JP4240736B2 - 鉄損が低くかつ磁束密度が高い無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

鉄損が低くかつ磁束密度が高い無方向性電磁鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、主として電気機器鉄心材料に用いられる無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気機器の高効率化は、世界的な電力、エネルギー節減の動きの中で強く要望されている。また、電気機器の小型化の要請のために、鉄心材料の小型化の要望も高まっている。
【0003】
従来、無方向性電磁鋼板の鉄損を低減するには、電気抵抗を増加することによって渦電流損を低下させることを目的として、Si, AlおよびMn等の含有量を高める手法が一般に用いられてきたが、この手法では磁束密度の低下を免れることができないという、本質的な問題があった。
【0004】
また、SiあるいはAlの含有量を単に高めるだけでなく、CやSの低減または特開昭58−15143 号公報に記載されているようなBの添加、あるいは特開平3−281758号公報に記載されているようなNiを添加する方法など、合金成分を増加させる方法も知られている。これら合金成分を添加する方法では、鉄損は改善されるものの、磁束密度の改善効果が小さく満足できるものではない。しかも、この方法では、合金添加に伴って硬度が上昇して加工性が劣化する結果、無方向性電磁鋼板を加工して電気機器に使用することができないため、その用途が極めて限定され汎用性に劣るものとなっていた。
【0005】
さらに、製造プロセスを変更して製品板の結晶方位の集積度合、すなわち集合組織を改善して磁気特性を向上させる方法が、いくつか提案されている。例えば、特公昭58−181822号公報には、Si:2.8 〜4.0 mass%およびAl:0.3 〜2.0 mass%を含む鋼に200 〜500 ℃の温度範囲内で温間圧延を施し、{100}<UVW>組織を発達させる方法が、そして特公平3−294422号公報には、Si:1.5 〜4.0 mass%,Al:0.1 〜2.0 mass%を含む鋼を熱間圧延した後、1000℃以上1200℃以下の熱延板焼鈍と冷間圧延圧下率を80〜90%として{100}組織を発達させる方法が、それぞれ記載されている。しかし、これらの方法による磁気特性の改善幅は小さい。例えば、特公昭58−191922号公報中の実施例2では、Si:3.40mass%,Al:0.60mass%を含む成分系の鋼で板厚0.35mmの製品の磁束密度がB50で1.70T, 鉄損がW15/50 で2.1 W/kg程度、特公平3−294422号公報ではSi:3.0 mass%,Al:0.30mass%およびMn:0.20mass%を含む成分系の鋼で板厚0.50mmの製品の磁束密度がB50で1.71T,鉄損がW15/50 で2.5 W/kg程度の値である。
【0006】
その他にも、製造プロセスを改善する提案がなされているが、いずれも低鉄損化の到達は不十分であり、磁束密度も低いものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、従来技術で得られる磁気特性を凌駕した、優れた磁束密度並びに鉄損を有する無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、低鉄損と高磁束密度を同時に達成すべく従来技術における問題点について鋭意検討を重ねたところ、新しい無方向性電磁鋼板およびその製造方法を開発するに到った。すなわち、この発明の要旨構成は、次の通りである。
【0009】
(1) Si:1.5 〜8.0 mass%Mn:0.005 〜2.50mass%および Al 0.0010 0.10mass を含み、かつC,S,N,OおよびBの含有量を各々50ppm 以下に抑制し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成になり、鋼板の各結晶粒の方位から下記式により定まるΓ値の圧延面内における平均値<Γ>が0.195 以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。

Γ=u22 +v22 +w22
ここで、u、vおよびwは、各結晶粒の圧延方向から圧延直角方向までの任意の方向について、ミラー指数表示を単位ベクトル化した<u,v,w>を意味する。
【0011】
(2) 上記(1) おいて、さらにSb:0.01〜0.50mass%を含む成分組成になることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
【0012】
(3) 上記(1)または (2) において、さらにNi:0.01〜3.50mass%、Sn:0.01〜1.50mass%、Cu:0.01〜1.50mass%、P:0.005 〜0.50mass%およびCr:0.01〜1.50mass%のいずれか少なくとも1種を含有する成分組成になることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
【0013】
(4) Si:1.5〜8.0 mass%、Mn:0.005〜1.50mass%およびAl:0.0010〜0.10mass%を含み、かつS,N,OおよびBの含有量を各々50ppm 以下に抑制し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分の溶鋼をスラブとし、次いで熱間圧延後に熱延板焼鈍を施してから、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、その後再結晶焼鈍を行い、必要に応じて絶縁コーティングを施す一連の工程において、溶鋼時もしくは再結晶焼鈍に先立ついずれかの工程にて鋼板のC量を50ppm 以下に調整するとともに、熱延板焼鈍を 800〜1200℃の温度範囲で施したのち、 800〜400℃での冷却を5〜80℃/sの速度で行い、再結晶焼鈍は、700℃以上の温度域での昇温速度を100℃/h以下として 750℃以上1200℃以下の温度域まで到達させることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0014】
(5) Si:1.5 〜8.0 mass%Mn:0.005 〜2.50mass%および Al 0.0010 0.10mass を含み、かつS,N,OおよびBの含有量を各々50ppm 以下に抑制し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分の溶綱をスラブとし、次いで熱間圧延後に熱延板焼鈍を施してから、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、その後再結晶焼鈍を行い、必要に応じて絶縁コーティングを施す一連の工程において、溶鋼時もしくは再結晶焼鈍に先立ついずれかの工程にて鋼板のC量を50ppm 以下に調整するとともに、熱延板焼鈍を 800〜1200℃の温度範囲で施したのち、 800〜400℃での冷却を5〜80℃/sの速度で行い、再結晶焼鈍は、500〜700℃以上の温度域での昇温速度を2℃/s以上として 700℃以上に昇温して再結晶を完了させた後、700℃以下の温度域まで冷却し、再び700℃以上の温度域での昇温速度を100℃/h以下として750℃以上1200℃以下の温度域まで到達させることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0015】
)上記()または()において、Sb:0.01〜0.50mass%を含有することを特徴とすることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
(7)Si:1.5 〜8.0 mass%Mn:0.005 〜1.50mass% Al 0.0010 0.10mass およびSb:0.01〜0.50mass%を含み、かつS,N,OおよびBの含有量を各々50ppm 以下に抑制し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分の溶綱をスラブとし、次いで熱間圧延後に熱延板焼鈍を施してから、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、その後再結晶焼鈍を行い、必要に応じて絶縁コーティングを施す一連の工程において、溶鋼時もしくは再結晶焼鈍に先立ついずれかの工程にて鋼板のC量を50ppm 以下に調整するとともに、熱延板焼鈍を 800〜1200℃の温度範囲で施したのち、800〜400℃での冷却を5〜80℃/sの速度で行うことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0017】
(8)上記()ないし()のいずれかにおいて、溶鋼がさらにNi:0.01〜3.50mass%、Sn:0.01〜1.50mass%、Cu:0.01〜1.50mass%、P:0.005 〜0.50mass%およびCr:0.01〜1.50mass%の少なくとも1種を含有することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0018】
(10)上記(5) ないし(9) のいずれかにおいて、溶鋼がさらにNi:0.01〜3.50mass%、Sn:0.01〜1.50mass%、Cu:0.01〜1.50mass%、P:0.005 〜0.50mass%およびCr:0.01〜1.50mass%の少なくとも1種を含有することを特徴とする鉄損が低くかつ磁束密度が高い無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0019】
ここで、上記式(イ)により定まるΓ値の圧延面内における平均値<Γ>は、具体的には以下の方法に従って求めることができる。まず、Electron Back Scattering Pattern(以下、EBSPと示す)等を用いて、鋼板圧延面における個々の結晶粒の方位を測定する。すなわち、図1に示すように、各結晶粒jにおける、鋼板の圧延面内の圧延方向1から圧延直角方向mまでの複数の方向について、それぞれミラー指数を求める。次いで、求めたミラー指数を、単位ベクトル化した<u,v,w>を用いて、Γ値
Γ=u22 +v22 +w22
を算出する。
【0020】
このΓ値は、各結晶粒において圧延方向から圧延直角方向までの範囲にて少なくとも15°毎の方向について求めることが好ましい。このように求められた各結晶粒の圧延面内のそれぞれの方向に対するΓ値を平均し、さらにこれを測定したすべての結晶粒nについて平均したものを、<Γ>とする。すなわち
【数1】
Figure 0004240736
なお、統計的に有意な値を得るためには、1000個以上の結晶粒方位について測定することが好ましい。
【0021】
また、<Γ>は、X線回折により測定された極点図から方位分布関数(ODF)を計算して求めることもできる。すなわち、このODFの結果からは、鋼板の特定の方向に対して、特定のミラー指数となる結晶粒の体積分率を計算することができる。この体積分率とミラー指数から求まるΓ値とを乗じたものを、各ミラー指数毎に足し合わせることを、面内の圧延方向から圧延直角方向までの各方向について行い、これを平均することにより、<Γ>が求められる。
この<Γ>が0.200 をこえる場合は、製品の磁束密度および鉄損ともに大きく劣化する。
【0022】
以下、この発明を導くに到った実験結果について、詳述する。
発明者らは、従来の高Si系無方向性電磁鋼板の磁気特性向上に対する従来技術の限界を打破すべく鋭意検討を進めた結果、鋼板を構成する結晶の方位を適切に制御することによって磁気特性を大幅に向上できること、この結晶方位制御の指標として従来にない<Γ>値を用いることが有利であることを全く新規に見出した。また、これを実現するための、熱延板焼鈍条件や再結晶焼鈍条件についても深く考察研究し、特に有利な条件を新たに見い出した。
【0023】
まず、AlやSbの影響について実験を行った。すなわち、成分として、Si:3.5mass%およびMn:0.10mass%を含み、C、S、N、OおよびBを各々20ppm 以下に低減し、含有するAl量を種々に変化させた鋼塊群Aと、成分として、Si:3.5mass%、Mn:0.10mass%およびSb:0.04mass%を含み、C、S、N、OおよびBを各々20ppm 以下に低減し、含有するAl量を各種に変化させた鋼塊群Bとを、それぞれ溶製した。これらの鋼塊は、その後1040℃に加熱し熱間圧延にて2.3mm 厚に仕上げた。その後、1075℃×5分間の熱延板焼鈍を施し、冷却を 800〜400 ℃間の速度を20℃/sとして行った。さらに、これらの焼鈍後の鋼板を酸洗し、250 ℃の温度で冷間圧延を行って最終板厚の0.35mmに仕上げた。この冷間圧延後、これらの鋼板に500 〜700 ℃間の昇温速度を12℃/sとして昇温し、1050℃×10分間の再結晶焼鈍を行い製品板とした。これらの製品から内径100mm および外径150mm のリング状試験片を採取し、各鋼板の磁束密度および鉄損を測定した。
【0024】
図2に、素材のAl含有量と製品板の磁束密度および鉄損との関係を示す。同図に示すように、磁気特性は素材のAl含有量により大きく変動し、0.0010mass%以上 0.10 mass%以下の範囲でB50が1.68T以上かつW15/50 が 2.1W/kg以下の良好な値が得られ、特に0.005 mass%〜0.020 mass%の範囲でB50が1.70T以上、W15/50 が 1.9W/kg以下の極めて優れた値が得られた。また、付加的にSbを添加した、鋼塊B群では、磁気特性の著しい向上が認められた。
【0025】
さらに、優れた磁気特性が得られる理由を見い出すために、各製品板の結晶粒径を調査した。通常、無方向性電磁鋼板では、製品板の結晶粒径が粗大化すれば鉄損が向上するのであるが、この実験では製品板の結晶粒径に及ぼす素材Al量やSb添加の影響は小さく、いずれも粒径は 200〜300 μmであり、磁気特性の値と再結晶焼鈍時の粒成長挙動とはほば無関係であった。従って、Al含有量が0.0010〜0.10mass%の範囲での磁気特性の向上、Sb添加によるさらなる磁気特性の向上は、結晶方位の改善によるものと考え、製品板の結晶粒方位の測定を、EBSPを用いて行った。この測定は、鋼板表面における10mm×10mm角の領域における約2000個の結晶粒の方位を測定することによって行った。
【0026】
ここで、発明者らは、新たに創出した、上述の<Γ>値を用いて解析することにより、<Γ>値と磁束密度との間に極めて強い相関があることを新規に見い出した。この<Γ>値を決定するΓ値は、結晶方向で固有の値となる。例えば、正キューブ方位である{100}<001>結晶粒に関して、各方向のΓ値を計算した結果について、図3に示す。同図に示すように、正キューブ方位結晶粒における圧延方向<100>の場合(u=1,v=0,w=0であるのでΓ=0)および圧延直角方向<010>の場合(u=0,v=1,w=0であるのでΓ=0)は最小値0、圧延方向から45°傾いた方向<110>(u=1/√2,v=1/√2,w=0であるのでΓ=0.25)の場合に最大値をとる。
【0027】
上記した式(イ)にて定義されたΓ値を、製品板における約2000個の各結晶粒方位測定結果に基づいて同様に計算した。Γ値の計算は結晶方位粒ごとに、注目する方向(例えば圧延方向)のΓ値を計算し、その粒の面積に対する加重平均をとって算出した。その結果、Γ値と製品坂の磁束密度との間に強い相関があることを新規に見い出した。なお、比較として従来常用されてきたX線回折法を用いた、{111}面強度(以下I{111}と称す)と{100}面強度(以下I{100}と称す)との強度比▲1▼{100}/I{111}に関する調査も行った。ちなみに、▲1▼{100}/I{111}値は、特開平8−134606号公報に開示されている集合組織の評価法である。
【0028】
まず、鋼塊群Aに属するAl量が0.01mass%である、製品板の各方向の磁束密度(B50)を圧延方向(0°)から圧延直角方向(90°)までの間の15°毎の方向からエプスタイン試料を、切出し方向を変えて調査した。図4に製品板の各方向における磁束密度、Γ値との関係を示す。図4に示すとおり、磁東密度およびΓ値は各方向により変動している。
【0029】
さらに、図5に、磁東密度とΓ値との関係を示す。図5に示すように、製品板磁束密度とΓ値との間には強い相関があることが分かった。図4には、I{100}/I{111}の値も併せて示したが、本来▲1▼{100}/I{111}値は面強度であるから、図4に示すように、測定試料の各方向で値はほぼ一定であり、この場合磁束密度の変化を反映していないことがわかる。
【0030】
このようにΓ値と磁束密度との間に強い相関が認められたことから、続いて各鋼塊群の製品板について同様に結晶粒方位測定とX線回折とを行い、リング試料における磁束密度の測定結果と圧延面内におけるΓ値の平均値およびI{100}/I{111}との関係について調査を行った。なお、面内におけるΓ値の計算は圧延方向(0°)から圧延直角方向(90°)までの15°づつの各方向におけるΓ値を各結晶方位での測定結果を用いて計算し、これらの値の平均値を<Γ>として求めた。
【0031】
すなわち、図6に製品板磁束密度と<Γ>の関係を示すように、リング試料における磁束密度と結晶粒方位測定から求められた面内での平均値<Γ>との間には強い相関が認められ、B50>1.65Tの高い磁束密度を得るためには<Γ>を0.200 以下とする必要があることがわかった。一方、図7に同一試料を用いて調査した、I{100}/I{lll}と製品板磁束密度との関係を示すが、両者の間には明瞭な関係は認められない。
【0032】
このように製品板の磁束密度と<Γ>との相関が極めて強いのに対して、▲1▼{100}/I{111}との相関が弱いという、この実験の結果を得られた理由については明らかではないが、この発明による評価方法では、各結晶粒の方位から直接に鋼板の各方向における<Γ>を求め、これらの値から面内の平均値を算出するのに対し、I{111}/I{100}を評価する方法では、ほぼ{111}、{100}近傍のごく一部の結晶粒のみの強度を評価しており、それ以外の比較的重要な結晶粒、例えば{544}、{221}、{332}など多くの方位の結晶粒を無視し、これらの強度が磁気特性に及ぼす寄与を評価範囲から除外しているからであると推定される。
【0033】
また、Γ値を用いる利点は他にもある。一般に、鉄以外の元素の含有量に応じて、鋼板の飽和磁束密度は変化する。このために、製品板が、たとえ同じ結晶粒の方位集積度を持つとしても、その磁束密度の値は変化する。従って、成分が異なる成分系の製品の方位集積度を比較する場合、磁束密度の値では単純に比較することはできないが、<Γ>は結晶方位自体で定まるために、合金成分に関係なく製品板の結晶粒方位の集積状態を評価可能であり、このため極めて有効な指標となる。
【0034】
次に、Al含有量と不純物量との関係について検討した結果を述べる。
Si:3.5 mass%,Mn:0.10mass%およびSb:0.03mass%を含み、かつC,S,N,OおよびBを各々50ppm 以下に低減し、Al量を種々に変更した鋼塊群B(発明範囲内)と、Si:3.5 mass%およびMn:0.12mass%を含み、かつC,S,N,OおよびBの各含有量が 50ppm以上であり、その合計量も350ppm以上でかつAl量を種々に変更した鋼塊群C(発明範囲外)とを溶製した。これらの鋼塊は、その後1100℃に加熱し熱間圧延にて2.4mm 厚に仕上げた。次いで、1100℃×5分間の熱延板焼鈍を施したのち、 800〜400 ℃間を15℃/sの速度で冷却した。さらに、これらの焼鈍後の鋼板を酸洗し、200 ℃の温度での冷間圧延にて最終板厚の0.35mmに仕上げた。冷間圧延後、これらの鋼板に1050℃×10分の再結晶焼鈍を行い製品板とした。かくして得られた製品板の結晶粒方位の測定を、EBSPにて、鋼板表面における10mm×10mm角の領域における約2000個の結晶粒の方位を測定して、圧延面内の平均値<Γ>を求めた。
【0035】
図8に、各鋼塊群におけるAl含有量と<Γ>との関係を示すように、不純物元素C,S,N,OおよびBを低減した鋼塊群Bでは<Γ>が 0.200以下であるが、不純物元素C,S,N,OおよびBが多く含まれる鋼塊群Cでは、0.200 以下の<Γ>が得られていない。さらに、鋼塊群Bでは、Al量が10〜1000ppm の範囲において、特に磁束密度に有利な0.195 以下の<Γ>が得られている。
【0036】
この実験を基にさらに鋭意研究を進めた結果、磁束密度の向上に有利な<Γ>が0.195 以下である、特に良好な集合組織を得るためには、Al含有量を制御するだけでなく、不純物元素C,S,N,OおよびBを各々50ppm 以下に低減することが必須であることがわかった。
【0037】
ところで、上述したように、Si量の高い高級無方向性電磁鋼板では、鉄損を改善するために、固有電気抵抗を増加させる手法が採用されてきた。また、この方法は結晶粒成長を抑制する鋼中析出物であるAlN を凝集粗大化させ、結晶粒の粒成長を促進させる効果もある。これらの効果を得るためには、Alの含有量は一定量以上確保することが必要であり、従来、Alの含有量は少なくとも0.1 mass%を超える量に規制され、通常は 0.4〜1.0 mass%程度の含有量となっている。しかし、発明者らの上記実験により得られた結果は、従来技術の範囲よりもはるかに低い含有量の範囲、特に0.0010〜0.10mass%の範囲で最も好適に集合組織が発達し、その結果<Γ>は0.195 以下となって磁束密度並びに鉄損とも最良値を示した。
【0038】
このように素材成分における不純物元素C,S,N,OおよびBを各々50ppm以下に低減して、Alの含有量を制御することによって、圧延面内での平均Γ値の低い良好な集合組織が発達する理由については必ずしも明らかではないが、発明者らは不純物の粒界移動抑制効果に関連付けて以下のように考えている。すなわち、素材の高純度化によって、不純物元素、特に粒界偏析傾向の強いC,S,N,OおよびBの影響が排除されて粒界移動が容易になること、Alを0.10mass%以下に低減することにより、より純鉄に近い結晶格子の配列状態へと近づくため、粒界構造に依存する本来の移動速度差が顕在化して、再結晶に伴う粒成長過程で一部の粒界のみが優先的に移動し、{111},{554},{321},など数多くの磁気的に不利な結晶粒の成長が抑制され、<Γ>が減少する方向への集合組織変化を起こし、磁気特性が向上したものと考えられる。Sbに関しては、再結晶核生成時に磁気特性に有利な{l00}方位近傍の結晶方位が優先的に再結晶する影響が認められ、上述のAlを低減した際の効果と組み合わせることによって、磁気特性が大きく向上するものと推定される。
【0039】
また、Alが10ppm 未満の場合は、不純物元素C、S、N、OおよびBの低減による磁気特性改善の効果が小さくなる。この場合、鋼中に粗大な窒化珪素が形成されていることが観察されており、これにより冷間圧延時の変形挙動が変化して、再結晶焼鈍後の組織における<Γ>が多少増加するものと推定される。よって、不純物元素低減により<Γ>が減少するものの、結果として磁気特性の改善は小さくなっているものと思われる。これに対し、Al量が10ppm 以上含まれる場合には、この粗大な窒化珪素の形成は抑制されており、上記のような冷間圧延時の変形挙動の変化による<Γ>の増加を回避できるため、磁気特性の改善に特に有利である。
【0040】
このように、<Γ>値を0.200 以下にするためには、不純物元素C,S,N,OおよびBを各々50ppm 以下とすることが肝要であるが、さらにAl含有量を0.001 〜0.10mass%に制御し、必要に応じて所定量のSbを含有させることにより、<Γ>値を磁気特性にさらに有利な0.195 以下に低減することが可能となる。
【0041】
ちなみに、この発明に従う、Alを多量添加することなく、集合組織を改善して磁気特性を改善する手法では、合金元素の添加量が少ないので飽和磁束密度が高いという利点の他、硬度の上昇が回避されて製品の加工性が確保されるため、汎用電気製品への適用が促進される利点もある。
【0042】
さらに、集合組織を改善して<Γ>値を0.200 以下にすることを可能とする、別の手法を確立すべく、熱延板焼鈍条件に関する実験を行った。
すなわち、Si:3.6 mass%,Mn:0.13mass%、Al:0.009 mass%およびSb:0.06mass%を含み、かつC,S,N,OおよびBを各々20ppm 以下に低減した鋼塊を溶製した。この鋼塊は、その後1120℃に加熱し熱間圧延にて2.8mm に仕上げた。次いで、1100℃×5分間の熱延板焼鈍を施したのち、冷却速度を種々に変更して冷却を行った。さらに、これらの焼鈍後の鋼板を酸洗し、230 ℃の温度での冷間圧延にて最終板厚の0.50mmに仕上げた。冷間圧延後、1070℃×10秒間の再結晶焼鈍を行い製品板とした。かくして得られた製品板から内径100mm および外径150mm のリング試験片を採取し、各鋼板の磁束密度および鉄損を測定した。また、製品板の結晶粒方位の測定を、EBSPにて鋼板表面における10mm×10mm角の領域における約2000個の結晶粒の方位を測定して、圧延面内の<Γ>を求めた。
【0043】
図9に、熱延板焼鈍後の 800〜400 ℃の温度域での冷却速度と<Γ>との関係を示すように、冷却速度が5〜80℃/sの範囲とすることによって、<Γ>が0.195 以下の特に良好な集合組織が得られることがわかった。おそらく、冷却速度を規制することによって、微量に存在するAlN 析出物の分散状態が微細になる結果、冷間圧延時の不均一変形が促進されて再結晶組織が改善されるものと推定されるが、集合組織改善の本質的な機構は明らかではない。
【0044】
次に、鉄損および磁束密度をさらに改善するための要件として、再結晶焼鈍条件を変更して、次のような実験を行った。
すなわち、Si:3.6 mass%,Mn:0.13mass%およびAl:0.30mass%を含み、C,S,N,OおよびBを各々20ppm 以下に低滅した鋼塊D、Si:3.6 mass%,Mn:0.13mass%,Al:0.009 mass%およびSb:0.06mass%を含み、C,S,N,OおよびBを各々20ppm 以下に低滅した鋼塊E、をそれぞれ溶製した。これらの鋼塊は、その後1070℃に加熱して熱間圧延にて2.5mm の厚さに仕上げた。その後、1170℃×5分の熱延板焼鈍を施し、 800〜400 ℃間の冷却速度を10℃/sとした冷却を行った。さらに、これらの焼鈍後の鋼板を酸洗し、200 ℃の温度で冷間圧延を行って最終板厚の0.35mmに仕上げた。この冷間圧延後、各鋼板から試料を採取し、以下に示す3種類の方法で再結晶焼鈍を別々に行って製品板とした。
【0045】
〔焼鈍1〕
昇温速度:常温から 500℃間で平均30℃/s、 500〜700 ℃間で平均15℃/s、 700〜900 ℃間で平均8℃/s、均熱 900℃×10秒
冷却速度:均熱から常温まで平均10℃/s
焼鈍雰囲気:水素50%、窒素50%、露点−30℃
〔焼鈍2〕
昇温速度:常温から 500℃間で平均 100℃/h、 500〜900 ℃間で50℃/h、均熱 900℃×10時間、
冷却速度:均熱から常温まで平均 100℃/h
雰囲気:Ar露点−30℃
〔焼鈍3〕
焼鈍1を行った後焼鈍2を行う。
【0046】
これらの製品板から内径100mm および外径150mm のリング試験片を採取し、各試験片の磁束密度および鉄損を測定した。また、製品板の結晶粒方位の測定を、EBSPにて、鋼板表面における10mm×10mm角の領域における約2000個の結晶粒について行い、<Γ>値を求めた。
【0047】
図10に再結晶焼鈍条件と磁気特性との関係を、また図11に再結晶焼鈍条件と<Γ>との関係を、それぞれ示す。まず、鉄損については、どの鋼塊とも、焼鈍1に比べて焼鈍2、さらに焼鈍3を経た鋼板の鉄損が良好になる。特に、Sbを添加した鋼塊Eの鉄損が良好である。一方、磁束密度については、Al, Sbを添加した鋼塊Eにおいて、焼鈍1に比較して焼鈍2、そして焼鈍3が向上しているが、Sbを含有せず、Alを発明範囲外の 0.3mass%で含有する鋼塊Eでは変化がない。また、<Γ>に関しては、磁束密度の変化に対応した変化を示しており、鋼塊Cにおいて最も低い<Γ>と高い磁束密度が得られている。
【0048】
また、再結晶焼鈍後の粒径と再結晶焼鈍条件との関係を図12に示す。図12に示すように、各焼鈍条件において最高到達温度は 900℃と同一であるが、急速昇温である焼鈍1に比べて低速昇温である焼鈍2では、若干ではあるが粒成長が進行し、急速昇温を行った後に低速昇温を施した焼鈍3では、特に鋼塊Eにおいて焼鈍1、2に比べて著しく粒成長が進行していた。焼鈍2の場合、急速昇温である焼鈍1に比較して到達温度は同一であるが均熱時間が異なるために、粒成長が進行したものと考えられる。焼鈍3については熱効果的には焼鈍2との違いはわずかであるのにも拘わらず、焼鈍2に比べて著しく粒径が増大している。焼鈍2と焼鈍3を比較した場合、再結晶核生成時の昇温速度が異なっており、これに起因する集合組織形成過程の差異の基づく再結晶集合組織の違いが、続く粒成長挙動を大きく変えたものと推定されるが、本質的な機構は明らかでない。
【0049】
さらに、素材の添加元素について検討を行ったところ、Niを添加することにより、製品の磁束密度が向上することを見い出した。この磁束密度の向上には、Niが強磁性体元素であることが何らかの理由で寄与しているものと推定されるが、理由は明らかでない。また、Sn,Cu,PおよびCrなどの添加により鉄損が改善する傾向が認められた。おそらく、電気抵抗を増加させることにより鉄損が低減されているものと推定される。
【0050】
【発明の実施の形成】
以下に、この発明の各構成要件の限定理由について述べる。
すなわち、この発明の電磁鋼板の成分としては、Siを含有して電気抵抗を増大させて鉄損を低減する必要があるが、この鉄損改善のためには 1.5mass%以上のSiが必要である。一方、8.0 mass%をこえると、磁束密度が低下すること及び製品の二次加工性が著しく劣化するため、Si含有量は 1.5〜8.0 mass%に制限する。
【0051】
Mnは、熱間加工性を良好にするために必要な成分であるが、0.005 mass%未満では効果に乏しく、一方2.50mass%を超えると飽和磁束密度が低下するため、0.005 〜2.50mass%の範囲とする。
【0052】
また、この発明で所期する結晶方位を実現するために、鋼板の微量成分を低減することが必須である。すなわち、鋼板表面のコーティングを除く鋼板全体において、C,S,N,OおよびBの含有量を各々50ppm 以下、望ましくは20ppm 以下にする必要があり、これ以上の含有量では、製品板結晶方位における<Γ>が増大して鉄損が大きくなる。
【0053】
次に、この発明では結晶方位の制御が必須である。すなわち、良好な磁気特性を得るためには、上記した式(イ)により定まるΓ値の圧延面内における平均値<Γ>が0.200 以下であることが肝要であり、その理由は上述のとおりである。
【0054】
次に、上記電磁鋼板を製造する方法について、詳述する。
始めに、溶鋼成分としては、Siを 1.5〜8.0 mass%およびMnを0.005 〜2.50mass%に規制するのは、上記したとおりである。
【0055】
そして、C,S,N,OおよびBの不純物元素の上限値を各々50ppm 、好ましくは20ppm として規制することが必須である。なお、Cに関しては、溶鋼成分の段階で50ppm 以下としてもよいし、溶鋼段階で50ppm を超えていても途中工程での脱炭処理により50ppm 以下としてもよく、少なくとも再結晶焼鈍より前に50ppm 以下とすることが必須である。これらの不純物の含有量が50ppm を超えた場合、特殊な結晶粒界の選択的移動が妨げられ、再結晶焼鈍後の<Γ>値が増加し磁気特性が劣化する。
【0056】
また、Al量の制御は、この発明の<Γ>が0.200 以下である無方向性電磁鋼板を得るための最も有利な技術であり、特に集合組織の良好な<Γ>が0.195 以下の製品を得るためには、Alが0.0010〜0.10mass%の範囲にすることが好適である。すなわち、Alが0.10mass%を超えると、集合組織が変化して製品板における<Γ>が増加し、鉄損および磁束密度が劣化する。一方、Alが0.0010mass%未満になると、窒化硅素が析出して圧延時の変形挙動に影響を与え、集合組織が変化して<Γ>が多少増加して、不純物元素C、S、N、OおよびBの低減による<Γ>減少の効果が小さくなるため、Alは0.0010mass%以上とすることが鉄損および磁束密度の改善に有利である。
【0057】
以上の成分調整による手法に加えて、熱延板焼鈍を 800〜1200℃の温度範囲で施したのち、800 〜400 ℃での冷却を5〜80℃/sの速度で行うことが、良好な集合組織、具体的には<Γ>が 0.195以下となる組織をえるのに、有効である。
すなわち、熱延板焼鈍温度が 800℃未満であると、熱延板の再結晶が不十分となり、磁気特性の改善も不十分になり、一方熱延板焼鈍温度が1200℃を超えると、熱延板の結晶粒径が粗大化しすぎて冷間圧延時に割れを生じるため、 800〜1200℃とすることが好ましい。また、冷却速度については、上述の通りである。
【0058】
さらに、Sbを付加的に添加することにより、再結晶核生成挙動を変化させて製品板の<Γ>を低減し、良好な磁気特性を得ることができる。すなわち、Sbの添加量が0.01mass%未満であると集合組織改善効果がなく、一方0.50mass%をこえると、脆化して冷間圧延が困難になるため、0.01〜0.50mass%の範囲とする。
【0059】
次いで、再結晶焼鈍時における700 ℃以上での昇温速度を 100℃/h以下と徐熱にして、 750℃以上1200℃以下の温度域まで到達させることが、粒成長を促進し磁気特性を向上させるために有効である。すなわち、700 ℃以上での昇温速度が100 ℃/hをこえると、集合組織の改善効果が小さくなるため、昇温速度は 100℃/h以下とすることが好ましい。なお、昇温速度の下限は特に定めないが、昇温速度が1℃/h未満であると、焼鈍時間が長すぎて経済的に不利である。一方、再結晶焼鈍の到達温度は、 750℃未満であると粒成長が不十分なために磁気特性が劣化し、1200℃をこえると表面酸化が進行して鉄損が劣化するため、再結晶焼鈍の到達温度は 750℃以上1200℃以下が好適である。均熱時間に関しては特に定めないが、良好な鉄損を得るためには経済的に許容される範囲内で長時間として粒成長を促進させることが有効である。
【0060】
さらに、著しく粒成長を促進させて磁気特性を向上させるために、再結晶焼鈍の前半では、500 〜700 ℃間の昇温速度を2℃/s以上の急速昇温として700 ℃以上に昇温して再結晶を完了させ、後半は、 700℃以下の温度へと冷却し、再び 700℃以上での昇温速度を 100℃/h以下として 750℃以上1200℃以下の温度まで到達させることが有効である。
【0061】
すなわち、再結晶焼鈍前半の昇温時の 500〜700 ℃間の昇温速度が2℃/s未満であると、後半の焼鈍における粒成長の促進効果が小さくなるため、前半の再結晶焼鈍時における 500〜700 ℃間の昇温速度は2℃/s以上とすることが好ましい。同様に、再結晶焼鈍前半の温度が 750℃未満、1200℃をこえる場合も、後半の焼鈍における粒成長の促進効果が小さくなるため、前半の再結晶焼鈍時における到達温度を 750〜1200℃とすることが望ましい。再結晶焼鈍後半における昇温速度が 100℃/hをこえると、集合組織の改善効果が小さくなるため、再結晶焼鈍後半における昇温速度の好適範囲は 100℃/h以下とする。また、再結晶焼鈍後半の到達温度は 750℃未満であると粒成長が不十分なために磁気特性が劣化し、1200℃をこえると表面酸化が進行して鉄損が劣化するから、再結晶焼鈍後半の到達温度は 750℃以上1200℃以下とすることが好ましい。なお、再結晶焼鈍後半における均熱時間に関しては特に定めないが、良好な鉄損を得るためには経済的に許容される範囲内で長時間として粒成長を促進させることが有効である。
【0062】
ここに、500 ℃までの昇温速度に関しては再結晶挙動に大きな影響を及ぼさないため、特に規制する必要はない。また、冷却条件についても、磁気特性上は特に規制する必要はないが、経済的には60℃/min 〜10℃/hrの範囲の速度が有利である。
【0063】
さらに、磁束密度を向上させるためにNiを添加することができる。Niの添加量が0.01mass%未満であると磁気特性の向上量が小さくなり、一方1.50mass%をこえると、集合組織の発達が不十分で磁気特性が劣化するため、添加量は0.01〜1.50mass%とする。同様に、鉄損を向上させるために、Sn:0.01〜1.50mass%,Cu:0.01〜1.50mass%,P:0.005 〜0.50mass%,Cr:0.01〜1.50mass%を添加することも有効である。この範囲より添加量が少ない場合には鉄損改善効果がなく、添加量が多い場合には飽和磁束密度が低下する。
【0064】
ちなみに、上記した成分を有する溶鋼は、通常の通常造塊法や連続鋳造法にてスラブとしてもよいし、100mm 以下の厚さの薄鋳片を直接鋳造法で製造してもよい。次いで、スラブは通常の方法で加熱して熱間圧延するが、鋳造後加熱せずに直ちに熱間圧延してもよい。薄鋳片の場合には、熱間圧延しても良いし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進んでもよい。引き続き、熱延板焼鈍を施し、必要に応じて中間焼鈍を挟む1回以上の冷間圧延を施した後連続焼鈍を行い、必要に応じて絶縁コーティングを施す。最後に、積層した鋼板の鉄損を改善するために、鋼板表面に絶縁コーティングが施されるが、この目的には2種類以上の被膜からなる多層膜であってもよいし、樹脂等を混合させたコーティングを施してもよい。
【0065】
【実施例】
実施例1
表1に示す成分の鋼スラブを連続鋳造にて製造した後、スラブを1250℃で50分加熱し熱間圧延にて2.3mm 厚に仕上げた。その後、熱延板焼鈍を1150℃で60秒の条件で行って 800〜400 ℃間を15℃/sで冷却し、170 ℃の温度で冷間圧延を行って0.35mmの最終板厚に仕上げた。次いで、水素雰囲気で1050℃×3分の再結晶焼鈍を施し、半有機コーティング液を塗布して300℃で焼き付けて製品とした。
【0066】
そして、この製品板から、外径150 mmおよび内径100mm のリング状試料を採取して、その磁気特性を測定するとともに、製品板表面における10mm×10mm角領域のおける結晶粒の方位をEBSPにより測定して<Γ>を算出した。これらの測定結果を表1に併記するように、この発明に従う鋼板は良好な磁気特性が得られていることがわかる。
【0067】
【表1】
Figure 0004240736
【0068】
実施例2
C:38ppm ,Si:3.24mass%,Mn:0.15mass%,Al:0.013 mass%,Sb:0.02mass%,S:11ppm ,O:7ppm ,N:9ppm およびB:2ppm を含み、残部が実質的にFeの成分組成のスラブを連続鋳造にて製造した。このスラブを、1150℃で30分加熱し熱間圧延にて2.9mm 厚に仕上げた。その後、熱延板焼鈍を1050℃で60秒間行って、 800〜400 ℃間を8℃/sで冷却し、冷間圧延にて0.35mm厚に仕上げた。次いで、水素雰囲気において、表2に示す昇温速度で昇温して最高温度に到達後冷却する再結晶焼鈍を施した。最後に、無機コーティング液を塗布して 300℃で焼き付けて製品とした。
【0069】
そして、この製品板から、外径150 mmおよび内径100mm のリング状試料を採取して、その磁気特性を測定するとともに、製品板表面における10mm×10mm角領域のおける結晶粒の方位をEBSPにより測定して<Γ>を算出した。これらの測定結果を表2に併記するように、再結晶焼鈍時における常温から 700℃までの昇温速度を 200℃/hとし、700 ℃以上での平均昇温速度を1℃〜100 ℃/hとして 750℃以上1200℃以下の温度まで到達させることにより、特に磁気特性の良好な製品が得られることがわかる。
【0070】
【表2】
Figure 0004240736
【0071】
実施例3
表3に示す成分からなる板厚4.5mm の薄鋳片を直接鋳造で製造した。次いで、熱延板焼鈍を1150℃30秒間で行って、 800〜400 ℃間を50℃/sで冷却し、室温での冷間圧延にて1.6mm 厚とした後、中間焼鈍を1000℃で60秒間行ったのち、室温での冷間圧延で0.20mm厚に仕上げた。最後に、Ar雰囲気において、表3に示す条件で第1次引き続いて第2次の再結晶焼鈍を施して製品とした。
【0072】
そして、この製品板から、外径150 mmおよび内径100mm のリング状試料を採取して、その磁気特性を測定するとともに、製品板表面における10mm×10mm角領域のおける結晶粒の方位をEBSPにより測定して<Γ>を算出した。これらの測定結果を表3に併記するように、再結晶焼鈍時における 700℃以上での昇温速度を1℃〜100 ℃/hとして 750℃以上1200℃以下の温度まで到達させることにより、特に磁気特性の良好な製品が得られることがわかる。
【0073】
【表3】
Figure 0004240736
【0074】
実施例4
表4に示す成分のスラブを連続鋳造にて製造した後、スラブを1200℃で50分加熱し熱間圧延にて2.6mm 厚に仕上げた。次いで、熱延板焼鈍を1180℃ 120秒で行って、 800〜400 ℃間を30℃/sで冷却し、150 ℃の温度で冷間圧延を行って0.35mmの最終板厚に仕上げた。その後、Ar雰囲気で1150℃×1分の再結晶焼鈍を施し、半有機コーティング液を塗布して 300℃で焼き付けて製品とした。
【0075】
そして、この製品板から、外径150 mmおよび内径100mm のリング状試料を採取して、その磁気特性を測定するとともに、製品板表面における10mm×10mm角領域のおける結晶粒の方位をEBSPにより測定して<Γ>を算出した。これらの測定結果を表4に併記するように、この発明に従う鋼板は良好な磁気特性が得られていることがわかる。
【0076】
【表4】
Figure 0004240736
【0077】
【発明の効果】
この発明によれば、従来技術で得られる磁気特性を凌駕した、優れた磁束密度並びに鉄損を有する無方向性電磁鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 <Γ>の算出要領を説明するための図である。
【図2】 Al含有量と磁束密度および鉄損との関係を示す図である。
【図3】 製品板における各方向における<Γ>を示す図である。
【図4】 製品板における各方向における磁束密度および<Γ>を示す図である。
【図5】 製品板における磁束密度と<Γ>との関係を示す図である。
【図6】 製品板磁束密度と<Γ>値との関係を示す図である。
【図7】 製品板磁束密度と{l00}/{lll}値との関係を示す図である。
【図8】 素材Al量と製品板<Γ>値との関係を示す図である。
【図9】 熱延板焼鈍後の冷却速度と製品板<Γ>値との関係を示す図である。
【図10】 仕上焼鈍条件と製品板の鉄損および磁束密度との関係を示す図である。
【図11】 仕上焼鈍条件と製品板<Γ>値との関係を示す図である。
【図12】 仕上焼鈍条件と製品板粒径との関係を示す図である。

Claims (8)

  1. Si:1.5 〜8.0 mass%Mn:0.005 〜2.50mass%および Al 0.0010 0.10mass を含み、かつC,S,N,OおよびBの含有量を各々50ppm 以下に抑制し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成になり、鋼板の各結晶粒の方位から下記式により定まるΓ値の圧延面内における平均値<Γ>が0.195 以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。

    Γ=u22 +v22 +w22
    ここで、u、vおよびwは、各結晶粒の圧延方向から圧延直角方向までの任意の方向について、ミラー指数表示を単位ベクトル化した<u,v,w>を意味する。
  2. 請求項1において、さらにSb:0.01〜0.50mass%を含む成分組成になることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
  3. 請求項1または2において、さらにNi:0.01〜3.50mass%、Sn:0.01〜1.50mass%、Cu:0.01〜1.50mass%、P:0.005 〜0.50mass%およびCr:0.01〜1.50mass%のいずれか少なくとも1種を含有する成分組成になることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
  4. Si:1.5 〜8.0 mass%、Mn:0.005 〜1.50mass%およびAl:0.0010〜0.10mass%を含み、かつS,N,OおよびBの含有量を各々50ppm 以下に抑制し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分の溶鋼をスラブとし、次いで熱間圧延後に熱延板焼鈍を施してから、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、その後再結晶焼鈍を行い、必要に応じて絶縁コーティングを施す一連の工程において、溶鋼時もしくは再結晶焼鈍に先立ついずれかの工程にて鋼板のC量を50ppm 以下に調整するとともに、熱延板焼鈍を 800〜1200℃の温度範囲で施したのち、 800〜400℃での冷却を5〜80℃/sの速度で行い、再結晶焼鈍は、700℃以上の温度域での昇温速度を100℃/h以下として 750℃以上1200℃以下の温度域まで到 達させることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. Si:1.5 〜8.0 mass%Mn:0.005 〜2.50mass%および Al 0.0010 0.10mass を含み、かつS,N,OおよびBの含有量を各々50ppm 以下に抑制し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分の溶綱をスラブとし、次いで熱間圧延後に熱延板焼鈍を施してから、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、その後再結晶焼鈍を行い、必要に応じて絶縁コーティングを施す一連の工程において、溶鋼時もしくは再結晶焼鈍に先立ついずれかの工程にて鋼板のC量を50ppm 以下に調整するとともに、熱延板焼鈍を 800〜1200℃の温度範囲で施したのち、 800〜400℃での冷却を5〜80℃/sの速度で行い、再結晶焼鈍は、500〜700℃以上の温度域での昇温速度を2℃/s以上として 700℃以上に昇温して再結晶を完了させた後、700℃以下の温度域まで冷却し、再び700℃以上の温度域での昇温速度を100℃/h以下として750℃以上1200℃以下の温度域まで到達させることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 請求項またはにおいて、Sb:0.01〜0.50mass%を含有することを特徴とすることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  7. Si:1.5 〜8.0 mass%Mn:0.005 〜1.50mass% Al 0.0010 0.10mass およびSb:0.01〜0.50mass%を含み、かつS,N,OおよびBの含有量を各々50ppm 以下に抑制し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分の溶綱をスラブとし、次いで熱間圧延後に熱延板焼鈍を施してから、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、その後再結晶焼鈍を行い、必要に応じて絶縁コーティングを施す一連の工程において、溶鋼時もしくは再結晶焼鈍に先立ついずれかの工程にて鋼板のC量を50ppm 以下に調整するとともに、熱延板焼鈍を 800〜1200℃の温度範囲で施したのち、 800〜400℃での冷却を5〜80℃/sの速度で行うことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  8. 請求項ないしのいずれかにおいて、溶鋼がさらにNi:0.01〜3.50mass%、Sn:0.01〜1.50mass%、Cu:0.01〜1.50mass%、P:0.005 〜0.50mass%およびCr:0.01〜1.50mass%の少なくとも1種を含有することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
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