JP4285843B2 - 曲げ加工時の形状凍結性に優れたフェライト系ステンレス鋼とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は戸建て住宅、集合住宅、大型建築物、ビルディングや橋梁等の建造物の構造部材あるいは車両構造用に適した曲げ加工性を有し、曲げ加工時の形状凍結性に優れる、すなわちスプリングバックの少ない溶接構造用フェライト系ステンレス鋼及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築物の安全基準の厳格化や機能性の追求等により、柱や梁用などの鋼材には一層の高機能化が求められている。
特に耐食性は構造物の耐用年数を左右する重要な因子であり、その向上が求められている。その究極の例が、さびの発生を解消した建築構造用ステンレス鋼である。構造用としては、耐食性や靱性に優れるSUS304(18Cr−8Ni)の使用実績が多い。
【0003】
しかし、ステンレス鋼はCrやNiなどの高価な元素を多量に必要とするため素材コストや製造コストは高価であり、機能的には優れるものの、その経済性には問題がある。一方、Crを10%を超えて添加させたフェライト系ステンレス鋼、例えばSUS430鋼は耐食性には優れているが、熱延鋼板の金属組織は圧延方向に長く伸びた粗大フェライト粒組織であり、曲げ加工性が悪く、さらに溶接熱影響部のフェライト組織が粗大化し、溶接部靱性が著しく低下する。
構造用等に使用される厚手材では溶接部の靱性低下が重大な問題であり、さらに溶接後の冷却時に割れを生じる場合もあるため、溶接を必要とする一般建築構造用にフェライト系ステンレス鋼は使用されなかった。
【0004】
また、11%CrのSUS410L鋼は、高温でγ相が析出するため溶接熱影響部の組織粗大化が生じ難く、さらにC含有量を低減することにより溶接割れ、溶接部靱性も改善されており、コンテナー骨材等の構造用途に一部使用されている。しかし、その熱延鋼板は降伏強度が高いため、曲げ加工時のスプリングバックが大きい、すなわち曲げ加工時の形状凍結性が悪いという欠点を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、建築構造用あるいは車両構造用として、曲げ加工時のスプリングバックが少なく、形状凍結性に優れた熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、成分バランス調整により熱延域での相変態を制御し、熱延条件およびその後の熱処理条件を最適化することにより、曲げ加工性に優れスプリングバックの少ない金属組織ならびに集合組織の実現を目指した。
そこで本発明者らは上記課題に対して、曲げ加工性に優れ、スプリングバックの少ない集合組織(ランダム結晶方位に対する比率、以下同様に記載する)を検討した。各種集合組織を有するステンレス鋼板の曲げ特性を調べた結果、鋼板板面と平行に{100}面が集積した場合にスプリングバックが小さくなり、さらに曲げ方向と平行に<011>方向が集積した場合にその効果が著しくなることが明らかとなった。
【0007】
鋼板の曲げ加工は、一般的に圧延方向或いはそれに直角方向であることから、鋼板板面と平行に{100}面を集積させ、圧延方向または板幅方向と平行に<011>方向を集積させることにより、圧延方向或いは板幅方向に曲げ加工した場合にスプリングバックの小さい鋼板を製造できるものと期待できる。
【0008】
一般的に、熱延後或いは冷延後の展伸した加工組織ではこのような集合組織は認められるものの、スプリングバックを大きくする{111}面がより多く集積するために、形状凍結性は十分に改善されなかった。また圧延後の焼鈍による再結晶により{100}面を集積させる集合組織は得られず、上記のような集合組織を有するステンレス鋼板は製造されていない。
【0009】
本発明者らは、各種成分のステンレス鋼を種々の条件で熱延し、その金属組織、集合組織および機械的性質を調査した結果、熱延時に導入される歪とその後のγ→α相変態を適切に利用する限られた条件で上記のような集合組織が得られ、優れた形状凍結性が得られることを見いだした。
すなわち、γ相域で圧延し、圧延後直ちに再結晶を生じない温度で仕上げ熱延を行い、熱延により導入された歪を残した状態で熱延後にγ相からα相に変態させると、上記のような変態集合組織が形成される。さらに仕上げ圧延後の捲取り温度を適正化することにより、変態を完了させると共に結晶粒度を調整し、構造材として必要な強度と曲げ加工時に必要な延性を付与することができる。
【0010】
本発明の主旨は、以下の通りである。
Cr量およびその他の成分量を調整し、850℃以上の熱延域温度域でγ相となるようにする。高温域で生成するオーステナイト相の量は成分含有量から予測することができ、下式を満足するように成分調整すれば熱延温度域で十分な量のオーステナイト相を生成させることができる。
Cr(%)+Mo(%)+1.5Si(%)+6Ti(%)+3Nb(%)
−Mn(%)−2Ni(%)−0.5Cu(%)−30C(%)−20N
(%)≦11.5
【0011】
そして、熱間圧延は主にオーステナイト域で実施し、熱間圧延後の冷却時にフェライト相へ変態せしめ、上記のような集合組織を形成させると共に適度なフェライト粒径および降伏強度を有する熱延鋼板を製造することができる。この時にフェライト相への変態が不十分でオーステナイト相の一部がマルテンサイト相に変態したり、フェライト変態後の粒成長が不十分で平均粒径が5μm未満になると、降伏強度が500MPaを超え、形状凍結性も悪化すると共に曲げ加工時に割れが発生する場合がある。
【0012】
上式を満足せず、高温で十分な量のオーステナイト相が生成しないと、上記集合組織の形成が阻害されると共にフェライト結晶粒が粗大化する。フェライト結晶粒が平均50μm超になると、曲げ加工時に外表面にフェライト粒に対応した肌荒れ状の凹凸が発生し、美観を損なうばかりでなく、局所的な変形により割れを生じる場合がある。また、フェライト粒の粗大化により降伏強度が235MPa未満となると、一般構造用鋼材より低耐力となり、特別な設計を要することになり、一般構造用鋼材として不適切である。
上記のように成分および熱延鋼板の金属組織を最適化することにより、一般構造用フェライト系ステンレス鋼が実現可能となった。
【0013】
本発明の具体的構成は以下のとおりである。
(1)質量%で、
C :0.1%以下、 Si:1.5%以下、
Mn:1.5%以下、 Cr:8〜18%、
P :0.04%以下、 S :0.05%以下、
N :0.05%以下、 C+N:0.1%以下
さらに、
Mo:0.1〜2.5%、 Cu:0.1〜2.5%、
Ni:0.1〜2.5%、 Ti:0.01〜0.5%、
Nb:0.01〜0.5%、 V :0.05〜0.5%
の1種または2種以上
を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼であって、母材部の金属組織が5〜50μmの平均結晶粒径を有するフェライト組織で、板厚中央部の集合組織において板面に平行な{100}面の反射X線強度比が2以上であり、さらに圧延方向または板幅方向と垂直な{011}面の反射X線強度比が1.2以上であることを特徴とする曲げ加工時の形状凍結性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
【0014】
)下式を満足し、降伏強度あるいは0.2%耐力が235〜500MPaであることを特徴とする、前記(1)記載の曲げ加工時の形状凍結性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
Cr(%)+Mo(%)+1.5Si(%)+6Ti(%)+3Nb(%)
−Mn(%)−2Ni(%)−0.5Cu(%)−30C(%)−20N(%)
≦11.5
【0015】
前記(1)または(2)に記載の鋼を得るために同項記載の成分を有する鋼を熱間圧延するに際し、850〜950℃のオーステナイト域で全圧下量が30%以上となるような仕上げ圧延を行い、600〜800℃の温度域で捲取ることを特徴とする、曲げ加工時の形状凍結性に優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法。
)熱延終了後に、600〜850℃の温度域で0.1〜10時間の熱処理を行うことを特徴とする、前記()に記載の曲げ加工時の形状凍結性に優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の鋼の成分範囲などの限定理由について述べる。
Cは、鋼の強度を向上させる元素ために有効な元素である。ただし、0.1%を超える過剰の添加は、延性低下による曲げ加工時の割れ、溶接熱影響部の靭性低下による溶接割れを生じるため、上限を0.1%とした。
【0017】
Nは、不可避的不純物元素であり、鋼の強度を向上させるのに有効であるが、Cと同様に加工割れ、溶接割れの原因となるため、その上限を0.05%とし、さらにCとNの合計含有量の上限を0.1%とした。
【0018】
Siは、不可避的不純物元素であり、脱酸剤として鋼中の固溶酸素を低減する効果はあるが、1.5%を超えて添加すると母材と溶接部の靭性を損ない、曲げ加工割れ、溶接割れの原因となるため、上限を1.5%とした。
【0019】
Mnは、不可避的不純物元素であり、鋼の強度を向上させるのに有効であるが、1.5%を超えて添加すると母材と溶接部の靭性を損ない、曲げ加工割れ、溶接割れの原因となるため、上限を1.5%とした。
【0020】
Pは、不可避的不純物元素であるが、多量に存在すると溶接性を害するのみならず、さび発生を促進する現象が現れる。そのため0.04%以下に限定した。
【0021】
Sは、不可避的不純物元素であるが、主にMnSなどの硫黄系介在物として、さびの起点となるだけではなく、腐食速度を高める原因にもなる。さらに、粒界に偏析し熱間加工性を害する。そのため、0.05%以下に規制する必要がある。Sは不純物として少ないほど好ましい。
【0022】
Crは、大気環境において腐食の発生抑制と腐食速度を低減させるために重要不可欠な添加元素であり、その効果発現のためには8%以上の添加量が必要である。しかし18%を超えて添加すると、熱延域で十分な量のγ相を得るためにはNi等を多量に添加しなければならず、熱延後にγ相からフェライト相への変態が著しく抑制され、熱延後焼鈍を施してもフェライト相にならず、マルテンサイト相或いは一部オーステナイト相のまま残留し、加工性等が著しく劣化する。従ってCr含有量の上限を18%とした。
【0023】
本発明は以上の成分含有量を必須とするが、さらに必要に応じて以下の成分を添加する。
Ni、CuおよびMoは、Crと同様に大気環境において腐食の発生抑制と腐食速度を低減する効果を有すると共に、形状凍結性に優れた請求項1に記載の集合組織を発達させる効果も有する。但し、その量が少ないと効果が弱く、過度に添加すると、熱延後にγ相からフェライト相への変態が著しく抑制され、熱延後焼鈍を施してもフェライト相にならず、マルテンサイト相或いは一部オーステナイト相のまま残留し、加工性等が著しく劣化する。従って、いずれも下限を0.1%、上限を2.5%とした。
【0024】
Ti,NbおよびVは、C或いはNを固定し曲げ加工時の延性を向上させる効果を有するが、その量が少ないと効果が弱く、TiおよびNbで0.01%以上、Vで0.05%以上の添加が必要である。ただし、過度に添加すると逆に延性低下を招くため、その上限をいずれも0.5%とした。
【0025】
上記のような個々の成分範囲の規定の他に、熱延温度域で十分な量のγ相を析出させ、γ相の析出温度域で熱間圧延を実施するために、請求項1で示す各成分の含有量から計算される値を11.5以下に満足させる必要がある。11.5を超えると熱延域に存在するフェライト相の量が増加し、形状凍結性を向上させる集合組織が十分発達しない。
【0026】
優れた形状凍結性を発揮させるためには、上記成分範囲を満足する鋼を請求項3,4に記載した条件で製造することにより、その集合組織において板面に平行な{100}面の集積度を上げる必要がある。板厚中央部の集合組織において板面に平行な{100}面の反射X線強度比を2以上としないと、従来鋼或いは同程度の強度を有する構造用普通鋼に対して優位性のある形状凍結性を得られない。
【0027】
ここで示す反射X線強度比(または極点密度ともいう)とは、当該試料で測定されたX線回折強度と、無方向性標準試料(ランダム試料)で測定された回折強度の比である。この強度比が1の場合はその結晶方位が集積しておらず、ランダム試料と同じ頻度で存在することを示す。
【0028】
さらに、圧延方向または板幅方向と垂直な{011}面のX線強度比を1.2以上とすることにより、さらに優れた形状凍結性が得られる。圧延方向と垂直に{011}面を集積させると、結晶対称性から必然的に板幅方向と垂直にも{011}面が集積するため、X線強度比の測定はいずれの方向にて測定しても有効である。圧延方向或いは板幅方向と垂直な面のX線強度比を直接測定することが難しい場合は、板面と平行な面で測定した結果から計算する方法、或いは電子線回折を用いた測定方法を採用しても良い。
【0029】
板面に平行な{100}面のX線反射強度比を2以上、圧延方向または板幅方向と垂直な面に平行な{011}面のX線反射強度比を1.2以上とする集合組織、すなわち板面に{100}、圧延方向に<011>方位の発達した集合組織を実現することにより、曲げ加工時の形状凍結性、特に圧延方向或いは板幅方向に曲げた場合の形状凍結性に優れた鋼板を製造することができる。
【0030】
一般建築構造用として使用するためには、さらに母材部の金属組織を実質フェライト相とし、5〜50μmの平均結晶粒径に調整し、降伏強度或いは0.2%耐力が235MPa以上、500MPa以下としなければならない。結晶粒径が5μm未満では、強度は上昇するが曲げ加工に必要な伸びが低下する。また、50μmを超える結晶粒径とすると、強度が低下すると共に曲げ加工時に表面凹凸が発生し、美観を損ねるだけでなく靱性が低下し、曲げ加工時に割れを生じる場合がある。
降伏強度或いは0.2%耐力が235MPa未満では、一般構造用炭素鋼と同様な仕様で設計することができなくなり、汎用の構造材料として使用できなくなる。一方、500MPaを超えると曲げ加工が難しくなり、加工時に割れが発生する場合が生じる。
【0031】
上記フェライト系ステンレス鋼は、熱間圧延工程或いは熱間圧延後の熱処理により製造することができる。その製造時、形状凍結性に優れた集合組織を得るために、850℃以上950℃以下のオーステナイト域で全圧下量が30%以上となるような仕上げ圧延を行い、600℃以上800℃以下の温度域で捲取る熱間圧延を行うことが必要である。
【0032】
850℃以上950℃以下で仕上げ熱延を実施する理由は、γ相の温度域で熱延による歪を蓄積し、その状態でフェライト相に変態させるためであり、変態前に存在する歪によって変態後の集合組織において上述のような{100}<011>方位が発達する。850℃未満で仕上げ熱延を行うと熱延前にフェライト相に変態し、また950℃を超えて仕上げ熱延を行うと、変態前に回復或いは再結晶現象によりγ相中の歪が減少・消失する。
【0033】
また、仕上げ熱延時の全圧下量は30%以上としなければ、蓄積される歪量が不十分であり、請求項1に記載した集合組織が発達しない。さらに、仕上げ熱延後、600℃以上800℃未満で捲取ることにより、歪の蓄積したオーステナイト相をフェライト相に変態させる必要がある。600℃未満で捲取ると大部分のオーステナイト相がマルテンサイト相に変態し、その後の焼鈍でフェライト相に変態させても上記集合組織の発達は阻害される。また800℃超で捲取ると、変態前に回復或いは再結晶現象によりγ相中の歪が減少し、集合組織の発達が抑制される。また仕上げ熱延温度域を確保するためには、熱延前の加熱を1100℃以上1250℃以下とすることが望ましい。
【0034】
上記熱延条件を満足することにより、形状凍結性に有利な集合組織を発達させることはできるが、熱延後の焼鈍を実施することにより、一部未変態のγ相(マルテンサイト相)の消失、最適な結晶粒度への調整を行うことができる。この焼鈍により一般構造用として最適な強度、延性、曲げ加工性を有する熱延鋼板を安定して製造することが可能となる。
【0035】
その焼鈍条件は600℃以上、850以下の温度範囲で、0.1時間以上10時間以下としなければならない。600℃未満或いは0.1時間未満の焼鈍では上記効果は発現せず、850℃を超える焼鈍ではフェライト相が再度γ相に変態し、発達した上記集合組織を崩すことになる。また、10時間を超えて焼鈍してもその効果は飽和し、コスト上昇を招く。
なお、熱延後或いは熱処理後の鋼板に耐食性或いは表面の意匠性から酸洗或いは研磨等の処理を施してもよく、また、焼鈍後に鋼板の形状矯正或いは表面性状調整のため軽度の冷間圧延をすることは、本発明の効果に何ら影響を与えない。
【0036】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
表1に示した種々の組成の鋼を溶解し、250mm厚のスラブに鋳造した。1200℃に加熱後、熱間圧延にて厚さ2〜6mmの熱延板を作製した。一部の熱延板について、750℃で熱延後焼鈍を実施した。熱延板の集合組織をX線にて測定し、その金属組織からフェライト相の平均結晶粒径を測定した。
【0037】
さらに、熱延板の圧延方向と平行にJIS5号の引張試験片を作製し、降伏強度(降伏点が出ない場合は0.2%耐力)、引張強度、破断伸びを測定した。各熱延鋼板の熱延条件と集合組織、フェライト結晶粒径の測定結果、および引張試験結果を表2に示す。
本発明で記載された成分、熱延条件を満足した熱延鋼板は、いずれも5〜50μmの平均結晶粒径であり、{100}<011>方位の発達した集合組織を示すことがわかる。
【0038】
次に、上記熱延鋼板の中で厚さ2mmの鋼板より圧延方向(L)或いはその直角方向(C)に幅500mmの試験片を切り出し、角形ポンチを使用し、図1に示すような形状に曲げ試験を行った。曲げ加工試験時のしわ押さえ力は10トンとし、室温で曲げ加工後に割れ発生の有無、加工後形状を測定した。
図1中で示すL1およびL2の長さの差ΔLの測定結果から形状凍結性を評価した。ΔLが小さいものほど形状凍結性に優れていることになる。曲げ加工試験結果を表3に示す。{100}<011>方位の発達した集合組織を有する本発明鋼はΔLが著しく小さく、曲げ加工時の形状凍結性に優れており、また曲げ加工割れを発生していない。
【0039】
【表1】
Figure 0004285843
【0040】
【表2】
Figure 0004285843
【0041】
【表3】
Figure 0004285843
【0042】
【発明の効果】
本発明により、建築構造用或いは車両構造用として、曲げ加工時のスプリングバックが少なく、形状凍結性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を安価に供給することが可能となり、工業的に極めて高い価値がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】形状凍結性を評価するために実施した曲げ試験、および形状測定方法の概念図である。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C :0.1%以下、 Si:1.5%以下、
    Mn:1.5%以下、 Cr:8〜18%、
    P :0.04%以下、 S :0.05%以下、
    N :0.05%以下、 C+N:0.1%以下
    さらに、
    Mo:0.1〜2.5%、 Cu:0.1〜2.5%、
    Ni:0.1〜2.5%、 Ti:0.01〜0.5%、
    Nb:0.01〜0.5%、 V :0.05〜0.5%
    の1種または2種以上
    を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼であって、母材部の金属組織が5〜50μmの平均結晶粒径を有するフェライト組織で、板厚中央部の集合組織において板面に平行な{100}面の反射X線強度比が2以上であり、さらに圧延方向または板幅方向と垂直な{011}面の反射X線強度比が1.2以上であることを特徴とする曲げ加工時の形状凍結性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  2. 下式を満足し、降伏強度あるいは0.2%耐力が235〜500MPaであることを特徴とする、請求項1記載の曲げ加工時の形状凍結性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
    Cr(%)+Mo(%)+1.5Si(%)+6Ti(%)+3Nb(%)
    −Mn(%)−2Ni(%)−0.5Cu(%)−30C(%)−20N(%)
    ≦11.5
  3. 請求項1または2に記載の鋼を得るために同項記載の成分を有する鋼を熱間圧延するに際し、850〜950℃のオーステナイト域で全圧下量が30%以上となるような仕上げ圧延を行い、600〜800℃の温度域で捲取ることを特徴とする、曲げ加工時の形状凍結性に優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法。
  4. 熱延終了後に、600〜850℃の温度域で0.1〜10時間の熱処理を行うことを特徴とする、請求項に記載の曲げ加工時の形状凍結性に優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法。
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