以下、本発明を適用した光学ヘッド及びこの光学ヘッドを用いた記録再生装置について、図面を参照して説明する。
本発明が適用された記録再生装置1は、図1に示すように、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、情報の追記が可能とされるCD−R(Recordable)及びDVD−R(Recordable)、情報の書換えが可能とされるCD−RW(ReWritable)、DVD−RW(ReWritable)、DVD+RW(ReWritable)等の光ディスクや、さらに発光波長が短い405nm程度(青紫色)の半導体レーザを用いた高密度記録が可能な光ディスクや、光磁気ディスク等の光ディスク2に対して情報の記録及び/又は再生(以下では記録再生と記述する。)を行うことができるようにされている。特に、以下で記録再生装置1は、光ディスク2としてCD又はDVDを用い、これらCD又はDVDから情報の再生あるいは記録を行うものとして説明する。
記録再生装置1は、光ディスク2から情報の記録再生を行う光学ヘッド3と、光ディスク2を回転駆動するディスク回転駆動機構4と、光学ヘッド3を光ディスク2の径方向に移動させる送り機構5と、これら光学ヘッド3、ディスク回転駆動機構4、送り機構5を制御する制御部6とを備えている。
ディスク回転駆動機構4は、光ディスク2が載置されるディスクテーブル7と、このディスクテーブル7を回転駆動するスピンドルモータ8とを有している。送り機構5は図示しないが、光学ヘッド3を支持する支持ベースと、この支持ベースを移動可能に支持する主軸及び副軸と、支持ベースを移動させるスレッドモータとを有している。
制御部6は、図1に示すように、送り機構5を駆動制御して光ディスク2の径方向に対する光学ヘッド3の位置を制御するアクセス制御回路9と、光学ヘッド3の二軸アクチュエータを駆動制御するサーボ回路10と、これらアクセス制御回路9、サーボ回路10を制御するドライブコントローラ11とを有している。また、この制御部6は、光学ヘッド3からの信号を復調処理する信号復調回路12と、復調処理された信号を誤り訂正する誤り訂正回路13と、誤り訂正された信号を外部コンピュータ等の電子機器に出力するためのインターフェース14とを有している。
以上のように構成された記録再生装置1は、ディスク回転駆動機構4のスピンドルモータ8によって、光ディスク2が載置されたディスクテーブル7を回転駆動し、制御部6のアクセス制御回路9からの制御信号に応じて送り機構5を駆動制御し、光学ヘッド3を光ディスク2の所望の記録トラックに対応する位置に移動することで、光ディスク2に対して情報の記録再生を行う。
ここで、上述した記録再生用光学ヘッドについて詳しく説明する。
本発明を適用した光学ヘッド21は、図2に示すように、光源22と、この光源22から出射された射出光を光ディスク2上に集光する集光光学素子である対物レンズ27と、光路分岐光学素子であるビームスプリッタ25と、複合光学素子23と、受光部29から構成されている。
この光源22は、所定の波長又は互いに異なる波長の出射光を出射する半導体レーザである。さらに、この光源22は、互いに異なる波長の出射光を出射する複数の出射部を有するものであってもよい。本実施例では、この光源は、2波長半導体レーザであり、例えば、図3に示すように、波長が例えば780nm程度のレーザ光と波長が例えば650nm程度のレーザ光とを互いに近接して配設された出射部22a、22bとからそれぞれ出射する半導体レーザを有している。この半導体レーザは、発光出力を自動制御するためのモニター用フォトディテクタを有する複合発光素子である。この出射部22a,22bの間隔は100〜300μm程度とされている。
この光源22は、光ディスク2がCDフォーマットとされた光ディスクである場合に、ドライブコントローラ11からの制御信号に基づき波長が略780nmのレーザ光を出射し、光ディスク2がDVDフォーマットとされた光ディスクである場合に、ドライブコントローラ11からの制御信号に基づき波長が略650nmのレーザ光を出射するように切り換え可能である。
集光光学素子である対物レンズ27は、2つの焦点を有する2波長用の対物レンズ27である。ここで、本実施例では、光源22に2つの出射部を有する2波長半導体レーザを用いたため、2波長用の対物レンズ27を用いたが、光源が1つの波長の光を出射するものを用いた場合は、対物レンズも1波長用のものでもよい。
この対物レンズ27は、図示しない2軸アクチュエータによって移動自在に支持されている。そして、この対物レンズ27は、後述する受光部により受光された光ディスク2からの戻り光により生成されたトラッキングエラー信号及びフォーカシングエラー信号に基づいて、2軸アクチュエータにより移動操作されることにより、光ディスク2に近接離間する方向及び光ディスク2の径方向の2軸方向へ移動される。そして、対物レンズ27は、光源22から出射されるレーザ光が光ディスク2の信号記録面上で常に焦点が合うように、このレーザ光を集束するとともに、この集束されたレーザ光を光ディスク2の信号記録面上に形成された記録トラックに追従させる。
光路分岐光学素子であるビームスプリッタ25は、例えば、光源22側に形成されたハーフミラー面25aと、光源22から遠い面に形成されたミラー面25bから構成される。このハーフミラー面25aは、入射したレーザ光の一部を反射し、残りの一部を透過する。そして、ビームスプリッタ25は、図2に示すように、光源22と対物レンズ27の光路の間に設けられる。
このビームスプリッタ25は、光ディスク2で反射された戻り光を光路分岐し、この光路分岐した分岐光を光源22からの出射光と平行にする。ビームスプリッタ25と対物レンズ27の間には、通過した光を平行光とするコリメータレンズ26が配設される。コリメータレンズ26と対物レンズ27の間には、コリメータレンズ26を通過したレーザ光を所定の開口数NAに絞る開口絞り35が設けられる。
ここで、対物レンズ27には、コリメータレンズ26より径の小さいものが用いられる。そのため、対物レンズ27がディスクを読むために移動したときも、コリメータレンズ26と対物レンズ27の光軸がズレて光が欠けてしまうことはない。開口絞り35は、対物レンズ27より径の大きいコリメータレンズ26を通過した読み取り以外のレーザ光を取り除くために設けられている。
複合光学素子23は、図2に示すように、光源22とビームスプリッタ25の間の光路上に配設される。複合光学素子23は、図4〜6に示すように、出射光E1が入射する往路側には、光を透過させる素子を有し、光ディスクからの戻り光F1が入射する復路側には、戻り光が入射する位置の光源側に設けられた反射手段であるミラー面23aと、このミラー面23aで反射した戻り光が入射する位置に設けられる光分割手段を有している。
この光分割手段は、略四角錐状に形成されたビーム分割プリズム30である。図7、図8に示すように、略四角錐の矩形状の面を底面としたときの頂点に入射した戻り光は、この分割プリズム30に入射する戻り光を空間的に4分割する。この分割プリズム30は、後述する回折格子で分割された3ビームにおけるメインビーム40の光軸に対して直交するように配設されている。
複合光学素子23は、樹脂材料を射出成型することにより形成される。尚、複合光学素子23を形成する材料としては、樹脂材料に限定されるものではなく、硝材等の透光性を有する光学材料を用いることができ、さらにこれらの光学材料の組み合わせにより、部分的に材料構成を変えるようにしてもよい。
複合光学素子23とビームスプリッタ25の間には、板状光学素子24が設けられている。この板状光学素子24は、その往路側に入射した光ビームを回折させて複数の光ビームに分割する3ビーム生成用回折格子24aを備える。この3ビーム用生成回折格子24aは、入射したビームを0次光及び±1次光からなる3ビームに分割させて出射する。この3ビーム用生成回折格子24aにより、分割された複数の光ビームにより、トラッキングエラー信号を得ることができる。
また、板状光学素子24は、その復路側に入射した光ビームを回折させて、ある特定の波長の光ビームを回折する光路合成用回折格子24bを備える。この光路合成用回折格子24bは、互いに近接して配設された出射部22a,22bから発射されたレーザ光を分割プリズム30の同一位置に一致するように回折できる。
そして、光路合成用回折格子24bに回折されたレーザ光は各々の光路を合成し、同一位置に一致する。この光路合成用回折格子24bは、例えば、波長650nmのレーザ光を透過し、波長780nmのレーザ光を回折することにより、波長650nmのレーザ光の光路と同じ光路とさせる。このように、光路合成用回折格子24bは、異なる出射部から出たレーザ光を共に分割プリズム30の頂点に照射することができる。
ここで、波長650nmのレーザ光を透過し、波長780nmのレーザ光を回折させることにより、分割プリズム30の頂点への入射角は異なるが、分割プリズムの斜面は、それぞれのレーザ光の入射角で全反射しないように構成されている。また、受光部29も、この入射角に影響を受けないように構成されている。よって、光路合成用回折格子24bは、異なる出射部から出たレーザ光を共に受光部29で受光できるように分割プリズム30の頂点に照射させることができる。
尚、ここでは、この板状光学素子24の復路側に、光路合成用回折格子を設けたが、往路側に、光路合成用回折格子を設けてもよい。
往路側に設けられた光路合成用回折格子は、複数の出射部から出射される出射光の各々の光路を合成し、対物レンズ27の光軸に合わすように回折することができる。そして、この光路合成用回折格子により回折された、複数の出射部から出射された出射光は、対物レンズ27の光軸で同一の光路となっているので、分割プリズム30のほぼ同じ位置に入射することになる。
受光部29は、第1の受光部と第2の受光部からなる。第1の受光部は、メインビーム用のフォトディテクタ31であり、分割プリズム30で空間的に分割された複数の戻り光をそれぞれ受光する複数の受光領域を有している。このフォトディテクタは、図9に示すように、互いに直交する一組の分割線によって4等分割された各受光領域A,B,C,Dを有している。
第2の受光部は、板状光学素子24で回折された複数の光ビームの内、±1次光である2つのサイドビームをそれぞれ受光する一組の略方形状のサイドビーム用フォトディテクタ32,33がそれぞれ配設されている。そして、このサイドビーム用フォトディテクタ32,33は、図9に示すように、メインビーム用フォトディテクタ31の両側に位置する。
次に、この光学ヘッド21における、光源22から出射されたレーザ光の光路について説明する。
図2に示すように、光源22の出射部22a,22bより出射した光ビームは、複合光学素子23を透過し、板状光学素子24の3ビーム生成用回折格子24aで0次回折光(以下メインビームという)及び±1次回折光(以下サイドビームという)からなる3ビームに分割されて出射し、ビームスプリッタ25のハーフミラー面25aで反射される。このとき、ハーフミラー面25aを透過した光は、後の工程には影響を及ばさない。
ハーフミラー面25aで反射された光ビームは、コリメータレンズ26を通って平行光となり、開口絞り35で絞られ、対物レンズ27で光ディスク2の記録面15上に集光される。
光ディスク2に集光された光は、光ディスク2で反射し、上記メインビーム及び上記サイドビーム(以下合わせて戻り光という)は、対物レンズ27、コリメータレンズ26を透過し、再びビームスプリッタ25に入射する。ビームスプリッタ25に入射した戻り光は、ハーフミラー面25aを透過し、ミラー面25bで反射して再度ハーフミラー面25aを通過して出射される。この戻り光がビームスプリッタ25に入出するときのハーフミラー面25aで反射した光は、後の工程には影響を及ばさない。このビームスプリッタ25から出射する戻り光は、光源22から出射されビームスプリッタ25に入射する出射光と平行となる。
このように、光ディスク2からの戻り光は、ハーフミラー面25aと反対側のミラー面25bで反射し、再びハーフミラー面25aから出射させることにより、ビームスプリッタ25の設置角度及び厚み誤差によらず、光源22からの出射光と平行とされる。
このとき、図10に示すように、ビームスプリッタ25の設置角度がズレたとき、本願を適用した光学ヘッド21では、ズレはX1となる。このズレX1は、従来のようなビームスプリッタを透過するタイプの光学ヘッドの場合のズレX2に比べて小さい。このように、ビームスプリッタ25の設置角度及び厚み誤差の影響を受けにくく、常に光源22からの出射光と平行とされるので、厳しい位置精度を軽減することができる。
ハーフミラー面25aを通過して出射された戻り光は、光源22から射出される光路から分離されて、再び板状光学素子24に入射し、光路合成用回折格子24bにおいて、2波長半導体レーザの近接して設けられる互いに異なる波長の出射光を出射する出射部22a,22bから射出される長波長の出射光と短波長の出射光の光軸が光分割手段への入射位置で一致するように回折して射出される。
この互いに異なる波長の出射光を出射する出射部22a,22bから出射される出射光の光軸が光分割手段の入射位置で一致することを図11を用いて、さらに詳しく説明する。
すなわち、図3及び図11に示すように、出射部22bは対物レンズ27の光軸上に配設されている。出射部22bから出射された短波長用のレーザ光Lbは、対物レンズ27の光軸を通過して短波長用のディスク2bで反射される。これに対し、出射部22aは、光軸から100〜300μm程度離間して配設されている。このように、出射部22aから出射された長波長用のレーザ光Laは、対物レンズ27の中心で出射部22bから出射されたレーザ光Lbと交差し、長波長用のディスク2aで反射される。
長波長用のレーザ光Laは、光路合成用回折格子24bに入射したとき、短波長用レーザ光Lbと離間している。この長波長用のレーザ光Laは、光路合成用回折格子24bにより、回折され、短波長用レーザ光Lbの光軸に合わせられる。
すなわち、図12に示すように、光路合成用回折格子24bは、出射部22a,22bから出射されたレーザ光の光路を合成し、後述する分解プリズム30に入射するときは、分割プリズム30の頂点に合わすことができる。このとき、図12に示すように、短波長用レーザ光Lbは、光路合成用回折格子24bを透過される。また、ここで、光路合成用回折格子24bの位置が図12中矢印Gのように移動したときは、回折格子の幅を変更し、回折角度を変更することで対応できる。
3ビーム用生成回折格子24a及び光路合成用回折格子24bは、その回折格子の幅により回折される角度が決定され、その回折格子の向きに対して垂直な方向に回折される。そして、3ビーム用生成回折格子24aは、図13(a)に示すように、左右対称の連続した格子形状のものが用いられる。これに対して、光路合成用回折格子24bは、図13(b)に示すように、格子の片側にできるたけ多くの光量を曲げるため、非対称な格子形状のもの、または階段形状のものが用いられる。
このとき、出射部22bを光軸上に配設したのは、出射部22bから出射されるレーザ光の波長が出射部22aから出射されるレーザ光の波長より短く、2波長対物レンズ27での集光精度が必要となるからである。出射部22bを光軸上に配設することで、厳しい位置精度を必要とすることなく良好なエラー信号を得ることができる。
再び複合光学素子23に入射した戻り光は、図4、図6に示すように、ミラー面23aで反射され、分割プリズム30に入射する。上記ミラー面23aは、戻り光の入射角を臨界角以上とし、全反射面として用いることができる。
図7、図8に示すように、分割プリズム30は、略四角錐形状であり、メインビームの焦点付近で、メインビームの中心がその頂点に入射するように配設されている。この分割プリズム30に入射した戻り光の内、頂点近傍に入射したメインビームは、四角錐の底面を除く4面の各面に当たる部分によって異なる方向に屈折し、4本の光ビームに分割され、複合光学素子23の直下に置かれたメインビーム用フォトディティタ31の受光領域A,B,C,Dに入射する。
尚、この分割プリズム30は図14(a),(b)に示すように、四角錐の4本の稜線の内、対向する2本の稜線を途中から削り落とすことにより、サイドビーム用の斜面30e,30fを設けることができ、この斜面30e,30fに入射した2本のサイドビームは、分割プリズム30を透過し、サイドビーム用フォトディテクタ32,33に入射する。
このように、光源22から出射されたレーザ光が光ディスク2で反射するまでの往路と、光ディスクで反射されたレーザ光が受光部に入射するまでの復路において、共に同じ光学素子内を通過する。すなわち、上述のように、光源22より出射した光ビームは、複合光学素子23を透過することで、往復路において同じ光学素子内を通過することになる。
したがって、図15に示すように、ある光学素子が傾斜していたときでも、往路でその光学素子が通過する際に発生したズレX3は、復路でその光学素子を通過するときにうち消すズレX4が発生する。よって、途中の光学素子がズレたときも、光学ヘッドとしてズレは生じない。ここでは、短波長用の出射部22bについてのズレについてのみ説明したが、長波長用の出射部22aから出射されるレーザ光についても同様に、途中の光学素子のズレによる光路のズレは解消される。
尚、本実施例では、3ビーム用生成用回折格子24a及び光路合成用回折格子24bは同じ板状光学素子24として設けられているが、お互い別々の光学素子として形成した場合でも次のようにすることで、対応することができる。
すなわち、往路で3ビーム用生成用回折格子を通過したレーザ光は、復路において、回折効果を有する領域以外の領域を通過させる。また、復路で光路合成用回折格子を通過するレーザ光は、往路において、光路合成効果を有する領域以外の領域を通過させる。このように往復路において、同じ光学素子内を通過させたレーザ光は、光学素子が傾斜した場合においても良好な、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号が得られる。
メインビーム用フォトディテクタ31は、図9に示すように、4分割されて受光領域A,B,C,Dに分割されており、分割プリズム30で分割された4本のメインビームがそれぞれ異なる受光領域に入射するように配設されている。また、サイドビーム用フォトディテクタ32,33は、メインビーム用フォトディテクタ31の横に2箇所あり、2本のサイドビームは、分割プリズム30の斜面30e,30fを透過した後に、それぞれの受光部に入射するように配設されている。
以上のような光学系で構成された光学ヘッド及びこれを用いた記録再生装置において、フォーカシングエラー信号は以下のように得られる。
対物レンズ27が正規の位置にあり、光ディスク2に照射された光ビームが、信号記録面に対し、ジャストフォーカスの状態であれば、図16(b)に示すように、分割プリズム30に入射するビームが略円形となる。分割プリズム30に入射したメインビームは4本のビームに分割されて、図17(b)に示すようにメインビーム用フォトディテクタ31の4分割受光領域A,B,C,Dに照射される。ここで、分割プリズム30に入射するビームは略円形であるから、分割された4本の光量はほぼ均等になり、メインビーム用フォトディテクタ31の4つの受光領域A,B,C,Dには略均等な量の光が入射することになる。
対物レンズ27が光ディスク2に近づきすぎると、ジャストフォーカスの状態から外れて、戻り光がビームスプリッタ25を通過することで発生した非点収差によって、図16(a)に示すように、分割プリズム30に入射するビームは受光領域A,Cに跨った楕円形となる。この楕円形ビームが分割プリズムで4本に分割されるとき、プリズムの4面の内、ビームの大部分が当たる対向する2面とそうでない2面に分かれるので、図17(a)に示すようにフォトディテクタ29の4分割受光面A,B,C,Dに入射する光量は、AとCで大、BとDで小となる。
同様に、対物レンズ27が光ディスク2から遠すぎると、図16(c)に示すように、図16(a)の場合と同様に母線方向が90°傾斜した楕円形となるので、図17(c)に示すようにメインビーム用フォトディテクタ31に入射する光量は、AとCで小、BとDで大となる。
ここで、メインビーム用フォトディテクタ31の4つの受光面A,B,C,Dからの出力をそれぞれSA、SB、SC、SDとすると、フォーカシングエラー信号FEは、式(1)から得ることができる。
FE=(SA+SC)−(SB+SD)・・・・式(1)
すなわち、ジャストフォーカスの場合図17(b)では、FE=0となり、対物レンズ27が光ディスク2に近すぎる場合図17(a)では、FEが正となり、遠すぎる場合図17(c)では、FEが負となる。従来の非点収差方式と同様な構成のフォーカスサーボ系を構築すれば、対物レンズ27のフォーカス位置を適正に制御することができる。
また、トラッキングエラー信号については、従来と同じく3ビーム方式によって得られる。すなわち、3ビーム生成用回折格子24aで分割された±1次光をそれぞれサイドビーム用フォトディテクタ32,33で受光し、±1次光の各出力の差分を検出することによってトラッキングサーボを行うようにしている。
本発明を適用した光学ヘッド21は、ハーフミラー面25aとミラー面25bを備えたビームスプリッタ25が光路分岐された戻り光を光源からの出射光と平行にするので、光路分岐光学素子の設置角度や厚みに影響を受けにくく、良好なフォーカシングエラー信号を得ることができる。
また、本発明を適用した光学ヘッド21は、フォトディテクタに入射する前に予めプリズム等でビーム分割するので、フォトディテクタ受光面の位置精度の要求を軽減することが可能である。すなわち、フォトディテクタ4分割受光面のそれぞれの面積を適当な大きさに確保しておけば、4本のビームが各面に当たりさえすれば位置は問われないので厳しい位置精度を必要としない。すなわち、厳しい位置精度がなくても、良好なフォーカスシングエラー信号、トラッキングエラー信号を生成することができる。したがって、フォトディテクタの製造コストを低く抑えることができ、さらに、光学ヘッド製造工程におけるフォトディテクタの位置調整を簡単にすることができ、且つ、信頼性を向上させることが可能となる。
さらに、本発明に係る光学ヘッドによれば、往路光、復路光共に同じ光学素子を通過させる構成であることにより、従来では受発光部の厳しい位置精度により決定されていた、光学ヘッドのベース部分の形状や製造方法、あるいはその他の部品の形状や配置方法の選択範囲が拡大できる。例えば、ある光学素子が傾斜することによって往路光の軸ズレが発生しても、復路光が再びその素子を通過することで、そのズレをキャンセルすることで取り除き、受発光部の相対位置が変化することはない。したがって、部品精度による信頼性が向上し、且つ、設計時の自由度を増大させ、製造方法の選択肢を増やすことができ、光学ヘッドのコスト抑制が可能となる。このように、低コスト且つ高信頼性の光学ヘッド及びこれを用いた記録再生装置を提供することが可能である。
また、本発明を適用した記録及び/又は再生装置は、光学ヘッドがフォトディテクタに入射する前に予め光分割手段によりビーム分割するので、フォトディテクタ受光面の位置精度の要求を低減することができ、信頼性を向上させることができるので記録及び/又は再生動作を適切に行うことができる。
上述の光学ヘッド21において、光源には、波長が780nm程度及び650nm程度のレーザ光を2つの出射部から出射させる2波長型半導体レーザを用いたが、これに限られるものではなく、波長が405nm程度のレーザ光を出射させる出射部と、波長が780nm程度又は650nm程度のレーザ光を出射させる出射部とを備えるように構成してもよい。
また、波長が例えば、780nm程度、650nm程度及び405nm程度のレーザ光を出射させる出射部を備えた、3波長型半導体レーザを用いてもよい。尚、3波長型半導体レーザを用いるときには、波長依存性の液晶素子をビームスプリッタと対物レンズとの間に挿脱自在に配置するようにする。3波長型半導体レーザ及び波長依存性の液晶素子を備えた光学ヘッドにおいては、3種類の波長に対応した光ディスクの記録及び/又は再生を適切に行うことができる。
上述の光学ヘッド21において、板状光学素子24は、複合光学素子23とビームスプリッタ25の間に設けられているが、ビームスプリッタ25と対物レンズ27との間に設けるように構成しても良い。
尚、この光学ヘッド21において、複合光学素子23及び板状光学素子24は、別々に形成されているが、一体として形成されてもよい。
次に、複合光学素子23及び板状光学素子24を一体とした光学ヘッド42について説明する。尚、以下の説明において、上述した光学ヘッド21と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明を適用した光学ヘッド42は、図18に示すように、光源22と、この光源22から出射された射出光を光ディスク2上に集光する集光光学素子である対物レンズ27と、光路分岐光学素子であるビームスプリッタ25と、複合光学素子43と、受光部29から構成されている。
複合光学素子43は、上述の複合光学素子23と同様に、戻り光が入射する位置の光源側に設けられた反射手段であるミラー面23aと、このミラー面23aで反射した戻り光が入射する位置に設けられる分割プリズム30を有している。
また、複合光学素子43は、その往路側に入射した光ビームを回折させて複数の光ビームに分割する3ビーム生成用回折格子43aを備える。この3ビーム用生成回折格子43aは、入射したビームを0次光及び±1次光からなる3ビームに分割させて出射する。この3ビーム用生成回折格子24aにより、分割された複数の光ビームにより、トラッキングエラー信号を得ることができる。
複合光学素子43は、その復路側に入射した光ビームを回折させて、ある特定の波長の光ビームを回折する光路合成用回折格子43bを備える。この光路合成用回折格子43bは、互いに近接して配設された出射部22a,22bから発射されたレーザ光を分割プリズム30の同一位置に一致するように回折できる。そして、光路合成用回折格子43bに回折されたレーザ光は各々の光路を合成し、同一位置に一致する。この光路合成用回折格子43bは、例えば、波長650nmのレーザ光を透過し、波長780nmのレーザ光を回折することにより、波長650nmのレーザ光の光路と同じ光路とさせる。このように、光路合成用回折格子43bは、異なる出射部から出たレーザ光を共に分割プリズム30の頂点に照射することができる。
複合光学素子43は、樹脂材料を射出成型することにより形成される、尚、複合光学素子43を形成する材料としては、樹脂材料に限定されるものではなく、硝材等の透光性を有する光学材料を用いることができ、さらにこれらの光学材料の組み合わせにより、部分的に材料構成を変えるようにしてもよい。
尚、ここでは、この板状光学素子43の復路側に、光路合成用回折格子を設けたが、往路側に、光路合成用回折格子を設けてもよい。
往路側に設けられた光路合成用回折格子は、複数の出射部から出射される出射光の各々の光路を合成し、対物レンズ27の光軸に合わすように回折することができる。そして、この光路合成用回折格子により回折された、複数の出射部から出射された出射光は、対物レンズ27の光軸で同一の光路となっているので、分割プリズム30のほぼ同じ位置に入射することになる。
次に、この光学ヘッド42における、光源22から出射されたレーザ光の光路について説明する。
図18に示すように、光源22の出射部22a,22bより出射した光ビームは、複合光学素子43の3ビーム生成用回折格子43aで0次回折光(以下メインビームという)及び±1次回折光(以下サイドビームという)からなる3ビームに分割されて出射し、ビームスプリッタ25のハーフミラー面25aで反射される。このとき、ハーフミラー面25aを透過した光は、後の工程には影響を及ばさない。ハーフミラー面25aで反射された光ビームは、コリメータレンズ26を通って平行光となり、対物レンズ27で光ディスク2の記録面15上に集光される。
光ディスク2に集光された光は、光ディスク2で反射し、上記メインビーム及び上記サイドビーム(以下合わせて戻り光という)は、対物レンズ27、コリメータレンズ26を透過し、再びビームスプリッタ25に入射する。ビームスプリッタ25に入射した戻り光は、ハーフミラー面25aを透過し、ミラー面25bで反射して再度ハーフミラー面25aを通過して出射される。この戻り光がビームスプリッタ25に入出するときのハーフミラー面25aで反射した光は、後の工程には影響を及ばさない。このビームスプリッタ25から出射する戻り光は、光源から出射されビームスプリッタ25に入射する出射光と平行となる。
このように、光ディスク2からの戻り光は、ハーフミラー面25aと反対側のミラー面25bで反射し、再びハーフミラー面25aから出射させることにより、ビームスプリッタ25の設置角度及び厚み誤差によらず、光源22からの出射光と平行とされる。
ハーフミラー面25aを通過して出射された戻り光は、光源22から射出される光路から分離されて、再び複合光学素子43に入射し、光路合成用回折格子43bにおいて、2波長半導体レーザの近接して設けられる互いに異なる波長の出射光を出射する出射部22a,22bから射出される長波長の出射光と短波長の出射光の光軸が光分割手段への入射位置で一致するように回折される。
光路合成用回折格子43bで光路を合致させられたレーザ光は、ミラー面23aで反射され、分割プリズム30に入射する。上記ミラー面23aは、戻り光の入射角を臨界角以上とし、全反射面として用いることができる。
図7、図8に示すように、分割プリズム30は、略四角錐形状であり、メインビームの焦点付近で、メインビームの中心がその頂点に入射するように配設されている。この分割プリズム30に入射した戻り光の内、頂点近傍に入射したメインビームは、四角錐の底面を除く4面の各面に当たる部分によって異なる方向に屈折し、4本の光ビームに分割され、複合光学素子23の直下に置かれたメインビーム用フォトディティタ31の受光領域A,B,C,Dに入射する。
尚、この分割プリズムは、図14(a),(b)に示すように、四角錐の4本の稜線の内、対応する2本の稜線を途中から削り落とすことにより、サイドビーム用の斜面30e、30fを設けることができ、この斜面30e,30fに入射した2本のサイドビームは、分割プリズム30を透過し、サイドビーム用フォトディテクタ32,33に入射する。
このように、光源22から出射されたレーザ光が光ディスク2で反射するまでの往路と、光ディスクで反射されたレーザ光が受光部に入射するまでの復路において、共に同じ光学素子内を通過する。すなわち、上述のように、光源22より出射した光ビームは、複合光学素子23を透過することで、往復路において同じ光学素子内を通過することになる。
このことにより、ある光学素子が傾斜していたときでも、上述の光学ヘッド21の場合と同様に、往路でその光学素子が通過する際に発生したズレは、復路でその光学素子を通過するときにうち消すズレが発生する。このように往復路において、同じ光学素子内を通過させたレーザ光は、光学素子が傾斜した場合においても良好な、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号が得られる。
メインビーム用フォトディテクタ31は、図9に示すように、4分割されて受光領域A,B,C,Dに分割されており、分割プリズム30で分割された4本のメインビームがそれぞれ異なる受光領域に入射するように配設されている。また、サイドビーム用フォトディテクタ32,33は、メインビーム用フォトディテクタ31の横に2箇所あり、2本のサイドビームは、分割プリズム30を透過し、それぞれの受光部に入射するように配設されている。
以上のような光学系で構成された光学ヘッド42において、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号の算出方法については、先に述べた光学ヘッド21のときと同様であるので、省略する。この得られたフォーカシングエラー信号によりフォーカス位置を適正に制御でき、トラッキングエラー信号によりトラッキングサーボを行うことができる。
また、以上のように構成された光学ヘッド42は、図1で示す光学ヘッド21と同様に、記録及び/又は再生装置にも用いられるものである。
本発明を適用した光学ヘッド42は、ハーフミラー面25aとミラー面25bを備えたビームスプリッタ25が光路分岐された戻り光を光源からの出射光と平行にするので、光路分岐光学素子の設置角度や厚みに影響を受けることなく、良好なフォーカシングエラー信号を得ることができる。
また、本発明を適用した光学ヘッドは、フォトディテクタに入射する前に予めプリズム等でビーム分割するので、フォトディテクタ受光面の位置精度の要求を軽減することが可能である。すなわち、フォトディテクタ4分割受光面のそれぞれの面積を適当な大きさに確保しておけば、4本のビームが各面に当たりさえすれば位置は問われないので厳しい位置精度を必要としない。すなわち、厳しい位置精度がなくても、良好なフォーカスシングエラー信号、トラッキングエラー信号を生成することができる。したがって、フォトディテクタの製造コストを低く抑えることができ、さらに、光学ヘッド製造工程におけるフォトディテクタの位置調整を簡単にすることができ、且つ、信頼性を向上させることが可能となる。
さらに、本発明に係る光学ヘッド及びこれを用いた記録再生装置によれば、往路光、復路光共に同じ光学素子を通過させる構成であることにより、従来では受発光部の厳しい位置精度により決定されていた、光学ヘッドのベース部分の形状や製造方法、あるいはその他の部品の形状や配置方法の選択範囲が拡大できる。例えば、ある光学素子が傾斜することによって往路光の軸ズレが発生しても、復路光が再びその素子を通過することで、そのズレをキャンセルすることで取り除き、受発光部の相対位置が変化することはない。したがって、部品精度による信頼性が向上し、且つ、設計時の自由度を増大させ、製造方法の選択肢を増やすことができ、光学ヘッドのコスト抑制が可能となる。このように、低コスト且つ高信頼性の光学ヘッド及びこれを用いた記録再生装置を提供することが可能である。
尚、光学ヘッド21及び光学ヘッド42においては、ビームスプリッタを透過した出射光の一部をモニター用フォトディテクタによって検出し、APC(Auto Power Control)回路を通して、2波長半導体レーザの出力が一定となるように制御しているが、複合光学素子が信号用光線から制御用光線を分離させ、モニター用受光素子に導くように構成してもよい。
次に、複合光学素子が信号用光線と制御用光線とに分離させ、この制御用光線をモニター用受光素子に導くように構成された光学ヘッド60について説明する。尚、以下の説明において、上述した光学ヘッド21と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明を適用した光学ヘッド60は、図19に示すように、光源22と、この光源22から出射された射出光を光ディスク2上に集光する集光光学素子である対物レンズ27と、光路分岐光学素子であるビームスプリッタ25と、複合光学素子61と、受光部62とから構成されている。
受光部62は、光ディスク2に集光し反射された戻り光を受光する信号用受光面62aと、光源22から出射される光の出力を監視するためのモニター用受光面62bとからなる。
ビームスプリッタ25と対物レンズ27の間には、通過した光を平行光とするコリメータレンズ26が配設される。コリメータレンズ26と対物レンズ27との間には、コリメータレンズ26を通過したレーザ光を所定の開口数NAに絞る開口絞り35が設けられる。
複合光学素子61は、図19に示すように、光源22とビームスプリッタ25の間の光路上に配設される。複合光学素子61は、図20〜図22に示すように、出射光E2が入射する往路側には、光源22から出射される出射光を光ディスクに集光される信号用光線E21と光の出力を監視するための制御用光線E22とに分離させる制御用光線誘導手段を備える。複合光学素子61の制御用光線誘導手段は、光源22から出射される出射光のうち光ディスクに集光される信号用光線を透過させる素子61aと、光源22から出射される出射光のうち透過された信号用光線から制御用光線を分離させる制御用光線誘導手段として第1のミラー面61bとからなる。また、複合光学素子61は、図23に示すように、光ディスクからの戻り光F2が入射する復路側には、戻り光が入射する位置の光源側に設けられた反射手段である第2のミラー面61cと、この第2のミラー面61cで反射した戻り光が入射する位置に設けられる光分割手段としてビーム分割プリズム30を有している。
複合光学素子61の第1のミラー面61bは、素子61aを透過される信号用光線の光軸に対して斜めに配置されており、出射された出射光から制御用光線を内部反射させることにより、信号用光線から分離させて透過面61dを透過してモニター用受光素子61側に出射させる。尚、第1のミラー面61bで反射された制御用光線は、直接透過面61bを透過してモニター用受光素子61に入射してもよく、また、さらに、内部反射をした後に透過面61bを透過してモニター用受光素子61に入射してもよい。
この第1のミラー面61bは、制御用光線を100%反射する完全反射条件になるようにされている。この第1のミラー面61bは、例えば、反射膜等により形成してもよい。透過面61dは、レンズ形状にすることにより、出射する制御用光線をモニター用受光素子61上に集光するようにしてもよい。
複合光学素子61は、樹脂材料を射出成型することにより形成される。尚、複合光学素子61を形成する材料としては、樹脂材料に限定されるものではなく、硝材等の透光性を有する光学材料を用いることができ、さらにこれらの光学材料の組み合わせにより、部分的に材料構成を変えるようにしてもよい。
複合光学素子61とビームスプリッタ25との間には、光学ヘッド21と同様に、板状光学素子24が設けられている。
次に、この光学ヘッド60における、光源22から出射されたレーザ光の光路について説明する。
図20〜図22に示すように、光源22の出射部22a,22bより出射した光ビームE2は、複合光学素子61に入射し、信号用の光ビームE21と制御用の光ビームE22とに分離される。すなわち、複合光学素子61に入射した光ビームE2は、その大部分が光ディスクに集光される信号用の光ビームE21として素子61aによりそのまま透過される。
そして複合光学素子61に入射した光ビームE2の内その一部が第1のミラー面61bで反射されて入射光から分離されて透過面61dからモニター用受光素子側に出射される。このとき制御用光ビームE22は、第1のミラー面61bで反射して直接モニター用受光素子側に出射されるようにしてもよく、また、第1のミラー面61bを含め2回以上の内部反射をした後に、透過面61dからモニター用受光素子側に出射されてもよく、さらに、その一部は、第1のミラー面61bで反射し、残りは、第1のミラー面61bを含め2回以上の内部反射をした後に、モニター用受光素子側に出射されてもよい。ここで、第1のミラー面61bでの反射は、完全反射条件、すなわち、100%反射するようにされている。
複合光学素子61により、信号用の光ビームから分離された制御用光ビームE22は、受光部62のモニター用受光面62bに入射する。制御用光ビームは、モニター用受光面62bにより検出され、図示しないAPC(Auto Power Control)回路に制御用光ビームの情報が送られる。制御用光ビームを検出したAPC回路は、光源22から出射される光ビームの出力のパワーが一定となるように制御する。
複合光学素子61の素子61aを透過した信号用の光ビームは、板状光学素子24の3ビーム生成用回折格子24aで0次回折光(以下メインビームという)及び±1次回折光(以下サイドビームという)からなる3ビームに分割されて出射し、ビームスプリッタ25のハーフミラー面25aで反射される。このとき、ハーフミラー面25aを透過した光は、後の工程には影響を及ぼさない。
ハーフミラー面25aで反射された光ビームは、コリメータレンズ26を通って平行光となり、開口絞り35で絞られ、対物レンズ27で光ディスク2の記録面15上に集光される。
光ディスク2に集光された光は、光ディスク2で反射し、メインビーム及びサイドビーム(以下合わせて信号用光線戻り光という)は、対物レンズ27、コリメータレンズ26を透過し、再びビームスプリッタ25に入射する。ビームスプリッタ25に入射した信号用光線戻り光は、ハーフミラー面25aを透過して出射される。この信号用光線戻り光がビームスプリッタ25に入出するときのハーフミラー面25aで反射した光は、後の工程には影響を及ばさない。このビームスプリッタ25から出射する信号用光線戻り光は、光源22から出射されビームスプリッタ25に入射する出射光と平行となる。
このように、光ディスク2からの戻り光は、ハーフミラー面25aと反対側のミラー面25bで反射し、再びハーフミラー面25aから出射させることにより、ビームスプリッタ25の設置角度及び厚み誤差によらず、光源22からの出射光と平行とされる。
ハーフミラー面25aを通過して出射された信号用光線戻り光は、光源22から射出される光路から分離されて、再び板状光学素子24に入射し、光路合成用回折格子24bにおいて、2波長半導体レーザの近接して設けられる互いに異なる波長の出射光を出射する出射部22a,22bから射出される長波長の出射光と短波長の出射光の光軸が光分割手段への入射位置で一致するように回折して射出される。
再び複合光学素子61に入射した信号用光線戻り光は、図20、図23に示すように、第2のミラー面61cで反射され、分割プリズム30に入射する。この第2のミラー面61cは、戻り光の入射角を臨界角以上とし、全反射面として用いることができる。
分割プリズム30は、図7、図8に示すように、略四角錐形状であり、メインビームの焦点付近で、メインビームの中心がその頂点に入射するように配設されている。この分割プリズム30に入射した戻り光の内、頂点近傍に入射したメインビームは、四角錐の底面を除く4面の各面に当たる部分によって異なる方向に屈折し、4本の光ビームに分割され、複合光学素子23の直下に置かれた受光部62の信号用受光面62aのメインビーム用フォトディティタ31の受光領域A,B,C,Dに入射する。
このように、光源22から出射されたレーザ光が光ディスク2で反射するまでの往路と、光ディスクで反射されたレーザ光が受光部に入射するまでの復路において、共に同じ光学素子内を通過する。すなわち、上述のように、光源22より出射した光ビームは、複合光学素子23を透過することで、往復路において同じ光学素子内を通過することになる。
このことにより、ある光学素子が傾斜していたときでも、上述の光学ヘッド21の場合と同様に、往路でその光学素子が通過する際に発生したズレは、復路でその光学素子を通過するときにうち消すズレが発生する。このように往復路において、同じ光学素子内を通過させたレーザ光は、光学素子が傾斜した場合においても良好な、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号が得られる。
受光部62の信号用受光面62aは、光学ヘッドと同様に、図9に示すように、メインビーム用フォトディテクタ31とサイドビーム用フォトディテクタ32,33とからなる。メインビーム用フォトディテクタ31は、図9に示すように、4分割されて受光領域A,B,C,Dに分割されており、分割プリズム30で分割された4本のメインビームがそれぞれ異なる受光領域に入射するように配設されている。また、サイドビーム用フォトディテクタ32,33は、メインビーム用フォトディテクタ31の横に2箇所あり、2本のサイドビームは、分割プリズム30を透過し、それぞれの受光部に入射するように配設されている。
以上のような光学系で構成された光学ヘッド60において、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号の算出方法については、先に述べた光学ヘッド21のときと同様であるので、省略する。この得られたフォーカシングエラー信号によりフォーカス位置を適正に制御でき、トラッキングエラー信号によりトラッキングサーボを行うことができる。
また、以上のように構成された光学ヘッド60は、図1で示す光学ヘッド21と同様に、記録及び/又は再生装置にも用いられるものである。
本発明を適用した光学ヘッド60は、モニター用フォトディテクタと信号検出用のフォトディテクタを別々に設ける必要がなく、同様な性能をもつ半導体素子を個別に設けることによる構成部品や製造工程の増加を低減できる。
また、本発明を適用した光学ヘッド60は、ハーフミラー面25aとミラー面25bを備えたビームスプリッタ25が光路分岐された戻り光を光源からの出射光と平行にするので、光路分岐光学素子の設置角度や厚みに影響を受けることなく、良好なフォーカシングエラー信号を得ることができる。
また、本発明を適用した光学ヘッド60は、フォトディテクタに入射する前に予めプリズム等でビーム分割するので、フォトディテクタ受光面の位置精度の要求を軽減することが可能である。すなわち、フォトディテクタ4分割受光面のそれぞれの面積を適当な大きさに確保しておけば、4本のビームが各面に当たりさえすれば位置は問われないので厳しい位置精度を必要としない。すなわち、厳しい位置精度がなくても、良好なフォーカシングエラー信号、トラッキングエラー信号を生成することができる。したがって、フォトディテクタの製造コストを低く抑えることができ、さらに、光学ヘッド製造工程におけるフォトディテクタの位置調整を簡単にすることができ、且つ、信頼性を向上させることが可能となる。
さらに、本発明に係る光学ヘッド60及びこれを用いた記録再生装置によれば、往路光、復路光共に同じ光学素子を通過させる構成であることにより、従来では受発光部の厳しい位置精度により決定されていた、光学ヘッドのベース部分の形状や製造方法、あるいはその他の部品の形状や配置方法の選択範囲が拡大できる。例えば、ある光学素子が傾斜することによって往路光の軸ズレが発生しても、復路光が再びその素子を通過することで、そのズレをキャンセルして取り除き、受発光部の相対位置が変化することはない。したがって、部品精度による信頼性が向上し、且つ、設計時の自由度を増大させ、製造方法の選択肢を増やすことができ、光学ヘッドのコスト抑制が可能となる。このように、低コスト且つ高信頼性の光学ヘッド及びこれを用いた記録再生装置を提供することが可能である。
上述の光学ヘッド60において、板状光学素子24は、複合光学素子61とビームスプリッタ25の間に設けられているが、ビームスプリッタ25と対物レンズ27との間に設けるように構成しても良い。
尚、光学ヘッド21及び光学ヘッド42においては、光分割手段がメインビームを4分割するものであるが、光分割手段がサイドビームも分割するように構成してもよい。
次に、光分割手段が、メインビーム及びサイドビームを分割するように構成された光学ヘッド80について説明する。尚、以下の説明において、上述した光学ヘッド21と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明を適用した光学ヘッド80は、図24に示すように、光源22と、この光源22から出射された射出光を光ディスク2上に集光する集光光学素子である対物レンズ27と、光路分岐光学素子であるビームスプリッタ81と、光分割手段を有した複合光学素子82と、3ビーム生成用回折格子86と、受光部84とから構成されている。
ビームスプリッタ81と対物レンズ27の間には、通過した光を平行光とするコリメータレンズ26が配設される。コリメータレンズ26と対物レンズ27の間には、コリメータレンズ26を通過したレーザ光を所定の開口数NAに絞る開口絞り35が設けられる。
光路分岐光学素子であるビームスプリッタ81は、光源22側に形成される異なる反射率の反射領域を有したハーフミラー面と、光源22から遠い面に形成されたミラー面81cとから構成される。異なる反射率の反射領域を有したハーフミラー面は、光源22から出射された往路光が入射する領域に入射光の約80%を反射させ、約16%を透過させる第1のハーフミラー部81aと、光ディスクで反射した復路光が第1のハーフミラー部81aを透過し、ミラー面81cで反射した光が入射する領域に入射光の約0.5%を反射させ、約99%を透過させる第2のハーフミラー部81bとを有する。そして、ビームスプリッタ81は、図24に示すように、光源22と対物レンズ27との光路の間に設けられるとともに、往路光と復路光とが、異なる反射率の反射領域を有したハーフミラー面で重ならないように角度、厚みが決定される。
複合光学素子82は、図24に示すように、光源22とビームスプリッタ81との間の光路上に配設される。複合光学素子82は、図25、図26に示すように、出射光E3が入射する往路側には、上述の光路合成用回折格子24bと同様の機能を有する光路合成用回折格子82aと、光ディスク2からの戻り光が入射する位置の光源側に設けられた反射手段であるミラー面82bと、このミラー面82bで反射した戻り光F3が入射する位置に設けられる光分割手段である分割プリズム85を有している。
複合光学素子82は、樹脂材料を射出成型することにより形成される、尚、複合光学素子82を形成する材料としては、樹脂材料に限定されるものではなく、硝材等の透光性を有する光学材料を用いることができ、さらにこれらの光学材料の組み合わせにより、部分的に材料構成を変えるようにしてもよい。
図27に示すように、分割プリズム85は、3ビーム生成用回折格子86により回折された0次光であるメインビームの光ディスク2からの戻り光の焦点位置近傍に配設される第1の分割部85aと、3ビーム生成用回折格子86により回折された±1次光であるサイドビームの光ディスク2からの戻り光の焦点位置近傍に配設される第2の分割部85b,85cとからなる。
分割プリズム85は、図27に示すように、略四角錐の4本の稜線の内、対向する2本の稜線の途中から切り込みをいれるとともに、略矩形の底面側から切り込みをいれることにより、サイドビーム用の第1の斜面85d,85e、及び、サイドビーム用の第2の斜面85f,85gを形成する。第1の分割部85aは、上述の四角錐の矩形状を底面としたときの頂点であり、第2の分割部85b,85cは、第1の斜面85d,85eと第2の斜面85f,85gとの境界線である。
分割プリズム85の第1の分割部85aは、図28に示すように、この分割プリズム85に入射するメインビームの戻り光の焦点位置に配置され、メインビームの戻り光を空間的に4分割にする。第2の分割部85bは、図28に示すように、サイドビームの戻り光の焦点位置に形成され、サイドビームの戻り光をそれぞれ空間的に2分割にする。
3ビーム生成用回折格子86は、複合光学素子82とビームスプリッタ81との間の往路側の光路上に配置された光学素子に設けられ、入射した光ビームを回折させて0次光及び±1次光からなる3ビームに分割させる。この3ビーム生成用回折格子86により、分割された複数の光ビームにより、トラッキングエラー信号を得ることができる。複合光学素子82とビームスプリッタ81との間の復路側の光路上には、その復路側に入射した光ビームの各収差を補正する収差補正手段として収差補正レンズ87が設けられる。収差補正レンズ87は、光ディスクからの戻り光である復路光に発生する各収差を補正する。
受光部84は、図29に示すように、第1の受光部84aと第2の受光部84bとからなる。第1の受光部84aは、メインビーム用のフォトディテクタであり、分割プリズム85の第1の分割部85aで空間的に分割された複数の戻り光をそれぞれ受光する複数の受光領域を有している。このフォトディテクタは、図29、図30に示すように、互いに直交する一組の分割線によって4等分割された各受光領域A,B,C,Dを有している。
受光部84の第2の受光部84bは、3ビーム用生成回折格子86で回折された複数の光ビームの内、±1次光である2つのサイドビーム用のフォトディテクタであり、それぞれ分割プリズム85の第2の分割部85bで空間的に分割されたそれぞれの戻り光をそれぞれ受光する複数の受光領域を有している。このフォトディテクタは、図29、図30に示すように、第1の受光部84aを間において対向する位置に配置され、それぞれ分割線によって2等分割された各受光領域E,F及び各受光領域G,Hを有している。
次に、この光学ヘッド80における、光源22から出射されたレーザ光の光路について説明する。
図24に示すように、光源22の出射部22a,22bより出射した光ビームは、複合光学素子82に入射し、光路合成用回折格子82aにおいて、2波長半導体レーザの近接して設けられる互いに異なる波長の出射光を出射する出射部22a,22bから射出される長波長の出射光と短波長の出射光の光軸が分割プリズム85への入射位置で一致するように回折して出射される。
光路合成用回折格子82aから射出された光ビームは、3ビーム用生成回折格子86で0次回折光(以下メインビームという)及び±1次回折光(以下サイドビームという)からなる3ビームに分割されて出射し、ビームスプリッタ81のハーフミラー面の第1のハーフミラー部81aで反射される。第1のハーフミラー部81aは、約80%の反射率を有するので、光源22から射出された光ビームは、パワーを失うことなく光ディスク2に到達させることができる。このとき、ハーフミラー面を透過した光は、後の工程には影響を及ぼさない。
ビームスプリッタ81の第1のハーフミラー部81aで反射された光ビームは、コリメータレンズ26を通って平行光となり、開口絞り35で絞られ、対物レンズ27で光ディスク2の記録面15上に集光される。
光ディスク2に集光された光は、光ディスク2で反射し、メインビーム及びサイドビーム(以下合わせて戻り光という)は、対物レンズ27、コリメータレンズ26を透過し、再びビームスプリッタ81に入射する。ビームスプリッタ81に入射した戻り光は、第1のハーフミラー部81aを透過し、ミラー面81cで反射してハーフミラー面の第2のハーフミラー部81bを透過して出射される。この戻り光がビームスプリッタ81に入出するときのハーフミラー面の第1のハーフミラー部81a及び第2のハーフミラー部81bで反射した光は、後の工程には影響を及ぼさない。このビームスプリッタ81から出射する戻り光は、光源22から出射されビームスプリッタ81に入射する出射光と平行となる。
このように、光ディスク2からの戻り光は、ハーフミラー面と反対側のミラー面81cで反射し、再びハーフミラー面から出射させることにより、ビームスプリッタの設置角度及び厚み誤差によらず、光源22からの出射光と平行とされる。
ビームスプリッタ81の第2のハーフミラー部81bを透過して出射された戻り光は、光源22から射出される光路から分離されて、収差補正レンズ87に入射し、各収差を補正されて複合光学素子82側に射出される。
再び複合光学素子82に入射した戻り光は、図26に示すように、ミラー面82bで反射され、分割プリズム85に入射する。このミラー面82bは、戻り光の入射角を臨界角以上とし、全反射面として用いることができる。
図28に示すように、分割プリズム85は、第1の分割部であるメインビームの焦点付近で、メインビームの中心がその頂点に入射するように配設されている。この分割プリズム85に入射した戻り光の内、頂点近傍に入射したメインビームは、第1の分割部85aである頂点を形成する4面の各面に当たる部分によって異なる方向に屈折し、4本の光ビームに分割され、複合光学素子82の直下におかれたメインビーム用フォトディテクタ84aの受光領域A,B,C,Dに入射する。
ここで、各サイドビームは、第2の分割部85bである第1の斜面と第2の斜面の境界線に入射し、第1の斜面及び第2の斜面によって異なる方向に屈折し、2本の光ビームに分割され、複合光学素子82の直下におかれたサイドビーム用フォトディテクタ84bの受光領域E,F,G,Hに入射する。
メインビーム用フォトディテクタ84aは、図29、図30に示すように、4分割されて受光領域A,B,C,Dに分割されており、分割プリズム85で分割された4本のメインビームがそれぞれ異なる受光領域に入射するように配設されている。
また、サイドビーム用フォトディテクタ84bは、メインビーム用フォトディテクタ84aの横に2箇所あり、それぞれが受光領域E,F及び受光領域G,Hに分割されており、分割プリズムの第2の分割部85bで分割された2本のサイドビームがそれぞれ異なる受光領域に入射するように配設されている。
以上のような光学系で構成された光学ヘッド80及びこれを用いた記録再生装置においてフォーカシングエラー信号は上述の光学ヘッド21の場合と同様に、以下のように得られる。すなわち、メインビーム用フォトディテクタ84aの4つの受光面A,B,C,Dからの出力をそれぞれSA、SB、SC、SDとすると、フォーカシングエラー信号FEは、式(2)から得ることができる。
FE=(SA+SC)−(SB+SD)・・・・式(2)
また、トラッキングエラー信号については、以下のように、Differential Push−Pull法(以下、DPP法)により得られる。DPP法は、光源となる半導体レーザから出射されたレーザ光を、光源とディスク間の光路上に配置された回折格子で3ビームに分離させ、この3ビームのディスクによる反射光をそれぞれフォトディテクターで受光して、トラッキングエラー信号を得る方式である。
フォトディテクターは、上述したように、図29に示すような受光パターンになっており、分割された8つのビームがそれぞれの受光領域に入射するよう配置されている。このとき、各受光領域は、入射するビームスポットの大きさに対し十分な面積を有している。
3ビーム生成用回折格子86における0次回折光のビームスポット(ビームスポット)が、受光部84の受光領域A,B,C,Dで受光される。また、3ビーム生成用回折格子86における±1次回折光のビームスポット(サイドビームスポット)が、それぞれ受光部84の受光領域E,F及び受光領域H,Gに入射するように配置されている。
3ビーム生成用回折格子86で回折された3つのビームスポットは、ディスク信号面上でトラックを横切ることによって反射光に強度変化が生じるので、それぞれを受光パターンで受光・演算を行うことによって、Push−Pull信号が得られる。すなわち、メインビームPush−Pull信号をMPP、サイドビームPush−pull信号をSPPとすると以下の式(3)、式(4)のようになる。ここで、サイドビーム用フォトディテクタ84bの受光領域E,F,G,Hからの出力をそれぞれSE,SF,SG,SHとする。
MPP=(SA+SD)−(SB+SC)・・・・式(3)
SPP=(SF−SE)+(SH−SG)・・・・式(4)
ここで、ディスク信号面上における3つのビームスポットの並びは、トラックの接線方向に対し、MPPとSPPの位相差がちょうど180度になるよう設定されており、MPPとSPPに関し、以下のような演算をすることでトラッキングエラー信号を検出することができる。すなわち、トラッキングエラー信号をTEとし、適用する光ディスクシステムで決まる定数をkとすると以下の式(5)のようになる。
TE=MPP−k×SPP・・・・式(5)
光学ヘッド80において、得られたフォーカシングエラー信号によりフォーカス位置を適正に制御でき、トラッキングエラー信号によりトラッキングサーボを行うことができる。
本発明を適用した光学ヘッド80は、メインビーム用及びサイドビーム用のPush−Pull信号を得るためのビーム分割機能を分割プリズム85が担っているので、入射ビーム位置に対するフォトディテクタの位置精度の要求を軽減することが可能である。すなわち、メインビーム用フォトディテクタ4分割受光面及びサイドビーム用フォトディテクタ2分割受光面のそれぞれの面積を適当な大きさに確保しておけば、メインビーム及びサイドビームが第1及び第2の分割部の各面に当たりさえすれば位置は問われないので厳しい位置精度を必要としない。そして、厳しい位置精度がなくても、良好なフォーカシングエラー信号、トラッキングエラー信号を検出することができる。これにより、従来方式に比べ、フォトディテクタのビーム分割線の位置精度を緩和させることができ、光ピックアップ装置へのフォトディテクタの組込コストの抑制、及びフォトディテクタ自体の製造コストの抑制が可能とし、且つ、信頼性を向上させることが可能となる。
本発明を適用した光学ヘッド80は、第1のハーフミラー面81a、第2のハーフミラー面81b及びミラー面81cを備えたビームスプリッタ81が光路分岐された戻り光を光源からの出射光と平行にするので、光路分岐光学素子の設置角度や厚みに影響を受けにくく、良好なフォーカシングエラー信号を得ることができる。
また、本発明を適用した記録及び/又は再生装置は、光学ヘッドがフォトディテクタに入射する前に予め光分割手段によりビーム分割するので、フォトディテクタ受光面の位置精度の要求を低減することができ、信頼性を向上させることができるので記録及び/又は再生動作を適切に行うことができる。
尚、ここでは、3ビーム生成用回折格子86と収差補正レンズ87とをそれぞれ別体として設けたが、一体に形成してもよい。すなわち、複合光学素子82とビームスプリッタ81との間に配置され、往路側に3ビーム生成用回折格子と、復路側に収差補正素子とを有する板状光学素子を設けてもよい。
この板状光学素子を備える光学ヘッドでは、光源22から出射されたレーザ光が光ディスク2で反射するまでの往路と、光ディスクで反射されたレーザ光が受光部に入射するまでの復路において、共に同じ光学素子内を通過する。よって、ある光学素子が傾斜していたときでも、上述の光学ヘッド21の場合と同様に、往路でその光学素子が通過する際に発生したズレは、復路でその光学素子を通過するときにうち消すズレが発生する。このように往復路において、同じ光学素子内を通過させたレーザ光は、光学素子が傾斜した場合においても良好な、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号が得られる。
この板状光学素子を備える光学ヘッドによれば、往路光、復路光共に同じ光学素子を通過させる構成であることにより、従来では受発光部の厳しい位置精度により決定されていた、光学ヘッドのベース部分の形状や製造方法、あるいはその他の部品の形状や配置方法の選択範囲が拡大できる。例えば、ある光学素子が傾斜することによって往路光の軸ズレが発生しても、復路光が再びその素子を通過することで、そのズレをキャンセルすることで取り除き、受発光部の相対位置が変化することはない。したがって、部品精度による信頼性が向上し、且つ、設計時の自由度を増大させ、製造方法の選択肢を増やすことができ、光学ヘッドのコスト抑制が可能となる。このように、低コスト且つ高信頼性の光学ヘッド及びこれを用いた記録再生装置を提供することが可能である。
また、3ビーム生成用回折格子86と収差補正レンズ87とは、複合光学素子82とビームスプリッタ81との間に設けられているが、それぞれビームスプリッタ81と対物レンズ27との間に設けるように構成しても良い。
尚、光分割手段として、図27に示すように、第2のビーム分割部を形成する第1の斜面及び第2の斜面が凹状に形成された分割プリズム85を用いているが、図31に示すように、第2のビーム分割部を形成する第1の斜面及び第2の斜面が凸状に形成された分割プリズム90を用いてもよい。図31に示す分割プリズム90は、略四角錐の4本の稜線の内、対向する2本の稜線の途中から削り落とすことにより第1の斜面を形成し、さらに、2本の稜線を切り落とすことにより形成された頂点を削り落とすことにより第2の斜面を形成する。第1の分割部90aは、上述の四角錐の略矩形状を底面としたときの頂点であり、第2の分割部90b,90cは、第1の斜面90d,90eと第2の斜面90f,90gとの境界線である。
尚、分割プリズムに形成されるビーム分割面は、上述のような平面の組合せでなく、各面が曲面になっているいわゆる自由曲面アレイであってもよい。各面が曲面になっている構成とした場合は、分割後の各ビームを所定の方向に出射させることができ、上述の分割プリズム85を備えた場合と同等の効果が得られる。
また、光分割手段として、分割プリズムを用いて屈折によりビーム分割をするようにしたが、例えば、ホログラムによりビーム分割するように構成してもよい。ホログラムによりビーム分割を行うように構成した場合は、各ビームを所定の方向に回折させてビーム分割することができ、分割プリズム85を備えた場合と同様の効果が得られる。
さらに、光分割手段として、平面、自由曲面及びホログラムの組合せによりビーム分割をするようにしてもよい。
尚、光学ヘッド21、光学ヘッド42、光学ヘッド60及び光学ヘッド80において、分割プリズムと受光部との間に集光手段を付加するように構成してもよい。
次に、分割面を透過する際に発散していた光線をフォトディテクタ上に集光する集光手段を有する光学ヘッド120について説明する。尚、以下の説明において、上述した光学ヘッド21、光学ヘッド80と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明を適用した光学ヘッド120は、図32に示すように、光源22と、この光源22から出射された射出光を光ディスク2上に集光する集光光学素子である対物レンズ27と、光路分岐光学素子であるビームスプリッタ81と、光分割手段を有した複合光学素子121と、3ビーム生成用回折格子86と、受光部84から構成されている。
ビームスプリッタ81と対物レンズ27との間には、通過した光を平行光とするコリメータレンズ26が配設される。コリメータレンズ26と対物レンズ27との間には、コリメータレンズ26を通過したレーザ光を所定の開口数NAに絞る開口絞り35が設けられる。
複合光学素子121は、図32に示すように、光源22とビームスプリッタ81との間の光路上に配設される。複合光学素子121は、図33〜図35に示すように、出射光E4が入射する往路側には、上述の光路合成用回折格子24bと同様の機能を有する光路合成用回折格子121aと、光ディスク2からの戻り光F4が入射する位置の光源側に設けられる光分割手段である分割プリズム122と、この分割プリズム122で分割された光を反射する反射手段であるミラー面121bと、このミラー面121bで反射した戻り光が射出する位置に設けられる集光手段である集光光学素子121cとを有している。
図36に示すように、分割プリズム122は、上述の分割プリズム85と同様に、3ビーム生成用回折格子86により回折された0次光であるメインビームの光ディスク2からの戻り光の焦点位置近傍に配設される第1の分割部122aと、3ビーム生成用回折格子86により回折された1次光であるサイドビームの光ディスク2からの戻り光の焦点位置近傍に配設される第2の分割部122b、122cとからなる。
分割プリズム122は、図36に示すように、略四角錐の4本の稜線の内、対向する2本の稜線の途中から切り込みをいれるとともに、略矩形の底面側から切り込みをいれることにより、サイドビーム用の第1の斜面122d、122e、及び、サイドビーム用の第2の斜面122f,122gを形成する。第1の分割部122aは、上述の四角錐の矩形状を底面としたときの頂点であり、第2の分割部122b,122cは、第1の斜面122d,122eと第2の斜面122f,122gとの境界線である。
分割プリズム122の第1の分割部122aは、この分割プリズム122に入射するメインビームの戻り光の焦点位置に配置され、メインビームの戻り光を空間的に4分割にする。第2の分割部122bは、サイドビームの戻り光の焦点位置に形成され、サイドビームの戻り光をそれぞれ空間的に2分割にする。
集光光学素子121cは、図34、図35に示すように、分割プリズム122で分割された複数の光ビームを、それぞれ集光して、受光部84に導く。すなわち、分割プリズム122の分割面上に光ビームが集光しているため、分割プリズム122で分割された後にこの光ビームは発散する。集光光学素子121cは、この発散する分割後の光ビームを集光することにより、受光部の製作コスト及び周波数特性の点で有利にすることができる。
また、この集光光学素子121cは、球面、非球面、自由曲面、又はこれらの組合せにより形成されている。ところで、光ディスクからの戻り光が分割プリズムにより分割された光ビームの光束は、回転対称形となっているとは限らない。よって、集光光学素子121cに自由曲面を用いたときには、光束をより小さく集光することが可能となる。
次に、この光学ヘッド120における、光源22から出射されたレーザ光の光路について説明する。
図32に示すように、光源22の出射部22a,22bより出射した光ビームは、複合光学素子121に入射し、光路合成用回折格子121aにおいて、2波長半導体レーザの近接して設けられる互いに異なる波長の出射光を出射する出射部22a,22bから射出される長波長の出射光と短波長の出射光の光軸が分割プリズム122への入射位置で一致するように回折して出射される。
光路合成用回折格子121aから射出された光ビームは、3ビーム生成用回折格子86で0次回折光(以下メインビームという)及び±1次回折光(以下サイドビームという)からなる3ビームに分割された出射し、ビームスプリッタ81のハーフミラー面の第1のハーフミラー部81aで反射される。第1のハーフミラー部81aは、約80%の反射率を有するので、光源22から射出された光ビームは、パワーを失うことなく光ディスク2に到達させることができる。このとき、ハーフミラー面を透過した光は、後の工程には影響を及ぼさない。
ビームスプリッタ81の第1のハーフミラー部81aで反射された光ビームは、コリメータレンズ26を通って平行光となり、開口絞り35で絞られ、対物レンズ27で光ディスク2の記録面15上に集光される。
光ディスク2に集光された光は、光ディスク2で反射し、メインビーム及びサイドビーム(以下合わせて戻り光という)は、対物レンズ27、コリメータレンズ26を透過し、再びビームスプリッタ81に入射する。ビームスプリッタ81に入射した戻り光は、第1のハーフミラー部81aを透過し、ミラー面81cで反射してハーフミラー面の第2のハーフミラー部81bを透過して出射される。この戻り光がビームスプリッタ81に入出するときのハーフミラー面の第1のハーフミラー部81a及び第2のハーフミラー部81bで反射した光は、後の工程には影響を及ぼさない。このビームスプリッタ81から出射する戻り光は、光源22から出射されビームスプリッタ81に入射する出射光と平行となる。
このように、光ディスク2からの戻り光は、ハーフミラー面と反対側のミラー面81cで反射し、再びハーフミラー面から出射させることにより、ビームスプリッタ81の設置角度及び厚み誤差によらず、光源22からの出射光と平行とされる。
ビームスプリッタ81の第2のハーフミラー部81bを透過して出射された戻り光は、光源22から射出される光路から分離されて、収差補正レンズ87に入射し、各収差を補正されて複合光学素子82側に射出される。
再び複合光学素子121に入射した戻り光は、図33〜図35に示すよう、分割プリズム122に入射する。この分割プリズム122に入射した戻り光の内、頂点近傍に入射したメインビームは、第1の分割部85aである頂点を形成する4面の各面に当たる部分によって異なる方向に屈折し、4本の光ビームに分割され、ミラー面121bで反射され、集光光学素子121cにより集光されて、複合光学素子121の直下におかれたメインビーム用フォトディテクタ84aの受光領域A,B,C,Dに入射する。
また、複合光学素子121に入射した戻り光の内、各サイドビームは、第2の分割部85bである第1の斜面と第2の斜面の境界線に入射し、第1の斜面及び第2の斜面によって異なる方向に屈折し、2本の光ビームに分割され、ミラー面121bで反射され、集光光学素子121cにより集光されて、複合光学素子121の直下におかれたサイドビーム用フォトディテクタ84bの受光領域E,F,G,Hに入射する。
このとき、このミラー面121bは、戻り光の入射角を臨界角以上とし、全反射面として用いることができる。
メインビーム用フォトディテクタ84aは、図29、図30に示すように、4分割されて受光領域A,B,C,Dに分割されており、分割プリズム122で分割された4本のメインビームがそれぞれ異なる受光領域に入射するように配設されている。
また、サイドビーム用フォトディテクタ84bは、メインビーム用フォトディテクタ31の横に2箇所あり、それぞれが受光領域E,F及び受光領域G,Hに分割されており、分割プリズムの第2の分割部85bで分割された2本のサイドビームがそれぞれ異なる受光領域に入射するように配設されている。
以上のような光学系で構成された光学ヘッド120及びこれを用いた記録再生装置において、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号の算出方法については、先に述べた光学ヘッド80のときと同様であるので、省略する。この得られたフォーカシングエラー信号によりフォーカス位置を適正に制御でき、トラッキングエラー信号によりトラッキングサーボを行うことができる。
本発明を適用した光学ヘッド120は、光分割手段により分割された光ビームを集光手段により集光することにより、従来では、光分割手段により分割された光ビームが拡がっていたため、それよりも大きな受光部を必要としていたが、受光部の大きさを縮小することができ、製作コスト及び周波数特性の点で有利となり、低コスト且つ高性能な光学ヘッドを実現できる。
また、光学ヘッド120は、メインビーム用及びサイドビーム用のPush−Pull信号を得るためのビーム分割機能を分割プリズム122が担っているので、入射ビーム位置に対するフォトディテクタの位置精度の要求を軽減することが可能である。すなわち、メインビーム用フォトディテクタ4分割受光面及びサイドビーム用フォトディテクタ2分割受光面のそれぞれの面積を適当な大きさに確保しておけば、メインビーム及びサイドビームが各面に当たりさえすれば位置は問われないので厳しい位置精度を必要としない。そして、厳しい位置精度がなくても、良好なフォーカシングエラー信号、トラッキングエラー信号を検出することができる。これにより、従来方式に比べ、フォトディテクタのビーム分割線の位置精度を緩和させることができ、光ピックアップ装置へのフォトディテクタの組込コストの抑制、及びフォトディテクタ自体の製造コストの抑制を可能とし、且つ、信頼性を向上させることが可能となる。さらに、ビームを分割した後に、集光手段によりフォトディテクタ上に集光しているので、フォトディテクタのパターンを小さくすることができ、フォトディテクタの製作コストを抑制することができる。
本発明を適用した光学ヘッド120は、第1のハーフミラー面81a、第2のハーフミラー面81b及びミラー面81cを備えたビームスプリッタ81が光路分岐された戻り光を光源からの出射光と平行にするので、光路分岐光学素子の設置角度や厚みに影響を受けにくく、良好なフォーカシングエラー信号を得ることができる。
また、本発明を適用した記録及び/又は再生装置は、光学ヘッドがフォトディテクタに入射する前に予め光分割手段によりビーム分割するので、フォトディテクタ受光面の位置精度の要求を低減することができ、信頼性を向上させることができるので記録及び/又は再生動作を適切に行うことができる。
尚、上述の光学ヘッド80と同様に、3ビーム生成用回折格子と収差補正素子とを一体に有する板状光学素子を設けてもよい。この板状光学素子を備える光学ヘッドによれば、往路光、復路光共に同じ光学素子を通過させる構成であることにより、従来では受発光部の厳しい位置精度により決定されていた、光学ヘッドのベース部分の形状や製造方法、あるいはその他の部品の形状や配置方法の選択範囲が拡大できる。例えば、ある光学素子が傾斜することによって往路光の軸ズレが発生しても、復路光が再びその素子を通過することで、そのズレをキャンセルすることで取り除き、受発光部の相対位置が変化することはない。したがって、部品精度による信頼性が向上し、且つ、設計時の自由度を増大させ、製造方法の選択肢を増やすことができ、光学ヘッドのコスト抑制が可能となる。このように、低コスト且つ高信頼性の光学ヘッド及びこれを用いた記録再生装置を提供することが可能である。
また、光学ヘッド120において、3ビーム生成用回折格子86と収差補正レンズ87とは、複合光学素子82とビームスプリッタ81との間に設けられているが、ビームスプリッタ81と対物レンズ27との間に設けるように構成しても良い。
尚、集光手段は、図37に示すように光分割手段と受光部との間の光路上に配設された集光レンズ131であってもよい。この場合は、複合光学素子は、上述の光学ヘッド80の複合光学素子82のような形状のものが用いられる。
また、光分割手段と集光手段を組み合わせて、図38に示すような分割集光手段132を有するように構成してもよい。この分割集光手段132は、複合光学素子に設けられ、分割面が曲率を有し、各ビームが分割されると同時に、受光部に集光するようにされる。
上述の光学系は、例えば、図39に示すように構成される。尚、図39に示す光学ヘッドは、光学ヘッド80のさらに具体的な構成を示すものあるが、光学ヘッド21、光学ヘッド42、光学ヘッド60又は光学ヘッド120の場合においても同様である。
図39に示す光学ヘッド150は、スライドベース151と、このスライドベース151に取り付けられる金属ホルダ152と、この金属ホルダ152に取り付けられる基板若しくは別の放熱体と配線手段とを具備するものとしてセラミック基板153と、スライドベース151に取り付けられ、複合光学素子82を保持するプリズムユニット154とからなる。
換言すると、光学ヘッド150は、レーザ及び受光素子を搭載する金属ホルダ152及びセラミック基板153からなる第1のユニットと、ビーム分割光学素子を搭載するプリズムユニット154である第2のユニットと、その他の光学素子及び回路等を搭載するスライドベース151である第3のユニットとからなる。
金属ホルダ152は、図40、図41に示すように、セラミック基板153を差し込んで固定するための差し込み凹部171が設けられている。金属ホルダ152には、この差し込み凹部171にセラミック基板153を差し込んだときに、差し込み凹部171と反対側の側面部及び上面部にかけて、セラミック基板153が外部に臨むように開口部172が設けられている。金属ホルダ152には、差し込み凹部171にセラミック基板153が差し込まれ、その開口部172によりセラミック基板153を半田付け178等により固定できる。
この金属ホルダ152は、亜鉛ダイカストにより形成される。尚、金属ホルダ152は、亜鉛ダイカストの他、マグネシウム、アルミニウム等のダイカスト金属により形成してもよい。さらに、金属ホルダ152は、上述のダイカスト金属の他、アルミニウム、真鍮、銅などの鍛造やプレス等による金属形成部材により形成してもよい。また、金属ホルダ152は、銅、アルミ等をクラッドしたクラッド材でもよい。この金属ホルダ152には、プリズムユニット154を固定するために、無鉛半田メッキが施されている。このメッキは、錫メッキでもよい。
金属ホルダ152には、図39、図40に示すように、レーザから出射されるレーザビームの強度中心、すなわち出射光の光路を対物レンズのレンズ中心と一致させるように、スライドベース151に対して取り付け位置を調整し、スライドベース151にネジ締めして固定するための第1の取付調整部となる取付孔173が設けられている。尚、光学ヘッド150においては、スライドベース151と金属ホルダ152とを位置調整をしてネジ締めにより固定しているが、半田付け等の固定手段により固定してもよい。
セラミック基板153は、金属ホルダ152の差し込み凹部171に差し込まれ、開口部172で半田付けにより固定される。セラミック基板153が金属ホルダ152に半田付けされることにより、高い熱伝導性を有して接続され、放熱性を向上させることができる。また、セラミック基板153が金属ホルダ152の差し込み凹部171に差し込まれることにより、接触面積を増加させることができ、放熱性をさらに高めることが可能となる。
金属ホルダ152には、光源22となるレーザチップ161がチップマウントされる。セラミック基板153には、第1の受光部84a及び第2の受光部84bとなるPDIC(Photo Detect IC)162がチップマウントされる。このレーザチップ161及びPDIC162は、ワイヤーボンディング176,177によりセラミック基板に電気的に接続される。セラミック基板153には、フレキシブル基板がフィルム状の熱硬化接着剤又は液状接着剤で貼り付けられ、レーザチップ161と受光部との電気的な入出力信号の接続がされる。セラミック基板153に設けられたPDIC162は、剛性が高く、セラミック基板153上には位置されるため、受光面として安定するとともに、発生した熱を良好に金属ホルダ152に伝熱される。
レーザチップ161で発生した熱は、金属ホルダ152に伝熱され放熱される。レーザチップ161が直接金属ホルダ152にチップマウントされ、金属ホルダ152が熱伝導性の良い材料からなり、熱抵抗の小さな形状とすることで熱伝導性を高め、表面積を大きくすることで放熱性を高くし、スライドベース151にネジ締めや半田付けで熱的に接続したことで、放熱性が大きく改善され、レーザチップ161が配置される箇所の温度を低く抑えることができる。また、PDIC162で発生した熱は、セラミック基板153を介して金属ホルダ152に伝熱され、放熱される。PDIC162が直接セラミック基板153にチップマウントされ、セラミック基板153を介して金属ホルダ152に熱が良好に伝熱され、放熱される。PDIC162は、セラミック基板153にチップマウントされるのに限らず、セラミック基板を用いる以外の方法として、別の放熱体にマウントし、PDICの電気的接続を配線手段を具備するものとしてフレキ基板を用いるようにしてもよい。また、PDIC162は、レーザチップ161が設けられた放熱体にマウントし、PDICの電気的接続を配線手段を具備するものとしてフレキ基板を用いるようにしてもよい。
また、金属ホルダ152には、図41に示すように、レーザチップ161から射出された射出光が直接受光部に入射することを防止する迷光防止突起160が設けられている。迷光防止突起160は、レーザチップ161から出射されたレーザ光の迷光E5が受光部に入射することを防止できる。
プリズムユニット154は、図41、図42に示すように、分割プリズム85を有した複合光学素子82を保持する。また、プリズムユニット154には、スライドベース151に対して取り付け位置を調整し、スライドベース151及び金属ホルダ152に固定するための第2の取付調整部となる取付孔175が設けられている。プリズムユニット154は、スライドベース151及び金属ホルダ152との位置を調整してネジ締めすることにより、スライドベース151及び金属ホルダ152に固定される。このとき、金属ホルダ152の挿通孔174を介してネジ締めが行われる。
プリズムユニット154は、第2の取付調整部となる取付孔175により取付位置を調整することで複合光学素子82の光路合成用回折格子82aがレーザチップ161に臨む位置に、分割プリズム85がPDIC162に臨む位置に配置される位置に複合光学素子82を保持することができる。
スライドベース151には、レーザチップ161から出射された射出光を光ディスク上に集光する対物レンズ27と、光ディスクで反射された戻り光を光路分岐し、光路分岐された戻り光を光源から出射される出射光と平行にするビームスプリッタ81とが設けられている。ビームスプリッタ81と対物レンズ27との間には、ビームスプリッタ81側から、コリメータレンズ26と、対物レンズ及びディスク面側に光ビームを導くためのミラー166が設けられている。
また、スライドベース151には、複合光学素子82とビームスプリッタ81との間の入射光側に、3ビーム用生成回折格子86が設けられている。そして、スライドベース151には、複合光学素子82とビームスプリッタ81との間の戻り光側には、収差補正手段として収差補正レンズ87が設けられている。この3ビーム用生成回折格子86及び収差補正レンズ87は、光学素子取付部材164をスライドベースの光学素子取付部165に取り付けることにより固定される。
図39に示すように、スライドベース151の取付部と、金属ホルダ152の調整取り付けネジ穴173とを取り付けネジにより締め付けることにより、金属ホルダ152の位置調整をするとともに、スライドベース151と金属ホルダ152とを固定することができる。
また、図43に示すように、スライドベース151に、プリズムユニット154の取付孔175を調整して取り付けネジにより締め付けることにより、複合光学素子82を搭載したプリズムユニット154を位置調整するとともに固定することができる。このとき、プリズムユニット154の取付孔175と、金属ホルダ152の挿通孔174とをネジにより締め付け固定することにより、光学部品の位置を調整することができる。すなわち、挿通孔174と取り付け孔175により、図44に示すように、レーザチップ161と3ビーム生成用回折格子86との位置、及び受光部と分割プリズム85との位置関係を調整することが可能となる。
光学ヘッド150における、光源であるレーザチップ161から出射されたレーザ光の光路については、先に述べた光学ヘッド80のときと同様であるので省略する。
また、光学ヘッド150におけるフォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号の算出方法については、先に述べた光学ヘッド80のときと同様であるので、省略する。この得られたフォーカシングエラー信号によりフォーカス位置を適正に制御でき、トラッキングエラー信号によりトラッキングサーボを行うことができる。
本発明を適用した光学ヘッド150は、ハーフミラー面81a,81b及びミラー面81cを備えたビームスプリッタ81が光路分岐された戻り光を光源からの出射光と平行にするので、光路分岐光学素子の設置角度や厚みに影響を受けにくく、良好なフォーカシングエラー信号を得ることができるとともに、フォトディテクタに入射する前に予め分割プリズム等でビーム分割するので、フォトディテクタ受光面の要求を軽減することが可能である。
すなわち、光学ヘッド150は、第1の取付調整部により金属ホルダをスライドベースに取り付けることができ、第2の取付調整部により分割プリズム85を保持したプリズムユニット154をスライドベース151に取り付けることができ、この第2の取付調整部による分割プリズム85の位置調整の際に、各受光領域に光ビームが入射するように位置調整すればよく、光学ヘッド製造工程における組み立て工程における位置調整を簡単にし、フォトディテクタの位置調整を簡単にすることができ、且つ、信頼性を向上させることが可能となる。
また、光学ヘッド150は、レーザチップ161を放熱性の高い金属ホルダ152上に配置し、PDIC162をセラミック基板153に配置し、このセラミック基板153を介して放熱性の高い金属ホルダ152から放熱させる構成にしたので、高倍速記録時などのレーザの消費電力が大きい場合でも、レーザチップ161により発生する熱を効率良く放熱可能であり、レーザの温度を低く抑えることができ、レーザの寿命を延ばすことができる。光学ヘッド150は、主な発熱源である光源及び受光部を1つのユニットに配置し、このユニットを放熱性の高い部材により構成したので、効率的に放熱を行うことができる。
すなわち、光学ヘッド150は、光学系の配置の高い精度を必要とすることなしに光学性能を良好に保つ構成を有すると共に、簡単に放熱効果を高めることができる。
また、光学ヘッド150は、レーザチップ161をチップマウントする金属ホルダ152に、レーザから出射されるレーザビームの強度中心と対物レンズ27のレンズ中心とを一致させるようにスライドベース151に対して調整し、固定するための手段として、ネジ締め又は半田付けにより固定したので、部品点数を削減し、低コストにより構成することが可能となる。
光学ヘッド150は、放熱手段としてセラミック基板153を使用し、ワイヤボンディングによりレーザチップ161及びPDIC162に接続するようにしたので、配線スペースを小さくすることができ、部品点数を削減することが出来、光学ヘッド自体の小型化を可能とする。
光学ヘッド150は、スライドベース151に対してプリズムユニット154をネジ又は半田付けにより固定する構造としたので、レーザから出射されるレーザビームの強度中心と対物レンズのレンズ中心とを一致させる際のポジションズレを小さく抑えることができ、また、温度変化等による環境ストレスに対して、ポジションの経時的な変化を少なくすることができ、光学ヘッド自体の信頼性を高めることが可能となる。
光学ヘッド150は、迷光防止突起160を金属ホルダ152に設けたので、レーザチップ161から出射された迷光が受光部84に入射することを防止することができ、従来のように迷光防止部材を別部品等により取り付ける必要がなくなるので、部品コストを低減し、作業工数を削減することができる。
尚、上述の光学ヘッド150においては、第1の受光部84a及び第2の受光部84bを一体に備えたPDIC162としたが、別体のICにより構成してもよい。すなわち、第1の受光部84aとなるPDICと、第2の受光部84bとなるFPDIC(Front Photo Detect IC)とを備えるように構成してもよい。
1 記録再生装置、 2 光ディスク、 3 光学ヘッド、 4 ディスク回転駆動機構、 5 送り機構、 6 制御部、 7 ディスクテーブル、 8 スピンドルモータ、 9 アクセス制御回路、 10 サーボ回路、 11 ドライブコントローラ、 12 信号復調回路、 13 誤り訂正回路、 14 インターフェース、 22 光源、 23 複合光学素子、 24 板状光学素子、 24a 3ビーム生成用回折格子、 24b 光路合成用回折格子、 25 ビームスプリッタ、 26 コリメータレンズ、 27 対物レンズ、 29 受光部