JP4256892B2 - 異材接合方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車、鉄道車両などの輸送分野、機械部品、建築構造物等の構造部材などとして好適で、特に、自動車用構造物などの組立工程の際に必要となる、アルミニウム材と鋼材との(アルミニウム系材料と鉄系材料との)異材接合方法に関する。
鉄系材料 (以下、単に鋼材と言う)とアルミニウム系材料(純アルミニウムおよびアルミニウム合金を総称したもので、以下、単にアルミニウム材と言う)という、異種の金属部材の接合(異材接合体)に適用することができれば、自動車などの構造材として、自動車などの軽量化等に著しく寄与することができる。
しかし、鋼材とアルミニウム材とを溶接接合する場合、接合部に脆い金属間化合物が生成しやすいために、信頼性のある高強度を有する接合部(接合強度)を得ることは非常に困難であった。したがって、従来では、これら異種接合体(異種金属部材)の接合にはボルトやリベット等による接合がなされているが、接合継手の気密性、コスト等の問題がある。
そこで、従来より、これら鋼材とアルミニウム材との異種接合体の接合方法については多くの検討、提案がなされてきている。例えば、真空下で圧延接合する方法が提案されている(特許文献1参照)。予め用意した鉄系材料層およびアルミニウム合金層からなる2層のクラッド材を介在させてシーム溶接する方法が提案されている(特許文献2参照)。高温下で加圧接合する方法が提案されている(特許文献3参照)。互いの接合面にTi合金を予め介在させHIP処理により接合する方法が提案されている(特許文献4および5参照)。摩擦圧接する方法が提案されている(特許文献6参照)。アルミニウムと接する鋼材表面にアルミニウム合金をめっきして、あるいは予め用意した鋼材層およびアルミニウム合金層からなる2層のクラッド材を介在させて抵抗溶接する方法が提案されている(特許文献7および8参照)。
しかしながら、これら従来技術には各々以下のような問題がある。例えば、特許文献1〜8の、鋼材とアルミニウム材との異材接合体を得る方法は、共通して、平板など比較的単純な形状の部材同士の接合には利用可能であるが、部材形状の制約を受け、部材の形状が複雑な場合には適用できない。このため適用範囲が狭く汎用性が劣っている。また、接合部がスポット的なものとなるため連続的な接合部を得ることができない問題もある。更に、いずれの方法とも、工程が複雑となるため、品質の安定性が確保できず、接合コストが高くなり、実用性に欠ける問題がある。また、現状の溶接ラインでは実施できず、上記各方法を実施するための、新たな設備を組み入れなければならないため、設備コストが高くなる問題もあった。
これに対して、鋼材とアルミニウム材とをアーク溶接にて線乃至面接合する方法も提案されている(非特許文献1、2、3参照)。更に、健全な接合継手を確保するために、MIGロウ付法によって鋼材とアルミニウム材とを直接接合する方法も提案されている(特許文献9参照)。
前記非特許文献1、2、3などの、鋼材とアルミニウム材とをアーク溶接にて接合する方法では、接合する鋼材側に予め穴を設け、この穴を溶融アルミニウム材にて埋めることによって、強度確保の阻害要因となる金属間化合物の成長方向を制御することで高い接合強度を得ようとする。しかし、この非特許文献1、2、3でも、連続的にアーク溶接した場合には、ビードに割れが発生しやすく、溶接継手の強度にはなお改善の余地がある。これは特許文献9でも同様である。
一方、溶接に用いるフラックスの組成を改善して、溶接継手強度を高めようとするも提案されている。例えば、フッ化セシウム、フッ化アルミニウム、フッ化カリウム、酸化アルミニウムとの混合フラックスを塗布して用い、アーク溶接、特に、交流MIG溶接する鋼材とアルミニウム材との異材接合方法が提案されている(特許文献10)。また、フッ化カリウムとフッ化アルミニウムなど、フッ化セシウム、フッ化アルミニウム、フッ化カリウム、フッ化亜鉛の一種以上を含むフッ化物系混合フラックスを塗布して用い、マグネチック、超音波、高周波、スポットなどの種々の溶接法により溶接する、鋼材とアルミニウム材との異材接合方法が提案されている(特許文献11)。
特開2000-94162号公報(特許請求の範囲) 特開平11-197846号公報(特許請求の範囲) 特開平10-185040号公報(特許請求の範囲) 特開平6-198458号公報(特許請求の範囲) 特開平5-8056号公報(特許請求の範囲) 特開平8-141755号公報(特許請求の範囲) 特開平6-39558号公報(特許請求の範囲) 特開平6-63762号公報(特許請求の範囲) 特開2003-33865号公報(特許請求の範囲) 特開2003-211270号公報(全文) 特開2003-48077号公報(全文) WELDING JOURNAL,(1963),p.302. 軽金属溶接:Vol.16(1978)No.12,p.8. 溶接学会全国大会講演概要第75集(2004),p.260〜261
鋼材とアルミニウム材とを溶接接合した異材接合継手(異材溶接継手)を自動車などの構造部材に適用することを考えると、自動車の衝突時などに負荷される荷重(応力)に対する継手強度が必要である。このような自動車構造部材としては、鋼材サイドメンバと、アルミニウム材バンパーステイ(バンパ補強材の後面側接合部材)などの異材接合継手が例示される。しかし、前記した各従来技術では、このような用途を想定した場合には、接合強度は不足しており、なお改善の余地があった。
また、より重大な問題として、異材接合される鋼材側に汎用されている亜鉛めっき層が、溶接性を阻害して、継手強度を低下させる問題がある。特に、めっき厚みが比較的厚い溶融亜鉛めっきや溶融合金化亜鉛めっきを被覆した鋼材では、アルミニウム材との異材接合体においては、裸の鋼材よりも溶接性が悪くなり、接合強度の低下が著しい。
これは、異材接合の接合部に生成する、前記脆い金属間化合物の他に、亜鉛めっき鋼板(亜鉛めっき鋼材)とアルミニウム材との異材接合では、亜鉛めっきに由来する、脆いZn-Fe 系化合物層が必然的に生成するようになるからである。このZn-Fe 系化合物層は脆いゆえに、破壊の起点となり接合強度を著しく低下させる。
また、スポット溶接は、接合部がスポット的なものとなるため連続的な接合部を得ることができない。このため、パネル同士の接合には効率的で適するが、自動車構造材用の異材接合に要求される、隅肉溶接や突き合わせ溶接などの線溶接には不向きである。
これらの課題に対して、フッ化物系混合フラックスを塗布して用いてアーク溶接などする技術は、フラックスによるアーク溶接性改善効果が期待できる。しかし、前記特許文献10や特許文献11では、実際にアーク溶接すると、通常の条件範囲でも、溶接部に塗布したフッ化物系混合フラックス自体が大量に飛散して、溶接作業自体が困難となる問題を有していた。また、フラックスによる溶接金属の濡れ性が良くなりすぎて広がってしまい、ビードの形成不全が生じるなどの問題も有していた。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、亜鉛めっき鋼材であっても、接合強度の高い溶接をなしうる、アーク溶接による鋼材とアルミニウム材との異材接合方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するための、本発明の異材接合方法の要旨は、アルミニウム材と鋼材とを、フラックス入りワイヤを用いて、交流MIG溶接または直流逆極性によるMIG溶接により接合する異材接合方法であって、アルミニウム材外皮内部にフラックスを充填してなるフラックス入りワイヤを用い、この充填するフラックスをフッ化アルミニウムとフッ化カリウムとの混合フラックスとし、かつ、この混合フラックスの充填量を、フラックス入りワイヤの全体質量に対して0.1質量%以上、24質量%未満とし、前記混合フラックスの融点が560℃から700℃の範囲であり、フラックス入りワイヤの径が1.6mmφ以下であることである。
本発明の異材接合方法は、裸の鋼材よりも溶接性が悪くなり、接合強度の低下が著しい、めっき厚みが比較的厚い溶融亜鉛めっきなどの、亜鉛めっき鋼材に適用されることが好ましい。
本発明では、フッ化物系混合フラックスを溶接に用いる際に、アーク溶接の内でも、比較的使用電流が低い、交流MIG(ミグ)溶接または直流逆極性によるMIG溶接により異材接合を行なう。これによって、フッ化物系混合フラックス自体の飛散を防止して、溶接作業性を改善する。
本発明では、更に、フッ化物系混合フラックスを前記した従来技術のように、溶接部に塗布するのではなく、アルミニウム材外皮内部にフラックスを充填してなるフラックス入りワイヤを用いる。これによって、フッ化物系混合フラックス自体の飛散を防止して、溶接作業性を改善する。
本発明では、また、ワイヤに充填するフラックスを、フッ化物系混合フラックスの中でも、フッ化アルミニウムとフッ化カリウムとの特定組成の混合フラックスとし、かつ、この混合フラックスの充填量を、フラックス入りワイヤの全体質量に対して0.1質量%以上、24質量%未満と比較的少なくする。これによって、溶融亜鉛めっきなどの亜鉛めっき鋼材であっても、異材接合の接合強度を向上させる。また、これによって、フッ化物系混合フラックス自体の飛散を防止して、溶接作業性を改善することも保証される。
この結果、本発明によれば、アルミニウム材と鋼材とを接合する際に、適用条件などの制約が少なくて汎用性に優れると共に、形状的制約も少ない。また、線溶接の際に必要な連続接合が可能であり、かつ接合部における脆弱な金属間化合物や、溶接部におけるブローホールの発生や耐食性の劣化も少なく、さらに溶接作業性も良好な接合技術を提供できる。このため、自動車などの構造部材に適用できる異材接合継手(異材溶接継手)を提供することが可能となる。
以下に、本発明の実施態様と、本発明の各要件の限定理由とを具体的に説明する。
(MIG溶接)
本発明では、異材接合に用いる溶接方法として、アーク溶接の内でも比較的使用電流が低い、交流MIG(ミグ)溶接、または直流逆極性によるMIG溶接を選択して、これら単独にて、あるいは両者を組み合わせて、異材接合を行なう。これによって、フッ化物系混合フラックス自体の飛散を防止して、溶接作業性を改善する。
交流MIG溶接は、逆極性と正極性を適宜組み合わせることにより、被接合材への入熱を精密に制御できるため、アルミニウム材中のアルミニウムと、鋼材中の鉄との溶融混合とそれらの反応を抑えるべく、入熱量をコントロールできる。その結果として、接合部における脆弱な金属間化合物の生成が抑えられ、ひいては接合部の強度欠陥(特に割れの発生)を防止できる。この交流MIG溶接としては、最も一般的なスプレーMIG溶接法を用いることができる。勿論、この他、電極ワイヤ先端の溶融金属が短絡時にだけ移行する短絡MIG溶接法や、平均溶接電流が臨界電流以下でも臨界電流よりも高い尖頭波電流を瞬間的に与えて安定なパルスアークを得るパルスMIG溶接法を用いても良い。
直流逆極性によるMIG溶接は、アークが安定しやすく、ビードの安定性を確保したい、特に、溶融亜鉛めっき鋼板の異材接合などの場合に有効である。この溶融亜鉛めっき鋼板の異材接合の場合には、アークの不安定化による溶融金属部のブローホールの発生が特に問題となる。これに対して、直流逆極性によるMIG溶接を採用することによって、アークが安定化し、安定したビードが得られやすくなる。但し、交流MIG溶接は、上記した通り、逆極性と正極性を適宜組み合わせることにより、被接合材への入熱を精密に制御できるため、入熱量をコントロールでき、脆弱な金属間化合物の発生を抑制できる利点がある。これに対して、直流逆極性によるMIG溶接では、交流MIG溶接との同一電流条件でも、入熱量が大きくなりがちで、脆弱な金属間化合物の発生が増す可能性がある。このため、直流逆極性によるMIG溶接を採用する場合には、溶接速度をできるだけ上げて溶接を行い、入熱量を低減する必要がある。
上記各MIG溶接以外の、その他の溶融溶接法であるTIG溶接法、プラズマ、電子ビーム、高周波などの種々の溶接法では、上記各MIG溶接に比して、使用溶接電流が高過ぎ、入熱量が高過ぎる。このため、溶接中に、フッ化物系混合フラックス自体が飛散しやすくなり、溶接作業性を阻害する。そして、接合部における脆弱な金属間化合物の生成の抑制も、上記各MIG溶接に比べれば難しい。また、スポット溶接などは、本発明が対象とする自動車構造材用の異材接合に要求される、隅肉溶接や突き合わせ溶接などの線溶接には不向きである。
(フラックス入りワイヤ)
本発明では、溶接ワイヤ(溶加材)として、後述するフッ化アルミニウムおよびフッ化カリウムの混合フラックスをアルミニウム合金で被覆したフラックス入りワイヤを用いる。図1は本発明で使用するフラックス入りワイヤ3の断面を示す。本発明で使用するフラックス入りワイヤ3は、管状のアルミニウム材外皮2(フープとも言う)の内部に、フラックス1を充填してなる一般的なものが使用可能である。このフラックス入りワイヤはフラックスコアードワイヤ(FCW)とも言う。
なお、フラックス入りワイヤには、シーム(合わせ目:隙間、開口部)を有するシーム有りタイプと、このシームを溶接等で接合した、シームが無いシームレスタイプとがあるが、いずれでも良い。ただ、シームレスタイプのものは製造コストが高くなるため、汎用されているシームを有するフラックス入りワイヤの方が好ましい。フラックス入りワイヤの外皮に用いるアルミニウム合金としては、特に制限はないが、A4043、A4047等の4000系アルミニウム合金やA5356、A5183等の5000系アルミニウム合金を用いることができる。この他、3000系や6000系などのアルミニウム合金を用いても良い。
シームを有するフラックス入りワイヤ(FCW) は、一般的な製造方法で製造可能である。即ち、アルミニウム板乃至帯のU 字状成型工程、U 字状成型板乃至帯へのフラックス充填工程、U 字状成型板乃至帯から管状ワイヤへの成型工程などの工程からなる。これによって、フラックスを内部に充填した管状成型ワイヤを製作した後に、この管状成型ワイヤを、0.8〜2.4mmφの細径の製品FCW(フラックス入りワイヤ)まで伸線する工程からなることが一般的である。
(ワイヤ径)
但し、本発明では、この常法よりもフラックス入りワイヤの径を細くする、あるいは細いフラックス入りワイヤを用いることが好ましい。これによって、交流MIG溶接法や直流逆極性によるMIG溶接法を行なうに際して、入熱量を低くし、低電流条件とする。この結果、フッ化物系混合フラックス自体の飛散を防止し、溶接作業性が改善でき、また、脆弱な金属間化合物生成抑制できる。このため、フラックス入りワイヤの径は1.6mmφ以下のものを使用する。ワイヤ径が1.6φmmを超えると、安定したアークを得るための電流が過大となって、フッ化物系混合フラックス自体の飛散が大きくなる。また、母材の溶融が過剰気味となり、脆弱な金属間化合物(Fe-Al 系化合物)の生成につながる。より好ましいフラックス入りワイヤの径は1.4mmφ以下である。
このように、本発明では、フッ化物系混合フラックスを前記した従来技術のように、溶接部に直接塗布するのではなく、アルミニウム材外皮内部にフラックスを充填してなるフラックス入りワイヤを用いる。これによって、フッ化物系混合フラックス自体の飛散を防止して、溶接作業性を改善する。また、脆弱な金属間化合物の生成も抑制する。
(フラックス組成)
本発明では、フラックス入りワイヤに使用する(充填する)フラックス組成を、フッ化物系混合フラックスの中でも。特にフッ化アルミニウムとフッ化カリウムとの二つのフッ化物系フラックスを混合した、特定組成の混合フラックス(以下、ノコロックフラックスとも言う)とする。
この特定組成の混合フラックスとすることで、比較的厚い溶融亜鉛めっき(合金化を含む)を被覆した鋼材とアルミニウム材との異材接合が可能となる。即ち、亜鉛めっき鋼材やアルミニウム材との材料表面を清浄化でき、溶接金属の濡れ性が向上する。この結果、ビードの形成が良好となる。また、異材接合部に生成する、脆いAl-Fe 系金属間化合物層や、亜鉛めっきに由来する脆いZn-Fe 系化合物層の生成が抑制される。これらの結果、接合強度が向上する。勿論、この効果は、亜鉛めっきの無い裸の鋼材とアルミニウム材との異材接合でも発揮される。
本発明による組成のフラックス入りワイヤを用いて、本発明による交流MIG溶接や直流逆極性によるMIG溶接を、下記の適切な条件で行うと、適正な界面反応層(IMC:金属間化合物)の厚みが得られ、継手強度が改善される。これに対して、通常のアーク溶接を異材接合に適用すると、多大な入熱のために、20μmを超える厚い金属間化合物が溶接界面に発生し、継手強度の劣化をもたらす。しかし、本発明組成のフラックス入りワイヤを用いて、上記各MIG溶接を下記適切な条件で行うと、10μm以下の厚みの適正な界面反応層となり、継手強度が大きく向上する。また、本発明組成のフラックス入りワイヤではなく、アルミニウム合金製のソリッドワイヤを用いた場合には、上記各MIG溶接を下記適切な条件で行っても、20μmを超える厚い金属間化合物が溶接界面に発生し、継手強度の劣化をもたらす。このように、詳細なメカニズムは不明であるが、本発明組成のフラックス、あるいは、そのフラックス入りワイヤは、金属間化合物発生の抑制に大きな効果がある。
フッ化物系フラックスとしては、他に、例えば、前記した従来技術でも使用している、フッ化セシウム、フッ化亜鉛などがある。これらの他のフッ化物系フラックスでも材料表面を清浄化できる作用を一応有する。しかしながら、これらの他のフッ化物系フラックスでは、フッ化セシウム、フッ化亜鉛などの吸湿性が極めて高い。このため、吸湿された水分が原因となって、溶接金属部のブローホールの原因となりやすいほか、溶接部の耐食性を劣化させることが懸念される。また、溶融亜鉛めっきを被覆した鋼材とアルミニウム材との異材接合での、材料表面の清浄化と、溶接金属の濡れ性向上効果が少ない。
上記混合フラックス(ノコロックフラックス)の融点は、上記した各効果を発揮させるために、溶融亜鉛めっき鋼材を含む異材接合の交流MIG溶接や直流逆極性によるMIG溶接条件にもよるが、560℃から700℃までの融点に調整する。混合フラックスの融点は、フッ化アルミニウム(AlF3)とフッ化カリウム(KF)の粉末の混合量(混合比率)によって適宜調整でき、溶融亜鉛めっき鋼材を含む異材接合の交流MIG溶接や直流逆極性によるMIG溶接条件に応じて調整する。この点、フッ化カリウムとフッ化カリウムの共晶組成(KF:55mol%、AlF3:45mol%)を基準として、フッ化アルミニウムの比率を60mol %程度を上限として決定する。そして、残りの比率(残部)をフッ化カリウムとして、両者を混合し、この混合フラックスの融点を、上記560℃から700℃までの融点範囲に調整する。
この融点範囲(温度域)でフラックスが溶けると、濡れ性が溶接初期に改善されるため、溶融したアルミニウムが鋼材とアルミニウム材の重ね部に綺麗に入り込み、これが糊のような効果を発揮して接合強度が改善される。この効果は、溶融亜鉛めっき鋼材において特に顕著となる。混合フラックスの融点が560℃未満ではこの効果が小さくなる。一方、混合フラックスの融点が700℃を超えると、溶接初期の溶接金属の拡がりが少なく、継手の重ね部への流れ込みが不十分となる。
(フラックスの充填率)
但し、ここで、フラックス入りワイヤへのノコロックフラックスの充填率が重要となる。本発明では、このノコロックフラックス(混合フラックス)の充填量を、フラックス入りワイヤの全体質量に対して、0.1質量%以上、24質量%未満と、比較的少なくする。
従来市販乃至汎用されているフラックス入りワイヤでは、フラックスの充填率が24%を超えて多くなっている。このため、通常の交流MIG溶接や直流逆極性によるMIG溶接条件であっても、溶融したフラックスが多量に飛散するほか、濡れ性改善効果が強すぎて溶接金属が拡がりすぎ、健全なビードが形成されない。また、溶接作業性も悪く、ビードが健全に形成されないため、溶接部の信頼性も損なわれる。
したがって、本発明では、フラックス入りワイヤへのノコロックフラックスの充填率の上限を、従来市販乃至汎用されているレベルよりも少なくし、24%未満とする。フラックスの充填率が24%以上では、フラックスの充填率が多過ぎ、上記した通り、溶接時に溶融フラックスの飛散がひどくなり、かつビードが拡がり過ぎて健全に形成されない。
一方、ノコロックフラックスの充填率の下限は0.1%とする。ノコロックフラックスの充填率が少な過ぎると、アーク溶接で汎用されるビードを形成するためのアルミニウム溶接ワイヤ(JIS規格:A4043−WY、A4047−WY、A5356−WY、A5183−WYなど)と同じとなる。このため、ノコロックフラックスの充填率が0.1%未満では、上記濡れ性改善効果などのノコロックフラックスの効果が発揮できず、健全で信頼性の高い溶接継手が得られない。
これらの結果、本発明によれば、アルミニウム材と溶融亜鉛めっき鋼材を含めた鋼材とを接合する際に、適用条件などの制約が少なくて汎用性に優れると共に、形状的制約も少ない。また、線溶接の際に必要な連続接合が可能であり、かつ接合部における脆弱な金属間化合物や、溶接部におけるブローホールの発生や耐食性の劣化も少なく、さらに溶接作業性も良好な接合技術を提供できる。このため、自動車などの構造部材に適用できる異材接合継手(異材溶接継手)を提供することが可能となる。
(MIG溶接施工)
次に、本発明異材接合方法の交流MIG溶接や直流逆極性によるMIG溶接の施工態様を説明するが、本発明異材接合方法では、MIG溶接の施工態様自体は常法と同じである。図2に、その一施工態様を示す。図2では、溶融亜鉛めっき鋼材(または裸の鋼材)5の端部5aに、アルミニウム材4の端部4aを上側として重ね合わせて、互いの端部5a、4a同士の重ね継手を形成する。
そして、溶接トーチ10、本発明に係るフラックス入りワイヤ3などを用い、鋼材5とアルミニウム材4との互いの端部5a、4aに沿って(図の前後方向に)延在する溶接線7に沿って、溶接トーチ10を移動させ、溶接線7全長を上記各MIG溶接する。この際、溶接トーチ10の傾き角度θを適宜選択する。図2において6は溶接線7上に形成された溶接金属(ビード)である。
本発明異材接合方法の場合、鋼材とアルミニウム材とを直接接合できるので、適正な溶接電流・電圧条件・接合形状等を採用する限り、特に制約を受けることがなく、適用可能範囲が拡大され汎用性が高められるとともに、また連続的な接合も可能となる効果もある。そして、前述のように、ビードなどの溶接金属中への鋼材の必要最小限の溶融(希釈)量で健全な結合状態を得ることができ、溶融亜鉛めっき鋼材でも、脆い金属間化合物が生成し難く、高い接合強度が得られる。
(溶接条件)
この溶接施工の際、溶接部(接合部)の接合強度を向上させるための、上記各MIG溶接における好ましい溶接条件について以下に説明する。アルミニウム材と鋼材との界面に生成する金属間化合物の生成を抑制するためには、溶接条件として、母材である鋼材を過剰量溶融させることなく、必要最小限の母材溶融(希釈)量で健全な接合状態が得られるように溶接することが好ましい。
溶接電流:
本発明交流MIG溶接や直流逆極性によるMIG溶接を実施する際、大電流となるほど、フラックス入りワイヤであっても、フラックスが飛散しやすくなり、生成する接合界面の脆い金属間化合物が多くなる。このため、こうしたフラックスの飛散や金属間化合物を抑制する上で、低い電流条件で接合することが推奨される。このような溶接電流としては20A以上、より好ましくは30A以上で、100A以下、より好ましくは80A以下である。
溶接電圧:
溶接電圧は、溶接電流と同様に、交流MIG溶接や直流逆極性によるMIG溶接とも、低い電圧条件で接合することが推奨される。この点、溶接電圧は、5V以上、より好ましくは7V以上で、20V以下、より好ましくは18V以下である。
溶接速度:
溶接速度は、交流MIG溶接や直流逆極性によるMIG溶接とも、上記溶接電流および溶接電圧に応じて母材中のFeおよびAlを過剰溶融させない範囲で適当に決めればよい。交流MIG溶接で、溶接能率なども考慮して好ましいのは15cm/min以上、より好ましくは20cm/min以上で、60cm/min以下、より好ましくは50cm/min以下である。
これに対して、直流逆極性によるMIG溶接では、前記した通り、脆弱な金属間化合物発生を抑制するために、溶接速度をできるだけ上げて溶接を行い、入熱量を低減する必要がある。このため、溶接速度として、好ましいのは30cm/min以上、より好ましくは50cm/min以上で、200cm/min以下、より好ましくは150cm/min以下である。
シールドガス:
交流MIG溶接や直流逆極性によるMIG溶接とも、シールドガスは、Arなど汎用されるガスが適宜使用でき、このシールドガス流量も、例えば10〜50L/minの汎用流量が選択でき、特に制限は無い。
溶接トーチ角度:
溶接トーチ(アークトーチ)角度は、特に制約は無く、交流MIG溶接や直流逆極性によるMIG溶接とも、溶接や継手の溶接条件などに応じて、角度θは適宜選択される。
(適用対象部材)
本発明異材接合方法の適用対象部材としては、前記した通り、溶融亜鉛めっき鋼材からなる自動車のメンバ類や大型パネル類と、アルミニウム合金材からなる補強材との、構造部材同士の接合が例示される。この点、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板を成形した矩形中空形状からなるサイドメンバと、アルミニウム合金押出中空形材からなるバンパ補強材あるいはバンパステイなどとの、図2のような直接端部同士を重ね合わせての継手や、互いの端部に設けたフランジ面同士を重ね合わせての継手などの接合が例示される。
(鋼材)
鋼材の耐食性確保の観点から、また、本発明の目的からして、元々異材接合が困難であった、合金化を含む溶融亜鉛めっき鋼材が本発明に使用されて特に好ましい。溶融亜鉛めっきを含めた亜鉛めっき鋼材の溶接では、発生する亜鉛蒸気によりアークが不安定になり、スパッタの発生やピット、ブローホール等の気孔欠陥の発生が問題となる。しかし、本発明によれば、フラックスの効果により鋼板表面の清浄効果が発揮され、溶融金属が濡れ性よく鋼板表面を覆うため、亜鉛蒸気の発生も少ない。特に、本発明のフラックス入りワイヤでは吸湿性の高いフッ化セシウムを含有しないため、ブローホールをさらに抑制でき、アークの安定性にも優れる。
本発明で用いる鋼材(鉄系材料)自体は、上記亜鉛めっきを施した、あるいは裸もしくは表面処理された、普通鋼、高張力鋼(ハイテン)などの鋼材である。本発明においては、使用する鋼材の種類や形状を特に限定するものではなく、構造部材に汎用される、あるいは構造部材用途から選択される、鋼板、鋼形材、鋼管などの適宜の形状、材料が使用可能である。ただ、構造部材としての高強度を得るためには、高張力鋼(ハイテン)であることが好ましい。
(アルミニウム材)
本発明で用いるアルミニウム材は、その合金の種類や形状を特に限定するものではなく、各構造用部材としての要求特性に応じて、汎用されている圧延などの板材、押出などの形材、鍛造材、鋳造材などが適宜選択される。ただ、構造部材としての高強度を得るためには、成形性などの要求諸特性も満たすアルミニウム合金として汎用される、Al−Mg系、Al−Mg−Si系あるいはAl−Mg−Zn系の、JIS乃至AA規格で言う、5000系、6000系、7000系などのアルミニウム合金とすることが好ましい。これらのアルミニウム合金を、構造部材毎の必要強度や成形性に応じて調質処理したものが便宜選択される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより、下記実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
本発明の実施例を以下に説明する。本発明異材接合法を用いて、アルミニウム合金板と鋼板との重ねすみ肉溶接試験を行い、ビード形状と接合強度とを測定、評価した。ここで、鋼板は、溶融合金化亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)、溶融亜鉛めっき鋼板(GI鋼板)と裸(無表面処理)の鋼板とを用いた。交流MIG溶接の結果を表1に示す。また、直流逆極性によるMIG溶接の結果を表2に示す。
アルミニウム合金板と鋼板との試験片同士の重ねすみ肉溶接は、交流MIG溶接や直流逆極性によるMIG溶接とも、前記した図2に示す態様で行った。即ち、板厚1.6mmのアルミニウム合金板(JIS5182合金)端部を、板厚1.2mmの溶融合金化亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)、溶融亜鉛めっき鋼板(GI鋼板)、あるいは裸の鋼板端部(いずれも引張強度:270MPa)に重ね合わせて、重ねすみ肉継手を形成した。試験片の平面サイズはアルミニウム合金板と鋼板とも幅100mm×長さ300mmとし、お互いの重ね代を35mmとした(溶接線長さは板幅の分の100mm)。
これに、表1、2に示すように、フラックス充填率を種々変化させたKFとAlF3との混合フラックス入りワイヤを用いて、上記アルミニウム合金板と亜鉛めっき鋼板とのMIG溶接を行った。この際、フラックスのKFとAlF3との混合比率は、その融点が650℃と一定になるように、発明例、比較例ともに一定とし、KF:45mol%と、AlF3:55mol%とを混合したフラックスを使用した。フラックス入りワイヤは共通して1.2mmφのものを使用した。フラックス入りワイヤは、アルミニウム外皮としてA4043を使用し、前記した伸線加工により、上記最終1.2mmφの径に制作した。
なお、比較のために、KF45mol %、AlF 3 55mol %とを混合させ、このKFの一部を、従来のフッ化セシウム、フッ化亜鉛で置き換えて、フッ化セシウム、フッ化亜鉛を各々10mol %含むフラックス入りワイヤを用いた例も、発明例と同じ条件にて交流MIG溶接を行った。これらを、表1に比較例8、9として示す。この比較例8、9のフラックス充填率は発明例と同じ10質量%とした。また、比較例8、9のフラックス融点はそれぞれ約500℃程度である。
溶接条件は、交流MIG溶接や直流逆極性によるMIG溶接とも、上記で推奨したMIG溶接条件の範囲内で実施した。溶接速度:交流MIG溶接は35cm/minとし、直流逆極性によるMIG溶接では、前記した通り、脆弱な金属間化合物発生を抑制するために、溶接速度を上げて、80cm/minとした。また、交流MIG溶接や直流逆極性によるMIG溶接とも、溶接電流:75A、溶接電圧:18V、溶接トーチ角度は90°とし、シールドガスにはArを用いた。
溶接は以上の条件で各例とも3回行い、各接合した継手から試験片を採取して各種試験を行ない、いずれも平均化して評価した。先ず、せん断引張強度については、各3回接合した継手から、各々板幅30mmの継手強度評価用試験片を採取し、25mm/minの速度で引張試験を行い、各例とも、その平均値を求めた。
また、フラックスの拡がり効果を調べるため、接合継手部の濡れ性を調べた。濡れ性の評価は、図2を模式化した図3に示す通り、溶接金属6の拡がり幅(a)と溶接金属部6の高さ(b)とを溶接線に亙って適当な間隔で各々測定した。その上で、これらのaとbとの比a/bを溶接線に亙って平均化して、各例とも3個の(3回の溶接試験による)試験片で更にa/bを平均化した。そして、濡れ性の評価基準は、この平均化したa/bが6.0未満の範囲にあるものを溶接金属の拡がり幅が適切であるとして○、同じくa/bが6.0以上であるものを×(溶接金属が拡がり過ぎて、健全なビードが形成されない)と判定した。
溶接作業性については、溶接作業中のヒュームの発生量、およびビードの安定性を評価した。ヒュームの発生量はJIS−Z3930に準拠して測定した。即ち、各フラックス入りワイヤを使用した際の溶接時に発生する全ヒュームを捕集し、単位時間当たりのヒューム発生量を求めた。各例とも3回の溶接試験によりヒューム発生量を平均化し、ヒューム発生量が300mg/分未満を◎、300−700mg/minを○、700mg/分以上を×と。各々評価した。
更に、ビードの安定性は、図4に示す、生成したビード形状の基準に従って評価した。3回の溶接試験とも図4(b)のようにビードが直線的に綺麗に形成されているものを○、1回の溶接試験でも図4(a)のようにビードが断続的にしか形成されていない例が生じたものを×とした。これらの結果を表1、2に示す。
先ず、 表1から明らかな通り、フラックス入りワイヤのフラックスとフラックス充填率が本発明範囲内で、交流MIG溶接条件も好ましい範囲内である発明例2〜4は、溶融合金化亜鉛めっき鋼板の異材接合であっても、溶接金属の濡れ性が適正で、良好なビードが形成されて、接合強度が改善されるとともに、溶融フラックスの飛散によるヒューム発生量が少なく、溶接安定性に優れている。また、裸の鋼板例である発明例6、7でも同様であった。
これに対して、フラックスの充填が無い比較例1は、溶融合金化亜鉛めっき鋼板の異材接合での接合自体ができなかった。また、フラックス入りワイヤのフラックス組成は同じだが、フラックス充填率が本発明範囲を上限に外れる比較例5は、フラックス充填率が多過ぎる。このため、比較例5は、溶融合金化亜鉛めっき鋼板の異材接合での溶接金属の濡れ性が不適正で、ビード形成が断続的であり、接合してはいるものの接合強度が低い。更に、溶融フラックスの飛散によるヒューム発生量が多く、溶接の安定性が劣っていた。
一方、従来のフッ化セシウム、フッ化亜鉛を用いた比較例8、9は、フラックス充填率は発明例と同じとしたため、溶融フラックスの飛散によるヒューム発生量が少なく、溶接安定性には優れている。しかし、溶接金属の濡れ性が不適正で、ビード形成が断続的である。このため、溶融合金化亜鉛めっき鋼板の異材接合で、接合してはいるものの、発明例に比して、接合強度が著しく劣っていた。これは、フッ化セシウム、フッ化亜鉛を用いたフラックスでは、融点が低すぎて濡れ過ぎるためにビードが拡がりすぎるのと、吸湿性が高いために水分の影響でビードが安定せず断続的となることによって、良好な継手が出来ないものと推考される。
次に、 表2から明らかな通り、発明例11、12、14〜16は、フラックス入りワイヤのフラックスとフラックス充填率が本発明範囲内で、直流逆極性によるMIG溶接条件も好ましい範囲内である。この結果、これら発明例は、溶融合金化亜鉛めっき鋼板や溶融亜鉛めっき鋼板の異材接合であっても、溶接金属の濡れ性が適正で、良好なビードが形成されて、接合強度が改善されるとともに、溶融フラックスの飛散によるヒューム発生量が少なく、溶接安定性に優れている。また、裸の鋼板例である発明例17でも同様であった。
これに対して、フラックスの充填が無い比較例10は、溶融合金化亜鉛めっき鋼板の異材接合での接合自体ができなかった。また、比較例13は、フラックス組成は同じだが、フラックス充填率が多過ぎ、本発明範囲を上限に外れる。このため、溶融合金化亜鉛めっき鋼板の異材接合での、溶接金属の濡れ性が不適正で、ビード形成が断続的であり、接合してはいるものの接合強度が低い。更に、溶融フラックスの飛散によるヒューム発生量が多く、溶接の安定性が劣っていた。
これらの実施例から、本発明要件である、フラックス入りワイヤのフラックス組成やフラックス充填率の、特に亜鉛めっき鋼材とアルミニウム材との異材接合の接合強度や作業性に対する臨界的な意義が分かる。
Figure 0004256892
Figure 0004256892
本発明によるフラックス充填率およびその融点を適正に制御したフラックス入りワイヤを用いて交流MIG溶接により接合させることにより、接合母材の形状などの制約が一切なく、また接合継手部に脆弱な金属間化合物を発生させることなく、ブローホールなどの欠陥のない外観良好な、亜鉛めっき鋼材とアルミニウム材との異材接合継手を得ることができる。しかも本発明法を採用すれば、溶接作業性も安定しており、かつ連続的な接合が可能で、効率的に鋼材とアルミニウム材の異材接合を実施することができる。
本発明に用いるフラックス入りワイヤの一態様を示す断面図である。 本発明異材接合方法の一態様を示す断面図である。 異材接合における溶接ビードの濡れ性評価の態様を模式的に示す断面図である。 異材接合における溶接ビード外観評価の態様を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1:フラックス、2:アルミニウム材、3:フラックス入りワイヤ、
4:アルミニウム材、5:鋼材、6:溶接金属、7:溶接線、
10:溶接トーチ

Claims (2)

  1. アルミニウム材と鋼材とを、フラックス入りワイヤを用いて、交流MIG溶接または直流逆極性によるMIG溶接により接合する異材接合方法であって、アルミニウム材外皮内部にフラックスを充填してなるフラックス入りワイヤを用い、この充填するフラックスをフッ化アルミニウムとフッ化カリウムとの混合フラックスとし、かつ、この混合フラックスの充填量を、フラックス入りワイヤの全体質量に対して0.1質量%以上、24質量%未満とし、前記混合フラックスの融点が560℃から700℃の範囲であり、フラックス入りワイヤの径が1.6mmφ以下であることを特徴とする異材接合方法。
  2. 前記鋼材が亜鉛めっき鋼材である請求項1に記載の異材接合方法。
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