JP4255760B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱手段で加熱される定着部材を有する定着装置、及びこの定着装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリやこれらの複合機等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの少なくとも1つの機能を備えた複合機等として構成される電子写真方式の画像形成装置には、定着装置が装着されている。定着装置は、加熱手段により加熱される定着部材と、定着部材と圧接する加圧部材とを備え、トナー画像が転写されている記録材を、定着部材と加圧部材とにより形成されるニップ部を通過させることでトナー画像を記録材上に定着する方式が一般的に採用されている。定着部材は金属製の芯金上に弾性層及び離型層を積層されていて、熱容量が比較的大きいため、室温から設定温度まで加熱するのに掛かる立ち上がり時間は長くなる。
【0003】
定着部材に対する加熱方式としては、定着部材の内部にハロゲンヒータ等の加熱手段を設けて内部から加熱する場合や、定着部材の外部に加熱手段を設けて外部から加熱する場合がある。内部から定着部材を加熱する定着装置としては特許文献1があり、外部から定着部材を加熱する定着装置としては、特許文献2が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−184291号公報
【特許文献2】
特開2002−40855号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
定着部材は、一般に記録材の幅よりも長手方向へ長さ形成されているので、定着部材の長さよりも小さいサイズの記録材を連続的に通紙定着を行うと、非通紙部分の温度が上がり、破壊されることがある。また、小さいサイズの用紙を連続的に通紙した直後に大きいサイズの用紙を定着させようとした際には、非通紙部分が通紙部分よりも高温になっているため、定着部材に温度ムラが発生し、シワや光沢ムラ、さらにはホットオフセット等の不具合が発生することがあった。また、特許文献1のように定着部材の内部から加熱する場合には、外部から定着部材を材加熱する場合よりも室温から設定温度まで加熱するのに掛かる立ち上がり時間は長くなる。
【0006】
本発明は、定着部材の熱を効率よく逃がし易くして温度上昇を抑え、トナーのホットオフセット等や、定着部材の破壊、シワや光沢ムラ等の発生を防止しつつ、立ち上がり時間の短い定着装置、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を設定するため、請求項1の発明は、加熱手段により加熱される定着部材と、定着部材と圧接する加圧部材とを備え、トナー画像が転写されている記録材を、定着部材と加圧部材とにより形成されるニップ部を通過させることで定着を行う定着装置において、定着部材は、その内部に空洞を有し、両端が開口された金属性の芯金と、芯金の厚みが所定の厚みよりも薄い部分の前記空洞内部の表面に設けた断熱部材を有し、空洞内の熱を開口から外部へ強制的に移動させるファンを有することを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載の定着装置において、用紙サイズを検出する用紙サイズ検出手段によって検出した用紙サイズと、用紙の通紙枚数を計数する通紙枚数計数手段によって計数した通紙枚数とに基づいて、ファンの駆動状態を変更制御する制御部を有することを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、像担持体と、この像担持体に形成されるトナー像を記録材に転写する転写手段と、記録材に転写されたトナー画を記録材に定着する定着装置とを備えた画像形成装置において、
前記定着装置として、請求項1または2記載の定着装置を用いた事を特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
発明の背景
定着装置において、定着部材の温度の立ち上がり時間を短縮することは省エネのために重要である。芯金や弾性層を薄肉化することで装置を低熱容量にでき、立ち上がり時間を短縮することは可能である。これにより立ち上がり時間はかなり短縮できるが、加熱手段が内部にある場合には、定着部材の内面から表面まで熱伝導で熱が伝わるのに時間のロスがある。特に十分な厚さの弾性層が必要なカラー画像に対応する定着装置においては、この時間のロスは大きい。このため立ち上がり時間の遅れや、通紙時の定着部材の温度低下からの復帰に時間が掛かり、連続通紙時に定着部材の温度が下がるので定着性が悪くなるなどの問題がある。
【0011】
この対策として特許文献2の記載のように、定着部材の表面側に加熱手段を配置し、定着部材表面を直接加熱する外部加熱方式が提案されている。外部加熱方式では、加熱が必要な表層のみを加熱しているので、立ち上がり時間は非常に速く、また通紙時の温度低下からの復帰のレスポンスも良い。しかし実際の表層の熱は、加熱が不要な部材内部や加圧部材等に逃げて行くため、表層のみの加熱の理論値よりは立ち上がり時間は遅くなる。
【0012】
このため表層の下には断熱層が設けられ、この断熱性を向上させることで立ち上がり時間を短縮することを図っている。断熱性の良い部材としては、熱伝導率の低い空気などの気体を内部に含んだ部材が一般的で、例えば、特開2000−206815号公報では、発泡シリコーンゴムが良く使用されている。発泡シリコーンは空気を含むため熱伝導率が低く、断熱性は良いが、ニップ部内では圧縮されて空気含有率が小さくなり、熱伝導率が大きくなってしまう。また、圧縮変形するので高面圧が掛けられないことや、変形の繰り返しにより経時で劣化する等の問題がある。更に圧縮により回転半径が変化するので記録材等を一定速度で搬送する駆動側部材としては不向きであるという欠点がある。剛性が高く、変形の小さい断熱材としては、特開2002−40855号公報に記載の多孔質セラミックスや、特開2000−275996号公報に記載の多孔質樹脂や中空粒子をバインダーに混合したものが挙げられる。
【0013】
このような背景を踏まえ、本発明にかかる定着装置や画像形成装置の構成や作用を説明すると、請求項1では、定着部材は、最高温度部分よりも内部に空洞を含み、この空洞内における放熱量が定着部材の長手方向で異なるようにしている。この場合、放熱量の高い部位の温度は逃げやすくなるので、非通紙部に相当する部位の内部における放熱量を大きくすることで、定着部材における内部温度のムラの発生が抑制され、温度ムラに起因するシワや光沢ムラ、さらにはホットオフセット等の不具合を防止できる。
【0014】
定着部材の金属性の芯金を有する場合に、芯金の厚みが所定の厚みよりも薄い部分の空洞内部の表面に断熱部材を設けている。断熱部材を設けると、熱が空洞内部に伝わりにくくなるので、通紙部に相当する部位の芯金を薄くした場合、その内部に断熱部材を設けることで、通紙部に相当する部位の熱は逃げにくくなり、温度の立ち上がりを素早く行える。また、非通紙部に相当する部位の熱は断熱部材がないので、逃げ易くなり、温度上昇を抑えられる。
【0015】
請求項1では、空洞内に熱を定着部材外部へ逃がす熱移動部を設けている。したがって、定着部材の空洞内の熱を定着部材外部へ逃がすことができ、定着部材の内部が冷却され、内部温度の上昇を抑えられる。このため、定着部材における内部温度のムラの発生が抑制され、温度ムラに起因するシワや光沢ムラ、さらにはホットオフセット等の不具合を防止できる。熱移動部としては、空洞と定着部材の外部とを連通する開口や、空洞と定着部材の外部とを連通するヒートパイプが挙げられる。開口を設けた定着部材の場合、さらに、空洞内の熱を開口から外部へ強制的に移動させるファンを設けると、定着部材の内部の冷却効率が高まり、内部温度の上昇を抑えられ、定着部材における内部温度のムラの発生を抑制することができ、温度ムラによる不具合を防止することができる。
【0016】
請求項2では、用紙サイズを検出する用紙サイズ検出手段によって検出した用紙サイズと、用紙の通紙枚数を計数する通紙枚数計数手段によって計数した通紙枚数とに基づいて、ファンの駆動状態を変更制御する制御部を設けている。これは、転写材のサイズが大きい場合や、サイズが小さく枚数が少ない場合には端部昇温がほとんど起こらないため、ファンを駆動する必要性が薄くなるためである。したがって用紙サイズや通紙枚数から定着部材の端部温度が上昇度合いを推定し、必要のない場合には、ファンを停止状態とし、必要のある場合にはファンを駆動させることにより、消費電力を低減しながら、無駄のない冷却が可能となる。
【0017】
請求項3では、画像形成装置に上述の定着装置を用いている。このような定着装置を用いることで、トナーのホットオフセット等や定着部材の破壊、シワや光沢ムラ等の発生を防止しつつ、立ち上がり時間が短かく、省電力な画像形成装置を達成することができる。
【0018】
【実施例】
図13に示す画像形成装置は、電子写真方式のフルカラーのプリンタの一形態である。このプリンタは、箱状の装置本体500内に、像担持体となる複数の感光体ドラム504Y,504M,504C,504BKを備えた感光体ユニット502Y,502M,502C,502BKと、感光体ドラム504Y,504M,504C,504BKと対向配置され、転写材としての用紙Pを搬送する転写搬送体としての転写搬送ベルト503を有する転写ユニット560と、転写搬送ベルト503によって搬送される用紙Pに感光体ドラム504Y,504M,504C,504BK上のトナー像を転写する転写手段としての転写ローラ501Y,501M,501C,501BKが設けられている。
【0019】
転写搬送ベルト503は、その1つに回転駆動力が伝達される複数のローラに架け渡されて矢印Aで示す方向に回転駆動可能に設けられている。転写搬送ベルト3は、各感光体ドラムの表面に圧接するように配設されている。各感光体ドラムとの対向側には、現像装置505Y,505M,505C,505BKがそれぞれ配置されている。各現像装置は、複数色、例えばイエロー(以下Yという)、マゼンタ(以下Mという)、シアン(以下Cという)、ブラック(以下Kという)の各トナーとキャリアとを有する2成分現像剤を、それぞれ感光体ドラム504Y,504M,504C,504BK上に形成される静電潜像に供給して各静電潜像を現像するものである。
【0020】
感光体ユニット502Y,502M,502C,502Kの上方には露光手段としての書き込み装置506が配置され、感光体ユニット2Y,2M,2C,2Kの下方には両面ユニット507が配置されている。両面ユニット7の下方には、サイズの異なる転写材Pが収納可能な給紙カセット513,514が配設されている。装置本体500の左方には反転ユニット508が配置され、装置本体1の右側には手差しトレイ515が矢印B方向に開閉可能に設けられている。転写搬送ベルト503と反転ユニット508との間には定着装置509が配置されている。定着装置9の転写材搬送方向下流側には反転搬送路510が分岐して形成され、シート状の転写材Pを反転搬送路10に配置された排紙ローラ511によって装置上部に設けられた排紙トレイ512に案内している。
【0021】
各感光体ユニットは、各感光体ドラム上にY,M,C,BK各色に対応するのトナー像を形成するためのユニットである。各感光体ユニットには、各感光体ドラムの表面を均一に帯電する図示しない帯電装置、感光体ドラムの表面をブラシローラおよびクリーニングブレードでクリーニングするクリーニング装置とが設けられている。各感光体ユニットおよび各帯電装置は、装置本体1に配置される場所を除いては同一構成となっている。
【0022】
書き込み装置506は、図示しないレーザ光源としてのレーザダイオードからのY画像データで変調されたY用レーザ光、M画像データにより変調されたM用レーザ光、C画像データにより変調されたC用レーザ光、BK画像データにより変調されたBK用レーザ光とを、図示しないレンズ、ミラーを介して各感光体ドラムに照射して、ドラム表面に静電潜像を形成する。
【0023】
両面ユニット507は、用紙Pの両面に画像を形成する両面画像形成モード時に、片面に画像が形成されてから反転ユニット508の反転搬送路544に搬送されてスイッチバック搬送されることで表裏が反転される用紙Pを受け入れ、これを各感光体ドラムと転写搬送ベルト503との間に形成される転写部へと再搬送する。
【0024】
反転ユニット508は、複数の搬送ローラと、複数の搬送ガイド板とからなり、両面画像形成モード時に片面画像形成後の転写材を、その表裏を反転させて両面ユニット507へ送り出す機能や、画像形成後の転写材をそのままの向きで機外へ排出する機能、画像形成後の転写材を、その表裏を反転させて機外へ排出する機能を備えている。給紙カセット513,514が配置されている給紙部には、給紙カセット13,14上の用紙Pを1枚ずつに分離して給紙する分離給紙部545,546が設けられている。
【0025】
本形態では、図示しない操作部により画像形成が指示されると、各感光体ドラムが図示しない駆動源により回転駆動されて時計回り方向に回転する。そして各帯電装置は、図示しない電源から帯電バイアスが印加されて各感光体ドラムをそれぞれ一様に帯電させる。一様に帯電された各感光体ドラムは、書き込み装置506にて、Y,M,C,K各色の画像データで変調されたレーザ光により露光されて、各表面に静電潜像が形成される。これら感光体ドラム上の静電潜像は、ドラムの回転と、各現像装置が有する図示しない現像スリーブが図示しない駆動源で回転駆動されることにより現像されてY,M,C,K各色のトナー像となる。
【0026】
給紙カセット513,514のうち、選択された方の給紙カセットからは、1枚の用紙Pが分離されて、感光体ユニット502Yよりも給紙部側に配設されたレジストローラ551へ給紙される。本形態では、装置本体500の右方側部に手差しトレイ515が配置され、この手差しトレイ515からも用紙がレジストローラ551へ給紙可能とされている。レジストローラ551は、各用紙を各感光体ドラムのトナー像とその先端が一致するタイミングで転写搬送ベルト503上へ送り出す。送り出された用紙Pは、転写搬送ベルト503を巻き掛けている紙吸着ローラ52によって帯電される転写搬送ベルト3に静電的に吸着されて各転写部へと搬送される。
【0027】
搬送された用紙Pには、各転写部を順に通過する際に、図示しない電源から転写バイアスが供給された転写ローラ501Y,501M,501C,501BKを受けることで、各感光体ドラム上のY,M,C,K各色のトナー像が順次に重ね合わせて転写され、4色重ね合わせのフルカラートナー像が形成される。フルカラートナー像が形成された用紙Pは、定着装置509によりフルカラートナー像が定着され、その後は指定されたモードに応じた排紙路を通って排紙トレイ512に反転排出される場合や、定着装置509から直進して反転ユニット508内を通ってストレートに排紙される。
【0028】
画像形成装置において、両面画像形成モードが選択されているときには、記録媒体Pは、片面にトナー像が形成されて定着装置509でトナー像が定着された後に、反転ユニット508内の反転搬送路544内に送り込まれ、ここでスイッチバックされてから両面ユニット507に搬送され、そこから再給送されて表面画像形成時と同様に裏面に画像が形成されて排出される。
【0029】
以上の作像動作は、4色重ね合わせのフルカラーモードが図示しない操作部で選択されたときの動作であるが、3色重ね合わせのフルカラーモードが操作部で選択されたときにはKトナー像の形成が省略されてY,M,C3色のトナー像の重ね合わせによるフルカラー画像が用紙P上に形成される。また、白黒画像形成モードが操作部で選択されたときには、Kトナー像の形成のみが行われて白黒画像が用紙P上に形成される。
【0030】
図1は、定着装置509の概略構成図である。ここに示す定着装置509は、定着部材としてのローラ形状である定着部材2と、この定着部材2にバネ15によって加圧したローラ形状の加圧部材14とを有し、これらの部材が互いに圧接することによりニップ部Nを形成している。加圧部材14は図示しない駆動モータにより駆動されて回転し、その駆動力を定着部材2に伝えて従動回転させている。定着部材2の外部には、加熱手段としてハロゲンヒータ5と反射板6とが設置されている。反射板6は、ヒータの熱を定着部材2に向かって反射するものである。定着部材2の表面2aは、ハロゲンヒータ5からの輻射熱や反射板6で反射される輻射熱によって設定温度になるように制御されている。定着動作としては、未定着トナーが付着した用紙Pが定着部材2および加圧部材14の中央部を基準として狭持搬送されながら加熱加圧されて定着される。
【0031】
定着部材2は外形30mmで用紙幅方向に延びるローラ形状で、図4に示すように、金属製で筒状の芯金4と、芯金4の周囲に中空糸を何層も巻きつけて形成された断熱層3とから構成されている。つまり、定着部材2は、その内部に空洞4aを備えている。中空糸としてはポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリフェニレンサルファイド、ガラス、セラミックス、金属などの中空構造が挙げられる。断熱効果を高くするという点では材料を限定するものではないが、本例では、耐熱性、材料自体の熱伝導率、強度を考慮してポリイミド中空糸を採用している。ポリイミド中空糸は、外計230μm、内計150μmであり、この中空糸を密に巻き付けることで高い断熱性と剛性を備える。定着部材2の表層近傍には、図2(a)に示すように弾性層12として0.1mm厚のシリコーンゴム層があり、表層には離型層13として15μm厚のPFAチューブが被服してある。
【0032】
加圧部材14は外経30mmで、用紙幅方向に延びるローラ形状で、図2(b)に示すように中空糸を金属製の芯金4上に約2mmの層になるよう巻き付けて構成されている。中空糸層16の上には弾性層として1mmのシリコーンゴム層17が形成され、表層は離型層18として15μmのPFAチューブが被覆してある。このような構成で、定着部材2と加圧部材14を面圧2kg/cm2になるように圧接した場合において、中空糸層はほとんど変形せず、均一なニップ部Nを形成できる。
【0033】
これら定着部材2及び加圧部材14の矢印Cで示す長手方向(用紙幅方向)への長さは、通常使用する用紙Pの幅よりも長く形成されている。定着部材2の両端は、開口されていて、空洞4a内に熱を定着部材外部へ逃がす熱移動部12,13を構成している。
【0034】
次に動作を説明すると、図3のような従来の定着部材を用いた場合、例えば通常サイズの用紙Pが通紙可能な定着装置において、通常サイズよりも小さい用紙Pを連続的に通紙した場合には、通紙領域では用紙およびトナーに熱を奪われた後、再加熱されるので温度はほぼ一定になる。しかし、非通紙領域は用紙Pによって熱を奪われず、加熱されっぱなしになるため、高温になり、断熱層や弾性層の劣化や、小サイズの用紙の連続通紙後に通常サイズの用紙を通紙した際には非通紙部が高温になっているためトナーのホットオフセットや用紙のシワ等が発生してしまう。
【0035】
本発明にかかる定着部材2は、図4に示したように、小サイズの用紙を通紙した際の非通紙部となる定着部材2の端部2a、2b側に位置する弾性層3の厚みを通紙部である中央部2cよりも小さくし、定着部材2の表層から芯金4への熱抵抗を端部2a、2bと中央部2cとで異ならせている。すなわち断熱層3の表面側3aと内面側3bとの間の温度差が、定着部材2の長手方向で異なっている。断熱層3には高剛性の中空糸を用いているため、断熱層3の剛性が高く、断熱層3の厚みを変えても加圧による変形量はほとんど変わらず、ニップ部Nの用紙搬送方向への幅のバラツキは小さい。定着部材2の表層は、図1に示すハロゲンヒータ5の輻射熱により加熱され、断熱層3により表層に熱が保持される。この状態で、通紙を行うと表層の熱が通紙された用紙P及びトナーTに移動して定着される。このように表層の熱は用紙Pおよびトナーに奪われ、ハロゲンヒータ5の輻射により再加熱され、これを繰り返すことで連続的に定着できる。
【0036】
このように短時間の加熱定着のスパンであれば表層の熱はすぐに用紙PおよびトナーTに奪われてほとんど定着部材2の内部には伝導しない。しかし、小サイズ紙の連続定着動作のように比較的長時間で通紙部と非通紙部がある場合では、定着部材2の非通紙部表層と芯金4の部分の温度勾配(温度差)が大きくなり、非通紙部表層の熱が芯金4に伝導されるようになる。特に、非通紙領域の断熱層3は中央部よりも薄いため、表層の熱は中央部よりも速く芯金4に伝導し、非通紙領域の表層の温度上昇を抑えることができる。さらに、芯金4の厚みが中央部2cよりも端部2a、2b側の方が厚いので、熱容量が大きく、温度が飽和しにくい。このため、非通紙領域の表層の温度上昇を長時間抑え、通紙部と非通紙部の温度差を小さく保つことでトナーTのホットオフセットや、定着部材2の破壊、またシワや光沢ムラ等の発生を防止できる。また、空洞4a内に熱は定着部材外部へ熱移動部12,13から逃げるので定着部材2の内部温度の上昇を低減することができる。ここでは、例えば、通常サイズがA3サイズ紙、小サイズ紙がA4サイズというような定型サイズを想定して説明しているが、これら用紙サイズを限定するものではなく、図5のように定型用紙サイズの種類に対応するように段階的に断熱層3の厚さを変化させた場合や図6のように連続的に断熱層3の厚さを変化させた構成でも良い。本例において定着部材2の最高温度部分とは、広義には表層全体となり、狭義には非通紙部に位置する端部表層となる。低温部分とは、広義には空洞4aの表面全体であり、狭義には中央部2cに位置する空洞4aの表面となる。
【0037】
図7に示す定着部材2は、定着部材2の熱移動部12,13である端部の開口近傍にファン8を設け、定着部材2の内部の芯金4を冷却するようにしたものである。図7においてはファン8により定着部材2の空洞4a内に空気を送風している。このため、芯金4の温度が飽和しにくくなり、より非通紙領域の表層の温度上昇を長時間抑え、通紙部と非通紙部の温度差を小さく保つことができ、トナーのホットオフセットや、定着部材の破壊、またシワや光沢ムラ等の発生を防止できる。本例ではファン8により定着部材2の空洞4a内に空気を送風しているが、ファン8で空洞4a内の空気を吸引して熱を逃がすようにしても良い。
【0038】
図8に示す定着部材2は、芯金4の表面積を中央部よりも端部の方を大きくするようにした。芯金4の表面を機械的に荒らして凹凸を設けるか、また、フィン形状にすることで表面積が増えるので、よりも効率的に冷却できる。また、図9に示すように断熱層3の厚みに対応して、例えば中央部2cから端部2a、2bに渡って表面積を段階的もしくは連続的に表面積を変えるようにしても良い。このように構成することで、非通紙領域の表層の温度上昇を長時間抑え、通紙部と非通紙部の温度差を小さく保つことでトナーのホットオフセットや、定着部材の破壊、またシワや光沢ムラ等の発生を防止できる。
【0039】
(実施例1)
図10に示す定着部材2は、芯金4の中央部4bのみに発泡シリコーン製の断熱シート9を設けたものである。このように断熱シート9を配設すると、中央部2cの温度の低下を防ぎつつ端部2a、2bのみを冷却できるため、非通紙部の温度上昇部分のみを冷却することができる。
【0040】
(実施例2)
本例は、用紙サイズを検出する用紙サイズ検出手段としての用紙サイズセンサ19によって検出した用紙サイズと、用紙Pの通紙枚数を計数する通紙枚数計数手段としての通紙枚数計測器20によって計数した通紙枚数とに基づいて、ファン8の駆動状態を制御部としてのコントローラ10で変更制御するものである。
【0041】
コントローラ10は、周知のコンピュータで構成されていて、通紙が始まると、用紙サイズセンサ19からの用紙サイズ情報を取り込み、用紙サイズが通常のサイズか小サイズかを判断するとともに、通紙枚数計測器20で計数した通紙枚数情報を取り込む。そして、用紙サイズが通常サイズの場合は通紙枚数に関わらずファン8を駆動しない。また、用紙Pが小サイズであると判断した、且つ通紙枚数が所定枚数以上となると、ファン8を駆動して定着部材2の芯金4を冷却する。このように用紙サイズや通紙枚数によってファン8の駆動を切換制御することで、省電力化を図れると共に、無駄な冷却動作を行わずに済む。
【0042】
図12に示すように、空洞4a内部の端部4cの温度を検知する第1の温度検知手段となる温度センサ11aと、空洞4a内部の中央部4bの温度を検知する第2の温度検知手段となる温度センサ11bとを設けるとともに、これら温度センサ11a、11bで検出された温度情報の差に基づいてファン8の駆動状態を制御部となるコントローラ14で変更制御するものである。
【0043】
コントローラ14は、周知のコンピュータで構成されていて、温度センサ11a、11bからの温度情報の差が所定温度差以上になった場合に、定着部材2の路端部温度上昇が発生している見做し、ファン8を駆動する。このように空洞4a内の端部4cと中央部4bの温度差が所定温度差以上となる場合だけ、ファン8を駆動するので、省電力化を図れると共に無駄な冷却動作を行わずに済む。
【0044】
各実施例に通紙部とは、用紙Pが当接する定着部材2幅を指し、非通紙部とは用紙Pの幅よりも外側に位置する端部2a、2bを指す。上記各実施例において、定着部材2はローラ形状の構成で説明したが、図14、図15に示すように定着部材2とテンションローラ17に定着ベルト16を張架した形態の定着装置についても適応できる。定着ベルト16を用いる場合には、ハロゲンヒータ5でベルトを加熱すればよい。なお、図15に示す定着部材2は、断面扇形状であって、固定状態とされていて、定着ベルト16が摺接するようになっている。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、定着部材には、その長手方向において熱の伝わり易い部位と伝わりにくい部位とが形成されることになり、熱の伝わり易い部位では温度上昇を抑えられることになるので、定着部材における温度ムラの発生が抑制され、温度ムラに起因するシワや光沢ムラ、さらにはホットオフセット等の不具合を防止できる。
【0046】
本発明によれば、断熱層の断熱率が異なるようにしたもので、非通紙部分となる定着部材の端部の断熱率を低くすることで、熱が逃げやすくなって温度上昇が抑えられため、定着部材における温度ムラの発生が抑制され、温度ムラに起因するシワや光沢ムラ、さらにはホットオフセット等の不具合を防止できる。
【0047】
本発明によれば、定着部材の空洞内における放熱量が定着部材の長手方向で異ならせることで、放熱量の高い部位の温度は逃げやすくなるので、非通紙部に相当する部位の内部における放熱量を大きくすることで、定着部材における内部温度のムラの発生が抑制され、温度ムラに起因するシワや光沢ムラ、さらにはホットオフセット等の不具合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用された定着装置の概略構成図である。
【図2】 (a)は定着部材の部分拡大断面図、(b)は加圧部材の部分拡大断面図である。
【図3】 従来の定着部材の構成を示す概略断面図である。
【図4】 定着装置における定着部材の概略断面図である。
【図5】 定着装置における別の定着部材の概略断面図である。
【図6】 定着装置における別の定着部材の概略断面図である。
【図7】 定着装置における定着部材の概略断面図である。
【図8】 定着装置における定着部材の概略断面図である。
【図9】 定着装置における別の定着部材の概略断面図である。
【図10】 本発明の実施例1に示す定着装置における定着部材の概略断面図である。
【図11】 本発明の実施例2に示す定着装置における定着部材とその制御系を示す概略構成図である。
【図12】 定着装置における定着部材とその制御系を示す概略構成図である。
【図13】 本発明の定着装置を搭載する画像記録装置の概略構成図である。
【図14】 本発明を適用したベルト状の定着部材を用いた定着装置の概略構成図である。
【図15】 本発明を適用したベルト状の定着部材を用いた別な定着装置の概略構成図である。
【符号の説明】
2 定着部材
2a、2b 長手方向の端部
2c 長手方向の中央部
3 断熱層
3a 断熱層の表面側
3b 断熱層の内面側
4 芯金
4a 空洞
4b 空洞の中央部
4c 空洞の端部
5 加熱手段
8 ファン
9 断熱部材
10、14 制御部
11a 第1の温度検知手段
11b 第2の温度検知手段
12,13 熱移動部
14 加圧部材
19 用紙サイズ検出手段
20 通紙枚数計数手段
504Y,504M,504C,504BK 像担持体
509 定着装置
560 転写手段
T トナー画像
P 記録材
N ニップ部
C 定着部材の長手方向
Claims (3)
- 加熱手段により加熱される定着部材と、前記定着部材と圧接する加圧部材とを備え、トナー画像が転写されている記録材を、前記定着部材と加圧部材とにより形成されるニップ部を通過させることで定着を行う定着装置において、
前記定着部材は、その内部に空洞を有し、両端が開口された金属性の芯金と、前記芯金の厚みが所定の厚みよりも薄い部分の前記空洞内部の表面に設けた断熱部材を有し、
前記空洞内の熱を前記開口から外部へ強制的に移動させるファンを有することを特徴とする定着装置。 - 請求項1記載の定着装置において、
用紙サイズを検出する用紙サイズ検出手段によって検出した用紙サイズと、用紙の通紙枚数を計数する通紙枚数計数手段によって計数した通紙枚数とに基づいて、前記ファンの駆動状態を変更制御する制御部を有することを特徴とする定着装置。 - 像担持体と、この像担持体に形成されるトナー像を記録材に転写する転写手段と、記録材に転写されたトナー画を前記記録材に定着する定着装置とを備えた画像形成装置において、
前記定着装置として、請求項1または2記載の定着装置を用いた事を特徴とする画像形成装置。
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