JP4239994B2 - 車両用ステアリングシステム - Google Patents

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Description

本発明は、車両用ステアリングシステムに関し、詳しくは、車両衝突時における運転者のステアリング操作部材への二次衝突に対処するための装置に特徴を有するステアリングシステムに関する。
一般的な車両用ステアリングシステムは、車両後方側の端部においてステアリング操作部材(例えば、ステアリングホイール等)を操作可能に保持するステアリングコラム(以下、単に「コラム」とい場合がある)を含んで構成され、そのコラムは、車両前方側の端部が車両後方側の端部より下方に位置するように傾斜する姿勢で固定支持される。そのようなコラムを備えたステアリングシステムでは、車両の衝突に起因するステアリング操作部材への運転者の二次衝突に対処するために、各種の装置を備えさせることが検討されている。その二次衝突に対処する装置に関して、下記特許文献に記載されたような技術が存在する。
下記特許文献の技術を簡単に説明すれば、特許文献1に記載の技術は、二次衝突時における運転者の操作部材に対する衝突方向が諸状況に応じて異なることを考慮して、コラムの傾斜を変更させる技術であり、また、特許文献2に記載の技術は、車体の一部(例えば、インストゥルメントパネルのリインフォースメント)に固定支持されたコラムを強制的に離脱させて車両前方に退避移動させることが可能とされ、シートベルトの有無によって衝撃の緩和の程度が異なることを考慮して、衝突時に運転者がシートベルトを着用していない場合にはコラムを離脱させず、シートベルトを着用している場合にコラムを離脱させるような制御を行う技術である。
トヨタ技術公開集 発行番号14139 2003年1月31日発行 特開2002−293251号公報
二次衝突時の運転者が受ける衝撃は、運転者の操作部材への衝突方向と衝撃力の大きさとに影響される。例えば、特にステアリング操作部材にエアバッグ装置が装備されている場合には、ステアリング操作部材に真直ぐ衝突するときに、展開したエアバッグによる衝撃吸収が効果的に行われ、運転者が受ける衝撃は比較的小さいものとなるが、上述したコラムを傾斜する姿勢で支持する支持装置では、操作部材は、下端部が上端部より車両後方側に位置するように傾斜した状態で保持されており、車両衝突時の運転者の操作部材への衝突方向は、操作部材に対して真直ぐではない場合が多く、運転者が受ける衝撃は大きなものとなる。また、例えば、コラムを離脱可能な状態で支持する支持装置では、コラムをしっかりと保持するために、コラムを離脱させるのに要する荷重は比較的大きな荷重となっている場合が多く、衝撃力が大きい場合は、二次衝突の衝撃のエネルギを効率的に吸収可能な荷重となるが、衝撃力が小さい場合には、運転者が大きな衝撃を受けることとなる。
そういった事情から、運転者の二次衝突に対処する装置を有するステアリングステムでは、運転者の操作部材への衝突方向と衝撃力の大きさとの両者に対応できるものであることが望まれるのである。上記特許文献に記載の技術は、衝突方向と衝撃力の大きさとの一方にのみ対応するものであり、その観点において改善の余地を残しており、その改善により、ステアリングシステムの実用性を高めることが可能であると考える。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高いステアリングシステムを提供することを課題とする。
本発明のステアリングシステムは、上記課題を解決すべく、車両前方端が下方に位置するように傾斜した姿勢で、かつ、操作部材に加わる衝撃に対してコラム離脱部の離脱を許容する状態でコラムを固定支持するコラム支持装置を備えたステアリングシステムにおいて、単一のアクチュエータを有して、そのアクチュエータの動作によって、コラムの傾斜を車両前方端が上方に移動するように減少させることとコラム離脱部をコラム支持装置から強制的に離脱させることの両者が行われる構造とされた二次衝突に対処するための装置を備えたことを特徴とする。
本発明のステアリングシステムは、単一のアクチュエータの動作によって、運転者の操作部材への衝突方向に対応させるためにコラムの傾斜を減少させることと、衝撃力の大きさに対応させるためにコラムを強制的に離脱させることとの両者を行うことが可能な二次衝突に対処する装置を含んで構成されることから、効果的な衝撃緩和が可能なシステムとなる。したがって、本発明のシステムによれば、実用性の高いステアリングシステムが実現する。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項と(4)項とを合わせたものが請求項1に相当し、(3)項が請求項2に、(5)項ないし(7)項の各々が請求項3ないし請求項5の各々に(9)項が請求項6に、それぞれ相当する。
(1)車両後方側の端部においてステアリング操作部材を操作可能に保持するステアリングコラムと、
そのステアリングコラムを、車両前方端が下方に位置するように傾斜する姿勢で、かつ、設定荷重を超える荷重が前記ステアリング操作部材に加わった場合に、前記ステアリングコラムの少なくとも車両後方側に位置する部分であるコラム離脱部が車両前方方向に離脱可能な状態で支持するコラム支持装置と、
前記ステアリングコラムの傾斜を車両前方端が上方に移動するように減少させるコラム傾斜減少機能と、前記コラム離脱部を車両前方方向に強制的に離脱させるコラム強制離脱機能とを有して、車両衝突に起因する運転者の前記ステアリング操作部材への二次衝突に対処する二次衝突対処装置と
を含んで構成された車両用ステアリングシステム。
本項に記載のステアリングシステムは、車両衝突に起因する運転者の操作部材への二次衝突に備えて、運転者の操作部材への衝突方向に対応させるためにコラムの傾斜を減少させることと、衝撃力の大きさに対応させるためにコラムを強制的に離脱させることが可能とされている。本項の態様によれば、二次衝突時の、運転者の操作部材への衝突方向と衝撃力の大きさとに応じて、効果的な衝撃緩和が可能なシステムが実現することになる。
本項における「ステアリング操作部材(以下、単に「操作部材」という場合がある)」は、その形状,構造等が特に限定されるものではなく、ステアリングホイールを始めとして、広く公知のものを採用可能である。本項における「ステアリングコラム」も、操作部材を操作可能に保持するとともに車体の一部に支持されるものであればよく、その形状,構造が限定されるものではない。具体的には、車両後方側の端部に操作部材が固定して取り付けられたステアリングシャフト(以下、単に「シャフト」という場合がある)と、そのシャフトを回転可能に保持するステアリングチューブ(以下、単に「チューブ」という場合がある)とを含んで構成されるものを採用することが可能である。
本項の態様における「コラム支持装置」は、具体的な構成が特に限定されるものではなく、車体の一部、例えば、インストゥルメントパネル(以下、「インパネ」という場合がある)のリインフォースメント(以下、「インパネR/F」という場合がある)に設けられて、通常のステアリング操作に支障をきたさないように、コラムを支持するものとされることが望ましい。
上記「コラム支持装置」は、コラム離脱部の離脱を許容するものであるが、コラムの一部分の離脱を許容するものに限定されるものではなく、コラム全体の離脱を許容するものであってもよい。コラムの一部分の離脱を許容するような態様について言えば、例えば、コラムが互いに嵌め合わされた2つのチューブ部材を有する構造等によって収縮等可能なものとされている場合等には、車両後方側に位置するチューブ部材等を含んだ部分のみの離脱を許容するような構成のものとすることができる。そのような場合「コラム離脱部」は、車両後方側に位置して操作部材を保持している部分のみで構成されることになる。なお、コラム支持装置がコラム全体の離脱を許容するような場合には、コラム全体がコラム離脱部となることもある。また、コラム支持装置は、操作部材にある程度の荷重が加わった場合、例えば、二次衝突によって操作部材に荷重が加わった場合にコラム離脱部を離脱可能とするものであり、詳しく言えば、その荷重が設定荷重を超えた場合にコラム離脱部の離脱を許容するものである。本項にいう「設定荷重」とは、上記衝撃に対してコラムを支持可能な限界の荷重であって、言い換えれば、コラム離脱部を離脱させるのに要する荷重である。
本項の態様における「二次衝突対処装置」は、2つの機能を有して、車両衝突に起因する運転者の操作部材への二次衝突に対処する装置である。その機能の1つは、上記コラム離脱部をコラム支持装置から強制的に離脱させる「コラム強制離脱機能」である。そのコラム強制離脱機能は、コラム離脱部の移動を伴うように離脱させる構造によって発揮されるものであってもよく、コラム離脱部を移動させることなくコラム支持装置から離脱した状態にさせる構造によって発揮されるものであってもよい。
上記「コラム強制離脱機能」を有するステアリングシステムは、衝撃力の大きさに対応できるものとなる。衝撃力の大きさは、車両の衝突時の諸状況、例えば、車両衝突速度、運転者の体格、シートベルトの着用の有無等によって異なるものとなる。一方、前記コラム支持装置は、通常時の操舵操作の安定性に鑑みて、コラムをしっかりと支持するため、離脱に要する荷重は比較的大きな荷重とされることが一般的である。そのため、その比較的大きな荷重は、衝撃力の大きさが大きい場合、二次衝突の衝撃エネルギを効率的に吸収可能な荷重となるが、衝撃力の大きさが小さい場合には、運転者が過度の衝撃を受けることになる。したがって、二次衝突対処装置が上記コラム強制離脱機能を備えていれば、例えば、衝撃力の大きさが大きい場合には、コラム離脱部を強制的には離脱させず、比較的大きな荷重を二次衝突の衝撃エネルギを吸収する荷重として利用し、逆に、衝撃力の大きさが小さい場合には、コラム離脱部を強制的に離脱させることで、比較的大きな荷重によって運転者が過度の衝撃を受けないようにすることが可能となる。つまり、上記コラム強制離脱機能を有する二次衝突対処装置によって、衝撃力の大きさに対応して、効果的な衝撃緩和が可能となるのである。
また、コラムの傾斜を車両前方端が上方に移動するように減少させる「コラム傾斜減少機能」は、二次衝突対処装置が有するもう1つの機能である。その「コラムの傾斜減少」は、水平線に対するコラムの傾斜を小さくして水平な状態に近づけることをいい、その傾斜を概ね0とする、つまり、殆ど水平な状態とすることも含まれる。
上記「コラム傾斜減少機能」を有するステアリングシステムは、運転者の操作部材への衝突方向に対応できるものとなる。具体的言えば、例えば、車両の衝突時には、運転者は、車両前方方向へ移動することになり、特に、運転者がシートベルトを着用していない場合には、概ね水平に車両前方に移動することになる。一方、ステアリングホイール等の操作部材には、エアバッグ装置が設けられることが一般的であり、また、コラム自体にあるいはコラムと車体との間には、コラムあるいはそれの一部を概ね軸線方向に移動させて衝撃エネルギを吸収するいわゆるコラム移動型の衝撃エネルギ吸収装置が設けられることが一般的である。それらエアバッグ,衝撃エネルギ吸収装置は、運転者が操作部材の回転軸線方向から衝突した場合、換言すれば、操作部材に対して真直ぐに衝突した場合において、効果的な衝撃吸収が行われるようにされている。したがって、車両の衝突時の運転者の車両前方方向への挙動を考慮して、コラムが水平な状態とされ、操作部材が直立した状態とされることが望ましいのである。つまり、上記コラム傾斜減少機能を有する二次衝突対処装置によって、運転者の操作部材への衝突方向に対応して、効果的な衝撃緩和が可能となるのである。
(2)前記二次衝突対処装置が、前記ステアリング操作部材の高さを維持した状態で、前記ステアリングコラムの傾斜を減少させるように構成された(1)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様は、例えば、操作部材のコラムに保持される箇所を中心として車両前方側を回動させるような構造とすることが可能である。本項に記載の態様によれば、コラムの傾斜を減少させる際に、操作部材の高さ方向の位置が殆ど上下に移動させないようにすることができることから、例えば、操作部材がエアバッグ装置を備えるような場合に、二次衝突時において、エアバッグが、運転者を効果的な状態で受け止めることができ、運転者への衝撃を効果的に緩和可能となる。
(3)前記二次衝突対処装置が、前記コラム傾斜減少機能と前記コラム強制離脱機能との一方を停止させる一方機能停止装置を備えた(1)項または(2)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、2つの機能のうちの一方の機能を停止させて、他方の機能は作動させる一方機能停止装置を備えた態様である。本項に記載のシステムは、一方機能停止装置とは別に、他方の機能を停止させる他方機能停止装置をさらに備えてもよい。その2つの機能停止装置を備える場合には、2つの機能停止装置のうちの1つの機能停止装置のみを作動させることで、2つの機能のうちから1つの機能を選択的に停止させることが可能となり、また、それら2つの機能停止装置を作動させることで両方の機能を停止させることも可能となる。なお、2つの機能のうちから1つの機能を選択的に停止させる場合には、一方機能停止装置を2つの機能のうちから1つの機能を選択的に停止させるように構成してもよい。
(4)前記二次衝突対処装置が、位置変動力を付与して前記コラム離脱部を位置変動させる単一のアクチュエータを備え、そのアクチュエータの動作によって、前記ステアリングコラムの傾斜減少と前記コラム離脱部の強制離脱との両者が行われる構造とされた(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、簡単に言えば、コラムの傾斜減少とコラムの強制離脱との両者を単一のアクチュエータによって行うことが可能な態様である。そのため、本項の態様によれば、システムの構造を比較的単純なものとすることが可能となる。本項における「アクチュエータ」は、前記コラム離脱部を位置変動させるもの、例えば、移動,回転等させるものとすることができる。その場合、アクチュエータは、動作する動作部を有して、作動時においてその動作部の動作、例えば、移動,回動等を伴うものであって、その動作部の動作によって前記コラムの傾斜減少とコラムの強制離脱との両者を行うものとすることができる。つまり、本項のアクチュエータは、それら両者を行う駆動源として機能するものである。本アクチュエータによってそれら両者が行われるタイミングは、必ずしも同時である必要はなく、一方を行った後に、他方を行うものであってもよい。なお、アクチュエータは、その構成が特に限定されるものではなく、コラム傾斜減少機能,コラム強制離脱機能の構成に応じて、種々の構成のものを採用することが可能である。具体的には、例えば、電動モータを含んで構成されたもの、電磁式ソレノイドを含んで構成されたもの、高圧気体,高圧液体等を利用したシリンダ装置等、種々の構成のものを採用することができる。
(5)前記二次衝突対処装置が、前記ステアリングコラムの傾斜減少と前記コラム離脱部の強制離脱とが連続的に行われる構造とされた(4)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、二次衝突対処装置が上記単一のアクチュエータを備える態様において、そのアクチュエータによって2つの機能が連続的に行われる態様である。本項の態様は、2つの機能のうちのどちらの機構が先に行われてもよく、どちらの機能を先に行うかは、システムの目的によって選択することが可能である。なお、本項の態様は、二次衝突対処装置が前記一方機能停止装置を備える場合、その一方機能停止装置が、先に行われる機能を停止するものであれば、両方の機能を停止させることが可能なものとなり、後に行われる機能を停止するものであれば、先に行われる機能がアクチュエータの作動時に常に行われるものとなる。
(6)前記コラム支持装置が、設定された方向である設定離脱方向への前記コラム離脱部の位置変動によって離脱を許容する構造とされるとともに、前記二次衝突対処装置が、前記ステアリングコラムの傾斜減少における前記コラム離脱部の位置変動の方向を、前記設定離脱方向とは異なる方向に設定された方向である設定変動方向に規制するコラム位置変動方向規制機構を有し、
かつ、前記二次衝突対処装置が、前記アクチュエータによる前記ステアリングコラムへの位置変動力の付与方向を変更する位置変動力付与方向変更機構を備え、前記アクチュエータの動作中における位置変動力の付与方向の変更によって前記ステアリングコラムの傾斜減少と前記コラム離脱部の強制離脱とが連続的に行われる構造とされた(5)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、2つの機能が連続的に行われる構造を具体的に限定した態様である。本項の態様は、コラム傾斜減少とコラム強制離脱とにおけるコラム離脱部の位置変動の方向が、互いに異なる方向に設定されており、位置変動力付与方向変更機構が位置変動力の付与方向をコラムの一連の位置変動の途中において変更することによって、コラム離脱部の位置変動の方向が、コラム傾斜減少とコラム強制離脱との一方の位置変動方向からそれらの他方の位置変動方向に変更される構造とされた態様である。本項の態様によれば、コラム位置変動方向規制機構によって位置変動方向が設定された設定変動方向に規制されているため、コラム傾斜減少におけるコラム離脱部の一定方向への位置変動が容易であるとともに、上記設定変動方向が設定離脱方向とは異なる方向とされているため、コラム離脱部の位置変動方向をそれら2つの方向の間で変更することが容易に可能となる。
本項に記載の「コラム位置変動方向規制機構」には、いわゆるガイド機構、具体的には、例えば、長穴とそれに嵌合してスライドするスライド体(例えば、軸,ピン等のようなものである)とによって構成される機構を採用した構造とすることができる。また、本項に記載の「位置変動力付与方向変更機構」は、具体的な構成が特に限定されるものではなく、例えば、アクチュエータが一定の動作をする動作部を有し、その動作部とコラム離脱部とを連結する部材等に位置変動力の付与方向を変更する機能が備わっている構造のものを採用することが可能である。また、例えば、アクチュエータの動作部の動作する方向を変更することで、位置変動力の付与方向を変更するような構造のものとすることも可能である。
(7)前記アクチュエータが、それの動作部が一方向に動作する構造とされるとともに、前記二次衝突対処装置が、その動作部と前記コラム離脱部とを連結する可撓性のある連結部材を有して、その連結部材によって前記アクチュエータによる位置変動力を前記コラム離脱部に伝達する構造とされ、
前記位置変動力付与方向変更機構が、前記動作部と前記コラム離脱部との間において前記連結部材を屈曲させることが可能な屈曲強要部材を有し、その屈曲強要部材による前記連結部材の屈曲の状態が変更されることによって、位置変動力の付与方向を変更するように構成された(6)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、上記位置変動力付与方向変更機構の構造を限定した態様である。本項における「動作部」は、アクチュエータにおける、それが作動させられた場合の動作する部分とすることが可能であり、その動作部の「動作」は、直線的な移動や回動等が含まれる。また、本項における「連結部材」は、可撓性のある部材であればよく、形状や種類が特に限定されるものではない。「屈曲強要部材」も、特に限定されず、連結部材の種類,形状およびそれとの関係に応じて、種々のものを採用することが可能である。
本項に記載の「屈曲状態の変更」の態様には、屈曲した状態と屈曲していない状態とを変更する態様、屈曲する角度を変更する態様等、種々の態様が含まれる。また、本項の態様は、屈曲状態を能動的に変更するものであってもよく、屈曲状態が受動的に変更されるものであってもよい。
(8)前記二次衝突対処装置が、前記位置変動力付与方向変更機構による位置変動力の変更の前に、前記アクチュエータの動作を停止させるアクチュエータ動作停止装置を備えた(6)項または(7)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様は、アクチュエータの動作を途中で停止させることで、位置変動力の付与方向の変更を禁止する態様である。具体的には、例えば、アクチュエータが上述した一方向に動作する動作部を有する場合、二次衝突対処装置に動作部を係止可能な係止部材を備えさせ、その係止部材が動作する動作部を係止するように構成した態様とすることが可能である。なお、本項におけるアクチュエータ動作停止装置は、連続的に行われる2つの機能のうちの後から行われる機能を停止するものであり、前述の一方機能停止装置の一態様と考えることができる。
(9)前記二次衝突対処装置が、二次衝突の衝撃が比較的小さいと推定される場合に、前記ステアリングコラムの傾斜減少と前記コラム離脱部の強制離脱との両者が行われ、二次衝突の衝撃が比較的大きいと推定される場合に、前記ステアリングコラムの傾斜減少が行われかつ前記コラム離脱部の強制離脱が行われないように構成された(1)項ないし(8)項のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、具体的には、例えば、二次衝突対処装置が自身の作動を制御する制御装置を備えるような態様とすることができる。その場合の制御装置は、例えば、コンピュータ等を主体とするように構成し、二次衝突の衝撃の大きさを推定可能な何らかの状態を検出するためのセンサからの信号に基づいて、二次衝突対処装置を制御するように構成することが可能である。二次衝突の衝撃の大きさの推定は、直接的に衝撃の大きさを検出,測定等して推定するものであってもよく、また、衝撃の大きさの指標となる別のパラメータを検出,測定等することによって、間接的に推定するものであってもよい。具体的には、ステアリング操作部材に荷重センサ,設定された大きさの荷重により作動するスイッチ等を設け衝突荷重の大きさを直接的に推定するような態様とすることもでき、また、車両の衝突の衝撃の大きさを測定する減速度センサ(Gセンサ),衝突時の車両の走行速度を検出する車速センサ,運転者のシートベルトの装着の有無を検出するシートベルトセンサ,運転者の上半身の体重を測定するシート受荷重センサ等の各種センサのうちの1つあるいは複数のものを設け、それらセンサの検出,測定値を基に二次衝突の衝撃の大きさを推定するような態様とすることもできるのである。より具体的に例示すれば、例えば、速度センサにより比較的低速で走行していることが検出された場合には、二次衝突の衝撃は比較的小さいものと推定して、コラムの傾斜減少と強制離脱との両者を行い、逆に、比較的高速で走行していることが検出された場合には、二次衝突の衝撃は比較的大きいものと推定して、コラム傾斜減少を行いかつ強制離脱を行わないようにする態様とすることが可能である。
(10)前記ステアリングコラムが、前記ステアリング操作部材として、運転者に向かってエアバッグを展開させるエアバッグ装置を有するステアリングホイールを保持するものである(1)項ないし(9)項のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様によれば、エアバッグ装置による衝撃エネルギの吸収も行われることから、効果的な衝撃吸収が可能なステアリングシステムが実現する。なお、本項の態様は、二次衝突対処装置が前記コラム傾斜減少機能を有するため、車両衝突時に操作部材を概ね直立した状態とすることが可能であり、エアバッグ装置が運転者に向かって比較的真直ぐにエアバッグを展開させることができ、より効果的な衝撃吸収が可能である。したがって、エアバッグ装置を採用するステアリングシステムに、コラム傾斜減少機能を採用することの実益は大きいのである。
(11)当該ステアリングシステムが、離脱した前記コラム離脱部の車両前方方向への移動に伴って二次衝突の衝撃エネルギを吸収する衝撃エネルギ吸収装置を備えた(1)項ないし(10)項のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、衝撃吸収エネルギ吸収装置を含んで構成されたシステムであり、その装置による衝撃エネルギの吸収も行われることから、本項に記載の態様によれば、より効果的な衝撃吸収が可能なステアリングシステムが実現する。本項の態様は、衝撃吸収ストローク(衝撃エネルギを吸収可能な状態でコラムが移動する距離)をできるだけ大きくする等の観点からすれば、前記コラム強制離脱機能がコラム離脱部の移動を伴うように離脱させる構造によって発揮されるものである場合、コラム離脱部の移動距離を離脱に要する最小限の距離移動とすることが望ましい。なお、本項の態様における「衝撃エネルギ吸収装置」は、衝撃のエネルギをコラム離脱部の車両前方方向への移動に伴って吸収するものであればよく、具体的な構成が特に限定されるものではない。例えば、前述したようなチューブが収縮可能なものとされている場合、その収縮に伴って摩擦力が発生するように構成し、その摩擦力が衝撃エネルギ吸収荷重とされる構造のものとすることができる。また、例えば、コラム離脱部とコラム支持装置あるいは車体の一部との一方に設けられてコラム離脱部の移動に伴ってそれらの他方によって変形が強いられる変形部材を備え、その変形部材の変形抵抗に依拠する衝撃エネルギ吸収荷重を発生させる構造のものとすることもできる。
以下、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
図1に、本発明の実施例であるステアリングシステムの全体構成を示す。ステアリングシステムは、ステアリングコラム10を主体として構成されるものであり、そのコラム10は、インパネのリインフォースメント12に設けられたコラム支持ブラケット(以下、「支持ブラケット」と略す場合がある)14において、インパネR/F12に固定支持される。コラム10は、支持された状態では、図に示すように、車両前方端が下方に位置するように傾斜する姿勢で配置されることになる。コラム10は、主として、コラム本体20と、そのコラム本体20の前方部に設けられた前方ブラケット22と、その前方ブラケット22より車両後方側においてコラム本体20を保持する後方ホルダ24とを含んで構成されており、前方ブラケット22と後方ホルダ24との各々が、支持ブラケット14に支持されることで、コラム10は、2箇所において支持される。支持されたコラム10は、後方に位置する部分がインパネ30から車両後方に突出する状態とされる。その突出する後端部には、ステアリング操作部材であるステアリングホイール32が取り付けられており、コラム10はステアリングホイール32を操作可能に保持するものとなっている。なお、コラム10の前端部は、図示を省略するインタミディエイトシャフトを介し、車室外に存在する転舵装置に接続される。
ステアリングホイール32には、エアバッグ装置34が設けられている。エアバッグ装置34は、車両衝突時において、エアバッグ36を、ステアリングホイール32の車両後方側に、ステアリングホイール32によって支持された状態で展開させる(図における二点鎖線参照)。その展開したエアバッグ36により、ステアリングホイールへの二次衝突時において運転者が受ける衝撃が緩和されることになる。
図2に、コラム10の平面図を、図3に側面断面図を、それぞれ示す。図2,図3において、右側の端部が車両後方側(ステアリングホイール32側)、左側が車両前方側である。図1に示したように、コラム10は、傾斜した状態で車両に取付けられるため、実際は、図2,図3における右側の端部は車両後方斜め上方に位置し、左側の端部は車両前方斜め下方に位置する。本実施例では、説明を簡略化するため、特に断りのない限り、それら図における右側を「車両後方側」あるいは単に「後方側」と、左側を「車両前方側」あるいは単に「前方側」と呼んで、説明を行う。
コラム本体20は、シャフト部と、そのシャフト部を挿通させた状態で支持するチューブ部とを含んで構成されている。シャフト部は、車両後方側に位置させられる後部シャフト50と車両前方側に位置させられる前部シャフト52とを含んで構成されている。後部シャフト50はパイプ状に、前部シャフト52はロッド状に形成され、後部シャフト50の前方部に前部シャフト52の後方部が挿入されている。なお、後部シャフト50と前部シャフト52とは、軸方向に相対移動が可能かつ相対回転が不能な状態とされている。また、チューブ部は、車両後方側に位置させられる後部チューブ54と、車両前方側に位置させられる前部チューブ56とを含んで構成されている。後部チューブ54および前部チューブ56は、ともにパイプ状のものであり、後部チューブ54の前方部に前部チューブ56の後方部が挿入されている。なお、前部チューブ56は後部チューブ54にがたつきなく挿入され、後部チューブ54と前部チューブ56との軸方向の相対移動が可能とされている。また、後部チューブ54の後端部および前部チューブ56の前端部には、それぞれラジアルベアリング58,60が設けられ、後部チューブ54および前部チューブ56は、それぞれ、ラジアルベアリング58,60を介して、後部シャフト50および前部シャフト52の各々を、それらの中間部において回転可能に支持している。このような構造とされていることで、コラム本体20は、伸縮可能とされているのである。
コラム本体20は、前部チューブ56,後部チューブ54の各々に、前方ブラケット22,後方ホルダ24の各々が設けられ、それら前方ブラケット22,後方ホルダ24のそれぞれにおいて支持ブラケット14に支持されている。支持ブラケット14は、断面形状が概ねコの字状に形成され、互いに平行な2つの側板部70の間においてコラム10を支持するものである。なお、その2つの側板部70の各々には、2本の長穴72,74が互いに同軸的に穿設されており、それら長穴72,74は、ステアリングホイール32の操作面の中心点76(図4参照)を中心とする円弧状のものとなっている。
前方ブラケット22,後方ホルダ24の各々の支持ブラケット14による支持構造を図4,5をも参照しつつ順に説明する。図4は、本ステアリングシステムを車両の左方からの側面図(支持ブラケット14の一方の側板部70を省略した図)であり、図5は、車両の上方からの視点において示す図(図4におけるA−A断面図)である。前方ブラケット22は、前部チューブ56の前端部に固定的に設けられている。その前方ブラケット22には、軸挿通穴80が穿設されており、その軸挿通穴80と上記支持ブラケット14の2つの側板部70に形成された車両前方側の長穴72の各々とに、前方支持軸82が挿通されることで、前方ブラケット22は支持ブラケット14に支持されている。なお、そのような構造によって、コラム本体20は、前方支持軸82を中心に揺動可能とされている。前方ブラケット22の支持構造について、より詳しく説明すれば、前方支持軸82には、前方ブラケット22と支持ブラケット14の2つの側板部70との間の各々に管状のスペーサ84が嵌められるとともに、両端部の各々に止め輪86が固着されることで、前方ブラケット22は、前方支持軸82の軸線方向における位置が規制されている。また、前方支持軸82には、スペーサ84と止め輪86との間の各々に樹脂製のカラー88が嵌められており、前方支持軸82は、そのカラー88を介して長穴72に軸支されている。支持ブラケット14の長穴72は、その上方端部と下方端部とが樹脂カラー88の外径より僅かに大きい幅とされるとともに、中間部の穴幅が樹脂カラー88の外径より僅かに小さいものとされており、通常状態において、前方支持軸82は、長穴72の下方端部において位置が固定されている。なお、後に詳しく説明するが、前方支持軸82は、長穴72に沿って上方への移動が可能とされており、この移動の際には、樹脂カラー88の外周部が変形するようになっている。
また、後方ホルダ24は、後部チューブ54をそれの前方部において保持している。後方ホルダ24は、後部チューブ54に固定的に設けられた被保持部材90と、チャンネル形状(コの字形状)に形成されて被保持部材90を保持する保持部材92と、その保持部材92の上面に固定されて支持ブラケット14に支持される被支持部材94とを含んで構成されている。被支持部材94は、コの字形状に曲げられて車幅方向の両端部にフランジ部96が形成されている。そのフランジ部96の各々には、開口部98を有する軸穴100が形成されており、その軸穴100と上記支持ブラケット14の2つの側板部70に形成された車両後方側の長穴74の各々とに、後方支持軸102が挿通されることで、後方ホルダ24は支持ブラケット14に支持されている。
より詳しく説明すれば、後方支持軸102には、2つのフランジ部96の間に管状のスペーサ110が嵌められるとともに、両端部の各々に止め輪112が固着され、それらスペーサ110と2つの止め輪112との間の各々に樹脂製のカラー114が嵌められており、後方支持軸102は、その樹脂カラー114を介して長穴74および軸穴100に軸支されている。また、車両後方側の長穴74は、車両前方側の長穴72と同様に、上方,下方の端部の幅がそれらの中間部の幅より大きくされている。そのような構造によって、後方支持軸102は、前方支持軸82と同様に、通常状態において、長穴74の下方端部において位置が固定されており、長穴74に沿って上方への移動が可能とされている。
また、被支持部材94に設けられた軸穴100の開口部98は、車両後方側に向かって開口しており、その開口部98の幅は、樹脂カラー114の外径より小さく、後方支持軸102の外径よりも僅かに大きくされている。そのため、車両前方方向、詳しく言えば、軸穴100の開口部98が開口する方向と反対方向に、大きな荷重が被支持部材94に作用した場合に、樹脂カラー114が変形して被支持部材94が後方支持軸102から離脱するような構造となっている。そのような構造から、運転者が二次衝突する等によって、ステアリングホイール32に衝撃が加わった場合、後方ホルダ24がインパネR/F12に設けられた支持ブラケット14から離脱し、それによって、コラム10の車両後方部分、詳しくは、後部シャフト50,後部チューブ54を含んで構成されるコラム本体20の後方部分および後方ホルダ24が、支持ブラケット14から、コラム10の軸線方向と略同じ方向である設定離脱方向(図1の白抜矢印の方向)に離脱する。つまり、後部シャフト50,後部チューブ54,後方ホルダ24等を含んで、ステアリングコラムのコラム離脱部120が構成されているのである。なお、そのコラム離脱部120は、コラム本体20の収縮を伴って、設定離脱方向と略同じ方向である移動方向(図1〜図3の太い矢印の方向)に移動し、その移動は、後部チューブ54の前端部が前部チューブ56の外径が大きくなっている部分に当接することによって制限される。
ちなみに、後方ホルダ24による後部チューブ56を保持する構造が、チルト・テレスコピック機構130を構成するものとされ、コラム10が、チルト・テレスコピック機構130を有するものとなっている。詳しい説明は省略するが、ロックレバー132を押し下げた状態において、後部チューブ56は、被保持部材90に対して伸縮方向に移動可能とされるとともに。保持部材92に対して前方支持軸82を中心に揺動可能とされており、コラム本体20は、伸縮位置と揺動位置とを調整することが可能である。そして、ロックレバー132を押し上げることによって、コラム本体20の位置が固定されるようになっている。
以上のような構造から、本実施例のステアリングシステムでは、支持ブラケット14、前方ブラケット22の支持構造の構成要素である前方支持軸82,スペーサ84,止め輪86,樹脂カラー88、および、後方ホルダ24の支持構造の構成要素である後方支持軸102,スペーサ110,止め輪112,樹脂カラー114等を含んで、コラム10をそれのコラム離脱部120が離脱可能な状態で支持するコラム支持装置140が構成されている。また、そのコラム支持装置140においては、後方支持軸102に嵌められた樹脂カラー114の変形に要する荷重に依拠してコラム離脱部120を離脱させるのに要する荷重である設定荷重が決定される構造となっており、コラム支持装置140は、その設定荷重を上回る荷重がステアリングホイール32に作用する場合、コラム離脱部120の車両前方方向への離脱が許容されるのである。
本ステアリングシステムは、支持ブラケット14から離脱したコラム離脱部120の車両前方方向への移動に伴って、二次衝突の衝撃のエネルギを吸収する衝撃エネルギ吸収装置150(以下、「EA装置150」という場合がある)を備えている。EA装置150は、コラム離脱部120の移動に伴って、その移動を阻止する方向の抗力、すなわちエネルギ吸収荷重(EA荷重)を発生させる構造とされており、そのEA荷重の存在下でのコラム離脱部の移動を許容することで、衝撃エネルギを吸収するものとされている。
EA装置150は、チューブ部の伸縮部に設けられている。詳しく言えば、前部チューブ56の外周面には、後部チューブ54の前方端部より前方に、軸線方向に延びる3つの凸条152が形成されている。3つの凸条152は、周方向において3等配の位置に形成されており、それぞれが、後部チューブ54の内周面より僅かに突出する高さに形成されている。そのため、離脱したコラム離脱部120が移動する際、後部チューブ54の前方端部がそれら3つの凸条152を押し潰しながら、コラム本体20が収縮することになる。この3つの凸条152の変形に要する力が、EA荷重として機能し、コラム離脱部120は、そのEA荷重の存在下で移動することで、衝撃エネルギが吸収されるのである。
前記コラム支持装置140によって、コラム10は、車両前端部が下方に位置するように傾斜する姿勢で支持されている。一方、先に説明したように、車両衝突時において、運転者は、概ね水平方向である車両前方方向へ移動する場合が多い。コラム10の軸線方向と運転者のステアリングホイール32への衝突方向とのなす角度が大きい場合には、上記エアバッグ装置34,EA装置150による効果的な衝撃吸収が行われないことになる。また、コラム支持装置140においては、コラム離脱部120をしっかりと支持するため、上記設定荷重、つまり、離脱に要する荷重は、比較的大きな荷重とされており、二次衝突の衝撃エネルギを吸収する荷重として利用することが可能である。しかし、二次衝突の衝撃が小さい場合には、その大きな荷重は、コラム離脱部120の離脱時に運転者に大きな衝撃を与えることになる。そこで、本ステアリングシステムは、運転者の二次衝突に対処するために、コラム10の傾斜を減少させることと、コラム離脱部120を支持ブラケット14から強制的に離脱させることとの両者が可能とされている。
支持ブラケット14の2つの側板部70の間の上方側には、両端部の各々が固定された支持バー160が渡されている。この支持バー160の下面には、固定部材162によって、シリンダ装置164が、車両前後方向に延びる姿勢で固定されている。そのシリンダ装置164は、シリンダ166と、シリンダ166内に設けられたピストン168と、一端部がピストン168に固定されて他端部がシリンダ166より車両前方側に突出するピストンロッド170と、ピストンロッド170の他端部に固定された車幅方向に延びる角棒状のロッドヘッド172とを含んで構成されている。なお、ピストン168,ピストンロッド170,ロッドヘッド172を含んで、シリンダ装置164の動作する部分である動作部174が構成されており、その動作部174は、一方向に移動する構造のものである。また、シリンダ装置164の動作部174は、可撓性のある板状部材であって連結部材として機能する連結プレート180によって、コラム離脱部120と連結されている。
連結プレート180による動作部174とコラム離脱部120との連結構造を、詳しく説明する。連結プレート180は、一端部(以下、「シリンダ装置側端部」という場合がある)が動作部174のロッドヘッド172に固定され、他端部には、管状の管状部材182が固着されて、それの内側に支軸184が回転可能に挿通させられている。一方、コラム離脱部120を構成する後部チューブ54の前端部には、2枚のブラケット186が設けられ、それらブラケット186の各々には、車両後方側に開口する開口部188を有する軸穴190が形成されている。それら2枚のブラケット186の軸穴190の各々に、上記支軸184の両端部の各々が挿通する状態で配設されることで、連結プレート180の他端部(以下、「コラム側端部」という場合がある)がコラム離脱部120に連結されている。なお、支軸184には、両端部の各々に止め輪192が固着され、その止め輪192と管状部材182との間の各々に樹脂製のカラー194が嵌められており、支軸184は、樹脂カラー194を介して軸穴190に軸支されている。また、軸穴190の開口部188は、樹脂カラー114の外径より僅かに小さい幅のものとされている。そのため、後に詳しく説明するが、連結プレート180が固定された状態において、車両前方方向、詳しく言えば、軸穴190の開口部188が開口する方向と反対方向に、ある程度の荷重がブラケット186に作用した場合、樹脂カラー194が変形してブラケット186が支軸184から離脱するような構造となっている。
また、連結プレート180は、中間部において、屈曲させられた状態とされている。支持ブラケット14には、2種のガイドバーが設けられており、通常状態においては、連結プレート180は、それらの1種である第1ガイドバー200によって屈曲させられている。第1ガイドバー200は、連結プレート180のシリンダ装置側端部の車両後方側で、かつ、コラム側端部の上方側に設けられており、シリンダ装置側端部から車両後方側に延びる連結プレート180を下方に向かって屈曲させている。なお、第1ガイドバー200は、支持ブラケット14の2つの側板部70の各々に同軸的に設けられた2本の棒状の部材202により構成されており、それら2本の棒状部材202の先端同士は、離間した状態とされている。また、もう1種のガイドバーである第2ガイドバー204は、1本の棒状部材であり、両端部の各々が、第1ガイドバー200よりシリンダ装置側端部側において、2つの側板部70の各々に固定されている。
図6に、シリンダ装置164が動作中の状態におけるステアリングシステムの側面図を、図7に、その状態におけるステアリングシステムを車両上方から眺めた図(図6におけるB−B断面図)を、それぞれ示す。シリンダ166の内部、詳しくは、ピストン168の車両後方側の空間には、固体薬剤である火薬210が充填されている。この火薬210は、図示を省略するスパーク電極によって着火させられ、高圧気体を発生する。高圧気体は、火薬210が充填されているシリンダ166の空間内に充満させられ、その圧力によって、ピストン168、つまり、動作部174が車両前方側に移動させられる。それに伴って、連結プレート180は、ロッドヘッド172に固定されたシリンダ装置側端部が車両前方に向かって移動させられるのであり、第1ガイドバー200によって屈曲させられる位置が変更されつつ、コラム側端部が上方に移動させられることになる。つまり、コラム離脱部120には、上方への位置変動力が付与されるのであり、その位置変動力によって、コラム10を支持する前記2つの支持軸82,102の各々が、長穴72,74の各々に沿って移動することになる。そして、コラム10は、ステアリングホイール32の中心点76を中心に車両前方端が上方に移動するように回動し、コラム10の傾斜を減少させた状態が実現されることになる。なお、上記のような構造から、支持ブラケット14に穿設された2つの長穴72,74およびコラム10を支持する2つの支持軸82,102等を含んで、コラムの傾斜減少におけるコラム離脱部120の位置変動を2つの長穴72,74によって規定される設定変動方向に規制するコラム位置変動方向規制機構が構成されている。
図8に、シリンダ装置164の動作が完了した状態におけるステアリングシステムの側面図を、図9に、その状態におけるステアリングシステムを車両上方から眺めた図(図8におけるC−C断面図)を、それぞれ示す。連結プレート180は、コラム側端部側の幅が、第1ガイドバー200の2本の棒状部材202の離間距離より小さくされている。そのため、シリンダ装置164の動作部174が、図6に示した位置から、さらに車両前方方向に移動させられた場合には、連結プレート180は、第1ガイドバー200から外れて、第2ガイドバー204によって屈曲させられる状態となる。その状態において、さらにピストン168が移動させられ、連結プレート180のコラム側端部は、車両前方方向へ移動させられることになる。つまり、コラム離脱部120には、車両前方方向の位置変動力が付与されて、コラム離脱部120が支持ブラケット14から強制的に離脱させられた状態が実現することになる。なお、第1ガイドバー200,第2ガイドバー204は、連結部材としての連結プレート180を屈曲させることが可能な屈曲強要部材として機能し、それら2種のガイドバー200,204等を含んで、シリンダ装置164の動作部174の動作中に連結プレート180の屈曲の状態が変更されることで、位置変動力の付与方向を変更する位置変動力付与方向変更機構が構成されている。
図10に、シリンダ装置164の動作完了後にステアリングホイール32に衝撃が加わった場合のステアリングシステムの側面図を示す。図8に示した状態において、運転者が二次衝突する等によって、ステアリングホイール32に衝撃が加わった場合、ブラケット186が支軸184から離脱し、コラム離脱部120が車両前方方向へ移動することになる。そして、コラム離脱部120の移動に伴って、EA装置150によって衝撃吸収が行われる。
以上のような構造によって、コラム10の傾斜を減少させるコラム傾斜減少機能とコラム離脱部120を強制的に離脱させるコラム強制離脱機能とを有して、それら2つの機能の各々を実現することで運転者の二次衝突に対処する二次衝突対処装置が構成されている。その二次衝突対処装置は、シリンダ装置164,連結プレート180,前記コラム変動方向規制機構および位置変動力付与方向変更機構等を含んで構成されており、シリンダ装置164による位置変動力が連結プレート180によってコラム離脱部120に伝達される構造とされるとともに、シリンダ装置164の動作中における位置変動力の付与方向の変更によってコラム傾斜減少とコラム強制離脱とが連続的に行われる構造のものとなっている。なお、シリンダ装置164は、位置変動力を付与してコラム離脱部120を位置変動させる単一のアクチュエータであり、二次衝突対処装置の駆動源として機能するものとなっている。
上記二次衝突対処装置においては、位置変動力の付与方向が変更される前に、シリンダ装置164の動作部174の移動を停止させることが可能とされている。支持ブラケット14には、車両前方側の上面に、ソレノイド装置220が固定して設けられている。ソレノイド装置220は、それの有する係止ロッド222が支持ブラケット14に設けられた開口224から下面側に臨み出る状態とされており、励磁されることによって係止ロッド222が下方に突出する構造とされている。ソレノイド装置220が励磁され、係止ロッド222が突出させられた状態(図6における二点鎖線参照)において、シリンダ装置164が作動させられた場合には、動作部174の先端部であるロッドヘッド172が、移動途中に係止ロッド222に係止されることになる。それに伴って、連結プレート180は、第1ガイドバー200による屈曲が解除される前に位置が固定された状態となり、コラム離脱部120は、コラム傾斜減少における設定変動方向への位置変動が行われた後、設定離脱方向への位置変動が行われる前に停止させられるのである。つまり、ソレノイド装置220を含んで、位置変動力の変更の前にシリンダ装置164の動作を停止させるアクチュエータ動作停止装置が構成されている。なお、そのアクチュエータ動作停止装置は、コラム傾斜減少機能が実現した後にコラム強制離脱機能を停止させる一方機能停止装置として機能するものであるため、以下、「強制離脱停止装置」と呼ぶ場合がある。
なお、上記強制離脱停止装置が作動させられた状態において、二次衝突等によってステアリングホイール32に衝撃が加わった場合にも、後方ホルダ24が支持ブラケット14から離脱するとともに、ブラケット186が支軸184から離脱して、コラム離脱部120は、車両前方方向へ移動することになる。そして、コラム離脱部120の移動に伴って、EA装置150による衝撃吸収が行われる。
上記二次衝突対処装置および強制離脱停止装置の作動の制御(以下、「二次衝突対処制御」という場合がある)、詳しくは、シリンダ装置164とソレノイド装置220と作動の制御は、ステアリング電子制御ユニット(ECU)300によって行われる。ECU300は、CPU,ROM,RAM,バス,I/O(入出力インタフェース)等を含んで構成されるコンピュータを主体とするものであり、そのコンピュータのI/Oには、車両に設けられた各種センサが接続されている。ECU300は、それらからの各種情報を入手可能とされており、それら入手した情報に基づいてシリンダ装置164,ソレノイド装置220を作動させる。なお、ECU300に接続されるセンサは、具体的に言えば、車両の衝突を検知する車両衝突センサ(C.S)302、運転者のシートベルトの着用の有無を検知するシートベルトセンサ(Sb.S)304、車両の走行速度を検出する車速センサ(Sp.S)306等である。
ECU300による二次衝突対処制御は、図11にフローチャートを示す二次衝突対処制御プログラムが実行されることによって行われる。その制御プログラムは、ECU300が有するコンピュータのROMに格納されており、車両のイグニッションスイッチがON状態とされた後、短い時間間隔(例えば、十〜数十msec)をおいて繰り返し実行される。以下、図11のフローチャートに従って、本ステアリングシステムにおける制御の内容を、順次説明する。なお、図12は、各種センサから入手した情報とその場合に発揮させられる機能との関係を示す表である。
二次衝突対処制御では、まず、ステップ1(以下、「S1」と略す、他のステップも同様である)において、車両衝突センサ302により車両が衝突した旨の信号が発せられているか否かが判定される。衝突した旨の信号が送られてきていない場合には、コラム傾斜減少機能およびコラム強制離脱機能が発揮される必要はないため、S2以下はスキップされる。S1において、衝突が発生してその旨の信号が送られてきている場合には、S2において、シートベルトセンサ324の検知情報に基づいて運転者がシートベルトを着用しているか否かが判定される。運転者がシートベルトを着用していない場合には、ステアリングホイール32への衝突の衝撃が比較的大きくなる。この場合には、コラム離脱部120の離脱に要する荷重をEA荷重として利用するため、S4において、強制離脱停止装置が作動させられるのである。詳しくは、ECU300が、ソレノイド装置220の励磁を指示し、係止ロッド222が突出させられるのである。続いて、S5において、二次衝突対処装置が作動させられるのであるが、係止ロッド222によってシリンダ装置164の動作が途中で停止させられ、コラム強制離脱機能が停止させられるのである。つまり、コラム傾斜減少機能のみが発揮させられることになる。
ただし、シートベルトを着用していない場合であっても、比較的遅い走行速度であれば、二次衝突の衝撃が比較的小さく、比較的大きく設定されたコラム離脱部120の離脱に要する荷重は、運転者が受ける衝撃を大きくしてしまうことになる。そこで、本プログラムでは、S4以下を実行する前に、S3において、車速センサ306に基づいて車両が設定された速度v1以下で、比較的遅い速度で走行しているか否かが判定され、v1以下で走行していると判定された場合には、S4をスキップして、S5において、二次衝突対処装置が作動させられる。詳しくは、ECU300が、シリンダ装置164に充填された火薬210への着火電流の供給を指示し、コラム傾斜減少機能とコラム強制離脱機能との両者が発揮させられるのである。
一方、運転者がシートベルトをしている場合には、比較的遅い走行速度で衝突したのであれば、シートベルトによって運転者の運動エネルギは相当量吸収され、二次衝突の衝撃エネルギは比較的小さいものとなる。なお、その運転者がシートベルトを着用している状態で車両が衝突した場合であっても、運転者がステアリング操作部材に二次衝突しない場合もある。例えば、車両が低速で走行している状態で衝突した場合には、シートベルトのみで運転者の運動エネルギを吸収可能となる。二次衝突対処装置は、衝突することを前提として設計されるものであり、一旦作動させた場合には、コラム10を元の支持状態に復帰させる必要がある。その処置のことを考えれば、二次衝突しない場合は、シリンダ装置164を作動させないことが望ましい。そこで、本プログラムでは、S2において、シートベルトを着用していると判定された場合には、S6において、車速センサ306に基づいて車両が設定された速度v2以下である低速走行をしているか否かが判定され、v2以下で走行していると判定された場合には、S7以下がスキップされ、シリンダ装置164およびソレノイド装置220は作動しないようにされている。
また、運転者がシートベルトをしている場合には、先に述べたように、二次衝突の衝撃エネルギは比較的小さいものとなる。しかし、例えば、車両が高速道路等において高速で走行している状態で衝突した場合には、シートベルトだけでは衝撃エネルギを十分に吸収できず、二次衝突の衝撃は大きなものとなる。そこで、本プログラムでは、S6において、低速走行していないと判定された場合には、S7において、車速センサ306に基づいて車両が設定された速度v3以上である高速走行をしているか否かが判定され、v3以上で走行していると判定された場合には、コラム離脱部120の離脱に要する荷重をEA荷重として利用するため、S4以下が実行され、ソレノイド装置220およびシリンダ装置164の両者が作動させられて、コラム傾斜減少機能のみが発揮させられる。
なお、S7において、高速で走行していないと判定された場合、つまり、運転者がシートベルトを着用した状態で車両がv2より速く、かつ、v3より遅い速度で走行中に衝突した場合には、本プログラムでは、S5において、シリンダ装置164が作動させられ、コラム傾斜減少機能とコラム強制離脱機能との両者が発揮させられるのである。
本発明の実施例であるステアリングシステムの全体構成を示す図である。 図1に示すステアリングシステムを構成するステアリングコラムの平面図である。 図2に示すステアリングコラムの側面断面図である。 図1に示すステアリングシステムの車両の左方からの側面図である。 図1に示すステアリングシステムを車両の上方からの視点において示す図(図4におけるA−A断面図)である。 図4に示すシリンダ装置が動作中の状態におけるステアリングシステムの車両の左方からの側面図である。 図4に示すシリンダ装置が動作中の状態におけるステアリングシステムの車両の上方からの視点において示す図(図6におけるB−B断面図)である。 図4に示すシリンダ装置の動作が完了した状態におけるステアリングシステムの車両の左方からの側面図である。 図4に示すシリンダ装置の動作が完了した状態におけるステアリングシステムの車両の上方からの視点において示す図(図8におけるC−C断面図)である。 図4に示すシリンダ装置の動作完了後にステアリングホイールに衝撃が加わった場合のステアリングシステムの側面図を示す。 図1に示すステアリング電子制御ユニットによって実行される二次衝突対処制御プログラムを表すフローチャートである。 図1に示す各種センサから入手した情報とその場合に発揮させられる機能との関係を示す表である。
符号の説明
10:ステアリングコラム 12:インパネリインフォースメント 14:コラム支持ブラケット 20:コラム本体 22:前方ブラケット 24:後方ホルダ 32:ステアリングホイール(ステアリング操作部材) 34:エアバッグ装置 36:エアバッグ 72:長穴 74:長穴 82:前方支持軸 102:後方支持軸 120:コラム離脱部 140:コラム支持装置 150:衝撃エネルギ吸収装置 164:シリンダ装置(アクチュエータ) 174:動作部 180:連結プレート(連結部材) 200:第1ガイドバー(屈曲強要部材) 204:第2ガイドバー(屈曲強要部材) 220:ソレノイド装置(一方機能停止装置) 300:ステアリング電子制御ユニット(制御装置) 302:車両衝突センサ 304:シートベルトセンサ 306:車速センサ

Claims (6)

  1. 車両後方側の端部においてステアリング操作部材を操作可能に保持するステアリングコラムと、
    そのステアリングコラムを、車両前方端が下方に位置するように傾斜する姿勢で、かつ、設定荷重を超える荷重が前記ステアリング操作部材に加わった場合に、前記ステアリングコラムの少なくとも車両後方側に位置する部分であるコラム離脱部が車両前方方向に離脱可能な状態で支持するコラム支持装置と、
    前記ステアリングコラムの傾斜を車両前方端が上方に移動するように減少させるコラム傾斜減少機能と、前記コラム離脱部を車両前方方向に強制的に離脱させるコラム強制離脱機能とを有して、車両衝突に起因する運転者の前記ステアリング操作部材への二次衝突に対処する装置であって、位置変動力を付与して前記コラム離脱部を位置変動させる単一のアクチュエータを備え、そのアクチュエータの動作によって、前記ステアリングコラムの傾斜減少と前記コラム離脱部の強制離脱との両者が行われる構造とされた二次衝突対処装置と
    を含んで構成された車両用ステアリングシステム。
  2. 前記二次衝突対処装置が、前記コラム傾斜減少機能と前記コラム強制離脱機能との一方を停止させる一方機能停止装置を備えた請求項1に記載の車両用ステアリングシステム。
  3. 前記二次衝突対処装置が、前記ステアリングコラムの傾斜減少と前記コラム離脱部の強制離脱とが連続的に行われる構造とされた請求項1または請求項2に記載の車両用ステアリングシステム。
  4. 前記コラム支持装置が、設定された方向である設定離脱方向への前記コラム離脱部の位置変動によって離脱を許容する構造とされるとともに、前記二次衝突対処装置が、前記ステアリングコラムの傾斜減少における前記コラム離脱部の位置変動の方向を、前記設定離脱方向とは異なる方向に設定された方向である設定変動方向に規制するコラム位置変動方向規制機構を有し、
    かつ、前記二次衝突対処装置が、前記アクチュエータによる前記ステアリングコラムへの位置変動力の付与方向を変更する位置変動力付与方向変更機構を備え、前記アクチュエータの動作中における位置変動力の付与方向の変更によって前記ステアリングコラムの傾斜減少と前記コラム離脱部の強制離脱とが連続的に行われる構造とされた請求項3に記載の車両用ステアリングシステム。
  5. 前記アクチュエータが、それの動作部が一方向に動作する構造とされるとともに、前記二次衝突対処装置が、その動作部と前記コラム離脱部とを連結する可撓性のある連結部材を有して、その連結部材によって前記アクチュエータによる位置変動力を前記コラム離脱部に伝達する構造とされ、
    前記位置変動力付与方向変更機構が、前記動作部と前記コラム離脱部との間において前記連結部材を屈曲させることが可能な屈曲強要部材を有し、その屈曲強要部材による前記連結部材の屈曲の状態が変更されることによって、位置変動力の付与方向を変更するように構成された請求項4に記載の車両用ステアリングシステム。
  6. 前記二次衝突対処装置が、二次衝突の衝撃が比較的小さいと推定される場合に、前記ステアリングコラムの傾斜減少と前記コラム離脱部の強制離脱との両者が行われ、二次衝突の衝撃が比較的大きいと推定される場合に、前記ステアリングコラムの傾斜減少が行われかつ前記コラム離脱部の強制離脱が行われないように構成された請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
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