JP4290243B2 - 織機における織布検反装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、織機上の織布の織り状態を反映する光を拾いながら移動するセンサヘッドを備え、前記光の受光量に応じた電気信号を出力する光電センサを用いて織布の欠点の有無を検出する織機における織布検反装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の織布検反装置が特開平6−65843号公報、特開平9−273068号公報に開示されている。
【0003】
特開平6−65843号公報の装置では、光電センサとして空間フィルタが用いられており、空間フィルタによって得られる電気信号の振幅は受光量の増減に応じて変化する。織布上の欠点を捉えた場合には前記電気信号の振幅が大きくなる。前記電気信号は、全波整流、ピーク値ホールド、平滑化の処理を受け、このような処理を受けた電気信号の大きさが基準値以上となる場合の継続時間が計測される。この継続時間が基準時間を越えた場合には欠点有りの判定が行われる。
【0004】
特開平9−273068号公報の装置では、光電センサとして一対の受光素子が用いられており、一対の受光素子によって得られる各電気信号は差演算回路に通れる。差演算回路は両電気信号の差を出力し、この差信号が経糸の配列ピッチに対応した周期の信号成分を有する。この周期が基準範囲から外れた場合には欠点有りの判定が行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
センサヘッドはレールに沿って案内されるが、レールとセンサヘッドとの間に風綿がくい込むとセンサヘッドの走行速度が所定の速度よりも低下する。あるいはセンサヘッドを往復走行するためのモータが故障すると、センサヘッドの走行速度が低下したり、センサヘッドが停止したりする。センサヘッドの走行速度が低下した場合、特開平6−65843号公報の装置では、前記継続時間がセンサヘッドの走行速度の低下に応じて増大し、特開平9−273068号公報の装置では、前記周期がセンサヘッドの走行速度の低下に応じて増大する。特開平6−65843号公報及び特開平9−273068号公報の装置のいずれにおいても、欠点有無の判定は予め設定された基準時間に基づいて行われる。そのため、特開平6−65843号公報の装置では、欠点ではない場合に前記基準値を越える振幅の信号が出力されると、センサヘッドの走行速度が低下しているときには前記継続時間が基準時間を越えてしまう場合がある。特開平9−273068号公報の装置では、センサヘッドの走行速度が低下しているときには前記周期が基準範囲から外れてしまう。即ち、センサヘッドの走行速度が低下すると、欠点がないにも関わらず欠点があるという誤検反が生じる。
【0006】
本発明は、センサヘッドの走行異常に起因する誤検反を回避することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明では、織布の織り状態を反映する光を拾いながら移動するセンサヘッドを備え、前記光の受光量に応じた電気信号を出力する光電センサを用いて織布の欠点の有無を検出する織布検反装置を対象とし、請求項1の発明では、前記センサヘッドの走行の異常の有無を検出して走行異常検出信号を出力する走行異常検出手段と、前記走行異常検出信号の入力に応答して検反停止信号を出力する検反停止信号出力手段と、前記検反停止信号の入力に応答して前記センサヘッドの作動を停止させる走査制御手段とを備えた織布検反装置を構成した。
【0008】
センサヘッドの走行異常の有無の把握は、センサヘッドの走行に起因する欠点有りの判定結果と、実際の欠点発生による欠点有りの判定結果との識別を可能にする。
【0011】
請求項2の発明では、請求項1において、経糸の配列間隔に応じて得られる前記電気信号の周期に基づいて前記センサヘッドの走行の異常の有無を検出する走行異常検出手段を構成した。
【0012】
前記電気信号の周期はセンサヘッドの走行速度を反映しており、センサヘッドの走行速度が低下すると前記周期が長くなる。センサヘッドの走行の異常の有無は前記周期の変化に基づいて検出される。検反用の光電センサから得られる電気信号をセンサヘッドの走行異常有無の検出に用いる構成は簡便である。
【0013】
請求項3の発明では、請求項1において、前記センサヘッドを往復走行させるための検反モータを備えた往復走行手段を備え、前記検反モータの回転状態に基づいて前記センサヘッドの走行の異常の有無を検出する前記走行異常検出手段を構成した。
【0014】
検反モータの回転状態はセンサヘッドの走行状態を反映しており、検反モータの回転速度が低下するとセンサヘッドの走行速度が低下する。
請求項4の発明では、請求項1乃至請求項3のいずれか1項において、前記センサヘッドの走行経路に沿って異常有無検出有効化範囲と異常有無検出無効化範囲とを設定する異常有無検出範囲設定手段と、前記異常有無検出範囲設定手段によって設定された異常有無検出有効化範囲では異常有無検出を行ない、前記異常有無範囲設定手段によって設定された異常有無検出無効化範囲では異常有無検出を実質的に中断する異常有無検出制御手段とを備えた前記走行異常検出手段を構成した。
【0015】
異常有無検出有効化範囲及び異常有無検出無効化範囲は異常有無検出範囲設定手段によって任意に設定される。異常有無検出制御手段は、異常有無検出範囲設定手段によって任意に設定された異常有無検出有効化範囲の欠点有無検出結果のみを有効化する。
【0016】
請求項5の発明では、請求項4において、前記走行経路上の所定の基準位置を起点として測った距離の指定で前記異常有無検出有効化範囲及び異常有無検出無効化範囲を設定する前記異常有無検出範囲設定手段を構成した。
【0017】
異常有無検出有効化範囲及び異常有無検出無効化範囲は、基準位置を起点として測った距離の指定で任意にかつ容易に設定できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図1〜図8に基づいて説明する。
【0019】
図1に示すように、織布Wの上方には支持バー10が織布Wの織幅方向、即ち緯糸の糸方向に配設されている。支持バー10にはレール11、検反モータ13及びガイドプーリ16が取り付けられている。検反モータ13の出力軸には駆動プーリ15が止着されており、駆動プーリ15とガイドプーリ16とには無端状ベルト12が巻き掛けられている。無端状ベルト12は検反モータ13の往復駆動によって往復周回する。図2及び図3に示すように、レール11にはセンサヘッド14がスライド可能に支持されており、無端状ベルト12にはセンサヘッド14が止着されている。センサヘッド14は無端状ベルト12の往復周回によってレール11に沿った走査経路を往復動する。検反モータ13、プーリ15,16、無端状ベルト12及びレール11は往復走行手段を構成する。
【0020】
センサヘッド14は、投光器17、結像レンズ18、光電センサとなる一対の受光素子19,20及び信号処理回路基板21を備えている。投光器17から投射された光は織布W上に向けられる。結像レンズ18は織布Wの上面の像を一対の受光素子19,20の受光面に一致する平面上に結像する。受光素子19,20は、経糸Tの糸配列方向の幅が狭く、かつ経糸Tの糸方向へ長い形状である。
【0021】
図5の検知範囲191は結像レンズ18によって受光素子19上に結像される織布W上の範囲を表し、検知範囲201は結像レンズ18によって受光素子20上に結像される織布W上の範囲を表す。経糸Tの糸配列方向の検知範囲191,201の幅は同じhであり、幅hは経糸Tの糸配列ピッチPの半分P/2よりも小さくしてある。又、検知範囲191,201の経糸Tの糸方向の長さは同じであり、この長さは緯糸Yを例えば10本程度含むぐらいの長さにしてある。そして、両検知範囲191,201は経糸Tの糸配列方向に糸配列ピッチPの半分だけずらしてある。
【0022】
図4の右向きの矢印Q1で囲まれた領域はセンサヘッド14の右方向への移動による織布W上における検知範囲191,201の走査範囲を表す。図1に示すように、センサヘッド14は織幅端部付近の鎖線で示す位置で反転走行するようになっている。図4の左向きの矢印Q2で囲まれた領域はセンサヘッド14の左方向への移動による織布W上における検知範囲191,201の走査範囲を表す。即ち、検反時にはセンサヘッド14上の投光器17からの投射光は織布Wの織幅方向に走査する。織布Wは矢印Rの方向に移動する。
【0023】
受光素子19,20は受け取った光を電流に変換する。この変換電流信号は受光量に応じた電気信号になる。図5の回路は信号処理回路基板21上の回路構成を表す。受光素子19は変換電流信号を電流−電圧変換回路28に出力し、受光素子20は変換電流信号を電流−電圧変換回路29に出力する。電流−電圧変換回路28,29は変換電流信号を電圧信号S1,S2に変換して差演算回路30に出力する。図6の波形S1は電流−電圧変換回路28から出力される電圧信号を表し、波形S2は電流−電圧変換回路29から出力される電圧信号を表す。なお、電圧信号S1,S2の値の変動は、例えば出力電圧1ボルトに対して5ミリボルト程度という僅かなものである。
【0024】
差演算回路30は両電流−電圧変換回路28,29から入力する電圧信号S1,S2の値の差を演算する。図6の波形ΔSは差演算回路30から出力される差信号を表す。差演算回路30は演算して得られた差信号ΔSをバンドパスフィルタ31を経由して比較回路32に出力する。バンドパスフィルタ31は差信号ΔSの周波数近辺の周波数の信号以外の波形信号をカットする。
【0025】
比較回路32は入力した差信号ΔSと基準値設定回路33によって予め設定された基準値V(>0)とを比較する。差信号ΔSの値が基準値Vを越えると、比較回路32は図6に波形Hで示す信号を制御信号発生回路34に出力する。制御信号発生回路34は波形Hの立ち上がり部に対応して図6にパルス状波形で示す制御信号Kをカウンタ35に出力する。カウンタ35は基準クロック36から出力されるパルス信号の数に基づいて各制御信号K間の時間間隔txの計測を行なう。この計測情報は比較回路37に送られる。
【0026】
比較回路37は、基準値設定回路38によって予め設定された基準間隔〔to−Δt,to+Δt〕と計測された時間間隔txとの比較を行なう。txが〔to−Δt,to+Δt〕の範囲外にあれば、比較回路37は欠点検出信号を出力する。txが〔to−Δt,to+Δt〕の範囲内にあれば、比較回路37は欠点検出信号を出力しない。
【0027】
センサヘッド14の移動速度をv、結像レンズ18の倍率をmとすると、結像レンズ18によって受光素子19,20の受光平面上に結合される像は速度mvで移動する。経糸Tの糸配列ピッチPよりも小さい幅hの検知範囲191,201は糸配列ピッチPの半分P/2だけ経糸Tの配列方向にずらしてある。従って、経糸Tの糸配列ピッチが常に所定の糸配列ピッチPに等しいならば、制御信号Kの時間間隔txはP/mvにほぼ等しい。P/mvは基準値toとして採用されており、Δtは許容公差である。
【0028】
比較回路32、基準値設定回路33、制御信号発生回路34、カウンタ35、基準クロック36、基準値設定回路38及び比較回路37から構成される欠点有無判定手段C2は、差演算回路30によって演算された差ΔSに基づいて欠点有無の判定を行なう。この差ΔSの演算は照明光、風綿といった外乱の影響による電気信号の変化を排除する。
【0029】
経糸Tは隣合う筬羽間に一定本数単位で通されているが、例えばある筬羽間では経糸の通し本数が規定に足りず、隣の筬羽間で経糸の通し本数が規定よりも多いといった状況が生じることもある。このような状況が続くと、いわゆる経筋が織布上に生じ、不良織布ができてしまう。図6では織布Wの織幅方向の領域Wt1が経筋発生による粗な部分を表し、領域Wt2が経筋発生による密な部分を表す。受光素子19,20の検知範囲191,201の経糸Tの糸配列方向の幅hは経糸Tの糸配列ピッチP以下に設定してあり、両検知範囲191,201は糸配列方向に糸配列ピッチPの半分P/2だけずらしてある。各受光素子19,20の検知範囲191,201の幅が糸配列ピッチP以下であるため、検知範囲191,201の一方が経糸Tの配列位置上にある場合に得られる電気信号の値と、他方が隣合う経糸Tの配列位置の間にある場合に得られる電気信号の値との差が最も大きくなる。従って、糸配列ピッチPの半分P/2だけ検知範囲191,201の移動方向へ両検知範囲191,201をずらすことによって電気信号S1,S2の値の差ΔSが最も大きくなる。この差ΔSが大きいほど欠点有無の判定が正確になる。
【0030】
比較回路37には出力回路39が信号接続されており、出力回路39には警報装置25,42が信号接続されている。比較回路37から出力される欠点検出信号は出力回路39に入力する。
【0031】
カウンタ35には比較回路22が信号接続されており、比較回路22には基準値設定回路26が信号接続されている。比較回路22には出力回路39が信号接続されている。比較回路22は、基準値設定回路26によって予め設定された基準値τとカウンタ35から得られる時間間隔txとの大小比較を行なう。基準値τはto+Δtに比べて例えば2倍以上という大きさである。txが基準値τ以上の場合には、比較回路22は出力回路39に走行異常検出信号を出力する。txが基準値τに達しない場合には、比較回路22は出力回路39に異常検出信号を出力しない。
【0032】
出力回路39には記憶回路40が信号接続されており、記憶回路40には入力装置41が信号接続されている。記憶回路40には有効化範囲の情報が入力されている。有効化範囲の情報は入力装置41によって入力される。図1及び図4に示すように、範囲〔X1,X2〕は有効化範囲とされ、これら以外の範囲は無効化範囲とされる。有効化範囲及び無効化範囲は、図1の左側のセンサヘッド14の鎖線位置を基準位置Xoとすると共に、この基準位置Xoを起点として測った距離位置X1,X2に基づいて設定される。
【0033】
検反モータ13は走査制御装置C1の制御を受ける。図5に示すように、走査制御装置C1は、駆動制御回路23と駆動回路24とからなる。駆動制御回路23は予め設定された走査プログラムに基づいて検反モータ13の往復作動を指令する。駆動回路24は、駆動制御回路23の走査制御指令及び検反モータ13に組み込まれたロータリエンコーダ131からの回転位置情報に基づいて検反モータ13の往復作動をフィードバック制御する。
【0034】
織機駆動モータMの作動を制御する織機制御コンピュータCo及び駆動制御回路23には出力回路39が信号接続されている。又、出力回路39にはロータリエンコーダ131が信号接続されており、駆動制御回路23には織機制御コンピュータCoが信号接続されている。
【0035】
出力回路39、走査制御装置C1及び織機制御コンピュータCoは図7及び図8のフローチャートで示す走行異常検出プログラムを遂行する。
出力回路39は検反状態にあるとする。出力回路39における検反状態は、比較回路37からの欠点検出信号の入力及び比較回路22からの走行異常検出信号の入力を許容する状態である。出力回路39は、ロータリエンコーダ131からの回転位置情報に基づいてセンサヘッド14の走査位置を把握している。センサヘッド14の走査位置が有効化範囲〔X1,X2〕内にあるときに比較回路37が欠点検出信号を出力したが、比較回路22が走行異常検出信号を出力しなかったとする。すると出力回路39は検反状態から非検反状態へ移行する。出力回路39における非検反状態は、比較回路37からの欠点検出信号の入力及び比較回路22からの走行異常検出信号の入力を許容しない状態である。そして、出力回路39は、欠点検出信号の入力に応答して製織停止信号を織機制御コンピュータCoに出力すると共に、検反停止信号を走査制御装置C1に出力する。織機制御コンピュータCoは製織停止信号の入力に応答して織機駆動モータMの作動を停止させて製織を停止させる。走査制御装置C1は検反停止信号の入力に応答して検反モータ13の作動を停止させる。又、出力回路39は第1の警報信号を警報装置25に出力し、警報装置25が作動する。作業者は、警報装置25の作動に基づいて欠点有り検出を把握する。
【0036】
製織停止後、起動スイッチ27をON操作すると、織機制御コンピュータCoは、織機駆動モータMを作動して製織を再開すると共に、検反開始信号を走査制御装置C1及び出力回路39に出力する。走査制御装置C1は検反開始信号の入力に応答して検反モータ13を作動させる。出力回路39は検反開始信号の入力に応答して非検反状態から検反状態へ移行する。
【0037】
センサヘッド14の走査位置が有効化範囲〔X1,X2〕内にあるときに比較回路37が欠点検出信号を出力すると共に、比較回路22が走行異常検出信号を出力したとする。出力回路39は、欠点検出信号及び走行異常検出信号の入力に応答して検反停止信号を走査制御装置C1に出力する。走査制御装置C1は検反停止信号の入力に応答して検反モータ13の作動を停止させる。又、出力回路39は第2の警報信号を警報装置42に出力し、警報装置42が作動する。作業者は、警報装置42の作動に基づいてセンサヘッド14の走行異常発生を把握する。
【0038】
センサヘッド14の走査位置が有効化範囲〔X1,X2〕内にないときに比較回路37が欠点検出信号を出力した場合、出力回路39は欠点検出信号の入力を無効化し、製織及びセンサヘッド14の走行は継続される。又、センサヘッド14の走査位置が有効化範囲〔X1,X2〕内にないときに比較回路22が走行異常検出信号を出力した場合、出力回路39は走行異常検出信号の入力を無効化し、センサヘッド14の走行が継続される。
【0039】
第1の実施の形態では以下の効果が得られる。
(1-1)欠点有無判定手段C2において計測される時間間隔txが基準値τ以上となるほどにセンサヘッド14の走行速度が低下した場合には、時間間隔txが基準範囲〔to−Δt,to+Δt〕を外れた状態であり、比較回路37は欠点検出信号を出力する。出力回路39は欠点検出信号の入力だけでは欠点有り検出として製織を停止させてしまう。しかし、時間間隔txが基準値τ以上となるほどにセンサヘッド14の走行速度が低下した場合、比較回路22が走行異常検出信号を出力回路39に出力する。異常信号出力手段となる出力回路39は、欠点有無判定手段C2、比較回路22及び基準値設定回路26から構成される走行異常検出手段による走行異常有りの判定に基づいて検反停止信号、第2の警報信号という異常検出信号を出力する。従って、センサヘッド14の走行異常が欠点有り検出として捉えられることはなく、センサヘッド14の走行異常による誤検反は生じない。
(1-2)検反用の光電センサである受光素子19,20から得られる電気信号の周期(時間間隔tx)は、経糸Tの配列間隔に対応している。即ち、前記電気信号の周期はセンサヘッド14の走行速度を反映しており、センサヘッド14の走行速度が低下すると前記周期が長くなる。従って、センサヘッド14の走行の異常の有無は受光素子19,20から得られる電気信号の周期の変化に基づいて検出される。検反用の光電センサである受光素子19,20から得られる電気信号をセンサヘッド14の走行異常有無の検出に用いる構成は簡便である。
(1-3)入力装置41及び記憶回路40は、センサヘッド14の走行経路に沿って任意の範囲に異常有無検出有効化範囲である有効化範囲と、異常有無検出有効化範囲である無効化範囲とを設定する検反範囲設定手段を構成する。異常有無検出制御手段となる出力回路39は、センサヘッド14の検査位置が設定された無効化範囲にあるときには検反を実質的に中断する。有効化範囲〔X1,X2〕及び無効化範囲は、入力装置41の入力操作によって任意に設定できる。このような有効化範囲及び無効化範囲の設定の任意性は、センサヘッド14の定速(速度v)走行範囲での走行異常有無検出を可能とし、センサヘッド14の加減速範囲での走行異常有無検出による検査ミスは生じない。
(1-4)有効化範囲〔X1,X2〕及び無効化範囲は、センサヘッド14の走行経路上の所定の基準位置Xoを起点として測った距離X1,X2の指定で設定される。基準位置Xoを起点として測った距離の指定による有効化範囲及び無効化範囲の設定は、任意かつ容易である。
(1-5)有効化範囲〔X1,X2〕及び無効化範囲は、比較回路37から出力される欠点検出信号が有効か否かを規定するものであり、かつ比較回路22から出力される走行異常検出信号が有効か否かを規定するものである。このような検反用の有効化範囲及び無効化範囲と、走行異常検出用の有効化範囲及び無効化範囲の共通化は、有効化範囲及び無効化範囲の設定の容易性及び制御容易性をもたらす。
(1-6)異常有無検出制御手段となる出力回路39は、欠点有無判定手段C2における欠点有無判定結果の採用の是非を有効化範囲〔X1,X2〕及び無効化範囲に照らして選択する。欠点有無判定手段C2における欠点有無判定を中断しないことを前提として欠点有無判定結果の採用の是非を選択する構成は、制御的に簡単である。
【0040】
次に、図9の第2の実施の形態を説明する。第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号が付してある。
この実施の形態における出力回路43は、ロータリエンコーダ131から得られる検反モータ13の回転位置情報に基づいて検反モータ13の回転速度、従ってセンサヘッド14の走行速度を検出する。検出されたセンサヘッド14の走行速度情報は、有効化範囲〔X1,X2〕で有効化され、無効化範囲で無効にされる。
【0041】
この実施の形態においても、センサヘッド14の走行異常が欠点有り検出として捉えられることはなく、センサヘッド14の走行異常による誤検反は生じない。又、第1の実施の形態における(1-3)項〜(1-6)項と同じ効果が得られる。
【0042】
本発明では以下のような実施の形態も可能である。
(1)差信号ΔSにおける周期を波形頂部の間の時間間隔で計測すること。
(2)欠点有り判定によってセンサヘッド14を停止させるときには、欠点有り判定直後にセンサヘッド14を停止させ、走行異常検出によってセンサヘッド14を停止させるときにはセンサヘッド14を無効化範囲で停止させること。このようにすれば、欠点有り検出時にはセンサヘッド14が欠点検出位置に停止し、欠点発生位置を容易に特定することができる。又、欠点有り検出及び走行異常検出のいずれによってセンサヘッド14が停止したかがセンサヘッド14の停止位置によって容易に把握できる。
(3)センサヘッド14の走行異常発生のときにはセンサヘッド14の走行のみを停止し、製織は継続するようにすること。
(4)検反用の有効化範囲及び無効化範囲と、走行異常検出用の有効化範囲及び無効化範囲とを別々に設定できるようにすること。
(5)走行異常検出用の有効化範囲をセンサヘッド14の定速走行範囲の一部にのみ設定すること。
(6)特開平9−273068号公報に開示されるように織布Wの布端を検出し、織布Wの織幅内のみを走行異常検出用の有効化範囲とすること。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明では、センサヘッドの走行の異常の有無を検出するようにしたので、センサヘッドの走行異常に起因する誤検反を回避し得るという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示し、センサヘッドの拡大断面図を組み込んだ正面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図1のB−B線断面図。
【図4】検知範囲の走査領域を示す略体平面図。
【図5】織布上の検知範囲、信号処理回路、走行異常検出装置及び走査制御装置の組み合わせ図。
【図6】信号処理回路における信号処理を説明するグラフ。
【図7】走行異常検出プログラムを示すフローチャート。
【図8】走行異常検出プログラムを示すフローチャート。
【図9】第2の実施の形態を示し、織布上の検知範囲、信号処理回路、走行異常検出装置及び走査制御装置の組み合わせ図。
【符号の説明】
14…センサヘッド、13…往復走行手段を構成する検反モータ、19,20…光電センサとなる受光素子、22…走行異常検出手段を構成する比較回路、25,42…警報装置、39…異常検出信号出力手段及び異常有無検出制御手段となる出力回路、40…異常有無検出範囲設定手段を構成する記憶回路、41…異常有無検出範囲設定手段を構成する入力装置、C2…走行異常検出手段を構成する欠点有無判定手段。
Claims (5)
- 織機上の織布の織り状態を反映する光を拾いながら前記織布の織幅方向へ移動するセンサヘッドを備え、前記光の受光量に応じた電気信号を出力する光電センサを用いて織布の欠点の有無を検出する織布検反装置において、
前記センサヘッドの走行の異常の有無を検出して走行異常検出信号を出力する走行異常検出手段と、前記走行異常検出信号の入力に応答して検反停止信号を出力する検反停止信号出力手段と、前記検反停止信号の入力に応答して前記センサヘッドの作動を停止させる走査制御手段とを備えた織機における織布検反装置。 - 前記走行異常検出手段は、経糸の配列間隔に応じて得られる前記電気信号の周期に基づいて前記センサヘッドの走行の異常の有無を検出する請求項1に記載の織機における織布検反装置。
- 前記センサヘッドを往復走行させるための検反モータを備えた往復走行手段を備え、前記走行異常検出手段は、前記検反モータの回転状態に基づいて前記センサヘッドの走行の異常の有無を検出する請求項1に記載の織機における織布検反装置。
- 前記走行異常検出手段は、前記センサヘッドの走行経路に沿って異常有無検出有効化範囲と異常有無検出無効化範囲とを設定する異常有無検出範囲設定手段と、前記異常有無範囲設定手段によって設定された異常有無検出有効化範囲では異常有無検出を行ない、前記異常有無検出範囲設定手段によって設定された異常有無検出無効化範囲では異常有無検出を実質的に中断する異常有無検出制御手段とを備えている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の織機における織布検反装置。
- 前記異常有無検出範囲設定手段は、前記走行経路上の所定の基準位置を起点として測った距離の指定で前記異常有無検出有効化範囲及び異常有無検出無効化範囲を設定する請求項4に記載の織機における織布検反装置。
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