JP4250219B2 - 耐焼付性に優れたすべり軸受 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、すべり軸受に関するものであり、さらに詳しく述べるならば、従来のケルメットよりも摺動特性、特に耐焼付性が優れたすべり軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
銅系摺動材料の代表であるケルメットは、軟質金属又は樹脂からなるオーバレイを一般に10〜20μm被着してエンジン部品に使用されている。すべり軸受の使用初期にオーバレイは相手軸となじんで摩耗し軸と軸受の焼付を起こり難くする。このようにオーバレイの機能はなじみ性にある。
また、オーバレイの下地としてNi被着(「Niバリヤー」と言われる)をケルメット(「ライニング」と言われる)に設けることも一般に行われている。オーバレイが消失して下地のケルメットもしくはNi被着が露出すると、焼付が起こり易くなるために、従来のすべり軸受はオーバレイをなじみに必要な厚さ以上に被着していた。
【0003】
ケルメットに含有されるPb粒子が相手軸により引き伸ばされて摺動面で軟質膜を作り、焼付を防止する作用をもつのであるが、近年ますます過酷になる摺動条件では、この作用だけでは不十分であるのが実際である。
したがって、従来のケルメットの耐焼付性を向上させるために、P,AlなどのCuマトリックスを強化する元素を添加する、なじみ性が優れたBiなどを添加する、グラファイトなどの耐焼付性向上成分を添加する、アルミナなどの耐摩耗性成分を添加する、樹脂を含浸させた樹脂含浸焼結材料とするなどの提案がなされ、それなりの成果を達成している。
【0004】
上記したすべり軸受と相手材の間を潤滑する潤滑油としては、エンジンオイル、トランスミッションオイル、ギヤオイル等があり、これらには硫黄系添加剤が添加されていることが多い。
【0005】
まず、ガソリンエンジンオイルには、エンジンオイルの酸化劣化を防止するためのジアルキルモノサルファイド、エンジンオイルの酸化により発生するスラッジを洗浄するスルフォネート系もしくはフェネート系金属洗浄剤、低粘度エンジンオイルの泡立ちを防止するジチオフォスフェートモリブデン化合物、ジチオカーバメイトモリブデン化合物等が添加される。上記のジアルキルモノサルファイドは基油の酸化により生成するハイドロパーオキサイドをイオン的に分解すると考えられている。しかしながら、これらの添加剤の副作用も指摘されており、例えば、金属系洗浄剤は硫酸灰分スラッジを生成するために使用量が制限されている。また、泡立ち防止剤もすべり軸受の性能に悪影響を及ぼすこともあると言われている。
【0006】
ディーゼルエンジンオイルにはすすによる摩耗対策としてZnDTP(ジアルキルジチオりん酸亜鉛)が添加される。ロータリーエンジンオイルには、硫黄系極圧添加剤としては、硫化オレフィン、硫化油脂等が、また有機金属系摩耗防止剤としてはチオりん酸亜鉛、硫化モリブデンジチオカルバメートがそれぞれ添加される。
【0007】
トランスミッションオイル及びギアオイルには、硫黄系極圧添加剤として硫化オレフィン、硫化油脂等が、また有機金属系摩耗防止剤としてチオりん酸亜鉛、硫化モリブデンジチオカルバメート、及び/またはりん系摩耗防止剤としてりん酸エステルアミン塩などが添加されている。これらのオイル中のイオウ濃度は現在の市販油では0.37〜1.7%であり、またこれらの添加剤の量が多いと銅の腐食が起こると言われている。
【0008】
上記した各種潤滑油が劣化すると、銅系摺動材料は潤滑油による腐食の問題が起こることが知られており、その腐食対策として本出願人は次のような特許出願を行った。
【0009】
米国特許第4878768号:ディーゼルエンジンに使用されるすべり軸受のCu−Pb系焼結合金中のスケルトン内部の間隙に存在するPb相が劣化油により腐食するのを防止するためにInをPb相に添加する。
【0010】
特開平7−118777号:Zn15%を超え40%以下、黒鉛0.5〜6%、及びAl23 ,SiO2 ,Fe3 Pの1種以上0.5〜6%,残部Cuからなる焼結銅合金系摺動部材。この出願では劣化トランスミッションオイルが銅合金表面にCuSを形成することによる腐食を防止するために上記した量のZnを添加している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来のライニングに使用されるケルメットのPbが劣化潤滑油により腐食して表面が荒れ易い;Pbが潤滑油中に溶出してしまい、Pbが存在した部分が空孔になり、ライニングの強度が低下して座屈するなどの理由によりケルメットは耐焼付性が低い。なお、硫黄系添加剤を添加した潤滑油を用いかつ実機の使用条件をほぼ再現する条件で銅系摺動材料の摺動試験を本発明者等が行ったところ、潤滑油の全酸価が次のように著しく増大することが認められ、これと並行して鉛の腐食が進行する。
【0012】

Figure 0004250219
【0013】
従来のすべり軸受では上述の理由によりオーバレイをなじみに必要な最小限の厚さで被着することはできなかった。
【0014】
従来オーバレイの下地として使用されていたNiバリヤーはオーバレイ中のSn,Inがライニング中のPb相に拡散することを阻止してケルメットの耐食性を良好に保つ役割を担っていた。しかし、その反面Niバリヤーが露出した時には、Niが耐焼付性が低いために焼付が起こり易くなるという問題がある。
【0015】
ところで、最近金属材料表面が繰返し滑り摩擦によりアモルファス化することを利用して各種金属材料の表面の耐摩耗性を高めることができるとの研究が発表されている(トライボロジスト、Vol.41, No.2, 1996, 115 〜120 )ので、今後かかる観点からの材料開発が活発になることが予測されるが、本発明者は夙に銅合金への特定添加元素により銅合金表面に形成される化合物を利用して摺動特性を高める研究を鋭意行ってきた。
上述したような技術の現況に鑑み、本発明の第1の目的は耐焼付性に優れたすべり軸受を提供することにある。
本発明の第2の目的は、オーバレイの厚さを薄くしても耐焼付性を良好にすることができる銅系すべり軸受を提供することにある。
本発明の第3の目的は、Niバリヤーがなくても耐食性が良好に保たれる銅系すべり軸受を提供することにある。
【0016】
本発明者等は、Cuマトリックスに固溶しもしくは分散しているSnが、銅合金摺動面上の銀層に向かって拡散し、摺動特性が優れた化合物を形成することにより上記第1〜第3の目的を達成することができることを解明した。すなわち、本発明は、裏金に接合されたもしくはされない、Sn含有量が1.0〜15重量%のCu-Sn系銅合金が軸と接する摺動面に、Agと不純物とからなり、かつ厚さが0.01〜2μmの銀層が被着されており、前記銀被着層に、当該銀被着層のAgと、前記Cu-Sn系銅合金から拡散したSnとの化合により生成したh-Ag 3 Sn(ε)系金属間化合物が分散していることを特徴とするすべり軸受提供する。以下、本発明を詳しく説明する。
【0017】
Cuマトリックスに固溶もしくは分散しているSnは摺動面での摩擦熱の発生やライニング表面組織の変化と並行してライニング表面に移動して、部分的に添加元素の濃縮層を形成し、濃縮がある程度進行すると、h −Ag3 Sn(ε)、h −Ag−Sn(ζ)、Ag−Sn共晶が形成される。別の表現をすると、AgとSnはこれらの化合物などを形成する傾向が非常に強いから、マトリックス中のSnはAg層に向かって拡散し、安定化する。これらの化合物の他にAg2 S、SnO,SnO2 などが潤滑油と反応してAgめっき面上にて形成される。これらの物質は固体潤滑作用が優れており、高面圧下でも摺動特性が優れており、かつ耐食性も良好である。
【0018】
以下、幾つかの化合物の耐焼付性を調べた基礎実験結果を説明する。
表1の組成をもつ合金板もしくは金属板を鋳造及び圧延により加工し、平衡状態図に示されるε、ζ化合物が形成されるように熱処理を行った(No.1,2)。但し、共晶組成のNo.3はこの熱処理を行わなかった。その後試験片(面積1cm2 ,粗さ1.0〜1.5μmRz)に加工し、これを次の条件の耐焼付試験に供した。
【0019】
試験機:図2に示すピンオンディスク試験機
すべり速度:15m/s
荷重:荷重漸増(ステップ式)500N/10min
油種:10W−30
油温:室温
相手材:S55C焼入れ(Hv550〜650)、粗さ;0.5〜0.8
μmRz
【0020】
図2において、5は給油パッド、6は油圧シリンダー、7は試験片、8はディスク、9はバランスウェイト、10はロードセルである。
試験結果を表1に示す。
【0021】
【表1】

Figure 0004250219
備考:表中hは六方晶を意味する。
【0022】
この表よりCu,Ag,Snなどの純金属よりも1〜3の六方晶化合物もしくは共晶組成がおよそ1.5倍以上の耐焼付性をもつことがわかる。
金属Ag(No.5)及び金属Sn(No.6)は耐焼付性が優れないが、これらの金属結晶が微細に混合した共晶(No.3)は耐焼付性が優れている。このように異種元素共存による効果が認められる。一方、六方晶化合物は異種元素共存による効果とへき開性のため耐焼付性が向上していると考えられる。MoS2 ,グラファイト、h−BNなどhcp構造の物質はへき開性を有するため、低摩擦特性を示し、この結果耐焼付性が向上するので、本発明の六方晶化合物がすぐれた耐焼付性を示すことは同じように考えられる。
【0023】
さらに、表1のNo.1〜6(但しNo.2は除く)及びCu−Sn共晶(No.8)につき摩擦係数及び耐凝着性を測定する基礎試験を行なった。
試験機:図3に示すバウデン・テーバー式スティックスリップ試験機
すべり速度:0.06m/s
荷重:5N
潤滑条件:オイル塗布
相手材:SUJ2(直径8mm)
図3において、11はピン、12は試験片、13はヒーターである。
試験結果を表2に示す。
【0024】
【表2】

Figure 0004250219
【0025】
表2より六方晶化合物のNo.1が最も凝着しがたいことが分かる。純Agはこれに次ぐ耐凝着性をもっている。純Ag、No.3の共晶、No.1の六方晶はすぐれた耐擬着性をもっており、純Snの耐凝着性は不良であり、また純Cuの耐凝着性は最も不良である。
以上の基礎実験により、上記の六方晶化合物もしくは共晶などをライニングの表面に形成することにより、ライニングの耐焼付性を高めることができるとの着想に到着した。
【0026】
さらに(a) Agと Snを銅合金マトリックス中に存在させる方法、 (b) Ag 銅合金マトリックス中に存在させ、 Sn被着する方法、 (c) Ag を被着し、 Snを銅合金中に存在させる方法につき検討した。 (b)の方法では Snの耐凝着性が優れないこと、及びAgのSn被着層への供給量が少ないために、望ましくない。(a) の方法は (c)よりも軸受性能は良好であるが、 やはり Agと Snの摺動面への供給が少ない。本発明の方法(c)はこれらの欠点がなく、以下の点で優れている。
(イ)Cu 中のSn拡散係数は Agの拡散係数に比べて約6倍以上高い。
(ロ)Ag は Snより硬く Snのような高いなじみ性はないので、比較的に摩滅せずに Cu合金表面に残存して Cuマトリックス中のSnや潤滑油中の反応性成分と十分に反応する。
(ハ)Agの耐凝着性は比較的良好である。
【0027】
以下、本発明にかかるすべり軸受の必須構成要素である、裏金、銅合金、Agを主成分とする被着層及びオーバレイにつき説明する。
【0028】
裏金は、通常は厚さが0.5〜4mmの低炭素鋼、合金鋼などの帯状材料であり、要するに、バイメタル型軸受においてすべり軸受合金を支持する基材である。すべり軸受合金と裏金の接合は圧接、焼結、鋳造などにより行う。
【0029】
銅合金はSnを必須成分とする。その含有量は1.0〜 15%(本発明において組成の百分率は重量%である)である。 Sn含有量が1.0%未満であると被着面における上記化合物などの生成量が少なくなり、一方15%を超えると銅合金が硬くなりすぎるために摺動特性が不良になる。Snの存在形態は固溶状態でもよくまた析出した分散状態でもよい。
【0030】
Sn以外の元素、例えば従来のケルメットでは必須元素であるPbなどは、本発明においては不純物である。本発明のすべり軸受は基本的にバルクに摺動性能を担わせるのではなく、軸受使用中に被着層が変性されて生成される物質が摺動特性を基本的に担っているので、 Pbなどの添加は必要ではない。 しかしながら、(a)銅合金中でSnと結合しない、(b)Snより優先的にめっき層に拡散しない、(c) 銅合金の摺動特性を改良するなどの条件を満たす添加元素を添加しても良い。これらの元素としてはPなどが挙げられる。上記した任意添加成分は総量で5%以下であることが好ましい。上記組成の残部はCuの他にSi,Oなどの銅に通常含まれる不純物である。銅の純度は、竿銅、電気銅、電解精製銅、OFHCなどいずれであってもよい。銅合金は厚さが通常、バイメタル軸受の場合は0.1 〜 1mmであり、ソリッド軸受の場合は 0.5〜 5mmである。また製法は溶解・圧延法、粉末冶金法などであってよい。
【0031】
Cu−Sn系銅合金中に、耐摩耗性添加剤等も混合することができる。これらは具体的には、グラファイト、PTFE、Pb,Pb−Sn合金、フッ化カーボン、フッ化Pbなどの固体潤滑剤、Al23 ,SiO2 ,Si34 ,クレイ、タルク、TiO2 ,ムライト、炭化カルシウム、AlN,Fe3 P,Fe2 B,Ni2 B,FeB,球状カーボンなどの耐摩耗性添加剤、ガラス繊維、カーボン繊維、チタン酸カリウム繊維などの無機繊維、芳香族PAなどの有機繊維、SiCウィスカなどのウィスカ、Cu繊維、ステンレス繊維などの金属繊維である。
【0032】
上記したすべり軸受用銅合金の圧延材もしくは焼結材を裏金に接着してすべり軸受とすることができる、また裏金に接着しないソリッド軸受とすることもできる。本発明に係る銅合金はブシュ用の場合はオーバレイを被着しないで使用され、エンジン各用種軸受、コンロッド軸受、その他の内燃機関用軸受の場合はオーバレイを被着してすべり軸受として使用されることが多いが、使用条件により軸受構造がこれらに限定されるものではない。
【0033】
続いて、銀層の形成方法などについて説明する。この被着層はAg電解めっき、Agのスパッタリング、焼結などにより形成することができるが、特に皮膜形成方法は限定されない。また、上述の化合物層を十分に形成するためにはめっき層などは全体が不純物を含む純銀より構成される。被着層の厚さは0.01 〜 2μmであり、好ましくは 0.1〜 1μmである。この厚さが0.01μm未満では摺動特性向上の効果が少なく、一方2μmを超えると軸受を使用中軸受上の被着層内で純銀として残る銀の割合が多くなる。銀は上述のように硬質であるので、純銀が含まれる量が多いと耐焼付性は不良となる。
【0034】
さらに、めっき層などに形成される化合物などについて説明する。
Ag−Sn六方晶化合物は、例えばAg−Sn(ζ−ゼータ相)は重量比で85:15もしくはこの近傍組成のAg,Snが被着層内に存在しかつSnがAg中の固溶限を越えており、かつ化合物生成のエネルギーが与えられることにより、めっき軸受表面に形成される。このエネルギーは通常の軸受の摺動条件の温度、例えば油温120℃以上で与えられる。あるいは同等の条件で軸受を使用前に、軸からの圧力に相当する圧力を加えかつ油温に相当する熱を加え、使用中に相当する温度勾配を与える処理を行うこともできる。
Ag−Sn共晶は上記した六方晶と基本的に同じであるが、Sn濃度が高い被着層の銅合金側で形成される。
【0036】
本発明に係るすべり軸受の潤滑に使用される潤滑油の基油及び添加剤は全く制限がない。添加剤として含有されることがある硫黄系添加剤は、(ポリ)サルファイド(スルフィド)、スルフォネート、スルフィネート、スルフェネート、フェネート系(図4参照),(ジ)チオフォスフェート化合物、チオケトン、チオアセタール、チオカルボン酸とその誘導体、スルホキシドとその誘導体、スルフォニル、スルフィニル、スルフェニル、ZnDTP等の化合物がある。すなわち、これらの有機硫黄化合物は何れもすべり軸受の摺動温度である100〜160℃において反応性がある硫酸系酸に分解し、銅合金表面の濃縮物と反応する。
【0037】
図1には本発明に係る裏金付すべり軸受が内燃機関中で使用された後の状況を模式的に示す。
1は、軟鋼板、合金鋼板あるいはその表面処理(ショットブラスト、酸洗、めっきなど)板である。2は裏金に圧接、焼結などにより接合されたライニングであり、オーバレイは摩滅した結果ライニングの表面が露出されている。ライニング2の表面にはAgめっき層3が形成され、この中にはSnなどの濃縮しており、さらにSnが高濃度に濃縮した層4が形成されている。この濃縮層は六方晶化合物Ag3 Snなどより構成され、これが耐焼付性、耐凝着性、耐摩耗性、耐食性などを従来のケルメットを大幅に上回るレベルまで向上させる。
以下、実施例により本発明をより詳しく説明する。
【0038】
【実施例】
実施例1
Snを10%含有する銅合金アトマイズ粉末(粒径150μm以下)を1000℃/秒の溶湯冷却速度で作製し、この粉末を板厚1.5mmの鋼板(SPCC)に厚さが2mmとなるように散布し、水素ガス雰囲気中で850℃、10分の条件で焼結し、その後50℃/分の冷却速度で冷却した。
銅合金の表面を脱脂、洗浄及び酸洗した後に、Agをヨウ化カリウムめっき浴を用い、電流密度1.0A/dm2 ,温度50℃、pH5の条件にて厚さが0.01〜12μmの範囲で被着した。
その後オーバレイを被着せずに下記条件のピンディスク試験法により焼付荷重を測定した。
すべり速度:15m/s
荷重:荷重漸増(ステップ式)500N/10min
油種:10W−30
油温:室温
相手剤:S55C焼入れ(Hv550〜650)、粗さ;0.5〜0.8μmRz
【0039】
試験結果を図5に示す。またAgめっき厚さが1μm及び10μmの供試材についてめっき面をX線回折法で分析したところ、両者ともAg,Ag2S,SnO,Ag3Sn が検出された。後者ではAgの割合が多く検出された。これらの結果から約1μmを中心とする、焼付荷重が高いめっき厚さではSnが十分にAgめっき層中に拡散して各種化合物と形成していること、10μmでは残存純銀が多いことが分かる。さらにAgめっきは潤滑油により硫化されていることも分かる。
【0040】
比較例1
市販のケルメット軸受(Pb系オーバレイ15μm)につき実施例1と同様の条件で試験を行ったところ焼付荷重は70MPaであった。
【0040】
【発明の実施の形態】
以上説明したように、本発明は従来のすべり軸受が直面していた諸問題を抜本的に解決するので、内燃機関用などの部品として従来のケルメットを代替することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るすべり軸受の構造を示す概念図である。
【図2】ピンオンディスク試験機の図である。
【図3】バウデン・テーバー式スティックスリップ試験機の図である。
【図4】フェネート化合物の構造式を示す図である。
【図5】実施例1における焼付試験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 裏金
2 ライニング
2a バルク
3 Agめっき層
4 濃縮層
5 給油パッド
6 油圧シリンダー
7 試験片
8 ディスク
9 バランスウェイト
10 ロードセル
11 ピン
12 試験片
13 ヒーター

Claims (1)

  1. 裏金に接合されたもしくはされない、Sn含有量が1.0〜15重量%のCu-Sn系銅合金が軸と接する摺動面に、Agと不純物とからなり、かつ厚さが0.01〜2μmの銀層が被着されており、前記銀被着層に、当該銀被着層のAgと、前記Cu-Sn系銅合金から拡散したSnとの化合により生成したh-Ag 3 Sn(ε)系金属間化合物が分散していることを特徴とするすべり軸受。
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