JP4233935B2 - ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の制動用に用いられる電動式のブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の制動用に用いられる電動式のブレーキ装置として、ディスクロータにブレーキパッドを押圧させる推力機構とこの推力機構を駆動する電動アクチュエータとを内包する電動キャリパと、制動指示信号に応じた電流を電動アクチュエータに供給して制動力を制御する制御手段とを有するものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−14018号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両用のブレーキ装置は、低温から高温まで、広範囲の環境温度下で使用されることが想定され、このような温度条件の違いによる、例えば、推力機構に封入された潤滑剤の粘性変化等の影響が少なからずある。
【0005】
したがって、本発明は、温度条件の違いによる影響を低減することができ、その結果、広範囲の環境温度下で良好に使用することができるブレーキ装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ディスクロータにブレーキパッドを押圧させる推力機構と該推力機構を駆動する電動アクチュエータとを内包する電動キャリパと、制動指示信号に応じた電流を前記電動アクチュエータに供給して制動力を制御する制御手段とを有するブレーキ装置において、前記制御手段は、非制動時に前記電動アクチュエータを駆動して前記推力機構の粘性係数を算出し、前記制動指示信号に応じて前記電動アクチュエータへ供給する電流値を前記粘性係数に応じて調整する電流値調整手段を有することを特徴としている。
【0007】
これにより、電流値調整手段が、ディスクロータにブレーキパッドを押圧させる推力機構の粘性係数を非制動時に電動アクチュエータを駆動して算出し、推力機構を駆動する電動アクチュエータへ供給する制動指示信号に応じた電流値を、温度条件の違いによる影響を受けやすいこの粘性係数に応じて調整することになるため、温度条件の違いによる影響を低減することができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記電動キャリパ内には前記推力機構による前記ブレーキパッドの移動位置を検出する位置検出手段が設けられ、前記電流値調整手段は、前記ブレーキパッドが前記ディスクロータを押圧しない範囲で前記推力機構を駆動し、当該駆動時における前記位置検出手段の出力に基づく前記推力機構の速度と前記電動アクチュエータへの電流値に基づいて前記推力機構の粘性係数を算出する粘性係数推定手段を有することを特徴としている。
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記粘性係数推定手段は、前記推力機構を等速度で駆動し、該駆動時の前記電動アクチュエータへの電流値を検出し、当該電流値と前記等速度とに基づいて前記推力機構の粘性係数を算出することを特徴としている。
【0009】
これにより、粘性係数推定手段が、推力機構によるブレーキパッドの移動位置を検出する位置検出手段の出力に基づいて、ブレーキパッドがディスクロータを押圧しない範囲で推力機構を等速度で駆動し、当該駆動時の電動アクチュエータへの電流値に基づいて推力機構の粘性係数を算出するため、粘性係数をより正確に算出することができる。よって、電動アクチュエータへ供給する制動指示信号に応じた電流値をより正確に算出された粘性係数に応じて調整することになるため、温度条件の違いによる影響を確実に低減することができる。
【0010】
請求項に係る発明は、請求項2または3に係る発明において、前記粘性係数推定手段は、複数の異なる等速度に切り換えて前記推力機構を駆動するとともに、各駆動時の前記電動アクチュエータへの電流値を検出し、各駆動時の前記等速度と前記電流値とに基づいて前記推力機構の粘性係数を算出することを特徴としている。
【0011】
これにより、粘性係数推定手段が、推力機構によるブレーキパッドの移動位置を検出する位置検出手段の出力に基づいて、ブレーキパッドがディスクロータを押圧しない範囲で推力機構を複数の異なる等速度に切り換えて駆動し、各駆動時の電動アクチュエータへの電流値を検出し、各等速度と各電流値とに基づいて推力機構の粘性係数を算出するため、粘性係数をさらに正確に算出することができる。よって、電動アクチュエータへ供給する制動指示信号に応じた電流値をさらに正確に算出された粘性係数に応じて調整することになるため、温度条件の違いによる影響をさらに確実に低減することができる。
【0012】
請求項に係る発明は、請求項2乃至4に係る発明において、前記制御手段は、制動力付加の予兆を事前に検出するブレーキ予兆検出手段を有し、該ブレーキ予兆検出手段により制動力付加の予兆を検出したときに前記粘性係数推定手段により前記推力機構の粘性係数を算出することを特徴としている。
【0013】
これにより、ブレーキ予兆検出手段により制動力付加の予兆を検出したときに粘性係数推定手段により推力機構の粘性係数を算出することになるため、制動力付加時点に近い条件で粘性係数を算出することができる。よって、電動アクチュエータへ供給する制動指示信号に応じた電流値を制動力付加時点において最新の粘性係数で調整することになるため、例えば短時間で温度条件に違いが生じる場合の影響を低減することができ、温度条件の違いによる影響をより一層確実に低減することができる。
【0014】
請求項に係る発明は、ディスクロータにブレーキパッドを押圧させる推力機構と該推力機構を駆動する電動アクチュエータと前記推力機構による前記ブレーキパッドの移動位置を検出する位置検出手段とを内包する電動キャリパと、制動指示信号に応じた電流を前記電動アクチュエータに供給して制動力を制御する制御手段とを有するブレーキ装置において、前記制御手段は、前記ブレーキパッドが前記ディスクロータを押圧しない範囲で前記推力機構を駆動し、当該駆動時における前記位置検出手段の出力に基づく前記推力機構の速度と前記電動アクチュエータへの電流値に基づいて、前記電動アクチュエータへ供給する制動指示信号に応じた電流値を調整する電流値調整手段を有することを特徴としている。
【0015】
これにより、電流値調整手段が、推力機構によるブレーキパッドの移動位置を検出する位置検出手段の出力に基づいて、ブレーキパッドがディスクロータを押圧しない範囲で推力機構を等速度で駆動し、当該駆動時の電動アクチュエータへの電流値に基づいて、電動アクチュエータへ供給する制動指示信号に応じた電流値を調整することになるため、温度条件の違いによる影響を確実に低減することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態のブレーキ装置を図面を参照しつつ以下に説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態のブレーキ装置は電動キャリパ10を有する電動ディスクブレーキ装置である。
【0018】
電動キャリパ10は、図示せぬ車輪とともに回転するディスクロータ11の軸線方向における一側にキャリパ本体12が配置されており、このキャリパ本体12には、略C字形に形成されてディスクロータ11を跨いで反対側へ延びる爪部13が一体的に結合されている。ディスクロータ11の軸線方向における両側にそれぞれブレーキパッド14,15が設けられている。ブレーキパッド14,15は、車体側に固定されるキャリア16によってディスクロータ11の軸方向に沿って移動可能に支持されて、制動トルクをキャリア16に伝達するようになっており、また、キャリパ本体12は、キャリア16に取付けられた図示せぬスライドピンによってディスクロータ11の軸方向に沿って摺動可能に案内されている。
【0019】
キャリパ本体12には、略円筒伏のケース18が結合され、このケース18内には、電動モータ(電動アクチュエータ)19および位置検出器(位置検出手段)20が内包されている。一方、キャリパ本体12には、電動モータ19の回転運動を直線運動に変換するボールランプ機構(回動−直動変換機構)21および電動モータ19の回転トルクを増幅する差動歯車減速機構(減速機構)22が内包されている。ケース18の後端部には、カバー23が取付けられている。
【0020】
電動モータ19は、ケース18の内周部に固定されたステータ25と、ステータ25に挿入されて軸受26,27によってケース18に回転可能に支持されたロータ28とを備えている。位置検出器20は、ケース18側に固定されたレゾルバステータ29およびロータ28に取付けられたレゾルバロータ30からなり、これらの相対回転に基づいて電動モータ19のロータ28の回転位置(以下モータ位置と称す)を検出する(言い換えればブレーキパッド14,15の移動位置を検出する)ものである。
【0021】
ボールランプ機構21は、環状の第1ディスク32および第2ディスク33と、これらの間に介装された複数のボール34とから構成されている。第1ディスク32は、軸受35によってキャリパ本体12に回転可能に支持され、ロータ28内に挿入される円筒部36が一体的に形成されている。第2ディスク33には、円筒部36よりも小径の円筒状のスリーブ37が一体的に形成され、このスリーブ37が円筒部36内に挿通されている。
【0022】
ボールランプ機構21の第1ディスク32および第2ディスク33の対向面には、それぞれ円周方向に沿って延びる円弧状の例えば3つのボール溝38,39が形成されている。これらのボール溝38,39は、等しい中心角(例えば90゜)の範囲に延ばされて、同じ方向に傾斜されている。そして、第1ディスク32および第2ディスク33に形成されたボール溝38,39間にボール34が装入され、第1ディスク32および第2ディスク33の相対回転によって、ボール溝38,39内をボール34が転動することにより、第1ディスク32と第2ディスク33とが軸方向に相対変位するようになっている。このとき、第1ディスク32が第2ディスク33に対して反時計回りに回転したとき、これらが離間する方向に変位する。
【0023】
第2ディスク33とブレーキパッド14との間には、ピストン40が設けられている。ピストン40は、外周にネジ部41を形成した円筒部材42aを有している。円筒部材42aは、第2ディスク33のスリーブ37内に挿入され、その内周に形成されたネジ部43に螺合されている。円筒部材42aには、ケース18にブラケット44を介して取付けられた軸45の図示せぬ二面取部が嵌合されて、その回転が規制されている。また、ピストン40は、円筒部材42aの軸45に対し反対側に回転が規制された状態で連結される略円板状の押圧部材42bを有している。そして、円筒部材42aと押圧部材42bとの間に、ピストン40が受けるピストン推力を検出する推力センサ46が設けられている。
【0024】
ピストン40の円筒部材42のネジ部41と、第2ディスク33のスリーブ37のネジ部43とで不可逆ねじを形成しており、ピストン40は、その軸方向に力が作用しても移動することはないが、第2ディスク33を反時計回りに回転させることにより、ディスクロータ11側へ移動するようになっている。
【0025】
軸45の外周部および第2ディスク33のスリーブ37の内周部にそれぞれ形成されたバネ受47,48間に弾性部材49が介装され、そのばね力によって第2ディスク33がボール34を第1ディスク32との間で挟みつけるように付勢されている。軸45は、調整ネジ50およびロックナット51によってブラケット44に取付けられている。
【0026】
電動モータ19、位置検出器20、推力センサ46には、コントローラ(制御手段,電流値調整手段,粘性係数推定手段,ブレーキ予兆検出手段)100が接続されている。このコントローラ100には、運転者が制動意思に応じて操作を行うブレーキペダル101の操作量を検出するペダルセンサ102とブレーキペダル101の操作の有無を検出するブレーキスイッチ103とが接続されており、これらペダルセンサ102からのペダルセンサ信号(制動指示信号)およびブレーキスイッチ103からのブレーキスイッチ信号が入力されるようになっている。なお、ペダルセンサ102としては、ブレーキペダル101の操作量を圧力により検出する圧力センサやブレーキペダル101の操作量を変位により検出する変位センサ等が用いられる。
【0027】
コントローラ100は、主としてペダルセンサ102の検出結果すなわちブレーキペダル101の操作量と、位置検出器20の検出結果すなわち電動モータ19の回転位置に対応する実際のピストン位置と、電動モータ19の電流値と、推力センサ46の検出結果すなわち実際のピストン推力とに基づいて電動モータ19を制御することで、ピストン推力が目標推力となるように制御を行う。
【0028】
第2ディスク33のスリーブ37の先端外周部には、円筒状のスプリングホルダ67が取付けられている。スプリングホルダ67の一端部が、第1ディスク32の円筒部36の先端部に係合して、これらの相対回転を一定範囲に制限している。スプリングホルダ67の周りには、コイルスプリング69が巻装され、コイルスプリング69は、所定のセット荷重をもって捻られて、その一端部がスプリングホルダ67に結合され、他端部が第1ディスク32の円筒部36に結合されている(結合部は図示略)。
【0029】
以上のように構成した本実施形態のブレーキ装置の電動キャリパ10の基本作動について次に説明する。
【0030】
非制動状態では、ボールランプ機構21のボール34がボール溝38,39の最も深い端部にあり、第1ディスク32と第2ディスク33とが最も近い位置にある。コントローラ100は、制動力を発生させる際に、電動モータ19のロータ28を時計回りに回転させる。すると、ロータ28の回転トルクが差動歯車減速機構22で増幅されて第1ディスク32に伝達される。
【0031】
第1ディスク32の回転力は、コイルスプリング69を介して第2ディスク33に伝達される。ピストン40がブレーキパッド14,15を押圧する前は、ピストン40に軸方向の荷重が殆ど作用せず、ピストン40と第2ディスク33との間のネジ部41,43に生じる抵抗が小さいので、コイルスプリング69のセット荷重によって第2ディスク33が第1ディスク32と一体に回転し、第2ディスク33とピストン40との間に相対回転が生じて、ネジ部41,43の作用によってピストン40が推力を発生させてディスクロータ11側ヘ前進する。
【0032】
そして、ピストン40が一方のブレーキパッド14に接触してこれをディスクロータ11ヘ押圧させ、その反力によってキャリパ本体12がキャリア16のスライドピンに沿って移動して、爪部13が他方のブレーキパッド15をディスクロータ11に押圧させる。
【0033】
両ブレーキパッド14,15がディスクロータ11に押圧された後は、その反力によってピストン40に軸方向の大きな荷重が作用するため、ネジ部41,43の抵抗が増大してコイルスプリング69のセット荷重を超えて、第2ディスク33が回転を停止させることになり、その結果、コイルスプリング69が撓んでボールランプ機構21の第1ディスク32および第2ディスク33間に相対回転が生じる。これにより、ボール34がボール溝38,39内を転動して第2ディスク33およびピストン40を一体に前進(すなわち直線運動)させ、ピストン40によってブレーキパッド14,15をディスクロータ11にさらに押付ける。
【0034】
ここで、上記のようにして電動モータ19の回転でピストン40を進退させる差動歯車減速機構22およびボールランプ機構21が、ディスクロータ11にブレーキパッド14,15を押圧させる推力機構105を構成しており、この推力機構105における相対回転部分にはグリス等の潤滑剤が塗布されている。
【0035】
そして、この推力機構105は、特に潤滑剤によって生じる粘性抵抗が温度により大きく変化することから、低温での粘性抵抗増大による電動キャリパ10の応答性の低下や、高温での粘性抵抗減少による電動キャリパ10の制御安定性の低下等の影響を低減するために、本実施形態では、主としてペダルセンサ102から出力されるペダルセンサ信号に応じた電流を電動モータ19に供給して制動力を制御するコントローラ100で、推力機構105の粘性係数の推定値を算出し、電動モータ19へ供給する電流値をこの粘性係数に応じて調整する制御を行う。
【0036】
次に、コントローラ100の制御内容について図2のフローチャートにしたがって説明する。なお、このフローチャートに示される制御は一定制御周期毎に実行される処理である。
【0037】
コントローラ100は、まず、ステップSA1においてブレーキスイッチ103から出力されるブレーキスイッチ信号を読み込み、ブレーキペダル101が操作されてブレーキスイッチ103がオンされているかブレーキペダル101が操作されずブレーキスイッチ103がオフされているかを判定する。そして、ステップSA1においてブレーキスイッチ103がオンされていればステップSA2に進み、そうでなければステップSA6に進む。
【0038】
ステップSA2では、ブレーキペダル101の操作に応じた制動力を発生させるために、ペダルセンサ102から出力されるペダルセンサ信号を読み込む。そして、このペダルセンサ信号が示すブレーキペダル101の操作量であるペダル操作量に基づいて、予め設定された関数によりピストン40に発生させる目標ピストン推力を算出し、その後ステップSA3に進む。
【0039】
ステップSA3では、ピストン40をディスクロータ11の方向に移動させるピストン推力発生方向に電動モータ19を駆動しブレーキパッド14,15のディスクロータ11への接触を開始させるときの電動モータ19のモータ位置であるパッド接触位置の補正処理を行い、その後ステップSA4に進む。この補正処理は、推力センサ46の信号に基づいて行われるもので、例えば、推力センサ46の信号がゼロ点電圧となった時点で位置検出器20により検出される電動モータ19のモータ位置をパッド接触位置として記憶する等である。
【0040】
ステップSA4では、コントローラ100内に記憶された推力機構105の現在の粘性係数を読み込み、その後、ステップSA5に進む。この現在の粘性係数は最も最近に後述するステップSA13において算出され記憶されたものである。この粘性係数は、電動キャリパ10の環境温度によって変動するパラメータであって主に推進機構105内の潤滑剤の温度特性によるものであり、上記したように低温では増大して電動キャリパ10の応答性の低下を、高温では減少して電動キャリパ10の制御安定性の低下等を引き起こすものであることから、これらの影響を低減するために粘性係数に応じて電動キャリパ10を制御する。
【0041】
ステップSA5では、ステップSA2で算出した目標ピストン推力と、フィードバック値である推力センサ46から読み込んだピストン40の実ピストン推力を示す推力センサ信号とから、目標ピストン推力をピストン40に発生させるための電動モータ19に対する電流値である目標モータ電流値(制御量)を算出し、その後、ステップSA16に進む。このステップSA5で算出されるピストン推力制御の目標モータ電流値は、粘性係数に応じて調整される。
【0042】
この電流値の算出についてPID制御の場合を例として説明すると、PID制御を適用した場合、コントローラ100は、図3に示すように、目標ピストン推力と実ピストン推力との偏差から比例ゲインKpを算出し、目標ピストン推力と実ピストン推力との偏差の積分値から積分ゲインKiを算出して、目標ピストン推力と実ピストン推力との偏差の微分値から微分ゲインKdを算出する。そして、これらの和である制御ゲインKを粘性係数に応じて調整して電動モータ19を制御するための目標モータ電流値とする。
【0043】
ここで、図4に示すような制御マップにしたがって、粘性係数が大きいほど制御ゲインKが比例的に大きくなるように調整して目標モータ電流値とする。つまり、粘性係数が大きいほど推力機構105内の粘性抵抗が大きく電動キャリパ10の応答性が低下するため、制御ゲインKを大きくして目標モータ電流値を大きくする一方、粘性係数が小さいほど推力機構105内の粘性抵抗が小さく電動キャリパ10の制御安定性が低下するため、制御ゲインKを小さくして目標モータ電流値を小さくする。このようにして、環境温度によって変動する電動キャリパ10の応答性および制御安定性を一定に保つように制御する。
【0044】
上記したステップSA1においてブレーキペダル101が操作されずブレーキスイッチ103がオフされていれば、ステップSA6において図示せぬスロットルスイッチから出力されるスロットルスイッチ信号を読み込み、例えば図示せぬスロットルペダルが操作されてスロットルスイッチがオンされているかスロットルペダルが操作されずスロットルスイッチがオフされているかを判定する。そして、ステップSA6において、スロットルスイッチがオンされていればステップSA7に進み、そうでなければステップSA8に進む。
【0045】
つまり、ステップSA6においてスロットルスイッチがオンされていることが検出されると、運転者によるブレーキペダル101の操作が行われないと推定して、ステップSA7において粘性係数算出処理を行うための係数算出処理フラグをセットして、ステップSA8に進む。
【0046】
他方、ステップSA6においてスロットルスイッチがオフされていることが検出されると、運転者によるブレーキペダル101の操作がすぐに行われるものと推定し(つまり制動力付加の予兆を検出し)、粘性係数算出処理を行うための係数算出処理フラグをセットせずに、ステップSA8に進む。つまり、運転者はアクセルペダルおよびブレーキペダル101のいずれも操作していない状態は少ないためステップSA1でブレーキペダル101の操作が検出されず、ステップSA6でスロットルペダルの操作が検出されていなければ、これらから制動力付加の予兆を検出する。ここで、制動力付加の予兆の検出をスロットルスイッチを用いて行う以外にも、運転者のブレーキペダル101の操作に関わらず制動力を付加して車両の運動制御を行うブレーキ装置の場合、この車両運動制御の信号を用いて行っても良い。
【0047】
ステップSA8では、係数算出処理フラグがセットされていなければ、ステップSA9以降の電動モータ19のモータ位置を制御する処理へ移行させ、係数算出処理フラグがセットされていれば、ステップSA12以降の粘性係数の算出のための電動モータ19の速度を制御する処理へ移行させる。
【0048】
ステップSA8にて係数算出処理フラグがセットされていなければ、ステップSA9において、上記したステップSA3において求められたパッド接触位置を電動モータ19の目標とするモータ位置である目標モータ位置として設定し、その後、ステップSA10に進む。ここで、この目標モータ位置は、ステップSA3において求められたパッド接触位置そのものではなく、このパッド接触位置からピストン40をディスクロータ11に対し反対方向に移動させるピストン推力解除方向に所定量戻した位置としても良い。このステップSA9でブレーキパッド14,15がディスクロータ11を押圧しない位置に目標モータ位置が設定される。
【0049】
ステップSA10では、コントローラ100内に記憶された推力機構105の現在の粘性係数を読み込み、その後、ステップSA11に進む。この粘性係数は最も最近に後述するステップSA13において算出され記憶されたものである。
【0050】
ステップSA11では、ステップSA9で設定された目標モータ位置とフィードバック値である位置検出器20から読み込んだ電動モータ19の実際のモータ位置である実モータ位置とから、電動モータ19のモータ位置を目標モータ位置にするための電動モータ19に対する電流値である目標モータ電流値(制御量)を算出し、その後、ステップSA16に進む。このステップSA11で算出されるモータ位置制御の目標モータ電流値も、ステップSA5において算出されるピストン推力制御の目標モータ電流値と同様に粘性係数に応じて調整される。
【0051】
ステップSA8にて係数算出処理フラグがセットされていれば、ステップSA12において、電動モータ19のモータ速度を算出し、その後、ステップSA13に進む。このモータ速度は電動モータ19のモータ位置を時間で微分することよって算出される。
【0052】
ステップSA13では、ステップSA12で算出されたモータ速度等を用いて推力機構105の粘性係数を算出する粘性係数算出処理を行い(後述するステップSB1〜SB11)、その後、ステップSA14に進む。ここで、上記したステップSA6でアクセルペダルの操作が検出された時点では、ブレーキパッド14,15がディスクロータ11を押圧しない位置に戻されているため、このステップSA6でアクセルペダルの操作が検出された後に実行されるステップSA13の粘性係数算出処理は、ブレーキパッド14,15がディスクロータ11を押圧しない範囲にあるとき実行される。
【0053】
ステップSA14では、ステップSA13の粘性係数算出処理で算出された粘性係数を読み込み、その後、ステップSA15に進む。
【0054】
ステップSA15では、ステップSA13の粘性係数算出処理で設定された目標モータ速度(後述する)とフィードバック値である位置検出器20から読み込んだ電動モータ19の実際のモータ位置の時間微分である実モータ速度とから、電動モータ19のモータ速度を目標モータ速度にするための電動モータ19に対する電流値である目標モータ電流値(制御量)を算出し、その後、ステップSA16に進む。このステップSA15で算出されるモータ速度制御の目標モータ電流値も、ステップSA5において算出されるピストン推力制御の目標モータ電流値と同様に粘性係数に応じて調整される。
【0055】
ステップSA16では、ステップSA5、ステップSA11、ステップSA15のうち直前に実行されたステップで設定された目標モータ電流値を電動モータ19に流す。
以上が一定制御周期で実行されるコントローラ100の制御内容である。
【0056】
次に、ステップSA13の粘性係数算出処理の詳細について図5のフローチャートにしたがって説明する。
【0057】
ステップSB1において、コントローラ100内に記憶された現在の目標モータ速度を読み込み、この目標モータ速度が所定値V2であるか否かを判定する。そして、目標モータ速度が所定値V2でない場合はステップSB2に進み、目標モータ速度が所定値V2である場合はステップSB6に進む。この現在の目標モータ速度は、後述するステップSB3、ステップSB5、ステップSB7およびステップSB10のうちの最も最近に実行されたステップにおいて設定され記憶されたものである。
【0058】
ステップSB1にて現在の目標モータ速度が所定値V2でないと判定された場合に、ステップSB2において、目標モータ速度が所定値V1でありかつ目標モータ速度が所定値V1となってから予め設定された一定時間が経過しているか、否かを判定する。そして、目標モータ速度が所定値V1でありかつ一定時間が経過している場合はステップSB4に進み、そうでない場合はステップSB3に進んで、目標モータ速度を所定値V1に設定する。
【0059】
ステップSB4では、電動モータ19を駆動する現在のモータ電流を読み込みこれをモータ電流I1として記憶し、その後、ステップSB5へ進む。ここで、モータ電流の上記一定時間内の平均値、移動平均値およびメディアンフィルタ(一定時間の標本を昇順に並べ中央値を出力するフィルタ)の出力値等をモータ電流I1として記憶しても良い。
【0060】
ステップSB5では、目標モータ速度を所定値V1とは異なる所定値V2に設定する。
【0061】
ステップSB1にて現在の目標モータ速度が所定値V2であると判定された場合に、ステップSB6において、目標モータ速度が所定値V2でありかつ目標モータ速度が所定値V2となってから予め設定された一定時間が経過しているか、否かを判定する。そして、目標モータ速度が所定値V2でありかつ上記一定時間が経過している場合はステップSB8に進み、そうでない場合はステップSB7に進んで、目標モータ速度を所定値V2に設定する。
【0062】
ステップSB8では、電動モータ19への現在のモータ電流をI2として記憶し、その後、ステップSB9へ進む。ここで、この場合もモータ電流の一定時間内の平均値、移動平均値およびメディアンフィルタの出力値等をモータ電流I2として記憶しても良い。
【0063】
ここで、例えば、制動が行われた後、ブレーキペダル101の操作が解除され、続いてスロットルペダルが操作されると、ステップSA1、ステップSA6、ステップSA7、ステップSA8、ステップSA12、ステップSA13がこの順に実行される。すると、ステップSA13におけるステップSB1からSB8までの処理では、例えば図6に示すように、制動解除後の初期にステップSB1で目標モータ速度がV2でなくステップSB2で所定の一定時間が経過していないことから、まず、ステップSB3で目標モータ速度V1が設定される(t0時点)。そして、ステップSB2で所定の一定時間が経過するまでパッド接触位置からモータ速度V1で電動モータ19が後退させられる(t0時点〜t1時点)。そして、所定の一定時間が経過すると、ステップSB2からステップSB4に移行してそのときのモータ電流I1を記憶する(t1時点)。そして、ステップSB5でV1とは異なる目標モータ速度V2が設定される。そして、ステップSB6で所定の一定時間が経過するまでモータ速度V2で電動モータ19が後退させられる(t1時点〜t2時点)。そして、所定の一定時間が経過すると、ステップSB6からステップSB8に移行してそのときのモータ電流I2を記憶する(t2時点)。
【0064】
ステップSB9においては、以上のモータ速度V1,V2およびモータ電流I1,I2から、推力機構105の粘性係数を算出し、その後、ステップSB10において目標モータ速度を0に設定し、係数算出処理フラグをリセットする。
【0065】
ここで、ステップSB9において、例えば、モータ速度V1,V2に対する常温のモータ電流I1,I2とし、低温のモータ電流をI1’,I2’とすると、これらのモータ電流値は、電動キャリパ10の環境温度に応じて図6(c),(d)に示すように、I1<I1’、I2<I2’の関係となる。そして、図7に示すように、モータ速度を横軸にとりモータ電流を縦軸にとって(V1,I1)点および(V2,I2)点をプロットしてこれらを直線で結び、また、(V1,I1’)点および(V2,I2’)点をプロットしてこれらを直線で結ぶと、常温および低温それぞれの直線の傾きに違いが生じ、それぞれの傾きからそれぞれの粘性係数を求めることができる。すなわち、トルク定数をktとすると、粘性抵抗〔Nm〕はkt(I1−I2)で求められることになり、粘性係数〔Nm/(rad/s)〕はkt(I1−I2)/(V1−V2)で求められることになるため、上記直線の傾きにトルク定数ktを乗算したものが粘性抵抗となる。なお、上記のように速度を2段階として2点から粘性係数を求めるのではなく、速度を3段階以上として3点以上の値から最小2乗近似法等により近似直線を求めることで算出すれば粘性係数の精度を高めることができる。また、粘性係数は、モータトルクをモータ速度で除したものであり、電流値をモータ速度で除した値に近似されるため、これを用いて算出することも可能であるが、上記のようにモータ速度を複数として粘性係数を求めれば、無負荷トルクによる影響を排除することができる。
【0066】
以上のようにしてステップSA13で算出された粘性抵抗がステップSA5におけるピストン推力制御の制御ゲインすなわち目標モータ電流値の調整、ステップSA11におけるモータ位置制御の制御ゲインすなわち目標モータ電流値の調整およびステップSA15におけるモータ速度制御の制御ゲインすなわち目標モータ電流値の調整に用いられる。なお、このようにして算出した推力機構105の粘性係数を用いて車両運動制御の制御ゲインを調整するようにしても良い。
【0067】
以上に述べた本実施形態のブレーキ装置によれば、コントローラ100が、ディスクロータ11にブレーキパッド14,15を押圧させる推力機構105の粘性係数を算出し、推力機構105を駆動する電動モータ19へ供給する制動指示信号に応じた電流値を、温度条件の違いによる影響を受けやすいこの粘性係数に応じて調整することになるため、温度条件の違いによる影響を低減することができる。
【0068】
つまり、コントローラ100は、推力機構105によるブレーキパッド14,15の移動位置を検出する位置検出器20の出力に基づいて、ブレーキパッド14,15がディスクロータ11を押圧しない範囲で推力機構105を等速度、具体的には複数の異なる等速度V1,V2に切り換えて駆動し、各駆動時の各等速度V1,V2と電動モータ19への各電流値I1,I2とに基づいて推力機構105の粘性係数を算出するため、粘性係数をさらに正確に算出することができる。よって、ペダルセンサ102から出力されるペダルセンサ信号に応じて電動モータ19へ供給する電流値をより正確に算出された粘性係数に応じて調整することになるため、温度条件の違いによる影響をさらに確実に低減することができる。したがって、広範囲の環境温度下でも精度を確保でき、良好に使用することがさらに確実にできる。
【0069】
なお、上記実施形態は、以下のように変更することも可能である。
【0070】
イグニッションキーのオンによるコントローラ100を含む車両制御システムの起動時において、車両の停車保持を確認した時に限り、ブレーキペダル101の操作に関わらず上記した粘性係数算出処理を行うようにする。ここで、オートマチックトランスミッションが搭載された車両においては、シフトポジションがP(パーキング)レンジとされていることをシフトポジションスイッチで検出することによって車両の停車保持を確認できる。また、マニュアルトランスミッションが搭載された車両においては、シフトポジションがニュートラル位置とされていることをシフトポジションスイッチで検出し、かつクラッチペダルスイッチがオフされてクラッチペダルの操作なしを検出し、かつパーキングブレーキスイッチがオンされてパーキングブレーキの操作有りを検出することによって車両の停車保持を確認できる。
【0071】
このように、ブレーキペダル101の操作時に加えて、車両制御システムの起動時において上記した粘性係数算出処理を行えば、温度条件の違いによる影響をさらに確実に低減することができ、広範囲の環境温度下でも精度を確保できる。
【0072】
上記した粘性係数算出処理を、ブレーキペダル101の操作が行われると事前に推定される際に行うようにする。例えば、図8に示すように、スロットルスイッチがオンでスロットルペダルの操作有りを検出している時点(t3時点)では、電動モータ19のモータ位置をパッド接触位置に対してピストン推力解除方向に所定量戻した位置に位置するように制御しておく。そして、スロットルスイッチがオンからオフとなりスロットルペダルが操作有りから操作なしに切り替わった時点(t4)では、運転者によるブレーキペダル101の操作がすぐに行われるものと推定し(つまり制動力付加の予兆を検出し)、粘性係数算出処理を行う。つまり、電動モータ19を所定値V1のモータ速度でピストン推力発生方向に駆動し、所定時間経過後の時点(t5)で、電動モータ19を所定値V1とは異なる所定値V2のモータ速度でピストン推力発生方向に駆動する。そして、モータ速度V1,V2および各モータ速度におけるモータ電流I1,I2から、上記と同様にして推力機構の粘性係数を算出する。モータ速度V2での駆動の終了時点(t6)で電動モータ19のモータ位置がパッド接触位置となるように制御することで、この後、ブレーキペダル101が操作されても応答遅れを生じることがない。なお、制動力付加の予兆の検出を、スロットルスイッチのオンからオフへの切り替えで行う以外にも、スロットル開度センサや車体速度を用いて行っても良い。さらに、運転者のブレーキペダル101の操作に関わらずブレーキ装置を使用して制動力を付加して車両の運動制御を行うブレーキ装置の場合、この車両運動制御の予兆信号を用いて行っても良い。
【0073】
このように、コントローラ100が制動力付加の予兆を検出したときに推力機構105の粘性係数を算出すれば、制動力付加時点に近い条件で粘性係数を算出することができる。よって、電動モータ19へ供給する電流値を制動力付加時点において最新の粘性係数で調整することになるため、例えば短時間で温度条件に違いが生じる場合の影響を低減することができ、温度条件の違いによる影響をより一層確実に低減することができる。したがって、広範囲の環境温度下でも精度を確保でき、良好に使用することがより一層確実にできる。
【0074】
この場合、制動力付加の予兆を検出し粘性係数算出処理を行う条件が成立しても、前回処理を行った時点から予め設定された所定時間経過していなければ粘性係数算出処理を行わないようにしても良い。これにより、頻繁に粘性係数算出処理が行われて消費電力が増加することを防止できる。
【0075】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に係る発明によれば、電流値調整手段が、ディスクロータにブレーキパッドを押圧させる推力機構の粘性係数を非制動時に電動アクチュエータを駆動して算出し、推力機構を駆動する電動アクチュエータへ供給する制動指示信号に応じた電流値を、温度条件の違いによる影響を受けやすいこの粘性係数に応じて調整することになるため、温度条件の違いによる影響を低減することができる。したがって、広範囲の環境温度下でも精度を確保でき、良好に使用することができる。
【0076】
請求項2に係る発明によれば、粘性係数推定手段が、ブレーキパッドがディスクロータを押圧しない範囲で推力機構を駆動し、推力機構によるブレーキパッドの移動位置を検出する位置検出手段の出力に基づく当該駆動時の推力機構の速度と電動アクチュエータへの電流値に基づいて推力機構の粘性係数を算出する
また、請求項3に係る発明によれば、前記粘性係数推定手段は、前記推力機構を等速度で駆動し、該駆動時の前記電動アクチュエータへの電流値を検出し、当該電流値と前記等速度とに基づいて前記推力機構の粘性係数を算出する。このため、粘性係数をより正確に算出することができる。よって、電動アクチュエータへ供給する制動指示信号に応じた電流値をより正確に算出された粘性係数に応じて調整することになるため、温度条件の違いによる影響を確実に低減することができる。したがって、広範囲の環境温度下でも精度を確保でき、良好に使用することが確実にできる。
【0077】
請求項に係る発明によれば、粘性係数推定手段が、推力機構によるブレーキパッドの移動位置を検出する位置検出手段の出力に基づいて、ブレーキパッドがディスクロータを押圧しない範囲で推力機構を複数の異なる等速度に切り換えて駆動し、各駆動時の電動アクチュエータへの電流値を検出し、各等速度と各電流値とに基づいて推力機構の粘性係数を算出するため、粘性係数をさらに正確に算出することができる。よって、電動アクチュエータへ供給する制動指示信号に応じた電流値をさらに正確に算出された粘性係数に応じて調整することになるため、温度条件の違いによる影響をさらに確実に低減することができる。したがって、広範囲の環境温度下でも精度を確保でき、良好に使用することがさらに確実にできる。
【0078】
請求項に係る発明によれば、ブレーキ予兆検出手段により制動力付加の予兆を検出したときに粘性係数推定手段により推力機構の粘性係数を算出することになるため、制動力付加時点に近い条件で粘性係数を算出することができる。よって、電動アクチュエータへ供給する制動指示信号に応じた電流値を制動力付加時点において最新の粘性係数で調整することになるため、例えば短時間で温度条件に違いが生じる場合の影響を低減することができ、温度条件の違いによる影響をより一層確実に低減することができる。したがって、広範囲の環境温度下でも精度を確保でき、良好に使用することがより一層確実にできる。
【0079】
請求項に係る発明によれば、電流値調整手段が、ブレーキパッドがディスクロータを押圧しない範囲で推力機構を駆動し、当該駆動時における推力機構によるブレーキパッドの移動位置を検出する位置検出手段の出力に基づく推力機構の速度と電動アクチュエータへの電流値に基づいて、電動アクチュエータへ供給する制動指示信号に応じた電流値を調整することになるため、温度条件の違いによる影響を確実に低減することができる。したがって、広範囲の環境温度下でも精度を確保でき、良好に使用することが確実にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態のブレーキ装置を示す電動キャリパを断面とした構成図である。
【図2】 本発明の一実施形態のブレーキ装置におけるコントローラの制御内容を示すフローチャート図である。
【図3】 本発明の一実施形態のブレーキ装置におけるコントローラの目標モータ電流値を演算する際の制御ブロック図である。
【図4】 本発明の一実施形態のブレーキ装置におけるコントローラの制御マップを示す図である。
【図5】 本発明の一実施形態のブレーキ装置におけるコントローラの粘性係数算出処理の制御内容を示すフローチャート図である。
【図6】 本発明の一実施形態のブレーキ装置のタイミングチャート図であって、(a)はモータ位置を、(b)はモータ速度を、(c)は常温時のモータ電流値を、(d)は低温時のモータ電流値をそれぞれ示すものである。
【図7】 本発明の一実施形態のブレーキ装置のモータ速度に対するモータ電流値を示す特性線図である。
【図8】 本発明の一実施形態のブレーキ装置の変形例のタイミングチャート図であって、(a)はスロットルスイッチの状態を、(b)はモータ位置を、(c)はモータ速度を、(d)はモータ電流値をそれぞれ示すものである。
【符号の説明】
10 電動キャリパ
11 ディスクロータ
14,15 ブレーキパッド
19 電動モータ(電動アクチュエータ)
20 位置検出器(位置検出手段)
100 コントローラ(制御手段,電流値調整手段,粘性係数推定手段,ブレーキ予兆検出手段)
105 推力機構

Claims (6)

  1. ディスクロータにブレーキパッドを押圧させる推力機構と該推力機構を駆動する電動アクチュエータとを内包する電動キャリパと、制動指示信号に応じた電流を前記電動アクチュエータに供給して制動力を制御する制御手段とを有するブレーキ装置において、
    前記制御手段は、非制動時に前記電動アクチュエータを駆動して前記推力機構の粘性係数を算出し、前記制動指示信号に応じて前記電動アクチュエータへ供給する電流値を前記粘性係数に応じて調整する電流値調整手段を有することを特徴とするブレーキ装置。
  2. 前記電動キャリパ内には前記推力機構による前記ブレーキパッドの移動位置を検出する位置検出手段が設けられ、
    前記電流値調整手段は、前記ブレーキパッドが前記ディスクロータを押圧しない範囲で前記推力機構を駆動し、当該駆動時における前記位置検出手段の出力に基づく前記推力機構の速度と前記電動アクチュエータへの電流値とに基づいて前記推力機構の粘性係数を算出する粘性係数推定手段を有することを特徴とする請求項1記載のブレーキ装置。
  3. 前記粘性係数推定手段は、前記推力機構を等速度で駆動し、該駆動時の前記電動アクチュエータへの電流値を検出し、当該電流値と前記等速度とに基づいて前記推力機構の粘性係数を算出することを特徴とする請求項2記載のブレーキ装置。
  4. 前記粘性係数推定手段は、複数の異なる等速度に切り換えて前記推力機構を駆動するとともに、各駆動時の前記電動アクチュエータへの電流値を検出し、各駆動時の前記等速度と前記電流値とに基づいて前記推力機構の粘性係数を算出することを特徴とする請求項2または3記載のブレーキ装置。
  5. 前記制御手段は、制動力付加の予兆を事前に検出するブレーキ予兆検出手段を有し、該ブレーキ予兆検出手段により制動力付加の予兆を検出したときに前記粘性係数推定手段により前記推力機構の粘性係数を算出することを特徴とする請求項2乃至4記載のブレーキ装置。
  6. ディスクロータにブレーキパッドを押圧させる推力機構と該推力機構を駆動する電動アクチュエータと前記推力機構による前記ブレーキパッドの移動位置を検出する位置検出手段とを内包する電動キャリパと、制動指示信号に応じた電流を前記電動アクチュエータに供給して制動力を制御する制御手段とを有するブレーキ装置において、
    前記制御手段は、前記ブレーキパッドが前記ディスクロータを押圧しない範囲で前記推力機構を駆動し、当該駆動時における前記位置検出手段の出力に基づく前記推力機構の速度と前記電動アクチュエータへの電流値とに基づいて、前記制動指示信号に応じて前記電動アクチュエータへ供給する電流値を調整する電流値調整手段を有することを特徴とするブレーキ装置。
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