JP4250953B2 - 6ホウ化物粒子とこの6ホウ化物粒子が分散された分散体および6ホウ化物粒子若しくは分散体を用いた物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caの内から選択された1種類以上の元素(X)とホウ素(B)の化合物粒子(6ホウ化物粒子)とこの6ホウ化物粒子を液体媒質若しくは固体媒質中に分散させた6ホウ化物粒子の分散体に係り、特に、耐水性が改善された6ホウ化物粒子とこの6ホウ化物粒子の分散体および6ホウ化物粒子若しくはこの分散体を用いた物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【特許文献1】
特開2000−169765号公報(請求項5〜10)
【0004】
LaB6等で代表される6ホウ化物粒子は、可視光領域における光の透過率は高くて反射率が低く、近赤外領域における光の透過率は低いといった特性を有しているため、近年、日射遮蔽材料として利用されている(特許文献1参照)。
【0005】
ところで、上記6ホウ化物粒子は空気中の水蒸気や水によって表面が分解されることが知られている。特に、微細粒子の状態で存在する場合には体積に対する表面積が増加しているため、6ホウ化物粒子表面は水蒸気や水分で分解し酸化物や水酸化物の化合物に変化する割合が多く、その結果、6ホウ化物本来の特性が徐々に低下してしまう現象が現れる。
【0006】
そして、6ホウ化物粒子を用いた塗膜等においてその光学特性を利用して近赤外領域における光を遮蔽するような用途に適用した場合、水蒸気や水の影響で200nm〜2600nm領域の透過率が上昇してしまい、日射遮蔽性能が徐々に劣化する問題があったがこれを防止する方法は未だ開発されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこの様な問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、耐水性が改善されて日射遮蔽材料として好適に利用される6ホウ化物粒子とこの6ホウ化物粒子が液体媒質若しくは固体媒質に分散された分散体、および、6ホウ化物粒子若しくはこの分散体を用いた物品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1に係る発明は、
Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caの内から選択された1種類以上の元素(X)の6ホウ化物粒子を前提とし、
上記6ホウ化物粒子の表面が、シラザン系処理剤から成る表面処理剤で物理的に被覆されているか、6ホウ化物粒子表面で6ホウ化物粒子と化学的に結合した上記表面処理剤で被覆されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、
Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caの内から選択された1種類以上の元素(X)の6ホウ化物粒子を前提とし、
上記6ホウ化物粒子の表面が、シラザン系処理剤、クロロシラン系処理剤、アルコキシ基を分子構造中に有する無機系処理剤、および、アルコキシ基を分子末端若しくは側鎖に有する有機系処理剤から選択されたケイ素を含有する表面処理剤で物理的に被覆されているか、6ホウ化物粒子表面で6ホウ化物粒子と化学的に結合した表面処理剤で被覆されており、かつ、上記表面処理剤による被覆前の6ホウ化物粒子と表面処理剤および溶媒を攪拌混合し、これを分散処理して分散液を得ると共に、分散液から溶媒を蒸発させて除去しかつ加熱乾燥させた後、粉砕して得られていることを特徴とし、
請求項3に係る発明は、
請求項1または2記載の発明に係る6ホウ化物粒子を前提とし、
上記6ホウ化物粒子が、ホウ化ランタンであることを特徴とし、
請求項4に係る発明は、
請求項1〜3のいずれかに記載の発明に係る6ホウ化物粒子を前提とし、
上記6ホウ化物粒子の粒子径が、10nm〜10μmであることを特徴とし、
請求項5に係る発明は、
請求項1〜4のいずれかに記載の発明に係る6ホウ化物粒子を前提とし、
表面処理剤の6ホウ化物粒子に対する比率が、表面処理剤に含まれるケイ素換算で6ホウ化物粒子1重量部に対して0.01〜100重量部であることを特徴とし、
請求項6に係る発明は、
上記6ホウ化物粒子を用いた物品を前提とし、
基材表面に請求項1〜5のいずれかに記載の6ホウ化物粒子群が直接積層されて6ホウ化物粒子群の被膜を有する物品を構成していることを特徴とするものである。
【0010】
次に、請求項7に係る発明は、
上記6ホウ化物粒子の分散体を前提とし、
請求項1〜5のいずれかに記載の6ホウ化物粒子が液体媒質若しくは固体媒質中に分散していることを特徴とし、
請求項8に係る発明は、
請求項7記載の発明に係る6ホウ化物粒子の分散体を前提とし、
上記液体媒質が、有機溶媒または/および水で構成されるか、樹脂および金属アルコキシドの少なくとも一方を溶解若しくは分散させた有機溶媒または/および水で構成されることを特徴し、
請求項9に係る発明は、
請求項7記載の発明に係る6ホウ化物粒子の分散体を前提とし、
上記固体媒質が、樹脂若しくはガラスのいずれかで構成されることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項10に係る発明は、
請求項7または9記載の発明に係る6ホウ化物粒子の分散体を前提とし、
固体媒質中に分散された上記6ホウ化物粒子の分散体が、基材表面に形成された被膜を構成していることを特徴とし、
請求項11に係る発明は、
請求項7または9記載の発明に係る6ホウ化物粒子の分散体を前提とし、
固体媒質中に分散された上記6ホウ化物粒子の分散体が、厚さ0.1μm〜50mmのフィルム若しくはボードを構成していることを特徴とし、
請求項12に係る発明は、
請求項7または9記載の発明に係る6ホウ化物粒子の分散体を前提とし、
固体媒質中に分散された上記6ホウ化物粒子の分散体が、粉砕処理されて粉状体を構成していることを特徴とし、
請求項13に係る発明は、
請求項12記載の発明に係る6ホウ化物粒子の分散体を前提とし、
粉砕処理された上記粉状体の粒子径が、10nm〜10μmであることを特徴とし、
また、請求項14に係る発明は、
6ホウ化物粒子の分散体を用いた物品を前提とし、
請求項10または11の分散体を用いたことを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
上述したように6ホウ化物粒子は空気中の湿気等でその表面が酸化物や水酸化物に変化し6ホウ化物本来の特性が低下してしまう問題があったが、6ホウ化物粒子の表面が、表面処理剤で物理的に被覆されているか、6ホウ化物粒子表面で6ホウ化物粒子と化学的に結合した表面処理剤で被覆された場合、6ホウ化物粒子の耐水性を改善させることが可能となることを見出し本発明を完成させるに至っている。
【0014】
6ホウ化物粒子表面を被覆するものとしては上記表面処理剤であるが、この表面処理剤は6ホウ化物粒子表面と化学的に反応することで被覆してもよいし物理的に被覆するものであってもよい。6ホウ化物粒子表面を水蒸気の透過を防止する疎水性物質としての上記表面処理剤でコーティングすることにより、水蒸気や水が直接6ホウ化物粒子表面に接触することを妨げるため、結果的に6ホウ化物粒子の耐水性が向上したものと考えられる。
【0015】
そして、上記表面処理剤としては、シラザン系処理剤、クロロシラン系処理剤、アルコキシ基を分子構造中に有する無機系処理剤、および、アルコキシ基を分子末端若しくは側鎖に有する有機系処理剤から選択されたケイ素を含有する表面処理剤が挙げられる。
【0016】
上記シラザン系処理剤は6ホウ化物粒子との反応性が強く、6ホウ化物粒子と粒子表面で共有結合して6ホウ化物表面を覆うことが可能となる。更に、シラザンは親油性で、分子構造が小さいため、緻密に粒子表面を覆い最外殻は疎水性となり耐水性向上に有効である。具体的には、ヘキサメチルジシラザン、サイクリックシラザン、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、N−トリメチルシリルアセトアミド、ジメチルトリメチルシリルアミン、ジエチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール、N−トリメチルシリルフェニルウレア等が挙げられ、かつ、これ等の加水分解物若しくはその重合物の適用も可能である。
【0017】
また、上記クロロシラン系処理剤はそのクロル基が6ホウ化物粒子と粒子表面で共有結合を形成する。これによって粒子表面はクロロシラン系処理剤に覆われ、耐水性が向上する。クロロシラン系処理剤の代表的なものは、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリフロロプロピルトリクロロシラン、ヘプタデカフロロデシルトリクロロシラン、ビニルトリクロルシラン等が挙げられ、かつ、これ等の加水分解物若しくはその重合物の適用も可能である。
【0018】
次に、アルコキシ基を分子構造中に有する無機系処理剤はそのアルコキシ基が6ホウ化物粒子と粒子表面で共有結合を形成する。これによって粒子表面はこの表面処理剤で覆われ、また、最外殻は無機系処理剤、無機系処理剤の親油性基若しくは疎水基で覆われ耐水性が向上する。代表的なものとしては、シラン系カップリング剤等が挙げられる。具体的には、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、β―(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ―アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルーγ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―クロロプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。更に、アルコキシシラン表面処理剤として分類される以下の化合物、すなわち、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリウルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン等が挙げられ、かつ、これ等の加水分解物若しくはその重合物の適用も可能である。
【0019】
また、アルコキシ基を分子末端若しくは側鎖に有し、主鎖がエポキシ、アクリル、ウレタン等の親油性高分子である有機系処理剤も有効である。アルコキシ基は6ホウ化物粒子表面で共有結合し、粒子の最外殻は、エポキシ、アクリル、ウレタン等の親油性高分子で覆われた状態になり耐水性が向上する。
【0020】
次に、6ホウ化物粒子表面に、シラザン系処理剤、クロロシラン系処理剤、アルコキシ基を分子構造中に有する無機系処理剤、および、アルコキシ基を分子末端若しくは側鎖に有する有機系処理剤から選択されたケイ素を含有する表面処理剤を被覆させる方法としては、6ホウ化物粒子表面が上記表面処理剤で被覆されていればよくその方法は特に限定されない。例えば、6ホウ化物粒子に表面処理剤の溶液を直接噴霧して被覆させ、かつ、乾燥させると共に加熱処理して物理的若しくは化学的に被覆してもよい。
【0021】
また、効率よく6ホウ化物粒子表面を表面処理剤で被覆する方法として、湿式法が挙げられる。この方法は、6ホウ化物粒子を適宜溶媒中に分散させその中に表面処理剤を添加して6ホウ化物粒子表面を被覆する方法である。上述した表面処理剤は溶媒中で効率良く6ホウ化物粒子表面を覆い、耐水性の向上した6ホウ化物粒子が得られる。尚、この湿式法において、6ホウ化物粒子と表面処理剤が分散した分散液から溶媒を蒸発させて除去し、かつ、加熱乾燥させた後、粉砕して6ホウ化物粒子表面を表面処理剤で被覆する手法を採ってもよい。この加熱乾燥処理により、溶媒中で単に被覆させる方法に較べて6ホウ化物粒子表面に形成される表面処理剤の被膜が緻密となり耐湿性が向上する。加熱乾燥温度は、6ホウ化物の耐熱温度や加熱雰囲気によって決定されるが、酸素が存在する雰囲気、特に大気中で6ホウ化物は600℃前後から酸化するため、600℃以下の熱処理が好ましい。また、酸素の存在しない不活性ガス雰囲気では加熱温度の上限は6ホウ化物の分解温度となるが、1000℃以上になると6ホウ化物粒子表面を被覆している表面処理剤(酸化物)の密度変化が実際には少なくなり(すなわち、加熱処理による緻密化作用の効果が小さくなる)、耐湿、耐水性への効果が飽和する傾向を示す。よって工業的な観点からその上限は1000℃程度とすることが好ましい。
【0022】
そして、表面処理剤で被覆された6ホウ化物粒子は、例えば、日射遮蔽製品の原料として粒子状態のまま、あるいは液体媒質若しくは固体媒質に分散された状態で利用される。
【0023】
ここで、6ホウ化物粒子の粒子径は、利用される応用目的によって10nm〜10μmの範囲内で適宜粒子径に設定される。例えば、光学的選択透過膜(可視光領域の光を透過させ近赤外領域の光を遮蔽させる上述の膜)に応用する場合は粒子による散乱を考慮する必要がある。透明性を重視したとき、6ホウ化物粒子の粒子径は200nm以下、好ましくは100nm以下がよい。この理由は、微粒子の粒子径が200nmを超えて大きいと、幾何学散乱若しくはミー散乱によって380nm〜780nmの可視光線領域の光を散乱して曇りガラスのようになり、鮮明な透明性が達成できないからである。粒子径が200nm以下になると、上記散乱が低減しレイリー散乱領域になる。レイリー散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に反比例して低減するため、粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上する。更に100nm以下になると散乱光は非常に少なくなり好ましい。但し、利用される応用目的によってはこの様な透明性が要求されない分野もあり、10nm〜10μmの範囲内で適宜設定される。
【0024】
尚、粒子径が例えば200nm以下となる微細粒子の表面処理を行う場合は、微細粒子の凝集体を液体中でほぐし、均一に分散させた液体中に上記表面処理剤を添加して粒子表面に作用させるか、液体中でほぐすときに上記表面処理剤を同時に添加して粒子表面を被覆する方法が好ましい。そして、微細粒子を液体中でほぐす方法として、超音波照射や媒体攪拌ミル等が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。更に、6ホウ化物粒子を液体中で均一に分散させた状態で保持する場合、上記表面処理剤を添加したスラリーを、超音波照射や媒体攪拌ミル等で分散処理してもよい。このとき、表面処理剤は粒子表面に作用し、微細粒子を均一に液体中に分散保持するのにも効果的である。
【0025】
次に、表面処理剤で被覆された6ホウ化物粒子を液体媒質に分散させた状態で利用する場合、この媒質として、例えば、アルコール等の有機溶剤や水等の液体媒質、あるいは、樹脂、金属アルコキシド等を含む有機溶剤や水等の液体媒質が挙げられる。尚、表面処理剤で被覆された6ホウ化物粒子が液体媒質に分散された分散体を得るには、上述の湿式法等によって得られた表面処理剤で被覆された6ホウ化物粒子をアルコール等の有機溶剤や水等の液体媒質、あるいは、樹脂、金属アルコキシド等を含む有機溶剤や水等の液体媒質に添加して得る方法が挙げられ、また、被覆処理と同時に得る方法を採ってもよい。すなわち、表面処理前の6ホウ化物粒子と表面処理剤をアルコール等の有機溶剤や水等の液体媒質に分散させ、被覆処理と同時に表面処理剤で被覆された6ホウ化物粒子が分散された分散体を得る方法を採用してもよい。
【0026】
また、表面処理剤で被覆された上記6ホウ化物粒子はそのまま適用されて例えば日射遮蔽製品等を構成する場合、あるいは、樹脂若しくはガラス等の固体媒質に分散された状態で日射遮蔽製品等を構成しまたは粉砕されて日射遮蔽製品用の原料を構成したりする場合がある。
【0027】
前者の場合としては、例えば、表面処理剤で被覆された6ホウ化物粒子をアルコール等の有機溶剤や水等の液体媒質にそのまま分散させた分散体を適宜基材表面に塗布した後、上記有機溶剤や水等の液体媒質を加熱処理して除去し、表面処理剤で被覆された6ホウ化物粒子群が基材表面に直接積層された日射遮蔽製品等が例示される。尚、この様な利用が可能となる6ホウ化物粒子は適用されている表面処理剤が単独で基材に対し熱接着性を具備する場合である。従って、表面処理剤の接着力が弱い場合には、6ホウ化物粒子群を基材表面に積層させた後、樹脂等のバインダー成分を含んだ塗液を塗布し、かつ、塗液中の溶媒成分を除去して樹脂被覆した日射遮蔽製品等を得てもよい。
【0028】
他方、後者の場合としては、表面処理剤で被覆された6ホウ化物粒子を、樹脂、金属アルコキシド等を含む有機溶剤や水等の液体媒質に分散させた分散体を適宜基材の表面に塗布し、有機溶剤や水等の溶媒を蒸発させると共に、樹脂や金属アルコキシド等を硬化させることで6ホウ化物粒子が固体媒質に分散した分散体(表面処理剤で被覆された6ホウ化物粒子が分散された樹脂若しくはガラス被膜)を簡単に作製することができる。尚、樹脂成分としては、用途に合わせて選択可能であり、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、常温硬化樹脂、熱可塑樹脂等が挙げられる。また、樹脂等の成分を含まない液体媒質が適用された分散体を用いた場合は、6ホウ化物粒子群を基材表面に積層させた後に、樹脂等の成分を含む液体媒質を塗布しても上述したように同様の分散体を得ることができる。
【0029】
ここで、表面処理剤で被覆された6ホウ化物粒子が固体媒体中に分散した膜は、熱処理しても良く、熱処理することで耐湿性が向上する。特に、表面処理剤について事前の熱処理を施していない6ホウ化物粒子が適用されている場合には、この熱処理により表面処理剤の被膜が緻密となり耐湿性が更に向上する。そして、加熱温度は、上述したように6ホウ化物の耐熱温度や加熱雰囲気によって決定されるが、酸素が存在する雰囲気、特に大気中で6ホウ化物は600℃前後から酸化するため600℃以下の熱処理が好ましい。また、酸素の存在しない不活性ガス雰囲気では加熱温度の上限は6ホウ化物の分解温度となるが、1000℃以上になると被覆している被膜(酸化物)の密度変化が少なくなり、耐湿、耐水性への効果が飽和する。よって工業的な観点から上限は1000℃とすることが好ましい。
【0030】
また、表面処理剤で被覆された6ホウ化物粒子が、樹脂、金属アルコキシド等を含む有機溶剤や水等の液体媒質に分散された分散体について、上述したように適宜基材表面に塗布し被膜を形成して日射遮蔽製品等として利用してもよいし、表面処理剤で被覆された6ホウ化物粒子が、樹脂、金属アルコキシド等を含む有機溶剤や水等の液体媒質に分散された分散体について、これを乾燥かつ加熱処理すると共に粉砕処理して粉末状の日射遮蔽製品用原料として適用してもよい。すなわち、6ホウ化物粒子が固体媒質に分散された粉末状の分散体について、これを、再度、液体媒質中に分散させ、日射遮蔽製品用の分散液として使用しても良いし、後述するように樹脂中に練り込んで使用しても良い。尚、粉砕処理された粉末状の上記分散体の粒径についても、利用される応用目的によって10nm〜10μmの範囲内で適宜粒子径に設定される。
【0031】
また、6ホウ化物粒子が固体媒質に分散した分散体は、上述した基材表面に膜状で存在する6ホウ化物粒子の分散体、あるいは、粉末状の分散体に限らず、例えば、厚さ0.1μm〜50mmのフィルム若しくはボードを構成する形態であってもよい。そして、樹脂に練り込み、フィルムやボードに成形する場合、表面処理剤で被覆されかつ目的に合った粒子径を有する上記6ホウ化物粒子を直接樹脂に練り込むことが可能であり、また、上記6ホウ化物粒子が液体媒質に分散した分散体と樹脂を混合することも、あるいは、6ホウ化物粒子が固体媒質に分散された粉末状の分散体を液体媒質に添加しかつ樹脂と混合することも可能である。一般的に、樹脂に練り込むとき、樹脂の融点付近の温度(200〜300℃前後)で加熱混合する。更に、樹脂に混合後ペレット化し、各方式でフィルムやボードを形成することが可能である。例えば、押し出し成形法、インフレーション成形法、溶液流延法、キャスティング法等により形成可能である。この時のフィルムやボードの厚さは、使用目的によって適宜設定すればよく、樹脂に対するフィラー量(すなわち、6ホウ化物粒子の配合量)は、基材の厚さや必要とされる光学特性、機械特性に応じて可変であるが、一般的に樹脂に対して50重量%以下が好ましい。
【0032】
また、フィルムやボードの母体となる樹脂は、特に限定されるものではなく用途に合わせて選択可能であるが、耐候性を考慮するとフッ素樹脂が有効である。さらに、フッ素樹脂に較べて、低コストで透明性が高く汎用性の広い樹脂としては、PET樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0033】
次に、上記表面処理剤の6ホウ化物粒子に対する添加量(すなわち比率)は原則として任意であるが、可能なら表面処理剤に含まれるケイ素換算で6ホウ化物粒子1重量部に対して0.01〜100重量部であること望ましい。0.01重量部未満だと表面を被覆する効果が小さく耐水性向上の効果が十分でない場合があり、また、100重量部を超えると表面被覆による耐水性の向上がみられず被覆効果が小さい場合があるからである。
【0034】
そして、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caの内から選ばれた1種類以上の元素(X)の6ホウ化物粒子を適用して光学フィルターを構成した場合(すなわち、本発明に係る分散体を用いた物品が光学フィルターの場合)、1000nm付近の光を反射吸収して遮蔽し、380nm〜780nmの光を透過する特性を具備させることが可能となる。この様な特性は、6ホウ化物特有の電子構造に由来するもので、特に、1000nm付近に自由電子のプラズモン共鳴があるため、この領域の光をブロードに吸収反射する。
【0035】
更に、380nm〜780nmの可視光領域の吸収が少ないため、上記光学フィルターの用途に限らず、可視光線領域を透過し近赤外線を遮蔽する他の用途にも適している。例えば、本発明に係る6ホウ化物粒子若しくはその分散体を用いた物品として、住宅や自動車の窓材、温室等に応用すれば、太陽光線の1000nm付近の近赤外線を遮蔽し、高い断熱効果が得られると同時に視認性が確保される利点を有する。
【0036】
尚、上記光学フィルターや窓材等の物品に対する6ホウ化物粒子の使用量は、その求められる特性によって適宜変更可能である。そして、可視光線領域を透過し近赤外線を遮蔽する断熱用光学フィルターの場合、例えば、LaB6においては1m2当たりのフィラー量が0.01g以上で有効な断熱効果が得られる。上限は求める光学特性にもよるが1m2当たり0.1gで約50%の太陽光線の熱エネルギーを吸収遮蔽することが可能であり単位重量における断熱効率が高い。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるわけではない。
【0038】
また、実施例中の可視光透過率とは、波長380nm〜780nmの領域の光の透過量を人の目の視感度で規格化した透過光量の積算値で、人の目の感じる明るさを意味する値である。以下の実施例等ではJISA 5759に準ずる方法で測定を行っている(但し、ガラスに貼付せずフィルムのみで測定を行っている)。
【0039】
また、膜のヘーズ値は、JIS K 7105に基づいた測定を行なった。平均分散粒子径は動的光散乱法を用いた測定装置[大塚電子株式会社製 ELS−800]により測定した平均値とした。
【0040】
また、耐水性の評価方法は、60℃で湿度90%の環境に4日間放置したとき、可視光透過率68%〜75%の試料において、透過率の上昇が5ポイント以下のものを良好とし、5ポイントを越えるものは耐水性が不良とした。
【0041】
[参考例1]
6ホウ化ランタン20gとシランカップリング剤であるγ―グリシドキシプロピルトリエトキシシラン8gとトルエン72gを攪拌混合し、これを媒体攪拌ミルで分散処理して平均分散粒子径100nmの分散液を調製した。
【0042】
この液2gと紫外線硬化樹脂UV3701[東亞合成(株)社製]5gを混合し、塗布液とした。基材に50μm厚のPETフィルムを使用し、バーコーターを用いて上記塗布液をPETフィルム上に成膜した。これを70℃で1分間乾燥し、溶媒を蒸発させた後、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射し、膜を硬化させた。この時の膜の可視光透過率は70%で、ヘーズは0.9%だった。
【0043】
これを、60℃で湿度90%の環境に4日間放置後、可視光透過率を測定したところ、可視光透過率は71.3%で透過率の上昇は1.3ポイントであり、被膜の耐水性は良好であった。
【0044】
[比較例1]
6ホウ化ランタン20gとトルエン80gを攪拌混合し、これを分散処理して平均分散粒子径300nmの分散液を作製した。この液2gと紫外線硬化樹脂UV3701[東亞合成(株)社製]5gを混合し、塗布液とした。
【0045】
基材に50μm厚のPETフィルムを使用し、バーコーターを用いて塗布液をPETフィルム上に成膜した。これを70℃で1分間乾燥し、溶媒を蒸発させた後、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射し、膜を硬化させた。この時の膜の可視光透過率は69.2%で、ヘーズは2.5%だった。
【0046】
これを、60℃で湿度90%の環境に4日間放置後、可視光透過率を測定したところ、可視光透過率は75.6%で透過率の上昇は6.4ポイントであり、被膜の耐水性は不良であった。
【0047】
[実施例2]
6ホウ化セリウム20gとヘキサメチルジシラザン8gとトルエン72gを攪拌混合し、これを分散処理して平均分散粒子径100nmの分散液を調製した。
【0048】
この液2gと紫外線硬化樹脂UV3701[東亞合成(株)社製]5gを混合し、塗布液とした。
【0049】
基材に50μm厚のPETフィルムを使用し、バーコーターを用いて塗布液をPETフィルム上に成膜した。これを70℃で1分間乾燥し、溶媒を蒸発させた後、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射し、膜を硬化させた。この時の膜の可視光透過率は71.7%で、ヘーズは1.0%だった。
【0050】
これを、60℃で湿度90%の環境に4日間放置後、可視光透過率を測定したところ、可視光透過率は72.9%で透過率の上昇は1.2ポイントであり、被膜の耐水性は良好であった。
【0051】
[参考例3]
6ホウ化ランタン10gとメチルトリメトキシシラン45gとエタノール25gと水20gを攪拌混合し、これを分散処理して平均分散粒子径100nmの分散液を調製した。
【0052】
この液3gと紫外線硬化樹脂UV3701[東亞合成(株)社製]4gを混合し、塗布液とした。
【0053】
基材に50μm厚のPETフィルムを使用し、バーコーターを用いて塗布液をPETフィルム上に成膜した。これを70℃で1分間乾燥し、溶媒を蒸発させた後、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射し、膜を硬化させた。この時の膜の可視光透過率は72.0%で、ヘーズは0.9%だった。
【0054】
これを、60℃で湿度90%の環境に4日間放置後、可視光透過率を測定したところ、可視光透過率は72.5%で透過率の上昇は0.5ポイントであり、被膜の耐水性は良好であった。
【0055】
[参考例4]
6ホウ化ランタン20gとメチルトリメトキシシラン8.2gとエタノール51.8gと水20gを攪拌混合し、これを分散処理して平均分散粒子径100nmの分散液を調製した。
【0056】
この液3gと紫外線硬化樹脂UV3701[東亞合成(株)社製]4gを混合し、塗布液とした。
【0057】
基材に50μm厚のPETフィルムを使用し、バーコーターを用いて塗布液をPETフィルム上に成膜した。これを70℃で1分間乾燥し、溶媒を蒸発させた後、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射し、膜を硬化させた。この時の膜の可視光透過率は68.0%で、ヘーズは0.9%だった。
【0058】
これを、60℃で湿度90%の環境に4日間放置後、可視光透過率を測定したところ、可視光透過率は68.5%で透過率の上昇は0.5ポイントであり、被膜の耐水性は良好であった。
【0059】
[実施例5]
6ホウ化ランタン20gとメチルトリメトキシシラン8.2gとエタノール51.8gと水20gを攪拌混合し、これを分散処理して平均分散粒子径100nmの分散液を調製した。
【0060】
この分散液を真空乾燥し、溶媒を蒸発させた後、400℃で2時間加熱処理して粉末を得た。この粉末を乾式粉砕し平均粒子径約1〜2μmの粉状体を得た。
【0061】
この粉状体を20gと有機分散剤8gとトルエン72gを混合し、分散処理を行い平均分散粒子径100nmの分散液を調整した。
【0062】
この液3gと紫外線硬化樹脂UV3701[東亞合成(株)社製]4gを混合し、塗布液とした。
【0063】
基材に50μm厚のPETフィルムを使用し、バーコーターを用いて塗布液をPETフィルム上に成膜した。これを70℃で1分間乾燥し、溶媒を蒸発させた後、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射し、膜を硬化させた。この時の膜の可視光透過率は72.1%で、ヘーズは0.9%だった。
【0064】
これを、60℃で湿度90%の環境に4日間放置後、可視光透過率を測定したところ、可視光透過率は72.2%で透過率の上昇は0.1ポイントであり、被膜の耐水性は良好であった。
【0065】
[実施例6]
6ホウ化ランタン20gとメチルトリメトキシシラン8.2gとエタノール51.8gと水20gを攪拌混合し、これを分散処理して平均分散粒子径100nmの分散液を調製した。
【0066】
この分散液を真空乾燥し、溶媒を蒸発させた後、200℃で2時間加熱処理して粉末を得た。この粉末を乾式粉砕し平均粒子径約1〜2μmの粉状体を得た。
【0067】
この粉状体を20gと有機分散剤8gとトルエン72gを混合し、分散処理を行い平均分散粒子径100nmの分散液を調整した。
【0068】
この液3gと紫外線硬化樹脂UV3701[東亞合成(株)社製]4gを混合し、塗布液とした。
【0069】
基材に50μm厚のPETフィルムを使用し、バーコーターを用いて塗布液をPETフィルム上に成膜した。これを70℃で1分間乾燥し、溶媒を蒸発させた後、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射し、膜を硬化させた。この時の膜の可視光透過率は71.1%で、ヘーズは0.9%だった。
【0070】
これを、60℃で湿度90%の環境に4日間放置後、可視光透過率を測定したところ、可視光透過率は71.4%で透過率の上昇は0.3ポイントであり、被膜の耐水性は良好であった。
【0071】
[実施例7]
6ホウ化ランタン20gとメチルトリメトキシシラン8.2gとエタノール51.8gと水20gを攪拌混合し、これを分散処理して平均分散粒子径100nmの分散液を調製した。
【0072】
この分散液を真空乾燥し、溶媒を蒸発させた後、400℃で2時間加熱処理して粉末を得た。この粉末を乾式粉砕し平均粒子径約1〜2μmの粉状体を得た。得られた粉状体を更に湿式粉砕して平均粒径約300nmとし、溶媒を蒸発させ粉状体とした。
【0073】
この粉状体0.01kgとETFE(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体)樹脂8.7kgをVブレンダーにて乾式混合後、樹脂の溶融温度付近である320℃で十分に密閉混合を行い、この混合物を320℃にて押出して、約50μmのフィルムに成形した。このときの可視光透過率は71.8%、ヘーズは9.8%だった。
【0074】
これを、60℃で湿度90%の環境に4日間放置後、可視光透過率を測定したところ可視光透過率は71.8%で透過率の上昇は0ポイントであり、フィルムの耐水性は極めて良好であった。
【0075】
[実施例8]
6ホウ化ランタン20gとメチルトリメトキシシラン8.2gとエタノール51.8gと水20gを攪拌混合し、これを分散処理して平均分散粒子径100nmの分散液を調製した。
【0076】
この分散液を真空乾燥し、溶媒を蒸発させた後、400℃で2時間加熱処理して粉末を得た。この粉末を乾式粉砕し平均粒子径約1〜2μmの粉状体を得た。得られた粉状体を更に湿式粉砕して平均粒径約150nmとし、溶媒を蒸発させ粉状体とした。
【0077】
この粉状体0.01kgとPET樹脂8.7kgをVブレンダーにて乾式混合後、樹脂の溶融温度付近である300℃で十分に密閉混合を行い、この混合物を300℃にて押出して、約50μmのフィルムに成形した。このときの可視光透過率は70.0%、ヘーズは1.2%だった。
【0078】
これを、60℃で湿度90%の環境に4日間放置後、可視光透過率を測定したところ可視光透過率は70.0%で透過率の上昇は0ポイントであり、フィルムの耐水性は極めて良好であった。
【0079】
[比較例2]
6ホウ化ランタンを20g、トルエン80gを混合し、分散処理を行い、平均分散粒子径320nmの分散液を調製した。
【0080】
この分散液を50℃にて、真空乾燥機で溶剤成分を除去し粉末とした。この粉末0.01kgとETFE(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体)樹脂8.7kgをVブレンダーにて乾式混合後、樹脂の溶融温度付近である320℃で十分に密閉混合を行い、この混合物を320℃にて押出して、約50μmのフィルムに成形した。この時の可視光透過率は69.9%でヘーズは14.8%だった。
【0081】
これを、60℃で湿度90%の環境に4日間放置後、可視光透過率を測定したところ可視光透過率は75.1%で透過率の上昇は5.2ポイントであり、フィルムの耐水性は不良であった。
【0082】
【発明の効果】
請求項1〜5記載の発明に係る6ホウ化物粒子、この6ホウ化物粒子が分散された請求項7〜13記載の発明に係る分散体、および、6ホウ化物粒子若しくは分散体を用いた請求項6または請求項14記載の発明に係る物品によれば、
6ホウ化物粒子の表面が、シラザン系処理剤、クロロシラン系処理剤、アルコキシ基を分子構造中に有する無機系処理剤、および、アルコキシ基を分子末端若しくは側鎖に有する有機系処理剤から選択されたケイ素を含有する表面処理剤で物理的に被覆されているか、6ホウ化物粒子表面で6ホウ化物粒子と化学的に結合した上記表面処理剤で被覆されているため、6ホウ化物粒子の耐水性を向上させることが可能となり、耐水性に優れた6ホウ化物粒子とその分散体、フィルムやボード等の物品を提供することができる効果を有する。
Claims (14)
- Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caの内から選択された1種類以上の元素(X)の6ホウ化物粒子において、
上記6ホウ化物粒子の表面が、シラザン系処理剤から成る表面処理剤で物理的に被覆されているか、6ホウ化物粒子表面で6ホウ化物粒子と化学的に結合した上記表面処理剤で被覆されていることを特徴とする6ホウ化物粒子。 - Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caの内から選択された1種類以上の元素(X)の6ホウ化物粒子において、
上記6ホウ化物粒子の表面が、シラザン系処理剤、クロロシラン系処理剤、アルコキシ基を分子構造中に有する無機系処理剤、および、アルコキシ基を分子末端若しくは側鎖に有する有機系処理剤から選択されたケイ素を含有する表面処理剤で物理的に被覆されているか、6ホウ化物粒子表面で6ホウ化物粒子と化学的に結合した表面処理剤で被覆されており、かつ、上記表面処理剤による被覆前の6ホウ化物粒子と表面処理剤および溶媒を攪拌混合し、これを分散処理して分散液を得ると共に、分散液から溶媒を蒸発させて除去しかつ加熱乾燥させた後、粉砕して得られていることを特徴とする6ホウ化物粒子。 - 上記6ホウ化物粒子が、ホウ化ランタンであることを特徴とする請求項1または2記載の6ホウ化物粒子。
- 上記6ホウ化物粒子の粒子径が、10nm〜10μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の6ホウ化物粒子。
- 表面処理剤の6ホウ化物粒子に対する比率が、表面処理剤に含まれるケイ素換算で6ホウ化物粒子1重量部に対して0.01〜100重量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の6ホウ化物粒子。
- 基材表面に請求項1〜5のいずれかに記載の6ホウ化物粒子群が直接積層されて6ホウ化物粒子群の被膜を有する物品を構成していることを特徴とする6ホウ化物粒子を用いた物品。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の6ホウ化物粒子が液体媒質若しくは固体媒質中に分散していることを特徴とする6ホウ化物粒子の分散体。
- 上記液体媒質が、有機溶媒または/および水で構成されるか、樹脂および金属アルコキシドの少なくとも一方を溶解若しくは分散させた有機溶媒または/および水で構成されることを特徴とする請求項7に記載の6ホウ化物粒子の分散体。
- 上記固体媒質が、樹脂若しくはガラスのいずれかで構成されることを特徴とする請求項7に記載の6ホウ化物粒子の分散体。
- 固体媒質中に分散された上記6ホウ化物粒子の分散体が、基材表面に形成された被膜を構成していることを特徴とする請求項7または9に記載の6ホウ化物粒子の分散体。
- 固体媒質中に分散された上記6ホウ化物粒子の分散体が、厚さ0.1μm〜50mmのフィルム若しくはボードを構成していることを特徴とする請求項7または9に記載の6ホウ化物粒子の分散体。
- 固体媒質中に分散された上記6ホウ化物粒子の分散体が、粉砕処理されて粉状体を構成していることを特徴とする請求項7または9に記載の6ホウ化物粒子の分散体。
- 粉砕処理された上記粉状体の粒子径が、10nm〜10μmであることを特徴とする請求項12に記載の6ホウ化物粒子の分散体。
- 請求項10または11の分散体を用いたことを特徴とする物品。
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