JP4289847B2 - 遊技機及び遊技装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、パチンコホール等の遊技場において、特にプリペイドカード等により遊技用媒体の貸出処理をしてゲームを実行するようにした遊技機及び遊技装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のパチンコホールでは、プリペイドカードにより遊技用媒体(コイン等)の貸出しを行うシステムが導入されている。このシステムで用いられる遊技装置には、ゲームを実行する遊技機本体と、プリペイドカードを受け入れて遊技機本体に対し度数データ等の有価データを送信するカードユニットとを備えているものがある(以下、CRシステムと呼ぶ)。
【0003】
前記CRシステムの遊技機本体とカードユニットとは隣接して配置され、相互に電気的に接続されている。遊技者は、プリペイドカードをカードユニットに挿入して所定の操作を行うと、カードユニットが遊技機本体に対し有価データを送信する。遊技機本体では、上記有価データを受けると、それに対応する遊技媒体数(コイン枚数等)の貸出処理を行う。一方、実用に供されているスロットマシンの遊技装置では、遊技媒体数データを遊技機内に記憶してこのデータを用いて遊技を行うクレジット仕様での遊技が出来るようになっている。
【0004】
上記のクレジット仕様の遊技装置では、遊技機本体に遊技媒体数データを記憶した状態で遊技を行うために、遊技を行う限りにおいては遊技用媒体は原理的に不要である。そこで、クレジット仕様の従来の遊技装置では、たとえば、遊技中は遊技用媒体を排出せず、精算時において、遊技機本体に記憶されている遊技媒体数データに対応する(遊技機本体に保留されている)全遊技用媒体を排出するようにしている。また、クレジット仕様の遊技装置では、遊技媒体数データの最大値が決められているために、この最大値を超えるオーバフローした遊技用媒体を適宜排出するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来の遊技装置では、精算時においての遊技媒体数データが多数の遊技媒体数に相当するときなど、状況によって、多数枚の遊技媒体を排出しなければならないことがあるから、遊技媒体を収納するためのホッパーの大型化を避けられず、また、各遊技機本体のホッパーに対しあらかじめ多数枚の遊技媒体を収納しておく必要があった。
【0006】
また、パチンコ終了後に、その時の持玉のデータをカードに記憶させて排出するようにした装置(実開昭52−164976号)では、パチンコ玉を収納するホッパーを大型にする必要はないが、遊技機本体前面にカード排出口を設ける必要があり、遊技機本体の前面の構成が複雑化するとともに、カードユニットに使用プリペイドカードと遊技機本体のカード排出口から排出されるカードとの区別が紛らわしくなるため、遊技者が誤った操作を行う可能性があった。また、パチンコホールにおいてもこれらの2種類のカードを誤りのないように処理することが必要となり、それらを確実に区別するための操作が煩雑となる不都合があった。
【0007】
さらに、パチンコ玉に代えてカードを排出する上記の装置では、精算時に遊技媒体を獲得できたという妙味がないため、興趣に欠けるという問題があった。
【0008】
この発明の目的は、精算時等に遊技用コインを獲得できるという妙味を保ちつつ、且つ、遊技用コイン等の遊技媒体を収容する大きなホッパを不要とする遊技装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
遊技に使用する遊技価値データを遊技機本体内に記憶し、この遊技価値データにより遊技が出来るようにするとともに、遊技媒体貸出要求信号を受け付けたときに、遊技機本体内に記憶されている遊技価値データに所定量の遊技価値データを加算記憶するようにした遊技機において、
通信部を介して通信可能なコイン状記憶媒体を収納するコイン状記憶媒体収納部と、
精算時に、遊技機本体に記憶している前記遊技価値データの全部または一部、または前記遊技価値データを特定できるデータを、前記コイン状記憶媒体収納部に収納されているコイン状記憶媒体に前記通信部を介して記憶する処理と、この処理を終えた前記コイン状記憶媒体を排出する処理とを行う制御部と、
を備えると好適である。
【0010】
上記の構成で、遊技価値データとは、遊技に対応づけられた価値を示すあらゆるデータを含む概念であり、典型的には、パチンコ玉やメダル等の遊技媒体の数を表す遊技媒体数データである。例えば1単位の遊技を1単位のデータ(例えば、数値の1)で表して遊技を行う装置では、そのデータ自身が本発明でいう遊技価値データである。
【0011】
この構成では、精算時に、遊技機本体内に記憶されている前記遊技価値データを遊技媒体そのものではなく、1枚〜数枚のコイン状記憶媒体に記憶して、これを排出するため、遊技媒体を収容する大きなホッパが不要となる。また、遊技機本体前面には、従来のようなカード排出口を設ける必要がないため、その前面の構成が複雑化せず、複数のカードを使い分ける操作もなくなるため操作性が良い。また、精算時に遊技用コインを獲得できるという妙味を保つことが出来るため、顧客サービスを低下させることがない。また、遊技機本体がコインを扱うスロットマシンの場合には、コイン状記憶媒体は遊技用コインと同形状であるため、その扱いが極めて便利である。さらに、プリペイドカードとコイン状記憶媒体とは、外観上全く異なるため、これらの取扱に迷うことはなく、誤った操作を防ぐことが可能である。
【0012】
また、遊技機本体と、この遊技機本体と通信可能に近接配置され、プリペイドカード等の価値媒体から遊技機本体に対し有価データを送信可能にしたユニットとを備え、前記有価データに対応する遊技価値データで遊技を可能にした遊技装置において、
前記遊技機本体は、
遊技機本体と通信可能なコイン状記憶媒体を収納するコイン状記憶媒体収納部と、
前記コイン状記憶媒体と通信する通信部と、
精算時に、遊技機本体に記憶している前記遊技価値データの全部または一部、または前記遊技価値データを特定できるデータを、前記コイン状記憶媒体収納部に収納されているコイン状記憶媒体に前記通信部を介して記憶する処理と、この処理を終えた前記コイン状記憶媒体を排出する処理とを行う制御部と、
を備えると好適である。
【0013】
上記の構成において、有価データとは、貸出処理を行う遊技価値データに対応するデータである。遊技価値データが、例えば、遊技媒体に対応する遊技媒体数データであれば、有価データは、度数データ(通常は1度数が複数枚の遊技媒体数データに相当する)、金額データ等、遊技媒体数データに変換可能な任意のデータをいう。価値媒体としては、磁気カードやICカードからなるプリペイドカードの他、その他の記憶媒体や、クレジットカード、デビィッドカード等の口座決済可能なカードや、遊技で得たコイン枚数を貯留できる会員カード、さらには、それらの機能を持たせた携帯電話等で構成することも可能である。また、これらは接触式と非接触式のいずれも使用可能である。携帯電話等を使用するときには、赤外線や近距離通信規格のBluetooth(商標)を使用することが可能である。
【0014】
前記制御部は、精算時に、遊技機本体に記憶している遊技価値データの全部または一部、または前記遊技価値データを特定できるデータを、コイン状記憶媒体に記憶した後、これを排出することにより、遊技者は、多数の遊技媒体に代えてこのコイン状記憶媒体をカウンター等に持ち込むだけで、景品交換を行うことが可能である。なお、コイン状記憶媒体に記憶するデータは、最終的に遊技価値データを特定できるものであれば、どのような態様のものであっても良い。例えば、遊技価値データをコイン状記憶媒体にID番号と共に管理装置に送っておいて、コイン状記憶媒体にはIDのみを記憶しておいても良い。このような構成であると、管理装置においてコイン状記憶媒体を読み取ったときに、その媒体に記憶されているID番号から遊技価値データを獲得することが出来る。
【0015】
この発明では、制御部は、遊技機本体に記憶している遊技価値データが一定以上になってオーバーフローしたときに、そのオーバーフロー遊技価値データの全部又は一部、または前記オーバーフロー遊技価値データを特定できるデータをコイン状記憶媒体に記憶するように制御する。
【0016】
また、コイン状記憶媒体は、遊技機本体と非接触でデータ通信可能な非接触通信機能を備えるものであれば、取扱性が頗る良く、構造も簡単化し電気的接触部の劣化を考慮する必要もなくなるため長寿命となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の実施形態であるCRスロットシステムの正面図である。 このCRスロットシステムは、スロットマシン(遊技機本体)1と、これに隣接して配置され電気的に接続されているカードユニット2とで構成される。通常、パチンコホールには、このCRスロットシステムが複数台並設されており、スロットマシン1で遊技(以下、ゲーム)を楽しむ時には、それに隣接されているカードユニット2を利用する。
【0018】
スロットマシン1は、そのほぼ中央部にリールブロック3が配置されている。このリールブロック3は、3個のリール3a、3b、3cが回転可能に支持され、各リールの周面には複数の絵柄(シンボル)が印刷されている。各リールは、図外のステッピングモータに連結され、ゲームが開始すると各リールが回転を始める。さらに、後述の停止スイッチの操作に応じて各リールが次々と停止する。その前方にあるシンボル表示窓4(4a〜4c)では、各リールの回転状態と停止状態を見ることが出来る。すべてのリールが停止したときに、当選していると同じシンボルが斜め方向や水平方向に一致する。
【0019】
ゲームの開始は、使用コイン数を決めて始動レバー5を操作することによって行う。本実施形態のCRスロットシステムでは、クレジット仕様であるため、最初に、カードユニット2からスロットマシン1に対して有価データの一例である度数データを送信し、その度数データに対応した遊技媒体数データがスロットマシンに記憶される。例えば、1度数がコイン5枚分に対応するものとし、且つ、スロットマシン1に対して10度数の度数データが送信されるものとすれば、スロットマシン1にはコイン50枚分のデータが遊技媒体数データとして記憶される。ゲームはこのコイン数を示す遊技媒体数データを使用して行われる。なお、本実施形態では、本発明の遊技価値データとして遊技媒体数を表す遊技媒体数データを用いる。
【0020】
上記始動レバー5に隣接して、上記各リール3a〜3cに対応した位置に停止スイッチ7(7a、7b、7c)が設けられている。また、各リール3a〜3cの下方には停止リール表示用ランプ8(8a、8b、8c)が設けられている。停止スイッチ7は、回転しているリールを遊技者の操作によって(意思によって)回転停止させるためのスイッチであり、停止リール表示用ランプ8は、対応のリールが停止したことを示すランプである。また、リールブロック3の右下には後述のコイン状記憶媒体の投入口6を設けることが可能である。このコイン状記憶媒体の投入口6は、一旦排出されたコイン状記憶媒体がゲームに再利用出来るようにする場合に設けられ、一旦排出されたコイン状記憶媒体が景品交換のみに使用出来てゲームに再利用出来ないようにする時には設ける必要がない。停止スイッチ7(7a、7b、7c)の右側には、精算時に操作する精算スイッチ9が配置されている。このほか、図示はしていないが、クレジット仕様によるゲーム方式(クレジット方式)のゲームにおいて、1ゲームに対するコイン使用枚数を選択するためのベットスイッチ10が、始動レバー5の左側に配置され、また、シンボル表示窓4の左側には、当たり度数やクレジット残高等を表示する表示器11が配置されている。また、精算スイッチ9の下方に、後述するオーバフローカウンタOFMで計数記憶している遊技媒体数データをクレジットカウンタCMに対して転送するための転送スイッチ14が設けられている。さらに、スロットマシン1の下方には、内部のコイン状記憶媒体収納部から払いだされたコイン状記憶媒体を排出するためのコイン排出口12と、排出されたコイン状記憶媒体を受け入れるためのコイン受け皿13が設けられている。
前記停止リール表示用ランプ8aの左側には、カード残高表示器15と貸出可表示ランプ16が設けられている。カード残高表示器15は、後述のプリペイドカードがカードユニット内に取り込まれたときに、その残高を表示し、貸出可表示ランプ16は、取り込まれたカードが度数を有しているときは点灯し、貸出処理中は消灯する。
【0021】
また、前記ベットスイッチ10の下方には、貸出スイッチ17とカード返却スイッチ18とが設けられている。貸出スイッチ17は、プリペイドカードから所定の度数データを引き落として貸出処理を行うスイッチであり、返却スイッチ18は、カードユニット内に取り込まれているプリペイドカードを返却するスイッチである。
【0022】
前記カードユニット2は、その上部に紙幣投入口20が、下方にプリペイドカード出入り口21が設けられている。遊技者は、ゲーム開始前に紙幣投入口20に紙幣を投入すると、内部でプリペイドカードが発行されて、カード出入り口21からそのカードが排出される。遊技者は、このカードを、再びカード出入り口21に投入すると、カード情報を読み取って、適正なカードであることを鑑別した後、スロットマシン1に対し度数データを送信する。
【0023】
なお、上記において、プリペイドカードは、いわゆるテレホンカードのような磁気カードに限らず、ICカード、その他の記憶媒体や、クレジットカード、デビィッドカード等の口座決済可能なカードや、その機能を持たせた携帯電話等で構成することも可能である。
【0024】
上記のように、本実施形態のCRスロットシステムは、非接触でデータ通信可能なコイン状記憶媒体を扱うことができる。
【0025】
図2は、コイン状記憶媒体を扱う部分の構造図である。また、図3はコイン状記憶媒体を示している。
【0026】
図2に示すように、このCRスロットシステムでは、コイン排出口12の上方にコイン状記憶媒体収納部40と、コイン状記憶媒体搬送案内板41と、一時停止用のストッパ42とが設けられている。コイン状記憶媒体収納部40内のスライダ40aを矢印A方向に引くことによって、1枚のコイン収納媒体50が落下し、ストッパ42の位置で停止する。コイン状記憶媒体搬送案内板41には非接触通信部のアンテナ60が配設されている。ストッパ42に1個のコイン状記憶媒体50が保持されている状態では、このアンテナ60による通信可能エリアに同コイン状記憶媒体50が位置している。ストッパ42を矢印B方向に引くと、この位置に保持されていたコイン状記憶媒体50が下方に落下し、コイン排出口12に排出されてコイン受け皿13に出される。
【0027】
図3に示すように、コイン状記憶媒体50は、その内部に非接触通信用ICチップ50aと、これに接続されたアンテナ50bとを樹脂50cで固めることにより、略500円玉大のコイン形状に成型されたものである。遊技用に使用される実際の金属コインも500円玉大程度であるから、このコイン状記憶媒体50は、上記遊技用の金属コインとほぼ同じ形状となる。コイン状記憶媒体50がアンテナ60の通信可能エリアに入ると、CRスロットマシン内の非接触通信部からアンテナ60を介して高周波(マイクロ波等)f1による信号伝送が行われる。このときの搬送波成分はコイン状記憶媒体50内の整流回路において整流され同媒体50の動作用電源電圧として利用される。また、コイン状記憶媒体50では、高周波(マイクロ波等)f2によりCRスロットマシン内の非接触通信部に対して信号が伝送される。
【0028】
そこで、このCRスロットシステムでは、ゲーム中に1個のコイン状記憶媒体50をストッパ42の位置に保持しておいて、後述のような精算等の操作が行われると、遊技用の金属コインをコイン排出口12に排出するのに代えて、その時に保有している遊技媒体数データ(コイン枚数)を、非接触通信によってこのコイン状記憶媒体50に記憶させて排出する。
【0029】
上記排出されたコイン状記憶媒体50には、コイン枚数が記憶されているために、遊技者はこのコイン状記憶媒体50をパチンコホールのカウンタに持ち込んでそのコイン枚数に対応した景品と交換する。なお、このようにして遊技者に対して排出したコイン状記憶媒体50は、景品交換以外に使用することを禁止することが望ましいが、後述の実施例6のように、コイン状記憶媒体50に記憶されている遊技媒体数データ(コイン枚数)を、再度ゲームに使用出来るようにすることも可能である。また、一旦排出されたコイン状記憶媒体50に対して、そのデータの不正な書換えが行われないよう配慮することが望ましい。そこで、このCRスロットシステムでは、この媒体50に記憶するコインデータを図4に示すようにしている。
【0030】
同図のように、コインデータは、そのコイン状記憶媒体を識別するための「コインID」と、そのコイン状記憶媒体のみが使用可能な店舗のIDを示す「店舗ID」と、その媒体50が排出された日付を示す「日付データ」と、その媒体50が排出されたスロットマシンの台番号を示す「スロットマシン台番号」と、その媒体50に書き込まれた遊技媒体数データを示す「コイン枚数データ」とで構成される。カウンタでは、持ち込まれたコイン状記憶媒体50と非接触で通信することによってコインデータを読み取り、「コインID」、「店舗ID」、「日付データ」、「スロットマシン台番号」が全て正しいデータであるかどうかを判定し、さらに、「スロットマシン台番号」のスロットマシンに対して媒体50に書き込まれたコイン枚数データの問い合わせを行い、その問い合わせに対する「コイン枚数データ」と、当該コイン状記憶媒体50に記憶されている「コイン枚数データ」が一致するかどうかの判定を行う。この「コイン枚数データ」の一致を判定すると、当該コイン状記憶媒体50に対する不正な操作(不正な書き込み等)がなかったものと見なして、読み取った「コイン枚数データ」に対する景品交換処理を行う。
【0031】
また、別の実施例として、CRスロットシステムでコイン状記憶媒体50を排出したタイミングで、カウンタにある管理装置に図4に示すコインデータを送信しておき、コイン状記憶媒体50がカウンタに持ち込まれた時に、その媒体50から読み取ったデータと、上記送信されてきたデータとの照合を取るようにしてもよい。
【0032】
図5は、パチンコホール内の全体のシステム図を示している。
【0033】
遊技機島(A,B)毎に複数のCRスロットシステムが接続され、各遊技機島は中継装置C1,C2を介して管理装置Dに接続されている。管理装置Dは、さらにカードシステム管理会社内に設置されているシステム管理装置Eに電話回線により接続されている。なお、管理装置Dと中継装置C2間では、コインデータ精算機F,カード精算機G,カード販売機Hが接続されている。
【0034】
上記のシステムでは、各CRスロットシステムの利用データが全て管理装置Dに収集されて集計処理等が行われる。また、上記の別の実施例のように、各CRスロットシステムでコイン状記憶媒体50を排出したタイミングで、カウンタにある管理装置Dに対して図4に示すコインデータが送信され、コイン状記憶媒体50がカウンタに持ち込まれた時に、その媒体50から読み取ったデータと、各CRスロットシステムから送信されてきたデータとの照合を取る事が出来るようにされる。
【0035】
別の態様として、管理装置Dにおいて利用データの集計やデータ照合を行うことに代え、図5中のホールコンピュータIに上記コインデータを収集して、ここでデータ照合を行えるようにしても良い。ホールコンピュータIは、各スロットマシン、カードユニットと中継装置C3,C4を介して接続され、各スロットマシンのデータを集計する機能と各CRスロットマシンに対してゲーム打ち止め信号を送信する機能だけを持つが、このホールコンピュータIに上記コインデータを収集してデータ照合が可能となるように管理することも可能である。
【0036】
図6は、CRスロットシステムの電気的な構成図を示している。
【0037】
パチンコホール内に配置されている各CRスロットシステム100、200、・・・は、カウンタに設けられている管理装置300とLAN接続されている。1つのCRスロットシステム内では、スロットマシン1とカードユニット2とが接続されている。
【0038】
スロットマシン1は、リールブロック3を制御するリールブロック制御部60と、コイン状記憶媒体50の排出制御を行うコイン排出制御部61と、コイン状記憶媒体50との間で非接触通信を行うコイン通信部62と、各操作スイッチや表示器等の入出力処理を行う入出力部63と、メモリ部64と、全体を制御する制御部65と、LAN通信制御を行う通信部66とを備えている。
【0039】
メモリ部64は、貸し出された遊技媒体数データ(コイン枚数)を計数記憶するクレジットカウンタCMと、このクレジットカウンタCMの最大計数値を超えた分を記憶するオーバフローカウンタOFMとを備えている。クレジットカウンタCMの最大計数値は規則により一定値に制限されるため、本実施例では、このクレジットカウンタCMをオーバフローした遊技媒体数データをオーバフローカウンタOFMで計数記憶するようにしている。クレジットカウンタCMの最大計数値がたとえばコイン250枚相当であるとすれば、ゲームの当選回数が増えることによってスロットマシン内に貯留されるコイン枚数(顧客の持ち数)が250枚を超えることになる。このとき、その超えた分がオーバフローカウンタOFMに計数記憶される。なお、メモリ部64内のその他の領域のメモリGMは、任意に使用される。たとえば、コイン状記憶媒体50を排出した時に同媒体に書き込まれる遊技媒体数データが一時的に記憶されたりする。
【0040】
クレジットカウンタCMの遊技媒体数データとオーバフローカウンタOFMの遊技媒体数データは、次のように変更されていく。
【0041】
▲1▼ゲームが行われる毎に、ゲームに使用されたコイン枚数分だけ、クレジットカウンタCMから減算される。ゲームの結果、コイン枚数が獲得出来たときには、獲得したコイン枚数がクレジットカウンタCMに加算される。
【0042】
▲2▼クレジットカウンタCMの計数値が最大計数値を超えてオーバフローしたときは、そのオーバフローしたコイン枚数をオーバフローカウンタOFMで累積記憶する。
【0043】
▲3▼オーバフローカウンタOFMで累積記憶しているコイン枚数は、クレジットカウンタCMに転送することにより、その転送したコイン枚数分をゲームに使用することが可能となる。この転送には、転送スイッチ14を使用する。転送スイッチ14を操作すると、オーバフローカウンタOFMのコイン枚数の範囲内で、クレジットカウンタCMの計数値が最大計数値になるまで加算されていくと同時に、オーバフローカウンタOFMが減算されていく。
【0044】
カードユニット2は、プリペイドカードに対する書き込みや読み取り、およびその駆動を制御するカード処理部70と、挿入された紙幣の搬送処理や、その紙幣の鑑別を行う紙幣処理部71と、図示しない表示部やスイッチ類等に対する入出力処理を行う入出力部72と、全体を制御する制御部73と、LAN通信制御を行う通信部74とを備えている。
【0045】
パチンコホール内のカウンタに設けられる管理装置300は、LAN通信制御を行う通信部80と、各種表示部やスイッチ類等に対する入出力処理を行う入出力部81と、全体の制御を行う制御部82と、各種データを記憶するメモリ83と、日々の売上データ等のトランザクションを記憶する外部記憶装置84と、遊技客によって持ち込まれたコイン状記憶媒体50との非接触通信を行うコイン通信部85とを備えている。なお、このコイン通信部85も、図2に示すような構造を備えていて、挿入されたコイン状記憶媒体を一時的に保持して非接触通信を行う。
上記CRスロットシステムでは、コイン状記憶媒体50を複数の場合に排出することができる。以下、図7を参照してコイン状記憶媒体を排出する実施例について説明する。
【0046】
(実施例1)
図7(A)に示すように、精算スイッチ9が操作された時、その時にスロットマシン1内に記憶されている遊技媒体数データ(遊技客の持ちコイン総数)を全てコイン状記憶媒体50に記憶して排出する。したがって、コイン総数が非常に少ない場合でも、または反対に非常に大きい場合でも、排出されるコイン数は1枚である。図8は、この実施例1での制御部65の概略動作を示すフローチャートである。
【0047】
ゲームが開始されると、ステップST1においてゲーム処理が行われ、当たり又は外れの結果に応じてコインの増減処理が行われる。すなわち、まず、クレジットカウンタCMにのみ遊技媒体数データが記憶されている場合には、このデータからゲームに使用されたコイン枚数が減算される。ゲーム処理が終わると、カウンタ(メモリ)の更新が行われる(ST2)。この時、ゲーム処理の結果、コイン総数がクレジットカウンタCMの最大計数値を超える場合には、その超えた分がオーバフローカウンタOFMに計数記憶される。つまり、スロットマシン内に記憶しているコイン総数がクレジットカウンタCMの最大計数値を超えているものについてはオーバフローカウンタOFMにて更新が行われる。
【0048】
ST1、ST2が精算スイッチ9が操作されるまで繰り返して行われ、精算スイッチ9の操作があると、ST3→ST4と進んで、クレジットカウンタCMとオーバフローカウンタOFMに記憶されている遊技媒体数データを含む図4に示すコインデータを編集してコイン状記憶媒体50に非接触通信で送信され、同媒体50のICチップ50aに記憶される。その後、クレジットカウンタCMをリセットし(表示器11のクレジット残高をゼロにし)、また、オーバフローカウンタOFMもリセットして(ST5)、ストッパ42(図2参照)をB方向に引くことによって、コイン状記憶媒体50をコイン排出口12に排出して終了する(ST6)。
【0049】
なお、上記において、精算スイッチ操作時に、クレジットカウンタCMとオーバフローカウンタOFMに記憶されている遊技媒体数データを加算してコイン状記憶媒体50に記憶させるようにしているが、それぞれの遊技媒体数データを同一のコイン状記憶媒体50内の異なる記憶番地に記憶させてもよい。また、コイン状記憶媒体50を別個に用意してそれぞれの遊技媒体数データをそれぞれのコイン状記憶媒体50に記憶させて排出してもよい。
【0050】
(実施例2)
この実施例2は、精算スイッチ9に加えて一部払出し専用の一部精算スイッチを別途設ける。図7(B)に示すように、この一部精算スイッチを1回押すごとに単位枚数(例えば10枚)の遊技媒体数データを表示器11のクレジット残高から減算するとともにコイン状記憶媒体50に記憶させて排出する。したがって、この実施例2では、一部精算スイッチを2回押せば、コイン状記憶媒体50が2枚排出されることになる。なお、この一部精算スイッチが有効である条件は、クレジットカウンタCMに記憶されている遊技媒体数データが一定枚数以上のデータであることとする。この実施例によれば、遊技客が手持ちコインの一部を精算してタバコなどの景品換えをしたい場合に有用である。
【0051】
(実施例3)
この実施例3は、図7(C)に示すように、精算スイッチ9の操作間隔に対応する遊技媒体数データをコイン状記憶媒体50に記憶させて排出する。すなわち、精算スイッチ9を1回押して精算を開始させた後、再度、この精算スイッチ9を押した時に精算が中止され、それまでに精算された遊技媒体数データの記憶されたコイン状記憶媒体50が排出されるようにする。精算スイッチ9を1回押して精算を開始させた後は、単位時間毎に単位枚数(例えば10枚)の遊技媒体数データを表示器11のクレジット残高から減算するとともにコイン状記憶媒体50に記憶させる。
【0052】
(実施例4)
この実施例4は、図7(D)に示すように、オーバフローカウンタOFMに記憶されている遊技媒体数データを、ストッパ42上に保持されているコイン状記憶媒体50に記憶して排出する。同時に、表示器11に、コイン状記憶媒体50に記憶されている遊技媒体数データ(コイン枚数)を表示する。また、スロットマシン1に別途排出スイッチを設け、遊技客がこの排出スイッチを操作した時にこのコイン状記憶媒体50を排出することとする。精算スイッチ9が操作された時は、実施例1と同様にコイン状記憶媒体50に対して、クレジットカウンタCMとオーバフローカウンタOFMに記憶されている遊技媒体数データを記憶して排出する。
【0053】
図9は、実施例4の動作を示すフローチャートである。
【0054】
ST1でゲーム処理が行われその結果によってカウンタCM、OFMの更新が行われて(ST2)、精算スイッチ9が操作されると(ST3)、コイン状記憶媒体50に対し、クレジットカウンタCMとオーバフローカウンタOFMに記憶されている遊技媒体数データが記憶され(ST4)、クレジットカウンタCMとオーバフローカウンタOFMをリセットしてから(ST5)、同コイン状記憶媒体50が排出される(ST6)。ここまでは、図7に示す動作と同一である。ST3で、精算スイッチ9が操作されることなくカウンタCM、OFM更新の結果オーバフローが生じると、すなわちオーバフローカウンタOFMに遊技媒体数データが記憶されていると(ST10)、ST11に進んで図外の排出スイッチが操作されたかどうかの判定を行う。この排出スイッチが操作されていない時には、元のST1に戻る。排出スイッチが操作されている時には、オーバフローカウンタOFMの遊技媒体数データをストッパ42に保持されているコイン状記憶媒体50に記憶し(ST12)、且つオーバフローカウンタOFMをリセットした後、上記保持されているコイン状記憶媒体50を排出する(ST6)。
【0055】
したがって、排出スイッチを操作することによって、オーバフローカウンタOFMに記憶されているデータのみが記憶されたコイン状記憶媒体を得ることが可能になる。
【0056】
なお、コイン状記憶媒体50から遊技媒体数データの一部をクレジットカウンタCMまたはオーバフローカウンタOFMに移し変えることも可能である。このために、コイン追加スイッチを別途設ける。このコイン追加スイッチが操作されると、上記のように、その時にストッパ42上に保持されているコイン状記憶媒体50から、所定のコイン枚数に相当するデータを差し引いて、クレジットカウンタCMのデータまたはオーバフローカウンタOFMのデータに加算する。このように、一旦遊技媒体数データを記憶したコイン状記憶媒体50から、再びコインをクレジット使用可能にできる。
【0057】
(実施例5)
実施例5では、図7(E)に示すように、オーバフローカウンタOFMに計数記憶されているデータが一定コイン枚数に相当するデータに達するごとに、又は、オーバフローカウンタOFMの計数最大値に達するごとに、その枚数のデータをコイン状記憶媒体50に記憶して排出する。精算スイッチ9が操作された時には、上記の各実施例と同様に、クレジットカウンタCMとオーバフローカウンタOFMに記憶されている全ての遊技媒体数データをコイン状記憶媒体50に記憶して排出する。
【0058】
別の態様として、実施例4と同様に排出スイッチを設けて、この排出スイッチが操作された時にコイン状記憶媒体50を排出する構成とすれば、ストッパ42上に保持されているコイン状記憶媒体50から、コインの貸出しを行うことが可能である。すなわち、実施例4で説明したように、コイン追加スイッチを別途設け、このコイン追加スイッチが操作されると、その時にストッパ42上に保持されているコイン状記憶媒体50から、所定のコイン枚数に相当するデータを差し引いて、クレジットカウンタCMのデータまたはオーバフローカウンタOFMのデータに加算する。このように、一旦遊技媒体数データを記憶したコイン状記憶媒体50から、再びコインをクレジット使用可能にしても良い。
【0059】
(実施例6)
排出されたコイン状記憶媒体を景品交換だけではなく、再度、ゲームに使用可能とすることも出来る。すなわち、遊技媒体数データの記憶されたコイン状記憶媒体を投入口6に投入すると、スロットマシン1の制御部65で上記遊技媒体数データが読み出され、クレジットカウンタCMに記憶されることにより、ゲームが可能となる。
【0060】
この実施例では、コイン状記憶媒体の投入口6が必要になるが、コイン状記憶媒体の形状は、金属コインの形状と同じであるために、従来から用いられている金属コイン用の投入口をそのまま流用することが出来る。
【0061】
以上のように、本実施形態のCRスロットシステムでは、精算時等に、遊技客に対して遊技用の金属コインを戻さずに、1枚〜数枚のコイン状記憶媒体50を排出して景品交換を可能としているため、スロットマシン1には大量の金属コインを貯留するホッパが不必要となる。コイン状記憶媒体50を収納するホッパ40は、遊技客一人に対し1枚〜数枚のコイン状記憶媒体を排出する程度の容量でよく、その大きさは従来の金属コインを収納するホッパに比べて極めて小さくてよい。
【0062】
また、遊技客はプリペイドカードと景品交換用のコイン状記憶媒体とを明確に区別できるため、双方の扱いに戸惑って誤った操作を行うことはなく、同様に、パチンコホール内の係員も誤った操作を行う可能性がなくなる。
【0063】
また、遊技客にとっては、ゲーム精算時等に、従来の遊技用(金属)コインと同形状のコインを獲得できるため、遊技用の実際の金属コインを排出する場合と同様な、コインを獲得できるというゲームの妙味を保つことができる。
【0064】
また、コイン状記憶媒体は従来の遊技用コインと同形状にできるから、遊技機本体内の搬送路や排出部を共用することが可能である。このため、従来の遊技機本体をそのまま使う場合には改造が容易であり、また、遊技用の金属コインとコイン状記憶媒体双方を取り扱うようにすることも容易にできる。
【0065】
【発明の効果】
この発明によれば、精算時等に、1枚〜数枚のコイン状記憶媒体を排出すれば良いため、そのコイン状記憶媒体を収納するコイン状記憶媒体収納部は小型のもので良い。また、遊技機本体前面には、従来のようなカード排出口を設ける必要がないため、その前面の構成が複雑化しない。また、遊技機本体としてコインを使用するスロットマシンを使用したときには、コイン状記憶媒体は遊技用コインと同形状であるため、遊技機本体内部でのその扱いが極めて便利である。さらに、コイン状記憶媒体の外観は、プリペイドカード等の価値媒体の外観と全く異なるため、これらの取扱に迷うことはなく、誤った操作を防ぐことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態であるCRスロットシステムの正面図
【図2】コイン状記憶媒体処理部の構造図
【図3】コイン状記憶媒体の正面図と側面図
【図4】コインデータの内容を示す図
【図5】ホール内の全体のシステムを示す図
【図6】CRスロットシステムの電気的構成図
【図7】コイン状記憶媒体を排出する実施例1〜5
【図8】実施例1の制御動作の概略を示すフローチャート
【図9】実施例4の制御動作の概略を示すフローチャート
Claims (2)
- 遊技機と、この遊技機と通信可能に近接配置され、プリペイドカード等の価値媒体から遊技機本体に対し有価データを送信可能にしたユニットとを備え、前記有価データに対応する遊技価値データで遊技を可能にした遊技装置において、
前記遊技機は、
遊技機本体と通信可能なコイン状記憶媒体を収納するコイン状記憶媒体収納部と、
前記コイン状記憶媒体と通信する通信部と、
遊技機本体に記憶している前記遊技価値データが一定以上になってオーバーフローしたときに、そのオーバーフロー遊技価値データの全部又は一部、または前記オーバーフロー遊技価値データを特定できるデータを、前記コイン状記憶媒体収納部に収納されているコイン状記憶媒体に前記通信部を介して記憶する処理と、この処理を終えた前記コイン状記憶媒体を排出する処理とを行う制御部と、
を備えてなる遊技装置。 - 遊技に使用する遊技価値データを遊技機本体内に記憶し、この遊技価値データにより遊技が出来るようにするとともに、遊技媒体貸出要求信号を受け付けたときに、遊技機本体内に記憶されている遊技価値データに所定量の遊技価値データを加算記憶するようにした遊技機において、
遊技機本体と通信可能なコイン状記憶媒体を収納するコイン状記憶媒体収納部と、
前記コイン状記憶媒体と通信する通信部と、
遊技機本体に記憶している前記遊技価値データが一定以上になってオーバーフローしたときに、そのオーバーフロー遊技価値データの全部又は一部、または前記オーバーフロー遊技価値データを特定できるデータを、前記コイン状記憶媒体収納部に収納されているコイン状記憶媒体に前記通信部を介して記憶する処理と、この処理を終えた前記コイン状記憶媒体を排出する処理とを行う制御部と、
を備えてなる遊技機。
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