JP4288433B2 - 音声信号処理装置及びこれを具備した電子機器 - Google Patents

音声信号処理装置及びこれを具備した電子機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明の音声信号処理装置及びこれを具備した電子機器は、例えば補聴器、電話、拡声器、音声通信の分野で用いられる音声信号の音声レベル変換装置、音量調整装置に関し、さらに詳しくは増幅器の利得制御特性を可変して受聴者の聴覚に適合した出力音声信号を得ることのできる音声信号処理装置及びこれを具備した電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
音声を伝送、再生する場合で、伝送系、再生系のダイナミックレンジが十分広くないときや、難聴者のように受聴可能なダイナミックレンジが狭い場合に、小レベルの入力音声信号の増幅度を大きくし、大きいレベルの入力音声信号の増幅度を小さくするという非線形な利得制御特性により入力音声信号に対する出力音声信号のレベル変換を行うレベル圧縮増幅処理の手法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来のレベル圧縮増幅処理においては、設定や動作の安定性について次のような問題がある。
所望のレベル変換動作を得るためには、再生系や伝送系からの入力音声信号のレベル範囲や受聴可能な出力音声信号のダイナミックレンジを予想して、受聴者の聴覚に適合するように特定し、この特定された入力音声信号と出力音声信号のダイナミックレンジに合わせて非線型な利得制御特性を設定しなくてはならない。それ故、この特定できる入力音声信号のレベル範囲や可聴音声出力ダイナミックレンジの幅は、設定された利得制御特性により限定されるので狭くなり、入力音声信号のレベルや可聴音声出力ダイナミックレンジが特定したレベル範囲を超えた場合には、期待したレベル変換動作が得ることができなくなる。
【0004】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、予め入力音声信号のレベル範囲や受聴可能な出力音声信号のダイナミックレンジを特定することなく、入力音声信号のレベル範囲や受聴可能なダイナミックレンジの状況に応じて上述の利得制御特性を可変設定し得る音声信号処理装置及びこれを具備した電子機器を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の音声信号処理装置は
増幅器の利得制御特性に基づいて該増幅器に入力された入力音声信号を増幅または圧縮し、所望の出力音声信号を出力する音声信号処理装置として
前記入力音声信号の有声音のレベルを検出し検出出力を生成するレベル検出手段と、
前記所望の出力音声信号を得るために、外部の操作機構または外部の情報信号により利得制御特性可変出力を生成する出力可変手段と、
前記検出出力と、前記利得制御特性可変出力の増大または減少を示す信号とに基づいて前記増幅器の利得制御を行うための利得制御特性曲線を、前記入力音声信号の特定のレベルを境界として所定の関数で規定でき、且つ前記境界で連続であるように可変して前記増幅器の利得制御特性を可変し得る利得制御特性可変手段と
を備えるものである
【0006】
また、本発明の音声信号処理装置及びこれを具備した電子機器の望ましい形態としては下記(1)〜(5)である。
(1)利得制御特性可変手段は、利得制御特性曲線を、出力音声信号が入力音声信号に正帰還し、増幅器の利得制御を不安定にすることのない最大利得制御曲線と、増幅器の利得が零である最小利得制御曲線で囲まれた範囲で、且つ出力音声信号の最大出力を制限する不快閾値ポイントと暗騒音の影響を抑圧するための出力音声信号の最小値である暗騒音抑圧ポイントで囲まれた範囲で可変し得るものである。
【0007】
(2)利得制御特性可変手段は、出力音声信号の最大出力を制限する不快閾値ポイントと、暗騒音の影響を抑圧するための前記出力音声信号の最小値である暗騒音抑圧ポイントを所望の出力音声信号を得るために可変し得るものである。
【0009】
(3)利得制御特性可変手段は、入力音声信号の特定のレベル及び特定のレベルに対応する利得の何れかを可変することにより前記利得制御特性曲線を可変し得るものである。
【0010】
(4)利得制御特性可変手段は、位相の相違する2個の同一周波数を用いて、検出出力及び利得制御特性可変出力を標本化し、検出出力の標本値と、検出出力の標本値の後の時点で標本化された利得制御特性可変出力の標本値を参照して利得制御特性曲線を可変し得るものである。
【0011】
(5)利得制御特性可変手段は、利得制御特性可変出力が増大を示すときは、入力音声信号の特定のレベルを検出出力の標本値を限界として標本値に近接する方向へ変化させ、しかる後さらに利得制御特性可変出力が増大を示すときは、特定のレベルに対応する利得を出力音声信号が入力音声信号に正帰還し、増幅器の利得制御を不安定にすることのない最大利得制御曲線に接近する方向に変化させ、利得制御特性可変出力が減少を示すときは、入力音声信号の特定のレベルを検出出力の標本値を限界として標本値に近接する方向へ変化させ、しかる後さらに利得制御特性可変出力が減少を示すときは、特定のレベルに対応する利得を増幅器の利得が零である最小利得制御曲線に接近する方向に変化させ、出力音声信号から生成される音声出力を減衰する遮音装置のある場合は、遮音装置の減衰特性に対応して、最小利得制御曲線より下方に設定された利得制御曲線に近接する方向に可変するものである。
【0012】
以下上述した手段の作用について説明する。
入力音声信号のレベルがレベル検出手段により検出出力として検出され、受聴者が外部の操作機構又は外部装置からの情報信号を介して出力可変手段により利得制御特性可変出力を生成する。これら検出出力と利得制御特性可変出力を参照して利得制御特性可変手段が増幅器の利得を利得制御特性を可変しつつ制御するので、該増幅器に入力された入力音声信号の増幅度が制御され、入力音声信号のレベルや受聴者の聴覚に適合した出力音声信号を得る。
【0013】
上述の増幅器の利得制御特性は、例えば、入力音声信号の特定のレベルを境界として、この特定のレベルより小さい入力音声信号が増幅器に入力されたときは、利得の変化率が1以下となり、反対に大きい入力音声信号が入力されたときは、利得の変化率が1以上になるというように入力音声信号の特定のレベルを境界として、所定の関数で示され、且つ境界連続な利得制御特性曲線で規定されるものである。また、入力音声信号の特定のレベルとは、例えば予想される受聴環境及び受聴者の聴覚に適合した平均的な入力音声信号のレベルである。従って、入力音声信号の特定のレベルをこえると、出力音声信号が圧縮され、特定のレベル以下のときは伸張され、且つこの特定のレベルが外部の操作機構や情報信号により可変され受聴者に適合した出力音声信号が得られるように利得制御が行われる。
【0014】
出力可変手段は受聴者及び受聴環境に応じて上述した入力音声信号の特定のレベルを可変し、その結果として増幅器の利得を間接的に可変しようとするものであり、受聴者が外部の操作機構または情報信号により利得制御特性可変出力を生成することで構成される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下図1〜図11を参照して本発明の音声信号処理装置及びこれを具備した電子機器の実施の形態例について説明する。
この発明の理解を簡単にするために、まず一般的なレベル圧縮処理の動作について利得制御特性曲線の観点から図10及び図11を参照して説明する。また本発明に用いる曲線という用語はリーマン幾何学の意味するところにより直線をも含むものとする。さらに、本発明に用いる音声という用語も、人の声のみを意味するものではなく、いわゆるオーディオ一般、音響を含むものとする。
【0016】
図10は、一般的なレベル圧縮増幅処理に用いられる増幅器の入力音声信号のレベル対出力音声信号の利得制御特性曲線を示したものである。図10(a)の点線のように、実線に比べ利得制御特性曲線の傾きが小さく、すなわち利得の変化率が小さいほどレベル圧縮の度合いが大きいことを示し、図10(b)の点線のように実線に比べ利得制御特性曲線の傾きが同じなら上方にあるほど増幅度が大きいことを意味する。つまり、図10(a)のようにレベル圧縮の度合いが大きい利得制御特性曲線の場合は、入力音声信号のレベルの小さいときのほうが入力音声信号レベルの大きいときに比べて増幅度は大きくなる。
【0017】
また、入力音声信号のレベル範囲によって非線型な利得制御特性曲線によりレベル変換を行うために、増幅器の利得制御特性曲線に図11のA点のような折れ曲がり点をもたせることもある。通常このA点のことを「ニーポイント」と呼ぶ。図11の場合では、A点より大きい入力音声信号のレベルではダイナミックレンジが圧縮変換された出力音声信号が得られ、A点より小さい入力音声信号のレベルではダイナミックレンジが伸張変換された出力音声信号が得られる。
【0018】
上述したA点の他に、図11に示すように、増幅器の利得制御特性曲線により変換された出力音声信号の最大出力レベルを制限するためのB点を「不快閾値ポイント」と呼び、小さい入力音声信号のレベルでの増幅器の利得制御特性曲線により変換された出力音声信号を決めるためのC点を「暗騒音抑圧ポイント」と呼ぶ。C点の入力音声信号0dBとは、2×10ー5パスカルを意味し、また、暗騒音とは空調のファンの雑音などの環境雑音を意味する。
【0019】
なお、PA(Public Address System) 装置(いわゆる拡声器)や補聴器のように、マイクロホンからの信号が増幅されてスピーカから出力され、再びマイクロホンに入力されるフィードバックループを形成する場合には、通称ハウリングと呼ばれるループによる発振を防止するために図11の一点鎖線のような増幅利得限界を設け最大利得制御曲線と称し、上述したニーポイントA点の移動範囲を制限することがある。
【0020】
上述のレベル圧縮増幅処理は、瞬時の入力音声信号レベルに対して行なわれることもあるが、出力波形が大きく歪むので、多くの場合、直前の入力音声信号レベルに対して大きなレベルの入力音声信号が入力されたときに増幅度を小さく押さえる動作は瞬時に行い、逆に、直前の入力音声信号レベルよりも小さいレベルの入力音声信号が入力されたときに増幅度を上げる動作については時間遅れをもって行なわせることが多い。このような動作をするレベル圧縮増幅処理に関する発明に関しては本願発明者等がなした特願平10―183829号明細書に説明されているが、本発明の音声信号処理装置及びこれを具備した電子機器においても上述のレベル圧縮増幅処理の動作に関しては踏襲しているものである。
【0021】
図1は本発明の音声信号処理装置の概略構成図を示すブロック図である。入力音声信号は入力端子8に入力され、レベル検出手段1により入力音声信号のレベルが検出される。レベル検出手段1は有声音成分のみを通過させる有声音成分通過フィルタ5と、整流器6と、ローパスフィルタ7とで構成されておりローパスフィルタ7から検出出力を出力する。遅延手段4は大きなレベルの入力音声信号から小さなレベルの入力音声信号に変化したとき、増幅器2の利得制御を遅延させるためのものであり、この遅延の後に入力音声信号の増幅が始まる。また、出力可変手段9は、外部に取り付けられ、受聴者が操作することができる操作機構、例えば音量ボリューム等により(以下では出力可変手段9を音量ボリュームで代表して記す)、利得制御特性可変出力を電気信号として出力する。
【0022】
利得制御特性可変手段3は、出力可変手段9及びレベル検出手段1の出力を参照して増幅器2の利得制御特性曲線を可変するものである。この際、位相の相違する2個の同一周波数を用いて、レベル検出手段1の検出出力の標本値と、当該標本値の直後の出力可変手段9からの利得制御特性可変出力の標本値が利得制御特性可変手段3により参照される。以下に音量ボリューム(図示は省略)を出力音声信号の大きくなる方向へ操作したときの本発明の音声信号処理装置の利得制御特性可変手段3の動作を図2〜図6を参照して説明する。
【0023】
図2では、前述したハウリングを起こさない最大利得制御曲線を一点鎖線で示したように入力音声信号が0dBのとき出力音声信号のレベルが30dBとなるよう設定されているとする。また、利得制御特性可変手段3は初期状態では、B点すなわち「不快閾値ポイント」がB0に設定され、C点すなわち「暗騒音抑圧ポイント」がC0に設定されており、初期の入力音声信号の特定レベルはA0であり、B0とC0を結ぶ直線上にあるとする。
【0024】
ニーポイントは対応する入力音声信号のレベルが、特定の入力音声信号のレベル、すなわち予想される受聴環境での入力音声信号のレベル範囲に入るように特定し、必要とする入力音声信号のレベル範囲が受聴者に適合した出力音声信号レベル範囲に変換されるようにする。例えば、図2では、ニーポイントがA点にあり、対応する特定された入力音声信号のレベルは55dB付近ということになる。
【0025】
この状態で音量ボリュームを上げようとした場合の利得制御特性可変手段3の動作を説明する。
(1a)音量ボリューム操作時点の実際の入力音声信号のレベルが、A点の入力音声信号、すなわち前述した入力音声信号の特定のレベルより大きいときは、図2に示したように、音量ボリュームの操作を行う直前の増幅器2の利得制御特性曲線による入出力音声信号のレベル変換特性が、C0点、A点、B0点を結んだものであったとすると、音量ボリューム操作が行われた時点での入力音声信号のレベルが70dB、すなわちA点の入力音声信号の予想された特定のレベルである55dB以上であるときには、ニーポイントを最大利得制御曲線上のA1点の方向へ受聴者が音量ボリュームの操作をやめるまで上昇させる。A1点に達しても音量ボリュームを上げる操作を受聴者が行っているときには、ニーポイントをA1点から最大利得制御曲線上を実際の入力音声信号レベル、70dBを限界として移動をさせる。つまり最終的なニーポイントの位置A'が新たなA点となり、新しい利得制御特性曲線は、C0点、A'点、B0点を結んだものとなる。
【0026】
(2a)音量ボリューム操作時点の実際の入力音声信号レベルが、A点に対応する入力音声信号の特定のレベルより小さいとき、例えば、45dBとすると、図3に示すように、音量ボリュームの操作を行う直前の増幅器2の利得制御特性曲線による入出力音声信号のレベル変換特性が、C0点、A点、B0点を結んだものであったとして、45dBに対応するA3点を限界としてA点をA3点の方向へ音量ボリュームの操作をやめるまで移動させる。A3点に到達しても受聴者が音量ボリュームを上げる操作を行っていたら、A3点から最大利得制御曲線上のA4点へとA3点から垂直方向へ音量ボリュームの操作をやめるまで上昇させる。このようにして得られる最終的なニーポイントの位置A' が新たなA点になる。つまり、新しい利得制御特性曲線は、C0点、A' 点、B0点を結んだものとなる。
【0027】
(3a)A点が図4に示すように、初めから最大利得制御曲線上に設定されており、音量ボリュームの操作を行う直前の増幅器2の利得制御特性による入出力音声信号のレベル変換特性が、C0点、A点、B0点を結んだものであったとすると、受聴者が音量ボリュームを上げるという操作によって、ニーポイントは入力音声信号の特定のレベル、A点から実際の入力音声信号レベルまでを限界として一点鎖線で示された最大利得制御曲線上を移動する。実際の入力音声信号レベルが45dBならA' 点を限界とし、実際の入力音声信号レベルが70dBであれば、A"点が限界となる。
【0028】
(4a)図5に示すように、ニーポイントA点と暗騒音抑圧ポイントC0点との範囲が伸張増幅領域になっていて、その傾き、すなわち利得の変化率が大きい場合には、暗騒音のレベル変動が強調されて耳につくことがある。その時にはC0をC1点の方向へ上昇させてC' 点に動かし、利得の変化率を1に近づけることで、小レベルの入力音声信号の聴こえが自然になる。これは暗騒音を伸張増幅の特性で増幅すると、雑音の変化の幅が大きく強調され、ザーという連続雑音がザー、ザーというふうに聴こえるようになり耳障りになるためである。上述のことは請求項3を具現化したものである。
【0029】
(5a)不快閾値ポイントB0は、受聴者の不快閾値と聴力の状態が分かっていて、最大出力レベルを大きくしてもよいときには、図6に示すように、音量ボリュームを大きくする操作のときにB0点から最大利得制御曲線に対応する不快閾値ポイントであるB1点の方向へ移動させB' 点とすることで、出力音声信号の出力レベルを大きくしてもよい。上述のことも請求項3を具現化したものである。
【0030】
次に、外部の操作機構である音量ボリュームを出力音声信号の小さくなる方向へ操作したときの本発明の音声信号処理装置の利得制御特性可変手段3の動作を図7及び図8を参照して説明する。
(1b)音量ボリュームの操作時点の入力音声信号レベルが、A点の入力音声信号の特定のレベルより大きいとき、図7に示すように、音量ボリュームの操作を行う直前の増幅器2の利得特性による入出力音声信号のレベル変換特性が、C0点、A点、B0点を結んだものであったとすると、実際の入力音声信号のレベルがA点の特定の入力音声信号のレベル、すなわち55dBより大きくて、例えば、65dBであれば、A点より限界である65dBの実際の入力音声信号に対応するA5点の方向へ受聴者が音量ボリュームの操作をやめるまで移動させる。A5点に到達しても音量ボリュームを下げる操作を受聴者が行っていたら、A5点から最小利得制御曲線上のA6点の方向へ音量ボリュームの操作をやめるまで下降させる。限界は利得がゼロになるA6点である。このようにして最終的なニーポイントの位置A'が新たなA点になる。つまり、新しい利得制御特性曲線は、C0点、A'点、B0点を結んだものとなる。
【0031】
(2b)音量ボリュームの操作時点の実際の入力音声信号のレベルが、A点に対応する入力音声信号の特定のレベルより小さいとき、図8に示したように、音量ボリュームの操作を行う直前の増幅器2の利得特性による入出力音声信号のレベル変換特性が、C0点、A点、B0点を結んだものであったとすると、実際の入力音声信号レベルがA点の入力音声信号の特定のレベルである55dB以下であれば、ニーポイントを最小利得制御曲線上のA7点の方向へ音量ボリュームの操作を受聴者がやめるまで下降させる。A7点に達しても音量ボリュームを下げる操作を受聴者が行っているときには、ニーポイントをA7点から最小利得制御曲線上を実際の入力音声信号レベルを限界として移動をさせる。このようにして最終的なニーポイントの位置A' が新たなA点となる。つまり、新しい利得制御特性曲線は、C0点、A'点、B0点を結んだものとなる。
【0032】
(3b)また、受聴レシーバーに遮音装置があり、出力音声信号を減衰する機能がある場合には、大きい音を実際よりも小さくする意味で、最小利得制御曲線よりも下方、すなわち利得が零よりも小さい位置までニーポイントを移動させたり、不快閾値ポイントBや暗騒音抑圧ポイントCを下げたりすることで、図9に示すように、大きくてうるさい音を抑えて聴きやすくすることも可能である。つまり、C'点、A' 点、B'点を結んだ利得制御特性曲線は、出力音声信号を元の入力音声信号よりも小さい音に変換する。これは、例えば大きい音でも小さい音でも、あるレベル範囲にないと聴きにくいという感音難聴者に対して受聴レシーバーに遮音効果を付加して出力音声信号の利得制御特性を調整する場合に用いられる。
【0033】
以上説明した本発明の音声信号処理装置は、補聴器、電話、拡声器、音声通信機器、オーディオビデオ機器などの電子機器で用いられる音量調整装置に用いるならば、予め入力音声信号のレベル範囲や受聴可能な出力音声信号のダイナミックレンジを予想して特定することなく、受聴環境と受聴者に適応した出力音声を得ることができることは明らかでである。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の音声信号処理装置及びこれを具備した電子機器によれば音声を伝送及び再生し、難聴者が音声を聴くときに充分なダイナミックレンジと音声出力が確保できない場合、前述した利得制御特性曲線を可変して音声出力の増幅及び圧縮を行い、受聴者の受聴可能ダイナミックレンジを予想して予め設定しておく必要がなく、受聴者の主観的な判断による音量ボリューム操作で利得制御特性を変更できるので、受聴者の聴覚に適合した音声出力を得ることができる。本発明の音声信号処理装置を補聴器、電話、拡声器、音声通信機器、オーディオビデオ機器などの電子機器に具備すれば、受聴者にとり設定の容易な音質の優れた電子機器が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の音声信号処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の音声信号処理装置の利得制御特性可変手段の動作において、音量を大きくする操作をするときの利得制御特性を説明するための利得制御特性図である。
【図3】 本発明の音声信号処理装置の利得制御特性可変手段の動作において、音量を大きくする操作をするときの別の利得制御特性を説明するための利得制御特性図である。
【図4】 本発明の音声信号処理装置の利得制御特性可変手段の動作において、音量を大きくする操作をするときのさらに別の利得制御特性を説明するための利得制御特性図である。
【図5】 本発明の音声信号処理装置の利得制御特性可変手段の動作において、暗騒音を抑圧する利得制御特性を説明するための利得制御特性図である。
【図6】 本発明の音声信号処理装置の利得制御特性可変手段の動作において、不快閾値ポイントを増大させるときの利得制御特性を説明するための利得制御特性図である。
【図7】 本発明の音声信号処理装置の利得制御特性可変手段の動作において、音量を小さくする操作をするときの利得制御特性を説明するための利得制御特性図である。
【図8】 本発明の音声信号処理装置の利得制御特性可変手段の動作において、音量を小さくする操作をするときの別の利得制御特性を説明するための利得制御特性図である。
【図9】 本発明の音声信号処理装置の利得制御特性可変手段の動作において、感音難聴者用のための利得制御特性を説明するための利得制御特性図である。
【図10】 利得制御特性曲線の性質を説明するための利得制御特性図である。
【図11】 利得制御特性曲線の別の性質を説明するための利得制御特性図である。
【符号の説明】
1…レベル検出手段、2…増幅器、3…利得制御特性可変手段、4…遅延手段、5…有声音成分通過フィルタ、6…整流器、7…ローパスフィルタ、8…入力端子、9…出力可変手段

Claims (7)

  1. 増幅器の利得制御特性に基づいて該増幅器に入力された入力音声信号を増幅または圧縮し、所望の出力音声信号を出力する音声信号処理装置として
    前記入力音声信号の有声音のレベルを検出し検出出力を生成するレベル検出手段と、
    前記所望の出力音声信号を得るために、外部の操作機構または外部の情報信号により利得制御特性可変出力を生成する出力可変手段と、
    前記検出出力と、前記利得制御特性可変出力の増大または減少を示す信号とに基づいて前記増幅器の利得制御を行うための利得制御特性曲線を、前記入力音声信号の特定のレベルを境界として所定の関数で規定でき、且つ前記境界で連続であるように可変して前記増幅器の利得制御特性を可変し得る利得制御特性可変手段と
    を備える音声信号処理装置。
  2. 前記利得制御特性可変手段は、前記利得制御特性曲線を、前記出力音声信号が前記入力音声信号に正帰還し、前記増幅器の利得制御を不安定状態としない最大利得制御曲線と、前記増幅器の利得が零である最小利得制御曲線で囲まれた範囲で、且つ前記出力音声信号の最大出力を制限する不快閾値ポイントと暗騒音の影響を抑圧するための前記出力音声信号の最小値である暗騒音抑圧ポイントで囲まれた範囲で可変し得る請求項1に記載の音声信号処理装置。
  3. 前記利得制御特性可変手段は、前記出力音声信号の最大出力を制限する不快閾値ポイントと、暗騒音の影響を抑圧するための前記出力音声信号の最小値である暗騒音抑圧ポイントを前記所望の出力音声信号を得るために可変し得る請求項1に記載の音声信号処理装置。
  4. 前記利得制御特性可変手段は、前記入力音声信号の前記特定のレベル及び該特定のレベルに対応する利得の何れか一方を可変することにより前記利得制御特性曲線を可変し得る請求項1に記載の音声信号処理装置。
  5. 前記利得制御特性可変手段は、位相の相違する2個の同一周波数を用いて、前記検出出力及び前記利得制御特性可変出力を標本化し、前記検出出力の標本値と、該検出出力の標本値の後の時点で標本化された前記利得制御特性可変出力の標本値を参照して前記利得制御特性曲線を可変し得る請求項1に記載の音声信号処理装置。
  6. 前記利得制御特性可変手段は、前記利得制御特性可変出力が増大を示すときは、前記入力音声信号の前記特定のレベルを前記検出出力の標本値を限界として該標本値に近接する方向へ変化させ、しかる後さらに前記利得制御特性可変出力が増大を示すときは、前記特定のレベルに対応する利得を前記出力音声信号が前記入力音声信号に正帰還し、前記増幅器の利得制御を不安定状態としない最大利得制御曲線に接近する方向に変化させ、前記利得制御特性可変出力が減少を示すときは、前記入力音声信号の前記特定のレベルを前記検出出力の標本値を限界として該標本値に近接する方向へ変化させ、しかる後さらに前記利得制御特性可変出力が減少を示すときは、前記特定のレベルに対応する利得を前記増幅器の利得が零である最小利得制御曲線に接近する方向に変化させ、前記出力音声信号から生成される音声出力を減衰する遮音装置のある場合は、該遮音装置の減衰特性に対応して、前記最小利得制御曲線より下方に設定された利得制御曲線に近接する方向に可変する請求項1に記載の音声信号処理装置。
  7. 請求項1に記載の音声信号処理装置を備える電子機器。
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