JP4232130B2 - レーザ装置並びにこのレーザ装置を用いた光照射装置および露光方法 - Google Patents

レーザ装置並びにこのレーザ装置を用いた光照射装置および露光方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ装置に係り、特に半導体素子、液晶表示素子、撮像素子(CCDなど)、及び薄膜磁気ヘッドなどのマイクロデバイスを製造するフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置用光源のように、低コヒーレンスでスペックルの発生を抑制することができる紫外光を発生することが可能なレーザ装置及びこのようなレーザ装置を用いた露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報機器の進歩に伴い、半導体集積回路には機能の充実、記憶容量の向上、小型化などが求められており、そのためには集積回路の集積度を上げる必要がある。この集積度を上げるためには個々の回路パターンを小さくすればよいわけであるが、回路の最小パターン寸法は、一般的には製造過程で使用される露光装置の性能によって決定される。
【0003】
光リソグラフィによる露光装置は、フォトマスク上に精密に描かれた回路パターンを、フォトレジストを塗布した半導体ウエハー上に光学的に縮小投影し、転写する。この露光時におけるウエハー上での最小パターン寸法(解像度)Rは、露光装置で投影するために用いる光源の波長λ、投影光学系の開口数NAによって次式(1)で、また焦点深度DFは次式(2)で示される。
R=K・λ/NA・・・・・・(1)
DF=λ/2(NA)2 ・・・(2)
【0004】
上記の式(1)から明らかなように、最小パターン寸法Rを小さくするためには、この定数Kを小さくする方向、開口数NAを大きくする方向、そして投影する光源の波長λを小さくする方向、の3方向があることがわかる。
【0005】
ここで定数Kは投影光学系やプロセスによって決まる定数であり、通常0.5〜0.8程度の値をとる。この定数Kを小さくする方法は、広い意味での超解像と呼ばれている。今までに、投影光学系の改良、変形投影、フェーズシフトマスク法などが提案、研究されてきた。しかし、適用できるパターンに制限があるなどの難点があった。一方、開口数NAは(1)式からその値が大きいほど最小パターン寸法Rを小さくできるが、このことは同時に(2)式から明らかなように焦点深度が浅くなってしまうことを意味する。このため、NA値は大きくするにも限界があり、通常はこれら両者のかねあいから0.5〜0.6程度が適当とされている。
【0006】
従って、最小パターン寸法Rを小さくするのに最も単純かつ有効な方法は、露光に用いる光の波長λを小さくすることである。ここで短波長化の実現とあわせ、露光装置の光源を作る上で備えるべき条件がいくつかある。以下これらの条件について説明する。
【0007】
第1に、数ワットの光出力が求められる。これは集積回路パターンの露光、転写に要する時間を短く保つために必要である。
【0008】
第2に、波長300nm以下の紫外光の場合には、露光装置のレンズとして使用できる材料が限られ、色収差の補正が難しくなってくる。このため光源の単色性が必要であり、スペクトルの線幅は1pm以下にすることが求められる。
【0009】
第3に、このスペクトル線幅の狭帯域化にともない時間的コヒーレンス(干渉性)が高くなるため、狭い線幅の光をそのまま照射すると、スペックルと呼ばれる不要な干渉パターンが生ずる。従ってこのスペックル発生を抑制するために、光源ではその空間的コヒーレンスを低下させる必要がある。
【0010】
これらの条件を満たし、かつ高解像度を実現するため露光光源の短波長化に対し多くの開発がなされてきた。これまで検討されてきた短波長化の方向は主に次の2種に大別される。その一つはレーザの発振波長自身が短波長であるエキシマレーザの露光装置への適用開発であり、もう一つは赤外又は可視光レーザの高調波発生を利用した短波長露光光源の開発である。
【0011】
このうち、前者の方法を用いて実用化された短波長光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)が使用されており、現在ではさらに短波長の光源としてArFエキシマレーザ(波長193nm)を使用する露光装置の開発が進められている。しかし、これらのエキシマレーザは大型であること、1パルスあたりのエネルギーが大きいことにより光学部品の損傷が生じやすいこと、有毒なフッ素ガスを使用するためレーザのメインテナンスが煩雑でかつ費用が高額となることなど種々の問題があった。
【0012】
また後者の方法としては、非線形光学結晶の2次の非線形光学効果を利用して、長波長の光(赤外光、可視光)をより短波長の紫外光に変換する方法がある。例えば「Longitudinally diode pumped continuous wave 3.5W green laser (L. Y. Liu, M. Oka, W. Wiechmann and S. Kubota, Optics Letters, vol.19(1994),p189)」では、半導体励起の固体レーザからの光を波長変換するレーザ光源が開示されている。この従来例では、Nd:YAGレーザの発する1064nmのレーザ光を、非線形光学結晶を用いて波長変換し、4倍高調波の266nmの光を発生させる方式が記載されている。なお、固体レーザとは、レーザ媒質が固体であるレーザの総称である。従って広義には、半導体レーザも固体レーザに含まれるが、通常は固体レーザというと、例えばNd:YAGレーザやルビーレーザのように光によって励起される固体レーザのことをさす。ここでもそのように区別する。
【0013】
また、固体レーザを用いて露光装置の光源とした例では、レーザ光を発生するレーザ光発生部と、このレーザ光発生部からの光を紫外光に波長変換する波長変換部とから構成されるレーザ要素を、複数マトリックス状に束ねたアレイレーザが提案されている。例えば特開平8−334803号公報では、半導体レーザを備えたレーザ光発生部からの光を、波長変換部に設けた非線形光学結晶により波長変換し、紫外光を発生させるひとつのレーザー要素を、複数本マトリックス状(例えば10×10)に束ねて一つの紫外光源とするアレイレーザの例が開示されている。
【0014】
前記のような構成のアレイレーザでは、個々に独立なレーザ要素を複数本束ねることによって、個々のレーザ要素の光出力を低く押さえつつ、装置全体の光出力を高出力とすることができる。このため非線形光学素子への負担を軽減することができる。しかし、一方では、個々のレーザ要素が独立していることから、露光装置への適用を考慮した場合には、レーザ要素全体でその発振スペクトルを一致させる必要がある。例えば、個々のレーザ要素についてその発振スペクトル線幅が1pm以下であっても、複数のレーザ要素全体で、相互の波長の差が3pmであってはならなず、全幅で1pm以下とする必要がある。
【0015】
このためには、例えば、各レーザ要素に自律的に同一波長の単一縦モード発振をさせるためには、各々のレーザ要素の共振器長を調整し、あるいは共振器中に波長選択素子を挿入したりする必要があった。しかし、これらの方法は、その調整が微妙であること、構成するレーザ要素が多くなればなるほど全体を同一波長で発振させるのに複雑な構成が必要になること等の問題があった。
【0016】
一方、これら複数のレーザを能動的に単一波長化する方法としてインジェクションシード法がよく知られている(例えば、Walter KoechnerによるSolid-state Laser Engineering, 3rd Edition, Springer Series in Optical Science, Vol.1, Springer-Verlag, ISBN 0-387-53756-2, p246-249)。これは、発振スペクトル線幅の狭い単一のレーザ光源からの光を複数のレーザ要素に分岐し、このレーザ光を誘導波として用いることにより、各レーザ要素の発振波長を同調させ、かつスペクトル線幅を狭帯域化するという方法である。しかしこの方法では、シード光を各レーザ要素に分岐する光学回路や、発振波長の同調制御部を必要とするため構造が複雑になるという問題があった。
【0017】
さらに、このようなアレイレーザは、従来のエキシマレーザに比べて装置全体を格段に小さくすることが可能だが、それでもアレイ全体の出力ビーム系を数センチメートル以下におさえるパッケージングは困難であった。また、このように構成されたアレイレーザでは、各アレーごとに波長変換部が必要となるため高価となること、アレイを構成するレーザ要素の一部にアライメントずれが生じた場合や構成する光学素子に損傷が発生した場合に、このレーザ要素の調整をするためには、一度アレイ全体を分解してこのレーザ要素を取り出し、調整した上で再度アレイを組み立て直す必要があること、などの課題があった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点、例えば露光装置の紫外光源としてエキシマレーザを用いた場合に生ずる問題であるところの、装置の大型化、有毒なフッ素ガスの使用、メインテナンスの煩雑さと高価さなどという諸問題や、露光装置の紫外光源として例えばNd:YAGレーザなどの様な固体レーザの高調波を用いた場合に考えられる非線形光学結晶の損傷や、空間的コヒーレンスの増加に伴うスペックル発生等の問題、また露光装置の紫外光源として、紫外光を発生する複数のレーザ要素をマトリックス状に束ねたアレイレーザを用いた場合に考えられる同調機構を含めた構造の複雑さや出力ビーム径小型化の難しさ、メインテナンスの煩雑さ等の問題を考慮してなされたものである。
【0019】
すなわち、本発明の目的は露光装置の光源として充分に狭帯域化された単一波長の紫外光を、空間的コヒーレンスの低い紫外光出力として安定して発生することにあり、あわせてコンパクトで取り扱いの容易なレーザ装置を提供することにある。また、このような小型で取り扱いの容易なレーザ装置を光源として用いたコンパクトで自由度の高い露光装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のレーザ装置は、赤外域から可視域までの波長範囲内で単一波長のパルス状のレーザ光を発生させるレーザ光発生部と、前記レーザ光発生部から発生させるレーザ光の発振波長を制御する発振波長制御手段と、前記レーザ光発生部から入射される単一波長のパルス光を複数に分岐する光分岐手段と、前記光分岐手段から分岐されて出力される複数の分岐光をそれぞれ複数回増幅する複数のファイバー光増幅器を有する複数の光増幅器と、前記複数の光増幅器により増幅された分岐光を非線形光学結晶を用いて波長変換する波長変換部とを備え、前記レーザ光発生部は、パルス光を発生する光源と、当該パルス光の一部を切り出してパルス幅を狭める光変調器とを有して、パルス幅が狭められたパルス光が前記光分岐手段に入射され、前記光分岐手段は、前記レーザ光発生部から入射された前記パルス光を複数に分岐するとともに、分岐された各パルス光が互いに時間的に重ならない状態の分岐光として出射し、空間的コヒーレンスが低い単一波長の紫外光を発生するように構成される。
【0021】
上記レーザ装置において、好ましくは、前記光分岐手段は、前記レーザ光発生部から入射されたパルス光を複数に並列分岐するスプリッタを有するとともに、前記スプリッタの射出側に互いに長さの異なるファイバーが設けられ、前記互いに長さの異なるファイバーの出力端において、前記並列分岐された各パルス光が互いに時間的に重ならない状態の分岐光となるように構成する。
さらに好ましくは、前記互いに長さの異なるファイバーは、その出力端における前記複数の分岐光の遅延間隔が、前記スプリッタに入射するパルス光の繰り返し周波数と前記スプリッタにより並列分岐される分岐光路数との積の逆数となるようにその長さがそれぞれ定められ、それにより前記ファイバーのそれぞれの出力端における前記複数の分岐光の遅延間隔が略一定間隔となる。
【0022】
上記レーザ装置において、好ましくは、前記光分岐手段は、時分割光分岐手段(Time Division Multiplexer)を有し、前記レーザ光発生部から入射されたパルス光を時分割して複数に分岐することにより、分岐された各パルス光が互いに時間的に重ならない状態の分岐光となるように構成する。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記光増幅器はその出力端におけるファイバー出力端部のコアがテーパ状に広がって形成される。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記光増幅器はその出力端におけるファイバー出力端部に前記増幅したレーザ光を透過する窓部材が設けられる。
【0023】
上記レーザ装置において、好ましくは、前記光増幅器は、エルビウム・ドープ・ファイバー光増幅器を有する。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記光増幅器は、エルビウムおよびイットリビウムをともにドープしたファイバー光増幅器を有しても良い。
【0024】
上記レーザ装置において、好ましくは、前記光増幅器は、前記紫外光の出力、あるいは前記増幅した複数の分岐光の各出力を調整するために、前記並列に設けられる複数のファイバー光増幅器の各々の励起強度を制御するファイバー出力制御手段を有する。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記光増幅器は、前記増幅した複数の分岐光をそれぞれ出力する複数のファイバー出力端が1つに束ねられる、もしくは複数の出力群に分けられ、かつ出力群毎に束ねられる。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記光増幅器は、前記複数のファイバー出力端の一部を束ねた第1の出力群と、前記第1の出力群を除いた残りのファイバー出力端を1つに束ねる、もしくは複数の出力群に略均等に分けて各々束ねた第2の出力群とを有する。
【0025】
上記レーザ装置において、好ましくは、前記光増幅器は、前記出力群に各分岐光を透過する窓部材を有する。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記光増幅器は、前記複数のファイバー出力端が複数の出力群に分けられて各々束ねられ、前記波長変換部は前記出力群ごとに設けられる。
【0026】
上記レーザ装置において、好ましくは、前記波長変換部の入力側には、前記光増幅器から射出されるレーザ光を前記非線形光学結晶に集光して入射させる集光光学素子を有する。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記集光光学素子は、前記光増幅器の出力群ごとに束ねられた出力端部を、それぞれの出力群ごとにレンズとすることにより設けている。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記集光光学素子は、前記増幅したレーザ光を出力する前記光増幅器のファイバー出力端にそれぞれ設けられる。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記集光光学素子は、前記光増幅器の複数のファイバー出力端部をそれぞれレンズとすることにより設けられる。
【0027】
上記レーザ装置において、好ましくは、前記レーザ光発生部は、波長が1.5μm付近の単一波長のレーザ光を発生し、前記波長変換部は、前記光増幅器から出力される前記波長1.5μm付近の基本波を、8倍高調波又は10倍高調波の紫外光として発生させる。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記レーザ光発生部は、1.51μm〜1.59μmの範囲内に発振波長を持つDFB半導体レーザもしくはファイバーレーザを有し、前記波長変換部は、発生波長が189nm〜199nmの範囲内である8倍高調波を発生する。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記レーザ光発生部は、1.544μm〜1.552μmの範囲内に発振波長を持つレーザ光を発生し、前記波長変換部は、発生波長がArFエキシマレーザの発振波長と略同一波長である193nm〜194nmの範囲内の8倍高調波を発生する。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記波長変換部は、前記基本波と、前記基本波の7倍高調波とから、和周波発生により前記基本波の8倍高調波を発生する第1の非線形光学結晶を有する。
【0028】
上記レーザ装置において、好ましくは、 前記レーザ光発生部は、1.51μm〜1.59μmの範囲内に発振波長を持つDFB半導体レーザもしくはファイバーレーザを有し、前記波長変換部は、発生波長が151nm〜159nmの範囲内である10倍高調波を発生する。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記レーザ光発生部は、1.57μm〜1.58μmの範囲内に発振波長を持つレーザ光を発生し、前記波長変換部は、発生波長がF レーザの発振波長と略同一波長である157nm〜158nmの範囲内の10倍高調波を発生する。
【0029】
上記レーザ装置において、好ましくは、前記レーザ光発生部は、波長が1.1μm付近の単一波長のレーザ光を発生し、前記波長変換部は、前記光増幅器から出力される前記波長1.1μm付近の基本波を、7倍高調波の紫外光として発生させる。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記レーザ光発生部は、1.03μm〜1.12μmの範囲内に発振波長を持つDFB半導体レーザもしくはファイバーレーザを有し、
前記波長変換部は、発生波長が147nm〜160nmの範囲内である7倍高調波を発生する。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記レーザ光発生部は、1.099μm〜1.106μmの範囲内に発振波長を持つレーザ光を発生し、前記波長変換部は、発生波長がF レーザの発振波長と略同一波長である157nm〜158nmの範囲内の7倍高調波を発生する。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記レーザ光発生部は、イットリビウム・ドープ・ファイバーレーザを有する。
【0030】
上記レーザ装置において、好ましくは、前記複数のファイバー光増幅器の少なくとも一つの入射側に光分岐手段を更に備え、前記光分岐手段で複数に分割されるパルス光がその後段に配置されるファイバー光増幅器に入射する。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記分割された複数のパルス光をそれぞれ遅延させて前記光分岐手段の後段に配置されるファイバー光増幅器に入射させる遅延手段を更に備える。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記複数の分岐光をそれぞれ増幅する前記複数のファイバー光増幅器のうち少なくとも最終段のファイバー光増幅器は大モード径ファイバーである。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記大モード径ファイバーはZBLANファイバーである。
【0031】
上記レーザ装置において、好ましくは、前記波長変換部はNCPM(Non-Critical Phase Matching)で使用される非線形光学結晶を含む。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記波長変換部は温度制御される非線形光学結晶を含む
【0032】
上記レーザ装置において、好ましくは、前記レーザ光発生部と前記波長変換部との間における光の波長幅の広がりを抑制する光学装置を更に備える。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記光学装置はその少なくとも一部が前記レーザ光発生部と前記波長変換部との間に配置される。
【0033】
上記レーザ装置において、好ましくは、前記光学装置の少なくとも一部は前記複数のファイバー光増幅器の間に配置される。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記光学装置は狭帯域フィルタ及びアイソレータの少なくとも一方を含む。
【0034】
上記レーザ装置において、好ましくは、前記複数の分岐光の光路に配置された前記複数のファイバー光増幅器において、光学的に最も下流に配置されるファイバー光増幅器のファイバーはフッ化物系ファイバーである
上記レーザ装置において、好ましくは、前記光増幅器はその少なくとも一部がユニットとして交換可能である。
【0035】
上記レーザ装置において、好ましくは、前記レーザ光発生部と前記光増幅器との少なくとも一方に接続され、前記紫外光の発振特性を調整するための調整装置を更に備え、前記発振特性は、前記紫外光の強度、中心波長、波長幅、および発振間隔の少なくとも一つを含む。
上記レーザ装置において、好ましくは、前記調整装置は、前記紫外光と、前記紫外光と波長が異なる光との少なくとも一方の検出によって得られる情報に基づいて調整する
【0036】
本発明に係る光照射装置は、上述のレーザ装置と、前記レーザ装置から発生される紫外光物体に導く光学系とを備え、前記光学系を介して前記紫外光を前記物体に照射するように構成される。
上記光照射装置において、好ましくは、前記紫外光の照射によって、前記物体上のパターンの検出、前記物体の加工、あるいは前記物体へのパターン像の形成を行う。
上記光照射装置において、好ましくは、前記物体は、デバイス製造工程で使用される基板である。
【0037】
本発明に係る露光方法は、上述の光照射装置を用いて前記紫外光をマスクに照射するとともに、前記マスクを介して前記紫外光で前記基板を露光するように構成される。
【0038】
【発明の実施の形態】
本発明によるレーザ光源は、レーザ光発生部からの単一波長の光を光増幅器によって増幅し、この増幅された光を波長変換部に備える非線形光学結晶により紫外光に変換するように構成することにより、複雑な構成を用いることなく所要のスペクトル線幅(例えば1pm以下)の紫外光を容易に得ることができるものである。
【0039】
さらに、単一波長のレーザ光を複数に分割(又は時分割)し、この出力光を複数のファイバー光増幅器で増幅し、この増幅された光を非線形光学結晶により紫外光に変換するよう構成することにより、パルス光の1パルスあたりのピークパワーを押さえつつ光源全体としてのレーザ光出力の増大をはかり、かつ光の空間的コヒーレンスの低い紫外光を供給しようとするものである。
【0040】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、本発明に係るレーザ装置の第1の実施形態について図1を参照しながら説明する。本実施形態による紫外光発生装置は、単一波長発振レーザ11からなり単一波長のレーザー光を発生するレーザ光発生部と、ファイバー光増幅器13、18、19からなりこの光を増幅する光増幅器と、光を複数に並列分岐させる光分岐手段14、16と、各々長さの異なるファイバー15、17と、そして後述する非線形光学結晶からなり前記増幅された光を波長変換する波長変換部とから構成され、ArFエキシマレーザと同じ出力波長(193nm)あるいはF2レーザと同じ出力波長(157nm)を発生し、かつ空間的コヒーレンスの低いレーザ装置を提供するものである。
【0041】
本実施形態において、図1には本発明に係るレーザ装置のレーザ光発生部から出力された単一波長のレーザ光が分岐され増幅されるまでの構成例を示す。まず、図1に基づいて説明すると、レーザ光発生部には、単一波長のレーザ光を発生する単一波長発振レーザ11が備えられ、さらに、光分岐手段であるスプリッタ14、16と、各々長さの異なるファイバー15、17とを備え、各々長さの異なるファイバー17の射出側にはファイバー光増幅器18、19が接続され複数並列に増幅される。
【0042】
このファイバー光増幅器19の出射端はバンドル状に束ねられ、例えば図11(a)に示す波長変換部(502〜506)にその増幅されたレーザ光が入射する。図1中に示されるファイバー光増幅器19のファイバーバンドル出射端114は、図11(a)〜(d)にそれぞれ示されるファイバーバンドル出射端501に対応する。この波長変換部は、非線形光学結晶502〜504等を備えて構成され、ファイバー光増幅器19から射出される基本波を紫外光に変換する。なお、本発明に係る波長変換部については、本発明の実施の形態の後段において実施形態4〜7として詳細に説明する。
【0043】
以下、本実施形態についてより詳細に説明する。図1に示す単一波長で発振する単一波長発振レーザ11としては、例えば、発振波長1.544μm、連続波出力(以下CW出力という)20mWのInGaAsP,DFB半導体レーザを用いる。ここでDFB半導体レーザとは、縦モード選択性の低いファブリーペロー型共振器の代わりに、回折格子を半導体レーザ内に作り上げたもので、どのような状況下であっても単一縦モード発振をするように構成されており、分布帰還型(Distributed Feedback:DFB)レーザと呼ばれるものである。この様なレーザでは基本的に単一縦モード発振をすることから、その発振スペクトル線幅は0.01pm以下に抑えられる。
【0044】
なお、レーザ装置の出力波長を特定波長に固定するためには、単一波長発振レーザ(Master Oscillator)の発振波長を一定波長に制御する発振波長制御装置を設けることが好ましい。逆に、この発振波長制御装置によって単一波長発振レーザの発振波長を積極的に変化させてその出力波長を調整可能にすることも好ましい。例えば、本発明のレーザ装置を露光装置に適用する場合、前者によれば、波長変動による投影光学系の収差の発生、又はその変動が防止され、パターン転写中にその像特性(像質などの光学的特性)が変化することがなくなる。
【0045】
また、後者によれば、露光装置が組立、調整される製造現場と露光装置の設置場所(納入先)との標高差や気圧差、更には環境(クリーンルーム内の雰囲気)の違いなどに応じて生じる投影光学系の結像特性(収差など)の変動を相殺でき、納入先で露光装置の立ち上げに要する時間を短縮することが可能になる。さらに後者によれば、露光装置の稼働中に、露光用照明光の照射、及び大気圧変化などに起因して生じる投影光学系の収差、投影倍率、及び焦点位置などの変動も相殺でき、常に最良の結像状態でパターン像を基板上に転写することが可能となる。
【0046】
このような発振波長制御手段としては、例えば、単一波長発振レーザとしてDFB半導体レーザを用いる場合には、DFB半導体レーザの温度制御を行うことにより達成することができ、この方法により発振波長をさらに安定化して一定の波長に制御したり、あるいは出力波長を微調整することができる。
【0047】
通常、DFB半導体レーザなどはヒートシンクの上に設けられ、これらが筐体内に収納されている。そこで本例では、単一波長発振レーザ (DFB半導体レーザなど)11に付設されるヒートシンクに設けられた温度調整器(例えばペルチェ素子など)を用いてその温度を制御して発振波長を調整する。ここで、DFB半導体レーザなどではその温度を0.001℃単位で制御することが可能である。
【0048】
また、DFB半導体レーザの発振波長は0.1nm/℃程度の温度依存性を持つ。例えば、DFB半導体レーザの温度を1℃変化させると、基本波(1544nm)ではその波長が0.1nm変化するので、8倍波(193nm)ではその波長が0.0125nm変化し、10倍波(157nm)ではその波長が0.01nm変化することになる。なお、露光装置では露光用照明光(パルス光)の波長をその中心波長に対して±20pm程度変化させることができれば十分である。従って、DFB半導体レーザ11の温度を8倍波では±1.6℃程度、10倍波では±2℃程度変化させればよい。
【0049】
そして、この発振波長を所定の波長に制御する際のフィードバック制御のモニター波長としては、DFB半導体レーザの発振波長、あるいは後述する波長変換出力(2倍波、3倍波、4倍波等)のうちから所望の波長制御を行うに当たって必要な感度を与え、かつ最もモニターしやすい波長を選択する。例えば、単一波長発振レーザとして発振波長1.51〜1.59μmのDFB半導体レーザを使用する場合に、この発振レーザ光の3倍波は503nm〜530nmの波長になるが、この波長帯はヨウ素分子の吸収線が密に存在する波長域に該当しており、ヨウ素分子の適切な吸収線を選んでその波長にロックすることにより精密な発振波長制御を行うことが可能である。
【0050】
この半導体レーザの光出力を例えば電気光学光変調素子や音響光学光変調素子などの光変調素子12を用いて、CW光(連続光)をパルス光に変換する。本構成例では一例として、この光変調素子12によってパルス幅1ns、繰り返し周波数100kHz(パルス周期10μs)のパルス光に変調させた場合について説明を行う。この様な光変調を行った結果、光変調素子12から出力されるパルス光のピーク出力は20mW、平均出力は2μWとなる。ここでは、光変調素子12の挿入による損失がないものとしたが、その挿入損失がある、例えば損失が−3dBである場合、パルス光のピーク出力は10mW、平均出力は1μWとなる。
【0051】
なお、光変調素子として電気光学変調素子を用いる場合には、屈折率の時間変化に伴うチャープによる半導体レーザ出力の波長広がりが小さくなるように、チャープ補正を行った電極構造を持つ電気光学変調素子(例えば二電極型変調器)を用いることが好ましい。また、繰り返し周波数を100kHz程度以上に設定することにより、後述するファイバー光増幅器においてASE(Amplified Spontaneous Emission,自然放出光)ノイズの影響による増幅率低下を阻止することができ、このような変調器構成とすることが望ましい。
【0052】
さらに、半導体レーザなどではその電流制御を行うことで、出力光をパルス発振させることができる。このため、本例(及び後述の各実施形態)では単一波長発振レーザ(DFB半導体レーザなど)11の電流制御と光変調素子12とを併用してパルス光を発生させることが好ましい。そこで、DFB半導体レーザ11の電流制御によって、例えば10〜20ns程度のパルス幅を有するパルス光を発振させるとともに、光変調素子12によってそのパルス光からその一部のみを切り出す、すなわち本例ではパルス幅が1nsのパルス光に変調する。
【0053】
これにより、光変調素子12のみを用いる場合に比べて、パルス幅が狭いパルス光を容易に発生させることが可能になるとともに、パルス光の発振間隔や発振の開始及びその停止などをより簡単に制御することが可能になる。特に、光変調素子12のみを用いてパルス光をオフの状態にしてもその消光比が充分でない場合には、DFB半導体レーザ11の電流制御を併用することが望ましい。
【0054】
このようにして得たパルス光出力を、初段のエルビウム(Er)・ドープ・ファイバー光増幅器(EDFA)13に接続し、35dB(3162倍)の光増幅を行う。このときパルス光は、ピーク出力約63W、平均出力約6.3mWとなる。
【0055】
この初段の光増幅器であるファイバー増幅器13の出力を、光分岐手段であるスプリッタ14(平板導波路1×4スプリッタ)でまずチャネル0〜3の4出力に並列分割する。このチャネル0〜3の各出力を、各々長さの異なるファイバー15(図ではチャネル0の一本のみを表示する)に接続することにより、各ファイバーから出力される光は、各出力光にファイバー長に対応した遅延が与えられる。例えば本実施形態では、ファイバー中の光の伝搬速度を2×108m/sであるとし、チャネル0、1、2、3にそれぞれ0.1m、19.3m、38.5m、57.7mの長さのファイバーを接続する。この場合、各ファイバー出口での隣り合うチャネル間の光の遅延は96nsとなる。なおここでは、この様に光を遅延させる目的で使用するファイバーを、便宜的に遅延ファイバーと呼ぶ。
【0056】
次に、前記4本の遅延ファイバー出力を、4ブロックの平板導波路1×32スプリッタ16でさらに32出力に並列分割(各ブロックでチャネル0〜31)し、合計128のチャネルに分割する。そして、各ブロックともチャネル0をのぞくチャネル1〜31に再び長さの異なる遅延ファイバー17を接続する。例えば本実施形態では、チャネル1から31にそれぞれ0.6×Nメートル(Nはチャネル番号)の長さのファイバーを接続する。この結果、各ブロック内の隣り合うチャネル間では3nsの遅延が与えられ、各ブロックのチャネル0出力に対し、チャネル31出力は、3×31=93nsの遅延が与えられる。
【0057】
一方、第1から第4までの各ブロック間には、前記のように遅延ファイバー15によって、各ブロックの入力時点で各々96nsの遅延が与えられている。従って、第2ブロックのチャネル0出力は第1ブロックのチャネル0出力に対し96nsの遅延となり、第1ブロックのチャネル31との遅延は3nsとなる。このことは、第2〜第3、第3〜第4のブロック間においても同様である。この結果、全体の出力として総計128チャネルの出力端で、隣り合うチャネル間に3nsの遅延を持つパルス光が得られる。なお、図1では第1ブロックのチャネル1についてのみ記載し、他のチャネルの記載を省略しているが、他のチャネルについても同様に構成するものである。
【0058】
以上の分岐及び遅延により、総計128チャネルの出力端では、隣り合うチャネル間で3nsの遅延を持つパルス光が得られるが、このとき各々の出力端で観測される光パルスは、光変調素子12によって変調されたパルスと同じ100kHz(パルス周期10μs)である。従って、レーザ光発生部全体として見ると、128パルスが3ns間隔で発生した後、9.62μsの間隔を置いて次のパルス列が発生するという繰り返しが100kHzで行われる。即ち全体の出力は128×100×103=1.28×107パルス/秒となる。
【0059】
なお本実施形態では、分割数を128とし、また遅延用ファイバーとして短いものを用いた例について説明した。このため各パルス列の間に9.62μsの発光しない間隔が生じたが、分割数を増加させる、または遅延用ファイバーをより長くして適切な長さとする、あるいはこれらを組み合わせて用いることにより、パルス間隔を完全な等間隔とすることも可能である。例えば、前記スプリッタ14に入射するレーザ光のパルス繰り返し数をf[Hz]、分割数をmとしたときに、各ファイバーの遅延間隔が1/(f×m)となるように各ファイバー長を設定することによっても達成できるものである。
【0060】
また、前述のパルス間隔を完全な等間隔とするように、スプリッタ14、16の少なくとも一方の分割数、又は光変調素子12によって規定されるパルス繰り返し数fを調整する、あるいはその分割数と繰り返し数fの両方を調整するようしてもよい。従って、遅延ファイバー15、17の各ファイバー長、スプリッタ14、16の少なくとも一方の分割数、及びパルス繰り返し数fの少なくとも1つを調整することで、パルス間隔を等間隔に設定できるだけでなく、その間隔を任意に設定することができる。
【0061】
なお、光源を組み上げた後にファイバー長を変更するためには、例えば遅延ファイバー15、17をそれぞれ束ねてユニット化しておき、このユニットをチャネル間の遅延時間が異なる別の遅延ファイバー・ユニットと交換できるように構成しておくことが好ましい。また、スプリッタ14、16の分割数を変更するときも、スプリッタ14、16にそれぞれ対応して分割数が異なる別のスプリッタを用意しておき、これらを交換可能に構成しておくことが好ましい。このとき、スプリッタ14、16の分割数の変更に応じて遅延ファイバー15、17の各ユニットを交換可能に構成しておくことが望ましい。
【0062】
また、本例では光変調素子12に印加するドライブ用電圧パルスのタイミングを制御することによって、光源(パルス光)の発振タイミング、即ち繰り返し周波数f(パルス周期)を調整することができる。さらに、この発振タイミングの変更に伴ってパルス光の出力が変動し得る場合には、光変調素子12に印加するドライブ用電圧パルスの大きさも同時に調整してその出力変動を補償するようにしてもよい。
【0063】
このとき、単一波長発振レーザ11の発振制御のみ、あるいは前述した光変調素子12の制御との併用によってそのパルス光の出力変動を補償するようにしても良い。なお、パルス光の出力変動はその発振タイミングの変更時だけでなく、単一波長発振レーザの出力(すなわち、パルス光のファイバー光増幅器への入射)を所定時間だけ停止した後にその発振を再開するときにも生じ得る。また、単一波長発振レーザ11をパルス発振させる場合、単一波長発振レーザ11の電流制御のみ、あるいは前述した光変調素子12の制御との併用によってパルス光の発振タイミング(パルス周期)を調整するようにしても良い。
【0064】
さて、本例では128本の遅延ファイバー17にそれぞれファイバー光増幅器18が接続され、さらに狭帯域フィルタ113を挟んでファイバー光増幅器19が接続されている。狭帯域フィルタ113は、ファイバー光増幅器13及び18でそれぞれ発生するASE光をカットし、かつDFB半導体レーザ11の出力波長(波長幅は1pm程度以下)を透過させることで、透過光の波長幅を実質的に狭帯化するものである。これにより、ASE光が後段のファイバー光増幅器(18及び19)に入射してレーザ光の増幅利得を低下させるのを防止することができる。ここで、狭帯域フィルタはその透過波長幅が1pm程度であることが好ましいが、ASE光の波長幅は数十nm程度であるので、現時点で得られる透過波長幅が100pm程度の狭帯域フィルタを用いても実用上問題がない程度にASE光をカットすることができる。
【0065】
また、DFB半導体レーザ11の出力波長を積極的に変化させる場合、その出力波長に応じて狭帯域フィルタを交換するようにしてもよいが、その出力波長の可変幅(露光装置では一例として前述した±20pm程度)に応じた透過波長幅(可変幅と同程度以上)を持つ狭帯域フィルタを用いておくことが好ましい。なお、露光装置に適用されるレーザ装置ではその波長幅が1pm程度以下に設定される。また、図1のレーザ装置には3つのアイソレータ110、111、112が設けられており、これらによって戻り光の影響が低減されるようになっている。
【0066】
以上のように構成することにより、前記発生部(ファイバー光増幅器19の出射端)からの出力光は、極めて狭帯域化された光でありながら、お互いに時間的に重なり合うことがない。従って、各チャネル出力間の空間的コヒーレンスを低減することができる。
【0067】
なお以上の構成では、単一波長発振レーザ11としてDFB半導体レーザを用い、光分岐手段の分岐要素として平板導波路型スプリッタ14、16を用いた例について説明したが、レーザ光源としては、DFB半導体レーザと同様に、この波長領域で狭帯域化されたレーザであれば良く、例えばエルビウム(Er)・ドープ・ファイバー・レーザであっても同様の効果を奏する。また、光分岐手段の分岐要素としては、平板導波路スプリッタと同様に、光を並列に分岐するものであれば良く、例えばファイバースプリッタや、部分透過鏡を用いたビームスプリッタであっても同様の効果を奏する。
【0068】
また、前述したように本実施形態では、遅延ファイバーであるファイバー17の出力を、一段あるいは多段のEDFA(エルビウム・ドープ・ファイバー光増幅器、以下同じ)で更に増幅する。本実施形態では、一例として、前記レーザ光発生部での各チャネルの平均出力約50μW、全チャネル合計での平均出力約6.3mWを2段のEDFA18、19によって合計46dB(40600倍)の増幅を行う例について示している。この場合、各チャネルの出力端ではピーク出力20kW、パルス幅1ns、パルス繰り返し100kHz、平均出力2W、全チャネルでの平均出力約256Wを得る。
【0069】
ここでは、平板導波路型スプリッタ14、16での結合損失を考慮していないが、その結合損失がある場合にはその損失分だけファイバー光増幅器(例えばEDFA18、19などの少なくとも1つ)の増幅利得を上げることにより、EDFA19から発生する基本波の出力を前述した値(例えばピーク出力20kWなど)と同一にすることができる。なお、ファイバー光増幅器の増幅利得を変化させることで、基本波の出力を前述した値よりも大きくしたり、あるいは小さくしたりすることができる。
【0070】
この光増幅器の出力である波長1.544μmの単一波長パルスレーザ光は、非線形光学結晶を用いた波長変換部により、スペクトル線幅の狭い紫外光パルス出力に変換される。この波長変換部の実施形態については後述する。
【0071】
次に本発明に係るレーザ装置の第2の実施形態を、図2を参照しながら説明する。本実施形態による紫外光発生装置は、単一波長のレーザ光を発生するレーザ光発生部と、この光を増幅する光増幅器、及び前記増幅された光を波長変換する波長変換部とから構成され、ArFエキシマレーザと同じ出力波長(193nm)あるいはF2レーザと同じ出力波長(157nm)のレーザ光を発生し、かつ空間的コヒーレンスの低い紫外レーザ装置を提供するものである。なお本発明の第1の実施形態における紫外レーザ装置とは、光分岐手段が光を時間的に分割し分岐するものである点、この光分岐手段に入射されるまでのレーザ光はファイバー光増幅器で増幅されていない点、の2点において異なっている。このうち、光分岐手段とファイバー光増幅器の先後はいずれの構成をとることも可能である。
【0072】
また、前述の実施形態1(図1)と同様に、光分岐手段(本例ではTDM23)の入射側(単一波長発振レーザ21側)にファイバー光増幅器を更に設け、ここで増幅したパルス光を光分岐手段に入射させるように構成してもよい。これにより、光分岐手段よりも後段に配置されるファイバー光増幅器(本例では24、25)で必要な増幅利得を図2の構成よりも下げることができ、例えばファイバー光増幅器の交換回数などが減るのでより経済的である。
【0073】
ところで、本実施形態において、図2には本発明に係る紫外レーザ装置の、レーザ光発生部と光分岐手段と光増幅器の部分の構成例を示す。図2に示すとおり、本実施形態による紫外レーザ装置は、単一波長のレーザ光を発生する単一波長発振レーザ21からなるレーザ光発生部と、光を分岐させる光分岐手段23とを備え、この光分岐手段23からの複数の光出力はそれぞれファイバー光増幅器24、25により複数並列に増幅される。このファイバー光増幅器25の射出端はバンドル状に束ねられ、例えば図14に示す非線形光学結晶などからなる波長変換部(702〜712)にその増幅されたレーザ光が入射する。
【0074】
ここで、図2中に示されるファイバー光増幅器25のファイバーバンドル出射端29は、図14に示されるファイバーバンドル出射端701に対応する。この波長変換部は、一群の非線形光学結晶702、705、710、712を備えて構成され、光増幅器(21〜28)から出射される基本波を紫外光に変換する。なお、本発明に係る波長変換部については、実施の形態の後段において実施形態4〜7として詳細に説明する。
【0075】
以下、本実施形態についてより詳細に説明する。図2に示す単一波長で発振するレーザ21としては、例えば、発振波長1.099μm、CW出力20mWのDFB半導体レーザあるいはイットリビウム(Yb)・ドープ・ファイバーレーザを用いる。これらのレーザは基本的に単一縦モード発振をすることから、その発振スペクトル線幅は0.01pm以下に抑えられる。
【0076】
この半導体レーザの光出力を例えば電気光学光変調素子や音響光学光変調素子などの光変調素子22を用いて、CW光(連続光)をパルス光に変換する。本構成例では一例として、この光変調素子22によってパルス幅1ns、繰り返し周波数12.8MHz(パルス周期約78ns)のパルス光に変調させた場合について説明を行う。この様な光変調を行った結果、光変調素子から出力されるパルス光のピーク出力は20mW、平均出力は0.256mWとなる。
【0077】
このパルス光出力を、光分岐手段である時分割光分岐手段(Time Division Multiplexer:TDM)23により、パルス光を各パルスごとに、順次チャネル0からチャネル127の総計128チャネルに振り分ける。すなわち、パルス周期78nsごとのパルスを順次チャネル0からチャネル1、2、3・・・127に順次振り分けてゆく。この結果を各チャネルごとについてみると、出力パルスのパルス周期は78ns×128=10μs(パルス周波数100kHz)、パルスピーク出力20mW、平均出力2μWのパルス光となる。また、レーザ光発生部全体で見ると、パルス周波数12.8MHz、パルスピーク出力20mW、平均出力0.256mWの平均化されたパルス光となる。なお、隣り合うチャネル間では78nsの遅延があり、各チャネル間のパルス光はお互いに重なり合うことがない。
【0078】
また、本例では光変調素子22から出力されるパルス光の繰り返し周波数fを100kHz(パルス周期は10μs)とし、時分割光分岐手段(TDM)23のチャネル0〜127から出力されるパルス光を、光変調素子22によって規定されるパルス周期(10μs)を128等分した時間間隔(78ns)ずつ遅延させるようにしているが、その遅延時間は等時間間隔でなくてもよいし、あるいは前述の第1実施形態と同様にパルス周期(10μs)の一部のみで、チャネル0〜127からパルス光を出力させるようにしてもよい。さらに、光変調素子22に印加するドライブ用電圧パルスのタイミングも同時に制御して前述のパルス周期(10μs)を変更してもよく、例えばその変更されたパルス周期を128等分した時間間隔である遅延時間を変化させることもできる。
【0079】
なお、前述した第1の実施形態と同様に、本例でも単一波長発振レーザ21をパルス発振させても良い。さらに、時分割光分岐装置(TDM)23と単一波長発振レーザ21の電流制御とを併用する、あるいは光変調素子22の制御をさらに併用して前述のパルス周期(10μs)を変更しても良い。
【0080】
以上のように構成することにより、前記発生部からの出力光は、極めて狭帯域化された単一波長の光でありながら、お互いに時間的に重なり合うことがない。従って、各チャネル出力間の空間的コヒーレンスを低減することができる。
【0081】
なお以上の構成では、単一波長発振レーザ21としてDFB半導体レーザあるいはイットリビウム(Yb)・ドープ・ファイバーレーザを用いた例について説明したが、レーザ光源としては、DFB半導体レーザと同様に、この波長領域で狭帯域化されたレーザであれば同様の効果を奏する。
【0082】
時分割光分岐手段23の出力は、そのチャネル0〜127に対応してそれぞれ設けられる、一段あるいは多段のYDFA(イットリビウム・ドープ・ファイバー光増幅器、以下同じ)で構成されたファイバー光増幅器24、25によって増幅される。このイットリビウム・ドープ・ファイバー光増幅器は、前述のエルビウム・ドープ・ファイバー光増幅器よりも半導体レーザによる励起効率が高く経済的である。また、前述の第1実施形態(図1)と同様に戻り光の影響の低減、及び波長幅の狭帯化などを目的として、単一波長発振レーザ21と光変調素子22との間にアイソレータ26が配置されるとともに、ファイバー光増幅器24と25との間には狭帯域フィルタ28とアイソレータ27とが配置されている。
【0083】
本実施形態では、一例として、時分割光分岐手段23での各チャネルの平均出力2μW、全チャネルでの平均出力0.256mWを2段のYDFA24、25によって合計60dB(1000000倍)の増幅を行う例について示す。この場合、各チャネルの出力端では、ピーク出力20kW、パルス幅1ns、パルス繰り返し100kHz、平均出力2W、全チャネル合計での平均出力256Wを得る。なお、図3では全チャネル中チャネル0についてのみ記載し、他のチャネルの記載を省略しているが、他のチャネルについても同様に構成する。
【0084】
この光増幅器の出力である波長1.099μmの単一波長パルスレーザ光は、非線形光学結晶を用いた波長変換部により、スペクトル線幅の狭い紫外光パルス出力に変換される。この波長変換部の実施形態については後述する。
【0085】
以上説明した実施の形態1及び実施の形態2では光増幅器の出力波長が異なるが、これらは以上の各説明に述べたように、単一波長発振レーザ(11、21)の発振波長によって定まり、さらに増幅効率を考慮したファイバー光増幅器、即ち利得波長幅(例えばエルビウム・ドープ・ファイバーでは1530〜1560nm、イットリビウム・ドープ・ファイバーでは990〜1200nm)の組み合わせにより得られるものである。従って、本発明の実施の形態では単一波長発振レーザに対してその発振波長に応じた利得波長幅を持つファイバー光増幅器を適宜選択して組み合わせればよい。さらに、例えば実施形態1では平板導波路型スプリッタ(14、16)の代わりに実施形態2で用いたTDM(23)を用いてもよいし、実施形態2ではTDM(23)の代わりに平板導波路型スプリッタを用いてもよい。なお、波長変換部の実施形態については後述する。
【0086】
なお、これらの実施形態における最終段の高ピーク出力ファイバー光増幅器(図1では19、図2では25)においては、ファイバー中での非線形効果による増幅光のスペクトル幅の増加を避けるため、ファイバーモード径が通常通信で用いられているもの(5〜6μm)よりも広い、例えば20〜30μmの大モード径ファイバー光増幅器を使用することが望ましい。
【0087】
この大モード径ファイバー光増幅器を用いた光増幅器の構成例を図4に示す。図4中で点線の四角で囲んだ部分のファイバーをモード径の広いものにするこの光増幅器42では、上記のモード径の広い光増幅器用ドープ・ファイバーを励起するための半導体レーザ43を、光増幅器用ドープ・ファイバーの径に合わせた大モード径ファイバーにファイバー結合し、この半導体レーザ出力を波長分割多重化装置(Wavelength Division Multiplexer:WDM)45、46を用いて、光増幅器用ドープ・ファイバーに入力し、ドープ・ファイバーを励起する。
【0088】
この大モード径ファイバー(光増幅器)42で増幅されたレーザ光は波長変換部500に入射し、ここで紫外レーザ光に波長変換される。この大モード径ファイバーを伝播する増幅されるべきレーザ光(信号)は、主に基本モードであることが望ましく、これは、シングルモードあるいはモード次数の低いマルチモードファイバーにおいて、主に基本モードを選択的に励起することにより実現できる。
【0089】
また、特に図4では半導体レーザ43とWDM45との間に光偏波結合素子44が設けられ、互いに偏光方向が直交する、2つの半導体レーザ43から出力されるレーザ光を合成できるようになっている。なお、本例では光偏波結合素子44でレーザ光の偏光方向を直交させるものとしたが、レーザ光の合成効率の低下を許容できる場合にはその偏光方向を直交させなくてもよい。さらに、大モード径ファイバー光増幅器42の入射側に設けられたアイソレータ404によって、戻り光の影響が低減される。
【0090】
また、標準的なモード径を持つファイバー光増幅器41と大モード径ファイバー光増幅器42との間に、ファイバー光増幅器42から発生するASE光を除去するために狭帯域フィルタ403が設けられている。また、ファイバー光増幅器41にはその励起用の半導体レーザ401がファイバー結合されるとともに、この半導体レーザ401の出力がWDM402を通して光増幅器用ドープ・ファイバーに入力し、それによりこのドープ・ファイバーが励起される。
【0091】
このような方法によれば、大モード径ファイバーに半導体レーザ43をカップリングすることになるため、ファイバーへのカップリング効率が向上し、半導体レーザ出力を有効に使用できる。また、同一径の大モード径ファイバーを用いることにより、WDM45、46での損失も軽減できるため効率的である。なお、標準的なモード径を持つ前段のファイバー光増幅器41と、上記モード径の広い最終段のファイバー光増幅器42との接続は、テーパ状にモード径が増加するファイバーを用いて行う。
【0092】
さらに、最終段のファイバー光増幅器(19、25)において高出力を得るためには、図4における大モード径ファイバー(42)に代えて、ファイバー・クラッドが二重構造となったダブル・クラッド・ファイバー410を用いるようにしてもよい。このファイバー410の断面図の一例を図5に示す。この構造では、コア411の部分にレーザ光の増幅に寄与するイオンがドープされており、増幅されるレーザ光(信号)がこのコア内を伝搬する。コアを取り巻く第1クラッド412に励起用半導体レーザをカップリングする。この第1クラッドはマルチモードであり、断面積も大きいため高出力の励起用半導体レーザ光の伝導が容易であり、マルチモード発振の半導体レーザを効率よくカップリングし、励起用光源を効率よく使用することができる。第1クラッドの外周には第1クラッドの導波路を形成するための第2クラッド413が形成されている。
【0093】
また、前述の第1及び第2実施形態でのファイバー光増幅器として石英ファイバー、又はシリケイト系ファイバーを用いることができるが、これらの他にフッ化物系ファイバー、例えばZBLANファイバーを用いるようにしてもよい。このフッ化物系ファイバーでは、石英やシリケイト系などに比べてエルビウム・ドープ濃度を大きくすることができ、これにより増幅に必要なファイバー長を短縮することができる。
【0094】
このフッ化物系ファイバーは、特に最終段のファイバー光増幅器(19、25)に適用することが望ましく、ファイバー長の短縮により、パルス光のファイバー伝播中の非線形効果による波長幅の広がりを抑えることができ、例えば露光装置に必要な波長幅が狭帯化された光源を得ることが可能となる。特に開口数が大きい投影光学系を有する露光装置でこの狭帯化光源が使用できることは、例えば投影光学系を設計、製造する上で有利である。
【0095】
ところで、前述のように二重構造のクラッドを持つファイバー光増幅器の出力波長として1.51〜1.59μmを使用する場合には、ドープするイオンとしてエルビウムに加えイットリビウムを共にドープすることが好ましい。これは半導体レーザによる励起効率を向上させる効果があるためである。すなわち、エルビウムとイットリビウムの両方をドープする場合、イットリビウムの強い吸収波長が915〜975nm付近に広がっており、この近傍の波長で各々異なる発振波長を持つ複数の半導体レーザをWDMにより結合させて第1クラッドにカップリングすることで、その複数の半導体レーザを励起光として使用できるため大きな励起強度を実現することができる。さらに、例えば図4における光結合素子44として偏光結合素子を用いれば、偏光方向の異なる半導体レーザ出力を共に結合することができるため、さらに励起強度を2倍に高めることができる。
【0096】
また、ファイバー光増幅器のドープ・ファイバーの設計については、本発明のようにあらかじめ定められた一定の波長で動作する装置(例えば露光装置)では、所望の波長におけるファイバー光増幅器の利得が大きくなるように材質を選択する。例えば、ArFエキシマレーザと同じ出力波長(193〜194nm)を得るための紫外レーザ装置において、光増幅器用ファイバーを用いる場合には所望の波長、例えば1.548μmで利得が大きくなる材質を選ぶことが望ましい。
【0097】
しかしながら、通信用ファイバーでは波長分割多重化通信のため、1.55μm付近の数十nmの波長領域で、比較的平坦な利得を持つように設計されている。そこで、例えば励起媒質としてエルビウム単一ドープのコアを持つ通信用ファイバーでは、この平坦な利得特性を実現するために、アルミやリンをシリカファイバーにコ・ドープする手法が用いられる。このためこの種のファイバーでは、1.548μmで必ずしも利得が大きくならない。この様子を図6に示す。
【0098】
図6は横軸に波長を縦軸に蛍光強度をとり、ファイバーによる蛍光強度特性の差異を示したものである。図中のAl /P Silicaが通信用ケーブル材料に該当するが、これに対して図6に示したSilicate L22を用いれば、1.547μmでより高い利得を得ることができる。また、ドープ元素のアルミは、1.55μm付近のピークを長波長側にシフトさせ、リンは短波長側にシフトさせる効果を持つ。従って、1.547μm近傍で利得を大きくするためには、Silicate L22に少量のリンをドープすることで達成できる。
【0099】
一方、例えばエルビウムとイットリビウムをともにドープ(コ・ドープ)したコアを持つ光増幅器用ファイバー(例えば前記ダブル・クラッド・タイプのファイバー)を用いる場合には、図7に示すように、コアに少量のリンを加えることにより、1.547μm付近でより高い利得を得ることができる。なお図7は、横軸に波長を、縦軸に単位長さ当たりの利得をとり、図中に励起強度を変化させ、反転分布密度を変化させたときの波長に対するゲインの変化を示したものである。
【0100】
さて、実施形態1および2におけるファイバー光増幅器では、各ファイバーが独立した光増幅器であるため、各光増幅器のゲインの差が各チャネルの光出力のばらつきとなる。従って、このような形態のレーザ装置においては、例えば図8に示すように、各チャネルのファイバー光増幅器(41、42)で出力の一部を分岐させて光強度をモニターし、各ファイバー光増幅器からの光出力が各増幅段で一定になるように(即ちバランスするように)、各励起用半導体レーザ(401、43)のドライブ電流をフィードバック制御するファイバー出力制御装置405、406を設けることが望ましい。図8では、ファイバー光増幅器41からの分岐光を検出するファイバー出力制御装置405が、その検出値に基づいてファイバー光増幅器41に接続される半導体レーザ401のドライブ電流を制御し、大モード径ファイバー光増幅器42からの分岐光を検出するファイバー出力制御装置406が、その検出値に基づいて大モード径ファイバー光増幅器42に接続される半導体レーザ43のドライブ電流を制御するようになっている。
【0101】
さらに、図8に示すように波長変換部500からの光出力が所定の光出力となるように波長変換部500における光強度をモニターし、ファイバー光増幅器全体(41、42)としての励起用半導体レーザ401、43のドライブ電流をそれぞれフィードバック制御するファイバー出力制御装置407をさらに備えることが好ましい。図8では、ファイバー出力制御装置407が半導体レーザ401、43をそれぞれ独立に制御するものとしたが、波長変換部500で検出される光強度に基づいて半導体レーザ401、43のいずれか一方のみを制御するだけでもよい。また、ファイバー出力制御装置407は波長変換部500の途中でレーザ光を分岐してその強度を検出するものとしたが、波長変換部500の射出端から出力されるレーザ光の一部を分岐してその強度を検出するようにしてもよい。なお、図8では図4と同一の他の構成要素については同一の番号を付し、説明を省略する。
【0102】
このような構成とすることにより、各増幅段ごとに各チャネルのファイバー光増幅器の増幅率が一定化されるため、各ファイバー光増幅器間に偏った負荷がかかることがなく全体として均一な光強度が得られる。また、波長変換部500における光強度をモニターすることにより、予定される所定の光強度を各増幅段にフィードバックし、所望の紫外光出力を安定して得ることができる。
【0103】
なお、図8では示していないが、ファイバー出力制御装置405、406、407の少なくとも1つは、単一波長発振レーザ(11又は21)及び光変調素子(12又は22)にそれぞれ接続され、単一波長発振レーザの温度制御及び電流制御を行うとともに、光変調素子にドライブ用電圧パルスを印加し、且つその電圧パルスのタイミング及び大きさを制御することがさらに可能となっている。
【0104】
従って、その少なくとも1つのファイバー出力制御装置はパルス光(基本波、又は波長変換部で少なくとも1回波長変換された可視光、又は赤外光、あるいは紫外光)の強度、中心波長、及び波長幅を検出し、この検出値に基づいて単一波長発振レーザの温度をフィードバック制御してそのパルス光の中心波長及び波長幅を制御する。さらに、その検出値に基づいて単一波長発振レーザの電流制御と、光変調素子に印加する電圧パルスの制御とを行い、そのパルス光の強度、出力間隔、及びパルス出力の開始と停止などを制御する。
【0105】
また、少なくとも1つのファイバー出力制御装置は、単一波長発振レーザのパルス出力と連続出力との切替、及びそのパルス出力時における出力間隔やパルス幅などの制御を行うとともに、パルス光の出力変動を補償するするように、単一波長発振レーザの発振制御と光変調素子の制御との少なくとも一方を行う。
【0106】
なお、図8では大モード径ファイバー光増幅器の使用を前提としているが、ここで説明したファイバー光増幅器に接続される励起用半導体レーザ(401など)の電流制御と、単一波長発振レーザ及び光変調素子の制御とは、大モードファイバー光増幅器を使用しない、前述の第1及び第2実施形態による紫外レーザ装置(図1、図2)にもそのまま適用することが可能である。
【0107】
以上説明した実施形態1及び2における最終段のファイバー光増幅器19、25の出力端は束ねられて所要のバンドル形状に成形される(114、29)。バンドルの数及び形状は、波長変換部の構成や必要とされる光源の形状に合わせて定める。例えば、本実施形態では一つの円形断面を有するバンドルの場合を示す(114、29、501、601等)。このとき、各ファイバーのクラッド直径は125μm程度であることから、128本を束ねた出力端でのバンドルの直径は約2mm以下とすることができる。バンドルは最終段のEDFAもしくはYDFAの出力端をそのまま用いて形成することができるが、最終段のEDFAもしくはYDFAに無ドープのファイバーを結合させ、その出力端でバンドルを形成することも可能である。
【0108】
また、図9に示すように、光増幅器における最終段の各ファイバー422の出力端部423では、そのファイバー422内のコア421の径を出力端に向けてテーパ状に徐々に広げて配設し、出力端面423での光のパワー密度(単位面積当たりの光強度)を小さくしてやることが好ましい。このとき、テーパの形状はコア径の広がりが出力端面423に向けて十分緩やかに増加し、増幅されたレーザ光がテーパ部を伝搬する際にファイバー中での伝搬横モードが保存され、他の横モードの励起が十分無視できる程度(例えば数mrad程度)となるように設定する。
【0109】
このように設定することにより、ファイバーの出力端面423における光のパワー密度を低下させることができ、ファイバーの損傷において最も問題であるファイバー出力端部のレーザ光による損傷を大幅に抑制する効果が得られる。この効果は、ファイバー光増幅器の出力端から射出されるレーザ光のパワー密度が高いほど(例えば光強度が高いほど、また同一パワーに対するコア径が小さいほど、あるいは全パワーを分割するチャネル数が少ないほど等)大きな効果が得られる。
【0110】
また、図10(a)に示すように最終段のファイバー432の出力端部434には、上記コア径の拡大と併せて、あるいはレーザ光のパワー密度によっては単独で、レーザ光を透過する適切な厚さの窓部材433を密着して配設することが好ましい。但し、図10(a)ではファイバー内のコア431の径を拡大しないで、窓部材433のみによって出力光のパワー密度を小さくしている。
【0111】
ここで、前述の実施形態1、2のようにファイバー出力が複数の場合には、各ファイバー端部毎に窓部材を設ける図10(a)の方法のほか、図10(b)に示すように、各ファイバー光増幅器442の出力群ごとの出力端部444に共通の窓部材443を設けることも本形態における一つの実施例である。但し、図10(b)ではファイバー内のコア441の径を拡大していないが、コア径の拡大を併用してもよい。
【0112】
なお、1つの窓部材443が共通に設けられる複数のファイバー光増幅器の数は任意でよく、例えば図1又は図2に示した最終段のファイバー光増幅器19又は25の総数、即ち128本としてもよい。なお、窓部材(433又は443)は基本波レーザ光の波長域での透過率、及びファイバーとの密着性などを考慮してその材質が適宜選定(例えばBK7等の光学ガラス材や石英材等)され、またファイバーと窓部材との密着には、オプティカルコンタクトあるいは融着等の方法を用いることができる。
【0113】
このように構成することにより、窓部材から射出されるレーザ光のパワー密度はファイバー・コア431、441中でのパワー密度より小さくなるため、ファイバー出力端部のレーザ光による損傷を抑制する効果が得られる。そして、前記出力端部におけるファイバー・コア径の拡大と組み合わせることにより、従来問題であったファイバー出力端部の損傷の問題を解決することが可能である。
【0114】
なお、以上の各実施形態(図1、図2、図4、図8)では、戻り光の影響を避けるため、各接続部に適宜アイソレータ110、111、112、26、27、404等を挿入し、また良好なEDFA増幅特性を得るために狭帯域フィルタ113、28、403を挿入する構成例を示した。但し、アイソレータ又は狭帯域フィルターを配置する箇所、あるいはその数は前述の実施形態に限定されるものではなく、例えば本発明によるレーザ光源が適用される各種装置(露光装置など)の要求精度などに応じて適宜決定すればよく、アイソレータと狭帯域フィルターとの少なくとも一方を一切設けないこともある。
【0115】
なお狭帯域フィルターは、所望の単一波長のみに対して高透過率が得られればよく、フィルターの透過波長幅は1pm以下で十分である。このように狭帯域フィルターを用いることにより、ファイバー増幅器で発生する自然放出光ASE(Amplified Spontaneous Emission)によるノイズを軽減でき、また、前段のファイバー光増幅器からのASEによる、基本波出力の増幅率低下を押さえることができる。
【0116】
また、前述の実施形態では光変調素子12又は22で切り出されるパルス光の強度又はファイバー光増幅器の出力をモニターしておき、パルス毎にその強度が一定となるように、光変調素子に印加するドライブ用電圧パルス、及びオフセットDC電圧の大きさを調整して、パルス光の強度をフィードバック制御してもよい。さらに、多数のファイバー光増幅器19又は25から発生するレーザ光を検出して、各チャネルでのレーザ光の遅延時間やチャネル間でのレーザ光の発振間隔などをモニターし、その遅延時間や発振間隔などがそれぞれ所定値となるように、光変調素子に印加するドライブ用電圧パルスのタイミングを制御したり、あるいは図2中のTDM23を制御することで、ファイバーバンドル出力端でのレーザ光の発振タイミングをフィードバック制御してもよい。また、波長変換部500から発生する紫外光の波長を検出し、この検出値に基づいて単一波長発振レーザ11又は21の温度を調整して、紫外光の波長をフィードバック制御してもよい。
【0117】
さらに、光変調素子12又は22で切り出されるパルス光の強度変動を検出し、この出力変動を補償するように光変調素子よりも後段に配置される複数段のファイバー光増幅器(13、18、19、又は24、25)の少なくとも一段での利得を制御する、いわゆるフィードフォワード制御を行うようにしてもよい。また、前述のチャネル0〜127のうち、遅延時間が短いチャネル、即ちパルス光が早く出力されるチャネルの出力(光強度)を検出し、この検出値に基づいてファイバー光増幅器の利得(又はTDM23)を制御して、そのチャネルよりも遅延時間が長いチャネル、即ちパルス光が遅れて出力されるチャネルの出力をフィードフォワード制御するようにしてもよい。また、特に図1に示した実施形態1では、チャネル単位でその出力を制御するのではなく、32個のチャネルを持つブロック単位でその出力を制御してもよく、例えば第1ブロックの少なくとも1つのチャネルの出力を検出し、この検出値に基づいて第2ブロックでのチャネルの出力を制御してもよい。
【0118】
本発明に係る紫外レーザ装置の第3の実施形態を、図3を参照しながら説明する。本実施形態による紫外光発生装置は、単一波長発振レーザ31からなり単一波長のレーザ光を発生するレーザ光発生部と、ファイバー光増幅器33、34からなり入射光を増幅する光増幅器、及び増幅された光を波長変換する波長変換部(不図示)などから構成され、ArFエキシマレーザと同じ出力波長(193nm)あるいはF2レーザと同じ出力波長(157nm)のレーザ光を発生する紫外レーザ装置を提供するものである。
【0119】
本実施形態において、図3に示す紫外レーザ装置には、単一波長のレーザ光を発生する単一波長発振レーザ31を備え、この単一波長発振レーザ31の光出力はファイバー光増幅器33、34により増幅される。このファイバー光増幅器34の出力は、例えば図13に示す波長変換部(602〜611)にその増幅されたレーザ光が入射する。なお、図3におけるファイバー光増幅器34の出射端は、図11及び図13に示されるファイバーバンドル出射端501及び601に対応する。この波長変換部は、一組の非線形光学結晶602、604、609、611などを備えて構成され、光増幅器(31〜36)から出射される基本波を紫外光に変換する。なお、本発明に係る波長変換部については、実施の形態の後段において実施形態4〜7として詳細に説明する。
【0120】
以下、本実施形態についてより詳細に説明する。図3に示す単一波長で発振する単一波長発振レーザ31としては、例えば、発振波長1.544μm、CW出力30mWのInGaAsP,DFB半導体レーザを用いる。このレーザは基本的に単一縦モード発振をすることから、その発振スペクトル線幅は0.01pm以下に抑えられる。
【0121】
この半導体レーザ31の光出力(連続光)は、例えば電気光学光変調素子や音響光学光変調素子などの光変調素子32によってパルス光に変換される。本構成例では一例として、この光変調素子32によってパルス幅1ns、繰り返し周波数100kHzのパルス光に変調させた場合について説明を行う。この様な光変調を行った結果、光変調素子32から出力されるパルス光のピーク出力は30mW、平均出力は3μWとなる。
【0122】
前述の実施形態1、2と同様にしてパルス化された出力光を、一段あるいは多段のEDFA(エルビウム・ドープ・ファイバー光増幅器)を有するファイバー光増幅器によって増幅する。本実施形態では、一例として、2段のファイバー光増幅器33、34によって合計58dB(667000倍)の増幅を行う場合について示した。この場合には、このファイバー光増幅器34の出力端での平均出力は2Wとなる。この出力端部は最終段のファイバー光増幅器34の出力端をそのまま用いて形成することができるが、最終段のファイバー光増幅器34に無ドープのファイバーを結合させる事も可能である。また、本実施形態では、戻り光の影響を避けるため、各接続部に適宜アイソレータ35、36を挿入した構成例を示す。
【0123】
この光増幅器の出力である波長1.544μmの単一波長パルスレーザ光は、非線形光学結晶を用いた波長変換部(詳細後述)により、スペクトル線幅の狭い紫外光パルス出力に変換される。なお、本実施形態による光増幅器(31〜36)ではその出力端が1本のファイバー光増幅器34からなるが、例えば実施形態1(図1)で用いた平板導波路型スプリッタ(16)、又は実施形態2で用いたTDM(23)とともに、ファイバー光増幅器(33、34)をそれぞれ複数用意してファイバー光増幅器34を束ねてファイバーバンドルを形成するようにしてもよい。このとき、複数の光増幅器にそれぞれ設けられる光変調素子32に印加するドライブ用電圧パルスのタイミングを調整して、複数の光増幅器から射出されるパルス光の発振間隔を調整可能とする、例えば等時間間隔でパルス光が順次発光されるように、光増幅器毎にその発光タイミングをずらすことが好ましい。
【0124】
また、本実施形態についても前述の実施形態1、2の変形例を適用することが可能である。例えば、単一波長発振レーザ31をパルス発振させても良いし、さらには単一波長発振レーザ31の電流制御のみ、あるいはその電流制御と光変調素子32の制御とを併用してパルス光の出力間隔(パルス周期)を変更しても良い。
【0125】
次に、前述の実施形態1〜3でそれぞれ使用される波長変換部の実施の形態について述べる。図11(a)〜(d)には、本発明に係る波長変換部の構成例を実施の形態4として示す。これらはいずれも、ファイバーバンドルの出力端501(実施の形態1における114、実施の形態2における29等に該当するが、実施の形態3における単一ファイバー(34)の出力端であってもよい。)から射出される波長1.544nmの基本波を、非線形光学結晶を用いて8倍波(高調波)に波長変換して、ArFエキシマレーザと同じ波長である193nmの紫外光を発生する構成例を示したものである。
【0126】
図11(a)では、ファイバーバンドル出力端501から出力される波長1.544nm(周波数ω)の基本波は、非線形光学結晶502、503、504を図中左から右に向かって透過して出力される。基本波が非線形光学結晶502を通る際に、2次高調波発生により基本波の周波数ωの2倍、すなわち周波数2ω(波長は1/2の772nm)の2倍波が発生する。発生した2倍波は右方向へ進み、次の非線形光学結晶503に入射する。ここで再び第2次高調波発生を行い、入射波の周波数2ωの2倍、すなわち基本波に対し4倍の周波数4ω(波長は1/4の386nm)をもつ4倍波が発生する。発生した4倍波はさらに右の非線形光学結晶504に進み、ここで再び第2次高調波発生を行い、入射波の周波数4ωの2倍、すなわち基本波に対し8倍の周波数8ωを有する8倍波(波長は1/8の193nm)を発生する。
【0127】
前記波長変換に使用する非線形光学結晶としては、例えば基本波から2倍波への変換結晶502にはLiB3O5(LBO)結晶を、2倍波から4倍波への変換結晶503にはLiB3O5(LBO)結晶を、4倍波から8倍波への変換結晶504にはSr2Be2B2O7(SBBO)結晶を使用する。ここで、LBO結晶を使用した基本波から2倍波への変換には、波長変換のための位相整合にLBO結晶の温度調節による方法、Non-Critical Phase Matching:NCPMを使用する。NCPMは、非線形光学結晶内での基本波と第二高調波との角度ずれ(Walk-off)が起こらないため高効率で2倍波への変換を可能にし、また発生した2倍波はWalk-offによるビームの変形も受けないため有利である。
【0128】
図11(b)は、基本波(波長1.544μm)→2倍波(波長772nm)→3倍波(波長515nm)→6倍波(波長257nm)→8倍波(波長193nm)の順に波長変換する場合について示したものである。
【0129】
1段目の波長変換部507では、基本波から2倍波への2次高調波発生の変換にLBO結晶が前述したNCPMで使用される。波長変換部(LBO結晶)507は、基本波の一部を波長変換せずに透過させるとともに、基本波を波長変換して2倍波を発生し、この基本波と2倍波に波長板(例えば1/2波長板)508でそれぞれ半波長、1波長の遅延を与え、基本波の偏光のみ90度回転させる。この基本波と2倍波はそれぞれレンズ509を通って2段目の波長変換部510に入射する。
【0130】
2段目の波長変換部510では、1段目の波長変換部507で発生した2倍波と、変換せずに透過した基本波とから和周波発生により3倍波(波長515nm)を得る。波長変換結晶としてはLBO結晶が用いられるが、1段目の波長変換部(LBO結晶)507とは温度が異なるNCPMで使用される。波長変換部510で得られた3倍波と、波長変換されずに透過した2倍波とは、ダイクロイック・ミラー511により分離し、ダイクロイック・ミラー511で反射された3倍波は、レンズ513を通って3段目の波長変換部514に入射する。波長変換部514はβ-BaB2O4(BBO)結晶であり、ここで3倍波が2次高調波発生により6倍波 (波長257nm)に変換される。
【0131】
波長変換部514で得られた6倍波と、ダイクロイック・ミラー511を透過してレンズ512を通った2倍波とは、ダイクロイック・ミラー516で同軸に合成されて4段目の波長変換部517に入射する。波長変換部517はBBO結晶が用いられ、6倍波と2倍波とから和周波発生により8倍波(波長193nm)を得る。図11(b)の構成においては、4段目の波長変換部517の波長変換結晶として、BBO結晶の代わりにCsLiB6O10(CLBO)結晶を用いることも可能である。
【0132】
なお、本実施例では2段目の波長変換部510で得られた3倍波と2倍波とをダイクロイック・ミラー511で分岐し、かつ3段目の波長変換部514で得られた6倍波と2段目の波長変換部510で得られた2倍波とをダイクロイック・ミラー516で合成して、4段目の波長変換部517に入射させるように構成した。ここで、ダイクロイック・ミラー511の特性を反転させる、即ち3倍波が透過し、かつ2倍波が反射するものとして、3段目の波長変換部514を2段目の波長変換部510と同一光軸上に配置するようにしてもよい。このとき、ダイクロイック・ミラー516の特性も反転させておく必要がある。このように6倍波と2倍波との一方が分岐光路を通って4段目の波長変換部517に入射する構成では、6倍波と2倍波をそれぞれ4段目の波長変換部517に入射させる集光レンズ515、512を互いに異なる光路に配置することができる。
【0133】
3段目の波長変換部514で発生した6倍波はその断面形状がWalk-off現象により長円形になっているため、4段目の波長変換部517で良好な変換効率を得るためには、その6倍波のビーム整形を行うことが望ましい。そこで本実施例のように、集光レンズ515、512を別々の光路に配置することにより、例えばレンズ515としてシリンドリカルレンズ対を用いること等が可能となり、6倍波のビーム整形を容易に行うことができる。このため、4段目の波長変換部(BBO結晶)517での2倍波との重なりを良好にし、変換効率を高めることが可能である。
【0134】
なお、2段目の波長変換部510と4段目の波長変換部517との間の構成は図11(b)に限られるものではなく、4段目の波長変換部517に6倍波と2倍波とが同時に入射するように、6倍波と2倍波とでその光路長が等しくなっていれば、いかなる構成であってもよい。さらに、例えば2段目の波長変換部510と同一光軸上に3段目及び4段目の波長変換部514、517を配置し、3段目の波長変換部514で3倍波のみを第2高調波発生により6倍波に変換して、波長変換されない2倍波とともに4段目の波長変換部517に入射させてもよく、これによりダイクロイック・ミラー511、516を用いる必要がなくなる。
【0135】
図11(c)は、基本波(波長1.544μm)→2倍波(波長772nm)→4倍波(波長386nm)→6倍波(波長257nm)→8倍波(波長193nm)の順に波長変換する場合について示したものである。
【0136】
1段目の波長変換部518ではその波長変換結晶としてLBO結晶が用いられ、基本波を2倍波に波長変換するためにそのLBO結晶がNCPMで使用される。1段目の波長変換部518から発生する2倍波は、集光レンズ519を通って2段目の波長変換部520に入射する。
【0137】
2段目の波長変換部520では、その波長変換結晶としてLBO結晶が用いられ、1段目の波長変換部518で発生した2倍波から2次高調波発生により4倍波(波長386nm)を得る。波長変換部520で得られた4倍波と、波長変換されずにその波長変換部520を透過した2倍波とは、ダイクロイック・ミラー521により分離し、ここで反射された4倍波は集光レンズ524を通ってダイクロイック・ミラー525に達する。一方、ダイクロイック・ミラー521を透過した2倍波は、半波長板522でその偏光方向が90°回転されるとともに、集光レンズ523を通ってダイクロイック・ミラー525に達し、ここで分岐光路を通った2倍波と同軸に合成されて3段目の波長変換部526に入射する。
【0138】
3段目の波長変換部526では、その波長変換結晶としてBBO結晶が用いられ、2段目の波長変換部520で発生した4倍波と、波長変換されずにその波長変換部520を透過した2倍波とから和周波発生により6倍波(波長257nm)を得る。波長変換部520で得られた6倍波と、波長変換されずにその波長変換部520を透過した2倍波とは、ダイクロイック・ミラー527により分離し、ここで反射された2倍波は半波長板528でその偏光方向が90°回転されるとともに、集光レンズ529を通ってダイクロイック・ミラー531に達する。一方、ダイクロイック・ミラー527を透過した6倍波は、集光レンズ530を通ってダイクロイック・ミラー531に達し、ここで分岐光路を通った2倍波と同軸に合成されて4段目の波長変換部532に入射する。
【0139】
4段目の波長変換部532では、その波長変換結晶としてBBO結晶が用いられ、3段目の波長変換部526で発生した6倍波と、波長変換されずにその波長変換部526を透過した2倍波とから和周波発生により8倍波(波長193nm)を得る。上記構成においては、4段目の波長変換部532の波長変換結晶として、BBO結晶の代わりにCLBO結晶を用いることも可能である。
【0140】
なお、本実施例では2段目及び3段目の波長変換部520、526の後にそれぞれダイクロイック・ミラー(521、又は527)を配置して、その波長変換部(520、又は526)から射出される一対の高調波(2倍波と4倍波、又は2倍波と6倍波)がそれぞれ異なる光路を通って次段の波長変換部(526、又は532)に入射するように構成したが、図11(b)での説明と同様に、3段目の波長変換部526を他の波長変換部518、520、532と同一光軸上に配置してもよく、これによりダイクロイック・ミラー521、525、527、531などを用いる必要がなくなる。
【0141】
ところで、本実施例では2段目および3段目の波長変換部520、526で発生した4倍波、及び6倍波はそれぞれ断面形状がWalk-off現象により長円形になっている。このため、このビームを入力とする3段目および4段目の波長変換部526、532で良好な変換効率を得るためには、入射ビームとなる4倍波及び6倍波のビーム形状を整形し、2倍波ビームとの重なりを良好にすることが望ましい。本実施例のように、集光レンズ523と524、及び529と530とをそれぞれ別々の光路に置くことにより、例えばレンズ524、530としてシリンドリカルレンズ対を用いることが可能になり、4倍波及び6倍波のビーム整形を容易に行うことができる。このため、3段目および4段目の波長変換部526、532でそれぞれ2倍波との重なりが良好になり、変換効率を高めることが可能である。
【0142】
なお、2段目の波長変換部520から発生する2倍波と4倍波とが同時に3段目の波長変換部526に入射するように、その2倍波と4倍波の各光路長が同一になっていればよく、2つの波長変換部520、526間の構成は図11(c)に限られるものではない。このことは3段目の波長変換部526と4段目の波長変換部532との間でも同様である。
【0143】
図11(d)は、基本波(波長1.544μm)→2倍波(波長772nm)→3倍波(波長515nm)→4倍波(波長386nm)→7倍波(波長221nm)→8倍波(波長193nm)の順に波長変換する場合について示したものである。
【0144】
1段目の波長変換部533では、その波長変換結晶としてLBO結晶が用いられ、基本波を2倍波に波長変換するためにそのLBO結晶をNCPMで使用する。波長変換部533で波長変換されずに透過した基本波と、波長変換で発生した2倍波とは、波長板534でそれぞれ半波長、1波長の遅延が与えられて、基本波のみその偏光方向が90度回転する。2段目の波長変換部536は、その波長変換結晶としてLBO結晶が用いられるとともに、そのLBO結晶は1段目の波長変換部(LBO結晶)533とは温度が異なるNCPMで使用される。この波長変換部536では、1段目の波長変換部533で発生した2倍波と、波長変換されずにその波長変換部533を透過した基本波とから和周波発生により3倍波(波長515nm)を得る。
【0145】
波長変換部536で得られた3倍波と、波長変換されずにその波長変換部536を透過した基本波および2倍波とは、ダイクロイック・ミラー537により分離し、ここで反射された3倍波は集光レンズ540、及びダイクロイック・ミラー543を通って4段目の波長変換部545に入射する。一方、ダイクロイック・ミラー537を透過した基本波および2倍波は、集光レンズ538を通って3段目の波長変換部539に入射する。
【0146】
3段目の波長変換部539は、その波長変換結晶としてLBO結晶が用いられ、基本波が波長変換されずにそのLBO結晶を透過するとともに、2倍波がLBO結晶で2次高調波発生により4倍波(波長386nm)に変換される。波長変換部539で得られた4倍波とそれを透過した基本波とは、ダイクロイック・ミラー541により分離し、ここを透過した基本波は集光レンズ544を通るとともに、ダイクロイックミラー546で反射されて5段目の波長変換部548に入射する。一方、ダイクロイック・ミラー541で反射された4倍波は、集光レンズ542を通ってダイクロイック・ミラー543に達し、ここでダイクロイック・ミラー537で反射された3倍波と同軸に合成されて4段目の波長変換部545に入射する。
【0147】
4段目の波長変換部545は、その波長変換結晶としてBBO結晶が用いられ、3倍波と4倍波とから和周波発生により7倍波(波長221nm)を得る。波長変換部545で得られた7倍波は集光レンズ547を通るとともに、ダイクロイック・ミラー546で、ダイクロイック・ミラー541を透過した基本波と同軸に合成されて、5段目の波長変換部548に入射する。
【0148】
5段目の波長変換部548は、その波長変換結晶としてLBO結晶が用いられ、基本波と7倍波とから和周波発生により8倍波(波長193nm)を得る。上記構成において、7倍波発生用BBO結晶545、及び8倍波発生用LBO結晶548のかわりに、CLBO結晶を用いることも可能である。
【0149】
本実施例では、4段目の波長変換部545に3倍波と4倍波とが互いに異なる光路を通って入射するので、3倍波を集光するレンズ540と、4倍波を集光するレンズ542とを別々の光路に置くことができる。3段目の波長変換部539で発生した4倍波はその断面形状がWalk-off現象により長円形になっている。このため、4段目の波長変換部545で良好な変換効率を得るためには、その4倍波のビーム整形を行うことが望ましい。本実施例では、集光レンズ540、542を別々の光路に配置しているので、例えばレンズ542としてシリンドリカルレンズ対を用いることができ、4倍波のビーム整形を容易に行うことが可能となる。このため、4段目の波長変換部(BBO結晶)545での3倍波との重なりを良好にし、変換効率を高めることが可能である。
【0150】
さらに本実施例では、5段目の波長変換部548に入射する基本波を集光するレンズ544と、7倍波を集光するレンズ547とを別々の光路に置くことができる。4段目の波長変換部545で発生した7倍波はその断面形状がWalk-off現象により長円形になっている。このため、5段目の波長変換部548で良好な変換効率を得るためには、その7倍波のビーム整形を行うことが好ましい。本実施例では、集光レンズ544、547を別々の光路に配置することができるので、例えばレンズ547としてシリンドリカルレンズ対を用いることができ、7倍波のビーム整形を容易に行うことが可能となる。このため、5段目の波長変換部(LBO結晶)548での基本波との重なりを良好にし、変換効率を高めることが可能である。
【0151】
なお、2段目の波長変換部536と4段目の波長変換部545との間の構成は図11(d)に限られるものではなく、波長変換部536から発生してダイクロイック・ミラー537で反射される3倍波と、波長変換部536から発生してダイクロイック・ミラー537を透過する2倍波を波長変換部539で波長変換して得られる4倍波とが同時に波長変換部545に入射するように、両波長変換部536、545間の2つの光路長が等しくなっていれば、いかなる構成であっても構わない。このことは3段目の波長変換部539と5段目の波長変換部548との間でも同様である。
【0152】
図12(a)〜(d)は、図11(a)〜(d)に示した波長変換部についてそれぞれ実験の結果得られた各チャネル当たりの各段での波長変換効率、及び得られた8倍波(波長193nm)の平均出力を示す。基本波の出力は前述の実施形態で説明した通り各チャネルの出力端で、ピーク・パワー20kW、パルス幅1ns、パルス繰り返し周波数100kHz、及び平均出力2Wである。この結果、各チャネル当たりの8倍波(波長193nm)の平均出力は、図11(a)の波長変換部では229mW、図11(b)の波長変換部では38.3mW、図11(c)の波長変換部では40.3mW、図11(d)の波長変換部では45.9mWであった。従って、全128チャネルを合わせたバンドルからの平均出力は、図11(a)では29W、図11(b)では4.9W、図11(c)では5.2W、図11(d)では5.9Wとなり、いずれの波長変換部であっても露光装置用光源として十分な出力の、波長193nmの紫外光を提供することができる。
【0153】
これらの実施形態のうちで図11(a)の構成は最も簡略であり、変換効率も最も高い。このため、ファイバー光増幅器のチャネル数を前述の実施形態1、2(128チャネル)よりも減少させる、例えば1/2〜1/3のチャネル数としてバンドルを構成するか、あるいは、本実施例で示した基本波出力よりも低い基本波出力で構成するなどしても露光装置用光源として十分な出力の、波長193nmの紫外光を提供することが可能である。
【0154】
図11(d)の構成は、波長変換部の段数が5段とこれらの実施形態中で最も多いが、193nmへの変換効率は図11(b)、(c)の実施形態と同等程度であり、ほぼ同一の紫外光出力を得ることができる。また、図11(b)、(c)の構成では、8倍波(193nm)の発生にBBO結晶を用いているため、BBO結晶による8倍波(193nm)の吸収があり、BBO結晶の損傷が問題となる可能性がある。これに対し、図11(d)の構成では8倍波(193nm)の発生にLBO結晶を用いることができる。このLBO結晶は、現在、市販品として良質の結晶が容易に入手可能であり、さらに193nmの紫外光の吸収係数が非常に小さく、結晶の光損傷が問題とならないため耐久性の面で有利である。
【0155】
また、8倍波(例えば波長193nm)の発生部ではLBO結晶を角度位相整合させて用いるが、この位相整合角が大きいために実効非線形光学定数(deff)が小さくなる。そこで、このLBO結晶に温度制御機構を設け、LBO結晶を高温で用いることが好ましい。これにより、位相整合角を小さくすることができる、即ち上記定数(deff)を増加させることができ、8倍波発生効率を向上させることができる。
【0156】
なお、以上は基本波から8倍波を発生させる波長変換部の構成例についてその好ましい実施の形態について説明してきたが、本発明の波長変換部はこの実施形態にのみ拘束されるものではなく、基本波である1.544μmの8倍波を発生させる構成であれば、同様の効果を奏するものである。例えば、基本波(波長1.544μm)→2倍波(波長772nm)→3倍波(波長515nm)→4倍波(波長386nm)→6倍波(波長257nm)→7倍波(波長221nm)→8倍波(波長193nm)の順に波長変換することによっても同様の効果を奏するものである。
【0157】
このとき、この波長変換に使用する非線形光学結晶としては、例えば基本波から2倍波への変換結晶にはLBO結晶を、2倍波から4倍波への変換結晶にはLBO結晶を、2倍波と4倍波との和周波発生による6倍波発生にはBBO結晶を、基本波と6倍波との和周波発生による7倍波発生にはBBO結晶を、基本波と7倍波との和周波発生による8倍波発生にはLBO結晶を使用することで達成できる。この場合にも8倍波発生にLBO結晶を使用できるため結晶の損傷が問題とならない点で有利である。
【0158】
以上の実施形態4に示したように波長変換部を構成することにより、基本波発生部で発生させた波長1.544μmの基本波を波長193nmの紫外光に波長変換することができる。
【0159】
次に、図13に本発明に係る波長変換部の他の構成例を実施形態5として示す。これは、ファイバーバンドルの出力端601(実施形態1における114、実施形態2における29等に該当する)から射出される波長1.57μmの基本波を非線形光学結晶を用いて10倍波の高調波発生を行い、F2レーザと同じ波長である157nmの紫外光を発生する構成例を示したものである。なお、本実施形態における基本波出力部は、これまで述べてきた実施の形態1〜3のいずれか、あるいはそれらを組み合わせて用いることが可能である
【0160】
図13に示す波長変換部の構成例では、基本波(波長1.57μm)→2倍波(波長785nm)→4倍波(波長392.5nm)→8倍波(波長196.25nm)→10倍波(波長157nm)の順に波長変換する場合について示したものである。本実施例では2倍波発生から8倍波発生までの各波長変換段において、各波長変換段に入射された波長の2次高調波発生を行っている。
【0161】
また、本例では波長変換に使用する非線型光学結晶として、波長変換部602における基本波から2次高調波発生による2倍波の発生にはLBO結晶を使用し、波長変換部604における2倍波から2次高調波発生による4倍波の発生にはLBO結晶を使用する。さらに、波長変換部609における4倍波から2次高調波発生による8倍波の発生にはSr2Be2B2O7(SBBO)結晶を使用し、波長変換部611における2倍波と8倍波とから和周波発生による10倍波(波長157nm)の発生にはSBBO結晶を使用する。
【0162】
なお、波長変換部602から発生する2倍波は、集光レンズ603を通って波長変換部604に入射し、この波長変換部604は前述の4倍波と波長変換されない2倍波とを発生する。次に、ダイクロイック・ミラー605を透過する2倍波は集光レンズ606を通るとともに、ダイクロイック・ミラー607で反射されて波長変換部611に入射する。一方、ダイクロイック・ミラー605で反射された4倍波は、集光レンズ608を通って波長変換部609に入射し、ここで発生される8倍波は集光レンズ610、及びダイクロイック・ミラー607を通って波長変換部611に入射する。さらに波長変換部611は、ダイクロイック・ミラー607で同軸に合成される2倍波と8倍波とから和周波発生により10倍波(波長157nm)を発生する。
【0163】
ところで、本実施例では2段目の波長変換部604から発生する2倍波と4倍波とをダイクロイック・ミラー605で分岐することで、ここを透過した2倍波と、4倍波を波長変換部609で波長変換して得られる8倍波とが互いに異なる光路を通って4段目の波長変換部611に入射するように構成したが、ダイクロイック・ミラー605、607を用いずに4つの波長変換部602、604、609、611を同一光軸上に配置してもよい。
【0164】
但し、本実施例では2段目の波長変換部604で発生した4倍波はその断面形状がWalk-off現象により長円形になっている。このため、このビームを入力とする4段目の波長変換部611で良好な変換効率を得るためには、入射ビームとなる4倍波のビーム形状を整形し、2倍波との重なりを良好にすることが望ましい。本実施例では、集光レンズ606、608を別々の光路に配置することができるので、例えばレンズ608としてシリンドリカルレンズを用いることが可能になり、4倍波のビーム整形を容易に行うことができる。このため、4段目の波長変換部611での2倍波との重なりを良好にし、変換効率を高めることが可能である。
【0165】
以上の実施形態5に示したように波長変換部を構成することにより、基本波発生部で発生させた波長1.57μmの基本波を、波長157nmの紫外光に波長変換させることができる。
【0166】
図14には、本発明に係る波長変換部の他の構成例を実施の形態6として示す。これは、例えば実施の形態2に示したように基本波発生部を構成し、ファイバーバンドルの出力端701(実施の形態1における114、実施の形態2における29等に該当する)から射出される波長1.099μmの基本波を、非線形光学結晶を用いて7倍波の高調波発生を行い、F2レーザと同じ波長である157nmの紫外光を発生する構成例を示したものである。なお、本実施形態における基本波出力部は、これまで述べてきた実施の形態1〜3のいずれか、あるいはこれらを組み合わせて用いることが可能である。
【0167】
図14に示す波長変換部の構成例では、基本波(波長1.099μm)→2倍波(波長549.5nm)→3倍波(波長366.3nm)→4倍波(波長274.8nm)→7倍波(波長157nm)の順に波長変換する場合について示したものである。本実施例では、各波長変換部で入射光の2次高調波発生、又は和周波発生を行っている。
【0168】
さて、本例では波長変換に使用する非線型光学結晶として、波長変換部702における基本波から2次高調波発生による2倍波の発生にはLBO結晶を使用し、波長変換部705における基本波と2倍波とから和周波発生による3倍波の発生にはLBO結晶を使用する。さらに、波長変換部710における2倍波から2次高調波発生による4倍波の発生にはBBO結晶を使用し、波長変換部712における3倍波と4倍波とから和周波発生による7倍波の発生にはSBBO結晶を使用する。
【0169】
また、波長変換部(LBO結晶)702から発生する基本波と2倍波とは1/2波長板703に入射し、基本波のみその偏光方向が90度回転されるとともに、集光レンズ704を通って波長変換部(LBO結晶)705に入射する。波長変換部705は、基本波と2倍波とから和周波発生により3倍波を得るとともに、2倍波を波長変換することなく透過させる。波長変換部705から発生される2倍波と3倍波とはダイクロイック・ミラー706で分岐され、ここを透過した3倍波は集光レンズ707を通り、ダイクロイック・ミラー708で反射されて波長変換部712に入射する。一方、ダイクロイック・ミラー706で反射された2倍波は、集光レンズ709を通って波長変換部710に入射し、この波長変換部710は2倍波から2次高調波発生により4倍波を発生する。この4倍波は、集光レンズ711、及びダイクロイック・ミラー708を通って波長変換部712に入射する。この波長変換部712は、3倍波と4倍波とから和周波発生により7倍波を発生する。
【0170】
ところで、本実施例では2段目の波長変換部705から発生する2倍波と3倍波とをダイクロイック・ミラー706で分岐することで、ここを透過した3倍波と、2倍波を波長変換部710で波長変換して得られる4倍波とが互いに異なる光路を通って4段目の波長変換部712に入射するように構成したが、ダイクロイック・ミラー706、708を用いずに4つの波長変換部702、705、710、712を同一光軸上に配置してもよい。
【0171】
但し、本実施例では3段目の波長変換部710で発生した4倍波はその断面形状がWalk-off現象により長円形になっている。このため、このビームを入力とする4段目の波長変換部712で良好な変換効率を得るためには、入射ビームとなる4倍波のビーム形状を整形し、3倍波との重なりを良好にすることが望ましい。本実施例では、集光レンズ707、711を別々の光路に配置することができるので、例えばレンズ711としてシリンドリカルレンズを用いることが可能になり、4倍波のビーム整形を容易に行うことができる。このため、4段目の波長変換部712での3倍波との重なりを良好にし、変換効率を高めることが可能である。
【0172】
以上の実施形態6に示したように波長変換部を構成することにより、基本波発生部で発生させた波長1.099μmの基本波を、波長157nmの紫外光に波長変換させることができる。
【0173】
次に、本発明に係る光増幅器および波長変換部の他の構成例を実施形態7として図15に示す。図15では、波長変換部を複数の並列光路構成(図の例では4光路の正方形配置)とし、これにあわせて多数のファイバー光増幅器19または25の出力端を4つのバンドル(出力群)に分割するとともに、この4つのファイバーバンドル出力端に対応してそれぞれ集光光学素子、及び波長変換部を設ける実施例を示す。本例では、図1又は図2に示した光増幅器を用いることを前提としているので、1つのファイバーバンドルには32本のファイバー光増幅器19又は25が束ねられることになる。なお、バンドルは最終段のEDFA出力端もしくはYDFA出力端をそのまま用いて形成することができるが、最終段のEDFA等に無ドープのファイバーを結合させ、その出力端でバンドルを形成することも可能である。
【0174】
また、ファイバー光増幅器19または25の出力端を複数に分割して、複数個のファイバーバンドルを形成する場合には、多数(本例では128本)のファイバー光増幅器19又は25のうち、レーザ光の射出順番で隣り合う出力端(ファイバー光増幅器)は、互いに異なるファイバーバンドルに束ねる構成とすることが好ましい。例えば、レーザ光が射出する順番にその128本のファイバー光増幅器(19又は25)にNo.0〜127の番号を付けるものとすると、No.0、4、8、・・・、124のファイバー光増幅器を第1のファイバーバンドルとして束ね、No.1、5、9、・・・、125のファイバー光増幅器を第2のファイバーバンドルとして束ね、No.3、6、10、・・・、126のファイバー光増幅器を第3のファイバーバンドルとして束ね、No.4、7、11、・・・、127のファイバー光増幅器を第4のファイバーバンドルとして束ねる。これにより、ファイバーバンドル毎にそれに対応して配置される波長変換部(非線形光学結晶)に入射するパルス光の時間間隔を均等に分割することができる。
【0175】
さて、図15に示すように4つのファイバーバンドルからなる光増幅器(図1、又は図2)の出力端841から射出される基本波は、本例では3段の波長変換部842、843、844でそれぞれ波長変換される。なお、本例では前述の実施形態4〜6で説明した波長変換部(図11、図13、図14)のいずれでも用いることができるが、ここでは図11(a)に示した波長変換部を用いる、即ち基本波(波長1.544μm)を3段の非線形光学結晶(502〜504)によって波長193nmの紫外光に波長変換する例について説明する。従って、波長1.544μm(周波数ω)の基本波は、非線形光学結晶842、843、844を図中左から右に向かって透過いていくことで、2倍波、4倍波、8倍波(波長193nm)と順次波長変換されて出力される。
【0176】
図15において、4つのファイバーバンドルからなる光増幅器の出力端841から射出される基本波(波長1.544μm)は、4つのファイバーバンドルに対応してそれぞれ設けられる集光レンズ845を通って波長変換部(非線形光学結晶)842に入射し、ここで2次高調波発生により基本波の周波数ωの2倍、すなわち周波数2ω(波長772nm)の2倍波が発生する。波長変換部842で発生した2倍波は右方向へ進み、集光レンズ846を通って次の波長変換部(非線形光学結晶)843に入射する。ここで再び2次高調波発生が行われ、入射波(2倍波)の周波数2ωの2倍、すなわち基本波に対して4倍の周波数4ω(波長386nm)をもつ4倍波が発生する。波長変換部843で発生した4倍波は、集光レンズ847を通ってさらに右の波長変換部(非線形光学結晶)844に入射し、ここでさらに2次高調波発生が行われ、入射波(4倍波)の周波数4ωの2倍、すなわち基本波に対して8倍の周波数8ω(波長193nm)をもつ8倍波を発生する。
【0177】
この実施形態において前記波長変換に使用する非線形光学結晶としては、例えば波長変換部842での基本波から2倍波への波長変換結晶としてLBO結晶を、波長変換部843での2倍波から4倍波への波長変換結晶としてBBO結晶を、波長変換部844での4倍波から8倍波への波長変換結晶としSBBO結晶を使用する。
【0178】
なお、本実態様では基本波(波長1.544μm)→2倍波(波長772nm)→4倍波(波長386nm)→8倍波(波長193nm)の順に波長変換する場合について示したが、これは既に説明した実施形態4における図11(a)の波長変換部を複数並列化したものに相当する。従って、すでに示した他の波長変換部構成である図11(b)〜図11(d)を本実施形態と同様の手法で複数並列化したものも本実施形態と同様に構成することができる。同様に、図13及び図14にそれぞれ示した波長変換部を複数並列化して構成するようにしてもよい。
【0179】
次に、図16を参照して光増幅器と波長変換部との結合部についての本実施形態における第2の実施例を説明する。この実施例は図15に示した波長変換部の構成を5光路の並列構成とし、これに合わせてファイバー光増幅器の出力端を5つに分割して5つのファイバーバンドル(出力群)を形成したものである。この分割に際してファイバー光増幅器の出力端を均等に5分割せず、5つのファイバーバンドル(出力群)の一部(図15では1つのファイバーバンドル)の出力端850は単独又は少数のファイバー光増幅器で構成し、他(図15では4つ)のファイバーバンドル出力端851はファイバー光増幅器の数が同数となるように均等に分割された複数のファイバー光増幅器を束ねたものである。
【0180】
そして、これら出力光は各出力群(ファイバーバンドル)ごとに設けられた波長変換部852〜857で所定波長の紫外光に変換され、例えば露光装置へ供給される。なお、3段の波長変換部852〜854はそれぞれ複数(5つ)のファイバーバンドルと同数の波長変換部から構成され、その波長変換部852〜854の入射側にそれぞれ配置される集光光学素子855〜857もそれぞれファイバーバンドルと同数の集光レンズから構成されている。
【0181】
ここで、本例による紫外レーザ装置を露光装置(図19又は図20)に適用する場合、4つのファイバーバンドルの出力端851からそれぞれ発生する基本波は、波長変換部(852〜857)で紫外光に波長変換され、この紫外光が露光用照明光として照明光学系を通ってレチクルに照射される。即ち、4つのファイバーバンドルは露光用光源として使用される。一方、単独あるいは少数のファイバー光増幅器で構成されるファイバーバンドルの出力端850から発生して、紫外光に波長変換された光出力は、露光装置に設けられるアライメント系、又はモニター系などに導かれる。即ち、1つのファイバーバンドル(850)はアライメント用光源などとして使用される。なお、ファイバーバンドル出力端850から発生して波長変換された紫外光は、例えば3段目の波長変換部854に結合される無ドープ・ファイバーによってアライメント系などに伝送される。
【0182】
ところで、図16では4つのファイバーバンドルの出力端851から発生する基本波を紫外光に波長変換して照明光学系に導くものとしたが、そのファイバーバンドルの数は1つであっても複数であってもよい。また、アライメントやモニターに用いるファイバーバンドルは1つであったが、その数を複数としてもよく、この複数のファイバーバンドルから射出される光をそれぞれ異なる光学系に導くようにしてもよい。
【0183】
本例では、露光用光源とアライメント用、又はモニター用等に使用する光源とが同一であり、露光用照明光とアライメント用照明光などとは同一の単一波長発振レーザの出力光を分岐、増幅、及び波長変換したものとなり、同一波長の紫外光を用いることができる。このため、アライメントあるいは各種のモニターを露光装置の照明光学系や投影光学系などの光学系を通して行うことが可能になる。
【0184】
従って、アライメント用光学系などの設計が容易になり、その構成を大幅に簡略化できる、あるいは別途設ける必要がなくなり、露光装置を簡易に構築することが可能となる。なお、露光用照明光の照射とアライメント用照明光などの照射とを同時に行わないことがあるので、例えば照明光路内にそれぞれシャッターを設ける、あるいはTDM23によってパルス光を振り分けるチャネルを選択するようにして、その照射のタイミングを独立に制御することが好ましい。
【0185】
さらに、投影光学系の焦点位置、投影倍率、収差、及びテレセントリシティなどを計測するために、前述のアライメント用やモニター用の紫外光を用いることができ、その計測精度を向上させることが可能となる。なお、投影光学系の結像面と感光基板(ウエハ)との焦点合わせを行う場合にも、露光波長と同一波長の光を使用し、かつ投影光学系を通してその焦点合わせを行うことにより、位置合わせ精度の向上も同時に達成することができる。
【0186】
ところで、以上説明した様な本実施形態(図15、図16)の構成によれば、ファイバー光増幅器のファイバー出力を複数の群に分割し、非線形光学結晶への入力光を分割することにより、非線形光学結晶への入射パワーを効果的に低減できる。従って、非線形光学結晶中での光吸収・熱効果に起因する出力低下や光損傷などの問題を解決することができる。なお、ファイバー光増幅器の出力端の分割数(ファイバーバンドルの数)は4つ又は5つに限られるものではなく、2つ以上であればよい。
【0187】
次に、本発明に係る紫外光発生装置における光増幅器と波長変換部との結合部について実施形態8として説明する。ここで、光増幅器の出力端は前述の実施形態1及び2で述べたようにファイバー光増幅器の出射端がバンドル状に束ねられ形成されている。このとき、各ファイバー光増幅器のクラッド直径は125μm程度であることから、128本を束ねた出力端でのバンドルの直径は約2mm以下とすることができる。
【0188】
ここで、バンドルの数及び形状は、波長変換部の構成や必要とされる光源の形状に合わせて定めることが可能であり、例えば実施形態1、2では一つの円形断面を有するバンドルの場合を示している(114、29、501、601、701等)。このとき、ファイバー光増幅器の出力端部が例えば図9あるいは図10に示したように平坦面に形成されている場合には、ファイバーバンドルの出力端と第1段目の波長変換部(非線形光学結晶)との間に集光レンズ(例えば図15の集光レンズ845など)を設けて、ファイバーバンドルから発生する光を非線形光学結晶に集光させることにより、ファイバー光増幅器の出力光を有効に入射させることができる。
【0189】
また、本発明に係るこの結合部の他の実施例を図17に示す。図17において、複数のファイバー光増幅器の出射端が束ねられたファイバーバンドル出力端901から基本波が射出されるが、ファイバー光増幅器毎にレンズ902が配置され、このレンズ902によって基本波は1段目の波長変換部(非線形光学結晶)903(例えば第4の実施形態(図11)における502、507、518、533等)に集光する。本実施例では、ファイバーバンドル全体の直径を2mm、ファイバーバンドルを構成する各ファイバー光増幅器のモード径を20μmとし、個別のレンズ902により、1段目の波長変換部903に集光する例について示す。なお、1段目の波長変換部903と2段目の波長変換部906との間には一対のレンズ904、905が配置されており、波長変換部903から射出される光がその波長変換部903への入射時と同じ条件で波長変換部906に入射するようになっている。
【0190】
このような実施形態においては、非線形光学結晶での各ビーム径が最適な高調波変換効率を得るのに望ましい大きさ(例えば本実施例では200μm程度)となる様に、集光レンズ902の倍率(例えば本実施例では10倍程度)を選ぶ。各ファイバー出力を個別のレンズ902により集光しているため、ファイバーバンドル中のすべてのファイバーから集光された非線形結晶中での全光束の占める大きさ(断面積)は、集光レンズの倍率によらずファイバーバンドル自身の直径程度となる。従って、必要な波長変換結晶の大きさ(断面)は、ファイバーバンドルの直径程度となるため、数ミリ角程度の小さな波長変換結晶を用いることができ経済的である。なお、レンズ902を設ける代わりに、ファイバー出力端面を直接、球面あるいは非球面のレンズ状に加工して集光光学素子の機能を持たせてもよい。
【0191】
次に、光増幅器と波長変換部との結合部におけるファイバー出力端の他の実施例を図18に示す。図18(a)および(c)に示した実施例は、図17に示した集光レンズ902を、ファイバー452毎にその出力端部に形成する、及びこれを出力群ごとにバンドル状にまとめた例を示している。本例では、ファイバー452毎にその出力端部に集光光学素子453が形成されているが、これは既に図10(a)を用いて説明したファイバー出力端部に設けた窓部材433をレンズ状に加工し、集光光学素子の機能を持たせたものである。このように構成することにより、図17と同様の集光機能を備えると共にファイバー出力端面の損傷を抑制することができる。
【0192】
また、図18(b)は複数のファイバー462を束ねた出力群ごとに集光光学素子463を設ける場合の実施例である。本例では、例えば図15に示した集光レンズ845をファイバーバンドルの出力端部に形成したものであり、既に図10(b)を用いて説明した窓部材443を球面あるいは非球面のレンズ状に加工して集光光学素子の機能を持たせたものである。
【0193】
なお、ファイバー端部あるいは窓部材の出力面を、球面あるいは非球面のレンズ形状に加工する代わりに、熱イオン交換法や電解イオン交換法等のイオン交換法を用いてファイバー端部を、あるいは窓部材としてガラス窓を用いるときにはガラス窓端部のガラス組成を、イオン交換により部分的に変化させ、これによりレンズと同等の屈折率分布を持たせることで集光光学機能を持たせるものであっても良い。また、図18(a)〜(c)ではファイバー内のコア451、461の径は拡大されていないが、このコア径の拡大を併用することもできる。
【0194】
さて、2段目以降の波長変換部(非線形光学結晶)への集光は、1段目の場合と同様にファイバー毎、又はバンドル毎にその出力を個別のレンズにより行うこともできるが、本実施例ではファイバーバンドルの全出力を共通の1組あるいは1個のレンズで集光する場合について記述している。このように共通のレンズを使用することにより、使用するレンズの数が少なくなり、レンズのアライメントも容易になるため、経済的である。
【0195】
なお、波長変換結晶(非線形光学結晶)の出力端はその波長変換結晶で集光されたビームのレイリー長のなかに位置するため、波長変換結晶からの射出ビームは波長変換結晶の出力端でほぼ平行光となる。本実施例(図17)ではこの射出ビームを一対のレンズ904、905により2段目の波長変換結晶906に集光する場合について示した。ここで、レンズ対の焦点距離は2段目の波長変換部906で最適な変換効率を得るのに望ましいビーム径となる倍率に定めることができる。なお、図11、図13、図14に示した波長変換結晶に基本波又はその高調波を集光する集光光学素子(例えば図11(a)に示す505、506等)は1個のレンズで構成されていたが、本実施例のように1組のレンズで構成することも可能である。
【0196】
このように実施の形態1〜3に示した構成により基本波発生部(レーザ光発生部及び光増幅器)を構成し、実施の形態4〜7に示した構成により波長変換部を構成し、また実施形態8に示した構成により光増幅器と波長変換部との結合部を構成することによって、出力波長157nm、193nm等の紫外光出力を得ることができる。これらはそれぞれF2レーザ、ArFエキシマレーザの発振波長と同一波長である。
【0197】
しかも、この様にして得られる紫外出力光は、例えば実施の形態1による基本波発生部を用いて構成した場合には、約3nsの間隔で発光するパルス光であるため、互いに時間的に重なり合うことがなく、極めて狭帯域化された単一波長の紫外光でありながら、個々の出力光は互いに干渉することがない。また、例えば実施の形態2による基本波発生部を用いて構成した場合には得られる紫外出力光は、約78nsの等間隔で発光するパルス光であるため、互いに時間的に重なり合うことがなく、極めて狭帯域化された単一波長の紫外光でありながら、個々の出力光は互いに干渉することがない。
【0198】
さらに、例えば特開平8−334803号公報に開示されているような固体紫外レーザアレイでは、並列化された個々の基本波レーザに対し(個々のレーザ要素ごとに)それぞれ波長変換部が必要であるが、本実施形態によれば基本波出力のファイバーバンドル直径が全チャネルをあわせても2mm以下であるため、わずか1組の波長変換部ですべてのチャネルの波長変換を行うことが可能である。しかも、出力端が柔軟なファイバーであるため、波長変換部と単一波長発振レーザやスプリッタ、時分割光分岐手段等の他の構成部とを分けて配置することが可能となるなど、配置の自由度が極めて高い。従って、本発明により安価でコンパクトかつ、単一波長でありながら空間的コヒーレンスの低い紫外レーザ装置が提供できる。
【0199】
次に本発明に係る紫外レーザ装置の第9の実施形態について説明する。本実施形態による紫外レーザ装置は、既にこれまでの第1から第8の実施形態で述べてきた様な紫外レーザ装置が露光装置用光源であることを特徴とするものである。
【0200】
以下、本発明に係る紫外レーザ装置を用いた露光装置の実施例について図19を参照しながら説明する。光リソグラフィ工程で使用される露光装置は、原理的には写真製版と同じであり、フォトマスク(レチクル)上に精密に描かれたデバイスパターンを、フォトレジストを塗布した半導体ウエハーやガラス基板などの上に光学的に投影して転写する。本発明に係る紫外レーザ装置1261は、照明光学系1262、投影光学系1265などを含む露光装置全体と一体に設けられている。このとき、照明光学系1262を支持する架台に紫外レーザ装置1261を固定しても良いし、あるいは紫外レーザ装置1261を単独で架台に固定しても良い。但し、紫外レーザ装置1261に接続される電源などは別置きにしておくことが好ましい。
【0201】
また、紫外レーザ装置1261をレーザ光発生部および光増幅器を有する第1部分と、波長変換部を有する第2部分とに分け、第2部分を照明光学系1262と一体に架台に固定し、第1部分をその架台と異なる架台に固定しても良い。さらに、露光装置本体を収納するチャンバー内に紫外レーザ装置1261をすべて配置しても良いし、あるいは紫外レーザ装置1261の一部、例えば波長変換部をチャンバー内に配置し、残りの部分はチャンバーと一体にその外側に配置するようにしても良い。また、紫外レーザ装置1261の制御系はチャンバーとは別置される制御ラックに収納しても良いし、あるいは表示部(ディスプレイ)、スイッチ類などをチャンバーと一体にその外側に配置し、残りはチャンバー内に配置しても良い。
【0202】
そして、本発明により狭帯域化されかつ空間的コヒーレンスの低い紫外光は、照明光学系1262により必要な投影面上での照度分布が均一となるように拡大投影され、集積回路の回路パターンが精密に描かれた石英マスク(石英レチクル)1263上に照射される。レチクル1263の回路パターンは、投影光学系1265により所定の縮小倍率で縮小されフォトレジストの塗布された半導体ウエハー(例えばシリコンウエハー)1266に投影され、前記回路パターンがウエハー上に結像・転写される。
【0203】
照明光学系1262は、レチクル1263のパターン面とほぼ共役な面内に配置され、かつレチクル1263上での照明領域を規定する視野絞り、照明光学系1262内でレチクル1263のパターン面とほぼフーリエ変換の関係となる所定面上での紫外光の光量分布を規定する開口絞り、および開口絞りを射出する紫外光をレチクル1263に照射するコンデンサーレンズなどを含む。このとき、所定面上での紫外光を光量分布を変更するために、互いに形状と大きさとの少なくとも一方が異なる複数の開口絞りをターレットに設け、レチクル1263のパターンに応じて選択される複数の開口絞りの一つを照明光学系1262の光路内に配置するようにしても良い。
【0204】
また、紫外レーザ装置1261の波長変換部と視野絞りとの間にオプティカルインテグレータ(ホモジナイザ)を配置しても良く、フライアイレンズを用いるときはその射出側焦点面がレチクル1263のパターン面とほぼフーリエ変換の関係となるように配置し、ロッドインテグレータを用いるときはその射出面がレチクル1263のパターン面とほぼ共役となるように配置すればよい。
【0205】
なお、露光装置の露光開始シャッタとしては、既に実施形態1〜3で説明した電気光学変調素子あるいは音響光学変調素子(12、22、32)を用いることができる。電気光学変調素子あるいは音響光学変調素子をオフの状態すなわちパルスを発生しない(内部損失が大の)状態からオンの状態すなわちパルスを発生する(パルス状に内部損失が小となる)状態に切り替えて露光を開始する。
【0206】
なお、紫外レーザ装置1261を有する露光装置では、紫外レーザ装置1261を構成する単一波長発振レーザから連続光を出力させても良いし、あるいは単一波長発振レーザをパルス出力させるようにしても良い。特に後者では、単一波長発振レーザの電流制御と前述の電気光学変調素子又は音響光学変調素子の制御とを併用して、レチクル1263及び半導体ウエハ1266に照射される紫外光(パルス光)の出力間隔や出力の開始及びその停止などを制御するようにしても良い。
【0207】
また、本実施形態での紫外レーザ装置1261を有する露光装置では、機械的なシャッタを用いてウエハ1266上での紫外光の積算光量を制御する必要はないが、例えば紫外レーザ装置1261の出力(パワー、中心波長、波長幅など)を安定化するために紫外光を発振させるとき、その紫外光がウエハ1266に到達してフォトレジストを感光させるのを防止するために、紫外レーザ装置1261とウエハ1266との間の照明光路内にシャッタを配置しても良いし、あるいはステージ1267を駆動してウエハ1266を紫外光の照射領域から退避させるようにしても良い。
【0208】
半導体ウエハー1266は、駆動機構1269を具備するステージ1267上に載置され、一回の露光が完了する度にステージを移動することにより、半導体ウエハー上の異なる位置に回路パターンが転写される。この様なステージの駆動、露光方式をステップ・アンド・リピート方式という。ステージの駆動、露光方式にはこのほかに、レチクル1263を支持する支持部材1264にも駆動機構を設け、レチクルと半導体ウエハとを同期移動して走査露光を行うステップ・アンド・スキャン方式があるが、この方式についても本発明の紫外レーザ装置を適用することが可能である。
【0209】
なお、本発明に係る紫外レーザ装置を用いた露光装置の様に紫外光で露光を行う露光装置では、通常、照明光学系1262、投影光学系1265ともに色補正なしの全石英レンズ構成である。また、特に紫外光の波長が200nm以下であるときは、投影光学系1265を構成する複数の屈折光学素子のうち少なくとも一つを蛍石で構成しても良いし、あるいは少なくともひとつの反射光学素子(凹面鏡、ミラー等)と屈折光学素子とを組み合わせた反射屈折光学系を用いるようにしてもよい。
【0210】
以上のように、本発明に係る紫外レーザ装置を用いた露光装置は従来の他の方式(エキシマレーザや固体レーザを用いた露光装置)にくらべて小型であり、また、各要素がファイバー接続されて構成されているため装置を構成する各ユニットの配置の自由度が高い。図20には、このような本発明に係る紫外レーザ装置の特質を生かした他の実施例を示す。
【0211】
この実施例は、実施形態1〜3に記載したレーザ装置のレーザ光発生部(単一波長レーザ、光分岐手段等)および光増幅器の構成部分と、実施形態4〜7に記載した波長変換部とを分離して配置し、露光装置を構成したものである。すなわち、波長変換部1272を露光機本体に載置する一方、紫外レーザ装置の他の部分(レーザ光発生部、光増幅器等)1271を露光装置本体の外に別置して設け、これらの間を接続用ファイバー1273で接続することにより紫外レーザ装置を構成する。ここで、接続用ファイバー1273は、ファイバー光増幅器のファイバー自身(例えば実施形態1におけるファイバーバンドル114等)、無ドープのファイバー、あるいはこれらの組み合わせであっても良い。なお、紫外レーザ装置以外の露光機本体の部分は図19と同一の装置を用いて構成することができる。
【0212】
このような構成とすることにより、ファイバー光増幅器の励起用半導体レーザや半導体レーザのドライブ用電源、温度コントローラ等の発熱を伴う主要な構成部分を露光機本体の外に配設することができる。従って、露光装置本体が露光光源である紫外レーザ装置からの発熱の影響を受けて光軸のアライメントが狂う等熱に起因する問題を抑制することができる。
【0213】
ところで、図20に示すようにレチクル1263を保持するレチクルステージ1264は駆動機構1268によってX方向、Y方向に移動可能で、かつ微小回転可能に構成されている。また、ウエハステージ1267上には基準マーク板FMが設けられており、この基準マーク板は後述するベースライン計測などに用いられる。さらに本例では、レチクル1263上のアライメントマークを検出するアライメント系1280と、投影光学系1265とは別設されるオフアクシス方式のアライメント系1281とが設けられている。
【0214】
アライメント系1280は、露光用照明光、又はそれと同一波長域の照明光をレチクル1263上のアライメントマーク、及び投影光学系1265を通して基準マーク板FM上の基準マークに照射するとともに、両マークから発生する光を撮像素子(CCD)で受光してその位置ずれを検出するものであり、レチクル1263のアライメントやアライメント系1281のベースライン計測などに用いられる。
【0215】
オフアクシス方式のアライメント系1281は、例えば550〜750nm程度の波長幅を持つ白色光(ブロードバンド光)を半導体ウエハ1266上のアライメントマークに照射するとともに、その内部に設けられる指標マークの像とアライメントマークの像とを撮像素子(CCD)上に結像させて両マークの位置ずれを検出するものである。
【0216】
なお、アライメント系1280、1281でそれぞれ基準マーク板FM上の基準マークを検出することで、その検出結果からアライメント系1281のベースライン量を計測することができる。なお、ベースライン計測は半導体ウエハの露光開始前に行われるが、半導体ウエハを交換するたびにベースライン計測を行ってもよいし、あるいは複数枚の半導体ウエハの露光動作に1回の割合でベースライン計測を行うようにしてもよい。但し、レチクル交換後には必ずベースライン計測が行われる。
【0217】
さて、本例では紫外レーザ装置(基本波発生部)1271に接続される波長変換部として図16に示した波長変換部を用いる。即ち、4つのファイバーバンドル出力端851から発生する基本波が入射する波長変換部1272と、ファイバーバンドル出力端850から発生する基本波が入射する波長変換部1279とを分離し、波長変換部1272は照明光学系1262を保持する架台に一体に設け、波長変換部1279はアライメント系1280を保持する架台に一体に設ける。このとき、ファイバーバンドル出力端850に接続用ファイバー1278を結合して基本波を波長変換部1279に導く。これにより、アライメント系1280の光源を別途用意する必要がなくなるとともに、露光用照明光と同一波長の照明光を用いて基準マークを検出でき、高精度なマーク検出が可能となる。
【0218】
なお、本例では露光用照明光と同一波長の照明光をアライメント系1280に導くものとしたが、露光用照明光の波長(例えば193nm)よりも長い波長をアライメント系1280、又は1281などに導くようにしてもよい。即ち、図16に示した3段の波長変換部のうち、例えば2段目の波長変換部853から射出されるパルス光を接続用ファイバーでアライメント系に導けばよい。また、1段目の波長変換部852から射出されるパルス光の一部を分岐するとともに、その残りのパルス光を2段目の波長変換部853で波長変換し、2つの波長変換部852、853からそれぞれ射出される互いに波長が異なる2つのパルス光をアライメント系に導くようにしてもよい。
【0219】
また、図20に示した露光装置には、基本波発生部1271内の単一波長発振レーザ、例えばDFB半導体レーザ(図1中の11など)が載置されるヒートシンクに設けられた温度調整器(例えばペルチェ素子)を用いてその温度を調整することで、DFB半導体レーザの発振波長、即ちレチクル1263に照射される紫外レーザ光(露光用照明光)の波長を制御する波長制御装置1274が設けられている。波長制御装置1274は、DFB半導体レーザの温度を0.001℃単位で制御することで、紫外レーザ光の中心波長の安定化、及び投影光学系1265の光学特性(収差、焦点位置、投影倍率など)の調整などを行うものである。これにより、半導体ウエハの露光動作中における紫外レーザ光の波長安定性を向上させることができ、かつ紫外レーザ光の照射、及び大気圧変化などに起因して変動する投影光学系1265の光学特性を簡単に調整することができる。
【0220】
さらに、図20に示した露光装置には、基本波発生部1271内で単一波長発振レーザ(DFB半導体レーザなど)から発生する連続光をパルス光に変換する光変調素子(図1中の12など)にドライブ用電圧パルスを印加するパルス制御部1275と、半導体ウエハ1266に塗布されるフォトレジストの感度特性に応じて、回路パターン転写時にそのフォトレジストを露光するのに必要なパルス数を計算するとともに、そのパルス数に応じてパルス制御部1275から出力される制御パルスの発振タイミング、及びその大きさなどを制御する露光制御部1276と、露光装置全体を統括制御する制御装置1277とが設けられている。
【0221】
ここで、パルス制御部1275は基本波発生部1271内の単一波長発振レーザ(11など)の電流制御あるいは光変調素子12に印加する電圧の制御を行って、その単一波長発振レーザをパルス出力させることもできるようになっている。即ち、パルス制御部1275による電流あるいは電圧の出力制御によって、単一波長発振レーザは連続光とパルス光とを切り替えて出力することが可能となる。本実施例では、パルス制御部1275によって単一波長レーザをパルス発振させるとともに、前述した光変調素子の制御によってその発振されるパルス光(パルス幅が10〜20ns程度)からその一部のみを切り出す、即ちパルス幅が1nsのパルス光に変調する。これにより、光変調素子のみを用いて連続光をパルス光に変換する場合に比べて、消光比の高いパルス光を容易に発生させることが可能になるとともに、露光制御部1276によってパルス出力の間隔やパルス出力の開始及びその停止などをより簡単に制御することが可能になっている。
【0222】
また、パルス制御部1275は単一波長発振レーザのパルス発振と連続発振との切替だけでなく、そのパルス出力の間隔やパルス幅などの制御を行うとともに、パルス光の出力変動を補償するように、単一波長発振レーザの発振制御と、光変調素子に印加する電圧パルスの大きさの制御との少なくとも一方を行う。これにより、パルス光の発振間隔の変更時、あるいはパルス光の発振再開時などに生じるパルス光の出力変動を補償することができる。即ちパルス毎にその出力(強度)を常にほぼ一定値に維持することが可能となる。
【0223】
さらに、パルス制御部1275は、基本波発生部1271内で直列に配置される複数のファイバー光増幅器(図1中の13、18、19など)の少なくとも1つの利得を調整し、この利得調整のみ、あるいは前述した光変調素子の制御との併用によって、半導体ウエハ上でのパルス光の強度を制御することが可能となっている。なお、光分岐装置で並列分割される複数のチャネルに対応して並列に設けられるファイバー光増幅器の少なくとも1つの利得も同様に制御することも可能となっている。
【0224】
また、露光制御部1276は基本波発生部1271から出力される基本波、または波長変換部1272から出力される紫外光、あるいは波長変換部1272内で、例えば1段目または2段目の非線形光学結晶から出力されるパルス光を検出するとともに、この検出値(強度、波長、及び波長幅などを含む)に基づいてパルス制御部1275を制御し、前述したパルス光の発振間隔、その発振の開始と停止、及びパルス光の強度などを調整するようになっている。さらに、その検出値は波長制御装置1274にも入力され、波長制御装置1274はその検出値に基づいて単一波長発振レーザの温度制御を行い、露光用照明光(紫外レーザ光)の中心波長や波長幅を調整するようになっている。
【0225】
制御装置1277は、半導体ウエハ又はそれを保持するカセットに付された識別記号(バーコードなど)の読取装置(不図示)、あるいはオペレータから入力されるフォトレジストの感度特性に関する情報を露光制御部1276に送り、露光制御部1276はその入力情報に基づいてパターン転写に必要な露光パルス数を計算する。さらに露光制御部1276は、露光パルス数とこれに応じて決定されるパルス光の強度とに基づいてトリガパルス制御部1275を制御し、光変調素子に印加する制御パルスの発振タイミング、及びその大きさを調整する。これにより、露光の開始と終了、及び半導体ウエハ1266上に照射されるパルス光の強度が制御され、複数のパルス光の照射によってフォトレジストに与えられる積算光量がその感度に応じた適正露光量に制御される。
【0226】
なお、露光制御部1276はパルス制御部1275に指令を送って、単一波長発振レーザの電流制御を行わせることで、その電流制御のみ、あるいは光変調素子の制御との併用によって露光(パルス出力)の開始と終了などを制御できるようになっている。
【0227】
ここで、本例での基本波発生部1271として図1又は図2のレーザ装置を用いる場合、光変調素子で切り出される1つのパルス光が複数(128個)に分割されることになるが、本例ではその分割された128個のパルス光を1パルスとして、このパルス単位で露光量制御を行うようにしてもよいし、あるいはその分割された128個のパルス光をそれぞれ1パルスとして露光量制御を行うようにしてもよい。なお、後者の露光量制御を行う場合には、パルス制御部1275による光変調素子の制御の代わりに、基本波発生部1271内のファイバー光増幅器の利得を調整して、半導体ウエハ上でのパルス光の強度を制御するようにしてもよいし、あるいはこの2つの制御を併用するようにしてもよい。
【0228】
また、図20に示した露光装置は、ステップ・アンド・リピート方式とステップ・アンド・スキャン方式とを選択的に切り替えて半導体ウエハの露光を行うことが可能となっている。ステップ・アンド・リピート方式では、レチクル1263上の回路パターンの全体が露光用照明光で照射されるように、照明光学系1262内の視野絞り(レチクルブラインド)を駆動してその開口の大きさなどを調整する。一方、ステップ・アンド・スキャン方式では、投影光学系1265の円形投影視野内で露光用照明光の照射領域がレチクル1263の走査方向と直交する方向に沿って延びる矩形スリット状に制限されるように視野絞りの開口を調整する。従って、ステップ・アンド・スキャン方式ではレチクル1263上の回路パターンの一部のみが照明されるので、その回路パターンの全体を半導体ウエハ上に走査露光するために、露光用照明光に対してレチクル1263を相対移動するのに同期して、投影光学系1265の投影倍率に応じた速度比で半導体ウエハ1266を露光用照明光に対して相対移動する。
【0229】
ところで、前述の走査露光時における露光量制御では、光変調素子によって規定されるパルス繰り返し周波数fと、図2に示したTDM23によって規定されるチャネル間の遅延時間との少なくとも一方を調整して、走査露光中に基本波発生部1271から複数のパルス光を等時間間隔で発振させる。さらに、フォトレジストの感度特性に応じて、半導体ウエハ上でのパルス光の強度、半導体ウエハの走査速度、パルス光の発振間隔(周波数)、及び半導体ウエハの走査方向に関するパルス光(即ちその照射領域)の幅の少なくとも1つを調整し、半導体ウエハ上の各点が照射領域を横切る間に照射される複数のパルス光の積算光量を適正露光量に制御する。このとき、スループットを考慮して、半導体ウエハの走査速度がウエハステージ1267の最高速度にほぼ維持されるように、露光量制御では他の制御パラメータ、即ちパルス光の強度、発振周波数、及び照射領域の幅の少なくとも1つを調整することが好ましい。
【0230】
また、図1又は図2に示したレーザ装置を用いて走査露光を行う場合、露光量制御では前述のように分割される128個のパルス光をそれぞれ1パルスとして等時間間隔で発振させることが好ましい。但し、半導体ウエハの走査速度に応じてその分割された128個のパルス光の発振間隔を調整して、その128個のパルス光が1パルスと見做せる、即ち128個のパルス光が照射される間に半導体ウエハが移動する距離が露光量制御精度を低下させる要因とならないのであれば、その128個のパルス光を1パルスとして露光量制御を行うようにしてもよい。
【0231】
なお、以上に示した本発明の各実施形態の説明に於いては、ArFエキシマレーザもしくはF2レーザと同じ出力波長193nm、157nmを出力する紫外レーザ装置の構成例について説明を行ったが、本発明はこの波長のレーザ装置に限定されるものでなく、レーザー光発生部、光増幅器、波長変換部の構成内容を適宜選択することにより、例えばKrFエキシマレーザと同じ出力波長248nmを発生する紫外レーザ装置を提供することも可能である。
【0232】
例えば、レーザ光発生部における単一波長発振レーザとして992nmで発振するイットリビウム(Yb)ドープ・ファイバーレーザあるいは半導体レーザを、ファイバー光増幅器としてイットリビウム・ドープ・ファイバー光増幅器を用い、波長変換部としてファイバー光増幅器の出力をLBO結晶を用いて第2次高調波(波長496nm)発生を行い、更にその出力をBBO結晶を用いて第4次高調波(波長248nm)の紫外光を発生するような4倍高調波発生光路を構成することにより、KrFエキシマレーザと同じ248nmの紫外光を発生する紫外レーザ装置を提供することができる。
【0233】
なお、前述した実施形態で用いるファイバー(ファイバー光増幅器などを含む)はその表面をテフロンで被覆しておくことが好ましい。このテフロンによる被覆は全てのファイバーについて行うことが望ましいが、特に露光装置本体を収納するチャンバー内に配置されるファイバーはテフロンで被覆しておく。これは、ファイバーから発生する異物(繊維などを含む)が露光装置を汚染する物質となり得るためであり、この汚染物質に起因して生じる照明光学系、投影光学系、及びアライメント光学系などを構成する光学素子の曇り、又はこれら光学系の透過率(反射率)や光学特性(収差などを含む)の変動、もしくはレチクル又は半導体ウエハ上での照度、及びその分布の変動などを防止することが可能となる。また、テフロンで被覆する代わりに、チャンバー内に配置されるファイバーをまとめてステンレス製の筐体に収納するようにしてもよい。
【0234】
なお、半導体デバイスはその機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいてレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製造するステップ、前述の露光装置を用いてレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、デバイスの組立ステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、および検査ステップ等を経て製造される。また、前述の露光装置は半導体素子の製造だけでなく、例えば液晶ディスプレー、撮像素子(例えばCCD等)、薄膜磁気ヘッドなどのデバイス、またはレチクルの製造などにも用いることができる。
【0235】
さらに、複数の光学素子から構成される照明光学系、および投影光学系を露光装置本体に組み込んでその光学調整を行うとともに、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、さらに総合調整(電気調整、動作確認等)を行うことによる本実施例の露光装置を製造することができる。
【0236】
また、前述の露光装置では紫外レーザ装置1261の露光装置本体への取り付け、または露光装置本体外に配置される紫外レーザ装置1261の一部(レーザ光発生部および光増幅器など)と本体内に配置される波長変換部とをファイバーで接続したり、紫外レーザ装置1261(波長変換部)と照明光学系1262との光軸合わせなどが行われる。なお、露光装置の製造は温度、およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0237】
なお、以上の第9実施形態では、本発明によるレーザ装置を露光装置に適用するものとしたが、例えばウエハ上に形成された回路パターンの一部(ヒューズなど)を切断するために用いられるレーザリペア装置などにも本発明によるレーザ装置を用いることができる。また、本発明によるレーザ装置は可視光または赤外光を用いる検査装置などにも適用することができる。そしてこの場合には前述の第4〜第7実施形態で説明した波長変換部をレーザ装置に組み込む必要がない。即ち、本発明は紫外レーザ装置だけでなく、可視域または赤外域の基本波を発生する、波長変換部がないレーザ装置に対しても有効なものである。
【0238】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、コンパクトで機器配置の自由度が高く、メインテナンスが容易であり、かつ非線形光学結晶の損傷が生じにくく、空間的コヒーレンスの低い紫外光を発生する紫外レーザ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る紫外レーザ装置の、第1の実施形態のレーザ光発生部及び光増幅器の構成を示す説明図である。
【図2】本発明に係る紫外レーザ装置の、第2の実施形態のレーザ光発生部及び光増幅器の構成を示す説明図である。
【図3】本発明に係る紫外レーザ装置の、第3の実施形態のレーザ光発生部及び光増幅器の構成を示す説明図である。
【図4】本発明に係る紫外レーザ装置の、他の実施形態の光増幅器の構成を示す説明図である。
【図5】ダブル・クラッド・ファイバー光増幅器の断面図である。
【図6】エルビウム・ドープ・ファイバー光増幅器にドープする元素による、波長と利得との関係を示す特性図である。
【図7】エルビウムおよびイットリウムをコ・ドープするファイバー光増幅器において、励起強度に対する利得の変化を示す特性図である。
【図8】本発明に係る紫外レーザ装置の、ファイバー出力制御手段の構成を示す構成図である。
【図9】ファイバー光増幅器の出力端部におけるファイバー・コアの拡大状況を例示する側面図である。
【図10】ファイバー光増幅器の出力端部の一例を示す側面図である。
【図11】本発明に係る紫外レーザ装置の、第4の実施形態の波長変換部の構成を示す説明図である。
【図12】本発明に係る波長変換部の変換効率を示す図表である。
【図13】本発明に係る紫外レーザ装置の、第5の実施形態の波長変換部の構成を示す説明図である。
【図14】本発明に係る紫外レーザ装置の、第6の実施形態の波長変換部の構成を示す説明図である。
【図15】本発明に係る紫外レーザ装置の、第7の実施の形態の波長変換部の構成を示す説明図である。
【図16】本発明に係る紫外レーザ装置の、第8の実施形態である波長変換部入力部の実施例を示す説明図である。
【図17】本発明に係る紫外レーザ装置の、波長変換部入力部の他の実施例を示す説明図である。
【図18】本発明に係る紫外レーザ装置の、波長変換部入力部の他の実施例を示す説明図である。
【図19】本発明に係る露光装置の構成実施例を示す説明図である。
【図20】本発明に係る露光装置の他の構成実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
11 光源、単一波長発振レーザ(DFB半導体レーザ、ファイバーレーザ等)
12 光変調器
14、16 スプリッタ(光分岐手段)
13 ファイバー光増幅器
15、17 互いに長さの異なるファイバー(遅延手段、遅延ファイバー)
18 ファイバー光増幅器(第1ファイバー光増幅器)
19ファイバー光増幅器(第2ファイバー光増幅器)
114 ファイバー出力端(ファイバーバンドル出力端)
21 光源、単一波長発振レーザ(DFB半導体レーザ、ファイバーレーザ等)
22 光変調器
23 時分割光分岐手段(TDM、光分岐手段、遅延手段)
24 ファイバー光増幅器(第1ファイバー光増幅器)
25 ファイバー光増幅器(第2ファイバー光増幅器)
29 ファイバー出力端(ファイバーバンドル出力端)
31 光源、単一波長発振レーザ(DFB半導体レーザ、ファイバーレーザ等)
32 光変調器
33 ファイバー光増幅器(第1ファイバー光増幅器)
34 ファイバー光増幅器(第2ファイバー光増幅器)
41 ファイバー光増幅器(第1ファイバー光増幅器)
42 ファイバー光増幅器(第2ファイバー光増幅器)
405、406、407 ファイバー出力制御装置
421、341、441、451、461 コア
423、434、444、454、464 ファイバー出力端面
433、443(453、463) 窓部材
453、463 レンズ
501 ファイバー出力端(ファイバーバンドル出力端)
502〜504、507、510、513、514、517、518、520、526、532、533、536、539、545、548 非線形光学結晶
601 ファイバー出力端(ファイバーバンドル出力端)
602、604、609、611 非線形光学結晶
701 ファイバー出力端(ファイバーバンドル出力端)
702、705、710、712 非線形光学結晶
841 ファイバー出力端(ファイバーバンドル出力端)
842、843、844 非線形光学結晶
901 ファイバー出力端(ファイバーバンドル出力端)
902、904、905 レンズ
903、906 非線形光学結晶
1261 レーザ装置
1262 照明光学系
1263 マスク(レチクル)
1265 投影光学系
1266 ウエハー
1268、1269 駆動機構(駆動装置)
1271 レーザ装置
1272 波長変換部
1273 伝送系(第1ファイバー)
1277 制御装置(調整装置)
1278 伝送系(第2ファイバー)
1279 波長変換部
1280、1281 アライメント系

Claims (47)

  1. 赤外域から可視域までの波長範囲内で単一波長のパルス状のレーザ光を発生させるレーザ光発生部と、
    前記レーザ光発生部から発生させるレーザ光の発振波長を制御する発振波長制御手段と、
    前記レーザ光発生部から入射される単一波長のパルス光を複数に分岐する光分岐手段と、
    前記光分岐手段から分岐されて出力される複数の分岐光をそれぞれ複数回増幅する複数のファイバー光増幅器を有する複数の光増幅器と、
    前記複数の光増幅器により増幅された分岐光を非線形光学結晶を用いて波長変換する波長変換部とを備え、
    前記レーザ光発生部は、パルス光を発生する光源と、当該パルス光の一部を切り出してパルス幅を狭める光変調器とを有して、パルス幅が狭められたパルス光が前記光分岐手段に入射され、
    前記光分岐手段は、前記レーザ光発生部から入射された前記パルス光を複数に分岐するとともに、分岐された各パルス光が互いに時間的に重ならない状態の分岐光として出射し、
    空間的コヒーレンスが低い単一波長の紫外光を発生することを特徴とするレーザ装置。
  2. 前記光分岐手段は、前記レーザ光発生部から入射されたパルス光を複数に並列分岐するスプリッタを有するとともに、前記スプリッタの射出側には、互いに長さの異なるファイバーが設けられ、前記互いに長さの異なるファイバーの出力端において、前記並列分岐された各パルス光が互いに時間的に重ならない状態の分岐光となるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  3. 前記互いに長さの異なるファイバーは、前記出力端における前記複数の分岐光の遅延間隔が、前記スプリッタに入射するパルス光の繰り返し周波数と前記スプリッタにより並列分岐される分岐光路数との積の逆数となるようにその長さがそれぞれ定められ、それにより前記ファイバーのそれぞれの出力端における前記複数の分岐光の遅延間隔が略一定間隔となることを特徴とする請求項に記載のレーザ装置。
  4. 前記光分岐手段は、時分割光分岐手段(Time Division Multiplexer)を有し、前記レーザ光発生部から入射されたパルス光を時分割して複数に分岐することにより、前記分岐された各パルス光が互いに時間的に重ならない状態の分岐光となるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  5. 前記光増幅器はその出力端におけるファイバー出力端部のコアがテーパ状に広がって形成されることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  6. 前記光増幅器はその出力端におけるファイバー出力端部に前記増幅したレーザ光を透過する窓部材が設けられることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  7. 前記光増幅器は、エルビウム・ドープ・ファイバー光増幅器を有することを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  8. 前記光増幅器は、エルビウムおよびイットリビウムをともにドープしたファイバー光増幅器を有することを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  9. 前記光増幅器は、前記紫外光の出力、あるいは前記増幅した複数の分岐光の各出力を調整するために、前記並列に設けられる複数のファイバー光増幅器の各々の励起強度を制御するファイバー出力制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  10. 前記光増幅器は、前記増幅した複数の分岐光をそれぞれ出力する複数のファイバー出力端が1つに束ねられる、もしくは複数の出力群に分けられ、かつ出力群毎に束ねられることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  11. 前記光増幅器は、前記複数のファイバー出力端の一部を束ねた第1の出力群と、前記第1の出力群を除いた残りのファイバー出力端を1つに束ねる、もしくは複数の出力群に略均等に分けて各々束ねた第2の出力群とを有することを特徴とする請求項10に記載のレーザ装置。
  12. 前記光増幅器は、前記出力群に各分岐光を透過する窓部材を有することを特徴とする請求項10又は11に記載のレーザ装置。
  13. 前記光増幅器は、前記複数のファイバー出力端が複数の出力群に分けられて各々束ねられ、前記波長変換部は前記出力群ごとに設けられることを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  14. 前記波長変換部の入力側には、前記光増幅器から射出されるレーザ光を前記非線形光学結晶に集光して入射させる集光光学素子を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  15. 前記集光光学素子は、前記光増幅器の出力群ごとに束ねられた出力端部を、それぞれの出力群ごとにレンズとすることにより設けることを特徴とする請求項14に記載のレーザ装置。
  16. 前記集光光学素子は、前記増幅したレーザ光を出力する前記光増幅器のファイバー出力端にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項14に記載のレーザ装置。
  17. 前記集光光学素子は、前記光増幅器の複数のファイバー出力端部をそれぞれレンズとすることにより設けることを特徴とする請求項16に記載のレーザ装置。
  18. 前記レーザ光発生部は、波長が1.5μm付近の単一波長のレーザ光を発生し、
    前記波長変換部は、前記光増幅器から出力される前記波長1.5μm付近の基本波を、8倍高調波又は10倍高調波の紫外光として発生させることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  19. 前記レーザ光発生部は、1.51μm〜1.59μmの範囲内に発振波長を持つDFB半導体レーザもしくはファイバーレーザを有し、
    前記波長変換部は、発生波長が189nm〜199nmの範囲内である8倍高調波を発生することを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  20. 前記レーザ光発生部は、1.544μm〜1.552μmの範囲内に発振波長を持つレーザ光を発生し、
    前記波長変換部は、発生波長がArFエキシマレーザの発振波長と略同一波長である193nm〜194nmの範囲内の8倍高調波を発生することを特徴とする請求項18又は19に記載のレーザ装置。
  21. 前記波長変換部は、前記基本波と、前記基本波の7倍高調波とから、和周波発生により前記基本波の8倍高調波を発生する第1の非線形光学結晶を有することを特徴とする請求項18〜20のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  22. 前記波長変換部は、
    前記基本波から2次高調波発生により2倍高調波を発生する第2の非線形光学結晶と、
    前記基本波と前記2倍高調波とから和周波発生により前記基本波の3倍高調波を発生する第3の非線形光学結晶と、
    前記2倍高調波の2次高調波発生により前記基本波の4倍高調波を発生する第4の非線形光学結晶と、
    前記基本波の3倍高調波と前記基本波の4倍高調波とから和周波発生により前記基本波の7倍高調波を発生する第5の非線形光学結晶とを有することを特徴とする請求項21に記載のレーザ装置。
  23. 前記第1〜第4の非線形光学結晶はLiB(LBO)結晶であり、
    前記第5の非線形光学結晶はβ−BaB(BBO)結晶もしくはCsLiB10(CLBO)結晶であることを特徴とする請求項22に記載のレーザ装置。
  24. 前記レーザ光発生部は、1.51μm〜1.59μmの範囲内に発振波長を持つDFB半導体レーザもしくはファイバーレーザを有し、
    前記波長変換部は、発生波長が151nm〜159nmの範囲内である10倍高調波を発生することを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  25. 前記レーザ光発生部は、1.57μm〜1.58μmの範囲内に発振波長を持つレーザ光を発生し、
    前記波長変換部は、発生波長がFレーザの発振波長と略同一波長である157nm〜158nmの範囲内の10倍高調波を発生することを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  26. 前記レーザ光発生部は、波長が1.1μm付近の単一波長のレーザ光を発生し、
    前記波長変換部は、前記光増幅器から出力される前記波長1.1μm付近の基本波を、7倍高調波の紫外光として発生させることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  27. 前記レーザ光発生部は、1.03μm〜1.12μmの範囲内に発振波長を持つDFB半導体レーザもしくはファイバーレーザを有し、
    前記波長変換部は、発生波長が147nm〜160nmの範囲内である7倍高調波を発生することを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  28. 前記レーザ光発生部は、1.099μm〜1.106μmの範囲内に発振波長を持つレーザ光を発生し、
    前記波長変換部は、発生波長がFレーザの発振波長と略同一波長である157nm〜158nmの範囲内の7倍高調波を発生することを特徴とする請求項26又は27に記載のレーザ装置。
  29. 前記レーザ光発生部は、イットリビウム・ドープ・ファイバーレーザを有することを特徴とする請求項26〜28のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  30. 前記複数のファイバー光増幅器の少なくとも一つの入射側に光分岐手段を更に備え、前記光分岐手段で複数に分割されるパルス光がその後段に配置されるファイバー光増幅器に入射することを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  31. 前記分割された複数のパルス光をそれぞれ遅延させて前記光分岐手段の後段に配置されるファイバー光増幅器に入射させる遅延手段を更に備えたことを特徴とする請求項30に記載のレーザ装置。
  32. 前記複数の分岐光をそれぞれ増幅する前記複数のファイバー光増幅器のうち少なくとも最終段のファイバー光増幅器は大モード径ファイバーであることを特徴とする請求項30又は31に記載のレーザ装置。
  33. 前記大モード径ファイバーはZBLANファイバーであることを特徴とする請求項31に記載のレーザ装置。
  34. 前記波長変換部はNCPM(Non-Critical Phase Matching)で使用される非線形光学結晶を含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  35. 前記波長変換部は温度制御される非線形光学結晶を含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  36. 前記レーザ光発生部と前記波長変換部との間における光の波長幅の広がりを抑制する光学装置を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  37. 前記光学装置はその少なくとも一部が前記レーザ光発生部と前記波長変換部との間に配置されることを特徴とする請求項36に記載のレーザ装置。
  38. 前記光学装置の少なくとも一部は前記複数のファイバー光増幅器の間に配置されることを特徴とする請求項36に記載のレーザ装置。
  39. 前記光学装置は狭帯域フィルタ及びアイソレータの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項36〜38のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  40. 前記複数の分岐光の各光路に配置された前記複数のファイバー光増幅器において、光学的に最も下流に配置されるファイバー光増幅器のファイバーはフッ化物系ファイバーであることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  41. 前記光増幅器はその少なくとも一部がユニットとして交換可能であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  42. 前記レーザ光発生部と前記光増幅器との少なくとも一方に接続され、前記紫外光の発振特性を調整するための調整装置を更に備え、前記発振特性は、前記紫外光の強度、中心波長、波長幅、および発振間隔の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  43. 前記調整装置は、前記紫外光と、前記紫外光と波長が異なる光との少なくとも一方の検出によって得られる情報に基づいて調整することを特徴とする請求項42に記載のレーザ装置。
  44. 請求項1〜43のいずれか一項に記載のレーザ装置と、
    前記レーザ装置から発生される紫外光を物体に導く光学系とを備え、
    前記光学系を介して前記紫外光を前記物体に照射することを特徴とする光照射装置。
  45. 前記紫外光の照射によって、前記物体上のパターンの検出、前記物体の加工、あるいは前記物体へのパターン像の形成を行うことを特徴とする請求項44に記載の光照射装置。
  46. 前記物体は、デバイス製造工程で使用される基板であることを特徴とする請求項45に記載の光照射装置。
  47. 請求項46に記載の光照射装置を用いて、前記紫外光をマスクに照射するとともに、前記マスクを介して前記紫外光で前記基板を露光することを特徴とする露光方法。
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