された被駆動ローラ12の直径より2eだけ大きくして、組合わせ時に干渉がないようにしている。
【0039】
以上の構成により、本検討例の差動摩擦ローラ減速装置においては、高減速比で減速された摩擦ローラ7の回転とトルクが、そのまま高減速比の出力回転および出力トルクとして、複数の伝動軸11を介して出力軸4へ伝えられる。
【0040】
一方、このような差動摩擦ローラ減速装置では、転がり軸受5は、高速回転する偏心軸3aに回され、同時に摩擦内ローラ8と圧接する摩擦ローラ7の圧接力が負荷されているので、転がり軸受5の転動体(コロまたはボール)は次第に摩耗する。
【0041】
摩擦ローラ7、摩擦内ローラ8、転がり軸受5、偏心軸3aは、いずれも剛性が大きく耐摩耗性も高いので、良い潤滑環境であれば摩耗は少ないが、前述の従来の差動摩擦ローラ減速装置のように偏心軸3aと転がり軸受5が直接嵌合し、高剛性の部品の僅かな変形による弾性によって摩擦力を保っているような構造の場合は、稼働後いくばくも無く、転がり軸受5の転動体が摩耗すると高剛性の部品の僅かな変形による弾性が失われ、この弾性で支えられていた摩擦ローラ7と摩擦内ローラ8間の面圧が減少して摩擦力が失われ、動力伝達トルクが低下してしまう。
【0042】
しかし、上記本検討例の差動摩擦ローラ減速装置では、偏心軸3aと転がり軸受5との間に板ばね6のような弾性体を挟み込んで、摩擦ローラ7の周面を摩擦内ローラ8の内面に圧接させる圧し出し手段とし、転がり軸受5の転動体が摩耗しても、摩擦ローラ7、摩擦内ローラ8間の面圧を維持できる範囲が大きい構成としたため、長期間の動力伝達性能を確保することができるものとなった。
【0043】
本発明の実施の第形態に係る差動摩擦ローラ減速装置を図5から図7に基づいて説明する。図5は本実施の形態の差動摩擦ローラ減速装置の側面断面図、図6は図5中B−B矢視による正面断面図,図7は図6の中央部の偏心軸と板ばねの係合状態の説明図である。
【0044】
なお、本実施の形態の図5から図7において、前述の検討例1の図1から図4におけると同じ部分には同一の符番を付して説明を省略し、異なる部分を主に説明を行い理解を容易とする。また、このことは後述の他の実施の形態において同様とする。
【0045】
実施の第形態の差動摩擦ローラ減速装置において、検討例1の差動摩擦ローラ減速装置と異なる部分は、入力軸23の偏心軸23aを、楕円断面軸に代えて、矩形断面軸として偏心方向を明確にしたことである。
【0046】
また、偏心軸23aを矩形断面軸としたため、偏心軸23aに直接転がり軸受25を取付けることができないので、偏心軸23aに外嵌し且つ転がり軸受25に内嵌する角孔筒27を設け、偏心軸23aと角孔筒27の間に板ばね26を挟み込んだことで、他の構成部分は検討例1と同様である。
【0047】
図において、ケーシング1にはケーシング蓋2が取り付けられ、その組合わせた状態で入力軸23と出力軸24を同心に回転自由に支えている。ケーシング1の内側には、入力軸23と同心に摩擦内ローラ8が圧嵌され、回転方向を固定される。
【0048】
出力軸24は、ケーシング蓋2に軸受18、18を介して回転可能に、軸方向を軸受カバー22、軸受ナット21により固定して支持される。入力軸23は、ケーシング1に軸受13を介し支持され、出力軸24の中心穴において軸受16を介して支持される。軸受13はケーシング31に軸受カバー14によって軸方向を固定される。
【0049】
入力軸23には、その回転中心軸に平行で距離eだけ偏心した偏心軸23aが形成されている。偏心軸23aは偏心方向に沿う平行平面を有する矩形断面を形成し、偏心方向の軸幅が偏心方向に直角の軸幅より若干小さい。
【0050】
入力軸23には、角孔筒27が外嵌しており、角孔筒27は、偏心軸23aの偏心方向に沿う平行平面に従って摺動可能であり、偏心軸23aの偏心による張出し側の側面または引込み側の側面との間に隙間s2 ができるような角孔を有している。
【0051】
また、角孔筒27は、転がり軸受25の内側に圧嵌し、角孔筒27内面と偏心軸23aの偏心による張出し側の側面23bとの隙間には、与圧された板ばね26が挟み込まれている。角孔筒27は偏心軸23aの平行平面にガイドされて隙間s2 だけ偏心方向へ摺動することが可能である。
【0052】
角孔筒27を内側に圧嵌した転がり軸受25は、円板状の摩擦ローラ28の中央の貫通孔に圧嵌めで固定され、摩擦ローラ28は摩擦内ローラ8内に組み込まれるが、図7は、摩擦ローラ28が摩擦内ローラ8と組合わされていないフリーなときの角孔筒27に、偏心軸23aと与圧された板ばね26が嵌め込まれた状態を示しており、偏心軸23aの偏心による引込み側の側面23cが角孔筒27に当接している。
【0053】
ケーシング1内で摩擦ローラ28が摩擦内ローラ8と組合わされているときは、図7に2点鎖線で示すように、偏心軸23aの偏心による引込み側の面23cと角孔筒27と間に隙間s2 ができ、板ばね26は押されて変形し、大きな弾性力が角孔筒27を介して転がり軸受25に負荷されるようになっている。
【0054】
転がり軸受25は円板状の摩擦ローラ28の中心部の貫通孔に圧嵌めで固定され、摩擦ローラ28の外周は摩擦ローラ面を形成し、摩擦ローラ28の円板状の側面には、同一半径(ピッチ円半径)上で等角度となる位置に入力軸23の軸方向の複数の通し孔28aが開けられている。
【0055】
摩擦内ローラ8内に摩擦ローラ28が組み込まれて、入力軸23の偏心軸23aの回転によって摩擦ローラ28が偏心回転するとき、偏心軸23aの偏心による張出し側の面23bと角孔筒27の隙間に与圧されて嵌め込まれた板ばね26が摩擦ローラ28を摩擦内ローラに圧接する圧し出し手段として働き、その圧力が、転がり軸受25を介して摩擦ローラ28が摩擦内ローラ8を圧す力となる。
【0056】
この圧接力のため、摩擦ローラ28と摩擦内ローラ8の間に摩擦力を生じ、この摩擦力と入力軸23のトルクによる偏心軸23aの軸心に働く力とが合成されて、摩擦ローラ28に回転トルクが発生する。
【0057】
本実施の形態の入力軸23の回転数に対する摩擦ローラ28の回転比(減速比)、摩擦ローラ28と摩擦内ローラ8との面圧の計算式は、検討例1の場合と同様であり、この面圧は板ばね26のばね力で与えられる。
【0058】
出力軸24には円板24aが一体構造で設けられ、円板24aには、摩擦ローラ28の複数の通し孔28aのそれぞれと被駆動ローラ12を介して係合して摩擦ローラ28よりトルクを出力軸24に伝達する複数の伝動軸11が、円板24a上の同一半径(ピッチ円半径)上の等角度となる位置に固設されている。
【0059】
また、複数の伝動軸11のピッチ円半径とピッチ(または、角度)は、摩擦ローラ28の複数の通し孔28aのピッチ円半径とピッチ(または、角度)とそれぞれ同一となっている。
【0060】
被駆動ローラ12は、回転自在に各伝動軸11に装着され、止め輪9によって抜け出さないように係止されている。
【0061】
摩擦ローラ28は出力軸24に対してeの偏心距離を有しているので、摩擦ローラ28の通し孔28aの直径は、伝動軸11に装着された被駆動ローラ12の直径より2eだけ大きくして、組合わせ時に干渉がないようにしている。
【0062】
以上の構成により、本実施の形態の差動摩擦ローラ減速装置においては、高減速比で減速された摩擦ローラ28の回転とトルクが、そのまま高減速比の出力回転および出力トルクとして、複数の伝動軸11を介して出力軸24へ伝えられる。
【0063】
本実施の形態においても、前述の検討例1で説明したと同様に、偏心軸23aと角孔筒27との隙間に板ばね26のような弾性体を挟み込んで、摩擦ローラ28の周面を摩擦内ローラ8の内面に圧接させる圧し出し手段とし、転がり軸受25の転動体が摩耗しても、摩擦ローラ28、摩擦内ローラ8間の面圧を維持できる範囲が大きい構成としたため、長期間の動力伝達性能を確保することができるものとなった。
【0064】
図8に基づいて本発明に係り本発明者が検討した検討例2の差動摩擦ローラ減速装置を説明する。図8は、本検討例の差動摩擦ローラ減速装置の側面断面図である。
【0065】
検討例2の差動摩擦ローラ減速装置は、前述の検討例1の差動摩擦ローラ減速装置の入力軸3に形成されている偏心軸3aと同様の楕円断面形状の3組の偏心軸33b、33a、33cを、同じ偏心寸法eで入力軸33の軸方向に順に180度づつ変移位相角度を換え、且つそれらの軸方向長さを1対2対1の比にして連接して設けている。
【0066】
更にそれぞれの偏心軸33b、33a、33cに組合わされる転がり軸受35、5、35、同じ外径の摩擦ローラ37、7、37、各摩擦ローラ37、7、37を摩擦内ローラ38へ圧接する圧し出し手段である与圧された板ばね36、6、36も、その幅(すなわち、入力軸方向長さ)と圧し出し力をそれぞれ1対2対1の比にして側接して3組設け、摩擦ローラ37、7、37を共通の幅広の摩擦内ローラ38に内接し、共通の伝動軸41を介して出力軸4より減速回転を取り出すように構成したものである。
【0067】
図において、ケーシング31にはケーシング蓋32が取り付けられ、その組合わせた状態で入力軸33と出力軸4を同心に回転自由に支えている。ケーシング31の内側には、入力軸33と同心に摩擦内ローラ38が固定して圧嵌され、ケーシング蓋32により締め付けらており、その回転方向はケーシング31に対して固定される。
【0068】
出力軸4は、軸受18、18を介してケーシング蓋32に回転可能に支持され、軸方向を軸受カバー22、軸受ナット21により固定される。
【0069】
入力軸33は軸受13を介してケーシング31に支持され、また、出力軸4の中心穴において軸受16を介して支持される。軸受13はケーシング31に軸受カバー14により軸方向を固定される。
【0070】
入力軸33には、その回転中心軸に平行で同じ距離eだけ偏心した偏心軸33b、33a、33cが入力軸の軸方向に順番に形成されている。偏心軸33bと偏心軸33cの軸方向長さは偏心軸33aの軸方向長さの半分にしてある。また、偏心軸33bと偏心軸33cの偏心位相角度は偏心軸33aに対して180度回した角度位置である。
【0071】
各偏心軸33b、33a、33cは偏心による張出し側または引込み側において、それぞれに外嵌する転がり軸受35、5、35の内面と一定の隙間s1 が置けるように、偏心方向の軸幅が、偏心方向に直角の軸幅より若干小さい楕円断面に形成されている。
【0072】
各偏心軸33b、33a、33cの張出し側の外側面には、4角形の凹穴が設けてあり、偏心軸33b、33cの凹穴は偏心軸33aの凹穴の半分の幅(すなわち、軸方向長さ)となっている。
【0073】
偏心軸33aの凹穴の中には複数の曲げた鋼板からなる板ばね6が、偏心軸33b、33cの凹穴の中には板ばね6の半分の幅の板ばね36が嵌め込まれている。
【0074】
偏心軸33aの外周には転がり軸受5が外嵌し、偏心軸33b、33cの外周にはそれぞれ転がり軸受35、35が外嵌しているが、転がり軸受5および転がり軸受35、35はそれぞれが外嵌している偏心軸に対して隙間s1 だけ偏心方向へ移動することが可能である。
【0075】
図4は、検討例1において摩擦ローラ7が摩擦内ローラ8と組合わされていないときの転がり軸受5に偏心軸3aと与圧された板ばね6とを嵌め込んだ状態を示すものであるが、この図4の状態は、本実施の形態において摩擦ローラ7が摩擦内ローラ38と組合わされていないときの転がり軸受5に偏心軸33aと与圧された板ばね6とを嵌め込んだ状態も示すものとすることができる。
【0076】
そしてさらに、摩擦ローラ37、37が摩擦内ローラ38と組合わされていないときの転がり軸受35、35にそれぞれ偏心軸33b、33cと与圧された板ばね36、36とを嵌め込んだ状態も同様に示すものとすることができる。
【0077】
しかし、ケーシング31内に摩擦ローラ7が摩擦内ローラ38と組合わされているときは、偏心軸33aの偏心による引込み側の側面と転がり軸受5の内周面との間には隙間s1 ができ、板ばね6が押されて変形し、大きな弾性力が転がり軸受5に負荷される。
【0078】
また、摩擦ローラ37、37が摩擦内ローラ38と組合わされているときは、偏心軸33b、33cの偏心方向の引込み側の側面と転がり軸受35、35の内周面との間に隙間s1 ができ、板ばね36、36は押されて変形し、大きな弾性力が各転がり軸受35、35に負荷される。これらの状態は、検討例1に関し示した図2、図3に示される状態と同様となる。
【0079】
隔筒34、17と隔板47、47は、転がり軸受35、5、35が偏心軸33b、33a、33c上で軸方向にずれないようにするために設置されている。
【0080】
転がり軸受5の外周には、円板状の摩擦ローラ7がその中心部の貫通孔において圧嵌めで固定され、転がり軸受35、35の外周には円板状の摩擦ローラ37、37がその中心部の貫通孔において圧嵌めで固定され、摩擦ローラ37、7、37の外周は摩擦ローラ面を形成し、各摩擦ローラ共、側面には同一半径(ピッチ円半径)上の等角度となる位置に入力軸33の軸方向の複数の37a、7a、37aが開けられている。
【0081】
摩擦内ローラ38の内側に各摩擦ローラ37、7、37が組み込まれて、入力軸33の偏心軸33b、33a、33cの回転によって偏心回転するとき、摩擦ローラ7においては偏心軸33aの凹穴内に与圧されて嵌め込まれた板ばね6の圧力が転がり軸受5を介して摩擦ローラ7が摩擦内ローラ38を圧す力となり、摩擦ローラ37、37においては偏心軸33b、33cの凹穴内に与圧されて嵌め込まれた板ばね36、36の圧力が転がり軸受35、35を介して摩擦ローラ37、37が摩擦内ローラ38を圧す力となる。
【0082】
この圧接力のため、各摩擦ローラ37、7、37と摩擦内ローラ38の間には摩擦力が生じ、この摩擦力と入力軸33のトルクによる偏心軸33b、33a、33cの軸心に働く力とが合成されて、各摩擦ローラ37、7、37に回転トルクを発生する。
【0083】
このときの、入力軸33の回転数に対する摩擦ローラ37、7、37の回転比(減速比)、摩擦ローラ37、7,37と摩擦内ローラ38との面圧の計算式は検討例1の場合と同様であり、この面圧は板ばね36、6、36のばね力で与えられる。
【0084】
出力軸4と一体の円板4aには、摩擦ローラ37、7、37それぞれの複数の通し孔37a、7a、37aと被駆動ローラ12a、12、12aを介して係合して摩擦ローラ37、7、37よりトルクを伝達する複数の伝動軸41が設けられている。
【0085】
伝動軸41は、そのピッチ円半径とピッチ(または、角度)が、摩擦ローラ37、7、37のそれぞれの複数の通し孔37a、7a、37aのピッチ円半径とピッチ(または、角度)と同一となるように固設されている。
【0086】
被駆動ローラ12a、12、12aは、同一外径を有し回転自在に各伝動軸41に装着され、止め輪9によって抜け出さないように係止され、それぞれ通し孔37a、7a、37a内に位置している。
【0087】
摩擦ローラ37、7、37は出力軸4に対してeの偏心距離を有しているので、摩擦ローラ37、7、37の各通し孔37a、7a、37aの直径は、伝動軸41の被駆動ローラ12a、12、12aの直径より2eだけ大きくして、組合わせ時に干渉がないようにしている。
【0088】
このようにして、減速された摩擦ローラ37、7、37の回転とトルクが、そのまま出力回転および出力トルクとして、複数の伝動軸41を介して出力軸4へ伝えられる。
【0089】
各伝動軸41に設けられた座環42、42、42は摩擦ローラ37、7、37の位置がずれないようにするために置かれている。
【0090】
検討例の場合、摩擦ローラ37、7、37の摩擦力伝達幅(入力軸方向長さ)が合わせて検討例1の2倍となっているので、動力伝達能力は倍増する。
【0091】
また、摩擦内ローラ38への圧接力は、摩擦ローラ7に対して、摩擦ローラ37、37を180°回転し対向させているので、偏心軸33b、33a、33cにおいて負荷される入力軸33の曲げモーメントを入力軸33内でバランスさせることができ、入力軸33の軸受13、16の負荷を著しく軽減させると同時に、摩擦ローラ37、7、37、および軸受35、5、35等の偏心回転重量をバランスさせることができる。
【0092】
図9に基づいて本発明の実施の第形態に係る差動摩擦ローラ減速装置を説明する。図9は、本実施の形態の差動摩擦ローラ減速装置の側面断面図である。
【0093】
本実施の形態の差動摩擦ローラ減速装置は、図5から図7に示す前述の実施の第形態の差動摩擦ローラ減速装置の入力軸23に形成されている偏心軸23aと同様の矩形断面の3組の偏心軸43b、43a、43cを、同じ偏心寸法eで入力軸43の軸方向に順に180度づつ位相を換え、且つそれらの入力軸方向長さを1対2対1の比にして連接して設けている。
【0094】
更にそれぞれの偏心軸43b、43a、43cに組合わされる角孔筒44、27、44、転がり軸受45、25、45、同じ外径の摩擦ローラ48、28、48、各摩擦ローラ48、28、48を摩擦内ローラ38へ圧接する圧し出し手段である与圧された板ばね46、26、46も、その幅(すなわち、入力軸方向長さ)と圧し出し力をそれぞれ1対2対1の比にして側接して3組設け、摩擦ローラ48、28、48を共通の幅広の摩擦内ローラ38に内接し、共通の伝動軸41を介して出力軸24より減速回転を取り出すように構成したものである。
【0095】
図において、ケーシング31にはケーシング蓋32が取り付けられ、その組合わせた状態で入力軸43と出力軸24を同心に回転自由に支えている。ケーシング31の内側には、入力軸43と同心に摩擦内ローラ38が固定して圧嵌され、ケーシング蓋32により締め付けらており、その回転方向はケーシング31に対して固定される。
【0096】
出力軸24は、軸受18、18を介してケーシング蓋32に回転可能に支持され、軸方向を軸受カバー22、軸受ナット21により固定される。
【0097】
入力軸43は軸受13を介してケーシング31に支持され、また、出力軸24の中心穴において軸受16を介して支持される。軸受13はケーシング31に軸受カバー14により軸方向を固定される。
【0098】
入力軸43には、その回転中心軸に平行で同じ距離eだけ偏心した偏心軸43b、43a、43cが入力軸43の軸方向に順番に形成されている。偏心軸43bと偏心軸43cの軸方向長さは偏心軸43aの軸方向長さの半分にしてある。また、偏心軸43bと偏心軸43cの偏心位相角度は偏心軸43aに対して180度回した角度位置となっている。
【0099】
各偏心軸43b、43a、43cは偏心方向に沿う平行平面を有する矩形断面を形成し、偏心軸43aには角孔筒27が外嵌している。角孔筒27は偏心軸43aの偏心方向の平行平面に沿って摺動可能であり、偏心軸43aの偏心による張出し側の側面または引込み側の側面との間に隙間s2 ができるような角孔を有している。
【0100】
角孔筒27は転がり軸受25の内側に圧嵌され、角孔筒27内面と偏心軸43aの偏心による張出し側の側面との隙間には、与圧された板ばね26が挟み込まれている。角孔筒27は偏心軸43aにガイドされて、隙間s2 だけ偏心方向へ摺動することが可能である。
【0101】
摩擦ローラ28が摩擦内ローラ38と組合わされていないフリーなときの角孔筒27に、偏心軸43aと与圧された板ばね26とが嵌め込まれた状態の正面図は、図7の偏心軸23aを偏心軸43aに置き換えればよい。
【0102】
偏心軸43bと偏心軸43cは、偏心軸43aの両側に連接し、偏心軸43bと偏心軸43c周りの各部分、角孔筒44、44、転がり軸受45、45、板ばね46、46、摩擦ローラ48、48の正面の形状は図7に示した偏心軸43a周りの部分の形状と同じ形状をなしている。
【0103】
側面から見た偏心軸43bと偏心軸43c周りの各部分、角孔筒44、44、転がり軸受45、45、板ばね46、46、摩擦ローラ48、48の幅(すなわち、入力軸方向長さ)は、全て偏心軸43a周りの部分、角孔筒27、転がり軸受25、板ばね26、摩擦ローラ28の半分の幅(入力軸方向長さ)となっている。角孔筒44、44は偏心軸43b、43cにガイドされて隙間s2 だけ偏心方向へ摺動することが可能である。
【0104】
隔筒34、17と隔板47、47は,転がり軸受45、25、45が偏心軸43b、43a、43c上で軸方向にずれないようにするために設置されている。
【0105】
転がり軸受25の外周には円板状の摩擦ローラ28が圧嵌めで固定され、転がり軸受45、45の外周にはそれぞれ円板状の摩擦ローラ48、48が圧嵌めで固定され、摩擦ローラ48、28、48の外周は摩擦ローラ面を形成し、各摩擦ローラ共、側面には同一半径(ピッチ円半径)上の等角度となる位置に入力軸43の軸方向の複数の通し孔48a、28a、48aが開けられている。
【0106】
摩擦内ローラ38内に各摩擦ローラ48、28、48が組み込まれて、それぞれ入力軸43の偏心軸43b、43a、43cの回転によって偏心回転するとき、摩擦ローラ28においては偏心軸43aに与圧されて嵌め込まれた板ばね26の圧力が転がり軸受25を介して摩擦ローラ28が摩擦内ローラ38を圧す力となり、摩擦ローラ48、48においては偏心軸43b、43cに与圧されて嵌め込まれた板ばね46、46の圧力が転がり軸受45、45を介して摩擦ローラ48、48が摩擦内ローラ38を圧す力となる。
【0107】
この圧接力のため、各摩擦ローラ48、28、48と摩擦内ローラ38の間に摩擦力を生じ、この摩擦力と入力軸43のトルクによる偏心軸43b、43a、43cの軸心に働く力とが合成されて、各摩擦ローラ48、28、48に回転トルクが発生する。
【0108】
このときの、入力軸43の回転数に対する摩擦ローラ48、28、48の回転比(減速比)、摩擦ローラ48、28、48と摩擦内ローラ38との面圧の計算式は検討例1の場合と同様であり、この面圧は板ばね46、26、46のばね力で与えられる。
【0109】
出力軸24と一体の円板24aには、摩擦ローラ48、28、48のそれぞれの複数の通し孔48a、28a、48aと被駆動ローラ12a、12、12aを介して係合して摩擦ローラ28、48、48からトルクを伝達する複数の伝動軸41が設けられている。
【0110】
伝動軸41は、そのピッチ円半径とピッチ(または、角度)が、摩擦ローラ48、28、48のそれぞれの複数の通し孔48a、28a、48aのピッチ円半径とピッチ(または、角度)と同一となるように固設されている。
【0111】
被駆動ローラ12a、12、12aは、同一外径を有し回転自在に各伝動軸41に装着され、止め輪9によって抜け出さないように係止され、それぞれ通し孔48a、28a、48a内に位置している。
【0112】
摩擦ローラ48、28、48は出力軸24に対してeの偏心距離を有しているので、摩擦ローラ48、28、48の各通し孔48a、28a、48aの直径は、伝動軸41の被駆動ローラ12a、12、12aの直径より2eだけ大きくして、組合わせ時に干渉がないようにしている。
【0113】
このようにして、減速された摩擦ローラ28、48、48の回転とトルクが、そのまま出力回転および出力トルクとして、複数の伝動軸41を介して出力軸24へ伝えられる。
【0114】
各伝動軸41に設けられた座環42、42、42は摩擦ローラ48、28、48の位置がずれないようにするために置かれている。
【0115】
本実施の形態の場合、摩擦ローラ48、28、48の摩擦力伝達幅(入力軸方向長さ)が合わせて検討例1実施の第1形態の2倍となっているので、動力伝達能力は倍増する。
【0116】
また、摩擦内ローラ38への圧接力は、摩擦ローラ28に対して、摩擦ローラ48、48を180°回転し対向させているので、偏心軸43b、43a、43cにおいて負荷される入力軸43の曲げモーメントを入力軸43内でバランスさせることができ、入力軸43の軸受13、16の負荷を著しく軽減させると同時に、摩擦ローラ48、28、48、および転がり軸受45、25、45等の偏心回転重量をバランスさせることができる。
【0117】
【発明の効果】
(1)請求項1の発明によれば、差動摩擦ローラ減速装置を、ケーシングに軸受を介して回転自由に支持され、回転中心軸に平行で偏心方向の軸幅が偏心方向に直角の軸幅より小さい偏心軸を設けた入力軸と、外周に摩擦ローラ面が形成され側面の同一ピッチ円上の等角度の位置に前記入力軸方向の複数の通し孔が開けられ中心部に貫通孔を有する円板状の摩擦ローラと、同摩擦ローラの貫通孔に圧嵌し前記偏心軸との間に設けられた転がり軸受と、前記ケーシング内に前記入力軸と同心に且つ前記摩擦ローラを囲む位置に固設された摩擦内ローラと、前記偏心軸と前記転がり軸受との間に設けられ同転がり軸受を介して前記摩擦ローラを偏心方向へ圧し出して摩擦内ローラに圧接させる圧し出し手段と、前記複数の通し孔のそれぞれと係合して摩擦ローラからトルクを伝達する複数の伝動軸を前記通し孔と同一半径のピッチ円上の等角度の位置に固設した円板と、同円板と一体構造でケーシングに軸受を介して回転自由に前記入力軸と同心に支えられる出力軸とを有してなる差動摩擦ローラ減速装置であって、前記偏心軸は偏心方向に沿う平行平面を有する矩形断面を有し、前記平行平面と摺動可能で且つ同偏心軸の偏心による張出し側の側面または引込み側の側面との間に隙間を形成する角孔を有する角孔筒を外嵌し、同角孔筒は前記転がり軸受の内側に圧嵌されたものであり、前記圧し出し手段は前記角孔筒内面と前記偏心軸の張出し側の側面との隙間に与圧されて嵌め込まれた板ばねであるように構成したので、入力軸の回転によって転がり軸受を介して入力軸の偏心軸に転がり軸受を介して外嵌する摩擦ローラが偏心回転するとき、前記圧し出し手段の作用により摩擦ローラ面が前記ケーシング内に固設された摩擦内ローラの内面と確実に圧接して転動し、騒音を発生すること無く静粛に、摩擦ローラと摩擦内ローラの間の摩擦力と、入力軸のトルクにより偏心軸の軸心に働く力とにより生じた摩擦ローラの高減速比の差動減速回転とトルクを、伝動軸を介して出力軸へ伝えることができるとともに、転がり軸受の転動体が摩耗しても、圧し出し手段により摩擦ローラと摩擦内ローラ間の面圧を維持できるため、長期間の動力伝達性能を確保することができる。
そして、偏心軸を矩形断面の角軸に形成し、角孔筒を介して転がり軸受を外嵌したため、摩擦ローラの偏心方向が確実となり、また、入力軸の回転によって前記摩擦ローラが偏心回転するとき、角孔筒内面と偏心軸の側面との隙間の与圧された板ばねの圧力が摩擦ローラが摩擦内ローラを圧す力となり、転がり軸受等の磨耗が生じても、ローラ間の摩擦力が確実に働き、高減速比における差動減速回転と高い伝達トルクと保持できる範囲が大きく、より長期間の動力伝達性能を確保することができる。
【0121】
)請求項の発明によれば、請求項に記載の差動摩擦ローラ減速装置において、前記入力軸の偏心軸は、同じ偏心寸法で同入力軸の軸方向に順に180度ずつ偏心位相角度を換え、軸方向長さを1対2対1の比で連接して設けられた3組の偏心軸であり、前記摩擦ローラ、転がり軸受および圧し出し手段は、前記3組の偏心軸のそれぞれに組合わされ且つその幅と伝達する圧し出し力を前記順に1対2対1の比とした側接する3組の同じ外径の摩擦ローラ、側接する3組の転がり軸受および側接する3組の圧し出し手段であって、前記摩擦内ローラは、前記側接する3組の同じ外径の摩擦ローラに共通に外接する幅広の摩擦内ローラであり、前記出力軸は前記側接する3組の摩擦ローラから共通の前記伝動軸を介して差動減速回転を取り出すように構成してなるようにしたので、請求項の発明の効果に加え、動力伝達能力が倍増し、また、摩擦ローラへの圧接力が対向して働くため、入力軸の曲げモーメントが入力軸内でバランスし入力軸の軸受の負荷が著しく軽減すると同時に、偏心回転重量がバランスし、回転性能が向上して振動、騒音の少ない減速装置とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係り本発明者が検討した検討例1の差動摩擦ローラ減速装置の側面断面図である。
【図2】 図1中A−A矢視による正面断面図である。
【図3】 図2中央部の詳細図である。
【図4】 図3の偏心軸と板ばねの係合状態の説明図である。
【図5】 本発明の実施の第形態に係る差動摩擦ローラ減速装置の側面断面図である。
【図6】 図5中B−B矢視による正面断面図である。
【図7】 図6の中央部の偏心軸と板ばねの係合状態の説明図である。
【図8】 本発明に係り本発明者が検討した検討例2の差動摩擦ローラ減速装置の側面断面図である。
【図9】 本発明の実施の第形態に係る差動摩擦ローラ減速装置の側面断面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
2 ケーシング蓋
3 入力軸
3a 偏心軸
4 出力軸
5 転がり軸受
6 板ばね
7 摩擦ローラ
7a 通し孔
8 摩擦内ローラ
11 伝動軸
12、12a 被駆動ローラ
23 入力軸
23a 偏心軸
24 出力軸
25 転がり軸受
26 板ばね
27 角孔筒
28 摩擦ローラ
28a 通し孔
31 ケーシング
32 ケーシング蓋
33 入力軸
33a、33b、33c 偏心軸
35 転がり軸受
36 板ばね
37 摩擦ローラ
38 摩擦内ローラ
38a 通し孔
41 伝動軸
43 入力軸
43a、43b、43c 偏心軸
45 転がり軸受
46 板ばね
48 摩擦ローラ
48a 通し孔

Claims (2)

  1. ケーシングに軸受を介して回転自由に支持され、回転中心軸に平行で偏心方向の軸幅が偏心方向に直角の軸幅より小さい偏心軸を設けた入力軸と、外周に摩擦ローラ面が形成され側面の同一ピッチ円上の等角度の位置に前記入力軸方向の複数の通し孔が開けられ中心部に貫通孔を有する円板状の摩擦ローラと、同摩擦ローラの貫通孔に圧嵌し前記偏心軸との間に設けられた転がり軸受と、前記ケーシング内に前記入力軸と同心に且つ前記摩擦ローラを囲む位置に固設された摩擦内ローラと、前記偏心軸と前記転がり軸受との間に設けられ同転がり軸受を介して前記摩擦ローラを偏心方向へ圧し出して摩擦内ローラに圧接させる圧し出し手段と、前記複数の通し孔のそれぞれと係合して摩擦ローラからトルクを伝達する複数の伝動軸を前記通し孔と同一半径のピッチ円上の等角度の位置に固設した円板と、同円板と一体構造でケーシングに軸受を介して回転自由に前記入力軸と同心に支えられる出力軸とを有してなる差動摩擦ローラ減速装置であって、前記偏心軸は偏心方向に沿う平行平面を有する矩形断面を有し、前記平行平面と摺動可能で且つ同偏心軸の偏心による張出し側の側面または引込み側の側面との間に隙間を形成する角孔を有する角孔筒を外嵌し、同角孔筒は前記転がり軸受の内側に圧嵌されたものであり、前記圧し出し手段は前記角孔筒内面と前記偏心軸の張出し側の側面との隙間に与圧されて嵌め込まれた板ばねであることを特徴とする差動摩擦ローラ減速装置
  2. 請求項に記載された差動摩擦ローラ減速装置において、前記入力軸の偏心軸は同じ偏心寸法で同入力軸の軸方向に順に180度ずつ偏心位相角度を換え、軸方向長さを1対2対1の比で連接して設けられた3組の偏心軸であり、前記摩擦ローラ、転がり軸受、角孔筒および圧し出し手段は、前記3組の偏心軸のそれぞれに組合わされ且つその幅と伝達する圧し出し力を前記順に1対2対1の比とした側接する3組の同じ外径の摩擦ローラ、側接する3組の転がり軸受、側接する3組の角孔筒および側接する3組の圧し出し手段であって、前記摩擦内ローラは、前記側接する3組の同じ外径の摩擦ローラに共通に外接する幅広の摩擦内ローラであり、前記出力軸は同側接する3組の摩擦ローラから共通の前記伝動軸を介して差動減速回転を取り出すように構成してなることを特徴とする差動摩擦ローラ減速装置。
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