JP4252663B2 - 自動二輪車の制動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前輪に設けられた前輪ブレーキと、後輪に設けられた後輪ブレーキと、前輪ブレーキおよび後輪ブレーキにブレーキ油圧を供給するマスタシリンダと、マスタシリンダから前輪ブレーキおよび後輪ブレーキに供給するブレーキ油圧を制御する油圧制御ユニットとを備えた自動二輪車の制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブレーキレバーにより駆動される第1マスタシリンダからのブレーキ油圧で作動する第1前輪ブレーキを備えるとともに、ブレーキペダルにより駆動される第2マスタシリンダからのブレーキ油圧で作動する第2前輪ブレーキおよび後輪ブレーキを備えた自動二輪車において、第1、第2マスタシリンダから第1、第2前輪ブレーキおよび後輪ブレーキに供給されるブレーキ油圧を減圧して前輪および後輪のロックを防止するためのABS制御ユニットを、第1、第2前輪ブレーキおよび後輪ブレーキにそれぞれ対応して合計3個備えたものが、特許第2582115号公報により公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記従来の自動二輪車の制動装置は、第1、第2前輪ブレーキおよび後輪ブレーキにそれぞれ対応して3個のABS制御ユニットを備えているため、部品点数が多くなってコストや重量が増加するという問題がある。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、簡単な構造で前輪ブレーキおよび後輪ブレーキを連動して制御することが可能な自動二輪車の制動装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、前輪に設けられた前輪ブレーキと、後輪に設けられた後輪ブレーキと、前輪ブレーキおよび後輪ブレーキにブレーキ油圧を供給するマスタシリンダと、マスタシリンダから前輪ブレーキおよび後輪ブレーキに供給するブレーキ油圧を制御する油圧制御ユニットとを備えた自動二輪車の制動装置において、マスタシリンダから延びる1本の油路は分岐部で2本の油路に分岐して前輪ブレーキおよび後輪ブレーキにそれぞれ連なっており、前記分岐部よりもマスタシリンダ側の油路に油圧制御ユニットを配置したことを特徴とする自動二輪車の制動装置が提案される。
【0006】
上記構成によれば、マスタシリンダから延びる1本の油路が分岐部で2本の油路に分岐して前輪ブレーキおよび後輪ブレーキに連なっているので、共通のマスタシリンダから供給されるブレーキ油圧で前輪ブレーキおよび後輪ブレーキの両方を作動させてライダーのブレーキ操作の負担を軽減することができる。また前記分岐部よりもマスタシリンダ側の油路に油圧制御ユニットを配置したので、共通の油圧制御ユニットで前輪ブレーキおよび後輪ブレーキに供給するブレーキ油圧を制御することが可能になり、前輪ブレーキおよび後輪ブレーキにそれぞれ対応して油圧制御ユニットを設ける場合に比べて部品点数を減らして重量およびコストを削減することができる。
【0007】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前輪および後輪の制動力配分特性は、理想配分特性よりも常に後輪側の制動力が大きく設定されることを特徴とする自動二輪車の制動装置が提案される。
【0008】
上記構成によれば、前輪および後輪の制動力配分特性を理想配分特性よりも常に後輪側の制動力が大きくなるように設定したので、車体コントロール性能に与える影響が大きい前輪が後輪よりも先にロックするのを防止しながら必要な制動力を確保することができる
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1〜図5は本発明の第1実施例を示すもので、図1は自動二輪車の制動装置の全体構成図、図2は第1ABS制御ユニットの縦断面図(図3の2−2線断面図)、図3は図2の3−3線断面図、図4は前輪制動力および後輪制動力の配分特性を示す図、図5は連動領域およびABS領域を検索するマップを示す図である。
【0011】
図1は自動二輪車の制動装置を示すもので、操向ハンドルの左端および右端にそれぞれ左ブレーキレバー11L および右ブレーキレバーレバー11R が設けられており、左ブレーキレバー11L によって左マスタシリンダMCL が作動し、右ブレーキレバーレバー11R によって右マスタシリンダMCR が作動する。左マスタシリンダMCL から延びる油路L1 は分岐部Pで二股に分岐し、その一方の油路L2 は後輪Wrを制動する後輪ブレーキBrの2個のホイールシリンダ12,12に接続され、その他方の油路L3 は前輪Wfを制動する左右一対の前輪ブレーキBf1 ,Bf2 の左側の前輪ブレーキBf1 のホイールシリンダ13,13に接続される。また右マスタシリンダMCR から延びる油路L4 は、前記左右一対の前輪ブレーキBf1 ,Bf2 の右側の前輪ブレーキBf2 の2個のホイールシリンダ14,14に接続される。
【0012】
左マスタシリンダMCL から延びる油路L1 には前輪Wfおよび後輪Wrのロックを防止するための第1ABS制御ユニット15が介装され、更に油路L1 から前輪Wf側に分岐する油路L3 には減圧弁16が介装される。また右マスタシリンダMCR から延びる油路L4 には前輪Wfのロックを防止するための第2ABS制御ユニット17が介装される。電子制御ユニット18には、前輪Wfの回転数を検出する前輪速度センサSfからの信号と後輪Wrの回転数を検出する後輪速度センサSrからの信号とが入力される。電子制御ユニット18は、前輪Wfの回転数および後輪Wrの回転数から前輪Wfのスリップ率および後輪Wrのスリップ率を算出し、それらスリップ率に基づいて第1ABS制御ユニット15および第2ABS制御ユニット17の作動を制御する。
【0013】
尚、前記左側の前輪ブレーキBf1 は本発明の前輪ブレーキを構成し、前記左マスタシリンダMCL は本発明のマスタシリンダを構成し、前記第1ABS制御ユニット15は本発明の油圧制御ユニットを構成する。
【0014】
次に、図2および図3に基づいて第1ABS制御ユニット15の構造を説明しる。
【0015】
第1ABS制御ユニット15は、後輪ブレーキBrおよび左側の前輪ブレーキBf1 に連なる出力室21に一端を臨ませたケーシング22に摺動自在に嵌合するエキスパンダピストン23と、左マスタシリンダMCL に連なる入力室24および前記出力室21間に設けられるとともに出力室21の容積が増大する方向へのエキスパンダピストン23の移動に応じて閉弁するカット弁25と、ケーシング22に取付けられる電動モータ26と、電動モータ26およびエキスパンダピストン23間に設けられるとともに電動モータ26の回転をエキスパンダピストン23の軸方向の移動に変換するピストン駆動機構27とを備える。
【0016】
ケーシング22は、第1ケース部材28と、第1ケース部材28に嵌合する円筒部29aを有して第1ケース部材28に螺着される第2ケース部材29とで構成され、第2ケース部材29には、円筒部29aに摺動自在に嵌合するエキスパンダピストン23の一端との間に出力室21を形成する隔壁30が一体に設けられるとともに、出力室21とは反対側で隔壁30との間に入力室24を形成する蓋部材31が嵌合して固定される。而して、出力室21は第2ケース部材29に設けられた通路32を介して後輪ブレーキBrおよび左側の前輪ブレーキBf1 に連通し、蓋部材31には入力室24を左マスタシリンダMCL に連通させる通路33が設けられる。
【0017】
カット弁25は、出力室21に通じて隔壁30に設けられた弁孔34の開口端を中央部に臨ませて入力室24側で隔壁30に設けられるテーパ状の弁座35と、この弁座35に着座可能として入力室24に収納される球状の弁体36と、弁体36を弁座35に着座させる方向の弾発力を発揮して蓋部材31および弁体36間に縮設される弁ばね37と、エキスパンダピストン23の一端に同軸にかつ一体に連設されて弁孔34に緩く挿入されるとともに先端を弁体36に当接させる弁軸38とを備える。
【0018】
このようなカット弁25は、エキスパンダピストン23が図2および図3に示すように出力室21の容積が収縮する側に移動している状態では弁軸38に押されて弁体36が弁座35から離反した開弁状態にあり、入力室24および出力室21間が連通される。またエキスパンダピストン23が出力室21の容積を増大する側(図2および図3の下側)に移動したときには弁ばね37の弾発力により弁体36が弁座35に着座してカット弁25が閉弁状態となり、入力室24および出力室21間が遮断される。
【0019】
電動モータ26は、エキスパンダピストン23の作動軸線と直交する回転軸線を有して第1ケース部材28に固定されるものであり、該電動モータ26およびエキスパンダピストン23間に設けられるピストン駆動機構27は、エキスパンダピストン23の他端を臨ませて第1ケース部材28内に形成された作動室39に収納される。
【0020】
ピストン駆動機構27は、電動モータ26と平行な回転軸線を有して第1ケース部材28に回転自在に支持されるとともに電動モータ26から減速された動力が伝達されるクランク軸40を備える。このクランク軸40は、軸方向に相互に離れて同軸に配置される一対のクランク主軸40a,40bと、両クランク主軸40a,40bにそれぞれ連設されるクランク腕40c,40dと、クランク主軸40a,40bと平行な軸線を有して両クランク腕40c,40d間に設けられるクランクピン40eとから成るものであり、両クランク主軸40a,40bは、軸受41,42を介して第1ケース部材28にそれぞれ回転自在に支持される。電動モータ26の出力軸には比較的小径のピニオン43が固設されており、このピニオン43は、クランク軸40のクランク主軸40aおよびクランク腕40c間に固設された比較的大径のギヤ44に噛合する。従って、クランク軸40には電動モータ26からの回転動力が減速されて伝達されることになる。
【0021】
クランク軸40のクランクピン40eには、該クランクピン40eと同軸のリング46が、一対の軸受45,45を介して回転自在に支持されており、このリグ46がエキスパンダピストン23の他端に転がり接触する。
【0022】
また第1ケース部材28には、内端開口部を作動室39に臨ませるとともに外端を開放した摺動孔47が、クランク軸40の軸線と直交する方向に延びて設けられており、この摺動孔47には、閉塞端をリング46に摺接させる有底円筒状のリフタ48が摺動自在に嵌合し、摺動孔47の外端開口部を閉塞して第1ケース部材28に締結されたばね受け部材49とリフタ48との間にばね50が縮設される。而して、ばね50は、リング46をエキスパンダピストン23の他端に常に転がり接触せしめるようにリフタ48を付勢する弾発力を発揮する。
【0023】
このようなピストン駆動機構27によれば、電動モータ26の作動に応じてエキスパンダピストン23がその軸線方向に駆動されることになり、エキスパンダピストン23が出力室21の容積を縮小する側に駆動されたときにはカット弁25が開弁作動し、またエキスパンダピストン23が出力室21の容積を増大する側に駆動されたときにはカット弁25が閉弁作動する。
【0024】
エキスパンダピストン23の軸方向移動範囲、即ちピストン駆動機構27の作動範囲を規制するために、第1ケース部材28には、ピストン駆動機構27の構成要素であるリング46に内端を当接させ得るストッパピン52が螺合される。これにより、ピストン駆動機構27は、図3に実線で示すように出力室21の容積を最小とする位置にエキスパンダピストン23を作動せしめるカット弁開弁側の作動規制端と、図3に鎖線で示すように出力室21の容積を最大とする位置にエキスパンダピストン23を作動せしめるカット弁閉弁側の作動規制端との間で作動することになる。
【0025】
また第1ケース部材28には、ピストン駆動機構27の作動量、即ちクランク軸40の回転角度(クランク角)を検出するためのポテンショメータ51が、クランク軸40におけるクランク主軸40bに連結されるように取り付けられる。ポテンショメータ51で検出したクランク軸40の回転角度は、電動モータ26の作動をフィードバック制御すべく電子制御ユニット18に入力される。
【0026】
図1に戻り、第1ABS制御ユニット15と左側の前輪ブレーキBf1 とを接続する油路L3 に介装された減圧弁16は、第1ABS制御ユニット15から伝達される入力油圧が所定値に達するまでは左側の前輪ブレーキBf1 にブレーキ油圧を出力せず、前記入力油圧が所定値を超過した後には、その超過量に等しいブレーキ油圧を左側の前輪ブレーキBf1 に出力する。
【0027】
尚、右ブレーキレバー11R と右側の前輪ブレーキBf2 との間に介装される第2ABS制御ユニット17は、上述した第1ABS制御ユニット15と実質的に同一の構造を有しているため、その重複する説明は省略する。
【0028】
次に、上記構成を備えた自動二輪車の制動装置の作用を説明する。
【0029】
ライダーが左手で左ブレーキレバー11L を操作すると左マスタシリンダMCL がブレーキ油圧を発生し、そのブレーキ油圧は油路L1 に設けた第1ABS制御ユニット15に入力される。電子制御ユニット18が前輪速度センサSfおよび後輪速度センサSrの出力から算出した前輪Wfのスリップ率および後輪Wrのスリップ率が所定値以下の場合には、つまり前輪Wfも後輪Wrもロック傾向にない場合には、第1ABS制御ユニット15は左マスタシリンダMCL から入力されたブレーキ油圧を減圧せずにそのまま出力する。第1ABS制御ユニット15が出力するブレーキ油圧は油路L2 を経て後輪ブレーキBrのブレーキシリンダ12,12に伝達され、このブレーキシリンダ12,12が発生する制動力で後輪Wrを制動する。一方、第1ABS制御ユニット15が出力するブレーキ油圧は油路L3 に介装した減圧弁16を経て左側の前輪ブレーキBf1 のブレーキシリンダ13,13に伝達され、このブレーキシリンダ13,13が発生する制動力で前輪Wfを制動する。
【0030】
図4に示すように、左マスタシリンダMCL が発生するブレーキ油圧は減圧弁16を介さずに後輪ブレーキBrに直接伝達されるために、後輪Wrの制動力は左ブレーキレバー11L の操作と同時に立ち上がる。一方、左マスタシリンダMCL が発生するブレーキ油圧は減圧弁16において減圧されて左側の前輪ブレーキBf1 に伝達されるため、前輪Wfの制動力は後輪Wrの制動力に遅れて立ち上がる。具体的には、後輪Wrの制動力が図4のA点に達するまで前輪Wfの制動力はゼロに保持され、その後に前輪Wfの制動力および後輪Wrの制動力が同じ増加率で増加することになる。
【0031】
このように前輪Wfおよび後輪Wrの制動力配分特性を鎖線で示す理想配分特性に比べて常に後輪Wr側の制動力が大きくなるように設定することにより、ロックが発生した場合に車体コントロール性能に及ぼす影響が大きい前輪Wfが先にロックするのを防止することができる。また左ブレーキレバー11L を操作するだけで前輪Wfおよび後輪Wrの両方を適切な制動力配分特性で連動して制動することができるので、ライダーのブレーキ操作の負担を軽減することができる。
【0032】
図5は、横軸に前輪Wfのスリップ率をとり、縦軸に後輪Wrのスリップ率をとったマップであって、そこに連動領域およびABS領域が設定される。連動領域は前輪Wfのスリップ率および後輪Wrのスリップ率が何れも小さいために前輪Wfおよび後輪Wrにロックが発生する虞のない領域であって、この領域では上述したように第1ABS制御ユニット15は不作動状態になり、左マスタシリンダMCL が発生したブレーキ油圧は第1ABS制御ユニット15で減圧されることなく後輪ブレーキBrおよび左側の前輪ブレーキBf1 に伝達される。
【0033】
ABS領域は前輪Wfのスリップ率および後輪Wrのスリップ率の少なくとも一方が大きいために前輪Wfあるいは後輪Wrにロックが発生する虞がある領域であって、この領域では第1ABS制御ユニット15は作動状態になり、前輪Wfあるいは後輪Wrのロックを防止すべく、左マスタシリンダMCL が発生したブレーキ油圧は第1ABS制御ユニット15で減圧されて後輪ブレーキBrおよび左側の前輪ブレーキBf1 に伝達される。
【0034】
即ち、前輪Wfのスリップ率および後輪Wrのスリップ率が図5のABS領域に入って前輪Wfあるいは後輪Wrにロック傾向が有ると判定されると、電子制御ユニット18からの指令で第1ABS制御ユニット15の電動モータ26が作動してクランク軸40が回転する。クランク軸40が回転するとクランク主軸40a,40bに対して偏心したクランクピン40eが図2および図3において下方に移動し、クランクピン40eに軸受45,45およびリング46を介して支持されたエキスパンダピストン23が軸線方向に後退するため、カット弁25の弁体36が弁座35に着座して入力室24および出力室21間の連通が遮断される。その結果、左マスタシリンダMCL が発生したブレーキ油圧はカット弁25で遮断されて後輪ブレーキBrおよび左側の前輪ブレーキBf1 に伝達されなくなり、しかもエキスパンダピストン23の後退により出力室21の容積が増大することにより、後輪ブレーキBrおよび左側の前輪ブレーキBf1 に伝達されるブレーキ油圧が減圧される。
【0035】
このようにして後輪ブレーキBrおよび左側の前輪ブレーキBf1 に伝達されるブレーキ油圧が減圧されるため、前輪Wfおよび後輪Wrの制動力が減少してロック傾向が解消され、前輪Wfのスリップ率および後輪Wrのスリップ率が図5のABS領域から連動領域に復帰すると、電動モータ26が逆方向に作動してカット弁25を開弁し、左マスタシリンダMCL が発生したブレーキ油圧を後輪ブレーキBrおよび左側の前輪ブレーキBf1 に伝達して制動力を復帰させる。その結果、前輪Wfのスリップ率および後輪Wrのスリップ率が再度増加してABS領域に入ると、第1ABS制御ユニット15の電動モータ26を再度作動させてブレーキ油圧の減圧を行って前輪Wfおよび後輪Wrのロックを防止する。而して、第1ABS制御ユニット15により、後輪ブレーキBrおよび左側の前輪ブレーキBf1 に伝達されるブレーキ油圧の減圧および増圧を短い時間間隔で繰り返し行うことにより、前輪Wfおよび後輪Wrのロックを防止しながら最大限の制動力を発揮させることができる
【0036】
また連動領域からABS領域に入る後輪Wrのスリップ率は路面摩擦係数の高低に応じて変更され、路面摩擦係数が高く滑り難い路面では前記後輪Wrのスリップ率の閾値が高めに補正され、逆に路面摩擦係数が低く滑り易い路面では前記後輪Wrのスリップ率の閾値が低めに補正される。尚、後輪Wrを制動したときに路面摩擦係数の高い路面では後輪Wrの車輪速度が緩やかに低下し、路面摩擦係数の低い路面では後輪Wrの車輪速度が急激に低下するため、制動時の後輪Wrの減速度に基づいて路面摩擦係数の高低を推定することが可能である。而して、路面摩擦係数の高低に応じて連動領域からABS領域に入る後輪Wrのスリップ率を変更することにより、路面状態に応じた効果的な制動性能と車体コントロール性能とを両立させることができる。
【0037】
以上のように、共通の第1ABS制御ユニット15で左側の前輪ブレーキBf1 および後輪ブレーキBrに供給するブレーキ油圧を制御することが可能になるため、左側の前輪ブレーキBf1 および後輪ブレーキBrにそれぞれ対応して別個のABS制御ユニットを設ける場合に比べ、部品点数を減らして重量およびコストを削減することができる。
【0038】
図1に示すように、右ブレーキレバー11R により作動する右マスタシリンダMCR は油路L4 に介装した第2ABS制御ユニット17を介して右側の前輪ブレーキBf2 に接続されており、前輪Wfのスリップ率が所定の閾値以下の場合には第2ABS制御ユニット17は不作動状態になり、右マスタシリンダMCR が発生したブレーキ油圧が減圧されずに右側の前輪ブレーキBf2 に直接伝達されて前輪Wfが制動される。
【0039】
従って、左ブレーキレバー11L および右ブレーキレバー11R の両方を操作した場合には、左右の前輪ブレーキBf1 ,Bf2 が同時に作動する。前述したように左ブレーキレバー11L を操作した場合の前輪Wfの制動力配分特性は理想配分特性よりも小さくなるように設定されているため、左ブレーキレバー11L に加えて右ブレーキレバー11R を同時に操作して前輪Wfの制動力配分量を増加させることにより、トータルの制動力配分を理想配分特性に近付けることができる。
【0040】
尚、前輪Wfのスリップ率が所定の閾値を越えた場合には、前輪Wfのロックを防止すべく第2ABS制御ユニット17が作動する。第2ABS制御ユニット17の作用は、前述した第1ABS制御ユニット15の作用と実質的に同一である。
【0041】
次に、図6に基づいて本発明の第2実施例を説明する。
【0042】
第1実施例では前輪Wfに左右一対の前輪ブレーキBf1 ,Bf2 が設けられているが、第2実施例では前輪Wfに1個の前輪ブレーキBfだけが設けられている。前輪ブレーキBfは3個のブレーキシリンダ13,14,14を備えており、中央の1個のブレーキシリンダ13は減圧弁16を介して第1ABS制御ユニット15に接続され、両側の2個のブレーキシリンダ14,14は第2ABS制御ユニット17に接続される。
【0043】
第2実施例のその他の構成は第1実施例と同一であり、第1実施例の上述した作用効果を達成できるだけでなく、前輪ブレーキBfの数を1個に減少させて部品点数の削減に寄与することができる。
【0044】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載された発明によれば、マスタシリンダから延びる1本の油路が分岐部で2本の油路に分岐して前輪ブレーキおよび後輪ブレーキに連なっているので、共通のマスタシリンダから供給されるブレーキ油圧で前輪ブレーキおよび後輪ブレーキの両方を作動させてライダーのブレーキ操作の負担を軽減することができる。また前記分岐部よりもマスタシリンダ側の油路に油圧制御ユニットを配置したので、共通の油圧制御ユニットで前輪ブレーキおよび後輪ブレーキに供給するブレーキ油圧を制御することが可能になり、前輪ブレーキおよび後輪ブレーキにそれぞれ対応して油圧制御ユニットを設ける場合に比べて部品点数を減らして重量およびコストを削減することができる。
【0046】
また請求項2に記載された発明によれば、前輪および後輪の制動力配分特性を理想配分特性よりも常に後輪側の制動力が大きくなるように設定したので、車体コントロール性能に与える影響が大きい前輪が後輪よりも先にロックするのを防止しながら必要な制動力を確保することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動二輪車の制動装置の全体構成図
【図2】 第1ABS制御ユニットの縦断面図(図3の2−2線断面図)
【図3】 図2の3−3線断面図
【図4】 前輪制動力および後輪制動力の配分特性を示す図
【図5】 連動領域およびABS領域を検索するマップを示す図
【図6】 本発明の第2実施例に係る自動二輪車の制動装置の全体構成図
【符号の説明】
Bf 前輪ブレーキ
Bf1 前輪ブレーキ
Br 後輪ブレーキ
1 油路
2 油路
3 油路
MCL 左マスタシリンダ(マスタシリンダ)
P 分岐部
Wf 前輪
Wr 後輪
15 第1ABS制御ユニット(油圧制御ユニット)

Claims (2)

  1. 前輪(Wf)に設けられた前輪ブレーキ(Bf,Bf1 )と、後輪(Wr)に設けられた後輪ブレーキ(Br)と、前輪ブレーキ(Bf,Bf1 )および後輪ブレーキ(Br)にブレーキ油圧を供給するマスタシリンダ(MCL )と、マスタシリンダ(MCL )から前輪ブレーキ(Bf,Bf1 )および後輪ブレーキ(Br)に供給するブレーキ油圧を制御する油圧制御ユニット(15)とを備えた自動二輪車の制動装置において、
    マスタシリンダ(MCL )から延びる1本の油路(L1 )は分岐部(P)で2本の油路(L2 ,L3 )に分岐して前輪ブレーキ(Bf,Bf1 )および後輪ブレーキ(Br)にそれぞれ連なっており、前記分岐部(P)よりもマスタシリンダ(MCL )側の油路(L1 )に油圧制御ユニット(15)を配置したことを特徴とする自動二輪車の制動装置。
  2. 前輪(Wf)および後輪(Wr)の制動力配分特性は、理想配分特性よりも常に後輪(Wr)側の制動力が大きく設定されることを特徴とする、請求項1に記載の自動二輪車の制動装置
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