JPH06330392A - 耐摩耗性および摺動性にすぐれた複合めっき金属材料、およびその製造方法 - Google Patents

耐摩耗性および摺動性にすぐれた複合めっき金属材料、およびその製造方法

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JPH06330392A
JPH06330392A JP12425993A JP12425993A JPH06330392A JP H06330392 A JPH06330392 A JP H06330392A JP 12425993 A JP12425993 A JP 12425993A JP 12425993 A JP12425993 A JP 12425993A JP H06330392 A JPH06330392 A JP H06330392A
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JP
Japan
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microcapsules
plating film
lubricating oil
plating
fine particles
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JP12425993A
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Inventor
Kazuyoshi Kurosawa
一吉 黒澤
Ryosuke Kawagoe
亮助 川越
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Nihon Parkerizing Co Ltd
Original Assignee
Nihon Parkerizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自己潤滑性を具有する複合めっき皮膜を有
し、耐摩耗性、摺動性にすぐれた複合めっき金属材料お
よび製造方法の提供。 【構成】 金属材料基体上に、潤滑油内包マイクロカプ
セル、および要すればセラミック微粒子を分散共析す
る、Ni又はCo含有金属めっき皮膜が形成されている
複合めっき金属材料、およびそれを、上記成分を含むめ
っき浴を用いる電気めっきにより製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性および摺動性
にすぐれた複合めっき金属材料、およびその製造方法に
関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明
は、各種金属材料からなる基体の表面に、ニッケルおよ
び/又はコバルトを含有する金属のめっき皮膜層を形成
するに際し、この金属めっき皮膜層中に、潤滑油内包マ
イクロカプセル、および必要に応じて、セラミック微粒
子を分散共析させ、それによって、耐摩耗性および摺動
性を著しく向上させた複合めっき金属材料、およびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高い耐摩耗性、および摺動性を要
求されるような金属めっき皮膜又は複合金属めっき皮膜
は、潤滑油の供給された環境下では良好な性能を示して
きた。しかし、潤滑油の供給にはポンプ等の特殊機械や
装置およびタンクを必要とするため、かなり大きな設備
が必要であった。また、現在摺動部に用いられている金
属めっき皮膜は、無潤滑環境下、つまり潤滑油の使用不
可能な環境下や、潤滑油は存在するが摺動部の形状が複
雑であって潤滑油の供給が不均一になる場合等において
は、耐摩耗性、摺動性は満足できるものではなかった。
言い替えれば、自己潤滑性を保持する金属めっき皮膜は
提供されていなかったのである。
【0003】マイクロカプセルを含む亜鉛めっき又は亜
鉛合金めっきについては公知のものがあるが、界面活性
剤を用いなければマイクロカプセルをめっき皮膜中に分
散含有させることは不可能であり、自己潤滑性を保持す
るめっき皮膜は製造できず、且つ、亜鉛めっき皮膜では
摺動時における荷重に耐えうるだけの皮膜強度は得られ
ない。従って、現状では耐摩耗性、摺動性を同時に満足
させるようなめっき皮膜又は複合めっき皮膜は提供され
ていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、従来
の問題点を解消し、耐摩耗性、摺動性に優れた複合めっ
き金属材料、およびその製造方法を提供することであ
る。更に説明すれば、本発明の課題は、めっき皮膜自体
が耐摩耗性、摺動性を有し、すなわち、自己潤滑性を保
持するようなめっき皮膜を有する複合めっき金属材料、
およびその製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を解決するために鋭意検討した結果、潤滑油を内包す
るマイクロカプセルと、界面活性剤とを、Niめっき
浴、Coめっき浴、Ni合金めっき浴又は、Co合金め
っき浴中に懸濁させて、電気複合めっきを行うことによ
り、そのめっき皮膜の耐摩耗性、摺動性が向上すること
を新たに見いだして本発明を完成するに至った。更に、
セラミック微粒子をめっき皮膜中に分散共析することに
よりその効果が著しく向上することも見いだした。
【0006】本発明に係る耐摩耗性および摺動性にすぐ
れた複合めっき金属材料は、金属材料からなる基体と、
この金属材料基体の表面上に形成され、かつニッケルお
よびコバルトから選ばれた少なくとも1種を含む金属の
めっき皮膜とを有し、前記金属めっき皮膜中に、潤滑油
を内包するマイクロカプセルが分散共析されている、こ
とを特徴とするものである。
【0007】本発明の複合めっき金属材料は、前記金属
めっき皮膜中に、セラミック微粒子がさらに分散共析さ
れているものであってもよい。
【0008】本発明に係る耐摩耗性および摺動性にすぐ
れた複合めっき金属材料の製造方法は、金属材料からな
る基材の清浄な表面に、ニッケルおよびコバルトから選
ばれた少なくとも1種の金属を含有するめっき浴による
電気めっきを施すに際し、前記めっき浴中に10g/リ
ットル以上の、潤滑油を内包するマイクロカプセルと、
0.1〜20g/リットルの界面活性剤とを含有させ、
それによって、前記金属材料基材表面上に形成され、か
つニッケルおよびコバルトから選ばれた少なくとも1種
を含む金属めっき皮膜中に、前記潤滑油内包マイクロカ
プセルを分散共析させることを特徴とするものである。
【0009】本発明の製造方法は、前記めっき浴中に、
20g/リットル以上のセラミック微粒子をさらに含有
させ、それによって、前記金属材料基体表面上に形成さ
れ、かつニッケルおよびコバルトから選ばれた少なくと
も1種を含む金属めっき皮膜中に、前記潤滑油内包マイ
クロカプセルと、前記セラミック微粒子とを分散共析さ
せるものであってもよい。
【0010】
【作用】本発明において基体として用いられる金属材料
は、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、クロムモリブデン
鋼等から選ばれる鉄系金属材料、又はアルミニウム、ア
ルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マ
グネシウム、マグネシウム合金等から選ばれる非鉄金属
材料などから選ぶことができる。本発明において、金属
めっき皮膜のマトリックスを形成する金属は、ニッケ
ル、およびコバルトから選ばれた少なくとも1種を含む
ものであって、ニッケル、ニッケル合金(例えばニッケ
ル−リン合金、ニッケル−鉄合金など)、コバルト、お
よびコバルト合金(例えばコバルト−ニッケル合金、コ
バルト−ボロン合金など)から選ぶことができる。
【0011】本発明で使用する、マイクロカプセルの外
壁を構成する材料には、特別限定はないが、耐酸、耐ア
ルカリ性に優れた有機高分子物質を用いることが好まし
い。このような有機高分子材料としては、例えば、ポリ
エチレン、ポリオレフィン、ポリトリフルオロエチレ
ン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニ
ル、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素重合体、ポリ塩
化ビニル及びポリ塩化ビニリデンなどの塩素含有ビニル
重合体、ポリジエン系の1,2ポリブタジエン、1,2
−ポリ−4.4−ジメチルブタジエン等のポリジエン系
重合体、ポリグリコリド、ポリ−β−プロピオラクト
ン、ポリエチレンオキザラート等のポリエステル系重合
体、などから選ぶことができる。なお、上記記載の有機
高分子材料に限らずマイクロカプセル化の壁物質として
使用できるものであれば問題はない。なお、めっき浴温
度(例えば40〜70℃)以上の融点を有する有機高分
子材料を用いることが最も好ましい。
【0012】本発明に用いられるマイクロカプセルに内
包される潤滑油としては、一般に潤滑剤又は潤滑添加剤
として使用されている物質を使用することができる。例
えば鉱物油、天然油脂、合成油剤などをあげることがで
きる。鉱物油としては、例えばパラフィン、オレフィ
ン、ナフテン系のいずれの鉱物油を用いてもよい。ま
た、天然油脂としては、例えば豚脂、牛脂、パーム油、
椰子油等のいずれの動植物油を用いてもよい。また、合
成油剤としては、例えば前記動植物油脂の水素添加物、
炭素数6〜22の脂肪酸、高級アルコール、脂肪族アミ
ン、脂肪族アミド及びトリメチロールプロパン等の多価
アルコール等の合成潤滑剤をあげることができる。ま
た、極圧添加剤としては、例えばリン酸エステル、亜リ
ン酸エステル等をあげることができる。しかし、上記の
潤滑油に限定されることなく、マイクロカプセル化で
き、且つ、複合めっきに供することができる潤滑油であ
れば、いずれのものも使用することができる。
【0013】めっき浴中に懸濁するマイクロカプセルの
粒径には特別限定はないが、めっき皮膜中に均一に分散
状態で共析し、且つ、めっき皮膜の強度が低下しない程
度の小さい粒径のマイクロカプセルが好ましく、10μ
m以下の粒径を有するマイクロカプセルが特に好まし
い。
【0014】めっき浴中のマイクロカプセルの添加濃度
は10g/リットル以上である。それが10g/リット
ル未満では、めっき皮膜中に含有されるマイクロカプセ
ルの含有量が微量となり、十分な潤滑効果を示すことが
できない。本発明に用いられるめっき浴としては、Ni
めっき浴、Coめっき浴、Ni合金めっき浴又はCo合
金めっき浴が使用される。しかし、このめっき浴の金属
成分の組成には特に限定はない。
【0015】更に、潤滑油を包含するマイクロカプセル
を金属めっき皮膜中に共析させるために、界面活性剤が
使用されるが、この界面活性剤は、カチオン系、アニオ
ン系、ノニオン系及び両性系のいずれであってもよい。
カチオン系界面活性剤としては、例えばアミン型、第4
級アンモニウム塩型、ポリビニルピリジン系型等があげ
られる。また、アニオン系界面活性剤としては、カルボ
ン酸塩型、硫酸エステル塩、スルホン酸型などの活性剤
が用いられ、また非イオン性界面活性剤としては、ポリ
ビニルアルコール系型、尿素系型、アクリル酸系型、フ
ェノール樹脂型等の活性剤があげられる。マイクロカプ
セルを、分散し、めっき皮膜中に分散共析させ得る界面
活性剤であれば、いずれの界面活性剤を使用してもよ
い。
【0016】界面活性剤のめっき浴に対する濃度は、
0.1〜20g/リットルである。それが0.1g/リ
ットル未満では、めっき皮膜中のマイクロカプセル共析
量が少量となるため好ましくなく、またそれが20g/
リットルを超える場合は、その効果が飽和する。本発明
におけるより好ましい界面活性剤の濃度は0.1〜5g
/リットルである。
【0017】また、マイクロカプセルとともにめっき皮
膜中に分散共析させるセラミック微粒子としては、例え
ばSiC,BN,Si3 4 ,WC,TiC,Ti
2 ,Al2 3 ,ZrB2 、ダイヤモンド、及びCr
B等から選ばれる少なくとも1種からなるものを用いる
ことができ、これらの他に、現在分散めっきに使用され
ているものも使用できる。ただし、摺動相手材の強度な
どを考慮して、セラミック微粒子の種類を選択する必要
がある。例えば、摺動相手材がステンレススチールのよ
うな硬い材料である場合には、SiC,TiC等の一般
に高硬度を有するセラミック微粒子を用いることが最も
好ましい。しかし、摺動相手材がアルミニウムのような
強度の低い材料である場合には、高硬度を有するセラミ
ック微粒子をマイクロカプセルと同時共析させた複合め
っき皮膜を形成すると、摺動相手材の摩耗や損傷が大き
くなり、このようなめっき皮膜は理想的な摺動部用めっ
き皮膜とは言い難い。この場合には、MoS2 ,BN等
の公知の固体潤滑剤をセラミック微粒子として使用する
ことが好ましい。
【0018】セラミック微粒子のめっき浴に対する濃度
は、公知のセラミック微粒子を分散させる複合めっき浴
では、通常100〜120g/リットルであることが好
ましいが、本発明におけるセラミック微粒子の濃度は、
それほど高くなくてもよく、20g/リットル以上であ
ればよく、それによってマイクロカプセルを優先的に共
析させることが好ましい。
【0019】マイクロカプセルを製造する技術について
は、一般に知られている方法を用いることができ、例え
ば界面重合法、コアセルベーション法、in−situ
重合法、ラジカル重合法等があげられる。
【0020】なお、本発明においては、複合めっき皮膜
中に共析されるマイクロカプセルの共析量は、めっき浴
中のマイクロカプセルの添加濃度の他に、電流密度、界
面活性剤の添加濃度により調節することができる。
【0021】本発明における複合めっき皮膜の厚さは、
当該材料の使用用途、環境又は目的によって異なる為、
特に限定はないが、一般に5μm以上であることが好ま
しい。
【0022】本発明に使用される潤滑油内包マイクロカ
プセルは外壁厚さや潤滑物質により比重が変化するが、
本発明では、外壁ができるだけ薄い膜であることが好ま
しく、且つ、潤滑物質の量が多ければ多いほど好まし
い。更にマイクロカプセルの粒径は小さい方がめっき浴
中に分散し易い。このようなマイクロカプセルに界面活
性剤が吸着し、めっき浴中に均一に分散し、且つ、凝集
しているマイクロカプセルが更に二次粒径まで小さくな
る。特に界面活性剤がノニオン系又はカチオン系界面活
性剤であれば、上記記載の作用と同時に電気化学的に被
めっき物に吸着する作用がある。
【0023】マイクロカプセルが分散状態で共析されて
いる複合めっき皮膜は、摺動試験において良好な摺動性
を発揮することができる。この理由は、摺動時におい
て、めっき皮膜中の潤滑油を内包するマイクロカプセル
が、摺動物の圧力を受けると、めっき皮膜表層部に露出
したマイクロカプセルが破壊し、その中から潤滑油がし
み出て潤滑効果を発揮することにある。
【0024】また、図1に示すように、金属材料基体1
上に形成された従来技術のNiめっき皮膜、Coめっき
皮膜、Ni合金めっき又はCo合金めっき皮膜2は、潤
滑油切れ等が起こったとき、破壊される可能性がある。
しかし、図2に示すように金属めっき皮膜2中にマイク
ロカプセル3が分散共析されている本発明の複合めっき
皮膜4は、しみ出た潤滑油が、複合めっき皮膜と摺動相
手材の間を潤滑し、過剰の潤滑油は、再度マイクロカプ
セルの存在した複合めっき皮膜中に取り込まれることに
なり、潤滑油切れおよび潤滑油の過剰の消費が防止され
るのである。更に、摺動時に極微量発生する金属めっき
皮膜の切り粉等が、マイクロカプセルを含有するめっき
皮膜中の空間に取り込まれることにより、摺動時にNi
めっき皮膜、Coめっき皮膜、Ni合金めっき又はCo
合金めっき皮膜の、表面残留切り粉の影響は皆無に近く
なる。
【0025】なお、公知のマイクロカプセルを含む亜鉛
めっき又は亜鉛系合金めっきでは、界面活性剤を使用し
ていない為に、マイクロカプセルの共析量に、ばらつき
があり、且つ、共析しない事もあり、非常に不安定なめ
っき皮膜となる。更に、亜鉛めっき又は亜鉛系合金めっ
きでは、皮膜強度が弱いために、めっき皮膜中のマイク
ロカプセルの存在した空間は押しつぶされてしまい、本
発明のようなめっき皮膜の特性は期待できない。
【0026】本発明の複合めっき皮膜が、摺動試験にお
いて良好な摺動性を発揮すると同時に、母材の摩耗量及
び相手材の摩耗量を軽減させうることができる理由とし
ては、摺動時において、めっき皮膜中の潤滑油を内包し
たマイクロカプセルが摺動物の圧力を受けると、表層部
に露出したマイクロカプセルが破壊し、その中から潤滑
油がしみ出て潤滑効果を発揮する。しかし、このような
状態で長期間使用される場合や、複合めっき皮膜に対し
て大きな荷重が付荷される場合には、潤滑油内包マイク
ロカプセルと、例えばSiC,BN,Si3 4 ,W
C,TiC,TiO2 ,Al2 3 ,ZrB2 、及びC
rB等から選ばれるセラミック微粒子とを、同時共析さ
せ得た本発明の複合めっき皮膜は、セラミック微粒子が
当該複合めっき皮膜のマトリックス金属を保護する作用
を有し、そのため、当該複合めっき皮膜の皮膜摩耗、お
よび損傷を防止する効果を示す。
【0027】図3に示されているような、従来の摺動部
に使用されている複合めっき皮膜6、つまりマトリック
ス金属2中に、SiC,BN,Si3 4 ,WC,Ti
C,TiO2 ,Al2 3 ,ZrB2 及びCrB等のセ
ラミック微粒子5を分散共析している従来の複合めっき
皮膜6は、セラミック微粒子による少量の潤滑油溜りは
存在するが、潤滑油の存在しない無潤滑環境下において
は、良好な摺動性を期待することはできない。しかし、
図4に示すように、潤滑油内包マイクロカプセル3とS
iC,BN,Si3 4 ,WC,TiC,TiO2 ,A
2 3 ,ZrB2 及びCrB等のセラミック微粒子5
とを同時に分散共析している本発明の複合めっき皮膜7
の潤滑機構は、しみ出た潤滑油がめっき皮膜上と摺動物
相手材の間を潤し、過剰の潤滑油は再度マイクロカプセ
ルの存在した複合めっき皮膜7中に取り込まれ、更にセ
ラミック微粒子5が形成する潤滑油溜りがあることによ
り、より一層良好な摺動性が得られ、複合めっき皮膜7
の損傷と摩耗、潤滑油切れや潤滑油の過剰の消費につい
ても軽減される。
【0028】
【実施例】下記実施例と比較例により本発明を詳細に説
明する。実施例1〜9および比較例1〜6 実施例1〜9および比較例1〜6の各々において、下記
条件により、複合めっき金属材料が製造された。 1.複合めっき皮膜作製条件 (1)めっきを施す基体:(a)アルミニウム合金:J
IS−A5052、(b)ステンレス鋼:SUS30
4、(c)チタン合金:Ti−6Al−4Vから表1に
示されているように選ばれた。 (2)使用する界面活性剤:(A)アニオン系(中京油
脂(株):セルナD−305)、(B)ノニオン系(日
本油脂(株):HS206)、(C)カチオン系(三洋
化成(株):エマルミンRP−102)から表1に示さ
れているように選ばれた。 (3)界面活性剤濃度:(I)0g/リットル(II)
0.5g/リットル(III)5g/リットル(IV)30g
/リットルから表1に示されているように選ばれた。
【0029】 (4)めっき浴組成: (1)Niめっき浴(Ni浴) スルファミン酸ニッケル(60wt. %):800g/リットル 塩化ニッケル(6水和物) : 15g/リットル ほう酸 : 45g/リットル pH :4.0〜5.0 めっき浴温度 :55〜60℃ 電流密度 :15A/dm2 めっき処理時間 :20分 (2)Co−Pめっき浴(Co−P浴) スルファミン酸コバルト(60wt. %):800g/リットル 塩化コバルト(6水和物) : 15g/リットル 次亜リン酸 :0.5g/リットル ほう酸 : 45g/リットル pH :4.0〜5.0 めっき浴温度 :55〜60℃ 電流密度 :15A/dm2 めっき処理時間 :10分 (3)複合Ni−P/SiCめっき浴(Ni−P/Si浴) スルファミン酸ニッケル(60wt. %):800g/リットル 塩化ニッケル(6水和物) : 15g/リットル 次亜リン酸 :0.5g/リットル ほう酸 : 45g/リットル SiC : 60g/リットル pH :4.0〜5.0 めっき浴温度 :55〜60℃ 電流密度 :15A/dm2 めっき処理時間 :30分 (4)亜鉛めっき浴(Zn浴) 硫酸亜鉛・7水和物 :500g/リットル 硫酸ナトリウム・無水和物 :100g/リットル pH :1.0〜3.0 めっき浴温度 :50〜60℃ 電流密度 :10A/dm2 めっき処理時間 :5分 から表1に記載されているように選ばれた。
【0030】(5)マイクロカプセル濃度:(ア)0g
/リットル、(イ)10g/リットル、(ウ)20g/
リットル、(エ)40g/リットル、(オ)60g/リ
ットルから表1に記載のように選ばれた。 (6)マイクロカプセルの粒径:表1に記載の通り (7)マイクロカプセルに内包された潤滑油:表1に記
載の通り
【0031】
【表1】
【0032】上記操作により得られた複合めっき皮膜の
厚さを表2に示す。また、得られた複合めっき金属材料
を下記評価試験に供した。
【0033】2.評価試験方法 (1)バウデン摩擦摩耗試験 試験条件:垂直荷重5kg、ストローク30mm、繰り返し
数200回、常温、無潤滑環境下である。また、相手材
にはSUJ−2球、φ10mmを用いた。 (2)母材の摩耗深さ測定 表面粗さ測定からめっき皮膜摩耗深さを求めた。
【0034】(3)相手材の摩耗量測定 実体顕微鏡により摩耗痕直径を測定し、摩耗量の計算を
行った。 (4)マイクロカプセル(MC)の含有の有無の確認 めっき皮膜断面観察により確認を行った。 評価は◎:多量にマイクロカプセルを含有する ○:マイクロカプセルを含有する ×:マイクロカプセル含有せず これらの評価結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】表2の結果より明らかなように、実施例1
〜9の複合めっき皮膜は摩擦係数も低く、皮膜摩耗も少
ない、耐摩耗性、摺動性に優れたものであり、マイクロ
カプセルも複合めっき皮膜中に均一に分散共析されてい
た。しかし、比較例1〜6では、無潤滑環境下において
耐摩耗性、摺動性共に優れたものは得られなかった。
【0037】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明の、複合めっ
き皮膜を有する金属材料は、無潤滑環境下における摺動
条件でも優れた潤滑性を発揮することができ、同時に耐
摩耗性に優れた自己潤滑性を保持するものである。その
結果として、複合めっき摺動部品の摩耗及び損傷を軽減
する効果を具有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、通常の摺動部に用いられている従来の
めっき皮膜を有する金属材料の断面説明図。
【図2】図2は、マイクロカプセル共析複合めっき皮膜
を有し、耐摩耗性、摺動性に優れた本発明の複合めっき
金属材料の断面説明図。
【図3】図3は、セラミック微粒子共析複合めっき皮膜
を有する従来のめっき金属材料の断面説明図。
【図4】図4はマイクロカプセルおよびセラミック微粒
子を共析する複合めっき皮膜を有する本発明の複合めっ
き金属材料の断面説明図。
【符号の説明】
1…金属材料基体 2…マトリックス金属 3…マイクロカプセル 4…マイクロカプセル共析複合めっき皮膜 5…セラミック微粒子 6…セラミック微粒子共析複合めっき皮膜 7…マイクロカプセルおよびセラミック微粒子共析複合
めっき皮膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属材料からなる基体と、この金属材料
    基体の表面上に形成され、かつニッケルおよびコバルト
    から選ばれた少なくとも1種を含む金属のめっき皮膜と
    を有し、 前記金属めっき皮膜中に、潤滑油を内包するマイクロカ
    プセルが分散共析されている、 ことを特徴とする、耐摩耗性および摺動性にすぐれた複
    合めっき金属材料。
  2. 【請求項2】 前記金属めっき皮膜中に、セラミック微
    粒子がさらに分散共析されている、請求項1に記載の複
    合めっき金属材料。
  3. 【請求項3】 金属材料からなる基材の清浄な表面に、
    ニッケルおよびコバルトから選ばれた少なくとも1種の
    金属を含有するめっき浴による電気めっきを施すに際
    し、 前記めっき浴中に10g/リットル以上の、潤滑油を内
    包するマイクロカプセルと、0.1〜20g/リットル
    の界面活性剤とを含有させ、 それによって、前記金属材料基材表面上に形成され、か
    つニッケルおよびコバルトから選ばれた少なくとも1種
    を含む金属めっき皮膜中に、前記潤滑油内包マイクロカ
    プセルを分散共析させる、 ことを特徴とする、耐摩耗性および摺動性にすぐれた複
    合めっき金属材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記めっき浴中に、20g/リットル以
    上のセラミック微粒子をさらに共析させ、 それによって、前記金属材料基体表面上に形成され、か
    つニッケルおよびコバルトから選ばれた少なくとも1種
    を含む金属めっき皮膜中に、前記潤滑油内包マイクロカ
    プセルと、前記セラミック微粒子とを分散共析させる、
    請求項3に記載の製造方法。
JP12425993A 1993-05-26 1993-05-26 耐摩耗性および摺動性にすぐれた複合めっき金属材料、およびその製造方法 Pending JPH06330392A (ja)

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