JP4273775B2 - 永久磁石型同期電動機の磁極位置推定方法および制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石を回転子とした永久磁石型同期電動機を制御するための永久磁石型同期電動機の制御装置に関し、特に永久磁石型同期電動機の磁極位置を推定する磁極位置推定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石を回転子とするブラシレスDCモータを同期電動機として運転する場合、回転子の絶対位置を得て、正確な運転を行う必要がある。回転子の絶対位置を得るためには、エンコーダやレゾルバ等の回転子位置検出器を用いることが一般的であるが、配線や構造の複雑さ、価格や使用環境等について問題があるため、回転位置検出器を用いないで回転子の磁極位置を求める方法が提案されている。
【0003】
従来の永久磁石型同期発電機の磁極位置検出方法としては、モータに供給される電流、電圧を入力とし、誘起電圧をモータが回転していない時の電流応答に対する外乱として推定する外乱オブザーバを用いた磁極位置検出方法の提案がなされている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかし、この従来の永久磁石型同期発電機の磁極位置検出方法は、モータの電機モデルを規範とした推定機構であるため、推定精度はモデルに使用する電機定数の測定精度に影響を受ける。推定機構に必要な電機定数の1つである誘起電圧定数は、温度により変化する特性があるので、環境の変化やモータの温度上昇により推定精度が劣化するという問題があった。
【0005】
温度による変化特性を補償して永久磁石型同期電動機の制御精度の向上を図った磁極位置推定方法としては、永久磁石の温度に対する減磁特性を磁束テーブルに予め記憶しておき、温度センサにより測定した温度に対応する磁束をこの磁束テーブルから読み出すことにより減磁特性を補償したトルク電流指令を得るようにした方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、この従来の磁極位置推定方法では、永久磁石の温度を測定するための温度センサを設ける必要があり、配線や構造の複雑さを招くことにもなる。また、この従来の磁極位置推定方法によっては、誘起電圧定数の温度による変化を補償することはできないため、さらなる推定精度の向上が求められている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−191698号公報
【特許文献2】
特開平9−51700号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の永久磁石型同期電動機の制御装置では、永久磁石の温度変化により誘起電圧定数が変化してしまうため、磁極位置の推定精度が劣化してしまうという問題点があった。
【0008】
本発明の目的は、誘起電圧定数の温度による変化を補償することにより磁極位置の推定精度を向上させることができる永久磁石型同期電動機の磁極位置推定方法および制御装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の永久磁石型同期電動機の制御装置は、d -q 軸とずれ角θ e をなして回転子の磁極上にγ - δ軸座標系を設定し、外部から入力された角速度指令およびγ相電流指令に基づいて、永久磁石型同期電動機の制御を行うための、永久磁石型同期電動機の制御装置であって、
外部から入力された角速度指令、導出された角速度推定値に基づいてδ相電流指令を算出する速度コントローラと、
前記速度コントローラにより算出されたδ相電流指令と、算出されたδ相電流推定値とに基づいてδ相電圧指令を算出するδ相電流コントローラと、
外部から入力されたγ相電流指令と、算出されたγ相電流推定値とに基づいてγ相電圧指令を算出するγ相電流コントローラと、
前記δ相電流コントローラにより算出されたδ相電圧指令および前記γ相電流コントローラにより算出されたγ相電圧指令と、算出された磁極位置とに基づいて、電圧値絶対値とγ軸からの電圧出力方向の位相である電圧指令位相とを算出して出力するベクトル制御回路と、
前記ベクトル制御回路により算出された電圧値絶対値および電圧指令位相に基づいて制御対象である同期電動機に駆動電流を出力しているインバータ回路と、
前記同期電動機の少なくとも2相のステータ電流をγ−δ軸座標系に変換することにより、γ相電流およびδ相電流を算出する相変換器と、
前記相変換器により算出されたγ相電流、δ相電流と、導出された磁極位置と、前記δ相電流コントローラおよび前記γ相電流コントローラによりそれぞれ算出されたδ相電圧指令、γ相電圧指令に基づいてδ相電流推定値、γ相電流推定値、γ相誘起電圧推定値、およびδ相誘起電圧推定値を出力するγ−δ相電流・誘起電圧推定器と、
前記γ−δ相電流・誘起電圧推定器によって算出されたγ相誘起電圧推定値およびδ相誘起電圧推定値を用いて誘起電圧定数を導出し、前記γ相誘起電圧推定値と前記δ相誘起電圧推定値の商が0となるように前記誘起電圧定数を調整する誘起電圧調整器と、
前記誘起電圧調整器により導出された誘起電圧定数、γ相誘起電圧推定値、およびδ相誘起電圧推定値に基づいて角速度推定値を導出している角速度導出器と、
前記角速度導出器により導出された角速度推定値に基づいて磁極位置を導出して、前記ベクトル制御回路、前記インバータ回路、前記相変換器、前記γ−δ軸電流・誘起電圧推定器に出力する磁極位置導出器と、
を備えている。
【0010】
本発明によれば、誘起電圧調整器は、γ−δ相電流・誘起電圧推定器で推定されたδ相誘起電圧推定値、δ相誘起電圧推定値の商に基づいて、誘起電圧定数の温度変化を補償するようにしているので、永久磁石の温度変化に伴い誘起電圧定数が変化した場合でも、この誘起電圧定数の温度変化を補償することにより磁極位置の推定精度を向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
先ず、本実施形態の永久磁石型同期電動機の磁極位置推定方法の概要について説明する。
【0012】
上記の特許文献1に記載されている同期電動機のセンサレスベクトル制御方法では、先ず、回転子の磁軸上に設定したγ−δ軸座標系に変換されたステータ電流iγ、iδと、前回推定された電流値iγest、iδestとの差および、γ−δ軸座標系に変換された電圧指令Vγ*、Vδ*を入力とし、γ−δ軸座標系における電流iγest、iδestと誘起電圧eγest、eδestおよび、回転子の角速度推定値ωrestを算出していた。
【0013】
これに対して本実施形態の永久磁石型同期電動機の磁極位置推定方法は、上記の同期電動機のセンサレスベクトル制御方法では、γ相誘電推定値eγest、δ相誘起電圧推定値eδestを用いて、誘起電圧定数Keの温度変化を補償することにより推定される磁極位置の精度を向上させるものである。そこで、γ相誘電推定値eγest、δ相誘起電圧推定値eδestを用いて誘起電圧定数Keの温度変化を補償する方法について下記に説明する。
【0014】
時間k・Ts秒時(但し、k=0、1、2、3、・・・、Tsはサンプリングタイム)に同期電動機に供給される少なくとも2相分のステータ電流を検出し、このステータ電流を回転子上に設定したγ−δ座標系に変換することにより、γ相電流iγ(k)、δ相電流iδ(k)を導出する。そして、γ相電流iγ(k)、δ相電流iδ(k)と、前回導出したγ相電流推定値iγest(k)、δ相電流推定値iδest(k)と、γ相電圧指令Vγ*(k)、δ相電圧指令Vδ*(k)を用い、同期電動機のγ−δ軸座標系における状態方程式を離散値系に展開することにより下記の式(1)が得られる。
【0015】
【数1】
但し、ここで、Rs:ステータ側抵抗、Lq:q軸インダクタンス、Ld:d軸インダクタンス、ωr:回転子角速度である。
【0016】
この式(1)によって、時間(k+1)Ts秒時の電流推定値iγest(k+1)、iδest(k+1)、γ相誘起電圧推定値eγest(k+1)、およびδ相誘起電圧推定値eδest(k+1)が求まる。
【0017】
なお、「*」は指令値であることを示し、「est」は推定値であることを示す。
【0018】
また、γ相誘起電圧推定値eγest(k+1)、およびδ相誘起電圧推定値eδest(k+1)は、下記の式(2)、(3)のように表すことができる。
【0019】
eγest(k+1)=−sinθe(ωrest(k+1)・Ke)・・・ (2)
eδest(k+1)= cosθe(ωrest(k+1)・Ke)・・・ (3)
ここで、Keは、誘起電圧定数、θeは、γ−δ軸とd−q軸とのずれ角、であるから、θeが小さいと考え、ωrest(k+1)の符号を、
sign(ωrest(k+1))=−sign(eδest(k+1))・・・ (4)
とし、式(2)、(3)の2乗和と式(4)の結果より、下記の式(5)でωrest(k+1)を求める。
【0020】
【数2】
ここで、誘起電圧定数Keに正確な値Ke_tが設定されているとすると、磁極位置とγ軸が一致し、上記の式(2)、(3)は、下記の式(6)、(7)となる。
【0021】
eγest(k+1)=0 ・・・ (6)
eδest(k+1)=ωrest(k+1)・Ke_t ・・・ (7)
しかし、正しい誘起電圧定数Ke_tと設定値に誤差ΔKeがある場合、上記の式(5)は、
【0022】
【数3】
となり、誤差ΔKe分だけωrest(k+1)に誤差が生じる。回転子の位置θest(k+1)はωrest(k+1)の積分により求めているので、ωrest(k+1)の誤差だけ回転子の位置θest(k+1)にも誤差が生じる。そして、回転子の位置θest(k+1)に誤差が存在すると、磁極位置とγ軸がずれθeが生じる。つまり、誘起電圧定数誤差Δθが発生するとγ−δ軸とd−q軸のずれθeが生じ、γ相誘起電圧推定値eγest(k+1)とδ相誘起電圧推定値eδest(k+1)は、それぞれ上記の式(2)、(3)となる。よって、γ相誘起電圧推定値eγestとδ相誘起電圧推定値eδestの商はこの式(2)、(3)より下記の式(9)のように表される。
【0023】
eγest/eδest=sinθe/cosθe=tanθe ・・・ (9)
そして、この式(9)より下記の式(10)が求められる。
【0024】
θe=atan-1(eγest/eδest) ・・・ (10)
tan-1(アークタンジェント:逆正接関数)の計算をソフト化して処理するとソフト負荷率が高くなるので、θeが零に近い値であると仮定して上記の式(10)を下記の式(11)により近似する。
【0025】
θe=eγest/eδest ・・・ (11)
故に、誘起電圧定数Keに誤差がある場合、磁極位置とγ軸の間にずれθeが生じ、そのずれθeの量はγ相誘起電圧推定値eγestとδ相誘起電圧推定値eδestの商に相当する事がわかる。
【0026】
よって、下記の式(12)でeγest(k+1)/eδest(k+1)=0となるように誘起電圧定数Keを調整すれば、Ke=Ke_tとなる。
【0027】
【数4】
但し、Kpは比例ゲイン、Tは積分定数である。
【0028】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態の永久磁石型同期電動機の制御装置の構成を示すブロック図である。
【0029】
本実施形態の永久磁石型同期電動機の制御装置は、図1に示されるように、速度コントローラ1と、δ相電流コントローラ2と、γ相電流コントローラ3と、ベクトル制御回路4と、インバータ回路5と、相変換器7と、γ−δ相電流・誘起電圧推定器8と、角速度導出器9と、磁極位置導出器10と、誘起電圧調整器11とから構成され、外部から入力された角速度指令ωr*およびγ相電流指令iγ*に基づいて、永久磁石型のモータである同期電動機6の制御を行っている。
【0030】
速度コントローラ1は、外部から入力された角速度指令ωr*、および角速度導出器9により導出された角速度推定値ωrestに基づいてδ相電流指令iδ*を算出して出力する。
【0031】
δ相電流コントローラ2は、速度コントローラ1により算出されたδ相電流指令iδ*と、δ−γ相電流・誘起電圧推定器8により算出されたδ相電流推定値iδestとに基づいてδ相電圧指令Vδ*を算出して出力する。
【0032】
γ相電流コントローラ3は、外部から入力されたγ相電流指令iγ*と、δ−γ相電流・誘起電圧推定器8により算出されたγ相電流推定値iγestとに基づいてγ相電圧指令Vγ*を算出して出力する。
【0033】
ベクトル制御回路4は、δ相電流コントローラ2により算出されたδ相電圧指令Vδ*およびγ相電流コントローラ3により算出されたγ相電圧指令Vγ*と、磁極位置導出器10により算出された磁極位置θestに基づいて、電圧値絶対値(Vδ2+Vγ2)1/2とγ軸からの電圧出力方向の位相である電圧指令位相tan-1(Vδ/Vγ)を算出してインバータ回路5に出力している。
【0034】
インバータ回路5は、ベクトル制御回路4により算出された電圧値絶対値(Vδ2+Vγ2)1/2および電圧指令位相tan-1(Vδ/Vγ)に基づいて同期電動機6に駆動電流を出力している。
【0035】
相変換器7は、同期電動機6のステータ電流iu、ivをγ−δ軸座標系に変換することにより、γ相電流iγおよびδ相電流iδを算出して出力している。
【0036】
γ−δ相電流・誘起電圧推定器8は、相変換器7により算出されたγ相電流iγ、δ相電流iδと、磁極位置θestと、δ相電流コントローラ2およびγ相電流コントローラ3によりそれぞれ算出されたδ相電圧指令Vδ*、γ相電圧指令Vγ*を入力し、上記の式(1)の演算を実施し、γ相電流推定値iγest、γ相電流推定値iδestと、γ相誘起電圧推定値eγest、δ相誘起電圧推定値eδestを出力する。
【0037】
誘起電圧調整器11はγ−δ相電流・誘起電圧推定器8によって算出されたγ相誘起電圧推定値eγestおよびδ相誘起電圧推定値eδest入力し、上述した式(12)を実行することにより誘起電圧定数Keを導出し、γ相誘起電圧推定値eγestとδ相誘起電圧推定値eδestの商が0となるように誘起電圧定数Keを調整する。
【0038】
角速度導出器9は、誘起電圧調整器11により導出された誘起電圧定数Keと、γ相誘起電圧推定値eγest、δ相誘起電圧推定値eδestを入力し、上述した式(4)、(5)を実行することにより、角速度推定値ωrestを導出している。
【0039】
磁極位置導出器10は、角速度導出器9により導出された角速度推定値ωrestに基づいて磁極位置θestを導出して、ベクトル制御回路4、インバータ回路5、相変換器7、γ−δ軸電流・誘起電圧推定器8に出力している。
【0040】
次に、本実施形態の永久磁石型同期電動機の制御装置の動作について図2のフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0041】
先ず、速度コントローラ1は、角速度指令ωr*と角速度推定値ωrestを入力して、δ相電流指令iδ*を出力する。δ相電流コントローラ2は、δ相電流指令iδ*とδ相電流推定値iδestとを入力し、δ相電圧指令Vδ*を出力する。
【0042】
一方、γ相電流指令iγ*とγ相電流推定値iγestが、γ相電流コントローラ3に入力され、γ相電流コントローラ3はγ相電圧指令Vγ*を出力する。電圧指令Vδ*、Vγ*と、誘起電圧調整器11から出力されるγ−δ軸位置がベクトル制御回路4に入力され、電圧値絶対値(Vδ2+Vγ2)1/2とγ軸からの電圧出力方向の位相tan-1(Vδ/Vγ)がインバータ回路5に入力され点弧が実施される。
【0043】
一方、γ−δ相電流・誘起電圧推定器8は、同期電動機6のステータ電流iuとivを、相変換器7を介して得られるγ相電流iγ、δ相電流iδと、γ−δ軸の位置と、電圧指令Vδ*、Vγ*を入力し、上記の式(1)の演算を実施し、γ−δ相電流推定値iγest、iδestと、γ−δ相誘起電圧eγest、eδestを出力する。eγestが誘起電圧調整器11に入力され、式(12)を実行することにより、誘起電圧定数Keが導出される。この誘起電圧定数Keと、γ−δ相誘起電圧eγest、eδestが角速度導出器9に入力され、上述した式(4)、(5)を実行することにより、角速度推定値ωrestが導出される。この角速度推定値ωrestが磁極位置導出器10に入力され、磁極位置θestを出力する。
【0044】
次に、制御動作を図2のフローチャートを参照して説明する。
【0045】
相変換器7は、k・Ts秒の時点で同期電動機6に供給されている少なくとも2相分の電流、例えばiu(k)、iv(k)を検出し(ステップ101)、前回ループで補正されたγ−δ軸座標系に変換し、γ相電流iγ(k)、δ相電流iδ(k)を導出する(ステップ102)。次に、γ−δ相電流・誘起電圧推定器8では、γ相電流iγ(k)、δ相電流iδ(k)およびγ−δ座標系に変換された電圧指令Vγ*(k)、Vδ*(k)を入力し(ステップ103)、上述した式(1)により(k+1)・Ts秒後の推定値iγest(k+1)、iδest(k+1)、eγest(k+1)、eδest(k+1)を導出する(ステップ104)。
【0046】
次に、誘起電圧調整器11では、導出されたδ相誘起電圧推定値eδest(k+1)が入力され、上述した式(9)を用いて誘起電圧定数Keの導出が行われる(ステップ105)。そして、角速度導出器9では、上述した式(4)を用いて、γ相誘起電圧推定値eγest(k+1)の符号より、角速度推定値ωrest(k+1)の符号判断を行う(ステップ106)。そして、角速度導出器9では、上述した式(5)に基づいて、この符号と、γ相誘起電圧推定値eγest(k+1)とδ相誘起電圧推定値eδest(k+1)の2乗和を誘起電圧定数Keで除算してωrest(k+1)を導出する(ステップ107)。最後に、磁極位置導出器10では、導出されたωrest(k+1)を積分してθest(k+1)を導出する(ステップ108)。
【0047】
本実施形態の永久磁石型同期電動機の制御装置によれば、γ−δ相電流・誘起電圧推定器8で推定されたγ相誘起電圧推定値eγestとδ相誘起電圧推定値eδestの商に基づいて、誘起電圧定数Keの温度変化を補償する手法をソフトウェアで構成することにより、高速で正確にパラメータを同定することができ、高性能な電動機制御が実現できる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、誘起電圧調整器は、γ相誘起電圧推定値とδ相誘起電圧推定値の商が0となるように誘起電圧定数を調整するようにしているので、永久磁石の温度変化に伴い誘起電圧定数が変化した場合でも、この誘起電圧定数の温度変化を補償することにより磁極位置の推定精度を向上させることができるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の磁極位置、速度推定方法が適用された同期電動機の制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の制御システムのデジタル制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 速度コントローラ
2 δ相電流コントローラ
3 γ相電流コントローラ
4 ベクトル制御回路
5 インバータ回路
6 同期電動機
7 相変換器
8 γ−δ相電流・誘起電圧推定器
9 角速度導出器
10 磁極位置導出器
11 誘起電圧調整器
Claims (2)
- d -q 軸とずれ角θ e をなして回転子の磁極上にγ - δ軸座標系を設定し、外部から入力された角速度指令およびγ相電流指令に基づいて、永久磁石型同期電動機の制御を行うための、永久磁石型同期電動機の制御装置であって、
外部から入力された角速度指令、導出された角速度推定値に基づいてδ相電流指令を算出する速度コントローラと、
前記速度コントローラにより算出されたδ相電流指令と、算出されたδ相電流推定値とに基づいてδ相電圧指令を算出するδ相電流コントローラと、
外部から入力されたγ相電流指令と、算出されたγ相電流推定値とに基づいてγ相電圧指令を算出するγ相電流コントローラと、
前記δ相電流コントローラにより算出されたδ相電圧指令および前記γ相電流コントローラにより算出されたγ相電圧指令と、算出された磁極位置とに基づいて、電圧値絶対値とγ軸からの電圧出力方向の位相である電圧指令位相とを算出して出力するベクトル制御回路と、
前記ベクトル制御回路により算出された電圧値絶対値および電圧指令位相に基づいて制御対象である同期電動機に駆動電流を出力しているインバータ回路と、
前記同期電動機の少なくとも2相のステータ電流をγ−δ軸座標系に変換することにより、γ相電流およびδ相電流を算出する相変換器と、
前記相変換器により算出されたγ相電流、δ相電流と、導出された磁極位置と、前記δ相電流コントローラおよび前記γ相電流コントローラによりそれぞれ算出されたδ相電圧指令、γ相電圧指令に基づいてδ相電流推定値、γ相電流推定値、γ相誘起電圧推定値、およびδ相誘起電圧推定値を出力するγ−δ相電流・誘起電圧推定器と、
前記γ−δ相電流・誘起電圧推定器によって算出されたγ相誘起電圧推定値およびδ相誘起電圧推定値を用いて誘起電圧定数を導出し、前記γ相誘起電圧推定値と前記δ相誘起電圧推定値の商が0となるように前記誘起電圧定数を調整する誘起電圧調整器と、
前記誘起電圧調整器により導出された誘起電圧定数、γ相誘起電圧推定値、およびδ相誘起電圧推定値に基づいて角速度推定値を導出している角速度導出器と、
前記角速度導出器により導出された角速度推定値に基づいて磁極位置を導出して、前記ベクトル制御回路、前記インバータ回路、前記相変換器、前記γ−δ軸電流・誘起電圧推定器に出力する磁極位置導出器と、
を備えている永久磁石型同期電動機の制御装置。 - d -q 軸とずれ角θ e をなして回転子の磁極上にγ - δ軸座標系を設定し、外部から入力された角速度指令およびγ相電流指令に基づいて、永久磁石型同期電動機の制御を行う制御装置において磁極位置を推定する、永久磁石型同期電動機の磁極位置推定方法であって、
外部から入力された角速度指令、導出された角速度推定値に基づいてδ相電流指令を算出するステップと、
算出された前記δ相電流指令と、算出されたδ相電流推定値とに基づいてδ相電圧指令を算出するステップと、
外部から入力されたγ相電流指令と、算出されたγ相電流推定値とに基づいてγ相電圧指令を算出するステップと、
算出された前記δ相電圧指令および算出された前記γ相電圧指令と、算出された磁極位置とに基づいて、電圧値絶対値とγ軸からの電圧出力方向の位相である電圧指令位相とを算出して出力するステップと、
算出された前記電圧値絶対値および前記電圧指令位相に基づいて制御対象である同期電動機に駆動電流を出力するステップと、
前記同期電動機の少なくとも2相のステータ電流をγ−δ軸座標系に変換することにより、γ相電流およびδ相電流を算出するステップと、
算出された前記γ相電流、前記δ相電流と、導出された磁極位置と、算出された前記δ相電圧指令、前記γ相電圧指令に基づいてδ相電流推定値、γ相電流推定値、γ相誘起電圧推定値、およびδ相誘起電圧推定値を出力するステップと、
算出された前記γ相誘起電圧推定値および前記δ相誘起電圧推定値を用いて誘起電圧定数を導出し、前記γ相誘起電圧推定値と前記δ相誘起電圧推定値の商が0となるように前記誘起電圧定数を調整するステップと、
導出された前記誘起電圧定数、前記γ相誘起電圧推定値、および前記δ相誘起電圧推定値に基づいて角速度推定値を導出するステップと、
導出された前記角速度推定値に基づいて磁極位置を導出するステップと、
を備えている永久磁石型同期電動機の磁極位置推定方法。
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