JP4258303B2 - 包装体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機能性樹脂層を有する包装体に関し、より詳細には、保管全期間にわたり低酸素状態を達成可能な包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、包装容器としては、金属缶、ガラスビン、各種プラスチック容器等が使用されているが、プラスチック容器は、軽量であり、耐衝撃性にもある程度優れているという利点を有しているが、容器壁を透過する酸素による内容物の変質やフレーバー低下が問題となっている。
【0003】
特に、金属缶やガラスビンでは容器壁を通しての酸素透過がゼロであり、容器内に残留する酸素のみが問題であるのに対して、プラスチック容器の場合には器壁を通しての酸素透過が無視し得ないオーダーで生じ、内容品の保存性の点で問題となっている。
【0004】
これを防止するために、耐酸素透過性を有する樹脂として、20℃及び0%RHでの酸素透過係数が10−12cc・cm・sec・cmHg以下で且つ20℃及び100%RHでの水分吸着量が0.5%以上であるガスバリヤー性熱可塑性樹脂に遷移金属の有機金属錯体を配合した樹脂組成物を中間層とし、該中間層の両側に耐湿性熱可塑性樹脂の層を設けた積層構造物から成るプラスチック多層容器が提案されている(特許文献1)。
【0005】
また、ポリマーから成り酸素捕集特性を有する組成物又は該組成物の層を含有する包装用障壁において、組成物が酸化可能な有機成分の金属触媒酸化により酸素を捕集することを特徴とする包装用障壁が記載されており、酸化可能有機成分としては、ポリアミド、特にキシリレン基含有ポリアミドが使用されることも提案されている(特許文献2)。
【0006】
上記遷移金属系触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物は、実質上透明であり、透明性を要する包装容器にも適用でき、しかもポリアミド樹脂はそれ自体酸素バリヤー性に優れた樹脂であるという利点を有している一方、ポリアミド樹脂は酸化により劣化するため、器壁を通しての酸素透過が経時により大きくなるという欠点がある。
このような問題を解決するものとして、本出願人は、ポリアミド樹脂に、酸化性有機成分と遷移金属系触媒とを配合することにより、樹脂組成物を通しての酸素透過を長期間にわたって低減させることを可能にし、酸素吸収ガスバリヤー性を有する樹脂組成物を提案するに至った(特許文献3)。
【0007】
【特許文献1】
特開平1−278344号公報
【特許文献2】
特許第2991437号
【特許文献3】
特開2002−241608号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記樹脂組成物から成る層を中間層とする包装容器は、優れた酸素吸収性及びガスバリヤー性が長期にわたって発現されるが、酸素は内外層を透過し中間層に達することにより吸収され、しかも中間層における海部分はガスバリヤー性を有する樹脂から成るため、中間層中の酸素捕捉を行う酸化性有機成分及び遷移金属触媒から成る島部分に酸素が到達するまでに所定の時間を要する。このため酸素吸収性が発現されるまでに一定の時間を要し、特に充填直後の極初期の酸素吸収性においてはその能力が十分に発揮されないという問題がある。
【0009】
従って本発明の目的は、酸素吸収性及びガスバリヤー性などの性能を、内容物充填後の極初期から全期間に亘って効率よく発現し得る包装体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、少なくとも機能性樹脂から成る層を有し、該機能性樹脂層の性能が厚み方向で変化する包装体であって、前記機能性樹脂層が、熱可塑性樹脂から成る海部分と、酸化性有機成分及び遷移金属触媒を含有する酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物から成る島部分で構成される海島構造を有すると共に、該島部分の平均ドメイン径が、機能性樹脂層の中心部よりも内側及び外側が小さいことを特徴とする包装体が提供される。
本発明によればまた、少なくとも機能性樹脂から成る層を有し、該機能性樹脂層の性能が厚み方向で変化する包装体であって、前記機能性樹脂層が、熱可塑性樹脂から成る海部分と、酸化性有機成分及び遷移金属触媒を含有する酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物から成る島部分で構成される海島構造を有すると共に、該島部分の平均ドメイン径が、機能性樹脂層の外側から内側に向かって小さいことを特徴とする包装体が提供される。
本発明の包装体においては、
1.機能性樹脂層の性能が、中心部よりも内側及び外側が高いこと、
2.機能性樹脂層の性能が、外側から内側に向かって高くなること、
3.機能性樹脂層が中間層であると共に内層及び外層と接着性を有するものであること、
が好適である。
【0011】
本発明においては、少なくとも機能性樹脂から成る層を有する包装体であって、前記機能性樹脂層の性能が、厚み方向で変化することが重要な特徴であり、これにより内容物の充填直後の極初期から保管全期間に亘って優れた性能を発揮することが可能となるのである。
前述した通り、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物等の機能性樹脂のみから成る樹脂層を中間層とする多層構造包装体においては、中間層がその性能を発揮するまでの間に一定の時間を要するため、特に内容物の充填直後の保管期間の極初期において酸素吸収性及びガスバリヤー性等の性能に劣った状態になる。
【0012】
図1及び図2は、ポリエステル樹脂から成る内外層と、ガスバリヤー性樹脂、酸化性有機成分及び遷移金属触媒から成る酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物を中間層とした多層構造包装体と、かかる酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物が、ポリエステル樹脂から成る海部分中に島部分として存在する中間層の組み合わせから成る多層構造包装体に内容品として無酸素水を充填したものについて、それぞれの内層及び中間層の無酸素水充填直後、経時初期、性能発現後の酸素濃度を示す図である。
図1(A)及び図2(A)から明らかなように、充填直後においては、いずれの多層構造体においても、ポリエステル樹脂から成る内層は、無酸素水側(内容品側)で酸素濃度が高く、無酸素水側から包装体の中間層側にいくに従って酸素濃度が低い状態になっている。
【0013】
経時初期においては、図1(B)に示すように、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物のみから成る中間層を有する包装体では、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物中のガスバリヤー性樹脂が海となって存在しているため、ポリエステル樹脂から成る内層中に存在していた酸素は中間層に容易に侵入できず、中間層に移行する酸素量よりも無酸素水側に移行する酸素量が多くなってしまい、内容品側の酸素濃度が一時的に増加することになる。これに対し、図2(B)に示すように、ポリエステル樹脂の連続相中に酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の分散相が存在する中間層を有する包装体では、中間層への酸素透過が進むため、内容品側へ移行する酸素量よりも中間層へ移行する酸素量が多くなり、経時初期に内容品側の酸素濃度が増加することがないのである。
中間層の酸素吸収ガスバリヤー性が発現され始めると、何れの包装体においても内容品及びポリエステル樹脂内層側からの酸素吸収が有効に行われるため、同様の性能が発現されていることが図1(C)及び図2(C)から明らかである。
【0014】
このように、機能性樹脂層のうち、特に包装体の内側に位置する部分は、内容物充填直後の包装体内の酸素濃度の上昇を防止するために、極初期からその性能を発揮することが好ましく、本発明においては、機能性樹脂層の性能が厚み方向で変化することから、例えば機能性樹脂層の性能を、中心部分よりも内側及び外側の界面付近を高くすることや、機能性樹脂層の性能を、外側から内側に向かって高くすることにより、内容物充填後の極初期の段階から有効な機能を発揮することが可能となるのである。その一方、機能性樹脂層の内側付近よりも性能が低い中心部或いは外側では、保管期間の中期以降に性能を発揮することができ、外部からの侵入酸素を有効に捕捉することができるのである。
このように本発明の包装体では、包装体中の一つの機能性樹脂層における性能の高低による発現開始時期や最大効果の発現可能時期等において異なる性能を有し、しかもこの性能が厚み方向で変化していることから、全保管期間に亘って効率よく性能を発現することが可能になるのである。
【0015】
【発明の実施形態】
図3は、本発明の包装体の機能性樹脂層部分の断面構造を示す電子顕微鏡写真であり、この機能性樹脂層では、ポリエステル樹脂の海部分中に、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の島部分が存在して成っている。
図3から明らかなように、この機能性樹脂層は中心部で島部分の平均ドメイン径が大きく、両界面付近では島部分の平均ドメイン径が小さくなっている。
【0016】
平均ドメイン径の小さい島部分が存在する両界面付近では、島部分はポリエステル樹脂から成る海部分に微分散されており、島部分の表面積の和が大きく酸素吸収性能が高く、また機能性樹脂層の界面近傍には短時間で酸素が到達するため、保管期間の初期に性能を発揮することができる。
一方、平均ドメイン径が界面付近のものよりも大きい島部分が存在する中心部では島部分がポリエステル樹脂から成る海部分に粗分散されており、島部分の表面積の和が小さく、界面付近に比して酸素吸収性能が低く、しかも機能性樹脂層の中心付近であるため酸素が到達するのに所定時間要するため、機能性発現開始時期が遅いため、界面付近の島部分による包装体内部からの酸素捕捉終了後、保管期間の中期から長期にわたって外部からの侵入酸素を有効に捕捉し得る酸素吸収性能を発揮することが可能となるのである。
【0017】
図4は、本発明の包装体の他の機能性樹脂層部分の断面構造を示す参考図であり、ポリエステル樹脂の海部分S中に、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の島部分Iが存在している点は図3に示した機能性樹脂層と同様である。
この機能性樹脂層1は、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物から成る島部分Iの平均ドメイン径が、機能性樹脂層1の外側2、中心部3、内側4に向かって順次小さくなっており、この場合、平均ドメイン径の小さい島部分Iが存在する内側4の界面付近の酸素吸収性能が高く、内側4の界面近傍には短時間で酸素が到達する。
一方、中心部3では、平均ドメイン径が内側4の界面付近のものよりも大きい島部分Iが存在し、ポリエステル樹脂から成る海部分Sに粗分散されており、また、外側2の界面付近では、平均ドメイン径が中心部3のものよりも大きい島部分Iが存在し、ポリエステル樹脂から成る海部分Sに粗分散されており、島部分のI表面積の和が順次小さい。
このため、内側4の界面付近に比して、中心部3及び外側界面付近2の酸素吸収性能は低く、酸素が到達するのに所定時間要し、性能発現開始時期が遅いため、内側4の界面付近の島部分Iによる包装体内部からの酸素捕捉終了後、保管期間の中期から長期にわたって外部からの侵入酸素を有効に捕捉し得る酸素吸収性能を発揮することが可能となる。
従って、図3及び図4に示す構造を有する機能性樹脂層を有する包装体においては、保管期間の全てにわたって優れた性能を発揮することが可能となるのである。
【0018】
[機能性樹脂層]
本発明の多層構造包装体は、機能性樹脂層を有すると共に、かかる機能性樹脂層の性能が厚み方向で異なるものである。
このような機能性樹脂層としては、前述した通り、ガスバリヤー性、酸素吸収ガスバリヤー性、水分(水蒸気)バリヤー性等を有する樹脂から成る層を挙げることができるが、本発明においては特に酸素吸収ガスバリヤー性を有する樹脂層であることが好適である。
酸素吸収ガスバリヤー性を有する樹脂層は、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物のみから成る層でもよいが、前述した通り、保管期間の極初期における酸素吸収性ガスバリヤー性を得るためには、ポリエステル樹脂等の酸素透過性の高い熱可塑性樹脂を海部分(すなわちマトリックス)とし、酸化性有機成分及び遷移金属触媒を含有する酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物を島部分とする海島分散構造を有するものであることが特に好ましい。
【0019】
(マトリックス樹脂)
本発明の包装体の機能性樹脂層におけるマトリックスと成る熱可塑性樹脂は、特に二軸延伸ブロー成形が可能であり且つ結晶化が可能なもの、特にポリエステル樹脂であることが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステルや、これらのポリエステルとポリカーボネートやアリレート樹脂等のブレンド物を用いることができる。本発明においては、エステル反復単位の大部分(一般に80モル%以上、特に80モル%以上)がエチレンテレフタレート単位であり、ガラス転移点(Tg)が50乃至90℃、特に55乃至80℃であり、且つ融点(Tm)が200乃至275℃、特に220乃至270℃のポリエチレンテレフタレート(PET)系ポリエステルが好適である。
【0020】
また、PET系ポリエステルとしては、ホモポリエチレンテレフタレートが最適であるが、エチレンテレフタレート単位の含有量が上記範囲内にある共重合ポリエステルも好適に使用することができる。
かかる共重合ポリエステルにおいて、テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;等の1種又は2種以上の組み合わせを例示することができ、エチレングリコール以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙げられる。
【0021】
連続相を構成する樹脂は、少なくともフィルムを形成し得るに足る分子量を有しているべきであり、例えば上述したポリエステルにおいては、その固有粘度(I.V)が、0.6乃至1.40dl/g、特に0.63乃至1.30dl/gの範囲にあるのがよい。
【0022】
また、かかる機能性樹脂層を中間層とし、内外層を設ける場合においては、機能性樹脂層の海部分を構成するマトリックス樹脂として、後述する内層及び外層を構成する樹脂に対して接着性を有するものを使用することが好ましい。
すなわち、従来から接着剤層形成用の接着剤樹脂として使用されているもの、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等のカルボン酸、或いは、これらカルボン酸の無水物、アミド、エステル等によりグラフト変性されたグラフト変性オレフィン樹脂などをマトリックス樹脂として使用することができる。このようなグラフト変性オレフィン樹脂において、グラフト変性すべきオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体等が好ましい。また、このようなグラフト変性オレフィン樹脂以外にも、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフィン系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド等を接着性樹脂として使用することができる。
これらの接着性樹脂では、接着性の見地から、カルボニル基(>C=O)を主鎖又は側鎖に1乃至100meq/100g樹脂、特に10乃至100meq/100g樹脂の量で含有していることが好ましい。
【0023】
また後述するように、内層或いは外層を形成する樹脂をマトリックス樹脂として使用することもできる。すなわち、このような樹脂は当然内外層に対する親和性が高く、良好な接着性を示すからである。
例えば、内外層がポリエステルで形成されている場合には、マトリックス樹脂としてポリエステルを使用することが好ましい。このような内外層を形成している樹脂をマトリックス樹脂として使用する場合には、少ない種類の樹脂材料で包装用多層構造体を製造することができ、生産工程の簡略化、生産コストの低減化等の点で極めて有利である。
【0024】
(酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物)
酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物は、特許文献2にあるような遷移金属系触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物を用いることができるが、基材の分解性が高く成形性に劣るので、より好ましくは、酸化性有機成分、遷移金属触媒及びガスバリヤー性樹脂から成る樹脂組成物を用いることができる。
すなわち、酸化性有機成分のみが酸化性があり、基材であるガスバリヤー性樹脂は反応性がないため、成形時の溶融粘度の低下が抑制され、良好な成形性が保たれる。また遷移金属触媒は、酸化性有機成分の酸化を促進させるために配合される。これらの酸化性有機成分及び遷移金属触媒もガスバリヤー性樹脂と共に島状に分散される。
【0025】
〈ガスバリヤー性樹脂〉
本発明のガスバリヤー性樹脂組成物に最も好適に用いることができるガスバリヤー性樹脂としては、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6/6・6共重合体、メタキシリレンジアジパミド(MXD6)、ナイロン6・10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13等のポリアミド樹脂を挙げることができる。
これらのポリアミドの中でも、末端アミノ基量が40eq/10g以上、特に50eq/10gを超えるポリアミド樹脂であることが、ポリアミド樹脂の酸化劣化を抑制する上で好ましい。ポリアミドを、特許文献2にあるような遷移金属系触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物の成分として用いる場合は、酸化反応性の高い、すなわち低末端アミノ基量のポリアミドを用いることとなる。
また炭素数100個当りのアミド基の数が5乃至50個、特に6乃至20個の範囲にあるものが好適である。これらのポリアミドもフィルムを形成するに足る分子量を有するべきであり、例えば、濃硫酸(濃度1.0g/dl)中、30℃で測定した相対粘度が1.1以上、特に1.5以上であることが望ましい。
【0026】
ポリアミド樹脂以外のガスバリヤー性樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体を例示でき、例えば、エチレン含有量が20乃至60モル%、特に25乃至50モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が好適である。このエチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物)は、フィルムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般に、フェノール/水の重量比が85/15の混合溶媒中、30℃で測定して0.01dl/g以上、特に0.05dl/g以上の固有粘度を有することが望ましい。
【0027】
〈酸化性有機成分〉
ガスバリヤー樹脂に配合される酸化性有機成分としては、エチレン系不飽和基含有重合体を挙げることができる。すなわち、この重合体は、炭素−炭素二重結合を有しており、この二重結合部分が酸素により容易に酸化され、これにより酸素の吸収捕捉が行なわれる。
【0028】
このようなエチレン系不飽和基含有重合体は、例えば、ポリエンを単量体として誘導される。ポリエンの適当な例としては、これに限定されるものではないが、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等のトリエン、クロロプレンなどを挙げることができる。
【0029】
すなわち、上記ポリエンの単独重合体、或いは上記ポリエンを2種以上組み合わせ若しくは他の単量体と組み合わせてのランダム共重合体、ブロック共重合体等を酸化性有機成分として用いることができる。また、上記ポリエンと共重合させる他の単量体としては、炭素数が2乃至20のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン等を例示することができ、また、これら以外にも、スチレン、ビニルトリエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、エチルアクリレートなどを用いることもできる。
【0030】
本発明においては、上述したポリエンから誘導される重合体の中でも、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、天然ゴム、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等が好適であるが、勿論、これらに限定されない。
【0031】
これらのポリエン系重合体は、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、水酸基が導入されていることが好ましい。これらの官能基を導入するのに用いられる単量体としては、上記官能基を有するエチレン系不飽和単量体が挙げられる。
これらの単量体としては、不飽和カルボン酸又はこれらの誘導体を用いるのが好ましく、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−5,6−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等のα,β−不飽和カルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物などの飽和カルボン酸の無水物が挙げられる。
【0032】
ポリエン系重合体の酸変性は、炭素−炭素二重結合を有する樹脂をベースポリマーとして、このベースポリマーに不飽和カルボン酸又はその誘導体をそれ自体公知の手段でグラフト共重合させることにより製造されるが、前述したポリエンと不飽和カルボン酸又はその誘導体とをランダム共重合させることによっても製造することができる。
本発明に特に好適な酸変性ポリエン系重合体は、不飽和カルボン酸乃至その誘導体を0.01乃至10重量%含有していることが好ましい。不飽和カルボン酸乃至その誘導体の含有量が上記範囲にあると、酸変性ポリエン系重合体のガスバリヤー性樹脂への分散が良好に成ると共に、酸素の吸収も円滑に行われる。
【0033】
また、上述したエチレン系不飽和基含有重合体以外にも、それ自体酸化されやすい重合体、例えばポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体なども酸化性有機成分として使用することができる。
【0034】
本発明においては、成形性等の見地から、上述した酸化性有機成分の40℃での粘度は1乃至200Pa・sの範囲にあることが好適である。
また、これらの酸化性有機成分は、樹脂組成物当たり10重量%以下、特に
1乃至8重量%の量で使用することが好ましい。
【0035】
〈遷移金属触媒〉
上述した酸化性有機成分と共に使用される遷移金属触媒において、遷移金属としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属が好適であるが、他に銅、銀等の第I族金属、錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウム等の第V族金属、クロム等の第VI族金属、マンガン等の第VII族金属等であってもよい。これらの中でも特にコバルトは、酸素吸収性(酸化性有機成分の酸化)を著しく促進させ、本発明の目的に特に適している。
【0036】
遷移金属触媒は、一般に、上記遷移金属の低価数の無機塩、有機塩或いは錯塩の形で使用される。
無機塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンオキシ塩、ケイ酸塩等が挙げられる。
有機塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩などが挙げられるが、本発明の目的にはカルボン酸塩が好適である。その具体例としては、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩を挙げることができる。
【0037】
また、遷移金属の錯体としては、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとの錯体が挙げられる。β−ジケトンやβ−ケト酸エステルとしては、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3−シクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサジオン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)メタン及びジピバロイルメタン等を用いることができる。
【0038】
本発明において、上記の遷移金属触媒は、樹脂組成物基準、金属換算量で1乃至3000ppm、特に30乃至800ppmの量で配合されているのがよい。
【0039】
(海島分散構造)
本発明の包装体において機能性樹脂層は、海部分であるポリエステル等の樹脂中に島部分として存在する酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物が存在する海島分散構造を有するものであることが好ましく、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の組成や分散相の平均ドメイン径等を制御することにより、機能性樹脂層に必要な性能を付与することが可能となる。また島状に分散している酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物がそれぞれ独立してマトリックス樹脂中に封じ込められているため、例えば水分によるガスバリヤー性の低下も有効に回避され、長期間にわたって安定した特性が発揮される。
【0040】
このような海島構造を形成するためには、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物を予め調製し、これをマトリックス樹脂とブレンドすることが特に好ましい。すなわち、ガスバリヤー性樹脂、酸化性有機成分及び遷移金属触媒を、二軸押出機を用いて脱気しながらストランド状樹脂組成物とし、このストランド状樹脂組成物をペレット状とした後、ポリエステル樹脂とドライブレンドして押出機のホッパーに供給することが好ましい。
【0041】
ポリエステル樹脂等のマトリックス樹脂と酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の2成分ブレンド物の相構造は、溶融粘度、組成、そしてスクリュー形状、回転数、温度などの成形条件に依存する。これらの中で特に重要なのは溶融粘度と組成である。
上記のような海島分散構造において、島成分を高濃度にしたい場合、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物がポリエステル樹脂等のマトリックス樹脂に対して相対的に高い溶融粘度を有するように、マトリックス樹脂と酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物とを組み合わせ、かつ酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の混合比を高めることが好ましい。すなわち、押出機中でマトリックス樹脂とガスバリヤー性樹脂組成物とを溶融混合するが、この際、溶融粘度の高い方が島部分を形成し、溶融粘度の低い方が海部分を形成し易くなるからである。
【0042】
逆にマトリックス樹脂相を高濃度にしたい場合、島成分である酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の組成を低くすればよい。上記のような溶融混合に際しては、一般に、多量の成分が海部分となり、少量の成分が島部分となる傾向があるからである。従って、目的とする海島構造を達成するには、上記の溶融粘度と組成の兼ね合いを考慮する必要があるが、本発明においては、海部分を形成するポリエステル樹脂等のマトリックス樹脂を20容量%以上使用することが、上述した海島分散構造を形成するために好適である。
【0043】
図5は、ポリエチレンテレフタレートをマトリックス樹脂として、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物を配合し海島分散構造を有する機能性樹脂を中間層とする2種5層のボトルについて、ボトル内に無酸素水を保管したときの、経時に対する溶存酸素濃度を示すものである。一般に、包装体に性能を付与する機能性樹脂組成物の量が少なくなると性能も低下すると考えられるが、本発明に用いる酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物においては、図5に示すように、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の量が50容量%未満であっても50容量%以上の量で含有するボトルと同様の酸素吸収能を有しているだけでなく、特に初期の酸素吸収能力においては、50容量%以上の量で含有するものよりも優れた能力を有することが明らかである。尚、比較としてポリアミド樹脂を中間層とする2種5層のボトルについても同様に溶存酸素濃度を示したが、経時と共に溶存酸素濃度は増加し、酸素吸収能力に劣っていることが明らかである。
【0044】
本発明の包装体においては、機能性樹脂層における島部分のドメイン径を厚み方向で変化させることにより、厚み方向で性能を変化させることが可能となる。本発明において海島分散構造の島部分の平均ドメイン径により、厚み方向に性能を変化させる場合、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物により形成される島部分(ドメイン)は、下記式(1)
Figure 0004258303
但し、rはドメイン径、nはドメイン数を示し、ドメイン径rはドメインの短径a、ドメインの長径bとしてr=(a+b)/2で表す、
で表される平均ドメイン径が、これに限定されるものではないが、機能の発現開始時期を極初期に設定するためには一般に、3.5μm未満、特に2μm未満となるようにドメイン径がコントロールされていることが好ましく、一方、機能の発現開始時期を中期以降に設定するためには一般に、2乃至20μm、特に2.5乃至10μmとなるようにドメイン径がコントロールされていることが好ましい。
尚、島部分のドメイン径があまり大きいと、ガスバリヤー性等の性能や機械的強度が低下するおそれがあるので好ましくない。
【0045】
このようなドメイン径のコントロールは、ポリエステル樹脂と酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の混合比率、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物中の酸化性有機成分の配合量等の組成、溶融混合に際しての溶融粘度、混合時間、せん断速度、溶融温度等の混合条件を調整することにより行うことができる。
上記のようにドメイン径をコントロールするには、例えば、マトリックス樹脂(A)と酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物(B)の混合比率は上述したように、容積比率で、A:B=90:10乃至30:70の範囲にあることが好ましく、また酸化有機成分として無水マレイン酸変性ポリブタジエン等のポリエン系重合体を用いる場合には、酸化性有機成分を5乃至10重量%の割合で配合することが、上述した平均ドメイン径を得る上で好適である。
【0046】
また厚み方向で平均ドメイン径を変化させるためには、特に溶融混合に際しての溶融温度や、内層及び外層を構成する樹脂の溶融温度などを調整することより行うことができる。
例えば包装体形成の際、機能性樹脂層の界面の温度を中央部分よりも低くなるように制御することにより、界面付近では樹脂の流動が抑制され、既に形成された島部分がほぼそのままのドメイン径で存置するのに対し、中央部では樹脂の流動が生じるため島部分同士の会合が生じ、その結果中央部分の島部分の平均ドメイン径を界面付近の島部分の平均ドメイン径に比して大きくすることが可能になる。また逐次射出成形により、機能性樹脂を内層及び外層を構成する樹脂の後に射出することによっても機能性樹脂層の内層及び外層との界面の温度を低下させることができ、界面付近の島部分の平均ドメイン径を小さくすることが可能になる。
このような機能性樹脂層の厚み方向の制御は、機能性樹脂層を中間層とする場合には、射出金型内で内層或いは外層を形成する樹脂温度が機能性樹脂の温度よりも低い温度になるように、バレル、金型温度、成形スケジュールを設定すること等により容易に行うことができる。また機能性樹脂層の単層とする場合においても、上記した手法により行うことができる。
また機能性樹脂層の界面付近の島部分の平均ドメイン径を中央部のものに比して小さくするためには、得ようとする平均ドメイン径によっても相違し、一概に言えないが、界面付近の温度が中央部よりの温度よりも60乃至200℃低くなるように制御することが好ましい。
【0047】
上述した機能性樹脂層を有する本発明の包装体には、その海島分散構造や成形性を損なわない範囲で、種々の配合剤、例えば充填剤、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属石鹸やワックス等の滑剤、改質用樹脂乃至ゴム等を配合することもできる。
【0048】
[層構成等]
本発明の包装体は、厚み方向に性能の異なる機能性樹脂層を有するものであり、機能性樹脂層のみから単層構成とすることもできるが、好適にはかかる機能性樹脂層を中間層とし、その両側に内外層が形成されている多層構成とすることが好ましい。
内外層を形成する熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂や熱可塑性ポリエステル樹脂等の耐湿性樹脂や、ガスバリヤー性樹脂等を挙げることができるが、内層は、中間層に位置する機能性樹脂層に酸素を透過させるために酸素透過性を有するものであることが好ましく、また外層では、外部からの酸素透過を遮断し得るガスバリヤー性を有するものであることが好ましい。
また前述した通り、中間層の機能性樹脂層のマトリックス樹脂と同種の樹脂から成る内外層とすることにより、各層間の接着性を向上させることができ、層間剥離などの問題がなく、強度にも優れているので特に好ましい。
【0049】
オレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超高密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)或いはこれらのブレンド物などを挙げることができる。
また熱可塑性ポリエステル樹脂及びガスバリヤー性樹脂としては、上述した機能性樹脂層のマトリックス樹脂として例示したものを用いることができる。
【0050】
本発明における包装体は、代表的には機能性樹脂層を中間層とし、その両側に内層及び外層を設けたものであるが、勿論このような層構成に限定されるものではなく、上述した厚み方向に性能の異なる機能性樹脂層を有する限りにおいて、例えば、内外層と同種の樹脂層や、容器を成形する工程で発生したスクラップ樹脂から成るスクラップ樹脂層などを、内外層の間に設けることもできるし、上述した厚み方向に性能の異なる機能性樹脂層を複数層形成することも勿論可能である。
本発明の包装体を構成する各層の厚みに制限はないが、一般に機能性樹脂層の厚みは、1乃至300μm、特に3乃至50μm、内外層の厚みは、10乃至1000μm、特に50乃至500μmの範囲にあるのが好ましい。
【0051】
[用途]
本発明の包装体は、フィルム、シート、ボトル乃至チューブ形成用パリソン乃至はパイプ、ボトル乃至チューブ形成用プリフォーム等の中間成形物の形を取ることができ、このような中間成形物を介して、最終的に、カップ、トレイ、ボトル、チューブ容器、パウチ、容器蓋等の包装材として使用に供される。
【0052】
例えば、押出機や射出機を用いて、上述した温度制御等を行う以外は、それ自体公知の押出成形や射出成形、或いは圧縮成形等を行って中間成形物を成形することができる。
中間成形物であるフィルムは、必要により二軸延伸することにより二軸延伸フィルムとして使用される。
パリソン、パイプ或いはプリフォームからのボトルの成形は、押出物を一対の割型でピンチオフし、その内部に流体を吹き込むことにより、容易に行うことができる。
また、パイプ或いはプリフォームを冷却した後、延伸温度に加熱し、軸方向に延伸すると共に、流体圧によって周方向にブロー延伸することにより、延伸ブローボトル等が得られる。
更に、フィルム乃至シートを、真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等に付することにより、カップ形状、トレイ形状等の包装体や、容器蓋が得られる。
また、フィルムは、種々の形態の包装袋(パウチ)として用いることができ、その製袋は、それ自体公知の方法で行うことができる。
【0053】
本発明の包装体は、特に酸素による内容物の香味低下を防止する容器として極めて有用である。
例えば、ビール、ワイン、フルーツジュース、炭酸ソフトドリンク等の飲料や、果物、ナッツ、野菜、肉製品、幼児食品、コーヒー、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、佃煮類、乳製品、その他医薬品、化粧品、ガソリン等、酸素の存在で劣化を生じる種々の内容物を充填するための容器に適用される。
【0054】
【実施例】
本発明を次の例によりさらに説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
防湿包装開封直後の末端アミノ基濃度が87eq/10gであるポリメタキシリレンアジパミド樹脂[T−600:東洋紡績(株)製]を基材とし、液状無水マレイン酸変性ポリブタジエン[M−2000−20:日本石油化学(株)製]を5重量%、ネオデカン酸コバルト[DICNATE5000:大日本インキ化学工業(株)製]を金属換算で350ppm含有する酸素吸収性樹脂組成物を二軸混練し、酸素吸収性樹脂組成物ペレット[OAR]を作成した。
この酸素吸収性樹脂組成物と150℃−4時間乾燥後のポリエチレンテレフタレート[RT543CTHP:日本ユニペット(株)製]を共射出成形機に投入し、層構成がPET層/酸素吸収層 /PET層である2種3層多層プリフォームを作成した。このとき、酸素吸収層には、重量比でOAR:PET=20:80のドライブレンド物を用い、酸素吸収層がプリフォーム全体の8wt%となるようにした。次いで、この酸素吸収層における中心部、内外面側界面付近の平均ドメイン径を走査型電子顕微鏡観測により求めた。さらに多層プリフォームの二軸延伸ブローにより2種3層多層ボトルを作成し、無酸素水を満注充填後密封して22℃−60%RHにおける容器内酸素濃度の経時変化(7日後および80日後)を測定した。
【0055】
[実施例2]
共射出成形において、キャビティーの冷却温度をコアの冷却温度よりも高くした以外は実施例1と同様に共射出成形、走査型電子顕微鏡観測、二軸延伸ブロー成形、無酸素水充填試験を行った。
【0056】
[実施例3]
OARの基材をエチレン含有率が32モル%のエチレン―ビニルアルコール共重合体(EVOH)[EP―F101B:クラレ(株)製]とした以外は、実施例1と同様に共射出成形、走査型電子顕微鏡観測、二軸延伸ブロー成形、無酸素水充填試験を行った。
【0057】
[比較例1]
酸素吸収層をOAR100%とした以外は、実施例1と同様に共射出成形、走査型電子顕微鏡観測、二軸延伸ブロー成形、無酸素水充填試験を行った。
【0058】
[比較例2]
酸素吸収層をOAR:PET=50:50にし、コア、キャビティー冷却温度を共に下げた以外は、実施例1と同様に共射出成形、走査型電子顕微鏡観測、二軸延伸ブロー成形、無酸素水充填試験を行った。
【0059】
【表1】
Figure 0004258303
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、少なくとも機能性樹脂層を有する包装体であって、前記機能性樹脂層の性能が厚み方向で異なること、例えば機能性樹脂層の性能が、中心部よりも内側及び外側が高いものであることにより、保管期間の極初期から全期間に亘って優れた機能を発現できる包装体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ポリエステル樹脂の内外層と、酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物のみ中間層から成る多層構造包装体の内容物充填直後(A)、経時初期(B)、性能発現後(C)における酸素濃度を示す図である。
【図2】 ポリエステル樹脂の内外層と、ポリエステル樹脂の連続相(海部分)中に酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物の分散相(島部分)を存在させた中間層から成る多層構造包装体の内容物充填直後(A)、経時初期(B)、性能発現後(C)における酸素濃度を示す図である。
【図3】 本発明の包装体の機能性樹脂層の断面構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図4】 本発明の包装体の他の機能性樹脂層の断面構造を示す参考図である。
【図5】 多層ボトル内に無酸素水を保管したときの、経時に対する溶存酸素濃度を示すものである。

Claims (5)

  1. 少なくとも機能性樹脂から成る層を有し、該機能性樹脂層の性能が厚み方向で変化する包装体であって、前記機能性樹脂層が、熱可塑性樹脂から成る海部分と、酸化性有機成分及び遷移金属触媒を含有する酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物から成る島部分で構成される海島構造を有すると共に、該島部分の平均ドメイン径が、機能性樹脂層の中心部よりも内側及び外側が小さいことを特徴とする包装体。
  2. 少なくとも機能性樹脂から成る層を有し、該機能性樹脂層の性能が厚み方向で変化する包装体であって、前記機能性樹脂層が、熱可塑性樹脂から成る海部分と、酸化性有機成分及び遷移金属触媒を含有する酸素吸収ガスバリヤー性樹脂組成物から成る島部分で構成される海島構造を有すると共に、該島部分の平均ドメイン径が、機能性樹脂層の外側から内側に向かって小さいことを特徴とする包装体。
  3. 前記機能性樹脂層の性能が、中心部よりも内側及び外側が高い請求項記載の包装体。
  4. 前記機能性樹脂層の性能が、外側から内側に向かって高くなる請求項記載の包装体。
  5. 前記機能性樹脂層が中間層であると共に内層及び外層と接着性を有するものである請求項1乃至の何れかに記載の包装体。
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