JPH0888114A - 無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH0888114A
JPH0888114A JP6223408A JP22340894A JPH0888114A JP H0888114 A JPH0888114 A JP H0888114A JP 6223408 A JP6223408 A JP 6223408A JP 22340894 A JP22340894 A JP 22340894A JP H0888114 A JPH0888114 A JP H0888114A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】特に高周波用途において低鉄損で、かつ加工性
のよい無方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。 【構成】C: 0.010%以下、Si: 2.0〜3.25%、M
n: 0.1〜 2.5%、P:0.02%以下、N: 0.006%以
下、Al: 1.5〜 2.5%およびB: 0〜0.0050%を含有
し、かつSi(%)+Al(%)≧ 4.5およびSi
(%)+ 0.5Al(%)< 4.0を満足し、残部はFeお
よび不可避的不純物からなる鋼のスラブを熱間圧延後、
要すれば熱延板にて焼鈍を行ない、圧延率40〜80%の冷
間圧延、 650〜1000℃の中間焼鈍、さらに圧延率40〜80
%の冷間圧延後、仕上焼鈍を行う鉄損の低い無方向性電
磁鋼板の製造方法。 【効果】特殊な製造設備を使うことなしに、冷間加工性
と打抜き加工性に優れた、高周波域で鉄損が低い、無方
向性電磁鋼板を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気機器の鉄心として
広く用いられる鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法
であって、とりわけ高周波条件下で使用される電気機器
の鉄心に適した無方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電気機器を取り巻く環境として、機器の
効率化小型軽量化が叫ばれて久しく、より効率のよいイ
ンバータ制御も普及し始めている。周波数を高くするこ
とにより効率が向上し、小型化が可能になることから、
現在商用周波数で使用されている電気機器において、今
後高い周波数を適用するものが増加すると予想される。
【0003】そのため高周波条件下でのエネルギー損失
の低い電気機器が求められており、その鉄心に用いられ
る電磁鋼板も高周波域での鉄損の低いものが要望されて
いる。
【0004】電磁鋼板の鉄損は、周波数が高くなるにつ
れて増大する。これは、鉄損がヒシテリシス損と渦電流
損の和から構成されており、いずれも適用周波数に依存
して増大することによる。特に渦電流損は周波数の二乗
に比例して増大するため、高周波域では鉄損の大半は渦
電流損となる。つまり、渦電流損を抑制することが、高
周波鉄損を抑制することにつながる。
【0005】従来より、この渦電流損を低減させる方法
として、鋼板の電気抵抗を上昇させることや板厚の薄肉
化が行われてきた。電気抵抗を高める目的でのSiの添
加は他のどの元素よりも有効であるが、Siを 4%以上
添加すると、硬くなるばかりでなく極めて脆くなる。こ
のため通常の工業的プロセスにおける鋼板の冷間圧延方
法では割れが発生しやすく、それに加えて薄い板厚が必
要となればますます製造が困難になる。
【0006】鋼中にSiを約 6.5%添加すると、磁歪は
殆どゼロになり、透磁率は極大を示し、ヒシテリシス損
が著しく低くなることは以前より知られており、それに
加えてSiが多量に添加されるので、電気抵抗が増し、
Fe−Si系においては最良の磁気特性を持つ材料にな
る。このような高Si含有鋼板の製造方法に溶湯超急冷
法や滲珪法が開発されているが、特殊な製造設備が必要
になる。
【0007】このような加工性のよくない高Si鋼板
を、圧延にて製造する方法が特開昭 62-103321号公報に
示されており、熱間圧延の低温域で高圧下を加えて結晶
粒を微細化し、冷間圧延時の割れを抑制しようとしてい
る。しかし、製品鋼板にて良好な磁気特性を発揮させる
には充分に焼鈍して結晶粒を大きくしなければならず、
そうなると加工が困難な極めて脆い製品になり、これを
加工するとすれば特殊な工具や設備が必要になる。
【0008】電気抵抗を増すには、Si添加とほぼ同等
の効果のあるAlを多量に添加する方法が考えられる。
電磁鋼板に対するのAlの添加は、方向性電磁鋼板では
各結晶粒子が 110 <001>方位に優先配向した金属組織
( 110 <001>集合組織)であるのに対し、Alを多く添
加すると、 100 <001>集合組織が得られやすいというこ
とで以前から検討されてきた。 100 <001>集合組織が増
した鋼板は板の面方向の磁気特性が向上し、しかも特定
の方向に偏らないことから、モータ等に使用される無方
向性電磁鋼板には理想的と言われるものであるが、現実
には製造コストと特性向上のバランスからその実用化に
は至っていない。
【0009】Si添加に加えて、電気抵抗を増したり、
磁壁の移動を阻害して磁化特性を悪くする微細なAlN
の析出を阻止する目的で、1%以下のAlの添加は、無
方向性電磁鋼板においてはよく行なわれる。このSi添
加鋼に、さらに積極的にAlを添加することを提案する
ものとして特開平 3-24251号公報がある。これにはSi
を 3.3%以下で、Alが 1.5〜 8%の無方向性電磁鋼板
が提示されており、Siの比率を下げてAlの比率を高
くすると、加工性が改善され磁気特性が向上し、特に 1
00 <001>集合組織が発達しやすいとしている。この公報
は先行引例としてフランス国特許出願第 2,316,338号の
Si: 2.5〜 3.5%にAl: 0.3〜 1.5%を添加した場
合を紹介し、このSi量ではAlが 1.5%を超えると合
金が極端に脆化すると指摘している。
【0010】このようにSi添加量を増せば、電気抵抗
が増して特に高周波領域の使用に適した性能の得られる
ことはわかっていても、材料の加工性が大幅に劣化する
と言う問題があり、その対策にSi量を増さずAlを添
加することが考えられる。しかしながら、充分に電気抵
抗を増した上で加工性を確保するには限界がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題を解消することを課題としてなされたものであり、現
状の設備で実現可能な条件で鋼板を製造することがで
き、製品鋼板の打ち抜き加工が容易で、磁気特性に優れ
た、とりわけ高周波域において鉄損の低い、無方向性電
磁鋼板の製造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特に高周
波域にて優れた磁気特性を有し、かつ製造時の冷間圧延
性や、鋼板製品の打ち抜き性の良好な無方向性電磁鋼板
の製造方法について、数多くの実験を積み重ねて詳細に
検討した結果、下記のような幾つかの新しい知見を得
た。
【0013】(a) 高周波鉄損の低減のため渦電流損を抑
制する目的で、Siの添加に加えて、それと同等の電気
抵抗増加効果のあるAlの添加を検討の結果、適切な量
のAlを複合添加することにより高周波域において良好
な磁気特性が得られることがわかった。
【0014】(b) 同等の磁気特性を得るのに、Si単独
で添加量を増すよりもAlを複合添加する方が加工性が
良好であった。しかし、Alも添加量が増せば加工性は
劣化し改善効果に限界がある。この加工性と磁気特性に
およぼす複合添加の効果を種々調査の結果、磁気特性が
向上し、かつ加工性が良好である複合添加の範囲がある
ことが明らかになった。
【0015】(C) このSiとAlの複合添加に加えてさ
らにMnを添加すると、冷間圧延時や打ち抜き時の耐割
れ性は改善され、その添加量を増していけば加工性を損
なうことなく高周波での磁気特性が向上することがわか
った。
【0016】(d) Si、AlおよびMnを複合添加した
素材による鋼板の製造方法として、熱間圧延後、冷間圧
延→中間焼鈍→冷間圧延→最終焼鈍と言う工程を取るこ
とが磁気特性に好ましい集合組織を得るのに最適であっ
た。
【0017】(e) さらに上記 (d)に加えて熱間圧延後の
冷間圧延の前に熱延板焼鈍を入れた工程にすることによ
って、磁気特性はさらに向上し、製品の鋼板にてリジン
グが問題になる場合はその抑制にも有効であることがわ
かった。
【0018】このような知見に基づき、(1)重量%
で、C: 0.010%以下、Si: 2.0〜3.25%、Mn:
0.1〜 2.5%、P:0.02%以下、S: 0.006%以下、
N: 0.006%以下、Al: 1.5〜 2.5%およびB: 0〜
0.0050%を含有し、かつ Si(%)+Al(%)≧
4.5およびSi(%)+ 0.5Al(%)< 4.0を満足
し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼のスラ
ブを、熱間圧延後、圧延率40〜80%の冷間圧延を行な
い、ついで 650〜1000℃にて中間焼鈍して、さらに圧延
率40〜80%の冷間圧延後、仕上焼鈍を行う鉄損の低い無
方向性電磁鋼板の製造方法、および(2)上記(1)に
記載の組成の鋼のスラブを熱間圧延後、その熱延鋼板を
650〜1000℃にて焼鈍し、圧延率40〜80%の冷間圧延を
行ない、ついで 650〜1000℃にて中間焼鈍して、さらに
圧延率40〜80%の冷間圧延後、仕上焼鈍を行う鉄損の低
い無方向性電磁鋼板の製造方法、の発明を完成した。
【0019】
【作用】以下本発明の方法の構成要件ごとに作用効果お
よび限定理由を説明する。
【0020】(1)素材スラブまたは製品鋼板の化学組
成 (1) C量 Cの存在は磁気特性を大幅に劣化し、容認できる範囲と
して 0.010%以下とするが、さらに低減できれば磁気特
性は向上するので、望ましくは 0.005%以下である。
【0021】(2) Si量 Siは、磁気特性に大きな影響を与える元素であり、含
有量が増加するほど鋼板の鉄損が減少する。これは電気
抵抗が上昇して渦電流損が低下することが主要な理由で
ある。しかし、Si含有量が3.25%を超えると冷間圧延
が困難になるとともに、打ち抜き性も悪くなる。一方、
2.0%未満の含有量では鉄損の低減が不十分である。し
たがって、Si含有量の範囲を 2.0〜3.25%とする。
【0022】(3) Mn量 不可避的不純物元素の一つであるSの影響を低減するた
めに、最低限 0.1%の添加が必要である。そしてある程
度のMnの添加は、冷間圧延時のコイルエッジ部の割れ
低減に効果がある。これは、Mnの固溶により熱間圧延
時における結晶粒径の粗大化が抑制され、冷間の延性が
改善されたと考えられる。さらに添加量を増せば冷間加
工性を損なうことなく磁気特性が向上する。ただし過剰
の添加は材質が硬くなりすぎるので、 2.5%をこえるの
は好ましくない。
【0023】このような理由からMnの添加範囲を 0.2
〜 2.5%とするが、特に高周波における磁気特性を配慮
するなら、 0.6〜 2.5%とする方が好ましい。
【0024】(4) S量 Sは鋼中でMnと結合してMnS析出物となり、磁気特
性や延性を劣化させるので少ないほどよい。本発明の効
果を発揮させる限度として 0.006%以下とするが、望ま
しくは 0.003%以下である。
【0025】(5) Al量 Alは、Siとほぼ同等の電気抵抗の上昇効果を有す
る。そこで、加工性を害しない上限程度までSi量を含
有させたところへAlを添加し、磁気特性向上と加工性
劣化を調査した結果、単に電気抵抗が増加した以上に高
周波磁気特性の改善効果があること、および、Si量だ
けで同程度に電気抵抗を増した場合よりも加工性が良好
であることがわかった。Alの最適添加量はSi量によ
り異なり、1.5%以下では充分な磁気特性は得られな
い。一方、Alの多量添加は磁歪を増大させる傾向にあ
り、特に、 2.5%を超えると顕著に増大する。磁歪は騒
音の原因であると言われており、そのうえ、磁歪の増大
はヒシテリシス損を増加を招くことにもなる。このよう
な理由から、Alの添加の範囲は 1.5〜 2.5%とする。
【0026】(6) N量 NはAlと結合して微細なAlN析出物となり磁気特性
を阻害する。したがって低ければ低いほど好ましい。
0.006%は許容上限値である。
【0027】(7) B量 Bは添加しなくてもよいが、添加すれば加工時の割れ、
特に急激に応力の加わる加工の際の割れ防止に有効であ
る。添加する場合:0.0003%以上が好ましく、0.0020%
以上では効果が飽和し、0.0050%以上では逆に脆化す
る。
【0028】(8) SiとAlの複合効果 上記の様に、SiとAlの複合添加にMnを加えること
によって磁気特性と加工性が改善され、その添加量範囲
内にてさらに充分な磁気特性を確保するためには、Si
量とAl量が Si(%)+Al(%)≧ 4.5 であることが必要である。しかしながら、冷間圧延時の
割れあるいは製品鋼板の打ち抜き加工時の割れなど冷間
加工性の低下の点からは、SiとAlの含有量増大に限
界があり、充分な加工性を維持するには、 Si(%)+ 0.5Al(%)< 4.0 でなければならない。
【0029】(9) 不可避的不純物元素 上記の元素以外の不可避的不純物元素はいずれも磁気特
性を劣化させるので、少なければ少ないほど望ましい
が、特に磁気特性や加工性ににおよぼす影響の大きい元
素、例えばO、Ti、Nb、V等は充分な注意が必要で
ある。
【0030】(2)製造条件 (a) 熱間圧延 熱間圧延に供するスラブは連続鋳造スラブまたは分塊圧
延スラブの何れを用いてもよく、連続鋳造で得たスラブ
を直送圧延してもよいし一旦冷却されたスラブを再加熱
してもよい。また熱間圧延条件については特に限定しな
いが、磁気特性からはスラブ加熱温度は1200℃以下、仕
上温度は 750〜 850℃が望ましい。
【0031】巻取り温度は特に規制しないが、高温ほど
磁気特性は向上する傾向がある。しかし、巻取り温度を
高温にすると表面の酸化層が増大しその除去が困難にな
ってくる。ただし、請求項2に示した熱延板で焼鈍を行
なう方法においては低温で巻取るべきで、望ましくは 6
00℃以下とする。
【0032】(b) 冷間圧延 優れた磁気特性を得るため、熱延鋼板を冷間圧延した
後、焼鈍して充分再結晶させ、さらに冷間圧延を行ない
最終製品の板厚に仕上げる。始めの冷間圧延を一次冷
圧、中間の燒鈍後の冷間圧延を二次冷圧と言う。中間の
焼鈍を挟んで2回冷間圧延することによって、最終製品
の磁気特性が向上するが、これは、1回の高圧下率の冷
圧で最終製品の板厚にするよりも、 110 <001>方位や 1
00 <001>方位等の磁気特性に好ましい集合組織が発達し
やすいためである。
【0033】冷間圧延の圧下率は一次冷圧、二次冷圧と
も40〜80%とするが、この圧下率の範囲を外れると充分
な磁気特性が得られない。
【0034】冷間圧延は室温でもよいが、割れ防止の観
点から鋼板を 350℃以下に加熱して実施してもよい。 3
50℃を超えると圧延時の鋼板の形状制御が困難になると
ともに、圧延油も特殊な性状のものを用いる必要があ
る。
【0035】(c) 中間焼鈍 中間焼鈍により、材料を再結晶させ軟化させることで、
二次冷延において冷延割れを防止することができ、かつ
磁気的に好ましい集合組織を発達させることができる。
焼鈍の方法は、箱焼鈍、連続焼鈍のいずれの方式でもよ
く、その温度に到達するなら均熱時間には特に制約はな
い。
【0036】焼鈍温度が 650℃未満では、再結晶が十分
に進行せず、焼鈍の効果が得られない。一方、焼鈍温度
が1000℃を超えると、結晶粒が粗大化し過ぎて冷間圧延
時に割れが生じやすくなる。したがって、中間焼鈍温度
は、 650〜1000℃とした。箱焼鈍の場合には 650〜 900
℃が、連続焼鈍の場合には 750〜1000℃がそれぞれ望ま
しい。
【0037】(d) 仕上焼鈍 二次冷圧で所定の板厚に仕上げた後、製品としての電磁
鋼板を得るための仕上焼鈍を行なう。再結晶が充分行な
われ適度に結晶粒が成長するのであれば、その条件は特
には限定しないが、焼鈍温度として望ましくは 700℃〜
1250℃である。
【0038】また必要に応じ表面に、絶縁、防錆、また
は打ち抜き加工性向上を目的に、薄い被膜を塗布し焼き
付けてもよい。
【0039】(e) 熱延板焼鈍 上述の製造工程において、熱間圧延後の冷間圧延の前
に、熱延板焼鈍を実施すると、磁気特性をさらに向上さ
せることができる。これは、磁気的に好ましい集合組織
が発達しやすくなるためと考えられる。また、熱延板焼
鈍を施すことで、表面に発生する凹凸状の欠陥であるリ
ジングを軽減することができる。リジングは、最終製品
の積層鉄心の占積率を低下させその磁気特性を悪くする
うえに、鋼板製品としての外観上も好ましくない。
【0040】このような効果を得るための熱延板焼鈍温
度は 650℃〜1000℃で、保持時間は材料がこの温度に到
達するなら特に制約はない。焼鈍温度が 650℃未満では
再結晶が不十分で磁気特性が改善されず、1000℃を超え
ると、結晶粒が粗大化し過ぎて機械的特性は劣化し、割
れやリジングの抑制に対して効果がなくなる。これらの
効果を充分発揮させるためには 700〜 900℃が望まし
い。
【0041】
【実施例】
〔実施例1〕表1に示す組成の供試鋼を、高周波加熱真
空溶解炉で溶製し、それらの鋼片を1150℃に加熱後、仕
上げ温度 800℃の熱間圧延により厚さ 2.3mmの熱延板を
作製した。これを一次冷間圧延として圧下率65%で0.80
mm厚まで圧延した後、 750℃で 1時間以上均熱の箱焼鈍
による中間焼鈍を行ない、圧下率56%の二次冷間圧延に
て0.35mm厚にした。冷間圧延で割れが発生した試験片
は、 300℃の温間圧延にて所定の板厚まで圧延を実施し
た。
【0042】圧延後の鋼板は、1000℃で1分間均熱の焼
鈍を行なった後、室温にて打抜き加工により圧延方向お
よび圧延直角方向を長手方向とした、幅30mm、長さ 280
mmのエプスタイン磁気特性測定試験片を作製した。打抜
き時に割れが発生した試験片については、放電加工によ
り試験片を作製した。
【0043】これらの試験片を用いて、 800℃で2時間
の歪取り焼鈍を実施した後、磁気特性を測定した。通
常、無方向性電磁鋼板は50〜60ヘルツの商用周波数にて
鉄損の測定が行なわれるが、高周波での性能を知るた
め、 400ヘルツでの鉄損を測定した。これらの一連の試
験結果も表1に示す。なお、磁気特性としては、鉄損が
低く、磁束密度の高い方が優れていて、鉄損W10/400
(周波数 400Hzで 1.0テスラ(T) まで磁化した時の鉄
損)が16.0以下、磁束密度B8 (800A/mの磁場で磁化し
た時の磁束密度)が1.40以上を目標とする。
【0044】本発明で定める条件を全て満たした鋼種A
〜Eは、良好な磁気特性を示すとともに、室温における
冷間圧延や打抜き加工時において割れの発生はなく、良
好な加工性を有していた。
【0045】鋼種K〜NはSi(%)+Al(%)が
4.5を下まわっており、それらから製造された鋼板の磁
気特性は鉄損が大きく所要の性能が得られていなかっ
た。
【0046】また、Si(%)+ 0.5Al(%)が4.0
を超える鋼種F〜JおよびPから製造された鋼板は、鉄
損が低く磁気特性は良好ではあるが、冷間圧延にて割れ
が発生し、さらに打抜き加工時に、エッジ部より微細な
割れが発生した。
【0047】本発明で定める量より高い量を有する鋼種
OおよびPは、磁歪が大きく実用的ではない。
【0048】このように、鋼種A〜Eは、特性、製造お
よび加工性のいずれにおいても極めて優れた材料であ
る。
【0049】
【表1】
【0050】〔実施例2〕Mn量の影響を知るため、表
2に示すように、実施例1で用いた鋼種CおよびDに対
してSiおよびAl量は同等とし、Mn量を変えた鋼C1
〜C3およびD1〜D4を高周波加熱真空溶解炉で溶製し、実
施例1と同じ工程、同じ条件で板厚0.35mmの試験片を作
製し、同様な方法で磁気特性を調査した。これらの試験
結果を表2に示す。
【0051】Mn量増加と共に鉄損は低減していくが、
多くなり過ぎると硬くなり、冷間圧延の圧下が困難にな
る。Mn量が本発明の範囲を超える鋼種C3およびD4は、
室温における一次、二次冷間圧延で減厚できなかった。
【0052】
【表2】
【0053】〔実施例3〕実施例1および実施例2にて
用いた鋼種CおよびC1により、実施例1と同様の方法で
板厚 2.3mmの熱延板に仕上げた後、表3に示すように、
一次冷間圧延、中間焼鈍および二次冷間圧延を行ない、
0.35mm厚の鋼板に仕上げた。一次、二次冷間圧延はいず
れも室温とし、中間焼鈍は 850℃で1時間の均熱とし
た。二次冷間圧延の後、実施例1と同様の方法で試験片
を作製し、磁気測定を実施した。
【0054】一次あるいは二次の冷間圧延において、本
発明の範囲外の圧下率で製造された鋼板はいずれも目標
とする磁気特性(鉄損W15/400≦16.0、かつ磁束密度B
8 ≧1.40)に到達しなかった。また、中間焼鈍なしに一
回の冷間圧延で目標の板厚に仕上げようとした条件7で
は、冷間圧延時に割れが発生した。
【0055】
【表3】
【0056】〔実施例4〕実施例1および実施例2にて
用いた鋼種CおよびC1により、実施例1と同様の方法で
板厚 2.3mmの熱延板に仕上げた後、一次冷間圧延の圧下
率を65%とし、中間焼鈍の温度を変え、さらに板厚0.35
mmに仕上げるため圧下率56%の二次冷間圧延行なった。
中間焼鈍は1分間均熱の連続焼鈍とした。中間焼鈍温度
が1030℃と高い場合、二次冷間圧延で割れが発生した。
これは焼鈍温度が高すぎ、結晶粒が粗大化して脆くなっ
たためと思われた。二次冷間圧延後、1000℃で1分間均
熱の焼鈍を行なって、実施例1と同様にして磁気特性を
調査した。
【0057】これらの結果をまとめて表4に示す。中間
焼鈍の温度が低すぎる場合、充分な磁気特性が得られな
かった。
【0058】
【表4】
【0059】〔実施例5〕実施例1および実施例2にて
用いた鋼種CおよびC1により、実施例1と同様の方法で
板厚 2.3mmの熱延板に仕上げた後、表5に示す条件の熱
延板焼鈍を実施した。次いで、実施例1と同様の工程お
よび条件で一次冷延、中間焼鈍、二次冷延を経た後、10
00℃で1分間均熱の焼鈍を行なって試験片を作製し、磁
気測定とJISC2550に規定された占積率試験を行なった。
【0060】表5に示す条件11は、熱延板焼鈍を行なっ
ていない本発明例で、比較として示す。条件12は、熱延
板焼鈍温度を行なっているが温度が不十分でその効果は
現われていない。これら2つの条件は、本発明の請求項
2には該当せず、熱延板焼鈍の効果は得られていない
が、請求項1に含まれるもので、磁気特性としては充分
な値が得られている。
【0061】本発明の請求項2に相当する条件の熱延板
焼鈍を行なった条件13では、磁気特性の向上ばかりでな
く、占積率も向上した。ただし、焼鈍温度の高すぎる条
件14では、脆くなって、冷間圧延時に割れが発生した。
【0062】
【表5】
【0063】
【発明の効果】本発明の方法によれば、冷間加工性を劣
化させることなく電磁鋼板の磁気特性の向上、特に高周
波領域における鉄損を低くすることができる。このた
め、このような低損失の無方向性電磁鋼板を特殊な設備
を用いることなく製造すること、および製品鋼板の所要
形状へ加工することが可能となる。
【0064】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C: 0.010%以下、Si: 2.0
    〜3.25%、Mn: 0.1〜 2.5%、P:0.02%以下、S:
    0.006%以下、N: 0.006%以下、Al: 1.5〜 2.5%
    およびB: 0〜0.0050%を含有し、かつSi(%)+A
    l(%)≧ 4.5およびSi(%)+ 0.5Al(%)<
    4.0を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物からな
    る鋼のスラブを、熱間圧延後、圧延率40〜80%の冷間圧
    延を行ない、ついで 650〜1000℃にて中間焼鈍して、さ
    らに圧延率40〜80%の冷間圧延後、仕上焼鈍を行う鉄損
    の低い無方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】重量%で、C: 0.010%以下、Si: 2.0
    〜3.25%、Mn: 0.1〜 2.5%、P:0.02%以下、S:
    0.006%以下、N: 0.006%以下、Al: 1.5〜 2.5%
    およびB: 0〜0.0050%を含有し、かつSi(%)+A
    l(%)≧ 4.5およびSi(%)+ 0.5Al(%)<
    4.0を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物からな
    る鋼のスラブを、熱間圧延後、その熱延鋼板を 650〜10
    00℃にて焼鈍し、圧延率40〜80%の冷間圧延を行ない、
    ついで 650〜1000℃にて中間焼鈍して、さらに圧延率40
    〜80%の冷間圧延後、仕上焼鈍を行う鉄損の低い無方向
    性電磁鋼板の製造方法。
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