JP4269919B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。
リーン空燃比のもとで燃焼が行われているときに排気ガス中に含まれる窒素酸化物(NOX)を浄化するためのものとして、アルミナからなる担体の表面上にアルカリ金属或いはアルカリ土類金属等からなるNOX吸蔵剤の層を形成し、さらに白金のような貴金属触媒を担体表面上に担持したNOX触媒が公知である。
NOX触媒に担持されている白金がリーン雰囲気の下で一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO2)に酸化することができる温度(以下、「NO酸化開始温度」と称す)にNOX触媒の温度が達している場合、NOX触媒に流入する排気ガス(以下、「流入排気ガス」と称す)の空燃比がリーンのときに流入排気ガス中に含まれるNOXをNOX吸蔵剤内に吸蔵し、流入排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチ(以下、「ストイキ・リッチ」と称す)にされるとNOX吸蔵剤に吸蔵されていたNOXが放出され、流入排気ガス中に存在する還元剤(例えば、未燃の燃料や一酸化炭素(CO))により還元される(以下、このようなNOX吸蔵剤の作用を「吸放出作用」と称す)。
ここで、NOx吸蔵剤は、リーン雰囲気において排気ガス中の二酸化窒素(NO2)を吸蔵し、リッチ雰囲気において吸蔵しているNO2を放出する。NOX触媒に流入する排気ガス中にはNOXとしてNO2だけでなくNOも含まれるが、NOX触媒の温度が白金のNO酸化開始温度以上の場合には白金の酸化作用によりNOがNO2に酸化されるため、結果としてNOX触媒に流入する排気ガス中に含まれるNOもNOx吸蔵剤に吸蔵される。
ところが、NOX触媒の温度が白金のNO酸化開始温度よりも低い場合、白金の酸化作用が低く、NOX触媒に流入する排気ガス中のNOはNO2に酸化されない。そこで、NOX触媒の排気上流にNO酸化触媒を配置し、NOX触媒の温度が白金のNO酸化開始温度よりも低くても、NO酸化触媒によって予め機関本体から排出された排気ガス中のNOをNO2に酸化しておくことで、NOX触媒によるNOXの浄化率を高めようとする排気浄化装置が提案されている(特許文献1)。
特開2002−89246号公報 特開2001−62294号公報 特開2003−13732号公報 特許3374999号公報 特開2001−289035号公報 特開2000−157867号公報
ところが、NOX触媒に担持されている白金は、NOX触媒の温度が白金のNO酸化開始温度よりも低い場合には、NOX触媒への流入排気ガス中のNOをNO2に酸化できないばかりか、流入排気ガス中のNO2をNOに還元してしまう。このため、特許文献1に開示されているように、NOX触媒の排気上流にNO酸化触媒を設けて、NOX触媒への流入排気ガス中のNO2の割合を多くしたとしても、NOX触媒においてNO2がNOへ還元されてしまう。その結果、排気ガス中のNOXはNOx吸蔵剤へ吸蔵されにくくなり、NOX触媒の温度が白金のNO酸化開始温度よりも低い場合におけるNOX触媒によるNOX浄化率は低いものとなってしまっていた。
そこで、本発明の目的は、NOX触媒の温度が貴金属触媒のNO酸化開始温度よりも低い場合であっても良好に流入排気ガス中のNOXを浄化することができる内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、第1の発明では、機関排気通路内にNOX吸蔵剤と貴金属触媒とを担持するNOX吸蔵手段を具備し、上記NOX吸蔵剤は、貴金属触媒の温度がNO酸化開始温度以上である場合にNOX吸蔵手段に流入する排気ガスの空燃比がリーンであるときには排気ガス中のNOXを吸蔵し、NOX吸蔵手段に流入する排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチのときにはNOX吸蔵剤に吸蔵されているNOXを放出し、上記NOX吸蔵手段が、少量担持領域と多量担持領域とを有し、上記少量担持領域における単位体積当たりの貴金属触媒の担持量が上記多量担持領域における単位体積当たりの貴金属触媒の担持量よりも少ない内燃機関の排気浄化装置において、上記少量担持領域および多量担持量域領域は上記NOX吸蔵手段に流入する排気ガスが上記少量担持領域上を通過してから上記多量担持領域上を通過するように設けられ、上記少量担持領域における単位体積当たりの貴金属触媒の担持量が、少なくとも貴金属触媒の温度がNO酸化開始温度以上であるときの貴金属触媒の酸化・還元能力を考慮したときに最適になるように設定される量よりも少ない
貴金属触媒の酸化・還元能力が高いと、貴金属触媒の温度がNO酸化開始温度よりも低い場合に、すなわち貴金属触媒を担持しているNOX吸蔵手段の温度がNO酸化開始温度よりも低い場合に、貴金属触媒によりNOX吸蔵手段に流入する排気ガス中のNO2がNOに還元されてしまう。NOX吸蔵剤はNO2のみしか吸蔵することができないため、このように還元されたNOを吸蔵できず、よってNOX吸蔵手段のNOX浄化能力が低下してしまう。第1の発明によれば、単位体積当たりの貴金属触媒の担持量が少ない少量担持領域が設けられる。貴金属触媒の担持量が少ないと、NOX吸蔵剤の塩基性が強いことにより貴金属触媒の活性が弱められ、よって酸化・還元能力が低いものとされる。このため少量担持領域では貴金属触媒の温度がNO酸化開始温度よりも低い場合において貴金属触媒によるNO2からNOへの還元が抑制され、NOX吸蔵剤へNO2を吸蔵させることができるため、NOX吸蔵手段のNOX浄化能力の低下を抑制することができる。また、排気ガスは多量担持領域上を通過する前に少量担持領域上を通過するため、排気ガスが少量担持領域上を通過する前に多量担持領域でNO2がNOに還元されてしまうことが防止される。
また、少量担持領域においては、貴金属触媒の温度、すなわちNOX吸蔵手段の温度がNO酸化開始温度以上であってNOX吸蔵手段に流入する排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチのときに、NOX吸蔵剤から放出されるNOXをN2に還元させる還元能力が高くなく、少量担持領域の排気下流にNOXが流れてしまう。しかし、第1の発明によれば、少量担持領域上を通過したNOXを含んだ排気ガスは多量担持領域上を通過するため、この多量担持領域において少量担持領域で還元されなかったNOXをN2に還元することができる。
第2の発明では、第1の発明において、上記NOX吸蔵手段はNOX吸蔵剤と貴金属触媒とを担持する一つのNOX触媒を具備し、上記少量担持領域および多量担持領域は上記一つのNOX触媒内に設けられる。
第3の発明では、第2の発明において、上記少量担持領域が上記NOX触媒の上流側部分に設けられ、上記多量担持領域が上記上流側部分よりも排気下流に位置する上記NOX触媒の下流側部分に設けられる。
第4の発明では、第2の発明において、上記NOX触媒は、排気ガスが流入する流入通路と排気ガスが流出する流出通路とを具備し、これら流入通路と流出通路との間には隔壁が設けられると共に上記流入通路に流入した排気ガスは隔壁を通って上記流出通路へ流れるようになっており、上記少量担持領域は上記隔壁の表面上であって流入通路側に設けられ、上記多量担持領域は上記隔壁の表面上であって流出通路側に設けられる。
第5の発明では、第1の発明において、上記NOX吸蔵手段は機関排気通路内に直列的に配置された二つのNOX触媒を具備し、各NOX触媒はNOX吸蔵剤と貴金属触媒とを担持し、上流側に配置された上記NOX触媒に上記少量担持領域が設けられると共に下流側に配置された上記NOX触媒に上記多量担持領域が設けられる。
上記課題を解決するために、第の発明では、貴金属触媒とNOX吸蔵剤とを具備するNOX吸蔵手段であって、単位体積当たりの貴金属触媒の担持量が少ない少量担持領域と、単位体積当たりの貴金属触媒の担持量が多い多量担持領域とを有するNOX吸蔵手段を用いて、排気ガス中に含まれるNOXを浄化する内燃機関の排気浄化方法において、貴金属触媒の温度がNO酸化開始温度よりも低い場合には、NOX吸蔵手段に流入した排気ガスが上記多量担持領域上を通過する前に上記少量担持領域上を通過するようにし、該少量担持領域のNOX吸蔵剤にNO2を吸蔵させ、上記少量担持領域における単位体積当たりの貴金属触媒の担持量が、少なくとも貴金属触媒の温度がNO酸化開始温度以上であるときの貴金属触媒の酸化・還元能力を考慮したときに最適になるように設定される量よりも少ない
の発明によれば、少量担持領域では貴金属触媒の温度がNO酸化開始温度よりも低い場合において貴金属触媒によるNO2からNOへの還元が抑制される。このため、貴金属触媒の温度がNO酸化開始温度よりも低い場合にNO2をNOへ還元してしまう多量担持領域上を排気ガスが通過する前に少量担持領域上を通過することにより、少量担持領域のNOX吸蔵剤にNO2を吸蔵させることができるため、NOX吸蔵手段のNOX浄化能力の低下を抑制することができる。
第1〜第の発明によれば、貴金属触媒の温度、すなわちNOX吸蔵手段の温度がNO酸化開始温度よりも低い場合に少量担持領域で流入排気ガス中のNO2をNOX吸蔵剤に吸蔵させることができ且つ貴金属触媒の温度がNO酸化開始温度以上の場合に多量担持領域においてNOX吸蔵剤から放出されたNOXを還元することができるため、NOX吸蔵手段の温度が貴金属触媒のNO酸化開始温度以上である場合のNOX吸蔵手段のNOX浄化能力を維持しつつ、NOX吸蔵手段の温度が貴金属触媒のNO酸化開始温度よりも低い場合であっても良好に流入排気ガス中のNOXを浄化することができる。
の発明によれば、貴金属触媒の温度がNO酸化開始温度よりも低い場合においてもNOX吸蔵手段のNOX浄化能力の低下を抑制することができ、良好に流入排気ガス中のNOXを浄化することができる。
図1は本発明を圧縮自着火式内燃機関に適用した場合を示している。なお、本発明は火花点火式内燃機関にも適用することもできる。
図1を参照すると、1は機関本体、2は各気筒の燃焼室、3は各燃焼室2内にそれぞれ燃料を噴射するための電子制御式燃料噴射弁、4は吸気マニホルド、5は排気マニホルドをそれぞれ示す。吸気マニホルド4は吸気ダクト6を介して排気ターボチャージャ7のコンプレッサ7aの出口に連結され、コンプレッサ7aの入口はエアクリーナ8に連結される。吸気ダクト6内にはステップモータにより駆動されるスロットル弁9が配置され、さらに吸気ダクト6周りには吸気ダクト6内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置10が配置される。図1に示した実施例では機関冷却水が冷却装置10内に導かれ、機関冷却水によって吸入空気が冷却される。一方、排気マニホルド5は排気ターボチャージャ7の排気タービン7bの入口に連結され、排気タービン7bの出口はNOX触媒11を内蔵したケーシング12に連結される。排気マニホルド5の集合部出口には排気マニホルド5内を流れる排気ガス中に例えば炭化水素からなる還元剤を添加するための還元剤添加弁13が配置される。
排気マニホルド5と吸気マニホルド4とは排気ガス再循環(以下、EGRと称す)通路14を介して互いに連結され、EGR通路14内には電子制御式EGR制御弁15が配置される。また、EGR通路14周りにはEGR通路14内を流れるEGRガスを冷却するためのEGR冷却装置16が配置される。図1に示した実施例では機関冷却水が冷却装置16内に導かれ、機関冷却水によってEGRガスが冷却される。一方、各燃料噴射弁3は燃料供給管17を介して燃料リザーバ、いわゆるコモンレール18に連結される。このコモンレール18内へは電子制御式の吐出量可変な燃料ポンプ19から燃料が供給され、コモンレール18内に供給された燃料は各燃料供給管17を介して燃料噴射弁3に供給される。
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備する。NOX触媒11にはNOX触媒11の温度を検出するための温度センサ20が取付けられ、この温度センサ20の出力信号は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。また、アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。さらに入力ポート35にはクランクシャフトが例えば15°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して燃料噴射弁3、スロットル弁9駆動用ステップモータ、還元剤添加弁13、EGR制御弁15、および燃料ポンプ19に接続される。
図2(A)および(B)に図1に示すNOX触媒11の構造を示す。なお、図2(A)はNOX触媒11の正面図を示しており、図2(B)はNOX触媒11の側面断面図を示している。図2(A)および(B)に示したようにNOX触媒11はハニカム構造をなしており、互いに平行をなして延びる複数個の排気流通路50を具備し、これら排気流通路50は隔壁51により画成されている。
NOX触媒11の隔壁51の基体52は例えばコージェライト等から形成され、この基体52上には例えばアルミナからなる担体53が設けられる。図3(A)、(B)はこの担体53の表面部分の断面を図解的に示している。図3(A)、(B)に示されるように担体53の表面上には貴金属触媒54が分散して担持されており、さらに担体53の表面上にはNOX吸蔵剤55の層が形成されている。
本実施形態では貴金属触媒54として白金(Pt)が用いられており、NOX吸蔵剤55を構成する成分としては例えばカリウム(K)、ナトリウム(Na)、セシウム(Cs)のようなアルカリ金属、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)のようなアルカリ土類、ランタン(La)、イットリウム(Y)のような希土類から選ばれた少なくとも一つが用いられている。
機関吸気通路、燃焼室2およびNOX触媒11上流の排気通路内に供給された空気および燃料(炭化水素)の比を排気ガスの空燃比と称すると、NOX吸蔵剤55は、貴金属触媒54の温度が後述するNO酸化開始温度以上であれば、すなわちNOX触媒11の温度がNO酸化開始温度以上であればNOX触媒に流入する排気ガス(以下、「流入排気ガス」と称す)の空燃比がリーンのときにはNOXを吸収し、流入排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOXを放出するNOXの吸放出作用を行う。
NOX吸蔵剤55を構成する成分としてバリウム(Ba)を用いた場合を例にとって説明すると、流入排気ガスの空燃比がリーンのとき、すなわち流入排気ガス中の酸素濃度が高いときには白金54の温度がNO酸化開始温度以上であれば流入排気ガス中に含まれるNOは図3(A)に示したように白金54上において酸化されてNO2となり、次いでNOX吸蔵剤55内に吸収されて酸化バリウム(BaO)と結合しながら硝酸イオン(NO3 -)の形でNOX吸蔵剤55内に拡散する。このようにしてNOXがNOX吸蔵剤55内に吸収される。流入排気ガス中の酸素濃度が高い限り白金54の表面でNO2が生成され、NOX吸蔵剤55のNO2吸収能力が飽和しない限りNO2がNOX吸蔵剤55内に吸収されて硝酸イオン(NO3 -)が生成される。
これに対し、燃焼室2内における空燃比をほぼ理論空燃比またはリッチ(以下、「ストイキ・リッチ」と称す)にすることによって、または還元剤供給弁13から還元剤を供給することによって流入排気ガスの空燃比をストイキ・リッチにすると流入排気ガス中の酸素濃度が低下するため反応が逆方向(NO3 -→NO2)に進み、これによりNOX吸蔵剤55内の硝酸イオン(NO3 -)がNO2の形でNOX吸蔵剤55から放出される。次いで放出されたNOXは流入排気ガス中に含まれる未燃HC、COによって還元される。なお、上記説明では、NOXはNOX吸蔵剤55に吸収される(すなわち、硝酸塩等の形で蓄積する)ものとして説明しているが、実際にはNOXは吸収されているのか吸着(すなわち、NOXをNO2等の形で表面吸着する)しているのかは必ずしも明確ではなく、これら吸収および吸着の両概念を含む吸蔵という用語を用いる。本明細書では、特に、NOX触媒11の温度がNO酸化開始温度以上であるときに行われる吸蔵を「高温吸蔵」と称する。また、NOX吸蔵剤55からの「放出」という用語についても、「吸収」に対応する「放出」の他、「吸着」に対応する「脱離」の意味も含むものとして用いる。
ところで白金54によるNOからNO2への酸化能力(以下、「NO酸化能力」と称す)は温度によって変化し、白金54の温度が低いとそのNO酸化能力も低い。このため、図3に示したように、NOX触媒11の温度が低下すると、白金54によるNOからNO2への酸化率(以下、「NO酸化率」と称す)が低下する。本実施形態では、NOX触媒11の温度がほぼ250℃よりも低くなるとNO酸化率は急速に低下し、NOX触媒11の温度がほぼ200℃になるとNO酸化率がほぼ50パーセントとなる。本実施形態ではNO酸化率がほぼ50パーセントになったときのNOX触媒11の温度をNO酸化開始温度(ほぼ200℃(=Ts))とする。
さて、流入排気ガス中のNOXは一酸化窒素(NO)の形ではNOX吸蔵剤55に吸蔵されず、二酸化窒素(NO2)の形であればNOX吸蔵剤55に吸蔵される。流入排気ガス中に含まれるNOXには通常NO2だけでなくNOも多く含まれ、このNOはNO2に酸化されないとNOX吸蔵剤55に吸収されない。NOX触媒11でNOをNO2に酸化するには貴金属触媒54の温度がNO酸化開始温度以上となっていることが必要であり、したがってこれまでNOXを浄化するためには貴金属触媒54の温度がNO酸化開始温度以上となっていることが必要であると考えられてきた。
ところが、このNOX触媒11について本発明者が研究を重ねた結果、流入排気ガス中に含まれるNOは白金54の温度がNO酸化開始温度以上とならないと、すなわちNOX触媒11の温度がNO酸化開始温度以上とならないとNOX吸蔵剤55に吸蔵されないが、流入排気ガス中に含まれるNO2はNOX触媒11の温度がNO酸化開始温度以上となっていなくても図3(B)に示したように例えば亜硝酸(NO2 -)の形でNOX吸蔵剤55に吸蔵されることが判明したのである。なお、この場合も、NOX触媒11の温度がNO酸化開始温度以上となっている場合と同様に、二酸化窒素NO2はNOX吸蔵剤55に吸着するのか、あるいはNOX吸蔵剤55内に吸収されるのかは必ずしも明確ではなく、これら吸着と吸収とを合わせた「吸蔵」という用語を用いる。本明細書では、特に、NOX触媒11の温度がNO酸化開始温度よりも低いときに行われる吸蔵を「低温吸蔵」と称する。
なお、NOX触媒11の温度がNO酸化開始温度よりも低いときにNOX吸蔵剤55に亜硝酸(NO2 -)として吸蔵されたNO2は、NOX触媒11の温度がNO酸化開始温度以上にまで上昇すると、硝酸イオン(NO3 -)に変化せしめられ、斯くして硝酸イオン(NO3 -)の形でNOX吸蔵剤55内に吸蔵されることになる。
ところで、白金54の温度がNO酸化開始温度よりも低い場合、白金の活性が高いと、すなわち白金の酸化・還元能力が高いと、白金54はNOをNO2に酸化することができないだけでなく、NO2をNOに還元してしまう。したがって、このような場合にNOX触媒における白金54の活性が高いと、NOX触媒に流入した排気ガス中のNO2はNOX吸蔵剤55に低温吸蔵される前に白金54によってNOに還元されてしまう。還元されたNOは、NOX吸蔵剤55には吸蔵されず、よってNOを多量に含む排気ガスがNOX触媒から流出してしまうこととなる。
そこで、白金54の温度がNO酸化開始温度よりも低い場合にNOX吸蔵剤のNO2の低温吸蔵能力を高めるためには、白金の活性を弱くして、このような場合における白金によるNO2からNOへの還元能力を低くすることが必要である。
一方、従来型のNOX触媒では、NO酸化開始温度以上である場合に流入排気ガスの空燃比がリーンであるときに流入排気ガス中のNOをNO2に最適に酸化してNOX吸蔵剤にNOXが吸蔵され易いようにすると共に流入排気ガスの空燃比がストイキ・リッチであるときにNOX吸蔵剤から放出されたNOXをN2に還元し易いように、白金の活性の強さ、すなわち白金の酸化・還元能力が設定されている。すなわち、従来型NOX触媒では、白金の酸化・還元能力は白金の温度がNO酸化開始温度以上であるときにおいてNOX触媒への流入排気ガス中のNOXを吸蔵・還元するのに最適になるように設定されている。このように白金の酸化・還元能力を設定した場合には、当然、白金54の温度がNO酸化開始温度よりも低い場合においても白金の酸化・還元能力は高く、NOX触媒に流入した排気ガス中のNO2がNOへ還元され、その結果、白金54の温度がNO酸化開始温度よりも低い場合におけるNOXの浄化率は低いものとなってしまっていた。
そこで、本実施形態では、図4に示したように、NOX吸蔵剤55および貴金属触媒54を担持したNOX触媒11の担体53の下流側部分57を、上述した従来のNOX触媒11と同程度に白金の活性の強い領域、すなわち従来型NOX触媒と同程度に白金の酸化・還元能力の高い領域(以下、「高酸化・還元能領域」と称す)とすると同時に、NOX吸蔵剤55および貴金属触媒54を担持したNOX触媒11の担体53の上流側部分56を、高酸化・還元能領域よりも白金の活性の弱い領域、すなわち高酸化・還元能領域よりも白金の酸化・還元能力の低い領域(以下、「低酸化・還元能領域」と称す)としている。したがって、上記NOX触媒11に流入する排気ガスは、低酸化・還元能領域56上を通過してから高酸化・還元能領域57上を通過することとなる。
ここで、NOX吸蔵剤55は塩基性であり、白金54に対してその塩基性が強いほど、白金54の活性が弱められる。逆に言えば、NOX吸蔵剤55の種類および担持量を一定とした場合、単位体積当たりの白金54の担持量が少ないほど白金54の活性が弱められる。そこで、本実施形態のNOX触媒11では、低酸化・還元能領域56における単位体積当たりの白金の担持量を、高酸化・還元能領域57おける単位体積当たりの白金の担持量よりも少ないものとしている。具体的には、高酸化・還元能領域(多量担持領域)57における単位体積当たりの白金54の担持量が従来型NOX触媒と同様に2g/lよりも多いのに対して、低酸化・還元能領域(少量担持領域)56における単位体積当たりの白金54の担持量が2g/l以下とされる。
このように形成された低酸化・還元能領域56では、NOX触媒11の温度がNO酸化開始温度よりも低い場合、白金54の活性が弱く、白金によるNO2からNOへの還元が行われにくくなるため、低酸化・還元能領域56を流通する排気ガス中のNO2はNOX吸蔵剤55に確実に吸蔵されるようになる。このため、NOX触媒11の温度がNO酸化開始温度よりも低い場合におけるNOX触媒11によるNOX浄化能力が高められる。
この様子を図5に示す。図5は、NOX触媒の温度が150℃である場合において、白金54の担持量が5g/lである従来のNOX触媒(図中の触媒A)のNOX浄化率(流出排気ガス中のNOX量/流入排気ガス中のNOX量)と、本実施形態のNOX触媒11(図中の触媒B)のNOX浄化率とを比較したものである。図5から分かるように、NOX触媒の温度が150℃である場合、すなわちNO酸化開始温度よりも低い場合、本実施形態のNOX触媒11(触媒B)のNOX浄化率は、触媒AのNOX浄化率よりも高い。
また、NOX触媒11の温度がNO酸化開始温度以上となった場合、流入排気ガスの空燃比がリーンのときには、低酸化・還元能領域56および高酸化・還元能領域57のどちらにおいても流入排気ガス中のNOXをNOX吸蔵剤55に吸蔵することができる。高酸化・還元能領域57においては、白金54の酸化能力が高いため、排気ガス中のNOをNO2に酸化してNOX吸蔵剤55にNO2を吸蔵させることができ、また、低酸化・還元能領域56においても排気ガス中のNOの多くをNO2に酸化するのに十分な白金54の酸化能力が発揮されるため、全ての領域が高酸化・還元能領域57となっている従来型NOX触媒と同様に、流入排気ガス中のNOXをNOX吸蔵剤55に吸蔵することが可能である。
この様子を図6に示す。図6は、NOX触媒の温度が300℃である場合において、図5に示した触媒AのNOX浄化率と、本実施形態のNOX触媒11(図5に示した触媒Bと同じ)のNOX浄化率とを比較したものである。図6から分かるように、NOX触媒の温度が300℃である場合、すなわちNOX触媒の温度がNO酸化開始温度以上である場合においても、本実施形態のNOX触媒11(触媒B)のNOX浄化率は、従来型NOX触媒(触媒A)のNOX浄化率と同程度であることが分かる。
一方、NOX触媒11の温度がNO酸化開始温度以上となった場合、流入排気ガスの空燃比がストイキ・リッチとされると、NOX吸蔵剤55に吸蔵されているNO2がNOX吸蔵剤55から放出される。低酸化・還元能領域56では、上述したように高酸化・還元能領域57よりも白金54の活性が弱く、NOX吸蔵剤55から放出されるNOXをN2に還元する還元能力は高くない。このため、上述したように流入排気ガスの空燃比がストイキ・リッチとされると、多少のNOを含んだ排気ガスがNOX触媒11の低酸化・還元能領域56から排気下流へ流れてしまう。
しかしながら、本実施形態のNOX触媒11では、低酸化・還元能領域56の排気下流に高酸化・還元能領域57が設けられている。このため、NOX触媒11の温度がNO酸化開始温度以上となっている場合、流入排気ガスの空燃比がストイキ・リッチとされると、NOX触媒11の低酸化・還元能領域56上を通過したNOを含んだ排気ガスは高酸化・還元能領域57上を通過する。NOX触媒11の温度がNO酸化開始温度以上となっている場合、高酸化・還元能領域57におけるNOXからN2への還元能力は高く、よって低酸化・還元能領域56上から高酸化・還元能領域57上へと流れる排気ガス中に含まれるNOXはN2へ還元される。したがって、本実施形態によれば、NOX触媒11の温度がNO酸化開始温度以上となっている場合、流入排気ガスの空燃比がストイキ・リッチとされると、低酸化・還元能領域56および高酸化・還元能領域57におけるNOX吸蔵剤55からNOXが放出され、放出されたNOXは良好にN2に還元、浄化される。
このように、本発明のNOX触媒11によれば、NOX触媒11の温度が貴金属触媒54のNO酸化開始温度以上である場合におけるNOXの浄化能力を維持しつつ、NOX触媒11の温度が貴金属触媒54のNO酸化開始温度よりも低い場合におけるNOXの浄化能力を高めることができる。
なお、上記実施形態では、低酸化・還元能領域56における単位体積当たりの白金54の担持量を、高酸化・還元能領域57おける単位体積当たりの白金54の担持量よりも少なくすることで、低酸化・還元能領域56における白金54の酸化・還元能力を低くすることとしているが、NOX吸蔵剤55の塩基性を強くすることによって白金54の酸化・還元能力を低くしてもよい。NOX吸蔵剤55の塩基性を強めるには、単位体積当たりの担体53へのNOX吸蔵剤55の担持量を多くすること、およびNOX吸蔵剤55として用いられる物質により塩基性の強い物質、例えばセシウム(Cs)、カリウム(K)やナトリウム(Na)等のアルカリ金属等を用いることが挙げられる。
ところで、NOX触媒11の温度がNO酸化開始温度よりも低い状態、またはNOX触媒11の温度がNO酸化開始温度以上であって流入排気ガスの空燃比がリーンの状態が継続すると、その間にNOX吸蔵剤55のNOX吸蔵容量が飽和してしまい、それ以上NOX吸蔵剤55によってNOXを吸蔵することができなくなってしまう。そこで本実施形態では、NOX吸蔵剤55のNOX吸蔵容量が飽和する前に、還元剤添加弁13から還元剤を添加することによって流入排気ガスの空燃比を一時的にストイキ・リッチにし、それによってNOX吸蔵剤55からNOXを放出させるようにしている(NOX放出処理)。
より詳細には、本実施形態では、NOX触媒11のNOX吸蔵剤55に吸蔵されている吸蔵NOX量ΣNOXが算出され、算出された吸蔵NOX量ΣNOXが予め定められた許容値NXを越えているときであって、NOX触媒11の温度がNO酸化開始温度以上となっているときに流入排気ガスの空燃比がリーンからストイキ・リッチに切換えられ、それによってNOX吸蔵剤55からNOXが放出される。
単位時間当りに機関本体1から排出されるNOX量は燃料噴射量Qと機関回転数Nの関数であり、従って単位時間当りにNOX触媒への流入排気ガス中の流入NOX量NOXAは燃料噴射量Qと機関回転数Nの関数となる。本実施例では燃料噴射量Qと機関回転数Nに応じた単位時間当りの流入NOX量NOXAが予め実験により求められ、この流入NOX量NOXAが燃料噴射量Qと機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶されている。
一方、NOX吸蔵剤55へのNOX吸蔵率KNはNOX触媒11の温度Tcに応じて変わる。そこで本実施形態では、NOX吸蔵率KNとNOX触媒の温度Tcとの関係が予め実験により求められ、マップとして予めROM32内に記憶されている。NOX吸蔵剤55への単位時間当たりのNOX吸蔵量はNOXAとKNとの積で表わされる。
一方、NOX触媒11の温度TcがNO酸化開始温度よりも低い場合、上述したように流入排気ガス中のNO2のみがNOX吸蔵剤に吸蔵される。このため、このような場合には、流入排気ガス中のNOXのうちNOの割合を減らすと共に、NO2の割合を増大することが好ましい。そこで、本実施形態ではNOX触媒11の温度TcがNO酸化開始温度よりも低い場合には、リーン空燃比のもとで燃焼を行ったときに発生するNOに対するNO2の割合を、NOX触媒11の温度TcがNO酸化開始温度以上である場合において同一の機関運転状態、即ち同一回転数、同一トルクにあるときのNO2の割合(=NO2の量/NOの量)に比べて増大させるようにしている(NO2割合増大処理)。
このNO2の割合は、緩慢な燃焼を行わせると増大することが判明しており、例えば燃料噴射時期を遅角するか、EGRガス量を増大するか、パイロット噴射を行うか、又は予混合気燃焼を行うかの少なくともいずれか一つを行うと燃焼が緩慢となる。そこで本実施形態では、NOX触媒11の温度がNO酸化開始温度よりも低いときにはNO2割合増大処理として同一の機関運転状態における他の温度領域に比べて緩慢な燃焼を行わせるようにしている。
また、NOX触媒11の温度TcがNO酸化開始温度よりも低い場合でも、NO2がNOX吸蔵剤55に吸蔵されるため、NOX触媒50のNOX吸蔵量が増大する。この場合、単位時間当たりのNOX吸蔵量は機関本体1から排出される排気ガス中のNO2量に応じて変わる。機関本体1から排出される排気ガス中のNO2量は燃料噴射量Qおよび機関回転数Nに加えてEGR率(吸入ガス中に占めるEGRガスの割合)や噴射時期の遅角量等の関数である。本実施形態では、これらパラメータに応じた単位時間当りのNO2吸蔵量NO2Aが予め実験により求められ、マップの形で予めROM32内に記憶されている。そして、NOX触媒11の温度TcがNO酸化開始温度よりも低いときには、上述した単位時間当たりのNOX吸蔵量NOXA・KNの代わりに単位時間当たりのNO2吸蔵量NO2Aが吸蔵NOX量ΣNOXに加算される。
図7は、NOX触媒11のNOX浄化能力を最適に維持するための制御ルーチンを示しており、このルーチンは一定時間毎の割り込みによって実行される。
図7を参照すると、まずステップ101ではNOX放出フラグXNがセットされているか否かが判定される。このNOX放出フラグXNはNOX放出処理を実行すべきときにセットされ(XN=1)、それ以外はセットされない(XN=0)フラグである。NOX放出フラグXNがセットされていないと判定されたときにはステップ102へと進み、温度センサ20によってNOX触媒11の温度Tcが検出される。次いで、ステップ103において、ステップ102で検出されたNOX触媒11の温度TcがNO酸化開始温度Tsよりも低いか否かが判定される。ステップ103において、NOX触媒11の温度TcがNO酸化開始温度Tsよりも低い(Tc<Ts)と判定された場合には、ステップ104へと進む。
ステップ104では、NO2割合増大処理が実行され、例えば燃料噴射時期を遅角するか、EGRガス量を増大するか、パイロット噴射を行うか、又は予混合気燃焼を行うかの少なくともいずれか一つが行われる。次いでステップ105では、上述したマップにより単位時間当たりのNO2吸蔵量NO2Aが算出される。ステップ106では、ステップ105で算出された単位時間当たりのNO2吸蔵量NO2AがΣNOXに加算され、NOX吸蔵量の積算値ΣNOXが算出される。
一方、ステップ103において、NOX触媒11の温度TcがNO酸化開始温度Ts以上である(Tc≧Ts)と判定された場合には、ステップ107へと進む。ステップ107では、上述したマップからそれぞれ単位時間当たりの流入NOX量NOXAおよびNOX吸蔵率KNが算出される。次いで、ステップ108では、ステップ107で算出された単位時間当たりのNOX吸蔵量NOXA・KNをΣNOXに加算することによってNOX吸蔵量の積算値ΣNOXが算出される。次いでステップ109ではNOX吸収量の積算値ΣNOXが許容値NXを越えたか否かが判定される。ΣNOX≦NXのときには制御ルーチンが終了せしめられる。一方、ΣNOX>NXのときにはステップ110においてNOXフラグXNがセットせしめられる(XN=1)。NOX放出フラグXNがセットされると次回のルーチン実行時においてステップ101からステップ111へと進み、NOX放出処理が実行せしめられる。
図8は、図7のステップ111で行われるNOX放出処理の処理ルーチンを示している。
図8を参照すると、まず初めにステップ121において流入排気ガスの空燃比を例えば13程度のリッチ空燃比とするのに必要な還元剤の供給量が算出される。次いでステップ122では還元剤の供給時間が算出される。この還元剤の供給時間は通常10秒以下である。次いでステップ123では還元剤供給弁13からの還元剤の供給が開始される。次いでステップ124ではステップ122において算出された還元剤の供給時間が経過したか否かが判定される。還元剤の供給時間が経過していないときにはステップ124が繰り返される。このとき還元剤の供給が続行され、流入排気ガスの空燃比が13程度のリッチ空燃比に維持される。これに対し、還元剤の供給時間が経過したとき、すなわちNOX吸蔵剤55からのNOX放出作用が完了したときにはステップ125に進んで還元剤の供給が停止され、次いでステップ126に進んでΣNOXがクリアされ、ステップ127でNOX放出フラグXNがリセットされる(XN=0)。
なお、NOX放出処理においては、還元剤供給弁13から還元剤を供給することによって流入排気ガスの空燃比を一時的にストイキ・リッチにすると説明したが、本実施形態のように圧縮自着火式内燃機関を用いた場合、通常、機関本体1から排出される排気ガスの空燃比のリーン度合は非常に大きく、したがって流入排気ガスの空燃比をストイキ・リッチにするためには多量の還元剤を還元剤供給弁13から供給しなければならない。そこで、本実施形態では、例えば、多量のEGRガスを燃焼室2に導入することや、ポスト噴射を行うことで、機関本体1から排出される排気ガスの空燃比のリーン度合を比較的小さくし、これに還元剤添加弁13から還元剤を添加している。
次に図1に示したNOX触媒11がパティキュレートフィルタ(以下、「フィルタ」と称す)からなる第二実施形態について説明する。
図9(A)および(B)にこのフィルタ11の構造を示す。なお、図9(A)はフィルタ11の正面図を示しており、図9(B)はフィルタ11の側面断面図を示している。図9(A)および(B)に示されるようにフィルタ11はハニカム構造をなしており、互いに平行をなして延びる複数個の排気流通路60、61を具備する。これら排気流通路は下流端が栓62により閉塞された排気ガス流入通路60と、上流端が栓63により閉塞された排気ガス流出通路61とにより構成される。なお、図9(A)においてハッチングを付した部分は栓63を示している。したがって排気ガス流入通路60および排気ガス流出通路61は薄肉の隔壁64を介して交互に配置される。
フィルタ11の隔壁64の基体65は例えばコージェライトのような多孔質材料から形成されており、したがって排気ガス流入通路60内に流入した排気ガスは図9(B)において矢印で示したように周囲の隔壁64内を通って隣接する排気ガス流出通路61内に流出する。
このようにNOX触媒11をパティキュレートフィルタから構成した場合には、各排気ガス流入通路60および各排気ガス流出通路61の周壁面、すなわち各隔壁64の基体65の両側表面上にはアルミナからなる担体66、67の層が形成されており、図3(A)、(B)に示したようにこの担体66、67上には貴金属触媒54とNOX吸蔵剤55とが担持されている。なお、この場合も貴金属触媒54として白金が用いられている。
図10は、図9(B)内の点線Xに囲われた部分を図解的に示す図である。図10から分かるように、排気ガス流入通路60の周壁面上の担体66、すなわち排気ガス流入通路60に面する隔壁64の基体65上の担体66を低酸化・還元能領域とし、排気ガス流出通路61の周壁面の担体67、すなわち排気ガス流出通路に面する隔壁64の基体64上の担体68を高酸化・還元能領域としている。具体的には、本実施形態では、排気ガス流入通路60の周壁面上の担体66に担持される白金54の単位体積当たりの担持量を、排気ガス流出通路61の周壁面上の担体67に担持される白金54の単位体積当たりの担持量よりも少ないものとしているが、担体66に担持されるNOX吸蔵剤55の塩基性を担体67に担持されるNOX吸蔵剤55の塩基性よりも強いもとするようにしてもよい。
上述したように、排気ガス流入通路60内に流入した排気ガスは図10において矢印で示したように周囲の隔壁64内を通って隣接する排気ガス流出通路61内に流出するため、フィルタ11に流入した排気ガスは排気ガス流入通路60の周壁面上に設けられた低酸化・還元能領域66上を通過した後に排気ガス流出通路61の周壁面上に設けられた高酸化・還元能領域67上を通過する。したがって、第一実施形態の排気浄化装置と同様に、フィルタ11の温度がNO酸化開始温度以上である場合には、流入排気ガスの空燃比がリーンのときに流入排気ガス中のNOXが低酸化・還元能領域66および高酸化・還元能領域67にあるNOX吸蔵剤に吸蔵されると共に流入排気ガスの空燃比がストイキ・リッチのときに低酸化・還元能領域66および高酸化・還元能領域67にあるNOX吸蔵剤からNOXが放出され、これら両領域、特に高酸化・還元能領域67に存在する白金54により放出されたNOXがN2に還元される。一方、フィルタ11の温度がNO酸化開始温度よりも低い場合には、主に低酸化・還元能領域66において流入排気ガス中のNO2がNOX吸蔵剤55に吸蔵される。なお、この場合にも図7および図8に示すNOX触媒11のNOX浄化能力維持制御と同様のNOX浄化能力維持制御が行われる。
また、NOX触媒11をパティキュレートフィルタから構成した場合には、流入排気ガス中に含まれる粒子状物質がフィルタ11内に捕獲され、捕獲された粒子状物質は排気ガス熱によって順次燃焼せしめられる。多量の粒子状物質がフィルタ11上に推積した場合には、機関本体1から排出される排気ガスの温度を高くしたり、還元剤供給弁13から還元剤を供給してフィルタ11で燃焼させたりして、フィルタ11を昇温することで、推積したパティキュレートが着火燃焼せしめられる。
図11は、本発明の第三実施形態の排気浄化装置を示す。図11に示したように、第三実施形態においては、NOX吸蔵手段として機関排気通路上に二つのNOX触媒70、72が設けられている。すなわち、排気タービン7bの出口が上流側NOX触媒70を内蔵したケーシング71に連結され、上流側NOX触媒70の排気下流には下流側NOX触媒72を内蔵したケーシング73が連結される。いずれのNOX触媒70、72も、第一実施形態のNOX触媒11と同様に、基体52上にアルミナ等の担体53が設けられ、担体53の表面上には貴金属触媒54およびNOX吸蔵剤55が担持されている。
一方、第一実施形態のNOX触媒11と異なり、上流側NOX触媒70の担体は全てが低酸化・還元能領域となっており、下流側NOX触媒72の担体は全てが高酸化・還元能領域となっている。本実施形態では、上流側NOX触媒70の担体に担持される貴金属触媒の単位体積当たりの担持量を、下流側NOX触媒72の担体に担持される貴金属触媒の単位体積当たりの担持量よりも少ないものとしているが、上流側NOX触媒70の担体に担持されるNOX吸蔵剤55の塩基性を下流側NOX触媒72の担体に担持されるNOX吸蔵剤55の塩基性よりも強いもとするようにしてもよい。
機関本体1から排出された排気ガスは、上流側NOX触媒70を通過した後に下流側NOX触媒72に流入する。すなわち、本実施形態では、排気ガスは上流側NOX触媒70に設けられた低酸化・還元能領域上を通過してから下流側NOX触媒72に設けられた高酸化・還元能領域に流入する。したがって、第一実施形態の排気浄化装置と同様に、両NOX触媒70、72の温度がNO酸化開始温度以上である場合には、上流側NOX触媒70への流入排気ガスの空燃比がリーンのときに排気ガス中のNOXが上流側NOX触媒70および下流側NOX触媒72に担持されたNOX吸蔵剤55に吸蔵されると共に、上流側NOX触媒70への流入排気ガスの空燃比がストイキ・リッチのときに上流側NOX触媒70および下流側NOX触媒72に設けられたNOX吸蔵剤からNOXが放出され、これら両NOX触媒70、72、特に下流側NOX触媒72に存在する白金54により上記放出されたNOXがN2に還元される。一方、両NOX触媒70、72の温度がNO酸化開始温度よりも低い場合には、主に上流側NOX触媒70において流入排気ガス中のNO2がNOX吸蔵剤55に吸蔵される。なお、この場合にも図7および図8に示すNOX触媒11のNOX浄化能力維持制御と同様のNOX浄化能力維持制御が行われる。
内燃機関全体を示す図である。 NOX触媒の構成を説明するための図である。 NOX触媒によるNOX浄化作用を示す図である。 図2の破線IV内を図解的に示す拡大断面図である。 NOX触媒の昇温が150℃のときにおけるNOX触媒によるNOX浄化率の相違を示す図である。 NOX触媒の昇温が300℃のときにおけるNOX触媒によるNOX浄化率の相違を示す図である。 NOX触媒のNOX浄化能力維持制御のフローチャートである。 NOX放出処理を行うためのフローチャートである。 パティキュレートフィルタの構成を説明するための図である。 図9の破線X内を図解的に示す拡大断面図である。 本発明の第三実施形態の排気浄化装置を示す。
符号の説明
3…燃料噴射弁
4…吸気マニホルド
5…排気マニホルド
7…排気ターボチャージャ
11…NOX触媒
13…還元剤供給弁
20…温度センサ

Claims (6)

  1. 機関排気通路内にNOX吸蔵剤と貴金属触媒とを担持するNOX吸蔵手段を具備し、上記NOX吸蔵剤は、貴金属触媒の温度がNO酸化開始温度以上である場合にNOX吸蔵手段に流入する排気ガスの空燃比がリーンであるときには排気ガス中のNOXを吸蔵し、NOX吸蔵手段に流入する排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチのときにはNOX吸蔵剤に吸蔵されているNOXを放出し、上記NOX吸蔵手段が、少量担持領域と多量担持領域とを有し、上記少量担持領域における単位体積当たりの貴金属触媒の担持量が上記多量担持領域における単位体積当たりの貴金属触媒の担持量よりも少ない内燃機関の排気浄化装置において、
    上記少量担持領域および多量担持量域領域は上記NOX吸蔵手段に流入する排気ガスが上記少量担持領域上を通過してから上記多量担持領域上を通過するように設けられ
    上記少量担持領域における単位体積当たりの貴金属触媒の担持量が、少なくとも貴金属触媒の温度がNO酸化開始温度以上であるときの貴金属触媒の酸化・還元能力を考慮したときに最適になるように設定される量よりも少ない、内燃機関の排気浄化装置。
  2. 上記NOX吸蔵手段はNOX吸蔵剤と貴金属触媒とを担持する一つのNOX触媒を具備し、上記少量担持領域および多量担持領域は上記一つのNOX触媒内に設けられる請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 上記少量担持領域が上記NOX触媒の上流側部分に設けられ、上記多量担持領域が上記上流側部分よりも排気下流に位置する上記NOX触媒の下流側部分に設けられる請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 上記NOX触媒は、排気ガスが流入する流入通路と排気ガスが流出する流出通路とを具備し、これら流入通路と流出通路との間には隔壁が設けられると共に上記流入通路に流入した排気ガスは隔壁を通って上記流出通路へ流れるようになっており、上記少量担持領域は上記隔壁の表面上であって流入通路側に設けられ、上記多量担持領域は上記隔壁の表面上であって流出通路側に設けられる請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 上記NOX吸蔵手段は機関排気通路内に直列的に配置された二つのNOX触媒を具備し、各NOX触媒はNOX吸蔵剤と貴金属触媒とを担持し、上流側に配置された上記NOX触媒に上記少量担持領域が設けられると共に下流側に配置された上記NOX触媒に上記多量担持領域が設けられる請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 貴金属触媒とNOX吸蔵剤とを具備するNOX吸蔵手段であって、単位体積当たりの貴金属触媒の担持量が少ない少量担持領域と、単位体積当たりの貴金属触媒の担持量が多い多量担持領域とを有するNOX吸蔵手段を用いて、排気ガス中に含まれるNOXを浄化する内燃機関の排気浄化方法において、
    貴金属触媒の温度がNO酸化開始温度よりも低い場合には、NOX吸蔵手段に流入した排気ガスが上記多量担持領域上を通過する前に上記少量担持領域上を通過するようにし、該少量担持領域のNOX吸蔵剤にNO2を吸蔵させ
    上記少量担持領域における単位体積当たりの貴金属触媒の担持量が、少なくとも貴金属触媒の温度がNO酸化開始温度以上であるときの貴金属触媒の酸化・還元能力を考慮したときに最適になるように設定される量よりも少ない、内燃機関の排気浄化方法。
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