JP4270698B2 - 耐水蒸気性を有する転写シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、厨房での使用を前提とした化粧材等の転写物の製造に適した、耐摩耗性及び耐水蒸気性の両物性に優れた転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、化粧材等の転写物の製造に使用する転写シートとしては、その転写層のうち転写後には最表面となって表面を保護する表面保護層を設ける場合、該表面保護層には熱可塑性アクリル樹脂を使用するのが一般的であった。
また、表面保護層に耐摩耗性等の耐久性が更に必要な場合には、表面保護層の樹脂には、アクリレート系等の電離放射線硬化性樹脂を用いて、その架橋硬化物を表面保護層とすることもあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、表面保護層に熱可塑性アクリル樹脂を用いた場合では、得られる転写物は、キッチンパネル等の厨房用途等では耐摩耗性が十分で無く、傷等が発生したり、表面がすり減り易かった。一方、表面保護層にアクリレート系等の電離放射線硬化性樹脂の架橋硬化物を用いれば、確かに耐摩耗性は十分な転写物が得られるが、加熱水蒸気に晒した後の表面保護層とその下の装飾層との密着性が不十分となり、表面保護層が剥離して、耐水蒸気性が不足することがあった。
【0004】
そこで、本発明の課題は、転写で得られる転写物が厨房用途等で耐摩耗性と共に耐水蒸気性が要求される場合でも、これら両物性をともに満足できる転写シートを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の耐水蒸気性を有する転写シートは、支持体シートの片面に、該支持体シートより剥離可能な転写層として、アクリロイル基又は/及びメタクリロイル基を有する有機化合物からなるアクリレート系電離放射線硬化性樹脂の架橋硬化物から形成された表面保護層、該表面保護層に接する様に、平均分子量2万〜20万のポリメタクリル酸メチルからなるプライマー層、該プライマー層に接する様に、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、或いはこれらの混合物をバインダーの樹脂とする装飾層、該装飾層の上に接着剤層を順次積層した構成とした。
【0006】
この様に、表面保護層と装飾層間にプライマー層を設け、なお且つこれら3層を特定材料で構成することによって、優れた耐摩耗性と共に優れた耐水蒸気性も得られる様になる。この結果、キッチン等の厨房用途に好適な化粧板等の転写物を得る事ができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の耐水蒸気性を有する転写シートについて、実施の形態を説明する。(以下、耐水蒸気性を有する転写シートを単に転写シートともいう。)
【0008】
〔概要〕
先ず、図1は、本発明の転写シートの一形態を示す断面図である。本発明の転写シートSは、支持体シート1上に剥離可能に支持される転写層2として、支持体シート1上に、少なくとも、表面保護層3、プライマー層4、装飾層5が順次積層され(但し、図1では装飾層5の上に更に接着剤層6も積層されている)、なお且つ前記表面保護層3が、アクリロイル基、メタクリロイル基の何方か片方又は両方を有する有機化合物からなるアクリレート系電離放射線硬化性樹脂の架橋硬化物から形成されており、該表面保護層3に接する様に形成されたプライマー層4が平均分子量2万〜20万のポリメタクリル酸メチルからなり、該プライマー層4に接する様に形成された装飾層5が、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、或いはこれらの混合物をバインダーの樹脂として形成された層となっている転写シートである。
この様に、表面保護層3と装飾層5との間にプライマー層4を設け、なお且つこれら隣接する表面保護層3、プライマー層4及び装飾層5の各層の樹脂材料に特定材料を用いることで、厨房用途等に適する耐摩耗性と耐水蒸気性の両物性が得られる転写シートとなる。
【0009】
以下、各層を順に詳述する。
【0010】
〔支持体シート〕
支持体シート1としては、該シート上に転写までのあいだ支持しておく転写層との剥離性が良ければ特に制限は無く、従来公知の物の中から用途に応じて選択すれば良い。例えば、支持体シートには、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレン−テレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂等の樹脂フィルム(シート)、或いは上質紙、薄葉紙等にポリオレフィン系樹脂やシリコーン樹脂の離型層を積層した塗工紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙、等による単層体又は積層体を用いる。支持体シートの厚さは、通常20〜100μm程度である。
【0011】
なお、支持体シートには必要に応じ、転写層側に転写層との剥離性を向上させる為、支持体シートの構成要素として離型層を設けても良い。離型層としては、例えば、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこれらを含む混合物が用いられる。具体的には、例えば、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂の混合樹脂に、好ましくはパラトルエンスルホン酸を添加したもの等は好ましい。
また、剥離性の調整の為に、支持体シートの転写層側の面にコロナ放電処理、オゾン処理等を行っても良い。
【0012】
また、支持体シートには、転写層側の面に凹凸模様を設ければ、転写後の転写層表面に砂目、梨地、木目等の凹凸模様を賦形したり、表面艶を調整をしたりすることもできる。凹凸模様は、エンボス加工、サンドブラスト加工、賦形層(離型層)による盛り上げ印刷加工等の公知の方法で形成する。
【0013】
〔表面保護層〕
表面保護層3は、転写後に於いてその下側の装飾層5を被覆し保護する層であり、適宜塗装感や表面艶調整等の意匠性付与等の為にも使用される層である。
本発明ではこの表面保護層3を、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する有機化合物からなるアクリレート系電離放射線硬化性樹脂の架橋硬化物で形成する。
【0014】
上記電離放射線硬化性樹脂は、分子中に重合性不飽和基としてアクリロイル基又は/及びメタクリロイル基を有する有機化合物の一種又は2種以上を適宜混合した電離放射線により硬化可能な組成物である。なお、アクリロイル基又は/及びメタクリロイル基を有する有機化合物とは、アクリロイル基、メタクリロイル基の何方か片方又は両方を有機化合物を意味する。また、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子のうち、電離放射線硬化性樹脂中の分子を重合或いは架橋させ得るエネルギーを有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられる。
【0015】
上記電離放射線硬化性樹脂は、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基を1個以上有するモノマー、又はプレポリマーからなる。なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
(メタ)アクリロイル基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が使用できる。分子量としては、通常250〜100,000程度のものが用いられる。
【0016】
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーの例としては、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等がある。また、多官能モノマーとして、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
【0017】
なお、紫外線又は可視光線にて硬化させる場合には、上記電離放射線硬化性樹脂に、さらに光重合開始剤を添加する。光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル類を単独又は混合して用いることができる。なお、光重合開始剤の添加量としては、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部程度である。
【0018】
また、上記電離放射線硬化性樹脂には、更に必要に応じて、各種添加剤を添加することもできる。添加剤としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からなる体質顔料(充填剤)、染料、顔料等の着色剤、ワックス等の滑剤等である。
【0019】
なお、電離放射線のうち紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用される。また、電子線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1000keV、好ましくは、100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するものが使用される。
【0020】
そして、上記の様な組成からる電離放射線硬化性樹脂は、適宜、有機溶剤等で希釈して、通常は常温(室温乃至は適宜加熱した塗工温度において)にて液状の塗液(又はインキ)として、従来公知の塗工法(又は印刷法)にて、支持体シート上に施して表面保護層を形成すれば良い。塗工法は例えばロールコート、フローコート等、印刷法はグラビア印刷、シルクスクリーン印刷等である。
【0021】
なお、表面保護層の厚みは特に制限は無く用途によるが、ドライの塗布量で言えば通常1〜10g/m2 程度である。
また、表面保護層は通常は絵柄等を表現する装飾層を目視可能な様に透明(無着色又は着色)である。しかし、装飾層が帯電防止層等の機能層の場合には、表面保護層は不透明(無着色又は着色)であっても良い。なお、本発明で装飾とはこの様な機能性付与も意味する。
【0022】
〔プライマー層4〕
プライマー層4は、装飾層5と表面保護層3との密着を良くする為の層であり、このプライマー層4に本発明では、ポリメチルメタクリレート(PMMA)なるアクリル樹脂を使用する。使用するポリメチルメタクリレートは、より好ましくは、平均分子量が2万〜20万のものが好ましい。ポリメチルメタクリレートの平均分子量が2万未満であると、耐水蒸気性が十分に得られず、また平均分子量が20万を超えるとプライマー層による表面保護層と装飾層との十分な密着向上効果が得られない。
そして、プライマー層4は、上記樹脂を含む溶液を塗液又はインキとして、従来公知の塗工法又は印刷法で形成すれば良い。なお、プライマー層の厚みは、特に制限は無いが、ドライの塗布量で言えば通常1〜10g/m2 程度とする。
【0023】
〔装飾層〕
装飾層5としては、そのバインダーの樹脂として、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、或いはこれらの混合物を使用する。これら樹脂の使用で、プライマー層によって装飾層と表面保護層とは密着良く積層できる。そして、装飾層としては、この他の点については特に制限は無く、更に通常は着色剤等の添加剤を含有させる。この様な、装飾層は、例えば、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、インキジェットプリント等の従来公知の印刷方法で絵柄等を印刷した絵柄層が代表的である。絵柄は、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、タイル調模様、煉瓦調模様、皮絞模様、文字、幾何学模様、全面ベタ等である。
なお、装飾層は導電性物質を含有させた帯電防止層等の機能層でも良い。
【0024】
なお、着色剤としては顔料や染料が使用されるが、例えば顔料としては、通常使用される有機又は無機系の顔料が使用される。例えば、黄色顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン等の有機顔料、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン黄等の無機顔料が挙げられる。また、赤色顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドン等の有機顔料、弁柄、朱、カドミウムレッド、クロムバーミリオン等の無機顔料が挙げられる。また、青色顔料としては、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー等の有機顔料、紺青、群青、コバルトブルー等の無機顔料が挙げられる。また、黒色顔料としては、アニリンブラック等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。また、白色顔料としては、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化二アンチモン等の無機顔料が挙げられる。
【0025】
また、顔料としては、光輝性顔料等も使用される。使用される光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム粉、銅粉、真鍮粉等の金属粉や金属箔片、金属蒸着合成樹脂フィルムの断裁片等の金属光沢を有する顔料、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、酸塩化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料が挙げられる。
【0026】
なお、装飾層に使用する場合の上記アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−エチル(メタ)アクリレート共重合体のアクリル樹脂、或いは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させて得られるアクリルポリオール等のアクリル樹脂等である。これらアクリル樹脂は、1種又は2種以上混合して使用する。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味である。
【0027】
装飾層に使用するセルロース系樹脂としては、ニトロセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート等を1種又は2種以上混合して使用する。
また、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、酢酸ビニル含有量10〜50質量%程度、平均重合度500〜900程度のものが用いられる。塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体には、必要に応じて、マレイン酸等のカルボン酸を共重合したものを用いても良い。また、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体にカルボン酸を共重合させたものを用いる場合には、更にこれを、2,4−トリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネートで架橋しても良い。
【0028】
〔接着剤層〕
接着剤層6を、更に必要に応じて転写層2の構成要素として設けても良い。転写層2に於ける接着剤層6は、接着剤層6無しでも転写層を被転写体に転写できる場合、例えば、被転写体側に接着剤を施してから転写する場合、装飾層自体を接着剤として使用できる場合等には、省略する事ができる。また、接着剤層6を設ける場合、装飾層5と接着剤層6間には、ウレタン樹脂等による接着強化層等を適宜設けても良い。
【0029】
接着剤層6として使用する接着剤、或いは被転写体側に施す接着剤としては、被転写体の材質や接着方法等に応じて、従来公知の接着剤を適宜選択使用すれば良い。例えば、感熱(熱融着又は熱硬化)型の接着剤では、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ブロックイソシアネート硬化型ウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂等を使用する。また、感圧型の接着剤では、アクリル樹脂系ゴム等の粘着剤を使用することもできる。
【0030】
なお、ブロックイソシアネート硬化型ウレタン樹脂は、硬化剤のイソシアネートにブロック化したブロックイソシアネートを使用して、熱によってブロックを解除して硬化反応を開始させるウレタン樹脂である。ブロック化する為にアルコール類等のブロック剤が使用され、また、通常、ブロック剤の解離温度を適度に低下させる為に、更に金属石鹸等の解離触媒を併用する。
【0031】
転写層として、或いは被転写体上に形成する接着剤層の厚さは特に制限は無いが、ドライ塗布量で言えば通常1〜20g/m2 程度である。なお、接着剤層の形成は、ロールコート、グラビア印刷等の公知の塗工法又は印刷法で形成すれば良い。
【0032】
〔被転写体〕
なお、本発明の転写シートによって、その転写層を転写する被転写体としては、特に制限は無い。用途に応じた材料を使用すれば良い。
【0033】
例えば被転写体の材質としては、木質材、金属、セラミックス、樹脂、非セラミックス窯業系材料等である。木質材の木材種は、例えば、杉、松、檜、樫、ラワン、チーク、メラピー等である。木質材の形態は、単板、合板、木質中密度繊維板(MDF)等の木質繊維板、パーティクルボード、集成材等である。また、金属としては、鉄、又は炭素鋼、ステレンス鋼等の鉄合金、アルミニウム、又はジュラルミン等のアルミニウム合金、銅、チタン等である。セラミックスとしては、陶器、磁器、硝子、琺瑯等である。樹脂としては、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フェノール樹脂等である。非セラミックス窯業系材料としては、セメント、パルプセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(硝子繊維強化コンクリート)、ケイ酸カルシウム等である。
なお、被転写体には、必要に応じ、接着剤を施して接着剤層を形成しても良いことは既に述べたとおりである。
【0034】
なお、被転写体に転写層を転写するには、用途に応じた従来公知の転写法を採用すれば良い。例えば、弾性体ローラで転写圧を加える所謂ローラ転写法(特公昭60−59876号公報等参照)、柱状の被転写体の複数の側面に複数の押圧ローラで順次転写する所謂ラッピング転写法(特公昭59−51900号公報等参照)等である。
【0035】
〔転写物〕
そして、本発明の転写シートを用いて得られる転写物は、例えば化粧板等の化粧材として使用される。転写物の用途は特に制限は無い。例えば、化粧材に於いては、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨居等の建具、壁面、天井、床等の建築物内装材、外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の外装材、箪笥等の家具、或いはテレビ受像機等の弱電・OA機器のキャビネット、自動車、電車、航空機、船舶等の乗物内装材、小物入れ等の容器等として用いる。なかでも、本発明の場合は、耐摩耗性と共に耐水蒸気性も優れているので、キッチン等の厨房用途等は好適である。
【0036】
ちなみに、図2(B)によって転写物の構成を説明すれば、転写物Dは被転写体Bに転写層2が積層された構成である。なお、図示はしないが転写層2は表面保護層が表側(図面では下側)である。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によって、更に具体的に説明する。なお、文中、「部」及び「%」とあるのは、全て質量基準である。
【0038】
〔実施例1〕
図1の如き構成の転写シートSを、厚さ26μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる支持体シート1の片面に、転写層2として、次の表面保護層3、プライマー層4、装飾層5、及び接着剤層6をこの順に形成して、作製した。なお、装飾層はグラビア印刷で形成し、この他の層はグラビアコートで形成した。
【0039】
先ず、表面保護層3としては、ジペンタエリストリールヘキサアクリレート(DPHA)100部に対して、平均分子量15万のポリメタクル酸メチル(PMMA)200部を配合し、更にこれら樹脂分100部に対して滑剤7.8部を添加したアクリレート系電離放射線硬化性樹脂の有機溶剤溶液(溶剤分57.3%)を使用して、ドライ塗布量7g/m2 となる様に塗布した後、加速エネルギー175keV、照射線量5Mradの条件で電子線照射して架橋硬化物とした。
次に、プライマー層4としては、平均分子量20万のポリメタクル酸メチル(PMMA)の有機溶剤溶液(溶剤分70%)を使用して、ドライ塗布量8g/m2 で塗工形成した。
次の装飾層5としては、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との1対1質量比の混合樹脂をバインダーの樹脂とし、着色顔料が添加された着色インキを使用して、ドライ塗布量として2g/m2 の石目柄の装飾層を印刷形成した。
そして、接着剤層6としては、ポリアミド樹脂の有機溶剤溶液を使用して、ドライ塗布量10g/m2 で塗工形成した。
【0040】
〔実施例2〕
実施例1に於いて、プライマー層に使用したポリメタクル酸メチル(PMMA)の平均分子量を2.0万に変更した他は、実施例1と同様にして転写シートを作製した。
【0041】
〔比較例1〕
実施例1に於いて、表面保護層の樹脂を、電離放射線硬化性樹脂から熱可塑性アクリル樹脂(平均分子量20万のポリメタクリル酸メチル)に変更し、更にプライマー層を省略した他は、実施例1と同様にして転写シートを作製した。
【0042】
〔比較例2〕
実施例1に於いて、プライマー層に使用したポリメタクル酸メチル(PMMA)の平均分子量を1.8万に変更した他は、実施例1と同様にして転写シートを作製した。
【0043】
〔比較例3〕
実施例1に於いて、プライマー層に使用したポリメタクル酸メチル(PMMA)の平均分子量を21万に変更した他は、実施例1と同様にして転写シートを作製した。
【0044】
〔物性評価〕
各転写シートについて、被転写体としてMDF(中密度繊維板)からなる木質の基材に対して、シリコーンゴムで鉄芯表面を被覆し加熱したゴムローラで転写圧を加えるローラ転写法によって転写して、転写物として化粧板を作製した。そして、この転写物の物性として、密着性、耐摩耗性、耐水蒸気性を次の様にして評価した。物性の評価結果は表1に纏めて示す。
【0045】
▲1▼密着性:セロハンテープ密着性試験〔JIS K 5400(1990)が規定する碁盤目テープ法に準拠〕で評価した。すなわち、転写層の表面から、2mm間隔で碁盤目状に縦横に、深さが被転写体にまで達する切り込みを入れて、縦横で10×10個の合計100個の枡目を作った後、セロハン粘着テープ(ニチバン株式会社製、「セロテープ」(登録商標)24mm幅、産業用)を25℃に於いて貼着後、勢い良く剥がして、転写層がテープと共に剥がれるか否かで評価した。一枡も剥がれ無きものを良好「○」、一枡でも剥がれ有りのものを不良「×」とした。
【0046】
▲2▼耐摩耗性:テーバ形摩耗試験機を用いて評価した〔JIS K 5400(1990)に準拠〕。摩耗輪はCS10用い、荷重は4.9N(500gf)、規定回転数は500回とした。そして、摩耗後、転写層の表面を目視観察して、基材が露出したものを不良「×」、そうで無いものを良好「○」として評価した。
【0047】
▲3▼耐水蒸気性:次の様な蒸気試験を行って評価した。先ず、図2(A)の如く、500mlのビーカー11中に300mlの沸騰水12を用意する。沸騰状態は、泡がわずかに発生する程度の状態として、ビーカー11を載置したヒーター13の加熱量を調節する。
そして、図2(B)の如く、ビーカー11を覆う様にその上に、転写物Dを載せる。転写物Dは、被転写体Bに転写され積層された転写層2が、沸騰水12に面する様に下側(図面下側)として載せる。この結果、転写層2の最表面層となっている表面保護層が、加熱した水蒸気に晒されることになる。
そして、ビーカー11上に転写物Dを載置して15分放置した後に、図2(C)の如く、転写物Dの転写層2の表面を目視観察して、フクレ(膨れ)等の異常無きものは良好「○」、フクレやクラック等の異常が発生したものは不良「×」と評価した。
【0048】
【表1】
【0049】
表1の如く、先ず、基本的な必要物性である密着性は、プライマー層のPMMAの平均分子量が21万と大きい比較例3が、プライマー層/装飾層間で剥離し不良となった他は、各実施例及び他の比較例(比較例1及び2)は、全て良好なった。
また、表面保護層を設けた目的である耐摩耗性は、表面保護層に熱可塑性アクリル樹脂を用いた比較例1のみが被転写体である基材が露出し不良となったが、表面保護層に特定の電離放射線硬化性樹脂を用いた各実施例及び他の比較例(比較例2及び3)は、表面が削られて艶が変化(低下)したが、装飾層の絵柄が消失する程では無く、全て良好なった。
そして、耐水蒸気性は、プライマー層に平均分子量の小さいPMMAを用いた比較例2のみが不良となった他は、各実施例及びその他の比較例(比較例1及び3)は良好となった。
以上の結果、密着性、耐摩耗性を満足した上でなお且つ耐水蒸気性も満足したものは、実施例1及び実施例2であった。
【0050】
【発明の効果】
本発明の転写シートによれば、優れた耐摩耗性と優れた耐水蒸気性が得られる。この結果、本発明の転写シートを使用すれば、厨房用途に好適な化粧板等の転写物を得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転写シートの一形態を示す断面図。
【図2】耐水蒸気性を評価する為の水蒸気試験を説明する概念図。
【符号の説明】
1 支持体シート
2 転写層
3 表面保護層
4 プライマー層
5 装飾層
6 接着剤層
11 ビーカー
12 沸騰水
13 ヒーター
B 被転写体(基材)
D 転写物(化粧板等)
S 転写シート
Claims (1)
- 支持体シートの片面に、該支持体シートより剥離可能な転写層として、少なくとも、アクリロイル基又は/及びメタクリロイル基を有する有機化合物からなるアクリレート系電離放射線硬化性樹脂の架橋硬化物から形成された表面保護層、該表面保護層に接する様に、平均分子量2万〜20万のポリメタクリル酸メチルからなるプライマー層、該プライマー層に接する様に、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、或いはこれらの混合物をバインダーの樹脂とする装飾層を順次積層した、耐水蒸気性を有する転写シート。
Priority Applications (1)
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