JP4300063B2 - 米粉を主原料とする発酵パン及びその製造方法 - Google Patents

米粉を主原料とする発酵パン及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、米粉を主原料とする発酵パンとその製造方法に関し、詳細には、米粉とともにグルテンと、米粉に対し、水を85w/w%以上115w/w%以下、易発酵性糖質と難発酵性糖質とからなる可溶性糖質を無水物換算で9w/w%以上25w/w%以下含有せしめた生地を発酵させる工程を含むことを特徴とする発酵パンの製造方法及びその方法を用いて得られる発酵パン、並びに当該発酵パン製造用のパン生地に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平5−15298号公報
【特許文献2】
特開平11−225661号公報
【特許文献3】
特開平6−7071号公報
【特許文献4】
特開平11−32706号公報
【特許文献5】
特開2001−327242号公報
【0003】
通常、発酵パンの主原料として利用されているのは、小麦粉又は小麦粉とライ麦粉との混合物であり、単独で使用してふっくら膨らんだ発酵パンが得られるのは小麦粉のみである。小麦粉は、これに水と、砂糖などの易発酵性糖質を加えて練り合わせることにより、小麦中に含まれる蛋白質のグリアジンとグルテニンが粘り気と弾力性に富むガム状物質の『グルテン』になり、易発酵性糖質がパン酵母の発酵をうけることにより生じる炭酸ガスを生地中に包蔵する機能が発揮され、発酵パンの容積拡大につながることが知られている。従って、品質の良い発酵パンの製造には、生地に含有せしめる水と糖質の質と量が大きく関係している。
【0004】
小麦はその大部分を海外から輸入する必要があるのに対して、国産品でまかなうことができ、且つ、古くより日本人の主食である米を発酵パンに利用できるようにすることは有意義なことである。最近、発酵パンの主原料として、米粉を小麦粉の代替として利用する方法がさかんに提案されている。例えば、小麦粉の一部又は大部分を米粉に置き替えて発酵パンを製造する方法が、特許文献1、特許文献2などで提案されている。また、米粉単独で使用して発酵パンを製造する方法が、特許文献3、特許文献4、特許文献5などで提案されている。
【0005】
しかし、米粉は小麦粉と異なり、蛋白質のグリアジンとグルテニンを含んでおらず、生地を混捏しても『グルテン』が生成しないため、パン生地製造時には別途、グルテンを配合することが必須である。また、米粉はその含有する澱粉の質が小麦粉とは異なるため、使用時の特性を異にする。例えば、米澱粉は分子量が小麦澱粉に比べ大きく、糊化温度範囲も約10℃高い。澱粉は糊化温度が高いほど粘りが強く、老化(硬化)も速いとされている。米澱粉の粘りが強いため、パン生地の調製において、米粉パンでは小麦粉の場合よりも多くの水が必要である。特許文献3には米粉パンの製造における米粉に配合する水の量に関して、米粉100質量部に対して90〜110質量部加えることによる良質なパンの製造方法が開示されている。しかしながらこのパンは、焼成直後の品質はよいものの、米澱粉の老化が速いため、日持ちが悪く、保存性に劣るという欠点があった。
【0006】
一般に、発酵パンの製造に際して、特許文献2、特許文献4などに記載されているように、米粉の使用割合が高くなると生地の付着性が増大し、操作性、機械適性が劣るようになり、米粉とグルテンとを含有する粉末を使用すると、米粉とグルテンとのなじみが悪くて分離し易く、均一な生地とならなかったり、その為に、生地を調製する操作が困難になったり、焼き上げて得られるパン容積が小さくなったり、甚だ食感が悪くなることなどが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、米粉を主原料とした生地を使用して、小麦粉を主原料とした生地を使用した場合と同様に、発酵パン製造時の作業性が良好で、品質(外観、食味、保存性など)の改善された発酵パンを製造する方法を提供することを第一の課題とし、この方法を用いて作られる品質の優れた発酵パンを提供することを第二の課題とし、この優れた発酵パン製造用の生地を提供することを第三の課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決する目的で、発酵パン製造時の作業性に対して悪影響を与えず、発酵パンの品質(外観、食味、保存性など)を改善することを目的として、パン生地における水分量と糖質の量及び質が、パン生地製造時の作業性及び機械適性に及ぼす影響と、焼成後のパンの品質(外観、食味、保存性など)に及ぼす影響に関して鋭意検討を重ねてきた。
【0009】
その結果、米粉とともにグルテンと、米粉に対し水と、易発酵性糖質と難発酵性糖質とからなる可溶性糖質を所定量配合することにより、詳細には、米粉とともにグルテンと、米粉に対し、水を85w/w%以上115w/w%以下(以下、本明細書では特にことわらない限り、w/w%を単に%と略称する。)、望ましくは92%以上107%以下、易発酵性糖質と難発酵性糖質とからなる可溶性糖質を無水物換算で9%以上25%以下、望ましくは12%以上20%以下含有せしめた生地を発酵させることにより、意外にも、発酵パン製造時の作業性に好影響を与え、且つ、従来のグルテンを含有する米粉を用いて作られる発酵パンの品質(外観、食味、保存性など)、特に保存性を大幅に改善できることを新たに見出し、本発明を完成するに至った。なお、本発明でいう「可溶性糖質」とは、単糖、オリゴ糖、及び糖アルコールなど水に可溶性の糖質であって、多糖類を含まないものを意味し、以下、本明細書ではこの糖質を単に「可溶性糖質」と称する。
【0010】
即ち、本発明は、米粉とともにグルテンと、水と、易発酵性糖質と難発酵性糖質とからなる可溶性糖質を所定量配合することにより、詳細には、米粉とともにグルテンと、米粉に対し、水を85%以上115%以下、望ましくは92%以上107%以下、易発酵性糖質と難発酵性糖質とからなる可溶性糖質を無水物換算で9%以上25%以下、望ましくは12%以上20%以下含有せしめた生地を発酵させることを特徴とする新規な発酵パンの製造方法を確立するとともに、この方法を用いて得られる品質(外観、食味、保存性など)の優れた発酵パン、更には、この優れた発酵パン製造に適した生地を提供することによって、上記の課題を解決するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
一般的に利用されている米粉は、粳米又は餅米の生米を粉砕、粉末化したもので、上新粉、上用粉、もち粉、白玉粉、玄米粉などが販売されており、団子、せんべい、もち菓子などの用途に利用されている。本発明の発酵パンの主原料として用いる米粉としては、これら従来から市販されている米粉が利用できることはもとより、先に記したように、粉砕する前の米(精白米、玄米、屑米、古米など)を各種の方法を用いて破砕又は粉砕処理したり、この破砕又は粉砕して得られる粒子を更に細かくしたものも有利に利用でき、その粒度としては、望ましくは、平均粒径300μm以下、より望ましくは75μm以下、更に望ましくは45μm以下のものが好適である。米粉は粳米、餅米を問わず、また、生のままであっても、更に、予め糊化(α化)させたものであっても、いずれも本発明においては有利に利用できる。また、本発明に用いる米粉として、前記の米粉のみならず酒造米を精白する際に副生する白糠、米粉から製造される米澱粉を使用することも、更には、これらを適宜組み合わせて使用することも有利に実施できる。
【0012】
米粉パン生地の調製にはグルテンの配合が必須である。グルテンとしては、活性グルテンの使用が望ましく、米粉に対して、通常、5%乃至30%程度、望ましくは10%乃至25%程度含有させることにより、米粉は発酵パンの主原料として有利に利用できるようになる。グルテン含有量が5%未満では、パン用の生地を調製したときに粘り気がなく、発酵により発生する炭酸ガスが抜け易く、膨らみがなくなり、できたパンは容積の増加量が少なくて硬くなる。グルテンの含有量が30%を越える場合は、パン用の生地を調製したときに粘り気が強過ぎて付着性が大きく、操作性、機械適性が悪くなり、発酵が進んでも生地の膨らみが少なく、焼成しても内相が均質でなく、綺目も粗くなる。また、必要に応じて、前記米粉に対して等量未満、望ましくは20乃至40%程度の小麦粉を配合して、生地に含有するグルテンの量を増やしたり、別途加えるグルテンを節約することも有利に実施できる。また、特許第3080368号公報に開示されている技術に準じて、生地の調製に際し、予め米粉の一部とグルテンの一部に水を加え、米澱粉の糊化温度以上の温度で混捏して調製した湯捏ね種生地を用いることも有利に実施できる。
【0013】
米粉は澱粉の質が小麦粉と異なるため、小麦粉と同じ加水量で生地を調製すると粘度が高くなり、生地の付着性が増大し、作業性、機械適性ともに好ましくない。米粉を主原料としたパンでは、水の量は、米粉に対して85乃至115%の範囲が好適であり、92%以上107%以下の範囲が更に好適である。85%未満では生地の粘度が高いため付着性が大きく、操作性、機械適性が悪くなる。一方、115%超では生地の水分が多くなりすぎ、生地としてまとまらず、従って、焼成してもふっくらとした品質の良いパンは得られない。水を添加する時期は生地を混捏する際、副材料を加える前の段階で、主原料である米粉及びグルテンに対して加えてもよいし、又は原材料を全て混合した後に加えてもよい。望ましくは、生地の状態を見ながら、何回かに分けて加えるのがよい。また、水以外の原材料が全て混合されたプレミックス粉に対して所定量を添加してもよい。
【0014】
一般に、ふっくら膨らんだ発酵パンを製造するためには、パン酵母によって容易に発酵、利用され、炭酸ガスやエタノールを生成する易発酵性糖質の使用が必須である。易発酵性糖質の例としては、グルコース、フラクトース、異性化糖、蜂蜜、砂糖などが挙げられるものの、通常、砂糖が用いられる。しかしながら、米粉を主原料として発酵パンを製造する場合には、易発酵性糖質のみの使用では発酵時間が短くなることにより作業性が悪化し、品質(外観、食味、保存性など)の優れた発酵パンの製造は難しい。また、易発酵性糖質のみを用いて製造したパンは、用いた易発酵性糖質の配合量によって速さは異なるものの、澱粉の老化に起因するパンの硬化などによる、品質の劣化が起こりやすい。本発明によると、易発酵性糖質に合わせて等量以上の難発酵性糖質を含有させることで、発酵速度を抑制し、発酵時間を延長、調整することによる作業性の改善や、発酵パンの老化防止など品質改善をはかることができる。
【0015】
本発明において用いる難発酵性糖質とは、パン酵母によって容易に発酵されず、易発酵性糖質が発酵、利用され調製された発酵生地中に難発酵性糖質のまま、その大部分が残存できる糖質であり、砂糖以外の各種オリゴ糖及び糖アルコールがそれに該当する。難発酵性糖質としてのオリゴ糖及び糖アルコールの由来は問わない。難発酵性のオリゴ糖としては、例えば、澱粉から酵素糖化法を用いて得られるマルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオースなどのマルトオリゴ糖、イソマルトース、イソマルトトリオース、パノースなどのイソマルトオリゴ糖、コージビオース、コージトリオースなどのコージオリゴ糖、ニゲランの分解や澱粉から酵素糖化法を用いて得られるニゲロオリゴ糖、乳糖、乳糖を酵素変換して得られるガラクトオリゴ糖、乳糖を異性化して得られるラクチュロース、とうもろこしの芯などに含まれるヘミセルロースを分解して得られるキシロオリゴ糖、砂糖を酵素変換して得られるパラチノース、トレハルロース、グルコースを原料に酵素変換して得られるゲンチオオリゴ糖、マンナンを分解して得られるマンノオリゴ糖、セルロースを分解して得られるセロオリゴ糖、多糖ラミナリンを分解して得られるラミナリノオリゴ糖や、それらの混合物を含む各種の還元性オリゴ糖が適宜採用できる。市販の精製マルトース、マルチトール、マルトオリゴ糖水飴、イソマルトオリゴ糖水飴などのオリゴ糖製品を使用することもできる。例えば、株式会社林原商事が販売している、精製マルトース((株)林原商事販売、登録商標『サンマルト』)、マルトオリゴ糖水飴((株)林原商事販売、登録商標『テトラップ』、『ペントラップ』)や、イソマルトオリゴ糖水飴((株)林原商事販売、商品名『パノラップ』又は商品名『イソマルト900』)を使用することも有利に実施できる。また、澱粉から酵素糖化法などの方法で製造されるα,α−トレハロース、ネオトレハロース、グルコシルα,α−トレハロース、マルトシルα,α−トレハロース、マルトトリオシルα,α−トレハロース、α−マルトシルα−マルトシド、α−イソマルトシルα−マルトシド、α−マルトトリオシルα−マルトシド、α−パノシルα−マルトシドなどのα,α−トレハロースの糖質誘導体、サイクロ{→6−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→}の構造を有する環状四糖などのグルコースのみを構成糖とする非還元性オリゴ糖、更には、グルコシル環状四糖、ガラクトシル環状四糖などの環状四糖の糖質誘導体なども有利に利用することができる。更に、乳糖と砂糖を原料に酵素変換して得られる乳糖果糖オリゴ糖(ラクトスクロース、(株)林原商事販売、登録商標『乳果オリゴ』)、大豆ホエーから分離・精製して得られる大豆オリゴ糖、ビート糖蜜から分離・精製して得られるラフィノースなどのフラクトシド結合を有する非還元性オリゴ糖を使用することもできる。しかしフラクトシド結合を有する非還元性オリゴ糖は、フラクトシド結合部分が加水分解され、発酵、利用され易い性質を有しており、発酵パン中に残存できる糖質量を考慮すると、その使用に際してはやや多めに用いる必要がある。また、上記のオリゴ糖の2種以上を混合して用いることも有利に実施できる。
【0016】
本発明で用いる難発酵性糖質としての糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、ズルシトール(ガラクチトール)、キシリトール、マンニトールなど単糖類を還元して得られる単糖アルコール、グルコースを酵母で発酵させて得られるエリスリトール、マルチトール、マルトトリイトールなどの各種マルトオリゴ糖アルコール、澱粉を酵素糖化して得られるオリゴ糖をさらに還元して得られる還元水飴、イソマルチトール、イソマルトトリイトールなどのイソマルトオリゴ糖アルコール、乳糖を還元して得られるラクチトール、キシロースを還元して得られるキシリトール、パラチノースを還元して得られる還元パラチノースや、それらの混合物を含む各種の糖アルコールも適宜利用できる。これらの糖アルコールの由来は問うものではなく、市販のマルチトール、還元水飴などの各種糖アルコール製品を使用することもできる。例えば、株式会社林原商事が販売しているマルチトール((株)林原商事販売、登録商標『マビット』)、還元水飴((株)林原商事販売、商品名『HS−30』)や、株式会社三井製糖が販売している還元パラチノース((株)三井製糖販売、商品名『パラチニット』)を使用することも有利に実施できる。また、上記糖アルコールの2種以上を混合して、更には前記オリゴ糖と糖アルコールの2種以上を混合して用いることも有利に実施できる。
【0017】
従来、米粉及びグルテンに加えて、可溶性糖質として砂糖などの易発酵性糖質のみを使用した生地では、フロアータイム(一次発酵)での酵母による発酵が激しく起こり、ホイロタイム(二次発酵)では逆にほとんど発酵が起きないことから、製造される発酵パンの内相は綺目が粗くて不均一にしかならず、焼成直後の食味も急速に劣化するものであった。これに対して本発明の米粉、グルテン及び可溶性糖質としての易発酵性糖質に加えて、可溶性糖質としての難発酵性糖質、好ましくは難発酵性のオリゴ糖及び糖アルコールから選ばれる糖質を含有させた生地は、発酵時に難発酵性糖質がいくらかは消費されるものの、焼成後も大部分が残存しており、できた発酵パンはその硬化が抑制されパンの日持ちが延長され、また、難発酵性糖質、好ましくは難発酵性のオリゴ糖及び糖アルコールの持つ上品な甘味を有し、外観、食味に優れた高品質をよく維持するものである。更に、本発明で得られる発酵パンは水分含量が高く、またその保湿性も高いので、水の吸収を少なくできることから、電子レンジやオーブンなどでの再加熱時やサンドイッチ、ホットドックなどの調理パンに加工した場合、従来の小麦粉を原料とした発酵パンに比べて、その優れた品質をよく維持し、更に、喫食したときの喉の渇き感も少ない。また、ベンチタイム後の生地を凍結保存しても、難発酵性糖質、好ましくは難発酵性のオリゴ糖及び糖アルコールから選ばれる糖質が含まれていることから、発酵用酵母の生存、再生率が高められ、解凍後の発酵が活発であり、澱粉、蛋白質の変性も少ないことから、凍結保存した生地と凍結保存しない生地を比較しても、差は見られず、発酵パン製造用の発酵生地として好適であり、良好な発酵パンに仕上げることができる。
【0018】
易発酵性糖質と難発酵性糖質、好ましくは易発酵性糖質と難発酵性のオリゴ糖及び糖アルコールから選ばれる糖質とを含む可溶性糖質の総配合量は、米粉に対して、無水物換算で9%以上25%以下の範囲が好適で、より望ましくは12%以上20%以下配合するのが好ましい。易発酵性糖質が米粉に対して3%程度配合されていれば、通常、パン生地の発酵には充分であるものの、易発酵性糖質と難発酵性糖質の総配合量が米粉に対して9%未満では、発酵が速すぎて膨らみがなく、製パン時の作業性が悪く、できたパンの容積の増加が少なく、硬化も速くて日持ちが悪い。米粉に対する可溶性糖質の配合量が25%を越える場合は発酵が遅れることにより製パン時の操作時間が長くなり、却って作業性が劣る。発酵工程のなかで、フロアータイム(一次発酵)及びホイロタイム(二次発酵)としては、作業性から考えてそれぞれ30分以上が望ましく、しかも良好な発酵状態が得られるのであれば、なるべく短い時間が好適である。本発明の米粉を主原料とした生地を用いた場合には、ベンチタイム(15分)も含めた全発酵時間が106分乃至233分で外観、食味に優れた高品質の発酵パンに仕上げることができる。作業性の点からはベンチタイムも含めた全発酵時間を120分程度で仕上げるのが望ましい。なお、ホイロタイムの条件は、ホイロに入れることなく、フロアータイムの場合と同様に、室温で行われることもある。難発酵性糖質、好ましくは難発酵性のオリゴ糖及び糖アルコールから選ばれる糖質の生地への配合は、通常、原料に水を加えて生地を調製する際に行われるものの、配合の時期は、発酵を開始するまでであればいつでもよく、予め米粉又はグルテンに配合しておくことも有利に実施できる。また、必要ならば、前もって混合したプレミックス粉として用いることも有利に実施できる。
【0019】
本発明においては、前記難発酵性糖質から選ばれる糖質のうち、α,α−トレハロースが、発酵速度の抑制、発酵時間の調整に優れ、且つ、味質に優れ、糊化した米粉に含まれる澱粉の老化防止による発酵パンの硬化抑制と日持ち向上に、更には、米粉に含まれる脂質の劣化抑制に優れることから、難発酵性糖質の一部としてα,α−トレハロースを用いるのが望ましい。しかしながら、米粉に対して、無水物換算で6%以上のα,α−トレハロースを用いるのは焼成後のパンに焼き色、風味付けをする上で好ましくないため、無水物換算で6%未満のα,α−トレハロースと他の難発酵性糖質とを併用して、その合計量を米粉に対して、通常、6%以上22%以下、望ましくは9%以上17%以下とするのが好適である。本出願人は、先に特開2001−123194号公報において、玄米を精白する際や無洗米製造時に、玄米にα,α−トレハロース及び/又はマルチトールを含有させると、糠や胚芽に含まれる脂肪酸類からの揮発性アルデヒドの生成を抑制し、また、脂肪酸自体の分解を抑制するため、いわゆる「米糠臭」の発生を強く抑えることができ、高品質の精白米や無洗米を製造できることを開示している。本発明おいて、難発酵性糖質の一部としてα,α−トレハロース及び/又はマルチトールを用いることは、米粉に由来する米糠臭、米飯むれ臭、及びグルテンに由来するグルテン臭を抑制する上においても好適である。
【0020】
α,α−トレハロースは、グルコースが2個、α,α−1,1で結合した非還元性の安定な糖質である。本発明で使用するα,α−トレハロースの由来は問わない。例えば、酵母から抽出して得られるα,α−トレハロース、マルトースからホスホリラーゼ法により得られるα,α−トレハロース、澱粉から酵素糖化法を用いて得られるα,α−トレハロースなど、各種のα,α−トレハロースが適宜採用できる。市販の高純度含水結晶α,α−トレハロース、高純度無水結晶α,α−トレハロースなどを使用することもできる。例えば、株式会社林原商事が販売している高純度含水結晶トレハロース((株)林原商事販売、登録商標『トレハ』)を使用することも有利に実施できる。
【0021】
また、必要に応じて、前記難発酵性糖質に加えて、水溶性多糖類を用いることもできる。水溶性多糖類としては、水分共存下で米粉、グルテン、易発酵性糖質及び難発酵性糖質のいずれとも親和性を有し、良くなじむ多糖類又はその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の多糖類又はその誘導体が適しており、例えば、澱粉の糊化物、その乾燥物などのα化澱粉、プルラン、ザンタンガムなどの微生物由来多糖類、アルギン酸、カラゲナンなどの海藻由来多糖類、タラガム、タマリンド、ローカストビーンガム、アラビアガム、ペクチン、イヌリン、ヤマイモ粘質物、ジュンサイ粘質物などの高等植物由来の水溶性多糖類やそれらの誘導体などがある。また、誘導体としては、前記の誘導体に加えて、例えばセルロース、澱粉など本来水に不溶性乃至難溶性多糖類の水溶性化学修飾物や水溶性部分加水分解物なども有利に利用でき、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチル澱粉、デキストリンなどが有利に利用できる。
【0022】
難発酵性糖質が比較的少ない場合に、水溶性多糖類を追加することで、米粉とグルテンとのなじみを良くすることにより、両者が分離して発酵及び焼成時に生地が変形又は縮むのを抑制することができる。米粉に対する難発酵性糖質の使用量が比較的少ない8%未満の場合に、米粉に対する水溶性多糖類含有量が0.5%未満では、米粉とグルテンのなじみが少なくて分離が発生し易く、焼成後の発酵パンの容積増加量が少なく、内相の綺目がばらついて全体として粗く、食感がなめらかとなりにくい。一方、水溶性多糖類を米粉に対して5%を越えて含有する場合は、生地の粘度が高くなりすぎて操作性、機械適性が悪くなったり、発酵が進んでも生地の膨らみが少なく、焼成しても均質でなく、綺目が粗くなる。従って、難発酵性糖質の使用量が比較的少ない8%未満の場合、水溶性多糖類の含有量としては、米粉に対して0.5%以上5%以下が好適である。水溶性多糖類の生地への混合時期は、適宜選択することができ、通常、生地を調製する際に混合される。また、必要ならば、前もって混合したプレミックス粉として用いることも有利に実施できる。
【0023】
本発明の発酵パン製造用の生地には、更に、必要に応じて、食塩、油脂、粉末油脂などの調味料、牛乳、脱脂粉乳、鶏卵、大豆蛋白などの蛋白材料、ビタミン、ミネラルなどの栄養材料、有機酸及び/又は有機酸塩、β−アミラーゼ剤やα−アミラーゼ剤などの酵素剤、エタノールなどの発酵抑制剤又は保存料などの各種の食品又は食品添加物を含有させることもできる。また、例えば、米、小麦、ライ麦、ハト麦、トウモロコシ、アワ、ヒエ、大豆などの穀類の粗挽き、グリッツ又は穀粉を適量、更には、例えば、ゴマ、松、クルミ、アーモンドなどの果実植物、カボチャ、トマトなどの果菜植物、サツマイモ、ジャガイモ、ヤマイモなどの根菜植物、ホウレンソウ、キャベツ、ネギ、パセリなどの葉菜植物、トウガラシなどの香辛植物、ハーブなどの植物の果実、種子、根茎や枝葉をまるのままか、粉砕するか、更には、加工、調理したものなどを含有させ、品質を向上させることも有利に実施できる。更に、イーストフード、乳化剤などを含有させることも適宜選択できる。また、これらのパン製造に必要な材料や添加物などを予め混合したプレミックス粉を用意して、これを用いて生地を調製することも有利に実施できる。更に、発酵させた生地に、調味及び/又は調理したアン、カレー、更には野菜、果物、肉、卵、魚などを用いた各種惣菜などの具材料を包み込んでアンパン、カレーパン、惣菜パンや中華まんじゅうなどに仕上げることも有利に実施できる。
【0024】
また、本発明の方法により、発酵させた生地は、冷蔵又は冷凍耐性も良好で、長期保存に耐えることから、加熱処理を開始するまでの時間を大幅に延長できる。発酵させた生地を加熱処理する方法は、焼成、フライ、蒸煮、マイクロ波加熱などの公知の方法が適宜採用できる。焼成方法としては、例えば、上面及び/又は下面から加熱するオーブン、又は、前もって加熱された炉面などに直接接触させて加熱するなどの方法を用いることができる。フライ方法としては、例えば、食用油を使って加熱する調理法、いわゆる炒める、揚げるなどの方法を用いることができる。蒸煮方法としては、例えば、火炎上で加熱することにより蒸気を発生させて加熱する蒸し器、又は、ボイラーを用いて予め作られた蒸気を容器内に送り込んで加熱するなどの方法を用いることができる。マイクロ波による方法としては、例えば、マイクロ波を発生、照射することのできる機能を備えた機器、装置を用いて加熱するなどの方法を用いることができる。
【0025】
以上のように、本発明の方法によれば、特定の配合割合で、米粉、グルテンとともに易発酵性糖質と難発酵性糖質とからなる可溶性糖質を含有させ、好ましくは、米粉、グルテン、可溶性糖質としての易発酵性糖質に加えて、難発酵性糖質として、オリゴ糖及び糖アルコールから選ばれる糖質を含有させることにより、意外にも、従来の製法で作られる米粉を主原料とした発酵パンの場合と比較して、製造時の発酵速度が抑制され、作業性に優れ、且つ、外観、食味、保存性などに優れた高品質の発酵パンを提供することができる。かくして、本発明の発酵生地を用いる方法によって、例えば、食パン、コッペパン、菓子パン、フランスパン、ドイツパン、ブドウパン、ベーグル、デニッシュなどのパン類、プレッツェル、パイ、スコーン、蒸しケーキ、中華饅頭、イーストドーナツ、ピザ、ナンなどの優れた品質を持つ各種発酵パンを容易に作業性良く製造できる。このようにして得られた本発明の生地ないしは発酵パンは、冷蔵又は冷凍耐性が良好で、これらの方法で長期間保存することも容易であり、必要に応じて解凍、加温、ないしは加熱して喫食し、その食味を楽しむことも有利に実施できる。また、本発明の発酵パンは、米粉を主原料としていることから、通常の小麦粉を原料とするパンとは違って、小麦アレルギーの懸念が少ない。一方、食味の点では、通常の小麦粉を原料とするパンの場合と同様に牛乳、チーズなどの乳製品、肉、卵、マヨネーズなどの畜産加工品とその食味が合うのに加えて、例えば梅干、漬物、おかか、味付海苔、佃煮などのおにぎりの具材をはじめとして、みそ汁、味噌漬けのようなみそ味、すまし汁、甘露煮などの醤油味などの惣菜、さらには、カツオのタタキ、しめサバ、各種天ぷら、きんぴらごぼう、肉じゃがなど各種和食惣菜、キムチ、焼肉など韓国風惣菜などともその食味がよく合う特徴を有している。
【0026】
本発明の方法により得られる焼成後の発酵パンについて、パンに含まれる可溶性糖質中の糖組成をHPLC法(GLC法も併用)で分析すると、本発明の発酵パンは、本発明でいう難発酵性糖質を、通常、可溶性糖質の50%以上、焼成後のパン重量の3%以上含有することになる。また、「食品の栄養表示基準制度 −栄養表示基準関連通知−第2版」(財団法人 日本健康・栄養食品協会)の“栄養成分分析等の分析方法等(「衛新第13号/別添」)に記載の公定法にて、水分、可溶性糖質、不溶性糖質、脂肪分、蛋白質、灰分の各含量を分析すると、本発明の品質(外観、食味、保存性)に優れたパンは、式 {(水分含量+可溶性糖質含量)/不溶性糖質含量}×100 で算出される値が127乃至171の範囲となることが判明した。なお、この場合の焼成後の発酵パン中の可溶性糖質とは、あんパンなどのように多量の糖質やそれを含む食材などが別途用いられていない、プレーンな発酵パンの組織中の可溶性糖質のことである。
【0027】
以下に、本発明について、具体的な実験を用いて詳しく説明する。
【0028】
【実験1】
<米粉を主原料とする発酵パン生地調製時の水、可溶性糖質の配合量がパン生地適性及び製造したパンの品質に及ぼす影響>
米粉に対する水及び可溶性糖質の配合量とパン生地としての適性、及び製造したパンの品質(外観、食味、保存性)を調べる目的で、米粉100gに対する可溶性糖質の配合量を無水物換算で、6、9、12、15、20、25gの6種類に変化させ、且つ、各可溶性糖質の配合量において、米粉100gに対する水の配合量を、70、85、92、100、107、115、130gと7種類に変化させた表1に示す原材料の配合比の計42種類のパン生地を調製した。なお、米粉は上用粉(五百城ニュートリィ株式会社販売、商品名『上用粉 青』)を、グルテンは活性グルテン(千葉製粉株式会社販売、商品名『グルリッチA』)を、また、マルトースは高純度含水結晶マルトース((株)林原生物化学研究所販売、商品名『マルトースHHH』(マルトース含量99.9%以上))を用いた。混合した原材料は、温度20乃至24℃の範囲に保ちながら、ミキサーを用いて、低速5分、中速2分で混捏し、一時停止した後、更に中速で2分間混捏して生地を調製した。なお、配合する可溶性糖質は、米粉100グラム当たり無水物換算で3.5g(対米粉3.5%)までは易発酵性糖質である砂糖を用い、3.5gを越える量の可溶性糖質としては難発酵性糖質のマルトースを使用した。生地の評価結果を表2に示した。
【0029】
【表1】
Figure 0004300063
【0030】
【表2】
Figure 0004300063
【0031】
表2に示すように、米粉に対して130%の水を配合した生地は、合わせて添加した可溶性糖質の配合量が6%又は9%と少ない場合、水分が多すぎて緩くなり、生地としてまとまらず、また、可溶性糖質の配合量が20%又は25%と多い場合、生地が軟化して機械適性が悪化した。可溶性糖質の配合量が12%又は15%の場合、生地はできるものの、柔らかすぎて製パン用の生地として不適であった。一方、米粉に対して70%の水を配合した生地は可溶性糖質の配合量が6%又は9%と少ない場合、水分が少なすぎて均一な生地にならず、可溶性糖質を更に増やしても硬い生地となり、作業性・機械適性ともに劣っていた。
【0032】
上記、調製した生地から、硬いか、又は水分が多く生地としてまとまらない6種類(×として評価されたもの)を除いた36種類の生地それぞれについて、発酵パンを調製した。まず、50分間発酵させた(フロアータイム)後、発酵した生地を100gに分割して丸めを行い、30分間のベンチタイムを取った。続いて、成形を行い、38℃、湿度75%のホイロにて50分間の発酵を行った(ホイロタイム)。発酵終了後、上火180℃、下火185℃のオーブンにて15分間焼成し、発酵パンを調製した。
【0033】
焼成後のパンの品質評価は7人のパネラーによるパネル試験により、外観(へこみ、しわなどパンの保形性)、食味、保存性について判定した。外観、食味に関する判定は各パネラーの判定の内、最も多いものを採用した。また、保存性は、室温で2日間の保存試験における、パンの硬さの優劣を同じくパネル試験で判定した。パンの品質判定結果を表3に示した。
【0034】
【表3】
Figure 0004300063
【0035】
表3に示すように、米粉に対して水を70%又は130%配合したパンは、硬く、食味が悪いか、又は外観が悪くなる欠点があった。可溶性糖質を6%配合した米粉パンは、水の配合量に拘わらずパンの硬化が速く、保存性の点で劣っていた。パン製造時の生地適性と、焼成後のパン品質の両方が満足できる、水及び可溶性糖質の配合量は、米粉に対して水が85%以上115%以下であり、且つ、米粉に対して可溶性糖質が9%以上25%以下であった。但し、例外として、米粉に対して水が85%の場合であっても可溶性糖質の配合量が9%の場合、焼成直後のパンが硬く、外観も悪いパンになるという欠点があり、また、米粉に対して水が115%の場合であっても可溶性糖質の配合量が25%の場合には、焼成時の米粉澱粉のα化が不充分になり、ふっくらと膨らんだパンになり難いことも判明した。
【0036】
従って、品質の良い米粉パンを調製するための、好適な水の配合量の範囲は、米粉に対して水が85%以上115%以下であり、最も好適な範囲は92%以上107%以下であった。また、最も好適な可溶性糖質の配合量の範囲は米粉に対して12%以上20%以下であった。
【0037】
【実験2】
<焼成後のパンの栄養成分分析>
実験1で得られた焼成後のパンの栄養成分(水分、可溶性糖質、不溶性糖質、脂肪、蛋白、灰分)分析を「食品の栄養表示基準制度 −栄養表示基準関連通知−第2版」(財団法人 日本健康・栄養食品協会)の「栄養成分分析等の分析方法等(衛新第13号/別添)」に従って行った。その結果を表4に示す。
【0038】
【表4】
Figure 0004300063
【0039】
品質の良いパンに関する指標を得るため、上記パンの栄養成分分析における各栄養成分含量の分析値、特に、水及び可溶性糖質の量と、米粉澱粉が大部分を占める不溶性糖質との関係に着目し、式 {(水分含量+可溶性糖質含量)/不溶性糖質含量}×100 を設定し、当該式で算出される値を各パンについて表5にまとめた。
【0040】
【表5】
Figure 0004300063
【0041】
本発明で得られる品質の良いパンは上記で設定した式、{(水分含量+可溶性糖質含量)/不溶性糖質含量}×100 で算出される値が127乃至171の範囲に入ることが判明した。
【0042】
【実験3】
<可溶性糖質中の易発酵性糖質と難発酵性糖質の比率がパンの品質に及ぼす影響>
実験1の結果を踏まえて、可溶性糖質中の易発酵性糖質と難発酵性糖質の比率がパンの品質に及ぼす影響を調べた。水の配合量を米粉に対して100%と固定し、易発酵性糖質と難発酵性糖質との合計量を、無水物換算で、9、12、15、18、21、24%となるように、易発酵性糖質と難発酵性糖質との割合を表6に示すように変化させた以外は、実験1と同じ原材料の配合割合で生地を調製し、焼成して、得られたパンの品質を同様に評価した。なお、易発酵性糖質として砂糖を、また、難発酵性糖質としてマルトース(高純度含水結晶マルトース、(株)林原生物化学研究所販売、商品名『マルトースHHH』(マルトース純度99.9%以上))を用いた。結果を表6に示す。
【0043】
【表6】
Figure 0004300063
【0044】
表6から明らかなように、米粉に対する易発酵性糖質と難発酵性糖質とからなる可溶性糖質の配合量が9%以上24%以下の場合、難発酵性糖質の含量が、米粉に対して6%以上となれば外観に優れ、硬化の遅い品質の優れたパンが得られることが判明した。一方、難発酵性糖質の配合量が米粉に対して6%未満では、易発酵性糖質の含量が高い場合でも硬化が速く、保存性に劣るパンになることも判明した。
【0045】
【実験4】
<各種難発酵性糖質を配合したパンの調製と栄養成分分析>
表7に示した配合で米粉、グルテンに加えて、易発酵性糖質としての砂糖と難発酵性糖質としてのマルトース、マルチトール、又はマルトースとα,α−トレハロースの等量混合物を加えて実験1で示したパンの調製方法に準じて米粉を主原料とした食パンを調製した。なお、マルトースとしては精製マルトース((株)林原商事販売、商品名『サンマルトS』(マルトース含量92%以上))を、マルチトールとしては粉末マルチトール((株)林原商事販売、商品名『粉末マビット』(マルチトール含量93.5%以上))を、また、α,α−トレハロースとしては高純度含水結晶トレハロース((株)林原商事販売、登録商標『トレハ』、(α,α−トレハロース含量98%以上))を、それぞれ用いた。また、並行して難発酵性糖質を配合せず、砂糖のみを用いた以外は同様にして食パンを調製し対照とした。焼成後のパンについて実験1と同様に品質を評価し、実験2と同様に各パンの栄養成分を分析した。各パンの栄養成分分析結果を表8に示した。
【0046】
【表7】
Figure 0004300063
【0047】
【表8】
Figure 0004300063
【0048】
調製したパンの外観、食味は、対照のパンを除くいずれのパンにおいても良好であった。対照として砂糖のみを使用したパン1は、発酵が速すぎて生地調製時の作業性に劣る上に焼成後の食味も急速に劣化した。また、対照のパン1は難発酵性糖質を使用したパン2、パン3、パン4と比べ、パンの硬化が速く、保存性の点においても劣っていた。栄養成分分析の結果、得られた水分、可溶性糖質、不溶性糖質の各含量値を実験2で設定した式にあてはめると、パン1乃至パン4のいずれのパンも約148と、127乃至171の範囲に入るものであった。
【0049】
【実験5】
<焼成後のパンに含まれる可溶性糖質の糖組成分析>
実験4で得た焼成後のパン1、パン2、パン3、パン4にそれぞれ含まれる可溶性糖質を抽出し、糖組成を測定した。まず、パン試料20gを採取し、脱イオン水を40ml加えた後、ブレンダーにかけて粉砕した。次いで、粉砕物を室温で3時間攪拌することにより可溶性糖質をパンより抽出した。試料に160mlのエタノールを添加して80%エタノール溶液とした後、ろ過した(澱粉などの高分子糖質は80%エタノール溶液に溶解せず、不溶性糖質として、ろ過にて除去される。)。ろ液をロータリーエバポレーターにて濃縮、乾固した後、再度、溶解し、ろ過した。得られた試料溶液を必要に応じて電気透析器を用いて脱塩し、糖組成分析用サンプルとした。
【0050】
可溶性糖質の糖組成分析はHPLC(高速液体クロマトグラフィー)とGLC(ガスリキッドクロマトグラフィー)を組み合わせて行った。まず、糖濃度約3%に調整した可溶性糖質試料液20μlを用いて下記に示すHPLC条件にて分析し、含まれている各糖質のピーク面積を全糖質のピーク面積の総和で除して百分率で各重合度ごとに糖質の組成を求めた。
【0051】
(HPLC条件)
カラム:MCIGEL CK08EC(Ca型)
溶離液:純水
流 速:0.6ml/分
カラム温度:75℃
検出器:示差屈折計
【0052】
次いで、HPLC分析のみでは分離が不充分な糖質(2糖類、3糖類)についてさらに詳細に分析するため、同試料を下記に示す条件でGLC分析に供した。
【0053】
(GLC条件)
カラム:2%シリコンOV−17/クロモソルブW・AW・DMCS
(内径3mm×長さ2m、ステンレスカラム)
キャリアーガス:窒素、 キャリアーガス流量:40ml/分
注入口温度:330℃ 検出器温度:330℃
カラム温度:160℃で2分保持後、320℃まで毎分7.5℃で昇温し、320℃で16分保持するプログラムで運転
燃焼ガス:水素、 燃焼ガス流量:35ml/分
助燃ガス:空気、 助燃ガス流量:600ml/分
検出器:FID
糖質試料は予めTMS(トリメチルシリル)誘導体として測定した。
内部標準物質としてフェニル−β−D−グルコシドを用い、内部標準物質のピーク面積に対する各糖質のピーク面積で糖質の各重合度別に組成を算出した。
【0054】
GLC分析で分離した各糖質の組成をもとに、糖質の各重合度ごとに求めたHPLC分析値を比例配分して試料中の糖組成とした。パン1、2、3及び4の可溶性糖質糖組成の分析結果を表9に示した。
【0055】
【表9】
Figure 0004300063
【0056】
可溶性糖質として易発酵性の砂糖のみを配合したパンにおいても、焼成後のパンの可溶性糖質として、難発酵性糖質であるマルトース、マルトトリオース、マルトテトラオースなどのマルトオリゴ糖、及びラクトース(乳糖)が検出された。これら配合していないにも拘わらず検出される難発酵性糖質は、他の市販の配合原料に由来するものであり、マルトオリゴ糖は活性グルテン由来、また、ラクトース(乳糖)は脱脂粉乳由来であった。砂糖のみを配合したパンにおいて砂糖は発酵・焼成後には残存しておらず、ほぼ全量が加水分解され、グルコースとフラクトースが生成し、発酵に用いられていた。一方、可溶性糖質の一部として、難発酵性糖質であるマルトース、マルチトール及びマルトースとα,α−トレハロースの等量混合物をそれぞれ配合したパンでは、これら難発酵性糖質がほとんど発酵・分解を受けず、大部分が焼成後もパン中に残存することが確認された。
【0057】
原料の可溶性糖質として難発酵性糖質を配合し、焼成して得たパンの可溶性糖質中、難発酵性糖質は50%以上を占めていた。易発酵性糖質である砂糖のみを配合した対照のパンでは可溶性糖質中、難発酵性糖質(グルテンと脱脂粉乳由来)の含量は約33%であり、50%未満であった。本発明のパンは、易発酵性糖質がパン酵母によって優先的に発酵に用いられるため、可溶性糖質中の難発酵性糖質が50%以上を占めることになる。また、表8の可溶性糖質含量、及び表9の難発酵性糖質含量の結果から、砂糖のみを配合したパン1が難発酵性糖質をパン重量の約2.5%含有しているのに対して、マルトース、マルチトール及びマルトースとα,α−トレハロースの等量混合物をそれぞれ配合したパン2、パン3及びパン4は、パン重量の4.8%、5.9%、及び5.1%の難発酵性糖質含量を示し、いずれも3%以上であった。
【0058】
以上の実験結果から、本発明によれば、米粉とともにグルテンと、米粉に対して水を85%以上115%以下、望ましくは92%以上107%以下、易発酵性糖質と難発酵性糖質とからなる可溶性糖質を無水物換算で9%以上25%以下、望ましくは12%以上20%以下含有せしめることで、更に望ましくは、可溶性糖質の内、難発酵性糖質、詳細には砂糖を除くオリゴ糖又は糖アルコールから選ばれる1種又は2種以上の糖質を米粉に対して6%以上含有させることで、従来のグルテンを含有する米粉を使用した発酵パンと比べて、製造時の作業性に優れ、且つ、品質(外観、食味、保存性など)が優れた発酵パンを調製することができることが明らかとなり、精米業、製粉業、製パン業、給食産業、外食産業、冷食産業、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなどの食品流通業などを活性化し、米の消費拡大や我が国の食糧自給率の向上に大きく寄与できる。
【0059】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0060】
【実施例1】
<米粉山食パン>
グルテンを含有する米粉((株)斉藤製粉製、商品名『こめの粉(パン用)』)118質量部(米粉として100質量部になる)、砂糖3質量部、精製マルトース((株)林原商事販売、商品名『サンマルトS』(マルトース含量92%以上))6質量部、高純度含水結晶トレハロース((株)林原商事販売、登録商標『トレハ』(トレハロース含量98%以上))を無水物換算で5質量部、セルロース誘導体(第一工業製薬(株)製、商品名『セロゲン』(カルボキシメチルセルロースナトリウム)2質量部、食塩2質量部、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)2.5質量部、生クリーム10質量部、無糖練乳5質量部、ショートニング4質量部、水90質量部をミキサーにかけ、23℃で、低速6分、中速3分で混捏し、一時停止した後、更に中速で4分間混捏し、生地を作成した。次いで、これをフロアータイムとして50分間発酵させた。生地は分割比容積3.5(234g×4個)に分割して丸めを行い、20分間のベンチタイムを取った後、型下3.5cmの容器に入れて山食パンに成形を行い、40℃、湿度80%のホイロにて50分間の発酵を行った。発酵終了後、上火230℃、下火200℃のオーブンにて45分間焼成し、米粉山食パンを調製した。
【0061】
本実施例で調製した生地は付着性なく、操作性、機械適性良好で、小麦粉を使用した場合と比べてフロアータイム工程及びホイロ工程での発酵時間は短縮されるものの、発酵時の生地の膨張は同じであり、作業性は良好であった。また、できあがった山食パンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、断面の綺目も程良く、食味も良かった。更に、1週間冷蔵庫内(5℃)で放置した後のパンの食感も殆ど変化がなく、硬化によるパサツキも見られず保存性もよかった。
【0062】
【実施例2】
<米粉山食パン>
グルテンを含有する米粉((株)斉藤製粉製、商品名『こめの粉(パン用)』)118質量部(米粉として100質量部になる)、砂糖3質量部、精製マルトース((株)林原商事販売、商品名『サンマルトS』(マルトース含量92%以上))3質量部、マルトシルα,α−トレハロース含有水飴((株)林原商事販売、商品名『ハローデックス』(マルトシルα,α−トレハロース含量50%以上))を無水物換算で8質量部、セルロース誘導体(第一工業製薬(株)製、商品名『セロゲン』(カルボキシメチルセルロースナトリウム)2質量部、食塩2質量部、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)2.5質量部、生クリーム10質量部、無糖練乳5質量部、ショートニング4質量部、水90質量部をミキサーにかけ、23℃で、低速6分、中速3分で混捏し、一時停止した後、更に中速で4分間混捏し、生地を作成した。次いで、これをフロアータイムとして50分間発酵させた。生地は分割比容積3.5(234g×4個)に分割して丸めを行い、20分間のベンチタイムを取った後、型下3.5cmの容器に入れて山食パンに成形を行い、40℃、湿度80%のホイロにて50分間の発酵を行った。発酵終了後、上火230℃、下火200℃のオーブンにて45分間焼成し、米粉山食パンを調製した。
【0063】
本実施例で調製した生地は付着性なく、操作性、機械適性良好で、小麦粉を使用した場合と比べてフロアータイム工程及びホイロ工程での発酵時間は短縮されるものの、発酵時の生地の膨張は同じであり、作業性は良好であった。また、できあがった山食パンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、断面の綺目も程良く、食味も良かった。更に、1週間冷蔵庫内(5℃)で放置した後のパンの食感も殆ど変化がなく、硬化によるパサツキも見られず保存性もよかった。
【0064】
【実施例3】
<米粉コッペパン>
上用粉(五百城ニュートリィ株式会社販売、商品名『上用粉 青』)100質量部、グルテン(千葉製粉株式会社販売、商品名『グルリッチA』)18質量部、砂糖3質量部、精製マルトース((株)林原商事販売、商品名『サンマルトS』(マルトース含量92%以上))12質量部、食塩2質量部、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)2.5質量部、生クリーム10質量部、無糖練乳5質量部、ショートニング4質量部、水85質量部をミキサーにかけ、23℃で、低速6分、中速3分で混捏し、一時停止した後、更に中速で4分間混捏し、生地を作成した。次いで、これをフロアータイムとして50分間発酵させた。生地は分割して丸めを行い、コッペパン成形を行い、20分間のベンチタイムを取った後、40℃、湿度80%のホイロにて50分間の発酵を行った。発酵終了後、上火230℃、下火200℃のオーブンにて45分間焼成し、コッペパンを調製した。
【0065】
本実施例で調製した生地は付着性なく、操作性、機械適性良好で、小麦粉を使用した場合と比べてフロアータイム工程及びホイロ工程での発酵時間は短縮されるものの、発酵時の生地の膨張は同じであり、作業性は良好であった。また、できあがったコッペパンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、断面の綺目も程良く、食味も良かった。更に、1週間冷蔵庫内(5℃)で放置した後のパンの食感も殆ど変化がなく、硬化によるパサツキも見られず保存性もよかった。
【0066】
【実施例4】
<米粉バターロール>
上用粉(五百城ニュートリィ株式会社販売、商品名『上用粉 青』)100質量部、グルテン(千葉製粉株式会社販売、商品名『グルリッチA』)18質量部、砂糖8質量部、高純度含水結晶トレハロース((株)林原商事販売、登録商標『トレハ』(トレハロース含量98%以上))5質量部、マルチトール((株)林原商事販売、商品名『粉末マビット』(マルチトール含量93.5%)5質量部、食塩1.7質量部、脱脂粉乳2質量部、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)2質量部、全卵12質量部、無塩バター10質量部、牛乳20質量部、水75質量部をミキサーにかけ、24℃で、低速6分、中速5分で混捏し、一時停止した後、更に中速で4.5分間混捏し、生地を作成した。次いで、これをフロアータイムとして50分間発酵させた。生地は40gに分割して丸めを行い、20分間のベンチタイムを取った後、40℃、湿度80%のホイロにて50分間の発酵を行った。発酵終了後、上火230℃、下火200℃のオーブンにて7分間焼成し、米粉バターロールを調製した。
【0067】
本実施例で調製した生地は付着性なく、操作性、機械適性良好で、小麦粉を使用した場合と比べてフロアータイム工程及びホイロ工程での発酵時間は短縮されるものの、発酵時の生地の膨張は同じであり、作業性は良好であった。また、できあがったバターロールは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、断面の綺目も程良く、食味も良かった。更に、1週間冷蔵庫内(5℃)で放置した後のパンの食感も殆ど変化がなく、硬化によるパサツキも見られず保存性もよかった。
【0068】
【実施例5】
<米粉菓子パン>
グルテンを含有する米粉((株)斉藤製粉製、商品名『こめの粉(パン用)』)100質量部、マルトース((株)林原商事販売、商品名『サンマルト』(マルトース含量87%以上))9質量部、還元パラチノース(三井製糖販売、商品名『パラチニット』)を無水物換算で6質量部、砂糖15質量部、食塩1質量部、脱脂粉乳3質量部、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)3.5質量部、全卵5質量部、無塩マーガリン10質量部、酒種7質量部、水85質量部をミキサーにかけ、23℃で、低速5分、中速5分で混捏し、一時停止した後、更に中速で2分間混捏し、生地を作成した。次いで、これをフロアータイムとして50分間発酵させた。生地は40gに分割して丸めを行い、20分間のベンチタイムを取った後、成形を行い、40℃、湿度80%のホイロにて50分間の発酵を行った。発酵終了後、上火220℃、下火200℃のオーブンにて8分間焼成し、米粉菓子パンを調製した。
【0069】
本実施例で調製した生地は付着性なく、操作性、機械適性良好で、小麦粉を使用した場合と比べてフロアータイム工程及びホイロ工程での発酵時間は短縮されるものの、発酵時の生地の膨張は同じであり、作業性は良好であった。また、できあがったパンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、断面の綺目も程良く、食味も良かった。更に、1週間冷蔵庫内(5℃)で放置した後のパンの食感も殆ど変化がなく、硬化によるパサツキも見られず保存性もよかった。
【0070】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、米粉を原料として、品質(外観、食味、保存性など)に優れた発酵パンを製造することが容易となる。
【0071】
従って、本発明の確立は、これまでいろいろ検討されてきたにもかかわらず余り実用化されることがなかった、米粉を主原料とする、例えば、食パン、コッペパン、菓子パン、フランスパン、ドイツパン、ブドウパン、ベーグル、デニッシュなどのパン類、プレッツェル、パイ、スコーン、蒸しケーキ、中華饅頭、イーストドーナツ、ピザ又はナンなどの各種発酵パンの新しい製造方法を提供し、外観、食味、保存性などの優れた高品質の発酵パンの供給を容易とすることとなり、本発明は、精米業、製粉業、製パン業、給食産業、外食産業、冷食産業、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなどの食品流通業などを活性化できるのみならず、米の消費拡大や我が国の食糧自給率の向上に大きく寄与するものである。

Claims (5)

  1. 米粉とともにグルテンと、米粉に対し、水を85w/w%以上115w/w%以下、易発酵性糖質と難発酵性糖質とからなる可溶性糖質を無水物換算で12w/w%以上20w/w%以下含有せしめた生地を発酵させる工程を含む発酵パンの製造方法であって、難発酵性糖質が、α,α−トレハロースとともにα,α−トレハロース以外の難発酵性のオリゴ糖又は糖アルコールを含んでなり、生地が、難発酵性糖質を米粉に対して無水物換算で9w/w%以上17%以下含有し、α,α−トレハロースを米粉に対して無水物換算で6w/w%未満含有することを特徴とする発酵パンの製造方法。
  2. α,α−トレハロース以外の難発酵性のオリゴ糖がマルトースであることを特徴とする請求項1記載の発酵パンの製造方法。
  3. 糖アルコールがマルチトールであることを特徴とする請求項1又は2記載の発酵パンの製造方法。
  4. 易発酵性糖質がショ糖であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の発酵パンの製造方法。
  5. 生地に、水溶性多糖類を米粉に対して0.5%以上5%以下含有させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発酵パンの製造方法。
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